以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システムの構成を示した図である。
図1に示すように、本実施形態における画像形成システムは、例えば電子写真方式によって記録材の一例としての用紙に対しカラー画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置1と、画像形成装置1にて画像が形成された用紙に対して綴じ等の後処理を行う後処理装置2とで構成される。
画像形成手段として機能する画像形成装置1は、所謂タンデム方式で構成され、各色画像データに基づいて画像形成を行う4つの画像形成ユニット100Y,100M,100C,100K(「画像形成ユニット100」とも総称する)、各画像形成ユニット100に設けられた感光体ドラム107を露光するレーザ露光装置101を備えている。
また、画像形成装置1は、各画像形成ユニット100にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト102、各画像形成ユニット100にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト102に順次転写(一次転写)する一次転写ロール103、中間転写ベルト102上に転写された各色トナー像を用紙に一括転写(二次転写)する二次転写ロール104、二次転写された各色トナー像を用紙上に定着する定着装置105、さらには、画像形成装置1の動作を制御する本体制御部106を備えている。
画像形成装置1の各画像形成ユニット100では、感光体ドラム107への帯電工程、レーザ露光装置101からの走査露光による感光体ドラム107での静電潜像形成工程、形成された静電潜像への各色トナーの現像工程等を経て、各色のトナー像が形成される。各画像形成ユニット100に形成された各色トナー像は、一次転写ロール103により中間転写ベルト102上に順次静電転写される。そして、各色トナー像は、中間転写ベルト102の移動に伴って二次転写ロール104が配設された位置に向けて搬送される。
一方、画像形成装置1には、異なるサイズや異なる紙種の複数の用紙P1〜P4(「用紙P」とも総称する)が、それぞれ用紙収容部110A〜110Dに収容されている。そして、本体制御部106により例えば用紙P1が指定された場合には、ピックアップロール111により用紙収容部110Aから用紙P1が取り出され、搬送ロール112によって1枚ずつレジストロール113の位置まで搬送される。本体制御部106により用紙P2〜P4が指定された場合にも、それぞれ同様である。
そして、中間転写ベルト102上の各色トナー像が二次転写ロール104の配置位置に搬送されるタイミングに合わせて、レジストロール113から用紙Pが供給される。これにより、各色トナー像は、二次転写ロール104により形成された転写電界の作用によって用紙P上に一括して静電転写(二次転写)される。
その後、各色トナー像が二次転写された用紙Pは、中間転写ベルト102から剥離されて定着装置105に搬送される。定着装置105では、熱および圧力による定着処理により各色トナー像が用紙P上に定着され、画像が形成される。そして、画像が形成された用紙Pは、搬送ロール114によって画像形成装置1の用紙排出部Hから排出され、画像形成装置1に接続された後処理装置2に搬送される。
また、画像形成装置1は、表示パネルにより構成されユーザに対して情報を表示するとともにユーザからの情報の入力を受け付けるUI(User Interface)119を有している。また、画像形成装置1は、後処理装置2の上部に画像読み取り装置(不図示)を備えている。この画像読み取り装置は、CCDイメージセンサなどを備えスキャンによって原稿上の画像を読み取る。
一方、記録材処理装置の一例としての後処理装置2は、画像形成装置1の用紙排出部Hの下流側に配置され画像が形成された用紙Pに対して穴あけや綴じ等の後処理を行う。
図2は、後処理装置2の構成を示した図である。同図に示すように、後処理装置2は、画像形成装置1の用紙排出部Hに接続されたトランスポートユニット21、トランスポートユニット21に取り込まれた用紙Pに対して後処理を施すフィニッシャユニット22、後処理装置2の各機構部の制御等を行う処理装置制御部23を備えている。
処理装置制御部23は、不図示の信号ラインで本体制御部106(図1参照)と接続され、相互に制御信号等の送受信を行う。なお、図1に示した構成では、処理装置制御部23がフィニッシャユニット22の筐体内に設けられているが、処理装置制御部23は画像形成装置1の筐体内に設けてもよい。また、画像形成装置1の本体制御部106が処理装置制御部23の制御機能を備えた構成としてもよい。
