以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、ノイズ検知装置の一実施形態を示す。図1に示した例では、ノイズ検知装置10及び覚醒度判定装置30は、脈波センサ1と間隔抽出装置2とによって時系列的に得られる拍間隔データの入力を受けている。なお、覚醒度判定装置30は、拍間隔データで示される脈拍又は心拍の間隔の揺らぎ解析を行う解析装置の一例である。
図1に示した脈波センサ1は、例えば、被験者の耳朶などに装着されており、被験者の脈拍を示す脈波信号を間隔抽出装置2に渡す。間隔抽出装置2は、例えば、脈波信号に含まれる所定の閾値以上の高さを持つピークを検出し、検出したピークの間隔を脈拍の間隔として求めることで、拍間隔データを生成する。間隔抽出装置2は、例えば、脈波信号からピークを検出するごとに、最新のピークを検出した時刻と直前のピークを検出した時刻との差として得られる脈拍の間隔と、現在の時刻を示す情報とを含む拍間隔データを生成してもよい。また、間隔抽出装置2は、生成した拍間隔データを、時系列的に、覚醒度判定装置30とノイズ検知装置10とに渡す。
ここで、ノイズ検知装置10の説明に先立って、覚醒度判定装置30について説明する。覚醒度判定装置30は、周波数解析部31と、覚醒度評価部32と、警報出力部33とを含んでいる。
周波数解析部31は、上述した拍間隔データから脈拍間隔の揺らぎのスペクトル密度分布を示す周波数スペクトルを生成する。周波数解析部31は、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成する際に、例えば、5分程度の長さを持つ第1時間窓を用いる。周波数解析部31は、例えば、所定の時間ごとに、現在の時刻から第1時間窓に相当する時間を遡った時刻までの期間に入力された拍間隔データから、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成してもよい。
覚醒度評価部32は、例えば、周波数解析部31で得られた周波数スペクトルに基づいて、被験者が覚醒している度合いを示す覚醒度を評価する。被験者の覚醒度は、脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルが、次に説明するような特徴を持っていることを利用して、評価可能である。
図2は、覚醒度を評価する処理を説明する図である。図2に示したグラフの横軸は、脈拍間隔の揺らぎ成分の周波数を示しており、横軸の目盛りは0.1Hz刻みである。また、図2に示したグラフの縦軸は、スペクトル密度Pを示している。
図2(A)に示したグラフG1は、被験者が覚醒状態である場合に取得された拍間隔データから生成された脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを示している。一方、図2(B)に示したグラフG2は、被験者が眠気をもよおしている状態で取得された拍間隔データから得られた脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを示している。
脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルは、図2(A),(B)にそれぞれグラフG1,G2として示したように、0.05Hz〜0.15Hzの低周波数帯と、0.15Hz〜0.5Hzの高周波数帯とに、それぞれ極大を持っている。なお、図2においては、低周波数帯を符号LFで示し、高周波数帯を符号HFで示した。以下の説明では、低周波数帯をLF帯と称し、高周波数帯をHF帯と称する場合もある。
図2(A),(B)を比べれば、グラフG1のHF帯において極大となる周波数に比べて、グラフG2のHF帯において極大となる周波数が、低周波側に遷移していることが分かる。また、図2(A),(B)の比較により、グラフG1のHF帯における極大のスペクトル密度に比べて、グラフG2のHF帯における極大のスペクトル密度が高くなっていることが分かる。
このように、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルは、被験者が眠気をもよおしているときには、HF帯の極大が、覚醒状態での極大が現れる周波数よりも低周波側に遷移し、スペクトル密度が高くなるという傾向を持っている。図2に示した傾向に基づいて、被験者が覚醒状態であるか眠気をもよおしている状態であるかを判定することが可能である。なお、図2に示した周波数スペクトルの特性を利用して被験者の覚醒度を判定するためには、安定した周波数解析結果を取得可能な長さを持つ時間窓を用いて周波数スペクトルを生成することが望ましい。このため、上述したように、周波数解析部31は、周波数スペクトルの生成に用いる第1時間窓として、5分程度の比較的長い時間窓を設定している。
図1に示した覚醒度評価部32は、周波数解析部31で所定の時間ごとに得られる周波数スペクトルからHF帯のピーク、即ち、極大を検出し、検出したピークに対応する周波数とスペクトル密度Pとの少なくとも一方を、覚醒度を示す評価指標として取得する。なお、以下の説明では、周波数スペクトルから検出されたピークに対応する周波数をピーク周波数と称し、また、ピーク周波数に対応するスペクトル密度Pをピークスペクトル密度あるいは単にピーク値と称する。
また、図1に示した警報出力部33は、上述した評価指標の時間変化を監視し、例えば、ピーク周波数が低周波側に遷移する傾向とともに、ピークスペクトル密度が増大する傾向を検出した場合に、覚醒度が低下している旨の警報を出力する。
ところで、実際に、上述した覚醒度判定装置30を被験者に適用した場合に、被験者が覚醒状態であるにもかかわらず、被験者の覚醒度が低下している旨の警報が誤って出力されてしまう場合があった。
本出願の発明者は、誤った警報が出力された状況を調べることにより、被験者が会話しているときに、誤った警報が出力される場合が多いことに気付き、会話の発生と、上述した技法における覚醒度の評価指標の変化との相関関係を調べる実験を行った。
図3は、覚醒度の評価指標の時間的な変動の例を示している。図3に示したグラフの横軸は、時間を示しており、横軸の目盛りは5分刻みである。また、図3に示したグラフの縦軸は、周波数スペクトルのHF帯の周波数を示している。
図3に示したグラフは、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルのHF帯に現れたピーク周波数の時間変化の例を示している。なお、図3において、符号T1および符号T2は、被験者が会話している期間を示している。
図3に示した例から、被験者が会話している期間T1,T2における周波数スペクトルに現れるピーク周波数は、当該期間の前後におけるピーク周波数に比べて低周波側に遷移していることが分かる。つまり、周波数スペクトルのHF帯に現れるピーク周波数が低周波側に遷移する現象は、被験者が眠気をもよおしている場合だけでなく、被験者が会話をしている場合にも発生することが分かった。
被験者が会話をしている期間にピーク周波数が低周波側に遷移する現象は、図2に示した周波数スペクトルの特性を利用して被験者の覚醒度を判定する際に、誤った判定結果をもたらすノイズ成分として作用する。したがって、会話によるノイズ成分が拍間隔データに混入したことを検知し、得られた検知結果に基づいて、覚醒度の判定処理あるいは判定結果に基づく警報の出力処理を制御すれば、誤った警報の出力を低減し、覚醒度の判定精度を向上させることができる。
図1に示したノイズ検知装置10は、会話などの発生により、脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎ解析に影響を及ぼすノイズが脈波信号に混入したことを検知するために、変換部11と、算出部12と、第1検知部13とを含んでいる。
変換部11は、上述した拍間隔データの入力を受け、所定の長さを有する第2時間窓を用いて、拍間隔データから、脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎのスペクトル密度Pの分布を表す周波数スペクトルを時系列的に生成する。変換部11は、例えば、所定の時間ごとに、現在の時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻までの期間に入力された拍間隔データに基づいて、脈拍間隔の揺らぎ成分についての周波数スペクトルを生成してもよい。
