JP6103248B2 - 鋼片の幅圧下プレス方法および幅圧下プレス装置 - Google Patents

鋼片の幅圧下プレス方法および幅圧下プレス装置 Download PDF

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本発明は、鋼片(スラブやシートバー等)の幅圧下プレス方法およびその方法に使用して好適な幅圧下プレス装置に関するものである。
近年、熱間圧延ラインでは、エネルギーロスの低減、ラインの簡素化や短縮化等を図るために、連続鋳造と熱間圧延との同期化操業の実現化が試みられており、連続鋳造と熱間圧延との同期化操業のためには、熱間圧延前の鋼片の幅寸法を所定幅に調整することが有用である。また、一定幅のスラブから種々の幅寸法の鋼片を得るためにも、熱間圧延前の鋼片の幅寸法を所定幅に調整することが有用である。
このため従来は、鋼片を左右に挟む一対のプレス金型を用い、それを相互に接近、離隔させて鋼片を幅方向に圧下することによりその全長にわたって幅寸法を縮減する幅圧下プレスが適用されている。
鋼片の幅圧下プレスに係わる先行技術として特許文献1には、入側および出側に傾斜部を有し、中間に平行部を有する左右一対の金型を、油圧シリンダーにより所定の幅圧下間隔および幅圧下中断の拡開間隔に制御し、金型の入側および出側のローラーテーブルにより、金型間に熱間スラブを前進、後退させながら、熱間スラブの幅圧下を行い、その際、金型の入側に設けたサイドガイドにより熱間スラブの後端部における未圧下部のセンタリングを行う方法が提案されている。
特許文献2には、予め使用する幅圧下プレスの幅圧下開始時のプレス後の先端形状指数とスラブ先端停止位置との関係を求めておき、スラブ先端停止位置をプレス後の先端形状指数の管理範囲内に初期設定し、幅圧下を開始することによって、スラブ先端のクロップ形状に起因する歩留り低下を抑制する方法が、また、特許文献3には、サイジングプレス装置の入側および出側の少なくとも一方にサイドガイドを設置して熱間スラブの側端面を拘束しながら幅方向プレスを実施するに際し、サイドガイドの熱間スラブに対する押し付け圧力(サイドガイド支持力)を、サイジングプレス装置が熱間スラブを搬送するときは弱圧力で、幅方向プレスを実施するときは強圧力に制御する方法が、さらに、特許文献4には、平面形状が左右非対象なスラブを幅方向プレスにより幅減縮するに当たり、幅方向プレスに先立ってサイドガイドによりスラブの後端部をセンタリングしてから幅圧下プレスを開始する方法が提案されている。
特開昭62−183902号公報 特開平9−29301号公報 特開平10−94801号公報 特開2001−269701号公報
ところで、上記文献で提案されている方法では、熱間スラブの幅圧下中に該幅圧下を中断して熱間スラブの前進、後退を伴うものであることから、熱間スラブの効率的な幅圧下を実施し難いこと(特許文献1)、また、熱間スラブの幅圧下中に、該熱間スラブの後端の側端面をサイドガイドにより挟圧あるいは拘束してセンタリングすることから、該サイドガイドには、幅圧下に伴う熱間スラブの回転力が付加されるのが不可避であり、それに耐え得る強度を確保する観点から設備コストの上昇が避けられないという不都合を有している(特許文献2〜4)。しかも、これらの方法を実施しても、幅圧下量が200mmを超える場合にあっては、鋼片先端部の曲がりと鋼片尾端での片伸びが顕著であり、幅圧下後の形状が必ずしも良好とはいえず、とくに鋼片尾端で発生する片伸びについては、その後の粗ミルでの圧延によっても解消することはなく、この部分がクロップロスとなるため、歩留りの低下が避けられない状況にあった。
本発明の課題は、クロップロスによる歩留り低下等を、設備コストの上昇を伴うことなしに抑制しながらも、鋼片を所定の幅寸法に効率的に縮減できる幅圧下プレス方法およびその装置を提案するところにある。
本発明は、鋼片を左右に挟む一対のプレス金型の、初期位置からの相互の接近とその初期位置への相互の離隔とを繰り返して、該鋼片を幅方向に繰り返し圧下することによりその全長にわたって該鋼片の幅寸法を縮減する鋼片の幅圧下プレス方法において、前記一対のプレス金型を前記鋼片の幅方向に移動させて該プレス金型の初期位置をずらすことにより該鋼片の左右における圧下量を変化させることを特徴とする鋼片の幅圧下プレス方法である。
