JP6003700B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、金属酸化物粒子(ただし金属酸化物で被覆されている中空粒子、及び金属酸化物で構成された中空粒子を除く)及び水酸基及びアルコキシ基を有する電子受容性物質を含む下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.17Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲内にある電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体を露光して、該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。
前記インピーダンスの位相差θの極大点が、0.17Hz以上0.2Hz以下の周波数の範囲内にある請求項1に記載の画像形成装置。
前記静電潜像形成装置以外に、前記電子写真感光体を露光する光源を有しない請求項1又は2に記載の画像形成装置。
前記電子受容性物質が、アントラキノンを基本骨格とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記電子受容性物質が、水酸基及びエトキシ基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記電子受容性物質が、水酸基及び一つのエトキシ基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記金属酸化物粒子が、下記一般式(S)で示されるシランカップリング剤で表面処理されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、金属酸化物粒子(ただし金属酸化物で被覆されている中空粒子、及び金属酸化物で構成された中空粒子を除く)及び水酸基及びアルコキシ基を有する電子受容性物質を含む下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.17Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲内にある電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
を有し、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、金属酸化物粒子(ただし金属酸化物で被覆されている中空粒子、及び金属酸化物で構成された中空粒子を除く)及び水酸基及びアルコキシ基を有する電子受容性物質を含む下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、
前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.17Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲内にあり、
電子写真感光体に直接接触し、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して電子写真感光体を帯電する帯電装置を有する画像形成装置に用いる電子写真感光体。
請求項2に係る発明によれば、電子写真感光体に下引層のインピーダンスの位相差θの極大点が0.15Hz以上0.2Hz以下の周波数の範囲外である場合に比べ、直流・交流接触帯電装置を備える画像形成装置において、電子写真感光体の残留電位上昇の抑制を実現する画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、電子写真感光体に下引層のインピーダンスの位相差θの極大点が0.15Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲外である場合に比べ、静電潜像形成装置以外に、電子写真感光体を露光する光源を有しない画像形成装置であっても、ゴーストを抑制する画像形成装置が提供される。
請求項5、又は6に係る発明によれば、アントラキノンを基本骨格とする電子受容性物質として、水酸基及びアルコキシ基を有さない物資を適用した場合に比べ、直流・交流接触帯電装置を備える画像形成装置において、電子写真感光体の残留電位の上昇の抑制を実現し、且つゴーストを抑制する画像形成装置が提供される。
請求項7に係る発明によれば、金属酸化物粒子が下記一般式(S)で示されるシランカップリング剤以外で表面処理されてなる場合に比べ、電子写真感光体の残留電位の上昇の抑制を実現し、且つゴーストを抑制する画像形成装置が提供される。
本実施形態の電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、金属酸化物粒子及び電子受容性物質を含む下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有する。
そして、下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点を0.15Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲内とする。
なお、本実施形態の電子写真感光体は、直流・交流接触帯電装置(電子写真感光体に直接接触し、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して電子写真感光体を帯電する帯電装置)を備える画像形成装置に用いられる。
なお、直流・交流接触帯電装置が、電子写真感光体と接触する特定の領域をその接触時に、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して帯電させる方式であるため、下引層の帯電の応答性を適切な範囲に調整することが、残留電位上昇及びゴーストを共に抑制するのに効果的であることがわかり、本実施形態の電子写真感光体に至った。
また、静電潜像形成装置以外に、電子写真感光体を露光する光源(例えば除電装置)を有しない画像形成装置では、ゴーストが発生し易いが、本実施形態の電子写真感光体を適用すると、これが改善される。
インピーダンスの測定には、電源、電流計としてSI 1287 electrochemical interface (東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いる。
図1は、本実施形態の電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。図2は本実施形態の電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
なお、図1及び2に示す電子写真感光体は、感光層として、電荷発生層及び電荷輸送層を有する機能分離型の電子写真感光体の例を示している。
導電性基体について説明する。なお、「導電性」とは、例えば体積抵抗率が1013Ω・cm以下を意味する。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けた樹脂フィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させた樹脂フィルム等が挙げられる。導電性基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
次に、下引層について説明する。
下引層1は、結着樹脂、金属酸化物粒子及び電子受容性物質を含む。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、不飽和ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子樹脂化合物が挙げられる。また、結着樹脂としては、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、ポリアニリン等の導電性樹脂等も挙げられる。
これらの中でも、結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子が挙げられ、酸化亜鉛、酸化チタンを用いることが望ましい。金属酸化物粒子は単種の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
