(1)全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの排気装置100を備えたエンジンシステムの概略構成図、図2は、図1の吸気系を除いた部分の拡大図、図3は、図1の排気系の概略側面図である。また、図4は、本実施形態に係る排気系に含まれる独立排気通路52,53、共通排気通路54及び集合管56の形状をより詳しく示す平面図、図5は、図4に示される部分の斜視図、図6は、図4に示される部分の側面図である。
なお、図1及び図2においては、シリンダヘッド9内の排気通路52,53,54の長さが、例えば図4に示されるものに比べて長く描かれているが、これは、共通排気通路54の分岐通路54b,54cを明確に示すためであり、気筒12…12は、エンジン本体1の幅方向(図1及び図2に関して上下方向)の略中央部に設けられている。
この排気装置100は、シリンダヘッド9及びシリンダブロック(図示せず)を有するエンジン本体1と、エンジン制御用のECU2と、エンジン本体1に接続される複数の独立吸気通路3等を含む吸気系と、エンジン本体1に接続される排気マニホールド5と、排気マニホールド5に接続される触媒装置6とを備えている。
前記シリンダヘッド9及びシリンダブロックの内部にはピストンがそれぞれ嵌挿された複数(図例では4つ)の気筒12が形成されている。本実施形態では、エンジン本体1は、直列4気筒のエンジンであって、シリンダヘッド9及びシリンダブロックの内部には、4つの気筒12が直列に並んだ状態で形成されている。具体的には、図1、図2及び図4の右から順に、第1気筒12a、第2気筒12b、第3気筒12c、第4気筒12dが形成されている。第1気筒12a及び第4気筒12dは、気筒列方向(図1及び図2に関して左右方向)においてエンジン本体1の端部に位置する気筒、第2気筒12b及び第3気筒12cは、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に位置する気筒である。シリンダヘッド9には、ピストンの上方に区画された燃焼室内に臨むようにそれぞれ点火プラグ15が設置されている。
エンジン本体1は4サイクルエンジンであって、図7に示すように、各気筒12a〜12dにおいて、180°CAずつずれたタイミングで点火プラグ15による点火が行われて、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の各行程がそれぞれ180°CAずつずれたタイミングで行われる。本実施形態では、第1気筒12a→第3気筒12c→第4気筒12d→第2気筒12bの順に点火が行われ、この順に各行程が実施される。このことから明らかなように、第2気筒12b及び第3気筒12cは、点火順序が連続せず、したがって排気順序も連続しない。
シリンダヘッド9には、それぞれ燃焼室に向かって開口する2つの吸気ポート17及び2つの排気ポート18が設けられている。吸気ポート17は、各気筒12内に吸気を導入するためのものである。排気ポート18は、各気筒12内から排気を排出するためのものである。各吸気ポート17には、これら吸気ポート17を開閉して吸気ポート17と気筒12内部とを連通又は遮断するための吸気弁19が設けられている。各排気ポート18には、これら排気ポート18を開閉して排気ポート18と気筒12内部とを連通又は遮断するための排気弁20が設けられている。吸気弁19は、吸気弁駆動機構30で駆動されることにより、所定のタイミングで吸気ポート17を開閉する。排気弁20は、排気弁駆動機構40で駆動されることにより、所定のタイミングで排気ポート18を開閉する。
吸気弁駆動機構30は、吸気弁19に連結された吸気カムシャフト31と吸気VVT32とを有している。排気弁駆動機構40は、排気弁20に連結された排気カムシャフト41と排気VVT42とを有している。吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト41は、周知のチェーン及びスプロケット機構等の動力伝達機構を介してクランクシャフトに連結されており、クランクシャフトの回転に伴い回転して、吸気弁19及び排気弁20を開閉駆動する。