後処理装置2のトランスポートユニット21には、図2に示すように、画像形成装置1にて画像形成された後の用紙Pをフィニッシャユニット22に向けて搬送する複数の搬送ロール213が備えられている。また、搬送ロール213により搬送される用紙Pの搬送経路上に設けられ用紙Pに対して穴あけを行う(貫通孔を形成する)穴あけユニット30が設けられている。一方、フィニッシャユニット22には、用紙Pの中央部分に折り目を形成する折り機能部40、用紙Pを必要枚数だけ集積させて記録材束の一例としての用紙束Tを生成する生成手段の一部として機能するコンパイルトレイ60、用紙束Tの端部に対する綴じ処理を行う端綴じ機能部50が設けられている。
また、フィニッシャユニット22には、折り機能部40にて折り目が施された用紙束Tの中央部分にステープル綴じ(中綴じ)を実行する中綴じステープル機能部70、用紙束Tを保持し保持する用紙束Tの量に応じて上下移動するスタッカー部80が設けられている。さらに、コンパイルトレイ60に集積された用紙束Tを搬出する搬出ロール61が設けられている。また、回転軸62aを移動中心として、用紙Pをコンパイルトレイ60に集積させる際には搬出ロール61から退避した位置に移動し、用紙P(用紙束T)をコンパイルトレイ60から搬出する際には搬出ロール61に圧接する位置に移動する可動ロール62が設けられている。
続いて、後処理装置2にて行われる用紙Pの後処理について説明する。
後処理装置2は、本体制御部106から処理装置制御部23に対し、画像形成装置1にて画像形成された後の用紙Pに対する後処理を実行する旨の指示信号が出力されることで、用紙Pに対する各種の後処理を実行する。ここでは、本体制御部106から用紙Pに対する後処理を実行する旨の指示信号が出力された場合について述べる。
まず、後処理装置2のトランスポートユニット21に、画像形成装置1にて画像形成された後の用紙Pが搬入される。トランスポートユニット21では、処理装置制御部23からの指示信号に応じて穴あけユニット30による穴あけが行われた後、搬送ロール213によって用紙Pがフィニッシャユニット22に送られる。なお、処理装置制御部23からの穴あけ指示が無い場合には、用紙Pは、穴あけユニット30による穴あけ処理は行われずに、そのままの状態で搬送ロール213によってフィニッシャユニット22に送られる。
用紙Pがフィニッシャユニット22に送られ、処理装置制御部23から中綴じを指示する指示信号が送信されている場合には、折り機能部40において用紙Pの中央部分に折り目が形成される。なお、処理装置制御部23からの中綴じ指示が無い場合には、折り機能部40による折り目形成処理は行われず、用紙Pはそのままの状態で折り機能部40を通過する。そして、折り機能部40から搬出された用紙Pは、コンパイルトレイ60に順次集積される。コンパイルトレイ60に用紙Pが集積され、用紙束Tが形成されると、端綴じ機能部50による用紙束Tの端部に対する綴じ(端綴じ)、または、折り機能部40にて折り目が施された用紙束Tの中央部分に対する中綴じステープル機能部70によるステープル綴じ(中綴じ)が実行される。
端綴じ機能部50により用紙束Tの端綴じが実行された場合は、可動ロール62は、回転軸62aを移動中心として搬出ロール61に圧接する位置に移動する。そして、搬出ロール61および可動ロール62が回転を開始し、端綴じされた用紙束T(冊子)はコンパイルトレイ60からスタッカー部80に向けて搬送されスタッカー部80に積載される。なおこの場合には、中綴じステープル機能部70は、搬送される用紙束Tの搬送経路から退避した位置に移動している。
一方、処理装置制御部23が中綴じ処理の指示信号を送信している場合には、中綴じステープル機能部70が用紙束Tの中央部分にステープル綴じ(中綴じ)を実行する。この場合、搬出ロール61および可動ロール62は、本体制御部106から用紙Pのサイズに関する情報を取得した処理装置制御部23による指示信号に従って、用紙束Tを予め定められた量だけ搬送して、折り目が形成された用紙束Tの中央部分とステープルヘッド(不図示)の配置位置とを一致させる。そして、ステープルヘッドが、用紙束Tに対して、折り目が形成された中央部分の2ヶ所に綴じ(中綴じ)を実行する。その後、用紙束Tは、搬出ロール61および可動ロール62によって搬送されスタッカー部80に積載される。
図3は、端綴じ機能部50およびコンパイルトレイ60を上方から眺めた場合の図である。同図に示すように、コンパイルトレイ60には、このコンパイルトレイ60上に用紙Pが集積される際に用紙Pの端部が突き当たる用紙付き当て部68、この用紙付き当て部68から用紙Pの上方に向かって延びるように設けられ用紙Pの厚み方向における用紙Pの移動を規制する用紙規制部69、用紙Pの一方の側部および他方の側部側に設けられ互いに接近することで用紙Pを挟み用紙Pを揃える2つの揃え部材67が設けられている。