なお、一般に、金属酸化物粒子の添加量を変えずに平均粒子径を大きくすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は、高周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点を鑑みて、用いる金属酸化物粒子の平均粒子径を選択することが望ましい。
一般に、金属酸化物粒子の含有率を多くすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は、低周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点での周波数を鑑みて、金属酸化物粒子の含有率を調整することが望ましい。
R1が表すアルコキシ基の炭素数は、1または2がよい。3つのR1は、同一の基(又は原子)を表してもよいし、異なる基(又は原子)を表してもよい。
R2が表すアルキル基(アミノ基を有するアルキル基)の炭素数は、2または3がよい。3つのR2は、同一の基(又は原子)を表してもよいし、異なる基(又は原子)を表してもよい。
これらの中でも、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好適である。
電子受容性物質は、金属酸化物粒子と共に下引層を含有させることで、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性に優れた下引層が得られる。
電子受容性物質としては、特に、残留電位上昇の抑制かつゴーストの更なる抑制の観点から、アントラキノンを基本骨格とする電子受容性物質(アントラキノン構造を有する電子受容性物質)がよく、特に、水酸基を有するアントラキノンを基本骨格とする電子受容性物質(水酸基を有するアントラキノン構造を有する電子受容性物質)が望ましい。
アントラキノンを基本骨格とする電子受容性物質としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等が挙げられる。この電子受容性物資として具体的には、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン、1−ヒドロキシアントラキノン、2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン、1−アミノ−4−ヒドロキシアントラキノン、4−メトキシ−1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、4−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン、4−ブトキシ−1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン等が挙げられる。
これらの中でも、残留電位上昇の抑制かつゴーストの更なる抑制の観点から、アントラキノンを基本骨格とする電子受容性物質としては、水酸基及びアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下、望ましくは1以上8以下、より望ましくは1以上6以下のアルコキシ基)を有する電子受容性物質であることがよい。
特に、同観点から、アントラキノンを基本骨格とする電子受容性物質としては、水酸基及びエトキシ基を有する電子受容性物質が望ましく、より望ましくは、水酸基及び一つのエトキシ基を有する電子受容性物質である。
下引層には、表面粗さ調整のために樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等が挙げられる。なお、表面粗さ調整のために下引層を形成後、その表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶媒に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状又は直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても、2種以上の併用であってもよい。
なお、乾燥のための加熱温度を高くしたりして硬化条件を厳しくすると、膜中における残留溶剤等を原因とする電荷トラップサイトの低減により電荷の移動がし易くなり、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は高周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点での周波数を鑑みて、乾燥条件を調節することが望ましい。
ここで、図示は省略するが、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引層上に(下引層と感光層との間に)、中間層をさらに設けてもよい。
次に、電荷発生層について説明する。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含んで構成される。なお、電荷発生層は、例えば、電荷発生材料の蒸着膜で構成されていてもよい。
これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂を含んで構成、又は高分子電荷輸送材を含んで構成される。
これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
図1及び図2では図示しないが、電子写真感光体の最表面層として保護層を設けてもよい。保護層は、例えば、導電性材料と結着樹脂とを含んで構成される。また、保護層は、例えば、重合性官能基を有する電荷輸送性材料の硬化膜で構成されていてもよい。硬化膜は、必要に応じて、他の樹脂を含んでいてもよい。保護層の構成は、周知の構成が採用される。
フッ素系樹脂粒子の一次粒径は0.05μm以上1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。一次粒径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる。一方、1μmを上回ると画質欠陥が発生し易くなる。
フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーの含有量は、フッ素系樹脂粒子の全質量に対して1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
画像形成装置中で発生するオゾンや窒素酸化物、又は光、熱による電子写真感光体の劣化を防止するため、感光層を構成する各層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等が挙げられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。
次に、本実施形態に係る電子写真感光体を備えた画像形成装置について説明する。
−第1実施形態−
図3は、第1実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図3に示す画像形成装置200は、本実施形態の電子写真感光体7と、電源209に接続され、電子写真感光体7を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208と、帯電装置208により帯電された電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成装置(露光装置)210と、静電潜像形成装置210により形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置211と、電子写真感光体7の表面に形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置212と、転写後、電子写真感光体7の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213と、被転写媒体500に転写されたトナー像を被転写媒体500に定着させる定着装置215と、を備える。
