JP4784334B2 - 熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型 - Google Patents

熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型 Download PDF

Info

Publication number
JP4784334B2
JP4784334B2 JP2006045515A JP2006045515A JP4784334B2 JP 4784334 B2 JP4784334 B2 JP 4784334B2 JP 2006045515 A JP2006045515 A JP 2006045515A JP 2006045515 A JP2006045515 A JP 2006045515A JP 4784334 B2 JP4784334 B2 JP 4784334B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
width
mold
slab
hot slab
reduction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006045515A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007222894A (ja
Inventor
勝 三宅
道雄 山下
拓郎 矢崎
洋一 本屋敷
達也 陣内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2006045515A priority Critical patent/JP4784334B2/ja
Publication of JP2007222894A publication Critical patent/JP2007222894A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4784334B2 publication Critical patent/JP4784334B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Forging (AREA)

Description

本発明は、板幅プレス装置による熱間スラブの幅圧下において、幅圧下荷重を増大させること無く、かつ安定的に大幅圧下を可能とする熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型に関する。
熱間スラブの幅変更手段として、連続鋳造プロセスにて製造されたスラブを温度が低下しないうちに、あるいは一旦温度が低下した後に加熱炉に投入して所定の温度まで加熱した状態にて、該熱間スラブの板幅方向に相対峙して設置された1対の金型にて熱間スラブを板幅方向に間歇的に圧下する板幅プレス装置が用いられている。本板幅プレス装置による幅圧下では、通常、900〜2000mm程度の幅の熱間スラブに対して最大300〜350mm程度の幅圧下が行われており、連続鋳造にて同一幅に鋳造されたスラブより異なる幅の鋼板製品の製造を可能としている。これにより、連続鋳造プロセスでの幅変更回数の低減、熱間圧延プロセスでのスケジュールフリー圧延の拡大、コイル単重の増大など、鋼板製造プロセスの生産性向上や合理化に大きく寄与しており、そのメリットは板幅プレス装置による幅圧下能力が大きいほど拡大する。
一般に、板幅プレス装置による幅圧下荷重Fは、(1)式にて近似的に求めることができる。
F=k・Qp ・h・L0 ・・・(1)
kは材料の変形抵抗、Qp は圧下力関数、hはスラブ厚、L0 はスラブと金型の接触長さである。幅圧下量を増大すると、接触長さL0 が増大するため、従来の幅プレス方法では幅圧下荷重や幅圧下トルク等の幅プレス負荷の増大が避けられず、圧下モーターやフライホイール等の動力系や動力を伝達する駆動系、そしてハウジング等の装置剛性を強化する必要がある。(1)式より、幅圧下荷重増大の問題を解決するためには、例えば送りピッチP(プレス1パス毎のスラブの搬送距離)を短くする(通常は350〜400mm程度)、あるいは金型傾斜角度を大きくして接触長さL0 を短くすることが有効である。また、幅圧下量を増大すると、スラブの座屈やスリップなどのトラブルをも助長することから、従来の幅圧下用金型および幅プレス方法では熱間スラブの幅圧下量をあまり大きくできないという問題点があった。図9は、従来から使用されている平行部と1つの傾斜部からなる従来の幅圧下用金型による幅圧下時の、金型とスラブの接触開始状態における力の釣り合いを示す図であり、当該圧下パスでは、金型傾斜部と前パスにて金型傾斜部にて圧下されたスラブ傾斜面から接触を開始することになる。この時、長手方向のスリップが発生しないための条件は、金型の傾斜角をα、金型とスラブ間の摩擦係数をμ、接触開始時の接触力をF0 とすると(2)式、(2)’式で表される。
μF0 cosα0 sinα ・・・(2)
μ≧tanα ・・・(2)’
