JP6001576B2 - 超音波探触子 - Google Patents

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Description

本発明は、各種インフラ設備の診断、構造部材の劣化診断、各種プラント等の配管劣化・減肉診断等に関する超音波非破壊検査、特にガイド波を用いた非破壊検査に使用する超音波探触子に関するものである。
各種インフラ設備の診断、構造部材の劣化診断において、特に細径部材の診断が必要になる場合がある。このような場合としては、例えば、通信用架空設備に使用される電柱支持用のステーワイヤ下部支線(地中にコンクリートブロック等を埋め、電柱からのステーワイヤ地上付近から地中内の張力を分担するため「下部支線」と称する)や、電柱に架渉されるつり線ワイヤ、さらには、橋梁つり線ワイヤや各種リフトのワイヤロープなどの腐食等に伴う減肉・探傷診断がある。
電柱支持用のステーワイヤ下部支線は、φ13mm程度の丸棒になるため、その内部に超音波振動を発生せしめるためには、当該分野においては従来にない特別に小型の圧電素子(圧電探触子)を設計・製作し、これを使用する必要がある(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照)。
特開2008−193292号公報
庄司正成,澤田孝,"地中埋設の円柱形ロッドにおけるガイド波の減衰特性",一般社団法人日本非破壊検査協会,第20回 超音波による非破壊評価シンポジウム予稿集,2013.1.28〜29 "圧電セラミック テクニカルハンドブック",[online],株式会社冨士セラミックス,p.18−33,インターネット<http://www.fujicera.co.jp/product/j/01/10.pdf>
図17は、地中に埋設されている円柱型鉄鋼ロッドをガイド波が伝搬するときの軸対称な振動モードであるL(0,n)モードの減衰特性を示す図である。この減衰特性は非特許文献1に開示されている。図17の縦軸は単位長さ当り減衰率α(dB/m)と円柱型鉄鋼ロッドの半径a(m)との積であり、横軸は周波数f(kHz)と半径a(m)との積である。この図17から分かるように、横軸1.3kHz−m以下では、単位長さ当り減衰率が小さく、地中下部支線の探傷・減肉診断に好適であることを理解できる。例えば、半径a=6.5mmで、1.3kHz−mになる周波数は、200kHzである。被検査ロッドの太さに依存するが、例えば13mmφ(半径a=6.5mm)の被検査ロッドを使用する場合を想定すると200kHz以下の低周波振動(Lモード)において減衰量が少なく、地中下部支線の探傷・減肉診断に好適であることが理解できる。
このような減衰特性の下、φ13mm程度の丸棒に圧電素子を接触させ、丸棒内部に大きな超音波振動を発生せしめるためには、高効率でかつ所望の振動周波数(30〜200kHzの低周波振動)を発生する圧電素子(圧電式探触子)を設計製作する必要がある。ところが、従来、このようなφ13mm程度の細径構造部材に接触設置せしめ、高出力の超音波振動を発生することが可能な小型の圧電式探触子が製作された例はなく、どのような寸法比を有する圧電素子を使用すれば、電柱支持用のステーワイヤ下部支線診断に好適な圧電式探触子が得られるか明らかにされることはなかった。
φ13mm程度の丸棒の探傷をするには、探触子の小型化を図る必要がある。その上で、なおかつ、大きな振動変位(振幅)を誘起し、丸棒との接触面積を増やして振動子の振動エネルギーを効率良く、被検査丸棒に伝える必要がある。しかしながら、φ13mm程度の丸棒の探傷を試みた報告例は見当たらず、したがって、このような探触子の小型化、高効率化の方法は、全く新しい課題であると言える。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、被検査体に超音波振動を効率良く伝えることができる小型の超音波探触子を提供することを目的とする。
本発明は、円柱状の被検査体と接触して超音波振動を伝えることにより前記被検査体に超音波ガイド波を発生させる超音波探触子において、前記被検査体と対向するように配置される圧電セラミックス振動子と、この圧電セラミックス振動子の前記被検査体に接する面に形成された第1の電極と、前記圧電セラミックス振動子の前記被検査体に接する面と反対側の面に形成された第2の電極とを備え、前記圧電セラミックス振動子は、前記被検査体の軸方向に沿った寸法を幅W、前記被検査体の円形の断面と接する接線の方向に沿った寸法を奥行D、前記軸方向および接線方向と直交する方向に沿った寸法を高さHとしたとき、奥行方向の端部における前記被検査体との整合層厚さが出力超音波波長の1/100以下となるように設定される奥行Dと、この奥行Dの略2.9倍となる幅Wおよび高さHを有することを特徴とするものである。