吸気VVT32及び排気VVT42は、吸気弁19及び排気弁20のバルブタイミングを変更するためのものである。例えば、吸気VVT32は、吸気カムシャフト31と同軸に配置されてクランクシャフトにより直接駆動される所定の被駆動軸を有し、この被駆動軸と吸気カムシャフト31との間の位相差を変更する。これにより、クランクシャフトと吸気カムシャフト31との間の位相差が変更され、吸気弁19のバルブタイミングが変更される。排気VVT42もこれに準じて同様である。
吸気VVT32及び排気VVT42の具体的構成としては、例えば、前記被駆動軸と吸気カムシャフト31又は排気カムシャフト41との間に周方向に並ぶ複数の液室を有し、これらの液室間に圧力差を設けることで前記位相差を変更する液圧式機構や、前記被駆動軸と吸気カムシャフト31又は排気カムシャフト41との間に電磁石を配設し、この電磁石に電力を付与することで前記位相差を変更する電磁式機構等が挙げられる。吸気VVT32及び排気VVT42は、ECU2で算出された吸気弁19及び排気弁20の目標バルブタイミングに基づいて前記位相差を変更する。
本実施形態では、吸気VVT32及び排気VVT42は、吸気弁19及び排気弁20の開弁期間及びリフト量、つまりバルブプロファイルをそれぞれ一定に保ったまま、吸気弁19及び排気弁20の開弁時期(図8には「開弁開始時期」と記す)及び閉弁時期をそれぞれ変更する。
本実施形態では、吸気弁19及び排気弁20の開弁時期及び閉弁時期とは、図8に示すように、バルブの開弁付近及び閉弁付近においてバルブリフトの勾配が緩やかな部分(ランプ部)を除いた区間をバルブの開弁期間とした場合の開弁開始時期及び閉弁完了時期のことをいう。例えば、ランプ部の高さが0.4mmである場合には、バルブリフト量が0.4mmに増大又は減少した時期が、それぞれ開弁時期及び閉弁時期になる。
各気筒12の吸気ポート17には独立吸気通路3が接続されている。独立吸気通路3は気筒数に対応して4つ備えられている。独立吸気通路3の気筒側の端部は2つに分かれ、その下流端が気筒12の2つの吸気ポート17に接続されている。
各気筒12の排気ポート18には独立排気通路52,53又は共通排気通路54が接続されている。すなわち、エンジン本体1の排気側には、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53という2つの独立排気通路と、1つの共通排気通路54とが備えられている。独立排気通路52,53の気筒側の端部はそれぞれ2つに分かれ、その上流端が気筒12の2つの排気ポート18に接続されている。共通排気通路54は、上流側部分が第1分岐通路54b及び第2分岐通路54cという2つの分岐通路に分岐し、各分岐通路54b,54cの気筒側の端部は2つに分かれ、その上流端が気筒12の2つの排気ポート18に接続されている。
(2)排気系の構成
本実施形態に係る多気筒エンジンの排気系は、前記独立排気通路52,53と、前記共通排気通路54と、集合管56と、触媒装置6とを含む。
4つの気筒12のうち、気筒列方向においてエンジン本体1の端部に位置する第1気筒12a及び第4気筒12dの排気ポート18には、それぞれ第1独立排気通路52の上流端及び第2独立排気通路53の上端部が接続され、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に位置する第2気筒12b及び第3気筒12cの排気ポート18には、それぞれ共通排気通路54の第1分岐通路54bの上流端及び第2分岐通路54cの上流端が接続されている。
第1独立排気通路53及び第2独立排気通路54は、第1気筒12aの排気ポート18及び第4気筒12dの排気ポート18から集合管56に向けて下流に延びている。これに対し、共通排気通路54の第1分岐通路54b及び第2分岐通路54cは、第2気筒12bの排気ポート18及び第3気筒12cの排気ポート18から所定距離だけ下流に延びた後、合流し、単一の合流通路54aとなって、集合管56に向けて下流に延びている。すなわち、共通排気通路54は、前記合流通路54a、前記第1分岐通路54b、及び前記第2分岐通路54cを含んでいる。そして、第1分岐通路54bの上流端が第2気筒12bの排気ポート18に接続され、第2分岐通路54cの上流端が第3気筒12cの排気ポート18に接続されている。
