JP6001329B2 - 有機電界発光素子、並びに該素子を用いた発光装置、表示装置及び照明装置 - Google Patents

有機電界発光素子、並びに該素子を用いた発光装置、表示装置及び照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機電界発光素子に関する。また本発明は、前記有機電界発光素子を用いた発光装置、表示装置または照明装置にも関する。
有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。有機電界発光素子は、様々な発光波長を有する素子として提供することが可能であり、応答速度が速くて、比較的薄くて軽量であることから、広汎な用途へ応用されることが期待されている。なかでも、青色純度が高くて、発光効率が高い有機電界発光素子の開発は、フルカラーディスプレイへの応用等において重要であり、これまでにも種々の開発研究成果が報告されている。
例えば、特許文献1には、有機電界発光素子の電子輸送帯域に、シアノ基と芳香族環基を有する電子輸送材料を用いることにより、低電圧、高効率、長寿命な青色発光の有機電界発光素子が得られることが記載されている。
国際公開WO2012/017680号公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、上記特許文献1に記載の有機電界発光素子は水色であり、青色純度に不満が残るものであった。
さらに、上記特許文献1に記載の有機電界発光素子は輝度半減寿命が長いことをもって長寿命であると記載されているが、特許文献1には特に初期点灯時に輝度がどのように劣化していくかについて開示も示唆もされていなかった。これに対し、本発明者が特許文献1に記載された有機電界発光素子の特性を検討した結果、点灯初期の輝度劣化速度の観点からは不満が残るものであることがわかった。有機電界発光素子の点灯初期の輝度劣化が速いことは、通常はコスト上の問題として使用がすすんでいない単純照明として用いる場合はさほど問題とならないが、例えばディスプレイのブルーの光源としてこのような点灯初期の輝度劣化が速い素子を用いるとレッドまたはグリーンの光源との点灯初期の輝度劣化速度に差が生じてしまい、通常のディスプレイ製造時の想定の範囲を超えて色ずれの問題が発生する。すなわち、点灯初期の急激な輝度の劣化が起こると、単色では感知しにくいものの、ディスプレイ用途などで他の色と混色したときに色ずれとして感知されてしまうため問題となることがわかった。
本発明は以上の問題を解決することを目的とするものである。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、青色純度が良好であり、点灯初期の輝度劣化速度が遅い有機電界発光素子を提供することにある。
そこで本発明者は、青色純度が良好であり、点灯初期の輝度劣化速度が遅い有機電界発光素子を提供することを目的として鋭意検討を進めた。その結果、アントラセンもしくはピレンが、特定のベンゾニトリル構造を有する基で置換された化合物を用いれば、上記の課題を解決することができることを見出して、以下に記載される本発明を提供するに至った。
[1] 基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記有機層の少なくとも一層に下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
(一般式(1)中、R111〜R119はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す。)
(一般式(2)中、R211〜R220はそれぞれ独立に*(*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す)、水素原子または置換基を表し、R211〜R220の少なくとも一つは*を表す。)
(一般式(3)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA21〜RA24およびRA31〜RA35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA21、RA22、RA24およびRA31〜RA35のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
(一般式(4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA41〜RA44およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA41、RA42およびRA51〜RA55のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
[2] [1]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(3)または(4)で表される基が、下記一般式(3−1)〜(3−4)および(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される基であることが好ましい。
(一般式(3−1)〜(3−4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA21〜RA24およびRA31〜RA35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
(一般式(4−1)〜(4−3)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14、RA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA41 A44 およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
[3] [1]または[2]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)または(2)で表される化合物が含まれる有機層が、前記発光層と前記陰極の間に配置された有機層であることを特徴とする。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)または(2)で表される化合物が含まれる有機層と、前記発光層が隣接することが好ましい。
[5] [3]または[4]に記載の有機電界発光素子は、前記発光層が、下記一般式(p−1)で表される化合物を含むことが好ましい。
(一般式(p−1)中、Rp1〜Rp10は水素原子または置換基を表す。)
[6] [3]または[4]に記載の有機電界発光素子は、前記発光層が、下記一般式(PT−1)で表される化合物を含むことが好ましい。
(一般式(PT−1)中、Rpt1〜Rpt18は水素原子または置換基を表す。)
[7] [3]または[4]に記載の有機電界発光素子は、前記発光層が、下記一般式(ch−1)で表される化合物を含むことが好ましい。
(一般式(ch−1)中、Rch1〜Rch12は水素原子または置換基を表す。)
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)または(2)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基が、単結合またはフェニレン基を介して結合することが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物のR113が、フェニル基であることが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
[12] [1]〜[9]のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
本発明の有機電界発光素子によれば、青色純度が良好であり、点灯初期の輝度劣化速度が遅い有機電界発光素子を提供することができる。
本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す概略図である。 本発明に係る発光装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る照明装置の一例を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記有機層の少なくとも一層に下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含むことを特徴とする。
(一般式(1)中、R111〜R119はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す。)
(一般式(2)中、R211〜R220はそれぞれ独立に*(*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す)、水素原子または置換基を表し、R211〜R220の少なくとも一つは*を表す。)
(一般式(3)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA21〜RA24およびRA31〜RA35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA21、RA22、RA24およびRA31〜RA35のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
(一般式(4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA41〜RA44およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA41、RA42およびRA51〜RA55のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
本発明の有機電界発光素子は、有機層の少なくとも一層に前記一般式(1)または(2)で表される化合物を含有することにより、青色純度が良好であり、点灯初期の輝度劣化速度が遅い。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、点灯初期の輝度劣化速度の向上は、分子形状の違い(鎖状、分岐、平面性など)によって電荷の輸送能が異なり、それによってキャリアバランスが変化することで耐久性が変化している可能性が考えられる。本発明の化合物はイオン化ポテンシャルが比較化合物に比べて小さく、その結果、発光層と電子輸送層の界面での電荷蓄積を緩和し、耐久性向上に繋がって、点灯初期の輝度劣化速度が改善している可能性がある。
<<一般式(1)で表される化合物>>
以下において、まず、前記一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。
本発明において、前記各一般式の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、またさらに置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明において、「置換基」というとき、その置換基はさらに置換されていてもよい。例えば、本発明で「アルキル基」と言う時、フッ素原子で置換されたアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)やアリール基で置換されたアルキル基(例えばトリフェニルメチル基)なども含むが、「炭素数1〜6のアルキル基」と言うとき、置換されたものも含めた全ての基として炭素数が1〜6であることを示す。