変換部11が周波数スペクトルの生成に用いる第2時間窓の長さは、上述した周波数解析部31における周波数スペクトルの生成に用いられる第1時間窓よりも短い時間に設定することが望ましい。変換部11が、脈拍間隔の揺らぎ成分についての周波数スペクトルを生成する際に、第1時間窓よりも短い第2時間窓を用いることで、被験者が会話している際に脈拍間隔の揺らぎ成分に現れる特徴的な変化を顕著に表す周波数スペクトルを取得することができる。第2時間窓の長さの好適な設定例は、例えば、20秒程度の比較的短い時間である。なお、第2時間窓の長さとして20秒程度の時間が望ましい理由については、後述する。
図4は、第2時間窓を用いて生成した周波数スペクトルの例を示している。なお、図4に示したグラフの横軸は、脈拍間隔の揺らぎ成分の周波数を示しており、縦軸は、スペクトル密度Pを示している。
図4(A)に示したグラフGaは、被験者が安静な状態において取得した拍間隔データに対して第2時間窓を適用して生成した周波数スペクトルを示している。また、図4(B)に示したグラフGbは、同じ被験者が会話をしている状態において取得した拍間隔データに対して第2時間窓を適用して生成した周波数スペクトルを示している。
図4(A),(B)に示した2つのグラフGa,Gbを比べると、上述したHF帯におけるスペクトル密度Pのピークが現れる周波数と、LF帯に現れるピークに対応するスペクトル密度の大きさが異なっていることが分かる。例えば、グラフGaで示した周波数スペクトルのHF帯に含まれる周波数0.4Hz付近に現れていたピークが、グラフGbで示した周波数スペクトルにおいては不明瞭になっており、代わりに、周波数0.2Hz付近にピークが現れている。一方、グラフGaで示した周波数スペクトルのLF帯に含まれる周波数0.1Hz付近のピークに比べて、グラフGbで示した周波数スペクトルの周波数0.1Hz付近のピークに対応するスペクトル密度は大きくなっている。
上述した2つのグラフGa,Gbで示される周波数スペクトルの特徴の差異は、被験者が会話をしているか安静な状態であるかによって発生している。例えば、HF帯におけるスペクトル密度のピークが現れる周波数の違いは、被験者が会話をすることにより、呼吸のタイミングがずれることを反映している可能性が高い。また、LF帯におけるピークのスペクトル密度の差は、被験者の自律神経系のバランスが、会話によって安静時とは変化していることを反映している可能性が高い。
図1に示したノイズ検知装置10に含まれる算出部12および第1検知部13は、変換部11で時系列的に得られる周波数スペクトルのHF帯に現れるピーク周波数の違いに基づいて、上述したノイズ成分を検知する機能を有している。
ここで、変換部11は、脈拍間隔の揺らぎ成分を所定のサンプリング周波数でリサンプリングし、得られたリサンプリング結果から第2時間窓を用いて抽出したリサンプリング結果に基づいて周波数スペクトルを生成する。例えば、変換部11は、新たなリサンプリング結果が得られるごとに、当該リサンプリング結果に対応する現在時刻を含むように設定した第2時間窓を用いて抽出したリサンプリング結果から周波数スペクトルを生成してもよい。この場合に、変換部11は、サンプリング間隔ごとに、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成し、生成したスペクトルを順次に算出部12に渡す。
ところで、被験者が会話をしている状態においては、被験者の呼吸のタイミングは短い時間内で様々に変化する可能性が高い。したがって、被験者が会話している期間に含まれるサンプリング時刻に対応して変換部11で得られる周波数スペクトルのHF帯におけるピーク周波数は、被験者が安静な状態である場合に比べて、大きくばらついている可能性が高い。つまり、所定の期間内に得られた周波数スペクトルのHF帯におけるピーク周波数のばらつきは、当該期間において被験者が会話をしたために、拍間隔データにノイズ成分が混入したか否かを判断する上で有用な指標の一つである。
図1に示した算出部12は、所定の期間に変換部11で得られた複数の周波数スペクトルについて、各周波数スペクトルのHF帯におけるピーク周波数について分散を算出し、算出結果をノイズ成分の混入の可能性を示す評価指標として出力する。なお、上述したHF帯は、図2、図4に示したように周波数0.15Hz〜0.5Hzの範囲である。また、所定の期間としては、例えば、変換部11が周波数スペクトルの生成に用いる第2時間窓に相当する期間を適用してもよい。
算出部12は、変換部11で周波数スペクトルが生成されるごとに、得られた周波数スペクトルのHF帯から抽出したピーク周波数を蓄積し、蓄積したピーク周波数に基づいて分散を算出してもよい。例えば、算出部12は、現在時刻に対応する最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻までの期間に抽出したピーク周波数に基づいて、現在時刻におけるHF帯のピーク周波数の分散を算出してもよい。
上述したように、算出部12で得られた分散と被験者が安静な状態で得られた分散との間に有意な差がある場合は、被験者が会話をしている可能性が高い。すなわち、算出部12で得られた分散と被験者が安静な状態で得られた分散との間の有意な差は、会話によるノイズ成分が拍間隔データに混入している可能性が高いことを示している。したがって、第1検知部13は、算出部12で得られた分散と被験者が安静な状態で得られた分散との間に有意な差を検出したときに、拍間隔データに上述したノイズ成分が混入している可能性が高いことを検知してもよい。
第1検知部13は、例えば、算出部12で得られた分散が、被験者が安静な状態であるときの分散の値を反映した所定の第1閾値以上である場合に、算出部12で得られた分散と安静な状態の際の分散との間に有意な差があると判断する。
上述した第1閾値は、例えば、被験者が安静な状態において予め取得した拍間隔データから周波数スペクトルを生成する実験を行い、実験結果として得られた周波数スペクトルから検出したピーク周波数に基づいて、決定しておいてもよい。例えば、ノイズ検知装置10を動作させる前に取得した拍間隔データから生成した周波数スペクトルについて、周波数スペクトルのHF帯におけるピーク周波数の分散を求め、求めた分散値よりも大きい値に第1閾値の値を設定することが望ましい。例えば、安静な状態での拍間隔データから得られたピーク周波数の分散の最大値に、数値「1.5」程度の値を持つ所定の第1係数を乗じた値を第1閾値に設定してもよい。
このように設定された第1閾値と算出部12で得られた分散値とを比較することにより、第1検知部13は、算出部12で得られた分散と安静な状態の際の分散との間に有意な差があるか否かを判断することができる。なお、第1閾値の別の設定例については後述する。
上述した変換部11と、算出部12及び第1検知部13とを有するノイズ検知装置10によれば、脈拍間隔の揺らぎ成分を示す周波数スペクトルのHF帯の特徴に基づいて、被験者が会話することによって拍間隔データに混入するノイズ成分を検知することができる。
また、第1検知部13は、入力された脈波信号に会話によるノイズ成分が混入しているか否かを示す検知結果を、覚醒度判定装置30に通知してもよい。そして、覚醒度判定装置30の警報出力部33は、ノイズ検知装置10からノイズ成分を検知した旨が通知された場合に、覚醒度評価部32で得られた評価結果にかかわらず、被験者の覚醒度の低下に関する警報の出力を抑止してもよい。
図3を用いて説明したように、被験者が会話している際に得られる覚醒度評価部32による評価結果の信頼性は、拍間隔データに混入したノイズ成分のために低下している。したがって、本件開示のノイズ検知装置10からノイズ成分を検知した旨の通知を受けた場合に、覚醒度判定装置30の警報出力部33による警報出力を抑止する制御を行うことで、信頼性の低い評価結果に基づく警報の出力を抑止することができる。
上述した制御を適用した覚醒度判定装置30の警報出力部33は、ノイズ成分の混入が検知された場合には、覚醒度評価部32によって被験者の覚醒度が低下している旨の評価結果が得られても、覚醒度が低下している旨の警報を出力しない。したがって、警報出力部33によって被験者の覚醒度が低下している旨の警報が出力されるケースは、覚醒度評価部32により覚醒度が低下している旨の評価結果が得られ、かつ、ノイズ成分の混入が検知されなかった場合に限られる。
つまり、本件開示のノイズ検知装置10による検知結果によって警報出力部33による警報出力を制御することにより、ノイズの影響を受けた評価結果を、信頼性の低い評価結果として警報出力の対象から除外することができる。これにより、被験者が会話しているときなどに、覚醒度が低下している旨の警報を誤って出力することを抑止できるので、覚醒度判定装置30による警報の的中率を向上することができる。即ち、本件開示のノイズ検知装置10による検知結果によって警報出力部33による警報出力を制御することにより、覚醒度判定装置30による揺らぎ解析結果として得られる警報の信頼性を向上させることができる。