通常、板幅プレス装置による幅圧下では、傾斜部の角度が12°程度であり、(2)’の関係を満たすためには摩擦係数は0.21以上でなければならない。また、長手方向のみならず、板厚方向のスリップによるスラブのねじれを防止するため、金型圧下面を粗面化して摩擦係数を0.3以上に調整する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この他、送りピッチや金型の傾斜角の設定により大幅圧下時のスリップを防止する方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。特許文献2では、(3)式を満たすように送りピッチ、あるいは金型の傾斜角αを設定することを特徴としている。
P>ΔW/tanα ・・・(3)
ΔWは片側の金型による幅圧下量(mm)である。通常、板幅プレス装置による幅圧下では、傾斜部の角度が12°程度であり、例えば幅圧下量を300mmとすると、(3)式による設定では送りピッチPは706mm以上となり、本条件では金型平行部がスラブ側面の未圧下部と接触を開始するため、幅圧下開始時にスリップが発生することはない。また、特許文献2では、金型傾斜部に第2の平行部を形成し、当該パスでは、前パスにてこの第2の平行部にて圧下された部分と金型平行部が接触を開始するように金型形状と送りピッチを設定することにより、幅圧下時のスリップを防止する方法が開示されている。
また、特許文献3では、幅サイジングの際に生じていたスラブの座屈を防止しつつ、大幅圧下を実現する方法及び装置を得るために、金型傾斜部と平行部を二組設けることにより大きな幅圧下を実現する技術が開示され、実施例には600mmの幅圧下例が示されている。
特開平5−15908号公報、請求項など 特開平9−253780号公報、請求項など 特開平3−174902号公報、請求項、具体的実施例1,第1図など
しかし、前記した従来技術には、各々以下のような問題点を有していた。
まず、(1)式より類推される大幅圧下時の幅圧下荷重を低減させるための方策として、送りピッチPを短くしてスラブと金型との接触長さを低減させる方法では、スラブ先端から尾端までを幅圧下する時間が増大するため、生産性を低下させるとともにスラブの温度低下を引き起こし、熱間圧延での所望の仕上温度が確保できなくなる。また、金型傾斜角度を大きくすることによりスラブと金型との接触長さを低減させる方法では、(2)’式の関係より金型とスラブの接触開始時のスリップを助長し、安定的な幅圧下が困難となる問題点があった。
特許文献1に開示されている金型圧下面を粗面化し、摩擦係数を高くして大幅圧下を可能とする方法では、金型を交換した直後はよくても、圧下にともなう金型圧下面性状の変化をコントロールすることが困難であり、絶えず摩擦係数を高い状態に保つためには頻繁に金型を交換しなければならず、生産性の低下や頻繁な金型圧下面の仕上加工により金型寿命が短くなるという問題点があった。
特許文献2に開示されている(3)式による送りピッチP、あるいは金型の傾斜角αを設定する方法では、大幅圧下時のスリップは防止できても種々の問題点を有している。まず、(3)式に基づき送りピッチを調整する場合、例えば金型傾斜角度αを12°、幅圧下量Wを300mmとすると、送りピッチPを706mm以上としなければならず、通常350〜400mmに設定されている送りピッチの2倍程度となってしまい、幅圧下荷重が大幅に増大することが避けられない。このことから、更なる幅圧下量の増大は望むべくもない。また、(3)式により金型傾斜角度αを調整する場合、例えば幅圧下量Wを300mm、送りピッチPを400mmとすると、金型傾斜角度αは20.6°以上とすることが必要となる。しかしながら、金型傾斜角度が大きくなると、幅圧下によってスラブ端部に形成されるドッグボーンが過大となり、その後の水平圧延による幅戻りが大きくなる。すなわち、(4)式で定義される幅圧下効率ηが悪化するため、所望の製品幅を得るために必要な幅圧下量を大きく設定する必要があり、これにより幅圧下荷重の増大を招くという問題点があった。
Figure 0004784334
0 はスラブ幅、W1 は板幅プレス装置による幅圧下後のスラブ幅、W2 はW1 の状態から幅圧下前のスラブ厚みまで1パス水平圧延を行った後のスラブ幅である。また、ドッグボーンが過大になると、その後の水平圧延パス数を増やさなければならず、生産性を低下させ、かつスラブ温度を低下させる要因となる。
その他、特許文献2に開示されている金型傾斜部に第2の平行部を形成し、当該パスでは、前パスにてこの第2の平行部にて圧下された部分と金型平行部が接触を開始するように金型形状と送りピッチを設定する方法では、スリップの発生は回避できるものの、幅圧下荷重の増大を抑制するための配慮が全くなされておらず、かつその形状の決定方法に何ら指針が開示されていない。
また、特許文献3においても、幅圧下荷重の増大を抑制するための配慮が全くなされておらず、かつ、その実施例から幅圧下荷重が大幅に増大することが容易に想定され、特許文献3記載の技術を実際の板幅圧下装置に適用することは困難である。
本発明は上述した事情に鑑みてなしえたもので、幅圧下荷重を増大させること無く、かつ安定的に大幅圧下を可能とする熱間スラブの幅圧下用金型および幅プレス方法に関するものである。なお、本発明による大幅圧下とは、現状の板幅プレス装置による幅圧下範囲である350mm以上の幅圧下である。