一方、端綴じ機能部50には、ステープル(金属針)を用いて用紙P(用紙束T)に対する綴じ処理を行うステープル綴じユニット51と、ステープルを用いずに用紙Pに対する綴じ処理を行う針無し綴じユニット52とが設けられている。ここで、ステープル綴じユニット51は、用紙Pの端部且つ角部に対して綴じ処理を行う。一方で、綴じ処理手段として機能する針無し綴じユニット52は、用紙Pの搬送方向と直交する方向において並んだ状態で2つ設けられている。これにより、本実施形態では、用紙Pの端部且つ側部に位置する2箇所の部位に対し、ステープルが用いられない綴じ処理が施される。
ここで、針無し綴じユニット52による綴じ処理では、用紙Pに穴が形成されるため(後述)、この穴が形成される部位に存在していた画像は欠落してしまう。このため、用紙Pのうちの画像が形成される可能性が高い領域に対して、針無し綴じユニット52による綴じ処理が行われるのは好ましくない。このため本実施形態では、余白が形成されることが多く穴が形成されても画像の欠落が生じにくい用紙Pの側部に対して針無し綴じユニット52による綴じ処理が行われるようにしている。
なお、ステープル綴じユニット51による綴じ位置は、図3に示すように、針無し綴じユニット52による綴じ位置よりも用紙Pの内側に入った位置となっており、用紙P上の画像と綴じ位置とが重なりやすくなる。ところでこの場合、用紙Pに穴が形成されないため、上記画像の欠落という問題は生じにくい。
また、針無し綴じユニット52による綴じ処理では、ステープル綴じユニット51による綴じ処理に比べ、綴じ処理が行われた部位が突出するようになる(後述)。さらに本実施形態では、端綴じ機能部50による処理が行われた後、用紙束Tがスタッカー部80(図2参照)に積載されるようになっている。
ところで、上記のように綴じ処理が行われた部位が突出するようになると、スタッカー部80における用紙束Tの積載が不安定となり、用紙束Tの大量の積載が困難となりやすい。特に、突出部(綴じ部)が1箇所であると、この突出部が位置している箇所にて、用紙束Tの積載高さが際立って大きくなり、用紙束Tの積載が極めて不安定となる。このため本実施形態では、針無し綴じユニット52による綴じ処理は2箇所で行うようにし、積載高さが1箇所にて際立って大きくなることを抑制している。
次に、針無し綴じユニット52について詳細に説明する。
図4は、針無し綴じユニット52を説明するための図である。同図(A)に示すように、針無し綴じユニット52には、上部フレーム511および下部フレーム512が設けられている。さらに上部フレーム511に綴じ部511Cが設けられている。
綴じ部511Cは、予め定められた間隙をおいて配置された2つの基台501と、基部503とを有する。また、基部503を移動させ基部503を基台501に接近させる移動機構(不図示)が設けられている。ここで、本実施形態では、基部503を基台501に接近(図中矢印F1方向に移動)させることにより、用紙束Tが綴じられるようになっている。なお上記移動機構は、例えばモータとこのモータにより回転されるカムとにより構成される。
基台501は、基部503に向けて延伸して設けられ基台501と一体的に形成された突出部506を有している。一方で、下部フレーム512には、上記の基台501に対向配置された底部材502が設けられている。なお、この底部材502は、2つ設けられた基台501に対応して2つ設けられている。また、下部フレーム512には、隣接する底部材502の間に穴部512Aが形成されている。本実施形態では、綴じ処理によって生じた紙粉がこの穴部512Aを通じて落下するようになっている。なお、穴部512Aの下部には紙粉を収容する紙粉収容容器(不図示)が設けられている。
また、基部503は、用紙束Tに対し切り込みを入れるブレード504を備えている。また、基部503は、綴じ処理用部材の一例としての打ち抜き部材505を有している。この打ち抜き部材505は、用紙束Tを矩形状に切り、一方の端部がこの用紙束Tに接続された舌片部522(図4(B)参照)を形成する。また、打ち抜き部材505は、片の一例としてのこの舌片部522を折り曲げ、かつ、ブレード504に形成された目穴504A(後述)に対してこの舌片部522を挿入する。
ブレード504は、一端が基部503に固定されて設けられるとともに下部フレーム512に形成された穴部512Aに向かって延びるように設けられた長方形の板状部材からなる。また、ブレード504は、ブレード504を貫通して設けられた目穴504Aを有し、さらに下部フレーム512に接近するに従いその幅が減少する先端部504Bを有する。