一般式(1)中、R113はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基を表すことが好ましく、フェニル基、アルキル基であることがより好ましく、フェニル基を表すことが特に好ましい。
前記一般式(1)中、R113がフェニル基を表す場合、該フェニル基はさらに置換基を有していても、有していなくてもよい。
113が表すフェニル基が置換基を有していている場合、該置換基同士は互いに結合して環を形成してもよいが、環を形成しないことが、R113がナフチル基などの縮合環である化合物に対し、S1準位を高くしてさらに有機電界発光素子を高効率化できる点で優れる。
113が表すフェニル基は無置換であるか、置換基としてアルキル基またはシリル基を有することが好ましい。
113が表すフェニル基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基が特に好ましく、メチル基であることがより特に好ましい。R113が表すフェニル基の置換基としてのアルキル基はさらに置換基を有していてもよいが、置換基を有さないことが好ましい。
113が表すフェニル基の置換基としてのシリル基としては、置換基を有するシリル基であることが好ましく、3置換のシリル基であることがより好ましい。R113が表すフェニル基の置換基としてのシリル基が有する置換基としては、特に制限はないが、アルキル基およびアリール基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基および炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が特に好ましい。R11〜R15が表すシリル基は、トリメチルシリル基またはトリフェニルシリル基であることがより特に好ましく、トリメチルシリル基であることがさらにより特に好ましい。
113が表すフェニル基のうち、アルキル基またはシリル基の個数は合計で0〜3個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0または1個であることが特に好ましい。前記一般式(1)で表される化合物のS1準位を高くしてさらに有機電界発光素子を高効率化することが必要な場合には、R113が表すフェニル基のオルト位の少なくとも一方にアルキル基またはシリル基を有することが好ましく、R113が表すフェニル基のオルト位の一方のみにアルキル基またはシリル基を有することがより好ましい。
一般式(1)中、R111、R112、R114〜R119はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、水素原子であることが有機電界発光素子の発光波長を短波長化でき、前記一般式(1)で表される化合物のS1準位を高くして有機電界発光素子を高効率化できる観点から好ましい。
一般式(1)中、R111〜R119は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
一般式(1)中、*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す。
(一般式(3)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA21〜RA24およびRA31〜RA35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA21、RA22、RA24およびRA31〜RA35のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
(一般式(4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA41〜RA44およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA41、RA42およびRA51〜RA55のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
前記一般式(3)または(4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して前記一般式(1)中の*と結合する。
前記一般式(1)中、RA11〜RA15が置換しているベンゼン環はフェニレン基を表す。前記一般式(1)で表される化合物は、RA11〜RA15が互いに結合して縮合環を形成しないことが好ましい。また、前記一般式(1)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基が連結基を介して結合する場合、該連結基は縮合環を含まないことが好ましい。アントラセン骨格に隣接する置換基が、ナフチル基などの縮合環である化合物に対し、フェニル基である化合物は、S1準位を高くしてさらに有機電界発光素子を高効率化できる点で優れる。
前記一般式(1)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基は、単結合またはフェニレン基を介して結合することが好ましく、単結合、o−フェニレン基またはm−フェニレン基を介して結合することが、p−フェニレン基であるよりも発光効率を高める観点からより好ましい。耐久性の観点からは、前記一般式(1)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基は単結合またはm−フェニレン基を介して結合することがより好ましい。一方で、高効率化の観点からは、前記一般式(1)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基がo−フェニレン基を介して結合することも好ましい。
前記一般式(1)中、前記一般式(1)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基が連結基としてフェニレン基を介して結合する場合、該フェニレン基は置換基を有していても有していなくてもよい。
前記前記一般式(1)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基の連結基としてのフェニレン基は、前記一般式(1)で表される化合物の骨格(一般式(1)ではアントラセン骨格)に対してパラ位が水素原子、アルキル基またはシリル基を表すことが好ましく、水素原子、アルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。前記一般式(1)で表される化合物の骨格に対してパラ位の基が表すアルキル基の好ましい範囲は、R113が置換基を有するフェニル基である場合において該置換基の表すアルキル基の好ましい範囲と同様である。前記一般式(1)で表される化合物の骨格に対してパラ位の基が表すシリル基の好ましい範囲は、R113が置換基を有するフェニル基である場合において該置換基の表すシリル基の好ましい範囲と同様である。
前記一般式(1)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基の連結基としてのフェニレン基のその他の基が表すアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基が特に好ましく、メチル基であることがより特に好ましい。前記その他の基が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよいが、置換基を有さないことが好ましい。
前記その他の基のうち、アルキル基の個数は合計で0〜2個であることが好ましく、0または1個であることがより好ましく、0個であることが特に好ましい。
前記一般式(3)または(4)中、RA11、RA12、RA14およびRA15のうち一般式(1)で表される化合物中の*と結合する部位は、耐久性の観点からRA12またはRA14であることがより好ましい。
前記一般式(3)または(4)中、RA11〜RA15のうち一般式(1)で表される化合物中の*と結合しない基はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては特に制限はないが、アルキル基であることが好ましい。
A11〜RA15のうち一般式(1)で表される化合物中の*と結合しない基が表すアルキル基の好ましい範囲は、R113が置換基を有するフェニル基である場合において該置換基が表すアルキル基の好ましい範囲と同様である。
前記一般式(3)または(4)中、RA11〜RA15のうち一般式(1)で表される化合物中の*と結合しない基は水素原子であることがより好ましい。
前記一般式(3)または(4)中、RA21〜RA24およびRA31〜RA35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA21、RA22、RA24およびRA31〜RA35のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。また、RA41〜RA44およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA41、RA42およびRA51〜RA55のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。
A21〜RA24およびRA31〜RA35のうち、シアノ基の個数は特に制限はないが、1または2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
A21〜RA24に含まれるシアノ基の個数は0または1個であることが好ましい。
A21〜RA24がシアノ基以外を表す場合、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、該置換基としては特に制限はないがアルキル基であることが好ましい。
A21〜RA24が表すアルキル基の好ましい範囲は、R113が置換基を有するフェニル基である場合において該置換基が表すアルキル基の好ましい範囲と同様である。
A21〜RA24中のシアノ基以外の置換基の個数は0〜4であることが好ましく、0〜2であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
A21〜RA24は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。RA21〜RA24のいずれかがRA11〜RA15のいずれかと互いに結合して環を形成しないことが好ましい。RA21〜RA24のいずれかがRA31〜RA35のいずれかと互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
A41〜RA44の好ましい範囲は、RA21〜RA24の好ましい範囲と同様である。