また、本発明の超音波探触子の1構成例は、前記被検査体の軸方向に沿って複数設置される。
また、本発明の超音波探触子の1構成例において、前記圧電セラミックス振動子の出力超音波周波数は30〜200kHzの範囲である。
また、本発明の超音波探触子の1構成例において、前記被検査体の直径は13〜50mmの範囲である。
本発明では、電柱下部支線等の被検査体の探傷・減肉診断において、30〜200kHzの減衰が少ないことに着目し、その周波数において共振点を有し、効率良く超音波横波(SH波)振動を発生させ、被検査体にガイド波を発生せしめる圧電セラミックス振動子の形状(寸法比)を明らかにした。すなわち、圧電セラミックス振動子は、被検査体の軸方向に沿った寸法を幅W、被検査体の円形の断面と接する接線の方向に沿った寸法を奥行D、軸方向および接線方向と直交する方向に沿った寸法を高さHとしたとき、奥行方向の端部における被検査体との隙間が出力超音波波長の1/100以下となるように設定される奥行Dと、この奥行Dの略2.9倍となる幅Wおよび高さHを有するようにした。これにより、本発明では、被検査体の軸および接線と直交する軸(第1の軸)の方向が電界方向となり、被検査体2の軸(第2の軸)の方向が伸び方向(分極方向も同じ方向)となり、第1、第2の軸を二辺とする平行四辺形状振動を主たるモードとする振動を、被検査体に生じさせることができる。その結果、本発明では、従来地中にあって掘削等の手段によって直接観察する以外に手段が無かった電柱下部支線の被検査体の探傷・減肉診断が簡易に実現できる。
また、本発明では、被検査体の軸方向に沿って超音波探触子を複数設置することにより、超音波の振幅増強や振幅抑圧を行うことが可能となる。
また、本発明では、第1の電極および圧電セラミックス振動子と被検査体との隙間に整合層を配置することにより、超音波探触子と被検査体との十分に大きな接触面積を確保することができる。
幅14.5mm×奥行5mm×高さ14.5mmの圧電セラミックス振動子の印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図である。 幅14.5mm×奥行5mm×高さ14.5mmの圧電セラミックス振動子のインピーダンス周波数特性を示す図である。 幅5.29mm×奥行1.83mm×高さ5.29mm、設計周波数200kHzの圧電セラミックス振動子の印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図である。 幅5.29mm×奥行1.83mm×高さ5.29mm、設計周波数200kHzの圧電セラミックス振動子のインピーダンス周波数特性を示す図である。 幅8.82mm×奥行3.04mm×高さ8.82mm、設計周波数120kHzの圧電セラミックス振動子の印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図である。 幅8.82mm×奥行3.04mm×高さ8.82mm、設計周波数120kHzの圧電セラミックス振動子のインピーダンス周波数特性を示す図である。 幅17.64mm×奥行6.09mm×高さ17.64mm、設計周波数60kHzの圧電セラミックス振動子の印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図である。 幅17.64mm×奥行6.09mm×高さ17.64mm、設計周波数60kHzの圧電セラミックス振動子のインピーダンス周波数特性を示す図である。 幅35.28mm×奥行12.17mm×高さ35.28mm、設計周波数30kHzの圧電セラミックス振動子の印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図である。 幅35.28mm×奥行12.17mm×高さ35.28mm、設計周波数30kHzの圧電セラミックス振動子のインピーダンス周波数特性を示す図である。 幅29mm×奥行5mm×高さ14.5mmの圧電セラミックス振動子の印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図である。 