上記課題を解決するため、本発明者らは板幅プレス装置による幅圧下時の幅荷重特性と材料変形特性について鋭意検討を重ねた結果、幅圧下荷重を増大させること無く、かつ安定的に大幅圧下を可能とする熱間スラブの幅圧下用金型および幅プレス方法を着想した。前述したごとく、板幅プレス装置による幅圧下荷重Fは(1)式にて近似的に求めることができ、幅圧下荷重はスラブと金型との接触長さL0 に略比例する。幅プレス荷重と接触長さの関係について、図4と図5にてより詳細に説明する。図4は、平行部と1つの傾斜部からなる従来の幅圧下用金型による金型下死点における状態を示す図であり、L0 は金型とスラブの接触長さ、ΔWは片側の金型による幅圧下量、ハッチングした領域は当該圧下パスでの圧下領域を示している。図5は、厚み235mm、幅1500mmの熱間スラブを、金型傾斜角度12°、送りピッチ400mmの条件にて幅圧下した際の、幅圧下量に対する金型とスラブの接触長さ、幅圧下荷重の関係の一例を示す図である。
(1)式に示したごとく、幅圧下荷重は金型とスラブの接触長さにほぼ比例しており、幅圧下量の増大とともに幅圧下荷重は増加している。しかしながら、図5の関係は、大幅圧下時にも金型とスラブの接触長さL0 を拡大させないことが可能であれば、幅圧下荷重の増大を抑制することが可能であることを示している。このようなことから、熱間スラブの幅圧下において、幅圧下荷重を増大させることなく、かつ安定的に大幅圧下を可能とするためには、金型とスラブの接触長さL0 を増大させず、かつ金型とスラブの平行部同士から圧下が開始するように金型形状と送りピッチを最適に設定すればよいことを見出した。
本発明はこれらの知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する。
(1)熱間スラブの板幅方向に相対峙して設置され、熱間スラブを板幅方向に間歇的に圧下する幅圧下用金型を用いた幅プレス方法であって、
金型は、熱間スラブの進行方向出側の圧下面に熱間スラブ側面に平行な金型平行部を有し、この金型平行部に連続して熱間スラブの進行方向入側方向に向かって広がる第1の傾斜部と、第1の傾斜部の熱間スラブの進行方向入側端に連続して熱間スラブの側面に略平行な中間平行部と、中間平行部の熱間スラブ進行方向入側端に連続して熱間スラブの進行方向入側方向に向かって広がる第2の傾斜部を有しており、
下式(5)に基づいて、圧下下死点における金型と熱間スラブとの接触長さL0が予め設定された接触長さL0 *を越えないように、
金型の第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度α1 、α2 、中間平行部の長さLを設定し、
かつ、第1の傾斜部と第2の傾斜部による圧下量w1 、w2 、幅圧下パス間のスラブの送りピッチPを設定することを特徴とする熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法。
Figure 0004784334
ただし、
0は圧下下死点における金型と熱間スラブとの接触長さ、
0 *は予め設定された接触長さで、L0 *≦1350mm
α1 、α2 はそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度、
1 、w2 はそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部による圧下量
Lは中間平行部の長さ、
Pは幅圧下パス間のスラブの送りピッチである。
(2) (1)に記載の幅プレス方法において、当該パスでは、前パスにて金型傾斜部の中間平行部にて圧下された部分と熱間スラブの進行方向出側に位置する金型平行部が接触を開始するように、あるいは熱間スラブの未圧下部側面が中間平行部にて接触を開始するように、送りピッチを設定することを特徴とする幅プレス方法。
(3) 片側の幅圧下量が幅圧下用金型の第1の傾斜部による圧下量w1 以上の場合に(1)または(2)に記載の幅プレス方法を適用することを特徴とする熱間スラブの幅プレス方法。
(4) (1)〜(3)のいずれか記載の幅プレス方法に用いられる熱間スラブの幅圧下用金型であって、
熱間スラブの進行方向出側に位置する金型平行部と第1の傾斜部がなす角度α1 と、金型傾斜部の中間平行部と第2の傾斜部がなす角度α2 の角度差が5°以下であることを特徴とする熱間スラブの幅圧下用金型である。
本発明による熱間スラブの幅圧下用金型および幅プレス方法によれば、板幅プレス装置による熱間スラブの幅圧下において、幅圧下荷重を増大させること無く、かつ安定的に大幅圧下を実施することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明による幅圧下用金型を示す実施形態であり、本発明による幅圧下金型にて幅圧下する際の上死点位置での状態を示す図である。熱間スラブの進行方向出側の圧下面に位置する金型平行部に連続して熱間スラブの進行方向入側方向に向かって広がる第1の傾斜部と、第1の傾斜部の熱間スラブの進行方向入側端に連続して熱間スラブの側面に略平行な中間平行部と、中間平行部の熱間スラブ進行方向入側端に連続して熱間スラブの進行方向入側方向に向かって広がる第2の傾斜部を有している。α1 、α2 はそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度、w1 、w2 はそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部による圧下量である。