A41〜RA44は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。RA41〜RA44のいずれかがRA11〜RA15のいずれかと互いに結合して環を形成しないことが好ましい。RA41〜RA44のいずれかがRA51〜RA55のいずれかと互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
前記一般式(3)または(4)中、RA31〜RA35同士が連結して環を形成してもよい。その場合、芳香族炭化水素環を形成することが好ましく、RA31〜RA35が置換しているベンゼン環を含めて縮合環全体が炭素数10以下のアリール基を表すことがより好ましい。なお、RA31〜RA35同士が連結して形成される環は芳香族炭化水素環であることが、カルバゾールなどのその他の縮環を形成する場合と比べて芳香族炭化水素環であれば点灯初期の輝度劣化速度に悪影響を与えにくい。但し、RA31〜RA35同士は互いに連結して環を形成しない方がより好ましい。
A31〜RA35同士が連結して形成される芳香族炭化水素環としては、炭素数10以下の芳香族炭化水素環であることが、アントラセン環、トリフェニレン環などの炭素数が14以上の環と比べて発光効率の観点から好ましく、ナフタレン環であることがより好ましい。
A31〜RA35に含まれるシアノ基の個数は0または1個であることが好ましい。
A31〜RA35がシアノ基以外を表す場合、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、該置換基としては特に制限はないがアルキル基であることが好ましい。
A31〜RA35が表すアルキル基の好ましい範囲は、R113が置換基を有するフェニル基である場合において該置換基が表すアルキル基の好ましい範囲と同様である。
A31〜RA35中のシアノ基以外の置換基の個数は0〜4であることが好ましく、0〜2であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
A51〜RA55の好ましい範囲は、RA31〜RA35の好ましい範囲と同様である。
前記一般式(3)または(4)で表される基は、RA31〜RA35同士、あるいは、RA51〜RA55同士が連結して芳香族炭化水素環を形成しておらず、シアノ基置換のp−ターフェニレン構造またはシアノ基置換のm−ターフェニレン構造であることが好ましく、シアノ基置換のp−ターフェニレン構造であることがより好ましい。
本発明の有機電界発光素子では、前記一般式(3)または(4)で表される基が、下記一般式(3−1)〜(3−4)および(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される基であることが好ましい。
一般式(3−1)〜(3−4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA21〜RA24およびRA31〜RA35、はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
一般式(4−1)〜(4−3)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14、RA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA41 A44 およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
前記一般式(3)または(4)で表される基は、前記一般式(3−1)〜(3−4)および(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される基の中でも、前記一般式(3−1)および前記一般式(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される基であることが好ましく、前記一般式(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される基であることがより好ましく、前記一般式(4−3)で表される基であることが特に好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、分子量が1000以下であることが好ましく、900以下であることがより好ましく、800以下であることがさらに好ましく、700以下であることが特に好ましい。分子量を低くすることによって、昇華温度を低くすることができるため、蒸着時における化合物の熱分解を防ぐことができる。また、蒸着時間を短縮して、蒸着に必要なエネルギーを抑えることもできる。ここで、昇華温度の高い材料では長時間蒸着時に熱分解が起こり得るため、蒸着適性の観点では昇華温度は高過ぎない方がよい。前記一般式(1)で表される化合物の昇華温度(本明細書中、10質量%減少温度を意味する)は好ましくは500℃以下であり、より好ましくは450℃以下であり、さらに好ましくは400℃以下であり、最も好ましくは350℃以下である。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる一般式(1)で表される化合物は、これらの具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
前記一般式(1)で表される化合物は、公知の反応を組み合わせることで合成することができる。例えば、特開2008−50308号公報や、特開2004−67528号公報を参考に合成できる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
<<一般式(2)で表される化合物>>
一般式(2)中、R211〜R220はそれぞれ独立に*(*は前記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す)、水素原子または置換基を表し、R211〜R220の少なくとも一つは*を表す。
一般式(2)中、R211〜R220のうち、*(*は前記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す)の位置に特に制限はないが、R212、R215、R217およびR220のいずれかの位置であることが好ましい。
一般式(2)中、R211〜R220のうち、*(*は前記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す)の個数に特に制限はないが、1〜4個であることが好ましく、1または2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
一般式(2)中、*を表す以外のR211〜R220はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。該置換基としては特に制限はないが、アリール基、アルキル基であることが好ましく、アリール基であることが耐久性の観点からより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが特に特に好ましく、フェニル基であることがより特に好ましい。
一般式(2)中、*を表す以外のR211〜R220に含まれる水素原子以外の置換基の位置に特に制限はないが、R212〜R215、R217〜R220のいずれかの位置であることが好ましく、*の点対称の位置であることがより好ましい。
一般式(2)中、*を表す以外のR211〜R220に含まれる水素原子以外の置換基の個数に特に制限はないが、0〜3個であることが好ましく、0または1個であることがより好ましく、0個であることが特に好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物中、前記一般式(3)または(4)で表される基の好ましい範囲や好ましい結合態様については、前記一般式(1)で表される化合物における前記一般式(3)または(4)で表される基の好ましい範囲や好ましい結合態様と同様である。
前記一般式(2)で表される化合物は、分子量が1000以下であることが好ましく、900以下であることがより好ましく、800以下であることがさらに好ましく、700以下であることが特に好ましい。分子量を低くすることによって、昇華温度を低くすることができるため、蒸着時における化合物の熱分解を防ぐことができる。また、蒸着時間を短縮して、蒸着に必要なエネルギーを抑えることもできる。ここで、昇華温度の高い材料では長時間蒸着時に熱分解が起こり得るため、蒸着適性の観点では昇華温度は高過ぎない方がよい。前記一般式(2)で表される化合物の昇華温度(本明細書中、10質量%減少温度を意味する)は好ましくは500℃以下であり、より好ましくは450℃以下であり、さらに好ましくは400℃以下であり、最も好ましくは350℃以下である。
前記一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる一般式(2)で表される化合物は、これらの具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
前記一般式(2)で表される化合物は、公知の反応を組み合わせることで合成することができる。例えば、WO2012/017680号公報を参考に合成できる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
<<有機電界発光素子の構成>>
本発明の有機電界発光素子は、基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記発光層のうち少なくとも一層に前記一般式(1)または(2)で表される化合物を含むことを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子の構成は、特に制限されることはない。図1に、本発明の有機電界発光素子の構成の一例を示す。図1の有機電界発光素子10は、基板2上に、一対の電極(陽極3と陰極9)の間に有機層を有する。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様について、基板、電極、有機層、保護層、封止容器、駆動方法、発光波長、用途の順で詳細に説明する。
<基板>
本発明の有機電界発光素子は、基板を有する。
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
<電極>
本発明の有機電界発光素子は、前記基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極を有する。
発光素子の性質上、一対の電極である陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
(陽極)
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
(陰極)
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
<有機層>
本発明の有機電界発光素子は、前記電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有し、前記発光層のうち少なくとも一層に前記一般式(1)または(2)で表される化合物を含むことを特徴とする。