前述したように、第2気筒12bと第3気筒12cとは、相互に排気順序が連続しない気筒12同士である。したがって、第2気筒12bから排出された排気と、第3気筒12cから排出された排気とが、共通排気通路54を連続して流れることはない。
2つの独立排気通路52,53及び1つの共通排気通路54は、相互に独立している。つまり、第1気筒12aから排出された排気と、第3気筒12cから排出された排気と、第4気筒12dから排出された排気と、第2気筒12bから排出された排気とは、相互に干渉し合うことなく各排気通路52,53,54を通過する。
第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53は、第1気筒12a及び第4気筒12dの排気ポート18から所定距離だけ下流に延びた後、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に向けて湾曲し、相互に近接する(図1、図2、図4及び図5参照)。同様に、共通排気通路54の第1分岐通路54b及び第2分岐通路54cは、第2気筒12b及び第3気筒12cの排気ポート18から所定距離だけ下流に延びた後、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に向けて湾曲し、相互に合流して合流通路54aとなる(図1、図2、図4及び図5参照)。
各排気通路52,53,54の下流端部は、エンジン本体1の外部で、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に対向する位置で相互に束ねられ、これにより、各排気通路52,53,54の下流端は、相互に束ねられた状態で集合管56の上流端に接続される。集合管56は、エンジン本体1の外部で、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に対向する位置に配置されている。各排気通路52,53,54を通過した排気は、各排気通路52,53,54の下流端から集合管56内に噴出し、集合管56内で集合する。
3つの排気通路52,53,54の上流端(燃焼室を臨む排気ポート18の開口)から下流端(集合管56の上流端との接続部)までの通路長を同じ(等長)とした場合、これらの排気通路52,53,54のうち、2つの気筒12b,12cの排気ポート18に接続するために上流側部分が2つの分岐通路54b,54cに分岐している共通排気通路54は、そのような分岐がない独立排気通路52,53に比べて、分岐している分だけ排気通路容積が大きくなる。すると、共通排気通路54が接続された第2気筒12b又は第3気筒12cから排出された排気が共通排気通路54を通過するときは、排気が他の分岐通路54b,54cに流れて(換言すれば膨張して)、エゼクタ効果が低下するのに対し、独立排気通路52,53が接続された第1気筒12a又は第4気筒12dから排出された排気が独立排気通路52,53を通過するときは、そのような現象(膨張)がないので、エゼクタ効果が低下せず、結果として、エゼクタ効果の気筒間格差が生じるという問題がある。
そこで、本実施形態では、このようなエゼクタ効果の気筒間格差を抑制するために、共通排気通路54の上流端から下流端までの通路長が、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53の上流端から下流端までの通路長よりも短く設定されている。
図3及び図6に示すように、第1独立排気通路52、第2独立排気通路53、及び共通排気通路54は、例えば排気系のコンパクト化等のために、気筒列方向の一端側から他端側を見たときに、エンジン本体1の外部で、図3に関して下方に湾曲する湾曲部Rが形成されている。そして、この湾曲部Rにおいて、共通排気通路54は、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53よりも内側に位置している。これは、共通排気通路54の上流端から下流端までの通路長を、独立排気通路52,53の上流端から下流端までの通路長よりも短く設定するための方策の1つである。