また、Lは中間平行部の長さ、Pは幅圧下パス間のスラブの送りピッチ、Sは片側の金型の圧下ストロークであり、ΔPはパス間にてスラブを搬送する際に、金型とスラブが衝突しないための余裕代である。また、図2は圧下下死点での状態を示す図であり、ΔWは片側の金型による幅圧下量、L0 は金型とスラブの接触長さ、LT は第1の傾斜部、中間平行部および第2の傾斜部とスラブとの接触長さ、αA はLT とΔWから定義した平均傾斜角度、そしてハッチングした領域は当該パスにて圧下される領域である。本発明では、図1、図2に示した本発明による金型の形状を最適化することにより、接触長さL0 を基準接触長さL0 *と同等以下とすることにより、幅圧下荷重を増大させることなく大きな幅圧下をすることが可能である。このためには、図1において、以下の関係を成り立たせればよい。
Figure 0004784334
基準接触長さL0 *は各幅圧下装置の設備剛性を考慮して任意に決定すればよい。ただし、図4に示した一般的な板幅プレス装置における従来の金型で想定し得る最大接触長は、傾斜角度11°、最大幅圧下量:350mm,送りピッチ:450mmの幅圧下条件で、1350mmである。したがって、基準接触長さL0 *がこの最大接触長を超えることはない。本発明の実操業においては、図4に示した従来の金型による限界幅圧下条件を参考とし、(1)式の関係からその条件における金型とスラブの接触長さを超えないようにするのがよい。例えば、従来金型の傾斜角度12°、最大幅圧下量350mm、送りピッチ400mmの幅圧下条件では、圧下下死点における金型とスラブの接触長さは1223mmとなる。このことから、この幅圧下条件下では金型形状を決定する際にL0 *を1223mmとし、(5)式を満たすようにα1 、α2 、w1 、w2 、P等のパラメータを決定する要にするのが望ましい。このようにすることにより、従来の金型による限界幅圧下条件とほぼ同じ幅圧下荷重にて、より大きな大幅圧下が可能となる。
次に、第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度であるα1 とα2 、中間平行部長さLの決定指針について説明する。金型の傾斜角度は、(4)式にて示した幅圧下効率に大きく影響する。図6は、従来の金型による金型傾斜角度と幅圧下効率の関係を調べた一例であり、金型傾斜角度が大きくなるほど幅圧下効率は低下する。図7と図8は、従来の金型による幅圧下後のドッグボーン形状の一例であり(幅圧下量300mm)、図7は金型傾斜角度12°、図8は金型傾斜角度20°の場合である。金型傾斜角度が大きくなるほど、ドッグボーンが大きくなり、かつドッグボーン高さのピーク位置が板幅端に近くなる。すなわち、幅圧下による効果が板幅中央まで届きにくくなることから、水平圧延での幅戻りが大きく、幅圧下効率が悪化する。本発明による幅圧下用金型では、図2に示したごとく平均傾斜角度αA を定義し、平均傾斜角度αA と幅圧下効率の関係を検討したところ、ほぼ図6の関係が成り立つことを見出した。効率的な大幅圧下を実施するためには、幅圧下効率を80%以上とすることが重要であり、平均傾斜角度αA は20°程度以下とすることが望ましい。また、第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度であるα1 とα2 が大きく異なる場合、ドッグボーン形状が長手方向に不均一となるため、水平圧延後に送りピッチに相当する周期的な板幅変動が発生する。通常、幅圧下後には、粗圧延でのエッジングロールや仕上げ圧延での圧延スタンド間の張力制御によるAWC(Auto Width Control)と呼ばれる自動板幅制御が行われており、幅圧下時に板幅変動が発生しても大きな問題とはならない。しかし、熱延鋼板の板幅変動は歩留まりに大きく影響することから数mmの単位で厳しく管理されており、幅圧下時の板幅変動を極力小さく制御することが好ましい。本発明による幅圧下用金型を使用した場合の幅変動について検討を重ねた結果、α1 とα2 の差を5°程度以内とすることにより、従来金型並みの板幅精度が確保できることを知見した。このことから、本発明では第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度差を5°以下とすることが好ましい。また、中間平行部の長さLは、スリップを防止する目的を考慮すると長くすることが望ましいが、本発明では幅圧下荷重を抑制する目的から金型とスラブの接触長さL0 を規定するため、中間平行部の長さLを長くするためには第1の傾斜部の傾斜角度α1 、あるいは第2の傾斜部の傾斜角度α2 を大きくする必要があり、幅圧下効率、板幅変動の観点から好ましくなく、幅圧下効率とスリップ防止、そして送りピッチ精度等を考慮すると、接触長さL0 は100〜200mm程度とすることが望ましい。また、金型とスラブの接触開始時に発生しやすいスリップを防止するためには、金型とスラブの平行部同士から接触が開始するように設定すればよく、本発明では送りピッチPは前パスにて金型の中間平行部にて圧下された部分と、当該パスにて熱間スラブの進行方向出側の圧下面に位置する金型平行部が接触を開始する、あるいは熱間スラブの未圧下部側面と、金型傾斜部の中間平行部にて金型平行部が接触を開始するように決定するが、逆に送りピッチを既知として、上記のα1 、α2 、L0 等のパラメータを決めることも可能である。