上記方法を実施するに当たっては、前記プレス金型の前記鋼片の幅方向の移動を、前記鋼片の蛇行量および前記鋼片の左右の温度偏差の少なくも一方に基づいて行う。
また、本発明は、鋼片を左右から挟む一対のプレス金型を備え、その一対のプレス金型の相互接近および相互離隔を繰り返すことにより該鋼片の幅寸法をその全長にわたって縮減する鋼片の幅圧下プレス装置であって、前記一対のプレス金型を該鋼片の幅方向へ移動させてそのプレス芯をずらす金型移動機構を有することを特徴とする鋼片の幅圧下プレス装置である。金型移動機構は、鋼片の蛇行量および鋼片の左右の温度偏差の少なくとも一方に基づいてプレス金型の移動量を設定する制御装置を有している。
上記の幅圧下プレス装置の金型移動機構としては、具体的には、一対のプレス金型を相互接近および相互離隔方向へそれぞれ移動させる油圧シリンダーを適用することができる。
上記の構成からなる本発明の幅圧下プレス方法によれば、一対のプレス金型を鋼片の幅方向に適宜移動させて、該プレス金型の初期位置ひいてはプレス芯をずらして該鋼片の左右における圧下量を変化させるようにしたため、鋼片の左右で温度差が生じていたとしても、左右での圧下量の偏差を軽減することが可能となり、鋼片先端での曲がりや尾端の片伸びを小さくすることができる。
上記方法を実施するに当たっては、プレス金型の、鋼片の幅方向の移動を、鋼片の蛇行量および左右の温度偏差の少なくとも一方の測定値に基づいて行うことにより、より正確な設定が可能となる。
また、本発明の幅圧下プレス装置によれば、一対のプレス金型を該鋼片の幅方向へ移動させてそのプレス芯をずらす金型移動機構を設けたため、設備にかかるコストの上昇を抑えつつも鋼片の効率的な幅圧下プレスが行える。
上記の幅圧下プレス装置の金型移動機構を、一対のプレス金型を相互接近および相互離隔方向へそれぞれ移動させる油圧シリンダーで構成するようにすれば、構造が比較的簡単であり、設備のコストが上昇することはない。
幅圧下プレス装置の構成を模式的に示した図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 プレス金型の平面形状の他の例を示した図である。 プレス金型の初期位置の変更状況を示した図である。
図1(a),(b)は、本発明に従う幅圧下プレス方法の実施に使用して好適な幅圧下プレス装置の一実施形態を模式的に示した図であり、図1(a)はその平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。同図における符号1は、幅圧下プレスに供される鋼片(熱間スラブやシートバー等)、2は、鋼片1を搬送する搬送テーブル、3a,3bは、鋼片1を間に挟んでその左右に配置された一対のプレス金型である。
この実施形態の幅圧下プレス装置は、プレス金型3a,3bを相互に接近および離隔する向きに繰り返し移動させる駆動手段として、図示しないロッド位置センサーを持つ通常の復動式の油圧シリンダー4および、あらかじめ与えられたプログラムに従い、そのロッド位置センサーから入力される油圧シリンダー4のピストンロッド位置に基づき通常の油圧回路を介して油圧シリンダー4の往復作動を制御する、通常のコンピュータからなる油圧シリンダー制御装置5を有しており、相互に接近および離隔移動するプレス金型3a,3bの相互間に搬送テーブル2の作動により鋼片1を通すことよって、油圧シリンダー制御装置5で制御される油圧シリンダー4の往復作動により、鋼片1はその幅寸法Wが全長にわたってW′に縮減される。
プレス金型3a,3bとしては、入側傾斜面3a,3bとその入側傾斜面3a,3bにつながり鋼片1の幅端面に平行な平坦面3a,3bを有する片台形状のものを適用することができるが、該平坦面3a,3bにつながる出側傾斜面3a,3bが形成された図2に示すような台形状のものを適用することも可能であり、使用するプレス金型3a,3bの形状(平面形状)についてはとくに限定されない。
また、符号6は、プレス金型3a,3bを一緒に鋼片1の幅方向に移動させてその初期位置をずらすことによって鋼片1の左右における圧下量を変化させる金型移動機構である。