図1〜図4及び図6に示すように、独立排気通路52,53及び共通排気通路54の上流側部分はシリンダヘッド9内に形成されている。そして、独立排気通路52,53及び共通排気通路54のシリンダヘッド9外の部分(エンジン本体1の外部に露出している部分)及び集合管56は、排気マニホールド5として形成されている。
特に、本実施形態では、図6から明らかなように、シリンダヘッド9内に形成された部分を含めて、前記湾曲部Rにおいて、共通排気通路54は、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53よりも内側に位置している。ただし、これに限定されず、共通排気通路54の上流端から下流端までの通路長が、独立排気通路52,53の上流端から下流端までの通路長よりも短く設定される限り、状況に応じて、シリンダヘッド9外の部分のみ、又は、シリンダヘッド9内に形成された部分のみ、共通排気通路54が第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53よりも内側に位置していてもよい。
図2及び図3に示すように、集合管56は、上流から順に、円筒形状のガス流入部56a、逆円錐台形状の絞り部56b、円筒形状のストレート部56c、円錐台形状のディフューザー部56d、及び円筒形状のガス排出部56eを含む。束ねられた3つの排気通路52,53,54の下流端は、前記ガス流入部56aに接続される。
各排気通路52,53,54及び集合管56は、各排気通路52,53,54の下流端から排気が高速で集合管56内に噴出し、これにより集合管56内に負圧が発生し、発生した負圧によって隣接する他の排気通路52,53,54と連通する排気ポート18内の排気が下流に吸い出されるエゼクタ効果が得られるような形状を有している。さらに、集合管56は、各排気通路52,53,54の下流端から排気が高速で集合管56内に噴出し、これにより低下した排気の圧力及び温度が集合管56の下流側部分(例えばディフューザー部56d)において再び上昇、つまり回復するような形状を有している。
まず、各排気通路52,53,54の下流側部分は、各排気通路52,53,54の下流端から排気が高速で集合管56内に噴出するように、流路面積(断面積のこと。以下同じ。)が下流ほど小さくなる先細り形状に形成されている(図4〜図6参照)。本実施形態では、図9に鎖線で示すように、各排気通路52,53,54の上流側部分の流路の断面形状は円形ないし楕円形に形成されているが、下流側部分は流路面積が下流ほど小さくなり、図9に実線で示すように、下流端の流路形状は扇形に形成されている。この下流端の扇形の流路面積は、上流側の円形ないし楕円形の流路面積の略1/3に設定されている。3つの排気通路52,53,54の下流端は、その流路形状の扇形が3つ集まって円形となるように束ねられて集合管56のガス流入部56aに接続されている。
本実施形態では、各排気通路52,53,54の下流端から集合管56内に噴出した排気が円筒形状のガス流入部56aの内面に張り付いて排気の流速が低下するという不具合を抑制するために、図10に示すように、ガス流入部56aの内面を、3つの排気通路52,53,54の下流端が束ねられてなる円形よりも、径方向において外方に離間させている。例えば、3つの排気通路52,53,54の下流端が束ねられてなる円形の外径を40mm、ガス流入部56aの内径を60mmに設定し、2つの円を同心に配置している。
ここで、図10及び図11から明らかなように、共通排気通路54の下流端はエンジン本体1寄りに配置され、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53の下流端は気筒列方向に並んで配置されている。
次に、集合管56の絞り部56bは、各排気通路52,53,54の下流端から集合管56内に噴出した排気が高い流速を維持したまま下流に流れるように、流路面積が下流ほど小さくなる逆円錐台形状に形成されている。この絞り部56bの下流端の流路面積は、集合管56の最小流路面積である。
また、集合管56のストレート部56cは、前記絞り部56bから流入した排気の流速が維持されるように、前記最小流路面積を保って下流に延びる円筒形状に形成されている。