例えば、本件開示のノイズ検知装置10と、覚醒度判定装置30とを組み合わせた装置によれば、車両などの運転者や様々な機械のオペレータなどが眠気をもよおしている状態を高い精度で検出し、警報を出力することができる。したがって、本件開示のノイズ検知装置10と上述した覚醒度判定装置30とを組み合わせた装置は、例えば、車両等の運転者の居眠り運転を防止する装置などとして有用である。
また、本件開示のノイズ検知装置10は、心拍の間隔の揺らぎ成分に含まれるノイズの検出にも適用することができる。
図5は、ノイズ検知装置10の別実施形態を示している。図5に示したノイズ検知装置10は、心電計3と間隔抽出装置2とで得られる、心拍の間隔を示す拍間隔データの入力を受けている。
図5に示した間隔抽出装置2は、心電計3で得られた脈波信号から、例えば、脈波信号に含まれる所定の閾値以上の高さを持つピークを検出し、検出したピークの間隔を心拍の間隔として求める。また、間隔抽出装置2は、例えば、脈波信号に周期的に現れるR波を示すピークを検出するごとに、最新のピークを検出した時刻と直前のピークを検出した時刻との差として得られる心拍の間隔と、現在の時刻を示す情報とを含む拍間隔データを生成してもよい。なお、上述したR波とは、心電計3で得られる脈波信号に周期的に現れる複数の棘波のうち、最も振幅の大きい棘波である。また、間隔抽出装置2は、生成した拍間隔データを、時系列的に、覚醒度判定装置30とノイズ検知装置10とに渡す。
図5に示した変換部11は、再標本化部111と、バッファ112と、スペクトル生成部113とを含んでおり、図6に示すような心拍間隔の時間的な変動から、図4(A),(B)に示したような周波数スペクトルを生成する。
図6は、心拍間隔の時間変動の例を示している。図6のグラフの横軸は、心拍を示す脈波信号においてR波を示すピークが検出された時刻を秒単位で示しており、縦軸は、個々のピークに対応する心拍間隔を秒単位で示している。また、図6のグラフの黒丸は、間隔抽出装置2で得られた拍間隔データに含まれる各サンプルを示している。
再標本化部111は、拍間隔データに含まれる各サンプルを結んで表される心拍間隔の変動を、所定のサンプリング間隔で再標本化することで、時間的に等しい間隔で設定されたサンプリング時刻における心拍間隔を示すリサンプリングデータを生成する。
再標本化部111は、拍間隔データに含まれる各サンプルを内挿することにより、各サンプルが取得された時刻の中間に当たるサンプリング時刻における心拍間隔を算出してもよい。なお、各サンプリング時刻は、例えば、心拍間隔の揺らぎ解析において頻繁に用いられるサンプリング周波数である2Hzに基づいて、0.5秒刻みに設定することが望ましい。
例えば、再標本化部111は、図6に符号S(j),S(j+1)で示したサンプルに基づいて、これらのサンプルが得られた時刻の間に設定されたサンプリング時刻T(k),T(k+1)における心拍間隔を算出する。再標本化部111は、同様にして、拍間隔データの新たなサンプルの入力に応じて、直前のサンプルを取得した時刻との間に設定されたサンプリング時刻に対応する心拍間隔を算出する。また、再標本化部111は、算出した心拍間隔を示す情報を、リサンプリング結果として、順次に図5に示したバッファ112に渡す。
図5に示したバッファ112は、再標本化部111で各サンプリング時刻に対応して得られるリサンプリング結果を順次に受け取り、受け取ったリサンプリング結果を保持する。バッファ112の容量は、例えば、上述した第2時間窓に対応する期間に含まれるサンプリング時刻について算出された心拍間隔を示す情報のデータ長に合わせて準備することが望ましい。
ここで、周波数スペクトルの生成に用いる時間窓は、周波数解析において注目する注目周波数に対応する周期の2倍以上の時間に設定することが望ましい。また、図4(A),(B)を用いて説明したように、被験者が会話している際に得られる心拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルに現れる特徴のひとつは、0.1Hz付近のピークの高さである。そこで、第2時間窓は、例えば、0.1Hzを注目周波数として、この注目周波数に対応する周期の2倍に当たる20秒に設定することが望ましい。
したがって、図5に示したバッファ112は、例えば、最新のサンプリング時刻から20秒前のサンプリング時刻までの期間について得られた40個のリサンプリング結果を保持し、スペクトル生成部113の処理に供すればよい。
スペクトル生成部113は、例えば、バッファ112に新たなリサンプリング結果が保持されるごとに、バッファ112に蓄積されたリサンプリング結果に基づいて、最新のサンプリング時刻における心拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成する。つまり、スペクトル生成部113は、最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻までの間に含まれる各サンプリング時刻に対応するリサンプリング結果に基づいて、最新のサンプリング時刻における周波数スペクトルを生成する。
すなわち、図5に例示した変換部11によれば、脈拍又は心拍の間隔の時間的な揺らぎを示す信号を周波数スペクトルに変換する処理を、LF帯に含まれる所定の注目周波数に対応する周期の2倍の長さに設定された第2時間窓を用いて実行することができる。
上述したように設定された第2時間窓は、注目周波数を安定して解析することが可能な最小の期間に相当している。したがって、上述した第2時間窓を周波数スペクトルの生成処理に適用することにより、会話が継続している期間に表れる瞬間的な心拍間隔又は脈拍間隔の乱れを反映した周波数スペクトルを安定して生成することができる。
また、スペクトル生成部113は、上述したようにして各サンプリング時刻に対応して生成した周波数スペクトルを順次に算出部12に渡す。
図5に示した算出部12は、ピーク検出部121と、周波数保持部122と、分散計算部123とを含んでいる。
ピーク検出部121は、上述したスペクトル生成部113から受け取った周波数スペクトルのそれぞれからHF帯のピークを検出し、検出したピークに対応するピーク周波数を周波数保持部122に保持させる。
周波数保持部122は、例えば、最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻までの間にピーク検出部121によって検出されたピーク周波数を保持し、保持しているピーク周波数を分散計算部123の処理に供する。
分散計算部123は、変換部11により新たな周波数スペクトルが生成されるごとに、周波数保持部122に蓄積されたピーク周波数の分散を算出し、算出した分散値を、最新の周波数スペクトルに対応するピーク周波数の分散として第1検知部13に渡す。
図5に示した第1検知部13は、第1決定部131と、比較器132と、通知部133とを含んでいる。
第1決定部131は、現在の時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻より前に算出部12によって算出されたピーク周波数の分散に基づいて、ノイズ成分が混入しているか否かの判定に用いる第1閾値を決定する。第1決定部131は、例えば、上述した分散計算部123で得られた分散値を所定の期間にわたって蓄積し、蓄積した分散値を第1閾値の算出に用いてもよい。例えば、蓄積した分散値のうち、現在の時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻より前に得られた分散値の平均値を求め、求めた平均値に上述した第1係数(例えば、数値「1.5」)を乗じることで第1閾値を求めてもよい。なお、第1決定部131は、覚醒度判定装置30及びノイズ検知装置10が動作を開始してから得られた全ての分散値を蓄積していてもよいし、最新のサンプリング時刻に先立つ上述した第1時間窓に相当する期間に得られた分散値を蓄積してもよい。また、第1決定部131は、現在の時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻より前に算出部12によって算出されたピーク周波数の分散に上述した第1係数を乗じた値を、そのまま第1閾値として設定してもよい。