この金型移動機構6は、具体的には、ロッド位置センサーを持つ上記油圧シリンダー4からなり、そのロッド位置センサーが出力するピストンロッドの位置ひいてはプレス金型3a,3bの各々の初期位置を、後述の如くして鋼片1の蛇行量に基づいて、設定された移動量(ずらし量)だけ同一方向へずらすように制御される。
ここに、上記プレス金型3a,3bの初期位置とは、プレス金型3a,3bが油圧シリンダー4の上記往復作動において相互に最も離隔した退避状態におかれたときの位置というものとする。初期位置におけるプレス金型3a,3bの加工面の相互間隔(初期開度)Lは、鋼片1のサイズに応じて適宜設定される。プレス金型3a,3bをそれらの初期位置を保持したまま図3に示すように鋼片1の幅方向にずらすことによって、その分だけ該プレス金型3a,3bのプレス芯O(相互間隔Lの中心を通る直線)は、鋼片1の幅方向の中心(機械芯)O′に対してオフセットすることになる。
また、符号7はプレス金型3a,3bの入側に設置され、鋼片1をプレス金型3a,3bへと誘導するサイドガイド、8a8bは、プレス金型3a,3bの入側に設けられて鋼片1の尾端部の蛇行量を検出する蛇行量センサー(例えば当該センサーから鋼片1の側端面までの距離を非接触で測定する距離センサー)であり、油圧シリンダー制御装置5は、これらの蛇行量センサー8a,8bが例えば同一ロットの1または複数本の鋼片1について検出して出力する蛇行量に基づいてプレス金型3a,3bの所期位置の移動量(ずらし量)を算出するとともに、算出された移動量に従って金型移動機構6すなわち油圧シリンダー4の作動を制御し、プレス金型3a,3bの所期位置をその移動量分だけ鋼片1の幅方向かつ互いに同一方向に移動させて上記ロットの残りの鋼片1を幅圧下する。従って油圧シリンダー制御装置5は金型移動機構6の制御装置としても機能する。
本実施形態によれば、鋼片1の蛇行量に基づいて設定される移動量分だけ金型移動機構6によってプレス金型3a,3bの初期位置を鋼片1の幅方向(DR側あるいはOP側)にずらして鋼片1の左右における圧下量を変化させることから、鋼片1の先端部における曲がりや鋼片1の後端部における片伸びの発生を抑制しつつ幅圧下することが可能であり、クロップロスの軽減を図ることができる。また、鋼片1の幅圧下中にサイドガイド7には、鋼片1の曲がりに伴う過大な力が付加されることがなく、設備自体の余計な強化も不要となる。
金型移動機構6の制御因子としては、鋼片1の蛇行量の他に、鋼片1の左右の温度偏差を直接用いることも可能であり、これにより、同一ロットの最初の鋼片1から曲がりや片伸びの発生を防止し得て、クロップロスのより一層の軽減を図ることができる。鋼片1の蛇行量および左右の温度偏差に基づいて移動量を設定する場合には、プレス金型3a,3bの入側に上記の距離センサーおよび温度センサー(例えば鋼片1の左右側部の温度を光学的に測定するサーモグラフィー)を配置し、それらのセンサーで得られたデータに基づいて移動量を設定すればよい。
すなわち、本発明者が有限要素解析(FEM)によるシミュレーションを行ったところ、鋼片1に左右の温度偏差がある場合には、プレス金型3a,3bのプレス芯Oと鋼片1の幅方向の中心O′とが一致していても幅圧下によって高温側が伸びて鋼片先端が低温側に曲がることが判明し、またプレス金型3a,3bのプレス芯Oを鋼片1の幅方向の中心O′に対し例えば図1では上側にオフセットさせて図1では下側のプレス金型3bの圧下量を増加させると、鋼片1のその下側の尾端が伸びるのでなく、圧下開始当初に鋼片1の先端がその下側のプレス金型3bで先に押されて鋼片1が図では時計方向に水平回転し、鋼片1の上側の尾端が下側に曲がることで、むしろプレス金型3aの圧下量が減少した鋼片1の上側の尾端が伸びることが判明した。
また、鋼片1が加熱炉で加熱されたものである場合には、鋼片1は通常、加熱炉内で移送方向に対し横向きに配置されてウオーキングビーム等により移送されることから、抽出前に横向きで抽出扉からの外気に晒されるので、抽出扉(DR)側が炉内(OP)側よりも外気で冷やされ、鋼片1に左右の温度偏差が生じることも判明した。これらの点に鑑みて、本発明者は以下の実施例および比較例の幅圧下プレスを行った。