また、本発明は幅圧下荷重を増大させること無く、かつ安定的に大幅圧下を可能とすることを目的としており、幅圧下量がw1 より小さい場合には効果を発揮しないものである。このような理由から、本発明に係る幅圧下用金型と従来の金型とを用意し、片側の幅圧下量が本発明による幅圧下用金型の第1の傾斜部による圧下量w1 以上の場合は、本発明を適用し、w1より小さい場合には従来の幅圧下用金型を使用することが望ましい。
以下、本発明の実施例を述べる。板幅プレス装置を用い、厚み235mm、幅1500mm、加熱温度1200℃の普通鋼スラブに、幅圧下サイクル毎分50回にて(イ)〜(ト)の条件にて板幅圧下を実施した。なお、(ニ)〜(ト)における本発明による幅圧下用金型の設計では、送りピッチPを400mmに固定し、L0 *を(イ)の条件における金型とスラブの接触長さとして金型形状を決定した。
(イ)比較例1は、図4の従来金型による従来の幅圧下であり、傾斜角度α=12°、幅圧下量=2×ΔW=350mm、送りピッチP=400mmの条件にて幅圧下を実施した。
(ロ)比較例2は、図4の従来金型による大幅圧下であり、傾斜角度α=12°、幅圧下量=2×ΔW=400mm、送りピッチP=400mmの条件にて幅圧下を実施した。
(ハ)比較例3は、図4の従来金型による大幅圧下であり、傾斜角度α=12°、幅圧下量=2×ΔW=450mm、送りピッチP=400mmの条件にて幅圧下を実施した。
(ニ)実施例1は、比較例1における金型とスラブの接触長さL0 (=1223mm)と接触長さが同じでかつ、水平圧延後の幅変動が小さくなるように、α1 =18°、α2 =16°、w1 =107mm、L=170mmとし、幅圧下量=2×ΔW=400mm、送りピッチP=400mmの条件にて幅圧下を実施した。
(ホ)実施例2は、比較例1における金型とスラブの接触長さL0 (=1223mm)と接触長さが同じでかつ、水平圧延後の幅変動への影響を調べるため、α1 =14°、α2 =20°、w1 =82mm、L=170mmとし、幅圧下量=2×ΔW=400mm、送りピッチP=400mmの条件にて幅圧下を実施した。
(ヘ)実施例3は、比較例1における金型とスラブの接触長さL0 (=1223mm)と接触長さが同じでかつ、水平圧延後の幅変動への影響を調べるため、α1 =14°、α2 =19°、w1 =119mm、L=153mmとし、幅圧下量=2×ΔW=400mm、送りピッチP=400mmの条件にて幅圧下を実施した。
(ト)実施例4は、比較例1における金型とスラブの接触長さL0 (=1223mm)と接触長さが同じでかつ、幅圧下量の影響を調べるため、α1 =19°、α2 =18°、w1 =120mm、L=170mmとし、幅圧下量=2×ΔW=450mm、送りピッチP=400mmの条件にて幅圧下を実施した。
図3は、比較例1と実施例1〜4の条件におけるスラブ長手方向中央部近辺での1パス分の幅圧下荷重の推移を比較したものである。幅圧下量の増大に伴い、幅圧下荷重が立ち上がるタイミングが異なってはいるものの、圧下下死点近傍の最大幅圧下荷重はほぼ同じとなっている。表1に、各条件と最大幅圧下荷重とスラブ長手中央部近辺の定常変形部における水平圧延後の幅変動量を示す。本発明による幅圧下金型を用いた場合の幅圧下荷重は、最も幅圧下量の大きい実施例4の条件でも、基準条件である比較例1に比べ約5%の荷重増程度である。これは、各条件にて金型とスラブの接触長さが同一になるように金型形状を設計しているが、幅圧下量が大きいほど材料の加工硬化により変形抵抗が上がるためであり、この材料の加工硬化分を予め考慮した金型形状設計も可能である。従来の金型にて幅圧下量を増大させた場合と比較すると、幅圧下量400mmでは比較例2に比べて実施例1〜3では10%程度の幅圧下荷重の低減、幅圧下量450mmでは比較例3に比べて実施例4では17%程度も幅圧下荷重が低減している。これらの結果から、本発明による幅圧下用金型を用いた場合、幅圧下荷重をほとんど増大させず、かつ安定的に大幅圧下が実現できることが確認された。また、本実施例の条件では、金型とスラブは必ず平行部同士から接触を開始するため、スリップ等のトラブルは一切生じなかったのに対し、比較例2、3では不定期なスリップの発生が認められ、各パスでの幅圧下荷重が安定しない状況であった。
また、実施例1〜3の比較より、金型とスラブの接触長さが同一であっても、α1 とα2 差が6°と大きい実施例2では、幅圧下後の水平圧延機後面に設置した板幅計にて測定した幅変動量が15mmとやや大きくなった。これらの実験結果より、α1 とα2 の差は5°以下が好ましいことがわかる。
Figure 0004784334
本発明による大幅圧下用金型の形状を示す図。 本発明による大幅圧下用金型での圧下下死点における状況を示す図。 本発明による大幅圧下用金型と比較として従来金型による大幅圧下時の幅圧下荷重の推移を示す図。 従来の金型による圧下下死点における状況を示す図。 従来の金型による幅圧下量、金型とスラブの接触長さ、そして幅プレス荷重の関係を示す図。 従来の金型での幅圧下時の、金型傾斜角度と幅圧下効率の関係を示す図。 従来の金型での幅圧下によって生成するドッグボーン形状の一例を示す図(金型傾斜角度12°)。 従来の金型での幅圧下によって生成するドッグボーン形状の別の一例を示す図(金型傾斜角度20°)。 従来の金型での圧下下死点における状況を示す図。