上述した第1決定部131によれば、ノイズ検知装置10に入力される拍間隔データに基づいて、被験者の特徴が反映された第1閾値を決定することができる。また、上述したようにして、入力される拍間隔データについての解析を進める過程で第1閾値を決定することにより、ノイズ検知処理に先立って、安静時の拍間隔データに基づいて第1閾値を決定しておく作業を省略することができる。
また、第1決定部131は、分散計算部123から新たなサンプリング時刻に対応するピーク周波数の分散値を受け取るごとに、上述したようにして第1閾値を決定し、決定した第1閾値を比較部132に渡してもよい。また、第1決定部131は、所定の期間に含まれる各サンプリング時刻にそれぞれ求めた第1閾値から、以降の処理で用いる第1閾値を特定してもよい。例えば、新たなサンプリング時刻に対応して求めた第1閾値と、直前のサンプリング時刻に対応して求めた第1閾値との間に有意な差がある場合に、新たな第1閾値はノイズ成分の影響を受けている可能性がある。この場合に、第1決定部131は、最新の第1閾値を廃棄し、廃棄した第1閾値の代わりに、直前のサンプリング時刻に対応して求めた古い第1閾値を比較器132に渡してもよい。
比較器132は、分散計算部123から新たなサンプリング時刻に対応するピーク周波数の分散値を受け取るごとに、当該分散値と第1決定部131で得られた第1閾値とを比較し、比較結果を通知部133に渡す。
通知部133は、比較器132により、新たなサンプリング時刻に対応する分散値が上述した第1閾値よりも大きいとされた場合に、ノイズ成分の混入を検知した旨を警報出力部33に通知し、覚醒度が低下している旨の警報の出力を抑止する。
なお、図5に示した変換部11、算出部12及び第1検知部13を含むノイズ検知装置10は、脈波センサ1で得られた脈波信号に基づいて間隔抽出装置2が生成した拍間隔データの入力を受けてもよい。
ところで、図4(A),(B)に示したように、安静時と会話している時とでは、脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルに含まれるLF帯のピークスペクトル密度に違いが現れる。例えば、図4(B)のLF帯の0.1Hz付近に現れたピークに対応するピークスペクトル密度Pbは、図4(A)のLF帯の0.1Hz付近のピークに対応するピークスペクトル密度Paの2倍以上の値を持っている。
ここで、心拍間隔又は脈拍間隔の揺らぎに関する周波数スペクトルのLF帯で検出されるピークスペクトル密度は、交感神経の活動の強さを反映している。したがって、図4(A),(B)に示した周波数スペクトルのLF帯から検出されたピークのピークスペクトル密度の違いは、それぞれの周波数スペクトルが生成された際における被験者の交感神経の活動状態の違いを示している。つまり、図4(B)に示した会話時の周波数スペクトルのLF帯に現れた高いスペクトル密度を持つピークは、会話によって被験者の交感神経の活動が活発化していることを示している可能性が高い。したがって、被験者が会話している期間に含まれるサンプリング時刻に対応して変換部11で得られる周波数スペクトルのLF帯には、被験者が安静な状態である場合に比べて、高いスペクトル密度を持つピークが現れる可能性が高い。つまり、LF帯のピークスペクトル密度は、被験者が会話をしている際などに発生するノイズ成分が脈波信号に混入しているか否かを判断する上で有用な指標の一つである。
次に、LF帯のピークスペクトル密度に基づいて、心拍間隔又は脈拍間隔を示す拍間隔データに、被験者が会話していることによるノイズ成分が混入しているかを判断するタイプのノイズ検知装置10について説明する。
図7は、ノイズ検知装置10の別実施形態を示している。なお、図7に示した構成要素のうち、図1、図5に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図7に示したノイズ検知装置10は、図1に示した算出部12及び第1検知部13に代えて、極大検出部14および第2検知部15を含んでいる。
図7に示したノイズ検知装置10に含まれる極大検出部14および第2検知部15は、変換部11で時系列的に得られる周波数スペクトルのLF帯に現れるピーク値の違いに基づいて、会話に応じて脈波信号に混入するノイズ成分を検知する機能を有している。
極大検出部14は、変換部11で得られる周波数スペクトルごとに、LF帯におけるスペクトル密度の極大値を検出し、検出した極大値を順次に第2検知部15に渡す。なお、LF帯は、所定の境界周波数よりも低い第2周波数帯の一例である。
上述したように、極大検出部14で得られた極大値と被験者が安静な状態で得られた極大値との間に有意な差がある場合は、極大値の検出対象である新たな周波数スペクトルの生成に用いられた拍間隔データが取得された期間に被験者が会話している可能性が高い。すなわち、極大検出部14で得られた極大値と被験者が安静な状態で得られた極大値との間の有意な差は、検出対象の周波数スペクトルの生成に用いられた拍間隔データに、会話によるノイズ成分が脈波信号に高い可能性で混入していることを示している。したがって、第2検知部15は、極大検出部14で得られた極大値と被験者が安静な状態で得られた極大値との間に有意な差を検出したときに、新たな周波数スペクトルの生成に用いられた拍間隔データが上述したノイズ成分を含んでいることを検知してもよい。
第2検知部15は、例えば、極大検出部14で得られた極大値が、被験者が安静な状態であるときの極大値を反映した所定の第2閾値よりも大きい場合に、極大検出部14で得られた極大値と安静な状態の際の極大値との間に有意な差があると判断する。
上述した第2閾値は、例えば、被験者が安静な状態において予め取得した拍間隔データから生成した周波数スペクトルに基づいて、決定しておいてもよい。例えば、ノイズ検知装置10を動作させる前に取得した拍間隔データから生成した周波数スペクトルについて、周波数スペクトルのLF帯に現れたピークを検出し、検出したピークに対応する極大値よりも大きい値に第2閾値の値を設定することが望ましい。例えば、安静な状態における周波数スペクトルから検出されたピーク値に、数値「2」程度の値を持つ所定の第2係数を乗じた値を第2閾値に設定してもよい。なお、第2閾値の別の設定例については、図8を参照して後述する。
上述した変換部11と、極大検出部14及び第2検知部15とを有するノイズ検知装置10によれば、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルのLF帯の特徴に基づいて、被験者が会話した際などに拍間隔データに混入するノイズ成分を検知することができる。
また、第2検知部15は、入力された拍間隔データに会話によるノイズ成分が混入しているか否かを示す検知結果を、覚醒度判定装置30に通知してもよい。そして、覚醒度判定装置30の警報出力部33は、ノイズ検知装置10からノイズ成分を検知した旨が通知された場合に、覚醒度評価部32で得られた評価結果にかかわらず、被験者の覚醒度の低下に関する警報の出力を抑止してもよい。
次に、図8を参照して、第2検知部15で用いる第2閾値の別の設定例について説明する。
図8は、ノイズ検知装置10の別実施形態を示している。なお、図8に示した構成要素のうち、図5、図7に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図8に示した第2検知部15は、第2決定部151と、比較器132と、通知部133とを含んでいる。図8に示した比較器132は、極大検出部14で得られた極大値と第2決定部151で決定された第2閾値とを比較し、比較結果を通知部133に渡す。通知部133は、極大検出部14で得られた極大値が第2閾値よりも大きい旨の比較結果が渡されたときに、脈波信号にノイズ成分が混入している旨を、覚醒度判定装置30の警報出力部33に通知する。
図8に示した第2決定部151は、最新の周波数スペクトルの生成に用いられた拍間隔データが入力される以前に、極大検出部14によって検出された極大値に基づいて、第2閾値を決定する。第2決定部151は、例えば、上述した極大検出部14で各サンプリング時刻に対応して検出される極大値を所定の期間にわたって蓄積し、蓄積した極大値を第2閾値の算出に用いてもよい。例えば、第2決定部151は、蓄積した極大値のうち、最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻より前に得られた極大値の平均値を求め、求めた平均値に、上述した第2係数を乗じることで第2閾値を求めてもよい。
また、第2決定部151が極大値を蓄積する期間は、覚醒度判定装置30及びノイズ検知装置10が動作を開始してから最新のサンプリング時刻までの期間でもよいし、また、上述した第1時間窓に相当する期間でもよい。また、第2決定部151は、最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻より前に極大検出部14によって検出された極大値に、上述した第2係数を乗じた値を、そのまま第2閾値として設定してもよい。