幅29mm×奥行5mm×高さ14.5mmの圧電セラミックス振動子のインピーダンス周波数特性を示す図である。 本発明の圧電セラミックス振動子の奥行の寸法設計方法を説明する図である。 幅17.6mm×奥行6.1mm×高さ17.6mmの圧電セラミックス振動子を用いた超音波探触子のインピーダンス周波数特性を示す図である。 本発明の実施の形態に係る超音波探触子の平面図、側面図および断面図である。 複数の超音波探触子により発生した超音波の振幅加算と振幅抑圧を説明する図である。 地中に埋設されている円柱型鉄鋼ロッドをガイド波が伝搬するときのL(0,n)モードの減衰特性を示す図である。
[発明の原理]
探触子の小型化、高効率化のために、鋭意検討の結果、以下の方針で探触子の設計、試作を実施した。
(A)一般的に利用されている縦波振動子を、周波数定数の小さな横波振動子に変えることにより、同じ周波数の振動を得るのに薄く製作できるように、すなわち高さ方向を小さくできるようにする。
(B)上記の(A)の特徴を生かす形で振動子の高さを利用して、変位(振幅)を稼ぐ。
(C)被検査体(丸棒)の長手方向に長い振動子を用いて接触面積を稼ぎ、エネルギーが効率良く丸棒に伝わるようにする。
なお、(B)の方法は、複雑な結合振動を生じるため、超音波探傷の分野では通常試みない方法であると考えられる。
φ13mmの丸棒の検査を行うため、通常のSH(Shear Horizontal)波探触子に比べて、小さい振動子面(5mm角)を有する3種類の低周波表面SH探触子を試作した(表1)。この3種類の低周波表面SH探触子の公称周波数(設計周波数)は120kHz、60kHz、30kHzである。
この際、通常の周波数定数(N15=850m・Hz)を用いて振動子寸法(高さ)を決定した。しかしながら、設計周波数とはかなり異なる周波数で振動強度が最高となる結果となった。このように設計とのずれが生じた理由は、単純でないモードによる振動(結合振動であると考えられる)が生じたため、インピーダンスカーブ上に複数の共振ピークが出現した結果、120kHzで設計したにも関わらず、170kHz程度の振動を生じ、設計とずれている結果となったと考えられる。
周波数の設計とのずれが生じた原因を特定すべく、SH波の振動子ならびにその共振モード・共振周波数の解析を、有限要素法シミュレーションソフトウエアを用いて行なった。特に、試作した結果が比較的良好な振動特性を示した60kHzのSH探触子を参考に、シミュレーションを丹念に実施したところ、幅14.5mm×奥行5mm×高さ14.5mmの形状を有する圧電セラミックス振動子が、図1に示すように平行四辺形の最も単純なせん断変形の振動モードを有し、かつ、図2に示すように共振周波数75kHzに対して高次共振周波数が140kHz程度と十分に離れており、円柱状の被検査体の探傷のための超音波ガイド波を励起するのに好適であると判断された。この結果より、上記(B)の問題を生じないことが確認できた。
図1に示す75kHzの共振モードを利用し、相似形状を考慮して、表2に示すような幅、奥行、高さを有する形状の圧電セラミックス振動子I,II,III,IVについて、シミュレーションの結果を図示したものが、図3〜図10である。これら圧電セラミックス振動子I,II,III,IVは、75kHzの共振モードを基本として、それぞれ200kHz、120kHz、60kHz、30kHzの周波数に共振点を有する振動子の寸法をシミュレーションにより調整・算出した結果得られたものである。
図3は幅5.29mm×奥行1.83mm×高さ5.29mm、設計周波数200kHzの圧電セラミックス振動子Iの印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図、図4は圧電セラミックス振動子Iのインピーダンス周波数特性を示す図である。図5は幅8.82mm×奥行3.04mm×高さ8.82mm、設計周波数120kHzの圧電セラミックス振動子IIの印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図、図6は圧電セラミックス振動子IIのインピーダンス周波数特性を示す図である。図7は幅17.64mm×奥行6.09mm×高さ17.64mm、設計周波数60kHzの圧電セラミックス振動子IIIの印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図、図8は圧電セラミックス振動子IIIのインピーダンス周波数特性を示す図である。図9は幅35.28mm×奥行12.17mm×高さ35.28mm、設計周波数30kHzの圧電セラミックス振動子IVの印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図、図10は圧電セラミックス振動子IVのインピーダンス周波数特性を示す図である。