また、図3に示す画像形成装置200は、電子写真感光体表面のトナー像が転写された後、電子写真感光体表面に残留した電荷を除去する除電装置を備えない、イレーズレス方式の画像形成装置である。
具体的には、帯電装置208は、帯電部材を有しており、電子写真感光体7を帯電させる際には帯電部材に直流電圧に交流電圧が重畳された電圧が印加される。電圧の範囲としては、直流電圧成分として感光体帯電電位に応じて正又は負の50V以上2000V以下が望ましく、100V以上1500V以下がより望ましい。
交流電圧成分としてピーク間電圧が400V以上1800V以下、望ましくは800V以上1600V以下、さらに望ましくは1200V以上1600V以下が望ましい。交流電圧の周波数は50Hz以上20000Hz以下、望ましくは100Hz以上5000Hz以下である。
帯電部材として帯電ローラを用いる場合、電子写真感光体7に接触する圧力としては、例えば、250mgf以上600mgf以下の範囲が挙げられる。
さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料を浸漬、スプレー、ロール塗布等の手法により、積層して用いてもよい。
図4は第2実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図4に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体7a,7b,7c,7dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。例えば、電子写真感光体71aがイエロー、電子写真感光体71bがマゼンタ、電子写真感光体71cがシアン、電子写真感光体71dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成する。
電子写真感光体7a,7b,7c,7dはそれぞれ一方向(紙面上は反時計回り)に回転し、その回転方向に沿って帯電ロール402a,402b,402c,402d、現像装置404a,404b,404c,404d、1次転写ロール410a,410b,410c,410d、クリーニングブレード415a,415b,415c,415dが配置されている。現像装置404a,404b,404c,404dはそれぞれトナーカートリッジ405a,405b,405c,405dに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを供給し、また、1次転写ロール410a,410b,410c,410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体7a,7b,7c,7dに接している。なお、ロール402a,402b,402c,402dは、子写真感光体7a,7b,7c,7dにそれぞれ直接接触して電子写真感光体7a,7b,7c,7dを帯電する。
図5は、本実施形態の電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジの一例の基本構成を概略的に示している。このプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体7と共に、電子写真感光体7を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208、露光により電子写真感光体7上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像に現像する現像装置211、転写後、電子写真感光体7の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213、及び露光のための開口部218を、取り付けレール216を用いて組み合わせて一体化したものである。
プロセスカートリッジ300は、電子写真感光体1、帯電装置208、現像装置211、トナー除去装置213、及び露光のための開口部218のほかに、電子写真感光体1の表面を露光する露光装置(図示せず)、トナー除去装置213を備えていてもよい。
なお、本実施形態のプロセ氏カートリッジでは、電子写真感光体1と帯電装置208とを少なくとも備えていればよい。
−下引層の形成−
酸化亜鉛粒子(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m2/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業社製)1質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−1を得た。
表面処理した酸化亜鉛粒子−1: 25質量部と、4−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、24分の乾燥硬化を行い、厚さ15μmの下引層を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子8質量部(平均粒径:0.2μm)と、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量30000)0.01質量部とを、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液Aを得た。
実施例1の下引層形成用塗布液において、4−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノン0.6質量部を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の比較感光体1を作製した。
実施例1の下引層形成用塗布液において、更に、4−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノンの添加量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の感光体2を作製した。
実施例2の下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子-1を、シランカップリング剤表面処理を施した下記酸化亜鉛粒子−2に代えたこと以外は、実施例2と同様にして実施例3の感光体を作製した。
酸化亜鉛粒子100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−2を得た。
実施例2の下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子-1を、シランカップリング剤で表面処理を施した下記酸化亜鉛粒子−3に代え、下引層の乾燥硬化条件を180℃、40分としたこと以外は、実施例2と同様にして実施例4の感光体4を作製した。
酸化亜鉛粒子100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−3を得た。
比較例1の下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子-1を、シランカップリング剤で表面処理を施した酸化亜鉛粒子−4に代え、更に、アリザリン0.6質量部を添加したこと以外は、比較例2と同様にして比較例2の比較感光体2を作製した。
酸化亜鉛粒子100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業社製)2質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−4を得た。
比較例1の下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子-1を、シランカップリング剤表面処理を施した下記酸化亜鉛粒子−5に代えたこと以外は、比較例1と同様にして比較例3の比較感光体3を作製した。
酸化亜鉛粒子100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業社製)2.5質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−5を得た。