上述した第2決定部151によれば、ノイズ検知装置10に入力される拍間隔データあるいは拍間隔データに基づいて、被験者の特徴が反映された第2閾値を決定することができる。また、上述したようにして、入力される拍間隔データについての解析を進める過程で第2閾値を決定することにより、ノイズ検知処理に先立って、安静時の拍間隔データに基づいて第2閾値を決定しておく作業を省略することができる。
また、第2決定部151は、極大検出部14から新たなサンプリング時刻に対応して検出された極大値を受け取るごとに、上述したようにして第2閾値を決定し、決定した第2閾値を比較部132に渡してもよい。また、第2決定部151は、新たなサンプリング時刻に対応して検出された極大値と比較される第2閾値を決定する際に、それまでの期間に用いた第2閾値の値を考慮してもよい。例えば、新たなサンプリング時刻に対応して求めた第2閾値と、それまでの各サンプリング時刻におけるノイズ検知に第2閾値として用いた値との間に有意な差がある場合に、新たに得られた第2閾値はノイズ成分の影響を受けている可能性がある。この場合に、第2決定部151は、最新の第2閾値を廃棄し、廃棄した第2閾値の代わりに、以前のサンプリング時刻に対応して求めた古い第2閾値を比較器132に渡してもよい。
このような第2決定部151を有する第2検知部15によれば、被験者の特徴が反映された第2閾値を用いて、拍間隔データへのノイズ成分の混入を検知することができる。したがって、図8に示した第2検知部15を有するノイズ検知装置10によれば、被験者が会話をしていることによって発生するノイズ成分を高い精度で検知することができる。
また、図8に示したノイズ検知装置10で得られた検知結果に応じて、覚醒度判定装置30による評価結果の出力を制御することにより、覚醒度判定装置30により、誤った警報が出力されるケースを低減することができる。
なお、本件開示のノイズ検知装置10による検知結果の通知を受ける装置は、覚醒度判定装置30に限られず、脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎを解析する解析装置を含む装置であればよく、例えば、自律神経機能を評価する自律神経機能評価装置でもよい。
図9は、ノイズ検知装置10の別実施形態を示している。なお、図9に示した構成要素のうち、図1または図7に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図9に示したノイズ検知装置10は、図1および図7に示した変換部11と、図1に示した算出部12及び第1検知部13と、図7に示した極大検出部14及び第2検知部15と、論理演算部16とを含んでいる。
図9に示した変換部11は、サンプリング時刻ごとに生成した周波数スペクトルを、算出部12と極大検出部14との双方に渡す。また、論理演算部16は、第1検知部13で得られた検知結果と、第2検知部15で得られた検知結果とについて、所定の論理演算を行い、得られた論理演算結果を、ノイズ検知装置10による検知結果として自律神経機能評価装置40に通知する。論理演算部16は、例えば、論理和演算を行うことにより、第1検知部13と第2検知部15との少なくとも一方によってノイズ成分が検知されたときに、脈波信号へのノイズ成分の混入を検知した旨を自律神経機能評価装置40に通知してもよい。
自律神経機能評価装置40は、例えば、周波数解析部41と、指標算出部42と、評価部43とを含んでいる。周波数解析部41は、上述した覚醒度判定装置30に含まれる周波数解析部31と同様にして、間隔抽出装置2から受け取った拍間隔データに基づいて、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成する。周波数解析部41は、間隔抽出装置2から受け取った拍間隔データから、サンプリング間隔で移動する第1時間窓を用いて抽出した情報について周波数解析を行うことで、各サンプリング時刻における周波数スペクトルを生成する。
指標算出部42は、例えば、周波数解析部41で得られる周波数スペクトルごとに、HF帯及びLF帯にそれぞれ現れるピークに対応するピークスペクトル密度を取得し、取得したピークスペクトル密度に基づいて、自律神経の活動を反映する指標値を算出する。
ここで、自律神経機能評価装置40に含まれる周波数解析部41による解析対象は、被験者が安静にしている状態で得られた拍間隔データから生成された周波数スペクトルであることが望ましい。つまり、被験者が会話しているときに拍間隔データに現れる脈拍間隔又は心拍間隔の乱れは、自律神経機能評価装置40においても、周波数解析結果に基づく評価結果の精度を低下させるノイズ成分である。
したがって、評価部43は、指標算出部42で各サンプリング時刻に対応して得られる評価値に基づいて、自律神経の活動状態を評価し、評価結果を時系列的に出力する際に、ノイズ検知装置10による検知結果に基づく制御を行ってもよい。
評価部43は、例えば、ノイズ検知装置10により、ノイズ成分の混入が検知されない旨の検知結果が通知された場合に限って、指標算出部42で得られた指標値に基づく評価結果を出力してもよい。
上述したように、本件開示のノイズ検知装置10による検知結果に応じて、評価部43による評価結果の出力を制御することで、被験者が会話したことによる脈拍間隔又は心拍間隔の乱れの影響を受けていない評価結果を出力することができる。つまり、ノイズ検知装置10からの通知を受けた自律神経機能評価装置40によれば、被験者が安静にしている状態で得られた脈波信号から得られた自律神経機能の評価結果を出力することができるので、出力される評価結果の信頼性を向上することができる。
なお、図9に示したノイズ検知装置10によって得られるノイズ検知結果を、図1あるいは図7に示した覚醒度判定装置30の警報出力部33による警報の出力の制御に適用することも可能である。
以上に説明した本件開示のノイズ検知装置10は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末装置などのコンピュータ装置を用いて実現することができる。同様に、上述した覚醒度判定装置30や、自律神経機能評価装置40もまた、パーソナルコンピュータや携帯端末装置などのコンピュータ装置を用いて実現することができる。また、ノイズ検知装置10及び覚醒度判定装置30を、車両などに搭載されたナビゲーションシステムに含まれるコンピュータ装置を用いて実現してもよい。
図10は、ノイズ検知装置10のハードウェア構成の一例を示している。なお、図10に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
携帯端末装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、無線通信インタフェース23と、ネットワークインタフェース24と、表示制御部25と、液晶表示部26と、音声処理部27と、スピーカ28と、入力処理部29とを含んでいる。なお、図10は、スマートフォンなどの携帯端末装置20に搭載されたプロセッサ21と、メモリ22と、無線通信インタフェース23の機能により、ノイズ検知装置10を実現する場合の構成例を示している。また、図10の例では、プロセッサ21と、メモリ22と、無線通信インタフェース23と、表示制御部25と、液晶表示部26と、音声処理部27と、スピーカ28とにより、覚醒度判定装置30が実現されている。
上述したプロセッサ21と、メモリ22と、無線通信インタフェース23と、ネットワークインタフェース24と、表示制御部25と、音声処理部27と、入力処理部29とは、バスを介して互いに接続されている。また、携帯端末装置20は、例えば、無線通信インタフェース23を介して、間隔抽出装置2から上述した拍間隔データの入力を受けている。また、携帯端末装置20は、ネットワークインタフェース24を介して、インターネットなどのネットワークに接続されていてもよい。
図10に例示した入力処理部29は、例えば、タッチスクリーンなどの操作部を含んでいる。携帯端末装置20の利用者は、入力処理部29に含まれる操作部を操作することにより、ノイズ検知装置10によりノイズ成分を検知する処理及び覚醒度判定装置30による覚醒度判定処理を開始させる旨の指示などを入力することができる。