図3〜図10によれば、圧電セラミックス振動子I,II,III,IVは、それぞれ200kHz、120kHz、60kHz、30kHzの周波数に共振点を有し、平行四辺形の単純なせん断変形の振動モードを有することが分かる。これら圧電セラミックス振動子I,II,III,IVの幅(W)、奥行(D)、高さ(H)は、概略2.9:1:2.9の寸法比を有する形状となっており、かつ図1、図2に見られる振動モードおよび共振周波数と類似の振動を実現できることを確認した。
なお、前記の寸法比W:D:H=2.9:1:2.9に対して、例えば奥行Dおよび高さHを0.5倍程度に採った場合、すなわち寸法比をW:D:H=2.9:1×0.5:2.9×0.5に採った場合のシミュレーションを実施してみると、図11、図12に示すような結果が得られた。図11は幅29mm×奥行5mm×高さ14.5mmの圧電セラミックス振動子の印加電圧10Vでの変位シミュレーション結果を示す図、図12はこの圧電セラミックス振動子のインピーダンス周波数特性を示す図である。
図11、図12によると、インピーダンス特性において50kHzに大きなピークを有するような振動モード(S字状振動)が重畳していることが分かる。高次共振周波数は75kHzであり、共振周波数50kHzとかなり近い結果になっている。したがって、前記の寸法比W:D:H=2.9:1:2.9から大きくずれるような寸法比の振動子を採用することは、シミュレーション結果から、適正でないことが理解できる。つまり、幅Wおよび高さHは、奥行Dの略2.9倍であればよい。
次に、本発明の超音波探触子の具体的な寸法設計について説明する。まず、奥行Dの寸法設計方法を図13を用いて説明する。図13は圧電セラミックス振動子4および円柱状の被検査体2の断面を示す図である。本発明では、円柱状の被検査体2の軸方向(図13の紙面に垂直な方向)に沿った圧電セラミックス振動子4の寸法を幅W、被検査体2の軸方向と直交する円形の断面の接線方向(図13左右方向)に沿った圧電セラミックス振動子4の寸法を奥行D、前記軸方向および接線方向と直交する方向(図13上下方向)に沿った圧電セラミックス振動子4の寸法を高さHとしている。
被検査体2の前記軸方向および接線方向と直交する方向の半径r1と、他の半径r2とによって挟まれる扇形の中心角をθ、被検査体2の半径をr=r1=r2=6.5mm、被検査体2の断面の外周と半径r2との交点3から圧電セラミックス振動子4の下面端部までの距離(被検査体2と圧電セラミックス振動子4との隙間の最大寸法)をx、被検査体2の前記軸方向および接線方向と直交する軸(半径r1)から交点3までの距離をyとする。距離x,yは以下のようになる。
x=r(1−cosθ) ・・・(1)
y=rsinθ ・・・(2)
θ=15.7°のとき、x=0.0373×r、y=0.27×r=1.76mmとなる。x,yが定まれば圧電セラミックス振動子4の下面端部の位置が定まるので、θ=15.7°のときの圧電セラミックス振動子4の奥行Dは3.51mmとなる。θ=20.7°のとき、x=0.646×r、y=0.35×r=2.30mmとなる。θ=20.7°のときの圧電セラミックス振動子4の奥行Dは4.60mmである。
θ=29.5°のとき、x=0.130×r、y=0.49×r=3.20mmとなる。θ=29.5°のときの圧電セラミックス振動子4の奥行Dは6.40mmである。θ=42.3°のとき、x=0.26×r、y=0.673×r=4.37mmとなる。θ=42.3°のときの圧電セラミックス振動子4の奥行Dは8.75mmである。
本発明では、被検査体2と圧電セラミックス振動子4との隙間が、音響特性を損なうことがない範囲で広く(大きく)なるように設定することで、被検査体2と圧電セラミックス振動子4との接触面積を稼ぐ。被検査体2と圧電セラミックス振動子4との隙間には、後述のように被検査体2と圧電セラミックス振動子4とを繋ぐ役割を果たすエポキシ樹脂などの整合層が配される。整合層の厚さxは、一般に、出力超音波波長の(1/100)以下であれば、音響的に厚さを無視することができ、音響特性を損なうことがないと考えられる(特許文献1参照)。ここでは、超音波の設計周波数60kHzに対して圧電セラミックス振動子4の奥行Dを6.1mmと定める。なお、圧電セラミックス振動子4の奥行DがDmaxより大きくなると、被検査体2と圧電セラミックス振動子4との隙間が大きくなって、振動が被検査体2に十分に伝わらなくなり、エネルギーの無駄が発生する。