前記有機層は、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記半透明電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記半透明電極上の全面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子における、有機層の構成、有機層の形成方法、有機層を構成する各層の好ましい態様および各層に使用される材料について順に説明する。
(有機層の構成)
本発明の有機電界発光素子では、前記有機層が発光層を含む。前記有機層が、電荷輸送層を含むことが好ましい。前記電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。前記電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。
前記一般式(1)または(2)で表される化合物は、有機電界発光素子の前記電極間に配置される有機層のうち、少なくとも一層に含有され、前記発光層と前記陰極の間に配置された有機層に含有されることが好ましい。また、前記発光層が隣接する有機層に含有されることが好ましい。前記一般式(1)または(2)で表される化合物は、前記発光層と前記陰極の間に配置され、かつ、発光層が隣接する有機層(いわゆる電子輸送層)に含有されることがより好ましい。
但し、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、前記一般式(1)または(2)で表される化合物は本発明の有機電界発光素子の電子輸送層以外のその他の有機層に含有されていてもよい。前記一般式(1)または(2)で表される化合物を含有してもよい電子輸送層以外の有機層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層(正孔ブロック層、電子ブロック層など)などを挙げることができ、好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれかであり、より好ましくは正孔輸送層、励起子ブロック層、電荷ブロック層である。
前記一般式(1)または(2)で表される化合物が発光層に含有される場合、一般式(1)または(2)で表される化合物は発光層の全質量に対して0.1〜100質量%含まれることが好ましく、1〜50質量%含まれることがより好ましく、2〜20質量%含まれることがより好ましい。
前記一般式(1)または(2)で表される化合物が電子輸送層などの発光層以外の有機層に含有される場合、一般式(1)または(2)で表される化合物はその有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、80〜100質量%含まれることがより好ましく、90〜100質量%含まれることがさらに好ましい。
(有機層の形成方法)
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法等の湿式製膜法(溶液塗布法)のいずれによっても好適に形成することができる。
本発明の有機電界発光素子は、前記一対の電極間に配置された有機層が、少なくとも一層の前記一般式(1)または(2)で表される化合物を含む組成物の蒸着により形成されていることが好ましい。
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。但し、本発明における前記発光層は、このようなメカニズムによる発光に必ずしも限定されるものではない。
本発明の有機電界発光素子における前記発光層は、前記発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と前記発光材料の混合層とした構成でもよい。前記発光材料の種類は一種であっても二種以上であってもよい。前記ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。前記ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、前記発光層は、電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
・ホスト材料
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)または(2)で表される化合物をホスト材料として用いてもよく、前記一般式(1)または(2)で表される化合物とは別のホスト材料を用いてもよく、これらを組み合わせて用いることも可能である。ここで、本明細書中、ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。
なお、本発明の有機電界発光素子に用いることのできるホスト材料としては、前記一般式(1)または(2)で表される化合物の他、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、前記一般式(1)または(2)で表される化合物以外の縮環芳香族炭化水素化合物(フルオレン、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレン等)、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。その他に、特開2010−111620の[0081]や[0083]に記載される化合物を用いることもできる。
これらのうち、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アリールアミン、前記一般式(1)または(2)で表される化合物以外の縮環芳香族炭化水素化合物、金属錯体が好ましく、縮環芳香族炭化水素化合物が安定であるために特に好ましい。前記一般式(1)または(2)で表される化合物以外の縮環芳香族炭化水素化合物としてはナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、トリフェニレン系化合物、ピレン系化合物が好ましく、ピレン系化合物がより好ましい。
本発明の有機電界発光素子における発光層において用いることができるホスト材料としては、正孔輸送性ホスト材料であっても、電子輸送性ホスト材料であってもよい。
発光層において、前記ホスト材料の膜状態での一重項最低励起エネルギー(S1エネルギー)が、前記発光材料のS1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。ホスト材料のS1が発光材料のS1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
ホスト材料の膜状態でのS1が発光材料のS1より小さいと発光を消光してしまうためホスト材料には発光材料より大きなS1が求められる。また、ホスト材料のS1が発光材料より大きい場合でも、両者のS1差が小さい場合には一部、発光材料からホスト材料への逆エネルギー移動が起こるため、効率低下や色純度低下、耐久性低下の原因となる。従って、S1が十分に大きく、化学的安定性及びキャリア注入・輸送性の高いホスト材料が求められる。
また、本発明の有機電界発光素子における発光層におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15〜99質量%であることが好ましい。発光層に、前記一般式(1)または(2)で表される化合物を含む複数種類のホスト化合物を含む場合、前記一般式(1)または(2)で表される化合物は全ホスト化合物中50〜99質量%以下であることが好ましい。
・発光材料
本発明の有機電界発光素子では、また、本発明の有機電界発光素子において、前記一般式(1)または(2)で表される化合物を発光層の発光材料として使用する場合や、発光層以外の有機層に用いる場合にも、前記一般式(1)または(2)で表される化合物とは別の発光材料を発光層に用いることが可能である。
本発明において用いることができる発光材料は、燐光発光材料、蛍光発光材料等のいずれであってもよい。また、本発明における発光層は、色純度を向上させたり、発光波長領域を広げたりするために、2種類以上の発光材料を含有することができる。
本発明の有機電界発光素子に用いることができる蛍光発光材料や燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736号公報の段落番号[0100]〜[0164]、特開2007−266458号公報の段落番号[0088]〜[0090]に詳述されており、これら公報の記載の事項を本発明に適用することができる。
本発明に使用できる燐光発光材料としては、例えば、米国特許第6303238号明細書、米国特許第6097147号明細書、WO00/57676号公報、WO00/70655号公報、WO01/08230号公報、WO01/39234号公報、WO01/41512号公報、WO02/02714号公報、WO02/15645号公報、WO02/44189号公報、WO05/19373号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−117978号公報、特開2003−133074号公報、特開2002−235076号公報、特開2003−123982号公報、特開2002−170684号公報、欧州特許公開第1211257号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−298470号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−203678号公報、特開2002−203679号公報、特開2004−357791号公報、特開2006−256999号公報、特開2007−19462号公報、特開2007−84635号公報、特開2007−96259号公報等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光材料としては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体等の燐光発光性金属錯体化合物が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、Ir錯体、Pt錯体が特に好ましく、Ir錯体が最も好ましい。
本発明に使用できる蛍光発光材料の種類は特に限定されるものではないが、前記一般式(1)または(2)で表される化合物の他、例えば、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、及びこれらの誘導体などを挙げることができる。
その他に、特開2010−111620号公報の[0082]に記載される化合物を発光材料として用いることもできる。
前記一般式(1)または(2)で表される化合物を発光層のホスト材料に用いる場合、本発明の有機電界発光素子は発光材料として蛍光発光材料を用いることが好ましく、青色発光の蛍光発光材料を用いることがより好ましい。
本発明の有機電界発光素子の極大発光波長は460nm未満とすることが好ましく、より好ましくは400nm以上460nm未満であり、特に好ましくは420nm以上455nm未満であり、さらに好ましくは430nm以上455nm未満であり、色純度の高い青色発光が得られる観点から最も好ましくは440nm以上455nm未満である。
本発明の有機電界発光素子は、極大発光波長が440nm以上455nm未満であると、特に色純度の高い青色発光が得られて好ましい。このような有機電界発光素子を得るための発光材料としては、高い発光効率と点灯初期の輝度劣化速度の改善を実現させながら、スペクトルをシャープ化させることができて、青色純度を向上させることができる観点から、ピレン誘導体、フェナントロトリフェニレン誘導体およびクリセン誘導体を用いることが好ましい。