図10に例示したメモリ22は、携帯端末装置20のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が、上述したノイズ成分を検知する処理及び覚醒度判定処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、上述したノイズ成分を検知する処理及び覚醒度判定処理を実行するためのアプリケーションプログラムは、例えば、ネットワークインタフェース24を介して、インターネットなどのネットワークから取得してもよい。
また、プロセッサ21は、メモリ22に格納されたアプリケーションプログラムを実行することにより、図1に例示したノイズ検知装置10に含まれる変換部11、算出部12及び第1検知部13の機能を果たしてもよい。同様に、プロセッサ21は、メモリ22に格納されたアプリケーションプログラムを実行することにより、図7に例示したノイズ検知装置10に含まれる変換部11、極大検出部14及び第2検知部15の機能を果たしてもよい。また、プロセッサ21は、ノイズ成分を検知する処理のためのアプリケーションプログラムを、覚醒度判定処理のためのアプリケーションプログラムの一部として実行し、ノイズ検知結果を覚醒度判定処理結果の出力の制御に利用してもよい。
以下、ノイズ成分を検知する処理及び覚醒度判定処理を実行するためのアプリケーションプログラムについて説明する。まず、携帯端末装置20の利用者を被験者とする覚醒度判定処理について、図11を参照しつつ説明する。
図11は、覚醒度判定処理のフローチャートの一例を示している。図11に示したステップ301〜ステップ309の各処理は、覚醒度判定処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。プロセッサ21は、例えば、図10に示した入力処理部19を介して、覚醒度判定処理を開始する旨が指示されたときに、ステップ301〜ステップ309の各処理の実行を開始する。また、プロセッサ21は、ステップ301〜ステップ309の各処理を、例えば、上述した入力処理部19を介して、覚醒度判定処理を終了する旨が指示されるまで繰り返し実行してもよい。
まず、プロセッサ21は、無線通信インタフェース23を介して、脈波センサ1および間隔抽出装置2で得られる拍間隔データを取得する(ステップ301)。なお、プロセッサ21は、ステップ301において、心電計3及び間隔抽出装置2で得られる拍間隔データを取得し、取得した拍間隔データについて、後述するステップ302〜ステップ309の各処理を実行してもよい。
次に、プロセッサ21は、ステップ301で新たに取得した拍間隔データとそれまでに取得した拍間隔データとに基づいて、所定のサンプリング間隔で脈拍間隔を再標本化したリサンプリングデータを生成する(ステップ302)。プロセッサ21は、図6を用いて説明したように、新たに得られた拍間隔データと、直前に得られた拍間隔データとに基づいて、これらの拍間隔データが取得された時刻の間に位置するサンプリング時刻に対応するリサンプリングデータを生成する。
次いで、プロセッサ21は、ステップ302の処理によってそれまでに得られたリサンプリングデータに、上述した第1時間窓を用いた変換処理を適用することにより、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成する(ステップ303)。プロセッサ21は、例えば、サンプリング間隔ずつ第1時間窓をずらしながらリサンプリングデータを抽出し、抽出したリサンプリングデータに基づいて、各サンプリング時刻に対応する周波数スペクトルを生成してもよい。
次に、プロセッサ21は、ステップ303の処理で生成された各サンプリング時刻に対応する周波数スペクトルについて、HF帯に現れるピークを検出し、ピーク周波数とピークスペクトル密度を、図10に示したメモリ22に保持する(ステップ304)。
その後、プロセッサ21は、ステップ304の処理を実行するごとにメモリ22に蓄積されたピーク周波数及びピークスペクトル密度の履歴に基づいて、再公表2008−065724号公報の技法により、被験者の覚醒度を判定する(ステップ305)。
また、プロセッサ21は、上述したステップ302で得られるリサンプリングデータに基づいて、図12あるいは図13に示すようにして、ステップ301で取得した拍間隔データに含まれるノイズ成分を検知する(ステップ306)。なお、プロセッサ21は、上述したステップ303〜ステップ305の処理に先立ってステップ306の処理を実行してもよいし、ステップ303〜ステップ305の処理と並行して、ステップ306の処理を実行してもよい。
図12は、ノイズ成分を検知する処理のフローチャートの例を示している。図12に示したステップ311〜ステップ318の各処理は、ノイズ成分を検知する処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。これらのステップ311〜ステップ318の各処理は、図11に示したステップ306の処理の一例であり、これらの各ステップの処理は、いずれもプロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、図11に示したステップ302の処理によってそれまでに得られたリサンプリングデータに、上述した第2時間窓を用いた変換処理を適用することにより、脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成する(ステップ311)。プロセッサ21は、例えば、サンプリング間隔ずつ第2時間窓をずらしながらリサンプリングデータを抽出し、抽出したリサンプリングデータに基づいて、各サンプリング時刻に対応する周波数スペクトルを生成してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップ311の処理を実行することにより、図1に示した変換部11の機能を実現することができる。
次に、プロセッサ21は、ステップ311の処理で生成された各サンプリング時刻に対応する周波数スペクトルについて、HF帯に現れるピークを検出し、検出したピークに対応するピーク周波数を、図10に示したメモリ22に保持する(ステップ312)。プロセッサ21は、例えば、ステップ312の処理で得られたピーク周波数を示す情報を、各サンプリング時刻に対応してメモリ22に保持してもよい。
次いで、プロセッサ21は、上述したステップ312の処理を実行するごとに各サンプリング時刻に対応して得られたピーク周波数に基づいて、現在時刻におけるピーク周波数の分散値を算出する(ステップ313)。プロセッサ21は、例えば、最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻までの期間に含まれる各サンプリング時刻に対応してメモリ22に保持されたピーク周波数を、分散値の算出に用いてもよい。
このように、プロセッサ21が、上述したステップ312及びステップ313の処理を実行することにより、図1に示した算出部12の機能を実現することができる。
なお、プロセッサ21は、ステップ313の処理で算出された分散値を、以降のサンプリング時刻におけるノイズ成分の検知処理において利用するために、図10に示したメモリ22に蓄積してもよい。
次に、プロセッサ21は、それまでに蓄積された分散値に基づいて、現在時刻におけるピーク周波数の分散値が、被験者が安静な状態での分散値に対して有意な差を持つか否かを判定するための第1閾値を決定する(ステップ314)。プロセッサ21は、例えば、最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻よりも前の期間に含まれる時刻に対応して蓄積された分散値と上述した第1係数とに基づいて第1閾値を算出してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップ314の処理を実行することにより、図5に示した第1決定部131の機能を実現することができる。
次いで、プロセッサ21は、ステップ313で得られた現在時刻におけるピーク周波数の分散値が、ステップ314で得られた第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップ315)。
現在時刻におけるピーク周波数の分散値が、上述した第1閾値未満である場合に(ステップ315の否定判定)、プロセッサ21は、現在時刻におけるピーク周波数の分散値は、被験者が安静な状態での分散値に対して有意な差を持っていないと判断する。この場合に、プロセッサ21は、ノイズ成分を検知しない旨を出力する(ステップ316)。