このような集合管56の上流側部分の形状により、各排気通路52,53,54の下流端から高速で集合管56内に噴出した排気は、高速を維持したまま前記絞り部56bを通過し、高速を維持したまま前記ストレート部56cに流入し、この排気の周囲に大きい負圧が発生し、エゼクタ効果が得られる。
各排気通路52,53,54の下流端の流路面積(本実施形態では扇形の面積)と同じ面積を有する真円の直径をaとし、前記集合管56の最小流路面積(本実施形態では絞り部56bの下流端の流路面積ひいてはストレート部56cの流路面積)と同じ面積を有する真円の直径をDとしたときに、a/Dを0.5以上に設定すれば、各排気通路52,53,54の下流端から集合管56内に噴出した排気が十分に高い流速でストレート部56cに流入し、高いエゼクタ効果が得られることが分かっている。そこで、本実施形態では、a/D≧0.5が満足されるように、各排気通路52,53,54の下流端の流路面積及び集合管56の最小流路面積が定められている。
次に、集合管56のディフューザー部56dは、集合管56の上流側部分において低下した排気の圧力及び温度が再び上昇、つまり回復するように、流路面積が下流ほど大きくなる円錐台形状に形成されている。
また、集合管56のガス排出部56eは、集合管56が触媒装置6に接続し、排気が触媒装置6に排出される部分であり、流路面積が一定の円筒形状に形成されている。このガス排出部56eの下流端に触媒装置6のケーシング62が接続され、集合管56を通過した排気は触媒装置6のケーシング62に流入する。
以上のように構成された集合管56において、任意の気筒12から排気が排出されたときの圧力分布を調べた結果を図12に示す。図12は、2つの独立排気通路52,53及び1つの共通排気通路54のうち、第1独立排気通路52を選択し、対応する第1気筒12aの排気弁20の開弁開始後に該気筒12aから高圧高速のガス(いわゆるブローダウンガス)が前記独立排気通路52を通って集合管56内に排出されたときの集合管56内の圧力分布を示している。図12に示されるように、独立排気通路52の先細り形状の下流側部分から下流に向かって圧力が徐々に低下し、排気が噴出する独立排気通路52の下流端から集合管56のガス流入部56a及び絞り部56bに亘って圧力は十分に低下している(負圧大)。これによりエゼクタ効果が得られる。また、ストレート部56cから下流に向かって圧力が徐々に上昇し、ディフューザー部56dから排気が触媒装置6に排出されるガス排出部56eに亘って圧力は十分に回復している(負圧小)。
ECU2は、運転条件に応じて予め設定された吸気弁19及び排気弁20の目標バルブタイミングを記録領域に格納しており、ECU2は、各種センサからの信号に基づき現在の運転条件を演算すると共にこの演算結果に対応した目標バルブタイミングを記録領域から抽出し、吸気弁19及び排気弁20のバルブタイミングがこの目標バルブタイミングとなるように、前記吸気VVT32及び排気VVT42を駆動する。
本実施形態では、前記吸気弁19及び排気弁20の目標バルブタイミングは、次のような観点から設定されている。すなわち、少なくともエンジン回転数が所定の基準回転数N1未満のエンジン低速域において(中速域や高速域まで拡大してもよいという意である)、図7に示すように、排気弁20の開弁期間と吸気弁19の開弁期間とが吸気上死点を挟んでオーバーラップし、且つ、後続気筒(排気順序が連続する2つの気筒のうちの排気順序が後続する気筒)12の排気弁20が先行気筒(排気順序が連続する2つの気筒のうちの排気順序が先行する気筒)12のオーバーラップ期間T_O/L中に開弁を開始すること、である。具体的には、第1気筒12aの吸気弁19と排気弁20とがオーバーラップしている期間中に第3気筒12cの排気弁20が開弁し、第3気筒12cの吸気弁19と排気弁20とがオーバーラップしている期間中に第4気筒12dの排気弁20が開弁し、第4気筒12dの吸気弁19と排気弁20とがオーバーラップしている期間中に第2気筒12bの排気弁20が開弁し、第2気筒12bの吸気弁19と排気弁20とがオーバーラップしている期間中に第1気筒12aの排気弁20が開弁するように設定されている。これにより、エゼクタ効果が増大し、先行気筒12の排気ポート18内の圧力はより一層低下する。