いかなる理論に拘泥するものもないが、青色純度を良好にするためには、発光波長を短くすることも有用であることが知られている。しかしながら、発光材料の発光波長を短くすると、発光材料のS1(最低励起一重項エネルギー準位)が大きくなるため、発光材料のS1とホスト材料や電子輸送材料のS1との差が小さくなるか、あるいは発光材料のS1よりもホスト材料や電子輸送材料のS1が大きくなってしまう。これに対し、発光材料として、ピレン誘導体、フェナントロトリフェニレン誘導体およびクリセン誘導体を用い、本発明の前記一般式(1)または(2)で表される化合物を有機層の少なくとも1層に用いることにより、発光効率を高く維持しつつ、同時に青色純度も改善することができる。
前記ピレン誘導体としては、特に限定されないが、下記一般式(p−1)で表される化合物が挙げられる。
[一般式(p−1)中、Rp1〜Rp10は水素原子または置換基を表す。]
p1〜Rp10が表す置換基としては下記の置換基群Aで挙げた置換基が挙げられ、隣り合う置換基同士が単結合または連結基を介して結合し環を形成してもよい。また、置換基群Aで挙げた置換基がさらに置換されていてもよく、置換基群A上で隣り合う置換基同士が単結合または連結基を介して結合し環を形成してもよい。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレニエニル、テルリエニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。
色純度および耐久性の観点から、Rp1〜Rp10の少なくとも一つがアリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基を含む)であることが好ましく、アリール基、アミノ基であることがより好ましい。
前記一般式(p−1)で表される化合物は、下記一般式(p−2)、一般式(p−3)または一般式(p−4)で表される化合物であることが好ましい。
[一般式(p−2)中、Rp2、Rp4、Rp5、Rp7、Rp9、Rp10は一般式(p−1)中のRp2、Rp4、Rp5、Rp7、Rp9、Rp10と同義である。Arp21〜Arp24は水素原子またはアリール基、ヘテロアリール基を表す。少なくとも一つのArp21〜Arp24はアリール基、ヘテロアリール基を表す。]
色純度および耐久性の観点から、Rp2、Rp4、Rp5、Rp7、Rp9、Rp10は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
色純度の観点から、Arp21〜Arp24は水素原子またはアリール基であることが好ましく、Arp21〜Arp24の一つまたは二つまたは四つがアリール基であることがより好ましく、二つまたは四つがアリール基であることがさらに好ましく、四つがアリール基であることが特に好ましい。
前記一般式(p−2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
[一般式(p−3)中、Rp2〜Rp5、Rp7〜Rp10は一般式(p−1)中のRP2〜RP5、RP7〜RP10と同義である。Arp31〜Arp34は置換基を表す。]
色純度および耐久性の観点から、Rp2〜Rp5、Rp7〜Rp10は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基であることがより好ましく、水素原子、アリール基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
Arp31〜Arp34は置換基を表す。置換基としては置換基群Bで挙げた置換基が挙げられ、隣り合う置換基同士が単結合または連結基を介して結合し環を形成してもよい。また、置換基群Bで挙げた置換基がさらに置換されていてもよく、置換基群B上で隣り合う置換基同士が単結合または連結基を介して結合し環を形成してもよい。
(置換基群B)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、シアノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレニエニル、テルリエニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)
本発明において、上記アルキル基等の置換基の「炭素数」とは、アルキル基等の置換基が他の置換基によって置換されてもよい場合も含み、当該他の置換基の炭素数も包含する意味で用いる。
色純度および耐久性の観点から、Arp31〜Arp34はアリール基またはヘテロアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましい。アリール基の中でも、置換基を有するフェニル基であることがさらに好ましく、Arp31、Arp32のいずれか一方と、Arp32、Arp34のいずれか一方が少なくとも一つのフッ素原子で置換されたフェニル基であることが特に好ましい。
前記一般式(p−3)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
[一般式(p−4)中、Rp1〜Rp4、Rp6〜Rp9は一般式(p−1)中のRp1〜Rp4、Rp6〜Rp9と同義である。Arp41、Arp42は水素原子またはアリール基、ヘテロアリール基を表す。Arp41、Arp42のいずれか一つはアリール基、ヘテロアリール基を表す。]
色純度および耐久性の観点から、Rp1〜Rp4、Rp6〜Rp9は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
色純度および耐久性の観点から、Arp41、Arp42はアリール基であることが好ましい。アリール基の中でも、置換基を有するフェニル基であることがより好ましく、アミノ基で置換されたフェニル基であることがさらに好ましい。
前記一般式(p−4)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
前記フェナントロトリフェニレン誘導体としては、下記一般式(PT−1)で表される化合物が好ましく挙げられる。
[一般式(PT−1)中、Rpt1〜Rpt18は水素原子または置換基を表す。]
pt1〜Rpt18が表す置換基としては置換基群Aで挙げた置換基が挙げられ、隣り合う置換基同士が単結合または連結基を介して結合し環を形成してもよい。
色純度および耐久性の観点から、Rpt1〜Rpt18の少なくとも一つがアリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基であることが好ましく、アリール基、アミノ基であることがより好ましい。
前記一般式(PT−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
前記一般式(PT−1)で表される化合物は、下記一般式(PT−2)で表される化合物であることが好ましい。
[一般式(PT−2)中、Rpt1〜Rpt5、Rpt7〜Rpt14、Rpt16〜Rpt18は水素原子または置換基を表す。Arpt21〜Arpt24は置換基を表す。]
pt1〜Rpt5、Rpt7〜Rpt14、Rpt16〜Rpt18は水素原子または置換基を表す。Rpt1〜Rpt5、Rpt7〜Rpt14、Rpt16〜Rpt18が表す置換基としては置換基群Aで挙げた置換基が挙げられる。また、置換基群Aで挙げた置換基がさらに置換されていてもよい。
Arpt21〜Arpt24は置換基を表す。Arpt21〜Arpt24が表す置換基としては置換基群Bで挙げた置換基が挙げられ、また、置換基群Bで挙げた置換基がさらに置換されていてもよい。Arpt21〜Arpt24は置換されていてもよいアリール基が好ましい。
前記一般式(PT−2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
前記クリセン誘導体としては、下記一般式(ch−1)で表される化合物が好ましく挙げられる。
[一般式(ch−1)中、Rch1〜Rch12は水素原子または置換基を表す。]
ch1〜Rch12が表す置換基としては置換基群Aで挙げた置換基が挙げられ、隣り合う置換基同士が単結合または連結基を介して結合し環を形成してもよい。
色純度および耐久性の観点から、Rch1〜Rch12の少なくとも一つがアリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基であることが好ましく、アリール基、アミノ基であることがより好ましく、アミノ基であることがさらに好ましく、ジアリールアミノ基であることが特に好ましい。
ch1〜Rch12のうち、少なくとも2つがジアリールアミノ基であることが好ましい。
前記一般式(ch−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の有機電界発光素子に用いられる発光材料は、前記一般式(P−1)で表される化合物、前記一般式(PT−1)で表される化合物および前記一般式(ch−1)で表される化合物の中でも、前記一般式(P−1)で表される化合物および前記一般式(PT−1)で表される化合物が好ましく、前記一般式(PT−1)で表される化合物がより好ましい。
本発明の有機電界発光素子における発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料の種類は一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料と正孔輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
(その他の層)
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層以外のその他の層を有していてもよい。
前記有機層が有していてもよい前記発光層以外のその他の有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、ブロック層(正孔ブロック層、励起子ブロック層など)、電子輸送層などが挙げられる。前記具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ブロック層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
本発明の有機電界発光素子は、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層を少なくとも一層含むことが好ましい。前記(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層を挙げることができる。
本発明の有機電界発光素子は、(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層少なくとも一層含み、上述のとおり(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層に前記一般式(1)または(2)で表される化合物を含むことが好ましい。前記(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陰極側から電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層を挙げることができる。