打ち抜き部材505は、屈曲部を有したL字状の部材である。また、打ち抜き部材505は、一方の端部側に主部505Aを有し他方の端部側に副部505Bを有している。また打ち抜き部材505は、主部505Aと副部505Bとが交わる箇所に、回転軸505Rを有しており、この回転軸505Rを中心に回転可能となっている。より詳細には、主部505Aがブレード504側に傾斜可能となっている。なお、副部505Bと基部503との間には、打ち抜き部材505が回転できるように間隙が設けられている。
ここで、主部505Aは、下部フレーム512に向かって延びるように配置されている。さらに、主部505Aは、回転軸505Rが設けられた側とは反対側、すなわち基台501が設けられている側に刃部505Cを有する。この刃部505Cは、舌片部522の形状に倣う形状を有している。なお、刃部505Cに形成された複数の縁部のうち、ブレード504側に位置する縁部には刃が形成されていない。このため、舌片部522の一端部522A(図4(B)参照)が用紙束Tに接続され、舌片部522と用紙束Tとは連続した状態となる。また、主部505Aは、主部505Aの側部、具体的にはブレード504と対向する側の側部に、ブレード504に向かって突出する突起505Dを有する。
ここで、綴じ部511Cの動作を説明する。
まず、図示しないモータにより駆動されたカムによって、基部503が基台501に接近し、ブレード504の先端部504Bが用紙束Tを貫通する。また、打ち抜き部材505の刃部505Cが用紙束Tを押圧することにより、打ち抜き部材505が用紙束Tを貫通する。
これにより、用紙束Tには、同図(B)に示すように、切り込みとしてのスリット521と、一端部522Aが用紙束Tに接続された舌片部522とが形成される。なお、同図(B)では、I字状のスリット521を形成したが、同図(B)に示すように、H字状やコの字状のスリット521を形成することもできる。また、本実施形態では、基部503が更に下降すると、打ち抜き部材505の副部505Bが突出部506に突き当たり、打ち抜き部材505が、回転軸505Rを中心に図4(A)において時計周り方向に回転する。
これにより、主部505Aがブレード504側に傾斜し、打ち抜き部材505の突起505Dがブレード504に接近する。これにより、打ち抜き部材505の突起505Dが、同図(C)に示すように、舌片部522を折り曲げ、ブレード504の目穴504Aにこの舌片部522を押し込む(図中矢印F2参照)。尚、図4(C)では打ち抜き部材505の図示を省略している。
その後、基部503を下部フレーム512から離れる方向に移動させる。つまり、基部503を同図(A)の矢印F3方向に上昇させる。そしてこの場合、舌片部522がブレード504の目穴504Aに引っ掛かったまま上昇する。そして、図4(D)に示すように、スリット521に舌片部522が挿入される。これにより綴じ部511Cによる綴じ処理が終了する。なお、綴じ処理が終了した後、用紙束Tには、舌片部522が存在していた箇所に、ファイル、バインダーなどに設けられた綴じ具が挿入される綴じ穴523が形成される(同図(D)参照)。
ところで、上記のように舌片部522をスリット521に挿入して用紙束Tの綴じ処理を行う場合において、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が多いと、ブレード504および打ち抜き部材505を用紙束Tに貫通させることが難しくなる。そして、この場合、綴じ処理を行えなくなってしまう。
このため、本実施形態では、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が多い場合、一部の用紙Pに対し、穴あけ処理手段として機能する穴あけユニット30(図2参照)を用いて穴あけ処理を行う。これにより、ブレード504および打ち抜き部材505に対して用紙Pから作用する負荷が低減され、ブレード504および打ち抜き部材505が用紙束Tを貫通するようになる。
さらに説明すると、針無し綴じユニット52を用いた綴じ処理では、用紙Pの最大処理枚数が予め定められている。ここで、上記のように、穴あけユニット30を用いて穴あけ処理を行う場合、針無し綴じユニット52が処理する用紙Pの実質的な処理枚数が減るようになる。この結果、穴あけユニット30を用いて穴あけ処理を行う場合、予め定められた上記最大処理枚数よりも多い枚数の用紙Pの処理が実現されるようになる。付言すると、穴あけユニット30を用いて穴あけ処理を行う場合、針無し綴じユニット52にて、上記最大処理枚数よりも多い枚数の用紙Pの綴じ処理が実現されるようになる。
図5は、穴あけユニット30を説明するための図である。
本実施形態における穴あけユニット30は、上述した針無し綴じユニット52と同様の構成を有している。すなわち、穴あけユニット30には、同図(A)に示すように、上部フレーム511および下部フレーム512が設けられている。また、上部フレーム511には、上記綴じ部511Cと同様の構成を有し用紙Pに対し穴あけを行う穴あけ部511Dが設けられている。