次に、圧電セラミックス振動子4の幅Wと高さHの設計方法について説明する。圧電セラミックス振動子4の高さHについては、周波数定数N=fr・t(ここでは、t=H、frは超音波の周波数)に従って決定するが、前記シミュレーションの結果から判断して、W:D:H=2.9:1:2.9の寸法比にとれば、不必要な結合振動を生ぜず、所望の振動特性によって、望む振動周波数を高効率に発振することのできる圧電セラミックス振動子4を得ることができる。圧電セラミックス振動子4の幅Wについても、圧電セラミックス振動子4と被検査体2の十分に大きな接触面積を確保できる寸法(比)とすることが可能である。
以上の検討・計算の結果、幅17.6mm×奥行6.1mm×高さ17.6mm、設計周波数60kHzの圧電セラミックス振動子IIIを用いて超音波探触子を実際に製作して、インピーダンスメーター(ヒューレットパッカード製)により、振動を確認したところ、図14のように確かに60.2299kHzに共振点を有することが確認できた。
以上説明したように寸法比W:D:H=2.9:1:2.9の圧電セラミックス振動子の上下に正負の電極を形成し、これら電極間に電圧を印加することで、被検査体2の軸方向に沿った超音波振動を発生させ、このような圧電セラミックス振動子と電極とからなる超音波探触子を、被検査体2の側面に整合層を介して接触結合させることで、超音波(ガイド波)を被検査体2に送信して伝搬させることができ、例えば、地中に埋設された被検査体2の探傷・減肉診断を行うことができる。ここで、本発明では、被検査体2の軸および接線と直交する軸(第1の軸)の方向が電界方向となり、被検査体2の軸(第2の軸)の方向が伸び方向(分極方向も同じ方向)となり、前記第1、第2の軸を二辺とする平行四辺形状振動を主たるモードとする振動を、被検査体2に生じさせることができる。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図15(A)は本発明の実施の形態に係る超音波探触子1の平面図、図15(B)は超音波探触子1の側面図、図15(B)は超音波探触子1の断面図である。本実施の形態の超音波探触子1は、圧電セラミックス振動子4と、圧電セラミックス振動子4の上面と下面に形成された電極5,6と、超音波探触子1を被検査体2に接触させるときに電極6および圧電セラミックス振動子4と被検査体2との間に配置されるエポキシ樹脂などの樹脂製の整合層7と、圧電セラミックス振動子4と電極5,6と整合層7とを収容する筐体8とから構成される。なお、図15(A)〜図15(C)では、超音波探触子1の構成を分かり易くするため、筐体8の内部を透視して記載している。
上記のとおり、圧電セラミックス振動子4の幅は17.6mm、奥行は6.1mm、高さは17.6mm、設計周波数は60kHzである。筐体8の幅は25.5mm、奥行は14mm、高さは30mmである。ここでは、圧電セラミックスとしてPZTを用いている。なお、筐体8と圧電セラミックス振動子4との間には例えばコルクなどの吸音材(不図示)が充填されている。
整合層7の断面形状は図15(C)に示すように被検査体2と隙間なく接触するように予め成形されており、これにより超音波探触子1と被検査体2との十分に大きな接触面積を確保できるようになっている。被検査体2の直径は13mmである。
上記のとおり、超音波探触子1を被検査体2に接触させた状態で電極5,6間に電圧を印加すると、圧電セラミックス振動子4が被検査体2の軸方向(図15(A)、図15(B)左右方向)に沿って振動する。このとき、被検査体2の軸および接線と直交する軸(第1の軸)の方向(図15(A)、図15(B)上下方向)が電界方向となり、被検査体2の軸(第2の軸)の方向が伸び方向(分極方向も同じ方向)となり、第1、第2の軸を二辺とする平行四辺形状振動を主たるモードとする振動を、被検査体2に生じさせることができる。こうして、SH波垂直探触子となる超音波探触子1を実現することができる。