具体的には、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様の一例は、図1に記載される態様であり、前記有機層として、陽極3側から正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7及び電子輸送層8がこの順に積層されている態様である。
以下、これら本発明の有機電界発光素子が有していてもよい前記発光層以外のその他の層について、説明する。
(A)陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
まず、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
(A−1)正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層および正孔輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することもできる。また、特開2011−71452号公報の〔0250〕〜〔0339〕に記載の事項を本発明の正孔注入層および正孔輸送層について適用することもできる。前記一般式(1)または(2)で表される化合物を正孔注入層および正孔輸送層に適用することも好ましい。その中でも、正孔注入層、正孔輸送層に好ましく用いられる材料について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、下記の化合物を前記発光層と前記陽極との間の有機層に含有することが好ましく、正孔注入層に含有することがより好ましい。
具体的には、以下の構造の化合物が好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも一種の下記一般式(HT−1)で表される化合物を前記発光層と前記陽極との間の有機層に含有することが好ましく、正孔輸送層に含有することがより好ましい。
正孔輸送材料としては、下記一般式(HT−1)で表されるトリアリールアミン化合物が挙げられる。
一般式(HT−1)
[一般式(HT−1)中、RA1〜RA15は水素原子または置換基を表す。]
A1〜RA15が表す置換基としては置換基群Aで挙げた置換基が挙げられ、隣り合う置換基同士が単結合または連結基を介して結合して環を形成してもよい。耐熱性および耐久性の観点から、RA1〜RA5の少なくとも一つとRA6〜RA10の少なくとも一つがアリール基であることが好ましい。
前記一般式(HT−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
一般式(HT−1)で表される化合物を、正孔輸送層中で用いる場合は、一般式(HT−1)で表される化合物は50〜100質量%含まれることが好ましく、80〜100質量%含まれることが好ましく、95〜100質量%含まれることが特に好ましい。
また、一般式(HT−1)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
一般式(HT−1)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(HT−1)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
一般式(HT−1)で表される化合物を含む正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、該正孔輸送層は発光層に接して設けられている事が好ましい。
該正孔輸送層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
一般式(HT−1)で表される化合物の膜状態での最低励起三重項(T1)エネルギーは2.52eV(58kcal/mol)以上3.47eV(80kcal/mol)以下であることが好ましく、eV(57kcal/mol)以上3.25eV(75kcal/mol)以下であることがより好ましく、2.52eV(58kcal/mol)以上3.04eV(70kcal/mol)以下であることが更に好ましい
一般式(HT−1)を構成する水素原子は、水素の同位体(重水素原子等)も含む。この場合化合物中の全ての水素原子が水素同位体に置き換わっていてもよく、また一部が水素同位体を含む化合物である混合物でもよい。
一般式(HT−1)で表される化合物は、種々の公知の合成法を組み合わせて合成することが可能である。最も一般的には、カルバゾール化合物に関してはアリールヒドラジンとシクロヘキサン誘導体との縮合体のアザーコープ転位反応の後、脱水素芳香族化による合成(L.F.Tieze,Th.Eicher著、高野、小笠原訳、精密有機合成、339頁(南江堂刊))が挙げられる。また、得られたカルバゾール化合物とハロゲン化アリール化合物のパラジウム触媒を用いるカップリング反応に関してはテトラヘドロン・レターズ39巻617頁(1998年)、同39巻2367頁(1998年)及び同40巻6393頁(1999年)等に記載の方法が挙げられる。反応温度、反応時間については特に限定されることはなく、前記文献に記載の条件が適用できる。
本発明の一般式(HT−1)で表される化合物は、真空蒸着プロセスで薄層を形成することが好ましいが、溶液塗布などのウェットプロセスも好適に用いることが出来る。化合物の分子量は、蒸着適性や溶解性の観点から2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、800以下であることが特に好ましい。また蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、300以上が特に好ましい。
(A−2)電子ブロック層
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子ブロック層に用いる材料は、前記発光材料のS1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。電子ブロック層に用いる材料の膜状態でのS1が発光材料のS1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
次に、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
(B−1)電子注入層、電子輸送層
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
本発明の有機電界発光素子では、電子輸送材料としては、例えば前記一般式(1)または(2)で表される化合物を好ましく用いることができる。その他の電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン等の縮環炭化水素化合物等をから選ばれることが好ましく、ピリジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、金属錯体、縮環炭化水素化合物のいずれかであることがより好ましい。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層には電子供与性ドーパントを含有することが好ましい。電子注入層に電子供与性ドーパントを含有させることにより、電子注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子供与性ドーパントとは、ドープされる材料に電子を与え、ラジカルアニオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]などのジヒドロイミダゾール化合物、リチウム、セシウムなどが挙げられる。
電子注入層中の電子供与性ドーパントは、電子注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
(B−2)正孔ブロック層
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の膜状態でのS1エネルギーは、発光層で生成する励起子のエネルギー移動を防止し、発光効率を低下させないために、発光材料のS1エネルギーよりも高いことが好ましい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前記一般式(1)または(2)で表される化合物を用いることができる。
前記一般式(1)または(2)で表される化合物以外の、正孔ブロック層を構成するその他の有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(BAlqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層に用いる材料は、前記発光材料のS1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。正孔ブロック層に用いる材料の膜状態でのS1が発光材料のS1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
(B−3)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層に特に好ましく用いられる材料
本発明の有機電界発光素子は、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層の材料に特に好ましく用いられる材料として、前記一般式(1)または(2)で表される化合物、下記一般式(P−1)で表される化合物および下記一般式(O−1)で表される化合物を挙げることができる。
以下、前記一般式(O−1)で表される化合物と、前記一般式(P−1)で表される化合物について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(O−1)で表される化合物を含有することが素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(O−1)について説明する。
(一般式(O−1)中、RO1は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。AO1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。RAは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRAは同じでも異なっていても良い。LO1は、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価〜六価の連結基を表す。nO1は2〜6の整数を表す。)