穴あけ部511Dは、上記と同様、基部503および2つの基台501を有する。また穴あけ部511Dには、用紙Pを打ち抜き、孔部527(図5(B)参照)を形成する第1打ち抜き部材580が設けられるとともに、用紙Pを打ち抜く第2打ち抜き部材509が設けられている。また、穴あけユニット30には、基部503を基台501に接近させる移動機構(不図示)が設けられている。また、下部フレーム512には、上記と同様、基台501に対向配置された底部材502、隣接する底部材502の間に形成された穴部512Aが設けられている。
ここで、上記の針無し綴じユニット52に設けられた打ち抜き部材505は、舌片部522を折り曲げかつブレード504に形成された目穴504Aにこの舌片部522を入れる機能を有していたが、穴あけユニット30に設けられた第2打ち抜き部材509は、舌片部522を形成せず用紙Pに対して貫通孔524(図5(B)参照)を形成する機能のみを有している。このため、本実施形態における第2打ち抜き部材509は、上記ようにL字状に形成されておらず直線状に形成されている。また、本実施形態における第2打ち抜き部材509は、上記のように回転可能に設けられておらず基部503に固定されている。
また、本実施形態における第2打ち抜き部材509は、上記と同様に、用紙Pと対向する側に刃部505Cを有する。ここで、この刃部505Cは、上述した舌片部522の形状に倣う形状を有している。なお、針無し綴じユニット52における刃部505Cでは、刃部505Cに形成された複数の縁部のうちブレード504側に位置する縁部に刃が形成されていない状態であったが、穴あけユニット30における刃部505Cでは、刃505Eが形成された状態となっている。
このため、穴あけユニット30では、基部503の基台501への接近に伴い、用紙Pに対し貫通孔524(図5(B)参照)が形成される。付言すると、穴あけユニット30では、打ち抜き加工が行われるようになり舌片部522が形成されない状態で貫通孔524が形成される。また、本実施形態では、第1打ち抜き部材580によって、用紙Pに対し矩形状の孔部(貫通孔)527が形成される。
ここで、本実施形態では、穴あけユニット30に設けられた第2打ち抜き部材509の刃部505Cの方が、針無し綴じユニット52に設けられた打ち抜き部材505の刃部505Cよりも大きく形成されている。このため、貫通孔524の方が舌片部522よりも大きく形成される。より詳細に説明すると、貫通孔524の長手方向における寸法の方が舌片部522の長手方向における寸法よりも大きくなるように、貫通孔524および舌片部522は形成される。
また、貫通孔524の幅方向における寸法の方が舌片部522の幅方向における寸法よりも大きくなるように、貫通孔524および舌片部522は形成される。ここで、貫通孔524と舌片部522とが同じ大きさで形成されている場合、コンパイルトレイ上60における用紙Pの整合状態によっては、貫通孔524の位置と舌片部522の位置とがずれ、舌片部522が貫通孔524を通過(後述)しにくくなる。このため、本実施形態では、貫通孔524の方を舌片部522よりも大きく形成している。
図6、図7は、針無し綴じが行われる際の一連の処理を示した図である。なお、図6(A)における左側の図は、コンパイルトレイ60(図2参照)上の状態を示しており、図6(A)における右側の図は、左側に位置する図のVIA−VIA線における用紙束Tの断面図を示している。なお、図6(B)、(C)、図7(A)においても同様であり、左側の図は、コンパイルトレイ60上の状態を示しており、右側の図は、用紙束Tの断面図を示している。
ここで、本実施形態では、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が予め定められた枚数を超える場合、穴あけユニット30を用紙Pが通過する際に用紙Pが停止され、穴あけユニット30による穴あけ処理が実施される。
そして、穴あけユニット30にて穴あけ処理が行われた用紙P(以下、「穴有り用紙P」と称することがある)は、コンパイルトレイ60上に、図6(A)に示すように積載される。ここで、この場合、穴あけユニット30による穴あけ処理が行われているため、用紙Pには、貫通孔524および孔部527が形成されている。なお、穴あけユニット30では、用紙Pに対し穴あけ処理を行うに際し、一枚毎に穴あけ処理を行ってもよいし、複数枚の用紙Pを集積し、複数枚の用紙Pに対しまとめて穴あけ処理を行うようにしてもよい。