Claims (4)

  1. 熱間スラブの板幅方向に相対峙して設置され、熱間スラブを板幅方向に間歇的に圧下する幅圧下用金型を用いた幅プレス方法であって、
    金型は、熱間スラブの進行方向出側の圧下面に熱間スラブ側面に平行な金型平行部を有し、この金型平行部に連続して熱間スラブの進行方向入側方向に向かって広がる第1の傾斜部と、第1の傾斜部の熱間スラブの進行方向入側端に連続して熱間スラブの側面に略平行な中間平行部と、中間平行部の熱間スラブ進行方向入側端に連続して熱間スラブの進行方向入側方向に向かって広がる第2の傾斜部を有しており、
    下式(5)に基づいて、圧下下死点における金型と熱間スラブとの接触長さL0が予め設定された接触長さL0 *を越えないように、
    金型の第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度α1 、α2 、中間平行部の長さLを設定し、
    かつ、第1の傾斜部と第2の傾斜部による圧下量w1 、w2 、幅圧下パス間のスラブの送りピッチPを設定することを特徴とする熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法。
    Figure 0004784334
    ただし、
    0は圧下下死点における金型と熱間スラブとの接触長さ、
    0 *は予め設定された接触長さで、L0 *≦1350mm
    α1 、α2 はそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部がスラブ進行方向に対してなす角度、
    1 、w2 はそれぞれ第1の傾斜部と第2の傾斜部による圧下量
    Lは中間平行部の長さ、
    Pは幅圧下パス間のスラブの送りピッチである。
  2. 請求項1に記載の幅プレス方法において、当該パスでは、前パスにて金型傾斜部の中間平行部にて圧下された部分と熱間スラブの進行方向出側に位置する金型平行部が接触を開始するように、あるいは熱間スラブの未圧下部側面が中間平行部にて接触を開始するように、送りピッチを設定することを特徴とする幅プレス方法。
  3. 片側の幅圧下量が幅圧下用金型の第1の傾斜部による圧下量w1 以上の場合に請求項1または2に記載の幅プレス方法を適用することを特徴とする熱間スラブの幅プレス方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の幅プレス方法に用いられる熱間スラブの幅圧下用金型であって、
    熱間スラブの進行方向出側に位置する金型平行部と第1の傾斜部がなす角度α1 と、金型傾斜部の中間平行部と第2の傾斜部がなす角度α2 の角度差が5°以下であることを特徴とする熱間スラブの幅圧下用金型。
JP2006045515A 2006-02-22 2006-02-22 熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型 Expired - Fee Related JP4784334B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006045515A JP4784334B2 (ja) 2006-02-22 2006-02-22 熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006045515A JP4784334B2 (ja) 2006-02-22 2006-02-22 熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007222894A JP2007222894A (ja) 2007-09-06
JP4784334B2 true JP4784334B2 (ja) 2011-10-05