触媒装置6は、エンジン本体1から排出された排気を浄化するための装置である。この触媒装置6は、図2に示すように、三元触媒等の触媒本体64と、この触媒本体64を収容するケーシング62とを備えている。
ケーシング62は、前記集合管56のガス排出部56eに接続される接続部62aと、この接続部62aの下流に位置して前記触媒本体64を収容する触媒収容部62cと、接続部62aと触媒収容部62cとの間に介在する容積拡大部62bとを含んでいる。
前記接続部62aは、集合管56のガス排出部56eと略同じ径を有する円筒形状に形成されている。前記触媒本体64は、略円筒形状であって、十分な触媒能力が確保されるように、前記集合管56よりも大きな径を有している。これに伴い、前記触媒収容部62cは、前記接続部62aよりも大径の略円筒形状に形成されている。例えば、前記接続部62aの径が60mm程度であるのに対して、触媒収容部62cの径は、100mm程度に設定されている。そして、この接続部62aと前記触媒収容部62cとの間に介設された前記容積拡大部62bは、排気が接続部62aから円滑に触媒本体64全体に流入するように、前記接続部62aから触媒収容部62cに向かって拡径する円錐台形状に形成されている。
このようにして、ケーシング62のうち、触媒本体64の上流側の容積拡大部62bには、当該容積拡大部62bよりも上流側の通路(ここではケーシング62の接続部62a)に対して流路面積が拡大された比較的容積の大きい空間が形成されている。このため、集合管56のガス排出部56eからケーシング62の接続部62aを通って前記容積拡大部62bに到達した排気の圧力波(正圧波)は、この容積拡大部62bにおいて反射し、負圧波に反転する。
ここで、ある気筒12で排気弁20が開弁した直後は、排気が急激に流出することにより、排気ポート18に高い正圧が生じ、それに基く正圧の圧力波が排気系を下流側に向かって音速で伝播する。したがって、排気弁20の開弁直後、前記容積拡大部62bに最初に到達する圧力波は、正圧の圧力波になる。そして、この圧力波は、前記容積拡大部62bで正圧から負圧に反転して反射し、この反転後の負圧波は、排気系を上流側に向かって音速で伝播する。この負圧波は、排気ポート18に到達したとき、排気ポート18内の排気を下流に吸い出す効果を有する。さらに、その場合に、気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に到達したときは、気筒12内の排気を下流に吸い出す効果、すなわち掃気の促進効果を有する。
一方、排気ポート18から排出された排気そのものは、常に排気系を下流側へと流れ、独立排気通路52,53又は共通排気通路54、集合管56、ケーシング62の接続部62a及び容積拡大部62bへと順に流入する。前述したように、排気ポート18から排出された高圧、高温の排気は、流路面積が徐々に減少する排気通路52,53,54の下流側部分及び集合管56の上流側部分(ガス流入部56a及び絞り部56b)を通過する過程で徐々に流速を増す(これに伴い圧力は低下する)が、その後、集合管56のディフューザー部56dを通過することで、圧力を回復させる。また、排気は、集合管56のガス排出部56e及びケーシングの接続部62aを通過することでさらに圧力を回復させ、容積拡大部62b及び触媒収容部62cへと流入する。
本実施形態では、触媒本体64を収容するためのケーシング62のうち、触媒本体64よりも上流側に位置する前記容積拡大部62bを、反転及び反射により排気の正圧波から負圧波を生成させるための容積拡大部として機能させている。
さらに、本実施形態では、図2に示すように、集合管56の上流端から容積拡大部62bの上流端までの長さ、すなわち拡大部前長さL1が、次のような観点から設定されている。すなわち、少なくともエンジン回転数が所定の基準回転数N1未満のエンジン低速域において(中速域や高速域まで拡大してもよいという意である)、後続気筒12から排出されて前記容積拡大部62bに到達した排気の正圧波が当該容積拡大部62bで反転及び反射して生成した負圧波が、前記後続気筒12よりも排気順序が1つ前の先行気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に、前記先行気筒12の排気ポート18に到達すること、である。