被検査体2の外径に対して、同等程度の外形寸法を有する高出力・高効率な超音波探触子1を実現できたことから、被検査体2に効率良く超音波振動を入射・励起することができるようになった。被検査体2の他端面(超音波探触子1を附置する位置から遠い端面)ならびに減肉部等の探傷位置からの反射エコーを、同探触子1の受信信号によって観測することを実現できた。
ただし、1つの超音波探触子1を用いても、被検査体2に生じる探傷用の振動波(L/Fモード等のガイド波)の振動変位(振幅)が不足する場合には、図16に示すように複数の超音波探触子1−A,1−B,1−Cにより発生した超音波(信号波)の振幅加算や振幅抑圧などを行うことが必要となる。本実施の形態では、超音波探触子1−A〜1−Cを小型化することにより、超音波の1/2波長の間隔で複数の超音波探触子1−A〜1−Cを被検査体2の軸方向に並べることが可能となる。
図16の100−A,100−B,100−Cがそれぞれ超音波探触子1−A,1−B,1−Cによって発生した超音波を表している。そして、100−Dが超音波探触子1−Cの超音波によって強化(振幅加算)された超音波探触子1−Bの超音波を表し、100−Eが超音波探触子1−Aの超音波によって弱化(振幅抑圧)された超音波探触子1−Bの超音波を表している。
なお、被検査体2に超音波を送信した後の超音波探傷の具体的な方法は周知の技術であるので、説明は省略する。
本実施の形態では、被検査体2の直径を13mmとしているが、これに限るものではない。本発明では、単位長さ当り減衰率αと被検査体2の半径aとの積の値を0.4dB−m/m(1m当たり約5%減衰)まで許容することとする。図17によると、0.4dB−m/mに対応する、周波数fと半径aとの積の値は1.3kHz−mである。したがって、周波数fと半径aとの積が1.3kHz−m以下となる外径寸法の被検査体2に本発明を適用することができる。
具体的には、本発明を適用可能な被検査体2の直径は13mmφ(適用周波数200kHz)〜50mmφ(適用周波数30kHz)の範囲となる。13mmφを下限とする理由は、適用周波数を固定したときに、被検査体2の直径が13mmφ未満になると、伝搬減衰が大きくなり、必要な探傷振動(超音波)が得られなくなるためである。一方、太い被検査体2については、本発明を適用するのに特段の困難性はないが、被検査体2の直径が50mmφより大きくなれば、従来使用されている探触子の使用で事足りるため、50mmφを上限とする。
本発明は、地中に埋設された被検査体である電柱下部支線の探傷・減肉診断等に利用可能である。従来、地中の構造物診断は、土砂を掘削する等しなければ観察の手段がなかったが、本発明の超音波探触子を用いることによって、埋設土を掘削することなく被検査体の観察を実施することが可能な全く新たな手段を提供することができる。
1,1−A〜1−C…超音波探触子、2…被検査体、4…圧電セラミックス振動子、5,6…電極、7…整合層、8…筐体。

Claims (4)

  1. 円柱状の被検査体と接触して超音波振動を伝えることにより前記被検査体に超音波ガイド波を発生させる超音波探触子において、
    前記被検査体と対向するように配置される圧電セラミックス振動子と、
    この圧電セラミックス振動子の前記被検査体に接する面に形成された第1の電極と、
    前記圧電セラミックス振動子の前記被検査体に接する面と反対側の面に形成された第2の電極とを備え、
    前記圧電セラミックス振動子は、前記被検査体の軸方向に沿った寸法を幅W、前記被検査体の円形の断面と接する接線の方向に沿った寸法を奥行D、前記軸方向および接線方向と直交する方向に沿った寸法を高さHとしたとき、奥行方向の端部における前記被検査体との整合層厚さが出力超音波波長の1/100以下となるように設定される奥行Dと、この奥行Dの略2.9倍となる幅Wおよび高さHを有することを特徴とする超音波探触子。
  2. 請求項1記載の超音波探触子において、
    前記被検査体の軸方向に沿って複数設置されることを特徴とする超音波探触子。
  3. 請求項1または2記載の超音波探触子において、
    前記圧電セラミックス振動子の出力超音波周波数は30〜200kHzの範囲であることを特徴とする超音波探触子。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波探触子において、
    前記被検査体の直径は13〜50mmの範囲であることを特徴とする超音波探触子。
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