JP5999978B2 - 動物侵入防止構造及び方法 - Google Patents
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Description
このような動物侵入による事故を未然に防止するために、各種の動物侵入防止用フェンスや排水溝からの動物の侵入を防止する各種の手段が提案されている。
特許文献1に記載の「小動物侵入防止機能付き縦排水溝構造」は、小動物が高速道路ののり面にある縦排水溝を伝って道路内に侵入することを防止するためのもので、高速道路とそれよりも低い位置にある一般道路との間にあるのり面に形成した傾斜縦排水溝と、この縦排水溝に設置する溝蓋との組み合わせからなる。
特許文献4に記載の「小動物侵入防止装置」は、小動物が立入防止柵外から排水溝を通じて柵内に侵入することを防止し、且つ排水溝を詰まらせることのないものである。
しかし、この種の回動式侵入防止用部材を設けると、その一部のものを除き、枯葉やゴミ等が当該侵入防止用部材に引っ掛かって詰まってしまうという問題が生じるのである。
また、排水溝は、高速道路や有料道路の道路施設の設置態様により異なる形態で配設されている。
即ち、道路施設が盛土部上に設けられている場合、道路施設と施設外とが平地である場合、或いは道路施設と施設外の境界が切土部(傾斜面上)にある場合など、各種の態様があり、本発明においては、これらの排水溝の全ての設置態様に応じて動物侵入防止構造を提供することをその課題とする。
尚、本願発明に係る動物侵入防止構造及び方法は、道路施設の他、鉄道施設、各種工場やプラント施設、更には自衛隊施設等々、その他の動物忌避施設内への動物の侵入の防止にもそのまま適用することができるものである。
ここで、上記「動物侵入防止枡」における「枡」というのは、排水が流入する流入口部と、排水が排出する排出口部を有する枡形状の立体的構造体を意味し、その上端部は、開口されていても、閉鎖されていても何れでもよく、その両者を含む意味のものである(以下同じである。)。
即ち、道路施設の内と外の境界を成す侵入防止柵と交差する排水溝の部分に配置される動物侵入防止枡から成り、この枡に、道路施設内排水溝の底面と道路施設外排水溝の底面との間に段差を設けたことを特徴とするものである。
また、従来技術にあるような回動式の遮蔽用スクリーンによる枯葉やゴミ等の引っ掛かりの心配も全く生じず、排水溝が詰まってしまう問題も生じないものと成る。
即ち、道路施設の内と外の境界を成す侵入防止柵と交差する排水溝の部分に配置される動物侵入防止枡から成り、この枡の底面を道路施設内外の排水溝の底面よりも低いものとし、且つ前記侵入防止枡の底面と道路施設内外の排水溝の底面との高さの相違を大きくして段差を形成し、この枡内に侵入した動物がこの段差を乗り越えることができないようにしたことを特徴とするものである。
他方、枡内に排水が貯留していないときであっても、この枡の底面は、施設内外の排水溝の底面よりも相当程度低く設定しているために、枡内に侵入(落下)した動物が枡内から施設内排水溝へと乗り越えることが出来なくなるのである。
即ち、動物侵入防止枡に、道路施設内排水溝の底面と道路施設外排水溝の底面との間に段差を設け、且つ、この枡の前記流入口部と前記排出口部の間にグレーチング等の溝蓋、つまり通水機能を有する溝蓋を設けたものである。
また、道路施設が傾斜面の下方側にあるときにも、道路施設外の排水溝から排水用枡内に動物が侵入しても、その下方に位置する溝蓋の存在により施設内排水溝へと侵入することができなくなるのである。
これにより、侵入防止柵と動物侵入防止枡との間の隙間を無くし、及び、侵入防止柵の道路施設の外側に位置する動物侵入防止枡の上方部を閉鎖することにより、この部分からの動物の侵入を防止することができるのである。
即ち、上記第1乃至第5の発明のような動物の侵入を防止するための枡を特別に使用せずに、道路施設内外の境界部分の排水溝の部位に所定高さの段差を設けて動物がこの段差を乗り越えることができないようにした動物侵入防止方法を提供するものである。
図1は、道路が盛土部上に設置された場合であって、道路施設内側の傾斜面と施設外側の平地面との境界部に設けられる本発明の動物侵入防止構造を説明するものであって、その(A)が従来の排水設備を示し、その(B)が本発明に係る第1実施形態を示す縦断面概念説明図である。
図中右側の道路施設内側Iの傾斜面の上部に道路が設置されており、雨水等の排水は、施設内排水溝40からフェンスFの下方を通過して、道路施設外側Oに配設されている施設外排水溝42へと排水される。図中、排水の流れ方向を白抜き矢印で示している(以下の図においても同じである。)。
そのため、各種動物は、フェンスFの図中左側の施設外排水溝42の上端開口からフェンスFの下を潜り抜けて、施設内排水溝40に侵入して道路施設内側Iに侵入することができる。
或いは、施設外排水溝42の内部に侵入した動物は、その排水溝42から施設内排水溝40へと侵入することもでき、これによっても道路施設内側Iに侵入することができる。図中、動物の侵入経路を実線矢印で示している(以下の図においても同じである。)。
このようにして、道路施設内側Iに侵入した各種動物は、道路上に立ち入ることができることとなり、種々の問題を引き起こすのである。
図中、これらの流入口部11及び排出口部12を破線で示しているが、この部位は開口されている。
そして、最も重要な点が流入口部11が設けられた壁面15が所定高さをもって、略鉛直に形成されている点である。この実施形態ではその高さhは約1000mmである。
尚、この動物侵入防止枡10の排水流路の横幅は、約300mmである。
従って、この枡10の排水流路(白抜き矢印)において前記壁面15が略鉛直面を形成し、施設内排水溝40の底面と施設外排水溝42の底面とが異なる高さ位置となり、その間には上記した通りの約1mの段差が形成されることに成るのである。
勿論、蓋部17とフェンスFの下端の隙間も無くしているために、各種動物はこの隙間から道路施設外側Oから施設内側Iに侵入することが出来ない。
図2(A)に従来の排水設備を示しているが、フェンスFの下方交差する方向に施設内排水溝40と施設外排水溝42とが直接接続しているために、各種の動物は、後者から前者の施設内排水溝40へと容易に侵入することができる。
図中、これらの流入口部11及び排出口部12を破線で示しているが、この部位は開口されている。
そして、最も重要な点が流入口部11が設けられた壁面15と、排出口部12が設けられている壁面16が所定高さをもって、略鉛直に形成されている点である。即ち、この動物侵入防止枡20の底面が施設内外の排水溝40、42の底面よりも低い位置にあるという点である。
尚、この動物侵入防止枡20の排水路の横幅も、前記第1実施形態と同様である。
従って、この枡20の排水流路(白抜き矢印)において前記壁面15、16が略鉛直面を形成し、施設内排水溝40の底面と施設外排水溝42の底面とが同一高さ位置であるが、その間の動物侵入防止枡20の底面は、前記排水溝40、42の底面よりも所定高さ分低く形成されているために、この枡20内に水が貯留していないときには、枡20内に侵入した動物が道路施設内排水溝40に上がれないことに成るのである。
勿論、水が貯留している際には、泳げる動物は、施設内排水溝40内に侵入可能ではあるが、次の仕切り部材により、これを防止することができる。
そして、この仕切り部材14の上面には、図には明瞭に示していないが、針状突起を多数形成したものから成るのである。
尚、言うまでもないが、この仕切り部材14は、流体が容易に通過できる形態を有する金属製又は合成樹脂製のものである。つまり、簀子状又は格子状等の穴部が多数形成されているものである。
勿論、この仕切り部材を設けずに実施することも可能である。
但し、前記仕切り部材14が設けられているために、この蓋部17は、最低フェンスFの下に1枚設けておけば問題は生じない。
図3(A)に示した従来の排水設備においては、道路施設内側Iと道路施設外側Oとの境界線Kの位置にフェンスFが設置されており、図中左側の道路設備内側Iの傾斜面の下部に道路が設置されている。
雨水等の排水は、施設外排水溝42からフェンスFの下方を通過して、道路施設内側Iに配設されている施設内排水溝40へと排水される(白抜き矢印)。
各種動物は、フェンスFの図中右側の施設外排水溝42の上端開口からフェンスFの下を潜り抜けて、施設内排水溝40に侵入して道路施設内側Iに侵入することができる(実線矢印)。
このようにして、道路施設内側Iに侵入した各種動物は、道路上に立ち入ることができることとなり、種々の問題を引き起こすのである。
この動物侵入防止枡30は、排水用の排出口部12を下流側壁面の下方に有し、これと反対の上流側の上方部には排水を導入できる流入口部11を有する横断面略U字形状のコンクリート製のものから形成されている。
図中、これらの流入口部11及び排出口部12を破線で示しているが、この部分は開口されている。
そして、重要な点は、施設外排水溝42の底面と、施設内配水溝40の底面の高さ位置を異ならせるように、即ち、この実施形態においては、施設内排水溝40の底面の方を低い位置となるように、前記動物侵入防止枡30の下流側の壁面16及び上流側壁面15の高さを適宜高く、略鉛直に設けるのである。
尚、この動物侵入防止枡30の排水流路の横幅は、上記実施形態と同様である。
従って、この枡30の排水流路(白抜き矢印)において前記壁面15が略鉛直面を形成し、施設内排水溝40の底面と施設外排水溝42の底面とが異なる高さ位置となり、その間には上記壁面15が段差として形成されることに成るのである。
従って、施設外排水溝42内に侵入した各種動物は、本発明に係る動物侵入防止枡30の内部にその流入口部11から侵入することができるが、前記溝蓋の存在により、その下方に侵入することができず、それ故、施設内排水溝40の内部へと侵入することができなくなるのである。
図では、枡30の上端開口部に蓋部を設置しているが、これは無くとも問題はない。この枡30は、道路施設内側Iに設けられているからである。
この実施形態は、上記図3に記載した第3実施形態と同じ構成であるが、道路施設が切土部傾斜面の上方側に位置する場合である。
つまり、道路施設外排水溝42から各種動物は侵入することになり、動物侵入防止枡30の排出口部12からこの枡30内に侵入するが、その上方に設置されている溝蓋としてのグレーチング34の存在により、これよりも上方に登ることができず、それ故、この枡30の流入口部11を通過して施設内排水溝40へと侵入することは不能となる。
また当然のことではあるが、グレーチング34は、上方に開くことができないように螺子等の固定手段によって枡30内に固定されている。
尚、この図4の場合においては、グレーチング34は、枡30の流入口部11の壁面15の高さを大きくすることにより、即ち、その段差を大きくすることにより、不要となるものである。
即ち、この枡30の段差と、前記第1実施形態の枡10の段差の技術的意味合いは同一のものとなるからである。
つまり、上記の侵入防止枡を特に利用せずに、その侵入防止枡の基本アイディアを採用して以下の通り動物侵入防止方法として実現することができる。
排水溝の上端開口には蓋部を載置することが極めて望ましく、この段差は、侵入防止柵(フェンス)の真下、道路施設内側又は道路施設外側の何れの位置でもよい。
勿論、排水溝の上端開口を閉鎖した態様の排水溝を使用するのも自由である。
しかし、この排水溝の形態変更というのも、道路設備建設時であれば容易であるが、現実的には既存の排水設備に本発明を適用する場合には、上記動物侵入防止枡を適宜位置に交換し、取り付けることが容易なこととなる。
何れにしても、上記動物侵入防止枡というのは、排水溝の一部でもあり、それ自体排水溝でもあるので、実質的には、排水溝底面の適宜位置に段差を設けるという方法に関する技術思想は、動物侵入防止構造と共通のものである。
先ず第一に、本発明は、先に述べたとおり道路施設ばかりでなく、全く同一構成で鉄道施設や各種プラント等の動物忌避施設内への動物侵入防止構造及び方法としてそのまま適用することができる。
更に、この枡においては、その上端が開口しておらず、流入口及び排水口以外を閉空間として実施することもできる。
同様に、そのサイズも自由であって、段差の高さも自由に設計することができるが、侵入する動物の種類を考慮し、その段差を動物が乗り越えることが出来ない高さに設定することが重要である。
枡や排水溝の上部に載置する蓋部も必要な箇所にのみ設ければよいが、これらの両者とも上方開口を閉鎖した形態のものを採用することもできる。
勿論、この仕切り部材を第2実施形態の枡の底面部に設置して実施することもできるし、これを設けずに実施することも可能である。
この場合には、第1実施形態のものと技術的思想は同一のものとなるのである。
11 流入口部
12 排出口部
14 仕切り部材
15、16 壁面
17 蓋部
34 グレーチング(溝蓋)
40 施設内排水溝
42 施設外排水溝
F 侵入防止柵(フェンス)
K 境界線
I 道路施設内側
O 道路施設外側
Claims (6)
- 高速道路や有料道路又は鉄道施設若しくは各種プラント等の動物忌避施設内に各種動物が侵入することを防止するための構造であって、
当該施設の内と外の境界を成す侵入防止柵と交差する排水溝の部分に配置される動物侵入防止枡(10)から成り、
この枡(10)は上流側で施設内排水溝(40)と接続する流入口部(11)と下流側で施設外排水溝(42)に接続する排出口部(12)を有し、
この枡(10)の排水流路内で、施設内排水溝(40)の底面と施設外排水溝(42)の底面との間に段差を設けたことを特徴とする動物侵入防止構造。 - 高速道路や有料道路又は鉄道施設若しくは各種プラント等の動物忌避施設内に各種動物が侵入することを防止するための構造であって、
当該施設の内と外の境界を成す侵入防止柵と交差する排水溝の部分に配置される動物侵入防止枡(20)から成り、
この枡(20)は上流側の排水を導入する流入口部(11)と下流側の排水を排出する排出口部(12)を有し、
この枡(20)の底面を施設内外の排水溝(40, 42)の底面よりも低いものとし、前記侵入防止枡(20)の底面と施設内外の排水溝(40, 42)の底面との高さの相違を大きくして段差を形成し、この枡(20)内に侵入した動物がこの段差を乗り越えることができないようにしたことを特徴とする動物侵入防止構造。 - 高速道路や有料道路又は鉄道施設若しくは各種プラント等の動物忌避施設内に各種動物が侵入することを防止するための構造であって、
当該施設の内と外の境界を成す侵入防止柵と交差する排水溝の部分に配置される動物侵入防止枡(30)から成り、
この枡(30)は上流側の排水を導入する流入口部(11)と下流側の排水を排出する排出口部(12)を有し、
この枡(30)の排水流路内で、施設内排水溝(40)の底面と施設外排水溝(42)の底面との間に段差を設け、且つ、この枡(30)の前記流入口部(11)と前記排出口部(12)の間にグレーチング(34)等の溝蓋を設けたことを特徴とする動物侵入防止構造。 - 前記溝蓋が施設内又は施設外の排水溝(40, 42)の何れか一方の底面と略同一高さ位置に配設されたことを特徴とする請求項3に記載の動物侵入防止構造。
- 前記動物侵入防止枡(10, 20, 30)が侵入防止柵の下方位置に設置された場合に、前記侵入防止柵の下方部及び施設の外側に位置する前記動物侵入防止枡(10, 20, 30)の上方部を閉鎖状態としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の動物侵入防止構造。
- 高速道路や有料道路又は鉄道施設若しくは各種プラント等の動物忌避施設内に各種動物が侵入することを防止するための方法であって、
当該施設の内と外の境界を成す侵入防止柵と交差する排水溝において、
前記侵入防止柵の近傍の排水溝底面の適宜位置に所定高さの段差を設け、
この段差を各種動物が乗り越えることができないようにしたことを特徴とする動物侵入防止方法。
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