その後、本実施形態では、図6(B)に示すように、コンパイルトレイ60上に、穴あけユニット30による穴あけ処理が施されていない用紙P(以下、「穴無し用紙P」と称することがある)が積載される。より具体的に説明すると、穴あけユニット30による穴あけ処理が施されずに穴あけユニット30を通過した用紙Pが積載される。その後、本実施形態では、同図(C)に示すように、再び、穴有り用紙Pが積載される。その後、図7(A)に示すように、穴無し用紙Pがコンパイルトレイ60上に積載される。
その後、本実施形態では、穴有り用紙P、および、穴無し用紙Pが、交互に、コンパイルトレイ60上に積載される。これにより、本実施形態では、コンパイルトレイ60上に、図7(B)に示す状態の用紙束Tが積載されるようになる。その後、本実施形態では、図7(C)に示すように、針無し綴じユニット52による綴じ処理が行われる。
ここで、針無し綴じユニット52による綴じ処理が行われる際には、用紙束Tのうちの一方の面側から(図7(B)における上方から)、図4(A)にて示した、打ち抜き部材505およびブレード504が進出する。これにより、上記にて説明したとおり、用紙束Tに舌片部522(図4(C)参照)が形成され、次いで、舌片部522がスリット521(図4(D)参照)に挿入される。これにより、図7(C)に示すように、用紙束Tに対する綴じ処理が完了する。
なお、針無し綴じユニット52に設けられた打ち抜き部材505が用紙束Tに向かって進出する際、この打ち抜き部材505は、図7(B)における符号7Aに示す部位に向かって、図中上方から進出する。付言すると、用紙束Tのうちの貫通孔524が既に形成されている箇所に向かって進出する。また、針無し綴じユニット52に設けられたブレード504が用紙束Tに向かって進出する際には、ブレード504は、図7(B)における符号7Bに示す部位に向かって、図中上方から進出する。付言すると、用紙束Tのうち孔部527が既に形成されている箇所に向かって進出する。
なお、穴あけユニット30による穴あけ処理を行うと、舌片部522を構成する用紙Pの枚数が減るため、綴じ部の強度が低下しやすくなる。このため、本実施形態では、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が多く、打ち抜き部材505およびブレード504への負荷が大きい場合には、穴あけユニット30による穴あけ処理を行い、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が少なく、打ち抜き部材505およびブレード504への負荷が小さい場合には、穴あけ処理を行わない処理を行う。以下、本実施形態にて行われる処理の流れを詳細に説明する。
図8は、後処理装置2にて行われる綴じ処理の流れを示したフローチャートである。
本実施形態の後処理装置2では、まず、把握手段として機能する処理装置制御部23によって、生成される用紙束Tを構成する用紙Pの種類(用紙種)が把握される(ステップ101)。なお、この用紙種は、例えば、用紙収容部110A〜110D(図1)にセンサを設け、このセンサからの出力に基づき把握することができる。また、例えば、UI119(図1参照)を介してユーザにより入力された情報に基づき把握することもできる。
次いで、本実施形態では、処理装置制御部23が、ステップ101にて把握した用紙種に基づき、綴じ処理を行うことができる用紙Pの最大処理枚数を把握する(ステップ102)。付言すると、処理装置制御部23は、ステップ101にて把握した用紙種に基づき、用紙種毎に定められた最大処理枚数を把握する。これにより、本実施形態では、用紙束Tを構成する用紙Pの種類が変更された場合、最大処理枚数も異なる値の最大処理枚数へ変更されるようになる。ここで、処理装置制御部23は、綴じ処理を行うことができる用紙Pの最大処理枚数を変更する変更手段として捉えることができる。
ここで、例えば、ステップ101にて把握した用紙種が薄紙である場合、ステップ102にて把握される最大処理枚数は多くなり、ステップ101にて把握した用紙種が例えば厚紙である場合、ステップ102にて把握される最大処理枚数は少なくなる。なお、本実施形態では、不図示のメモリに、用紙種と最大処理枚数との関係を規定したテーブルが記憶されており、ステップ102では、このテーブルが参照されることで、用紙種に応じた最大処理枚数が把握される。
次に、本実施形態では、把握手段として機能する処理装置制御部23にて、ユーザが作成しようとしている用紙束T(冊子)を構成する用紙Pの枚数(以下、「構成枚数」と称することがある)が把握される(ステップ103)。なお、この構成枚数は、例えば、UI119(図1参照)を介してユーザにより入力された情報や、不図示のPCから送信されてきた情報に基づき把握される。
次いで、本実施形態では、処理装置制御部23にて、ステップ103にて把握された構成枚数が、ステップ102にて把握された最大処理枚数よりも多いか否かが判断される(ステップ104)。ここで、ステップ104にて、構成枚数が最大処理枚数以下であると判断された場合、処理装置制御部23は、通常の綴じ処理を実行する(ステップ105)。付言すると、穴あけユニット30による穴あけ処理を実行せず、全ての用紙Pに対し、針無し綴じユニット52による綴じ処理を行う。
一方で、ステップ104にて、構成枚数が最大処理枚数よりも多いと判断された場合、処理装置制御部23は、穴あけユニット30による穴あけ処理を一部の用紙Pに対して行ったうえで、針無し綴じユニット52による綴じ処理を行う(ステップ106)。
ここで、ステップ106にて行われる処理の具体例を説明する。
例えば、45枚の普通紙によって用紙束Tが構成され、且つ、上記最大処理枚数が15枚である場合は、図9(用紙束Tの状態を示した図)の(A)に示すように、3枚に2枚の割合で穴あけユニット30による穴あけ処理を行い、合計で30枚の用紙Pに対し、穴あけユニット30による穴あけ処理を行う。
また、図示は省略するが、例えば、20枚の普通紙によって用紙束Tが構成され、且つ、上記最大処理枚数が15枚である場合は、4枚に1枚の割合で穴あけユニット30による穴あけ処理を行い、合計で5枚の用紙Pに対し、穴あけユニット30による穴あけ処理を行う。また、例えば、20枚の厚紙によって用紙束Tが構成され、且つ、上記最大処理枚数が10枚である場合は、2枚に1枚の割合で穴あけユニット30による穴あけ処理を行い、合計で10枚の用紙Pに対し、穴あけユニット30による穴あけ処理を行う。
なお、穴あけユニット30による穴あけ処理を行う場合は、図9(A)に示すように、穴あけユニット30による穴あけ処理を行わない用紙P(穴無し用紙P)と、穴あけユニット30による穴あけ処理を行った用紙P(穴有り用紙P)とを一単位として、この一単位が繰り返されるように、処理を行うことが好ましい。付言すると、予め定められた枚数の穴有り用紙Pが積載される度に、予め定められた枚数の穴無し用紙Pが積載されるように、処理を行うことが好ましい。さらに説明すると、予め定められた枚数の用紙Pが積載される度に、穴有り用紙Pと穴無し用紙Pとが入れ替わる形態とすることが好ましい。
ここで、図9(A)に示す例では、2枚の穴有り用紙Pと、1枚の穴無し用紙Pとを一単位とするとともに、この一単位が繰り返されるように、処理を行っている。付言すると、2枚の穴有り用紙Pと1枚の穴無し用紙Pとが交互の積層されるように、処理を行っている。さらに説明すると、予め定められた枚数(本例では2枚)の穴有り用紙Pが積載される度に、予め定められた枚数(本例では1枚)の穴無し用紙Pが積載されるように、処理を行っている。
ここで、このように、穴有り用紙Pと穴無し用紙Pとが交互に積層されていく場合、用紙束T内において(用紙束Tの厚み方向において)、穴有り用紙Pと穴無し用紙Pとが、分散した状態で且つ均等に配置されるようになる。そしてこの場合、形成される舌片部522(図7(C)参照)の形状が安定するようになる。そして、このような状態の舌片部522を用いて綴じ処理を行う場合、綴じ部における綴じが解かれることが生じにくくなる。
なお、穴有り用紙Pと穴無し用紙Pとの配列は、図9(A)に示す形態に限られるものではなく、図9(B)に示すように、用紙束Tのうちの一方の面側に複数枚の穴無し用紙Pをまとめて配置し、用紙束Tのうちの他方の面側に複数枚の穴有り用紙Pをまとめて配置するようにしてもよい。また、例えば、図9(C)に示すように、用紙束のうちの一方の面側および他方に面側の両者に、複数枚の穴無し用紙Pを配置するとともに、一方の面側に位置する穴無し用紙Pと他方の面側に位置する穴無し用紙Pとの間に、穴有り用紙Pを配置するようにしてもよい。
なお、いずれの用紙Pの配置態様であっても、用紙束Tのうちの最上位に位置する用紙(図9(A)〜(C)にて、符号9Aで示す用紙P)は、穴無し用紙Pとする必要がある。付言すると、打ち抜き部材505(図4(A)参照)に最も近い箇所に位置する用紙P(打ち抜き部材505が進入してくる側の用紙P、以下、この用紙を「打ち抜き部材側用紙P」と称することがある)は、穴無し用紙Pとする必要がある。ここで、打ち抜き部材側用紙Pが穴有り用紙Pである場合、この打ち抜き部材側用紙Pを綴じることができなくなり、用紙束Tからこの打ち抜き部材側用紙Pが離脱してしまう。
なお、図9(B)、(C)のように、予め定められた枚数毎に、穴有り用紙Pと穴無し用紙Pが入れ替わる形態でない場合(図9(A)のような形態でない場合)は、図10(用紙束T内における用紙Pの配列状態を示した図)の(A)に示すように、打ち抜き部材505が進入してくる側(用紙束Tのうちの打ち抜き部材505に近い側に位置する一方の面側)に、より多くの穴無し用紙Pを配置することが好ましい。付言すると、穴無し用紙Pの配置密度を、打ち抜き部材505が突き抜ける側(図10(A)にて符号10Cで示す側)よりも打ち抜き部材505が進入してくる側(図10(A)にて符号10Dで示す側)にて高めることが望ましい。
ここで、図10(B)のように、打ち抜き部材505が突き抜ける側(符号10Cで示す側)に、穴無し用紙Pが多く配置され、打ち抜き部材505が進入してくる側(符号10Dに示す側)の穴無し用紙Pの枚数が少ない場合は、用紙束Tに形成される島状部分の一部が、薄い舌片部522によって包まれるようになる(包囲されるようになる)。そして、この場合、綴じ部の強度が低下しやすくなる。
より具体的に説明すると、本実施形態では、図11(用紙束Tの状態を示した図)の(A)に示すように、用紙束Tのうちの貫通孔524と孔部527との間に位置する部位に、島状の部分(島状部分)が形成されるようになる。そして、綴じ処理が行われる際には、この島状部分が舌片部522により包まれるようになる。
このような形態にて、打ち抜き部材505が進入してくる側の穴無し用紙Pの枚数が少ないと、図11(B)に示すように、島状部分の一部(島状部分のうちの図中上部側)が、薄い舌片部522によって包まれるようになる(少ない枚数の用紙Pによって包まれるようになる)。かかる場合、綴じ部の強度が低下しやすくなってしまう。一方で、図11(A)のように、打ち抜き部材505が進入してくる側に穴無し用紙Pが多く配置される場合、島状部分が、厚みを有する舌片部522により包囲される形となり綴じ部の強度が増すようになる。
なお、打ち抜き部材505が進入してくる側に位置する穴無し用紙P、および、打ち抜き部材505が突き抜ける側に位置する穴無し用紙Pのいずれが多いかは、用紙束Tの厚み方向における中央部を境として、一方側に位置する穴無し用紙Pの枚数と、他方側に位置する穴無し用紙Pの枚数とを数えることにより、判断することができる。
より具体的に説明すると、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が奇数である場合には、用紙束Tの中央部(厚み方向における中央部)に位置する用紙Pを境として、この用紙Pよりも上記突き抜け側に位置する穴無し用紙Pの枚数と、この用紙Pよりも上記進入側に位置する穴無し用紙Pの枚数とを数えることにより、判断することができる。また、用紙束Tを構成する用紙の枚数が偶数ある場合は、用紙束Tの中央部に位置する2枚の用紙Pの間を境として、この境よりも上記突き抜け側に位置する穴無し用紙Pの枚数と、この境よりも上記進入側に位置する穴無し用紙Pの枚数とを数えることにより、判断することができる。
なお、本実施形態では、穴あけユニット30に設けられた第1打ち抜き部材580および第2打ち抜き部材509の両者が用紙Pに向かって進出し、穴あけユニット30による穴あけ処理が行われる際には、一枚の用紙Pに、貫通孔524および孔部527の両者が形成される場合を説明した。
ところでこのような形態に限られず、第1打ち抜き部材580および第2打ち抜き部材509のそれぞれを単独で且つ個別に駆動するようにしてもよい。また、このように単独で駆動を行う場合は、第1打ち抜き部材580により穴あけ処理が行われる用紙Pの枚数と、第2打ち抜き部材509により穴あけ処理が行われる用紙Pの枚数とを異ならせるようにしてもよい。付言すると、同じ用紙束T内において、第1打ち抜き部材580により穴あけ処理が行われる用紙Pの枚数と、第2打ち抜き部材509により穴あけ処理が行われる用紙Pの枚数とを異ならせるようにしてもよい。
また、本実施形態では、一つのユニット(穴あけユニット30)内に、第1打ち抜き部材580および第2打ち抜き部材509を設けた態様を一例に説明したが、第1打ち抜き部材580および第2打ち抜き部材509の各々を別々の場所に設けてもよい。例えば、用紙Pの搬送方向において、第1打ち抜き部材580を上流側に配置し、第2打ち抜き部材509を下流側に配置するようにしてもよい。
なお、本実施形態のように、一つのユニット(穴あけユニット30)内に、第1打ち抜き部材580および第2打ち抜き部材509を設け、第1打ち抜き部材580および第2打ち抜き部材509が一体となって移動するようにした方が、貫通孔524と孔部527との間で生じうる位置ずれが生じにくくなる。
また、上記では、穴あけユニット30にて、用紙Pに対して打ち抜き加工を施し貫通孔524と孔部527を形成したが、穴あけユニット30では、打ち抜き加工とせず、用紙片が用紙Pに接続する状態としてもよい。付言すると、穴あけユニット30では、上記舌片部522のように用紙片が形成されるようにしてもよい。この場合も、針無し綴じユニット52では、ブレード504、打ち抜き部材505にかかる負荷が減るようになる。