熱間圧延ラインにおいて、加熱炉から抽出した温度1200℃になるシートバー(厚さ220mm、幅1500mm)につき、圧下量300mmの幅圧下プレスを実施し、シートバーの後端に発生する片伸び(クロップ長)について調査を行った。なお、この調査では、入側傾斜面の長さ700mm(平坦面とのなす角度13°)、平坦面の長さ600mm、出側傾斜面の長さ600mm(平坦面とのなす角度19°)の片台形状のプレス金型を使用した。
プレス金型のプレス芯を機械芯に一致させ、左右両側から均等に幅圧下プレスを行った場合(比較例1)においては、クロップ長さはDR側で414mm程度であり、また、プレス金型の初期位置を移動(プレス芯をDR側へ10mm移動)させて幅圧下を行った場合(比較例2)には、クロップ長さはDR側で492mm程度であって寧ろ増加した。これに対して、人手で計測したシートバーの先端部のOP側への蛇行量に基づいて移動量を設定し、その移動量の分だけプレス金型の初期位置を移動(プレス芯をOP側へ10mm移動)させて幅圧下を行った場合には、クロップ長さはDR側で317mm程度となり、プレス芯をDR側へ移動させた場合はもちろん左右両側から均等に幅圧下を行った場合に比較してもクロップ長さが軽減されることが確認された。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明の幅圧下プレス方法および幅圧下プレス装置は、上記例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、幅圧下プレス装置の金型移動機構6は、鋼片1の幅圧下のために一対のプレス金型3a,3bをそれぞれ往復移動させる油圧シリンダー4でなく、一対のプレス金型3a,3bをその往復移動のための油圧シリンダー4と一緒に移動させる油圧シリンダーやクランク機構によって構成してもよく、また、鋼片1の幅圧下のために一対のプレス金型3a,3bをそれぞれ往復移動させる機構も、通常のプレス装置のようにクランク機構によって構成してもよい。そして鋼片1の蛇行量を検出する蛇行量センサーは、プレス金型3a,3bの出側に設置されてもよく、プレス金型3a,3bの入側と出側との両方に設置されてもよい。
本発明によれば、設備コストの上昇を伴ったりクロップロスによる歩留り低下等を伴ったりすることなしに鋼片を所定幅に効率的に縮減可能な幅圧下プレス方法およびその装置が提供できる。
1 鋼片
2 搬送テーブル
3a,3b プレス金型
3a1,3b1 入側傾斜面
3a2,3b2 平坦面
3a3,3b3 出側傾斜面
4 油圧シリンダー
5 油圧シリンダー制御装置
6 金型移動機構
7 サイドガイド
8a,8b 蛇行量センサー
W 幅寸法
L 相互間隔

Claims (3)

  1. 鋼片を左右に挟む一対のプレス金型の、初期位置からの相互の接近とその初期位置への相互の離隔とを繰り返して、該鋼片を幅方向に繰り返し圧下することによりその全長にわたって該鋼片の幅寸法を縮減する鋼片の幅圧下プレス方法において、
    前記一対のプレス金型を前記鋼片の幅方向に移動させて該プレス金型の初期位置をずらすことにより該鋼片の左右における圧下量を変化させ
    前記プレス金型の前記鋼片の幅方向の移動を、前記鋼片の蛇行量および前記鋼片の左右の温度偏差の少なくとも一方に基づいて行うことを特徴とする鋼片の幅圧下プレス方法。
  2. 鋼片を左右から挟む一対のプレス金型を備え、その一対のプレス金型の相互接近および相互離隔を繰り返すことにより該鋼片の幅寸法をその全長にわたって縮減する鋼片の幅圧下プレス装置であって、
    前記一対のプレス金型を該鋼片の幅方向へ移動させてそのプレス芯をずらす金型移動機構を有し、
    前記金型移動機構は、鋼片の蛇行量および鋼片の左右の温度偏差の少なくとも一方に基づいて前記プレス金型の移動量を設定する制御装置を有することを特徴とする鋼片の幅圧下プレス装置。
  3. 前記金型移動機構は、一対のプレス金型を相互接近および相互離隔方向へそれぞれ移動させる油圧シリンダーで構成されることを特徴とする請求項に記載した鋼片の幅圧下プレス装置。
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