本実施形態では、例えば、前記基準回転数N1が4000rpmに設定され、前記拡大部前長さL1が300mmに設定されている。また、吸気弁19及び排気弁20のバルブタイミングは、排気弁20の開弁時期がBBDC(下死点前)65°CA、排気弁20の閉弁時期がATDC(上死点後)15°CA、吸気弁19の開弁時期がBTDC(上死点前)10°CAに設定されている。
ここで、前記容積拡大部62bで生成した負圧波が前記先行気筒12の吸気ポート18に到達するのに要する時間を短くするために、前記拡大部前長さL1をより短くすることも可能である。しかしながら、拡大部前長さL1を過度に短くすると、容積の大きい容積拡大部62bがより上流側(エンジン本体1に近い側)に配置されることになるため、レイアウト上の制約が大きくなる。そこで、このような観点からも、本実施形態では、前記拡大部前長さL1が300mmに設定されている。
もっとも、前記拡大部前長さL1や前記基準回転数N1は、特に限定されるものではない。例えば、拡大部前長さL1を短くすると、後続気筒12の排気ポート18からブローダウンガスに基く正圧波が出射された後、容積拡大部62bで生成した負圧波が先行気筒12の排気ポート18に到達するまでの時間が短くなる。すると、その負圧波の到達タイミングが先行気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に収まるようになるエンジン回転数(つまり前記負圧波を利用した掃気促進が可能な回転数)が、より高速側に設定される。しかも、排気ポート18から容積拡大部62bまでの間では、圧力波が正圧から負圧、負圧から正圧へと交互に変化しつつ繰り返し往復するので(排気脈動)、複数回往復した後の高次の負圧波であれば、エンジン回転数が低くても、先行気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に先行気筒12の排気ポート18に到達する。したがって、前記拡大部前長さL1を短くした場合は、より幅広い回転域で、排気脈動による負圧波を利用して掃気の促進を図ることができる。
ただし、排気脈動による負圧波は、高次になるほど減衰するため、拡大部前長さL1を短くした場合は、長くした場合に比べて、低回転域での掃気促進効果が相対的に小さくなる。よって、主として低回転域で掃気の促進を図りたいときは、拡大部前長さL1を長くすることがよい。しかしながら、拡大部前長さL1を過度に長くすると、容積拡大部62bの下流に配置された触媒本体64に流入する排気の温度が低下する。また、エンジン回転数が非常に低い極低速域で負圧波を先行気筒12の排気ポート18に到達させても、そのことによる掃気促進の意義は薄れてしまう。このような観点から、前記拡大部前長さL1は1m以下に設定されることが好ましい。
例えば、拡大部前長さL1を1mに設定した場合は、エンジン回転数2000rpm付近において、排気弁20の開弁時期及び閉弁時期をそれぞれBBDC65°CA、ATDC15°CAとし、吸気弁19の開弁時期をBTDC30°CAとすることで、先行気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に、エゼクタ効果による負圧をこの先行気筒12の排気ポート18に生成させつつ、容積拡大部62bでの反転及び反射による負圧波を同じくこの先行気筒12の排気ポート18に到達させることができる。
しかしながら、拡大部前長さL1を1mよりも長く設定した場合は、エンジン回転数が2000rpmよりも低い極低速域でしか、前記負圧波を先行気筒12の排気ポート18に到達させることができなくなる。また、オーバーラップ期間T_O/Lを十分に確保するために、排気弁20の閉弁時期をより遅くしなければならなくなり、排気の吹き返し等が生じる可能性がある。このような観点からも、前記拡大部前長さL1は1m以下に設定されることが好ましい。