一方、現在時刻におけるピーク周波数の分散値が、上述した第1閾値以上である場合に(ステップ315の否定判定)、プロセッサ21は、現在時刻におけるピーク周波数の分散値は、被験者が安静な状態での分散値に対して有意な差を持っていると判断する。この場合に、プロセッサ21は、ノイズ成分を検知した旨を出力する(ステップ317)。
このように、プロセッサ21が、ステップ315における比較処理の結果に応じてステップ316,317の処理を実行することにより、図1に示した第1検知部13の機能を実現することができる。
図12に示したステップ311〜ステップ317の処理は、被験者が会話している際の周波数スペクトルのHF帯に現れる特徴に基づいてノイズ成分の検知を行う手法の実現例であり、本件開示のノイズ検知方法の一実施形態である。つまり、ステップ311の処理は、本件開示のノイズ検知方法の周波数スペクトル生成する手順の一例である。また、ステップ312〜ステップ313は、本件開示のノイズ検知方法の分散値を算出する手順の一例である。更に、ステップ314からステップ317は、本件開示のノイズ検知方法のノイズ成分を検知する手順の一例である。
プロセッサ21は、上述したステップ315の判定結果に応じて、ステップ316又はステップ317の処理を実行した後に、ノイズ成分を検知する処理を終了し、図11に示したステップ307の処理にノイズ検知結果を渡す。
ステップ307において、プロセッサ21は、上述したノイズ成分を検知する処理において、ノイズ成分が検知されたか否かを判定する。
図12に示したノイズ成分を検知する処理において、ノイズ成分を検知しなかった場合に、プロセッサ21は、ステップ307の否定判定ルートに従ってステップ308の処理に進む。ステップ308において、プロセッサ21は、例えば、図10に示した表示制御部25及び液晶表示部25を介して、覚醒度の評価結果を表すメッセージや図を提示することで、ステップ305で得られた覚醒度の評価結果を出力してもよい。また、プロセッサ21は、覚醒度が低下した場合に、図10に示した音声処理部27及びスピーカ28を介して音声メッセージを出力することにより、被験者の注意を促してもよい。上述したステップ308の処理の終了後に、プロセッサ21は、ステップ309の処理に進む。
一方、図12に示したノイズ成分を検知する処理において、ノイズ成分を検出した場合に、プロセッサ21は、ステップ308をスキップすることで、覚醒度の評価結果の出力を抑止し、そのままステップ309の処理に進む。
このように、プロセッサ21が、ステップ307の判定結果に応じて、ステップ305で得られた評価結果の出力処理を制御することで、ノイズ成分の影響を受けない解析結果を出力することができる。つまり、被験者が会話している際の周波数スペクトルのHF帯に現れる特徴に基づいて得られたノイズ成分の検知結果に応じて、覚醒度の評価結果に基づく警報の出力を制御することができる。
その後、ステップ309において、プロセッサ21は、例えば、図10に示した入力処理部29から覚醒度判定処理を停止する旨の指示が入力されたか否かに基づいて、覚醒度判定処理を終了するか否かを判定する。
覚醒度判定処理を停止する旨の指示が入力されていない場合に、プロセッサ21は、ステップ309の否定判定ルートに従ってステップ301の処理に戻り、新たに入力される拍間隔データについての解析処理を継続する。一方、覚醒度判定処理を停止する旨の指示が入力された場合に、プロセッサ21は、ステップ309の肯定判定ルートに従って、覚醒度判定処理を終了する。
このように、プロセッサ21が、ステップ301〜ステップ309の処理を繰り返すことにより、被験者の覚醒度を時系列的に評価するとともに、被験者から取得した拍間隔データへのノイズ成分の混入を検知し、覚醒度の評価結果の出力を制御することができる。これにより、被験者の覚醒度が低下したとき、即ち、被験者が眠気をもよおしたときに、的中率の高い警報を出力することができるので、車両等の運転者の居眠り防止装置などに適用する上で有用である。
ところで、図11に示したステップ306の処理として、プロセッサ21は、図13に示すステップ321〜ステップ326の処理を実行してもよい。
図13は、ノイズ成分を検知する処理のフローチャートの別例を示している。図13に示したステップ321〜ステップ326の各処理は、ノイズ成分を検知する処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。これらのステップ321〜ステップ326の各処理は、図11に示したステップ306の処理の一例であり、これらの各ステップの処理は、いずれもプロセッサ21によって実行される。
まず、プロセッサ21は、上述したステップ311と同様にして、拍間隔データから脈拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成する(ステップ321)。このように、プロセッサ21が、ステップ311の処理を実行することにより、図7に示したノイズ検知装置10に含まれる変換部11の機能を実現することができる。
次に、プロセッサ21は、ステップ321の処理で生成される周波数スペクトルについて、LF帯に現れるピークを検出する処理を行い、検出したピークに対応するピーク値を、図10に示したメモリ22に保持する(ステップ322)。プロセッサ21は、例えば、ステップ322の処理で得られたピーク値を示す情報を、各サンプリング時刻に対応してメモリ22に保持してもよい。このように、プロセッサ21が、上述したステップ322の処理を実行することにより、図7に示した極大検出部14の機能を実現することができる。
なお、プロセッサ21は、ステップ322の処理で取得したピーク値を、以降のサンプリング時刻におけるノイズ成分の検知処理において利用するために、図10に示したメモリ22に蓄積してもよい。
次に、プロセッサ21は、それまでに蓄積されたピーク値に基づいて、最新のサンプリング時刻に対応して検出されたピーク値が、被験者が安静な状態でのピーク値に対して有意な差を持つか否かを判定するための第2閾値を決定する(ステップ323)。プロセッサ21は、例えば、最新のサンプリング時刻から第2時間窓に相当する時間を遡った時刻よりも前の期間に含まれる時刻に対応して蓄積されたピーク値と上述した第2係数とに基づいて第2閾値を算出してもよい。このように、プロセッサ21が、ステップ323の処理を実行することにより、図8に示した第2決定部151の機能を実現することができる。
次いで、プロセッサ21は、ステップ322で得られた現在時刻におけるLF帯のピーク値が、ステップ323で得られた第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップ324)。
現在時刻におけるLF帯のピーク値が、上述した第2閾値未満である場合に(ステップ324の否定判定)、プロセッサ21は、現在時刻におけるLF帯のピーク値と、被験者が安静な状態でのLF帯のピーク値との間には有意な差がないと判断する。この場合に、プロセッサ21は、ノイズ成分を検知しない旨を出力する(ステップ325)。
一方、現在時刻におけるLF帯のピーク値が、上述した第2閾値以上である場合に(ステップ324の否定判定)、プロセッサ21は、現在時刻におけるLF帯のピーク値は、被験者が安静な状態でのLF帯のピーク値に対して有意な差を持っていると判断する。この場合に、プロセッサ21は、ノイズ成分を検知した旨を出力する(ステップ326)。
このように、プロセッサ21が、ステップ324における比較処理の結果に応じてステップ325,326の処理を実行することにより、図7に示した第2検知部15の機能を実現することができる。
図13に示したステップ321〜ステップ326の処理は、被験者が会話している際の周波数スペクトルのLF帯に現れる特徴に基づいてノイズ成分の検出を行う手法の実現例であり、本件開示のノイズ検知方法の一実施形態である。つまり、ステップ321の処理は、本件開示のノイズ検知方法の周波数スペクトル生成する手順の一例である。また、ステップ322の処理は、本件開示のノイズ検知方法の極大値を検出する手順の一例である。更に、ステップ323〜ステップ326の処理は、本件開示のノイズ検知方法のノイズ成分を検知する手順の一例である。
プロセッサ21は、上述したステップ324の判定結果に応じて、ステップ325又はステップ326の処理を実行した後に、ノイズ成分を検知する処理を終了し、図11に示したステップ307の処理に進んでもよい。
この場合に、プロセッサ21は、被験者が会話している際の周波数スペクトルのLF帯に現れる特徴に基づいて得られたノイズ成分の検知結果に応じて、図11のステップ305で得られた評価結果の出力処理を制御する。これにより、プロセッサ21は、図11のステップ306の処理を図12に示したステップ311〜ステップ317の処理で実現した場合と同様に、ノイズ成分の影響を受けない解析結果を出力することができる。