O1は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。RO1として好ましくはアリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基である。RO1のアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基又はシアノ基が挙げられ、アルキル基又はアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。RO1のアリール基が複数の置換基を有する場合、該複数の置換基は互いに結合して5又は6員環を形成していても良い。RO1のアリール基は、好ましくは置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良いフェニル基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基が置換していてもよいフェニル基であり、更に好ましくは無置換のフェニル基又は2−フェニルフェニル基である。
O1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。AO1〜AO4のうち、0〜2つが窒素原子であるのが好ましく、0又は1つが窒素原子であるのがより好ましい。AO1〜AO4の全てがC−RAであるか、又はAO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであるのが好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであるのがより好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであり、RAが全て水素原子であるのが更に好ましい。
Aは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。また複数のRAは同じでも異なっていても良い。RAとして好ましくは水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
O1は、アリール環(好ましくは炭素数6〜30)又はヘテロアリール環(好ましくは炭素数4〜12)からなる二価〜六価の連結基を表す。LO1として好ましくは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリールトリイル基、又はヘテロアリールトリイル基であり、より好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、又はベンゼントリイル基であり、更に好ましくはビフェニレン基、又はベンゼントリイル基である。LO1は前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良く、置換基を有する場合の置換基としてはアルキル基、アリール基、又はシアノ基が好ましい。LO1の具体例としては、以下のものが挙げられる。
O1は2〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは2又は3である。nO1は、素子効率の観点では最も好ましくは3であり、素子の耐久性の観点では最も好ましくは2である。
前記一般式(O−1)で表される化合物は、高温保存時の安定性、高温駆動時、駆動時の発熱に対して安定して動作させる観点から、ガラス転移温度(Tg)は100℃〜300℃であることが好ましく、120℃〜300℃であることがより好ましく、140℃〜300℃であることが更に好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる一般式(O−1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されることはない。
前記一般式(O−1)で表される化合物は、特開2001−335776号に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
本発明の有機電界発光素子において、一般式(O−1)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましいが、発光層に隣接する陰極側の層に含有されることがより好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(P)で表される化合物を含有することが素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(P)について説明する。なお、以下の一般式(P)で表される化合物は、前記発光層の発光材料として好ましく用いられる前記一般式(p)で表される化合物であるピレン誘導体化合物とは、区別される。
(一般式(P)中、RPは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。nPは1〜10の整数を表し、RPが複数の場合、それらは同一でも異なっていてもよい。RPのうち少なくとも一つは、下記一般式(P−1)〜(P−5)で表される置換基である。
一般式(P−4)は、以下の一般式(P−4’)であることがさらに好ましい。
一般式(P−5)は、以下の一般式(P−5’)であることがさらに好ましい。
(一般式(P−1)〜(P−5)中、RP1〜RP5、R’P1〜R’P3、R’P5、R”P3はそれぞれアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。nP1、nP2、nP4、nP5は0〜4の整数を表し、nP3、nP5は0〜2の整数を表し、RP1〜RP5、R’P1〜R’P3、R’P5、R”P3が複数の場合、それらは同一でも異なっていてもよい。LP1〜LP5は、単結合、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価の連結基のいずれかを表す。*は一般式(P)のアントラセン環との結合位を表す。)
Pとして、(P−1)〜(P−5)で表される置換基以外の好ましい置換基はアリール基であり、より好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基のいずれかであり、更に好ましくはナフチル基である。
P1〜RP5、R’P1〜R’P3、R’P5、R”P3として、好ましくはアリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、より好ましくはアリール基であり、更に好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基のいずれかであり、最も好ましくはフェニル基である。
P1〜LP5として、好ましくは単結合、アリール環からなる二価の連結基のいずれかであり、より好ましくは単結合、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンのいずれかであり、更に好ましくは単結合、フェニレン、ナフチレンのいずれかである。
一般式(P)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる一般式(P)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されることはない。
前記一般式(P)で表される化合物は、WO2003/060956号公報、WO2004/080975号公報等に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
本発明の有機電界発光素子において、一般式(P)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましいが、陰極に隣接する層に含有されることがより好ましい。
一般式(P)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
本発明の有機電界発光素子において、電子注入層、電子輸送層に用いられるその他の好ましい材料としては、例えば特開平9−194487等に記載のシロール化合物、特開2006−73581等に記載のホスフィンオキサイド化合物、特開2005−276801、特開2006−225320、WO2005/085387等に記載の含窒素芳香族ヘテロ六員環化合物、WO2003/080760、WO2005/085387等に記載の含窒素芳香族ヘテロ六員構造とカルバゾール構造を有するもの、US2009/0009065、WO2010/134350、特表2010−535806等に記載の芳香族炭化水素化合物(ナフタレン化合物、アントラセン化合物、トリフェニレン化合物、フェナントレン化合物、ピレン化合物、フルオランテン化合物、等)、等を挙げることができる。
<保護層>
本発明において、有機電界素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。なお、保護層の材料は無機物であっても、有機物であってもよい。
<封止容器>
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
<駆動方法>
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、5%以上が好ましく、6%以上がより好ましく、7%以上が更に好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの300〜400cd/m2付近での外部量子効率の値を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率は、30%以上であることが好ましく、50%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましい。素子の内部量子効率は、外部量子効率を光取り出し効率で除して算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能である。
<発光波長>
本発明の有機電界発光素子は、その発光波長に制限はないが、青色または白色の発光に用いるのが好ましい。その中でも、本発明の有機電界発光素子では、前記一般式(1)または(2)で表される化合物を発光材料として用いて発光させることが好ましく、特に青色発光させることが好ましい。
<本発明の有機電界発光素子の用途>
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、発光装置、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
[発光装置]
本発明の発光装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
[照明装置]
本発明の照明装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
次に、図3を参照して本発明の照明装置について説明する。
図3は、本発明の照明装置の一例を概略的に示した断面図である。本発明の照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
本発明の表示装置としては、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることなどを挙げることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例101]
<素子作製・評価>
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:HTM−1:膜厚30nm
第3層:化合物(H−1)および化合物(D−1)(質量比95:5):膜厚30nm