Family

ID=38545186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006045515A Expired - Fee Related JP4784334B2 (ja) 2006-02-22 2006-02-22 熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4784334B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5141282B2 (ja) * 2008-02-13 2013-02-13 Jfeスチール株式会社 熱間スラブの幅圧下用金型および幅圧下方法
JP5024099B2 (ja) * 2008-02-13 2012-09-12 Jfeスチール株式会社 熱間スラブの幅圧下用金型および幅圧下方法
JP6005581B2 (ja) * 2013-04-19 2016-10-12 株式会社神戸製鋼所 プレス金型

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007222894A (ja) 2007-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5217498B2 (ja) 可逆式圧延機による圧延方法および熱延鋼帯の製造方法
JP4784334B2 (ja) 熱間スラブの幅圧下用金型を用いた幅プレス方法及び同方法に用いる金型
JP6922873B2 (ja) 調質圧延方法、調質圧延装置および鋼板の製造方法
JP5962283B2 (ja) 熱間スラブの形状調節方法
JP4885038B2 (ja) プレス成形性に優れた高張力金属ストリップの製造方法
JP2009006361A (ja) 熱間圧延方法
JP4736321B2 (ja) 鋼板の矯正方法
JP6123745B2 (ja) 鋼板の圧延方法
JP6680284B2 (ja) 圧延機のレベリング設定方法、圧延機のレベリング設定装置、及び鋼板の製造方法
JP6365626B2 (ja) スラブの形状調整方法
JP5024099B2 (ja) 熱間スラブの幅圧下用金型および幅圧下方法
JP3150059B2 (ja) 金属帯の冷間圧延方法
JP5141009B2 (ja) 熱間スラブの幅圧下用金型
JP6627730B2 (ja) 熱間スラブ用幅圧下装置、熱間スラブの幅圧下方法および熱延鋼板の製造方法
JP5141282B2 (ja) 熱間スラブの幅圧下用金型および幅圧下方法
JP6354068B2 (ja) 熱間圧延ラインおよび熱間圧延ラインの制御方法
JP3845345B2 (ja) 熱間スラブの幅大圧下方法
JP5521724B2 (ja) 金属スラブの幅圧下方法
JP7103329B2 (ja) 圧延機の制御方法および制御装置
JP5625356B2 (ja) 熱間スラブ幅プレスの座屈防止方法
JP6915595B2 (ja) スラブの幅圧下方法
JP5293403B2 (ja) ダルワークロールを用いた冷間圧延方法
JP3601441B2 (ja) 熱間スラブの圧延方法
JPH09206871A (ja) 熱間スラブの幅プレス用金敷
JPH0714521B2 (ja) 金属スラブの熱間幅圧延方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110606

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110614

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110627

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140722

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees