JP6001609B2 - 車体前部構造 - Google Patents
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Description
この車体前部構造では、車体前方から入力した衝撃荷重をサブフレームで良好に吸収することはできない。さらに、剛性の高いΓ(ガンマ)字型やA型ロアアームは衝撃荷重で良好に潰れ難い。このため、車体前方から入力した衝撃荷重をフロントサイドフレームの変形で吸収することが阻害されることが考えられる。
車体前方から入力する衝撃荷重でフロントサイドフレームのフレーム屈曲部を折り曲げる際に、補強部材の屈曲部を下方に折り曲げることができる。よって、フロントサイドフレームの車体後方への屈曲を補強部材で抑制する虞がない。
これにより、フロントサイドフレームを車体後方へ好適に屈曲させて、車体前方から入力した衝撃荷重を良好に吸収できる。
これにより、フロントサイドフレームの車体後方への屈曲をサスペンションアームで抑制する虞がなく、車体前方から入力した衝撃荷重を一層良好に吸収できる。
よって、屈曲部が後締結部より車体前方に配置される。これにより、車体前方から入力した衝撃荷重で屈曲部を下方に向けて良好に折り曲げることができる。
屈曲部を下方に向けて良好に折り曲げることにより、後締結部に補強部材から下方、かつ、車体後方への荷重を好適に作用させることができ、後締結部をマウント部から良好に外すことができる。
さらに、プレート部が略平坦に形成されているので、プレート部および後締結部間の間隔(クリアランス)を好適に確保できる。これにより、弾性部が弾性変形する際に、後締結部の移動をプレート部で抑える虞がなく、車両の走行中にサスペンションアームの動作が保証される。
このように、脚部を車幅方向外側へ向けて開口し、かつ、補強部材を前締結部より車幅方向内側に配置することにより、サスペンションアームの上下方向への動作が許容される。これにより、車両の走行中にサスペンションアームの上下方向の動作が保証される。
さらに、補強部材の後端部をダッシュクロスメンバに設けた。よって、剛性の高いダッシュクロスメンバで補強部材の後端部を支えることができる。これにより、補強部材の後端部を強固に支持できるので、補強部材の下方への折曲げを好適に促進することができる。
よって、クロスメンバおよびフロントサイドフレームを左右のブレース部で補強することができる。または、クロスメンバおよびダッシュクロスメンバを左右のブレース部で補強することができる。
これにより、ステアリング装置などの操舵系部品や、サスペンションアームを支持する部材の剛性(いわゆる、支持剛性)を高めることができ、各部材を車体で強固に支持できる。
図1、図2に示すように、車体前部構造10は、車体11の左右側に設けられた左右のフロントサイドフレーム12,13と、左フロントサイドフレーム12および右フロントサイドフレーム13に架設されたクロスメンバ15と、クロスメンバ15に沿って設けられたパワーステアリング装置16とを備えている。
左右のサスペンションアーム21は、独立懸架式サスペンションの「いわゆる、Γ(ガンマ)字型またはA型ロアアームである。
左フロントサイドフレーム12の後傾斜部32で、かつ、左サスペンションアーム21の上方にフレーム屈曲部33が形成されている。フレーム屈曲部33は、車体前方から入力する衝撃荷重で車幅方向へ好適に折曲がり可能に形成されている。
左フロントサイドフレーム12および右フロントサイドフレーム13は、左右対称の部材であり、各構成部に同じ符号を付し、右フロントサイドフレーム13の詳しい説明を省略する。
ダッシュパネル17は、エンジンルーム38の後側に設けられ、エンジンルーム38および車室を仕切る板材である。
ここで、左マウント部18は、左フロントサイドフレーム12のうち、ダッシュパネル17側の部位12dに設けられている。よって、左マウント部18の剛性が左フロントサイドフレーム12で確保されている。これにより、後締結部47(すなわち、左サスペンションアーム21)が左マウント部18に好適に支持される。
ナックル51に左前輪52(図1参照)が取り付けられている。
カラー49に後締結ボルト(締結部材)57が下方から貫通され、後締結ナット42にねじ結合されることにより、左マウント部18に後締結部47が締結される。すなわち、カラー49は、弾性部48の弾性変形により傾斜可能に支持され、かつ、左マウント部18に片持支持されている。
また、左サスペンションアーム21および右サスペンションアームは、左右対称の部材であり、以下、右サスペンションアームの詳しい説明を省略する。
ダッシュクロスメンバ24の左取付部24bおよびクロスメンバ15の左取付部15aに左補強部材25が架設されている。この状態において、左補強部材25が左フロントサイドフレーム12のフレーム屈曲部33(図3参照)より下方に配置される。
左補強部材25および右補強部材26は、左右対称の部材であり、以下、右補強部材26の詳しい説明を省略する。
屈曲部61は、車体11に車体前方から衝撃荷重が入力した場合に、入力した衝撃荷重で折り曲げられる部位である。
プレート部62の前端部が複数のボルト67・ナット68でクロスメンバ15の左取付部15aに下方から締結されている。よって、左補強部材25の前端部25aがクロスメンバ15の左取付部15aに締結されている。
ダッシュクロスメンバ24は車体の骨格を形成する剛性の高い部材である。よって、ダッシュクロスメンバ24の左取付部24bに左補強部材25の後端部25bが強固に支持される。
これにより、車体11に車体前方から衝撃荷重が入力した場合に、入力した衝撃荷重による屈曲部61の折曲げが好適に促進される。
クロスメンバ15の左脚部76は、左サスペンションアーム21の前締結部44を支持する部位である。これにより、左サスペンションアーム21の前締結部44をクロスメンバ15の左脚部76で良好に支持できる。
後支え部63が左サスペンションアーム21の後締結部47に下方から当接されている。左サスペンションアーム21の後締結部47は左マウント部18に下方から当接されている。
この状態において、後締結ボルト57が後支え部63から後締結部47に差し込まれ、差し込まれた後締結ボルト57が左マウント部18の後締結ナット42にねじ結合される。よって、左マウント部18に後締結部47および後支え部63が下方から締結される。
左マウント部18に後締結部47および後支え部63が下方から締結されることにより、後締結部47を後支え部63(すなわち、左補強部材25)で支えることができる。これにより、後締結部47が左マウント部18に強固に取り付けられた状態に保たれ、後締結部47(すなわち、左サスペンションアーム21)が好適に支持される。
第1ビード部65は、左補強部材25の前端部25aから後支え部63まで車体後方向に向けて延び、かつ、下方に向けて膨出されている。第2ビード部66は、左補強部材25の前端部25aから後端部25bまで車体後方向に向けて延び、かつ、下方に向けて膨出されている。
プレート部62は第1ビード部65や第2ビード部66より高い位置に配置されている。よって、プレート部62をクロスメンバ15の左取付部15a、ダッシュクロスメンバ24の左取付部24bや後締結部47に締結させることにより、ボルト67、ボルト71や後締結ボルト57の頭部を上方に配置でき、車両の最低地上高を確保できる。
すなわち、車両の走行中に左サスペンションアーム21の移動が確保され、左サスペンションアーム21の動作が保証される。
すなわち、左補強部材25は、車体11に車体前方から衝撃荷重が入力した場合に、入力した衝撃荷重で屈曲部61から下方に折れ曲がるように形成されている。
よって、車体11に入力した衝撃荷重で左補強部材25の屈曲部61が下方に折れ曲がることにより、左補強部材25の後支え部63で後締結部47に下方、かつ、車体後方への荷重を好適に作用させることができる。
後締結部47に作用する下方、かつ、車体後方への荷重で、後締結部47を左マウント部18から良好に外すことができる。
さらに、クロスメンバ15は、左補強部材25の前端部25aが取り付けられる左取付部15aと、右補強部材26の前端部26aが取り付けられる右取付部15b(図1参照)とを備えている。
クロスメンバ15の左取付部15aは、クロスメンバ15の底部37で、かつ、底部37の左端部に相当する部位である。
左脚部76および右脚部77は、左右対称の部材であり、以下、右脚部77の詳しい説明を省略する。
この左脚部76は、車幅方向外側に向けて開口され、かつ、下方に向けて開口された空間79を備えている。空間79は、開口から前締結部44を収納可能に形成されている。
これにより、車両の走行中に左サスペンションアームの上下方向の動作が保証される。
これにより、クロスメンバ15にステアリングチューブ35が取り付けられる。
頂部78の左端部78aの下方にクロスメンバ15の左取付部15aが位置する。クロスメンバ15の左取付部15aに左補強部材25の前端部25aが複数のボルト67・ナット68で締結されている。よって、頂部78のうち左端部78a(すなわち、パワーステアリング装置16が設けられる部位)が左補強部材25の前端部25aで補強される。
これにより、パワーステアリング装置16がクロスメンバ15の頂部78に強固に支持されている。
左ブレース部85および右ブレース部86が車体11の底部に取り付けられることにより、車体11の底部が補強される。
また、右ブレース部86は、右フロントサイドフレーム13の後端部12cの底部に中央部86bがボルト91で下方から締結され、右サイドシル29に後端部(図示せず)が設けられている。
よって、クロスメンバ15、左フロントサイドフレーム12および右フロントサイドフレーム13が左ブレース部85および右ブレース部86で補強される。
これにより、パワーステアリング装置16などの操舵系部品や、左右のサスペンションアーム21などを車体11で強固に支持できる。
図10(a)に示すように、左フロントサイドフレーム12にフレーム屈曲部33を備え、フレーム屈曲部33の下方に左補強部材25を配置した。左補強部材25をクロスメンバ15およびダッシュクロスメンバ24に架設し、かつ、左補強部材25に屈曲部61を備えた。
よって、クロスメンバ15が車体後方に移動することにより、左補強部材25の前端部25aに荷重F2が入力する。入力した荷重F2で左補強部材25が屈曲部61からボルト71(左補強部材25の後端部25bをダッシュクロスメンバ24の左取付部24bに締結するボルト)を支点にして想像線で示すように矢印Dの如く下方に折れ曲がる。
これにより、左フロントサイドフレーム12の車体後方への屈曲を左サスペンションアーム21で抑制する虞がなく、左フロントサイドフレーム12の前端部12a(図10(a)参照)に入力した衝撃荷重F1を一層良好に吸収できる。
一方、左サスペンションアーム21の前締結部44は、クロスメンバ15の左脚部76の空間79に収納され、左脚部76とともに前締結部44を車体後方に移動させることができる。
前締結部44が移動することにより、剛体であるアーム本体43が車体後方に矢印Eの如く移動する。
ここで、後締結部47の後締結ボルト57は、ねじ部(すなわち、上端部)が後締結ナット42を介して左マウント部18に支持されている。
これにより、左フロントサイドフレーム12の車体後方への屈曲を促進させて、左フロントサイドフレーム12の前端部12a(図10(a)参照)に入力した衝撃荷重F1を一層良好に吸収できる。
これにより、後締結部47を左マウント部18から良好に外すことができる。
例えば、前記実施例では、クロスメンバ15および左フロントサイドフレーム12が左ブレース部85で連結され、クロスメンバ15および右フロントサイドフレーム13が右ブレース部86で連結される例について説明したが、これに限定するものではない。
これにより、実施例と同様に、パワーステアリング装置16などの操舵系部品や、左右のサスペンションアーム21を支持する部材の剛性(いわゆる、支持剛性)を高めることができ、各部材を車体11で強固に支持できる。
11 車体
12,13 左右のフロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム)
15 クロスメンバ
16 パワーステアリング装置(ステアリング装置)
17 ダッシュパネル
18,19 左右のマウント部(マウント部)
21,22 左右のサスペンションアーム(サスペンションアーム)
24 ダッシュクロスメンバ
24b,24c ダッシュクロスメンバの左右の取付部
25,26 左右の補強部材(補強部材)
25a,25b 左補強部材の前後の端部
33 フレーム屈曲部
43 アーム本体
44 前締結部
47 後締結部
48 弾性部
49 カラー
54,57 前後の締結ボルト(締結部材)
61 屈曲部
62 プレート部
64 剛性部
65,66 第1、第2のビード部(ビード部)
76,77 左右の脚部(脚部)
78 クロスメンバの頂部
78a 頂部の左端部(パワーステアリング装置16が設けられる部位)
85,86 左右のブレース部
F1 衝撃荷重
Claims (8)
- 車体の左右側にフロントサイドフレームが設けられ、各フロントサイドフレームにクロスメンバが架設され、該クロスメンバの車体後方にダッシュパネルが設けられ、前記フロントサイドフレームにおける前記ダッシュパネル側にマウント部が設けられ、前記クロスメンバおよび前記マウント部にサスペンションアームの前締結部および後締結部が締結される車体前部構造において、
前記フロントサイドフレームは、前記サスペンションアームの上方に設けられ、車体前方から入力する衝撃荷重で折曲がり可能なフレーム屈曲部を有し、
該フレーム屈曲部の下方に配置され、前記クロスメンバおよび前記マウント部側に架設されることにより車体前後方向に延び、かつ、前記後締結部に締結される補強部材を備え、
前記補強部材は、前記衝撃荷重で下方に折曲がり可能な屈曲部を有することを特徴とする車体前部構造。 - 前記後締結部は、
前記サスペンションアームのアーム本体に設けられた弾性部と、
該弾性部に上下方向へ向けて延ばされたカラーと、を備え、
該カラーに下方から挿通された締結部材がマウント部に締結されることを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。 - 前記補強部材は、
該補強部材の前端部および後端部間で車体前後方向に延び、かつ、前記屈曲部で下方に折曲がり可能な剛性部を有し、
前記屈曲部および前記補強部材の後端部間に前記後締結部が配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車体前部構造。 - 前記補強部材は、
外形が帯状に形成される略平坦なプレート部と、
該プレート部から下方に膨出されることにより前記剛性部を形成するビード部と、を有し、
前記プレート部が前記後締結部に締結されることを特徴とする請求項3記載の車体前部構造。 - 前記クロスメンバは、
前記フロントサイドフレームまで上方に向けて延ばされ、前記前締結部を収納可能に車幅方向外側へ向けて開口された脚部を有し、
該脚部に収納された前記前締結部が前記脚部に締結され、
前記脚部より車幅方向内側において、前記クロスメンバに前記補強部材が締結されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体前部構造。 - 前記マウント部は、前記フロントサイドフレームに設けられ、
前記マウント部の車体後方に、前記各フロントサイドフレームに架設されたダッシュクロスメンバを備え、
該ダッシュクロスメンバに前記補強部材の後端部が設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車体前部構造。 - 前記クロスメンバは、
該クロスメンバの頂部にステアリング装置が設けられ、
該ステアリング装置が設けられる部位の下方で、かつ、前記クロスメンバに前記補強部材が締結されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車体前部構造。 - 前記クロスメンバおよび前記フロントサイドフレーム、または、前記クロスメンバおよび前記ダッシュクロスメンバが左右のブレース部で連結され、
前記左右のブレース部は、前記クロスメンバから車体後方に向けて徐々に広がるように略V字状に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車体前部構造。
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