第4層:前記一般式(1)または(2)で表される化合物(1−1):膜厚30nm
この上に、フッ化リチウム1nm及び金属アルミニウム100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
得られた積層体を、大気に触れさせることなく、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、発光部分が2mm×2mmの正方形である実施例101の有機電界発光素子を得た。
得られた実施例101の有機電界発光素子について、以下の試験を行い、色純度、駆動電圧、発光効率および耐久性(点灯初期の輝度劣化)の観点で評価した。
(a)色純度
有機電界発光素子を輝度が1000cd/m2となるように発光させたときの発光スペクトルから色度(x、y)を求めた(CIE1931表色系)。このときのy値を以下の基準で、3段階で評価した。その結果を下記表1に記載した。
◎:0.10未満
○:0.10以上0.12未満
×:0.12以上0.15未満
(b)駆動電圧
各素子を輝度が500cd/m2になるように直流電圧を印加して発光させる。この時の印加電圧を駆動電圧評価の指標とした。駆動電圧が5V未満である場合を◎、5V以上5.5V未満である場合を○○、5.5V以上6V未満である場合を○、6V以上7V未満である場合を△、7V以上である場合を×として、下記表1に示した。
(c)発光効率
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を有機電界発光素子に印加して発光させ、その輝度を輝度計(BM−8、(株)トプコン社製)を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m2付近の外部量子効率(η)を輝度換算法により算出した。外部量子効率が4.5%以上である場合を◎、4.0%以上4.5%未満である場合を○、3.0%以上3.5%未満である場合×、3.0%未満である場合を××として、下記表1に示した。
なお、外部量子効率は実用上、○評価または◎評価であることが必要である。
(d)耐久性(点灯初期の輝度劣化)
有機電界発光素子を、室温(20℃)で輝度が500cd/m2になるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が475cd/m2になるまでに要した時間を耐久性(点灯初期の輝度劣化)の指標とした。
60時間以上である場合を◎、40時間以上60時間未満である場合を○、20時間以上40時間未満である場合を×、0時間以上20時間未満である場合を××として、下記表1に結果を示した。
なお、点灯初期の輝度劣化は、実用上、○評価または◎評価であることが必要である。
[実施例102〜106および比較例101〜103]
第4層に用いた電子輸送材料を下記表1に記載の化合物に変更した以外は実施例101と同様にして、実施例102〜106および比較例101〜103の有機電界発光素子を製造した。
比較化合物(1)〜(3)は、それぞれWO2010/017680号公報の化合物ET2−17、ET3−13およびET3−22である。
製造した各実施例および比較例の有機電界発光素子を、実施例101と同様にして評価した。その結果を下記表1に示した。
[実施例201〜206、比較例201〜203]
発光層に用いた発光材料を以下の化合物(D−2)に変更した以外は実施例101〜106および比較例101〜103と同様にして、実施例201〜206および比較例201〜203の有機電界発光素子を製造した。
製造した各実施例および比較例の有機電界発光素子を、実施例101と同様にして評価した。その結果を下記表1に示した。
上記表1の結果より、前記一般式(1)または(2)で表される化合物を、発光層に隣接する電子輸送層の電子輸送材料として用いた各実施例の有機電界発光素子は、青色純度が良好であり、点灯初期の輝度劣化速度が遅いことがわかった。
一方、比較化合物(1)〜(3)を発光層に隣接する有機層(電子輸送層)の電子輸送材料として用いた各比較例の有機電界発光素子は、いずれも点灯初期の輝度劣化速度が悪いことがわかった。
なお、各実施例の有機電界発光素子は駆動電圧も低く、発光効率も高かった。
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
31・・・透明基板
30A・・光入射面
30B・・光出射面
32・・・微粒子
40・・・照明装置

Claims (13)

  1. 基板と、
    該基板上に配置され、陽極及び陰極からなる一対の電極と、
    該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、
    前記有機層の少なくとも一層に下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
    (一般式(1)中、R111〜R119はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す。ただし、一般式(1)は下記の3つの構造を含まない。
    (一般式(2)中、R211〜R220はそれぞれ独立に*(*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す)、水素原子または置換基を表し、R211〜R220の少なくとも一つは*を表す。)
    (一般式(3)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA21〜RA24およびRA31〜RA35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA21、RA22、RA24およびRA31〜RA35のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
    (一般式(4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA41〜RA44およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA41、RA42およびRA51 A55 のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
  2. 前記一般式(3)または(4)で表される基が、下記一般式(3−1)〜(3−4)および(4−1)〜(4−3)のいずれかで表される基であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(3−1)〜(3−4)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14およびRA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA21〜RA24およびRA31〜RA35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
    (一般式(4−1)〜(4−3)中、RA11〜RA15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、RA11、RA12、RA14、RA15の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。RA41 A44 およびRA51〜RA55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
  3. 前記一般式(1)または(2)で表される化合物が含まれる有機層が、前記発光層と前記陰極の間に配置された有機層であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記一般式(1)または(2)で表される化合物が含まれる有機層と、前記発光層が隣接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記発光層が、下記一般式(p−1)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(p−1)中、Rp1〜Rp10は水素原子または置換基を表す。)
  6. 前記発光層が、下記一般式(PT−1)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(PT−1)中、Rpt1〜Rpt18は水素原子または置換基を表す。)
  7. 前記発光層が、下記一般式(ch−1)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の有機電界発光素子。
    (一般式(ch−1)中、Rch1〜Rch12は水素原子または置換基を表す。)
  8. 前記一般式(1)または(2)で表される化合物中の*と、前記一般式(3)または(4)で表される基が、単結合またはフェニレン基を介して結合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  9. 前記一般式(1)で表される化合物のR113が、フェニル基であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
  13. 下記一般式(1)または(2)で表される化合物。
    (一般式(1)中、R 111 〜R 119 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す。ただし、一般式(1)は下記の3つの構造を含まない。)
    (一般式(2)中、R 211 〜R 220 はそれぞれ独立に*(*は下記一般式(3)または(4)で表される基との結合位置を表す)、水素原子または置換基を表し、R 211 〜R 220 の少なくとも一つは*を表す。)
    (一般式(3)中、R A11 〜R A15 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R A11 、R A12 、R A14 およびR A15 の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。R A21 〜R A24 およびR A31 〜R A35 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R A21 、R A22 、R A24 およびR A31 〜R A35 のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
    (一般式(4)中、R A11 〜R A15 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R A11 、R A12 、R A14 およびR A15 の少なくとも一つが単結合または連結基を介して一般式(1)または一般式(2)中の*と結合する。R A41 〜R A44 およびR A51 〜R A55 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R A41 、R A42 およびR A51 〜R A55 のうち少なくとも一つがシアノ基を表す。)
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