なお、プロセッサ21は、図11に示したステップ306において、図12に示したステップ311〜ステップ317の処理と、図13に示したステップ321〜ステップ326の処理との双方を実行してもよい。また、プロセッサ21は、図11に示したステップ307において、被験者が会話している際の周波数スペクトルのHF帯とLF帯とにそれぞれ現れる特徴に基づいて得られたノイズ成分の検知結果の双方を考慮した処理を実行してもよい。つまり、上述した2つの手法の少なくとも一方によってノイズ成分を検知した旨の検知結果が得られた場合に、プロセッサ21は、入力された拍間隔データがノイズ成分の影響を受けていると判断してもよい。
また、上述したノイズ成分を検知する処理のためのアプリケーションプログラムは、図14に示すように、自律神経機能評価処理のためのアプリケーションプログラムの一部として適用することもできる。
図14は、自律神経機能評価処理のフローチャートの例を示している。なお、図14に示したステップのうち、図11に示したステップと同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図14に示したステップ331〜ステップ334及びステップ301〜303,306,307,309の各処理は、自律神経機能評価処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。プロセッサ21は、例えば、図10に示した入力処理部19を介して、自律神経機能評価処理を開始する旨が指示されたときに、上述した各処理の実行を開始する。また、プロセッサ21は、上述した各処理を、例えば、入力処理部19を介して、自律神経機能評価処理を終了する旨が指示されるまで繰り返し実行してもよい。
プロセッサ21は、上述したステップ301〜ステップ303の処理を実行することで周波数スペクトルを生成した後に、生成した周波数スペクトルのHF帯及びLF帯にそれぞれ現れたピークを検出する(ステップ331)。
次いで、プロセッサ21は、ステップ331で検出したHF帯のピーク及びLF帯のピークに対応するピーク値に基づいて、自律神経機能に関わる指標値を算出する(ステップ332)。更に、プロセッサ21は、ステップ332で得られた指標値に基づいて、被験者の自律神経機能を評価する(ステップ333)。
また、プロセッサ21は、上述したステップ303及びステップ331〜ステップ333の処理と並行して、図12又は図13に示したフローチャートに基づいて、ノイズ成分を検知する処理を実行する(ステップ306)。なお、プロセッサ21は、上述したステップ303及びステップ331〜ステップ333の処理に先立って、ステップ306の処理を実行してもよい。また、プロセッサ21は、逆に、ステップ303及びステップ331〜ステップ333の処理の終了後に、ステップ306の処理を実行してもよい。
その後、プロセッサ21は、ステップ307において、ステップ306の処理の過程でノイズ成分が検知されたか否かを判定し、ノイズ成分が検知されなかった場合に限って、ステップ333の処理で得られた評価結果を出力する(ステップ334)。
プロセッサ21は、ステップ309において、自律神経機能評価処理を終了すると判定するまで、上述した処理を繰り返し実行する。これにより、被験者が会話している際などに現れるノイズ成分の影響を受けていない拍間隔データに基づいて、ステップ331〜ステップ333の処理で得られた自律神経機能の評価結果を、選択的に出力させることができる。
以上の説明に関して、更に、以下の各項を開示する。
(付記1) 脈拍間隔又は心拍間隔を示す拍間隔データを受け、前記脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎのスペクトル密度分布を表す周波数スペクトルを生成する変換部と、
所定の期間に前記変換部で得られる複数の周波数スペクトルについて、所定の周波数帯でのスペクトル密度の極大が現れる周波数の分散を算出する算出部と、
前記算出部で得られた分散が所定の閾値を超えた場合に、前記所定の期間に入力された前記拍間隔データがノイズ成分を含んでいることを検知する検知部と
を備えたことを特徴とするノイズ検知装置。
(付記2) 脈拍間隔又は心拍間隔を示す拍間隔データ受け、前記脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎのスペクトル密度分布を表す周波数スペクトルを生成する変換部と、
前記変換部で新たな周波数スペクトルが得られるごとに、前記新たな周波数スペクトルから、所定の周波数帯におけるスペクトル密度の極大値を検出する極大検出部と、
前記極大検出部で得られた極大値が所定の閾値を超えた場合に、前記新たな周波数スペクトルの生成に用いられた拍間隔データがノイズ成分を含んでいることを検知する検知部と
を備えたことを特徴とするノイズ検知装置。
(付記3) 付記1又は付記2に記載のノイズ検知装置において、
前記変換部は、所定の注目周波数に対応する周期の2倍以上の長さを有する時間窓を用いて、前記脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎの周波数スペクトルを生成する
ことを特徴とするノイズ検知装置。
(付記4)
付記1に記載のノイズ検知装置において、
前記検知部は、
前記所定の期間より前に前記算出部によって算出された前記分散に基づいて、前記閾値を決定する決定部を有する
ことを特徴とするノイズ検知装置。
(付記5)
付記2に記載のノイズ検知装置において、
前記検知部は、
前記新たな周波数スペクトルの生成に用いられた前記拍間隔データが入力される前に前記極大検出部によって検出された前記極大値に基づいて、前記閾値を決定する決定部を有する
ことを特徴とするノイズ検知装置。
(付記6) 脈拍間隔又は心拍間隔を示す拍間隔データを受け、
前記拍間隔データから、前記脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎのスペクトル密度分布を表す周波数スペクトルを生成し、
所定の期間に対応して得られる複数の周波数スペクトルについて、所定の周波数帯でのスペクトル密度の極大が現れる周波数の分散を算出し、
前記算出された分散が所定の閾値を超えた場合に、前記所定の期間に入力された前記拍間隔データがノイズ成分を含んでいることを検知する
ことを特徴とするノイズ検知方法。
(付記7) 脈拍間隔又は心拍間隔を示す拍間隔データの入力を受け、
前記拍間隔データから、前記脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎのスペクトル密度分布を表す周波数スペクトルを生成し、
新たな周波数スペクトルが得られるごとに、前記新たな周波数スペクトルから、所定の周波数帯におけるスペクトル密度の極大値を検出し、
前記検出された極大値が所定の閾値を超えた場合に、前記新たな周波数スペクトルの生成に用いられた拍間隔データがノイズ成分を含んでいることを検知する
ことを特徴とするノイズ検知方法。
(付記8) 脈拍間隔又は心拍間隔を示す拍間隔データの入力を受け、
前記拍間隔データから、前記脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎのスペクトル密度分布を表す周波数スペクトルを生成し、
所定の期間に対応して得られる複数の周波数スペクトルについて、所定の周波数帯でのスペクトル密度の極大が現れる周波数の分散を算出し、
前記算出された分散が所定の閾値を超えた場合に、前記所定の期間に入力された前記拍間隔データがノイズ成分を含んでいることを検知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするノイズ検知プログラム。
(付記9) 脈拍間隔又は心拍間隔を示す拍間隔データの入力を受け、
前記拍間隔データから、前記脈拍間隔又は心拍間隔の揺らぎのスペクトル密度分布を表す周波数スペクトルを生成し、
新たな周波数スペクトルが得られるごとに、前記新たな周波数スペクトルから、所定の境界周波数よりも低い周波数帯におけるスペクトル密度の極大値を検出し、
前記検出された極大値が所定の閾値(第2閾値)を超えた場合に、前記新たな周波数スペクトルの生成に用いられた拍間隔データがノイズ成分を含んでいることを検知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするノイズ検知プログラム。