下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子を、シランカップリング剤表面処理を施した下記酸化亜鉛粒子−6に代え、更に、4−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−9,10−アントラキノンの添加量を0.6質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして比較例4の比較感光体4を作製した。
酸化亜鉛粒子100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業社製)0.5質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−6を得た。
比較例1の下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子を、シランカップリング剤表面処理を施した下記酸化亜鉛粒子−7に代えたこと以外は、比較例1と同様にして比較例5の比較感光体5を作製した。
酸化亜鉛粒子100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−573(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
:信越化学工業社製)4.8質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−5を得た。
−測定試料の作製−
上記実施例及び比較例の感光体を作製する際に用いた下引層用塗布液をそれぞれアルミパイプに浸漬塗布し、上記感光体の下引層を作製したときと同じ条件により乾燥を行い(例えば、実施例では170℃24分で乾燥硬化)、膜厚15μmの下引層単層膜を形成した。この下引層単層膜について、対向電極として100nmの金電極を真空蒸着法により装着し、インピーダンス測定用試料とした。
インピーダンスの測定には電源としてSI 1287 electrochemical interface (東陽テクニカ製)、電流計としてSI 1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いた。
なお、この位相差θが極大となった周波数が「インピーダンスの位相差θの極大点」である。
DocuCentre C3300の改造機に、上記作製の感光体を組みこんで、高温高湿(28℃85%RH)の条件下にてゴースト評価および残留電位測定を行った。得られた結果を表1に示す。
なお、DocuCentre 505aの改造機に搭載される帯電装置は、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧が印加される接触帯電方式の帯電装置であり、印加電圧−700V、交流電圧のピーク間電圧1400Vで感光体を帯電させる。
ゴースト評価は、図6(A)に示すごとく、「G」の文字と「黒ベタ領域」とを有するパターンのチャートを1万枚出力し、黒ベタ領域における「G」の文字(ゴースト)の現れ具合を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A+: さらにチャートを1万枚出力しても、図6(A)のごとく、黒ベタ領域には「G」の文字が確認されない。
A : 図6(A)のごとく、黒ベタ領域には「G」の文字が確認されない。
B : 図6(B)のごとく、黒ベタ領域には「G」の文字が若干確認される。
C : 図6(C)のごとく、黒ベタ領域には「G」の文字がはっきり確認される。
感光体の残留電位の測定は、前記実験機の中に電位プローブを取り付け、画像濃度30%のハーフトーン画像をA4紙に1万枚出力し、初期(画像出力前)と画像出力後との残留電位を測定し、その差を算出した。
A+: 上記差が38V未満
A : 上記差が38V以上45V未満
B : 上記差が45V以上60V未満
C : 上記差が60V以上
これに対して、0.15Hz以上0.3Hz以下の周波数の範囲外に極大点を有する比較例1から5の感光体は、いずれも直流電圧に交流電圧が重畳された電圧が印加される接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いたときに、残留電位の上昇およびゴーストが発生した。
Claims (9)
- 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、金属酸化物粒子(ただし金属酸化物で被覆されている中空粒子、及び金属酸化物で構成された中空粒子を除く)及び水酸基及びアルコキシ基を有する電子受容性物質を含む下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.17Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲内にある電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体を露光して、該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。 - 前記インピーダンスの位相差θの極大点が、0.17Hz以上0.2Hz以下の周波数の範囲内にある請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記静電潜像形成装置以外に、前記電子写真感光体を露光する光源を有しない請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記電子受容性物質が、アントラキノンを基本骨格とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記電子受容性物質が、水酸基及びエトキシ基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記電子受容性物質が、水酸基及び一つのエトキシ基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記金属酸化物粒子が、下記一般式(S)で示されるシランカップリング剤で表面処理されてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(一般式(S)中、R1は、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。R2は、水素原子、フェニル基、又は末端にアミノ基を有するアルキル基を表す。) - 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、金属酸化物粒子(ただし金属酸化物で被覆されている中空粒子、及び金属酸化物で構成された中空粒子を除く)及び水酸基及びアルコキシ基を有する電子受容性物質を含む下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.17Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲内にある電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
を有し、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。 - 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、金属酸化物粒子(ただし金属酸化物で被覆されている中空粒子、及び金属酸化物で構成された中空粒子を除く)及び水酸基及びアルコキシ基を有する電子受容性物質を含む下引層と、前記下引層上に設けられた感光層と、を有し、
前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.17Hz以上0.3Hz未満の周波数の範囲内にあり、
電子写真感光体に直接接触し、直流電圧に交流電圧が重畳された電圧を印加して電子写真感光体を帯電する帯電装置を有する画像形成装置に用いる電子写真感光体。
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