JP6004317B2 - 金属―炭素繊維複合材料の製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態の特徴は、金属粉末およびセラミックス繊維材を用いず、炭素繊維と界面活性剤とバインダーとを含むスラリーから製造した炭素繊維プリフォームを用い、炭素繊維プリフォームに金属を含浸させて金属―炭素繊維複合材料を製造する点である。また、炭素繊維プリフォームにセラミックスプリフォームを接触させて金属を含浸させる点である。炭素繊維プリフォームは、所要形状に成形された炭素繊維を非酸化雰囲気で焼成して製造される。本実施形態の金属―炭素繊維複合材料は、炭素繊維プリフォーム中に溶融した金属を含浸して製造される。また、スラリーから分散媒を除去するときに、サクションポンプで吸引し、その後プレスをしてもよく、このことで、面内配向した状態で所要形状に成形された炭素繊維が得られ、炭素繊維が面内配向した金属―炭素繊維複合材料が得られる。
炭素繊維を所要形状に成形した成形体は、炭素繊維を含むスラリーを作製し、スラリーを成形型に入れて分散媒を除去して得られる。
炭素繊維を含むスラリーには、炭素繊維を分散媒に分散させる界面活性剤と、炭素繊維を互いに接着させるバインダーとが含まれる。界面活性剤とバインダーを用いることで、炭素繊維が凝集することなく、分散状態を維持しながら接着した炭素繊維成形体が得られる。
本発明の実施形態に係る炭素繊維プリフォームは、炭素繊維がバインダーによって相互に接着して、炭素繊維間に空隙を有する構造であり、溶融した金属が炭素繊維プリフォームの空隙に入り込めるものである。
本実施形態の炭素繊維プリフォームは、所要形状に成形された炭素繊維を乾燥させ、非酸化雰囲気で焼成して製造される。所要形状に成形して乾燥させた炭素繊維は、炭素繊維が互いにバインダーによって接着され、形状が保たれた状態である。この乾燥した炭素繊維成形体を非酸化雰囲気で焼成することで、大きく収縮することもなく炭素繊維成形体の形状に近い形状の炭素繊維プリフォームが得られ、成形型の形状を変えれば所要形状の炭素繊維プリフォームが得られる。また、所要形状に成形されて炭素繊維の長手方向が面内配向した炭素繊維成形体を焼成すれば、炭素繊維の長手方向が面内配向した炭素繊維プリフォームが得られる。
図3は、本発明の実施形態に用いるセラミックス繊維材とバインダーとを含む分散液中の分散媒を吸引する装置の一例を示す説明図であり、成形型内にセラミックス繊維材とバインダーとを含む分散液を入れ、分散液中の分散媒を除去して媒質体を成形させる状態である。媒質体を所要形状に成形するため、底面に小孔が形成された成形型12を用い、分散液が収容された容器10内に成形型12を入れる。この成形型の底面とサクションポンプ14が繋がれ、サクションポンプ14を稼働させると、分散液が成形型に向かって流動する。また、成形型12の底面に小孔が形成されてフィルターの役目をするようになっているので、ポンプは底面から分散媒を含む液体を吸引する。これにより、成形型12内にセラミックス繊維材が溜まり、媒質体を成形できる。吸引時間の経過と共にセラミックス繊維材が空隙を有しながら積み重なった状態になる。
本実施形態の金属―炭素繊維複合材料は、炭素繊維プリフォームとセラミックスプリフォームとを接触させて配置した成形型内に溶融した金属を含浸させ、固化させて得られる。炭素繊維プリフォームとセラミックスプリフォームの大きさは、成形型内に置くことができれば限定されないが、炭素繊維プリフォームとセラミックスプリフォームの接触面積が大きい方が、溶融金属がセラミックスプリフォームに引き込まれやすくなる。さらに、引き込むときの吸引力で、炭素繊維プリフォームに溶融した金属が入りやすくなり、金属―炭素繊維複合材料を製造することができる。このように、本実施形態の金属―炭素繊維複合材料の製造方法は、炭素繊維プリフォームに溶融金属を含浸させて、炭素繊維プリフォーム内を通過した溶融金属をセラミックスプリフォームに含浸させるものである。これにより、炭素繊維プリフォーム内を金属で満たすことができ、固化されて得られる金属―炭素繊維複合材料中には、空孔が存在せず、炭素繊維プリフォームの空隙を金属で満たすことができる。
水1L中に、ピッチ系炭素繊維を30g入れ、ポリアクリルアミドを1.8g、ポリカルボシラン(PCS)を0.6g入れて混合した。この混合液を30分超音波処理(200W、20kHz)して、スラリーを作製した。
炭素繊維の成形体を製造する際に、荷重をかけて炭素繊維間の間隙を調整し、かける荷重を小さくして炭素繊維の隙間が広い炭素繊維プリフォームを製造した。この他の工程は、実施例1と同じ条件であり、上記ピッチ系炭素繊維プリフォームを製造し、金属―炭素繊維複合材料を得た。得られた金属―炭素繊維複合材料に含まれる炭素繊維の含有量は金属―炭素繊維複合材料全体の体積に対して30体積%であった。
熱伝導度は約10mm 2 、厚さ約3mmの板状に切削成形した試料をアルキメデス法で比重を求め、熱伝導率測定装置(NETZSCH社製、Nano Flash LFA447)を用いて熱伝導率を測定した。熱伝導率は、熱拡散率×比重×比熱容量の式に基づいて算出した。なお、ここで求める熱伝導率算出の際に用いる比熱容量は比較法に基づき計算で求めた。このとき比較する標準試料は、主要元素であるアルミニウムを使用した。
試料の熱変形長を室温〜800℃の範囲での熱膨張(熱機械分析:TMA)を評価した。熱機械分析装置は島津製作所のTMA−50を使用し、アルミニウム合金(AC8A)と実施例1で製造した金属―炭素繊維複合材料(メソフェーズピッチ系炭素繊維の体積含有率50%)について、面内の配向方位に荷重10gを印加した場合とその直交する方向になる炭素繊維が重なっている方向について測定した。
伝熱速度について、板材はφ96mm×厚さ3mmで、熱源となるCu端子は板材の中心部に設置し、その径は5mmφとサンプル外形の98mmに対して充分に小さくした。温度上昇は非接触法で赤外線モニタする方法により測定し、放射率はカーボンスプレーを塗布することで0.98に設定した。装置はチノー社製・ThermaCAM赤外線サーモグラフィを用いて伝熱速度を測定した。
表1に実施例1、比較例1、2の熱伝導率、表2に実施例2、比較例1、2の熱伝導率を示す。
12 金型
14 サクションポンプ
Claims (10)
- 金属と炭素繊維が混合された金属―炭素繊維複合材料の製造方法において、
複数本の炭素繊維が所要形状に成形された空隙を有する炭素繊維プリフォームと、複数本のセラミックス繊維材が所要形状に成形された空隙を有するセラミックスプリフォームとを接触させて積層し、前記炭素繊維プリフォームと前記セラミックスプリフォームとに、前記炭素繊維プリフォーム側から溶融された金属を加圧して含浸させ、該溶融した金属を前記炭素繊維プリフォーム内に充填すると共に、前記炭素繊維プリフォーム内を通過した前記溶融した金属を前記セラミックスプリフォームの空隙に含浸させて固化させることを特徴とする金属―炭素繊維複合材料の製造方法。 - 金属と炭素繊維が混合された金属―炭素繊維複合材料の製造方法において、
第1の分散媒中に炭素繊維と界面活性剤とバインダーとを含むスラリーを、成形型に入れ、吸引装置により吸引して前記第1の分散媒を除去し、炭素繊維を所要形状に成形する工程と、
前記所要形状に成形された炭素繊維を乾燥し、非酸化雰囲気で焼成し、空隙を有する炭素繊維プリフォームを製造する工程と、
第2の分散媒中にセラミックス繊維材とバインダーとを含む分散液を、成形型に入れ、吸引装置により吸引して前記第2の分散媒を除去し、前記セラミックス繊維材を所要形状に成形する工程と、
前記所要形状に成形されたセラミックス繊維材を乾燥し、空隙を有するセラミックスプリフォームを製造する工程と、
成形型内に、前記炭素繊維プリフォームと前記セラミックスプリフォームとを接触させて積層する工程と、
前記炭素繊維プリフォームと前記セラミックスプリフォームとに、前記炭素繊維プリフォーム側から溶融された金属を加圧して含浸させ、該溶融した金属を前記炭素繊維プリフォーム内に充填すると共に、前記炭素繊維プリフォーム内を通過した前記溶融した金属を前記セラミックスプリフォームの空隙に含浸させて固化させる工程とを含むことを特徴とする金属―炭素繊維複合材料の製造方法。 - 前記炭素繊維の長手方向が所要面内を向くように配向させ、前記炭素繊維を所要形状に成形することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
- 前記面内配向され、溶融された金属が含浸、固化された前記炭素繊維を含む層を他の層から切り出して分離する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
- 前記炭素繊維が、メソフェーズピッチ系炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
- 前記炭素繊維が、カーボンナノファイバーを含むことを特徴とする請求項5に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
- 前記金属に、アルミニウムもしくはその合金、またはマグネシウムもしくはその合金を用いることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
- 前記セラミックス繊維材を構成する金属元素が、アルミニウム元素またはマグネシウム元素を主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
- 前記炭素繊維を所要形状に成形する工程および前記セラミックス繊維材を所要形状に成形する工程において、小孔が形成された成形型と、該成形型の小孔へと繋がれた前記吸引装置を用い、前記スラリーおよび前記分散液がそれぞれ収容された容器内に前記成形型を入れ、分散媒を前記吸引装置により吸引して除去することを特徴とする請求項2に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
- 前記溶融された金属が含浸され、固化された前記炭素繊維を含む層において、前記炭素繊維が30〜90体積%含まれることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の金属―炭素繊維複合材料の製造方法。
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