図13に、容積拡大部62bでの排気の正圧波の反転及び反射による負圧波の生成及びこの負圧波の先行気筒12の排気ポート18への到達を確認するため、排気順序が連続する任意の先行気筒12(図の下段)及び後続気筒12(図の上段)の排気ポート18内の圧力を測定した結果を、排気弁20のリフトカーブすなわちバルブリフトと合わせて示す。この図13において、実線で示した圧力波形P_1は、排気系に前記容積拡大部62bを有する本実施形態に係る排気装置100の測定結果であり、破線で示した圧力波形P_2は、図14に例示するように、前記集合管56よりも下流の部分に容積が拡大する部分を設けず、集合管56よりも下流の部分を集合管56のガス排出部56eと同径の円筒管160で構成した排気装置(比較装置)の測定結果である。
なお、この図13は、エゼクタ効果により排気ポート18内に生成する負圧をなるべく排除し、容積拡大部62bでの排気の正圧波の反転及び反射により生成した負圧波をより容易に確認できるように、排気弁20と吸気弁19とをオーバーラップさせずに、排気ポート18内の圧力を測定した結果である。また、拡大部前長さL1は300mm、エンジン回転数は1500rpmとした。
図13から明らかなように、後続気筒12の排気弁20の開弁開始直後(クランク角=CA_1)に、この後続気筒12から非常に高い圧力(圧力=P_max)及び高い速度のブローダウンガスが排出されると、本実施形態の排気装置100(実線)では、その直後(クランク角=CA_2付近)に、先行気筒12の排気ポート18内の圧力が負圧(P_min1)となっている。これに対して、比較装置(破線)では、前記ブローダウンガスの排出後、先行気筒12の排気ポート18内の圧力は正圧を維持している。これにより、前記容積拡大部62bの存在によって負圧波が生成し、この負圧波が先行気筒12の排気ポート18に負圧を作用させることが確認された。
図15に、図13の圧力波形P_1(実線)と併せて、排気弁20と吸気弁19とをオーバーラップさせた場合の本実施形態に係る排気装置100の圧力波形P_3(鎖線)を示す。その他の条件は同じである。
図15から明らかなように、排気弁20と吸気弁19とをオーバーラップさせた場合は、容積拡大部62bでの反転及び反射による負圧波の生成に加えて、エゼクタ効果がより強く発揮されることにより、後続気筒12の排気弁20の開弁開始直後(クランク角=CA_2付近)において、先行気筒12の排気ポート18内の圧力が、排気弁20と吸気弁19とのオーバーラップがないときの図13の負圧(P_min1)よりもさらに大きい負圧(P_min2)となっている。これにより、排気弁20と吸気弁19とのオーバーラップにより、エゼクタ効果により先行気筒12の排気ポート18に負圧を生成させつつ、前記負圧波により同じ先行気筒12の排気ポート18に負圧を作用させることができ、より一層の高い掃気性能が得られることが確認された。
(3)本実施形態の特徴
本実施形態においては、気筒12から排出された排気が、独立排気通路52,53又は共通排気通路54を通過し、これらの排気通路53,53,54の下流端から集合管56に噴出することにより、前記集合管56内に負圧が発生し、この負圧により、他の気筒12の排気ポート18内の排気が下流に吸い出されるエゼクタ効果が得られるように、排気系が構成されている。
その際、少なくともエンジン低速域において、排気順序が先行する先行気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に、排気順序が後続する後続気筒12の排気弁20が開くので、少なくともエンジン低速域において、エゼクタ効果により、先行気筒12内に負圧が生成し、前記先行気筒12の掃気が促進される。
しかも、第2気筒12bの排気ポート18と第3気筒12cの排気ポート18とに接続するために、2つの分岐通路54b,54cを有する共通排気通路54の上流端から下流端までの通路長が、そのような分岐通路のない単一通路の独立排気通路52,53の上流端から下流端までの通路長よりも短く設定されているので、前記分岐に起因する共通排気通路54の排気通路容積の増大が是正され、排気通路容積の気筒間格差が少なくなる。そのため、前述したエゼクタ効果の気筒間格差の問題が抑制される。
このエゼクタ効果の気筒間格差の抑制を確認するために、独立排気通路52,53と共通排気通路54とで上流端から下流端までの通路長を同じ(等長)とした場合と、共通排気通路54の前記通路長を独立排気通路52,53の前記通路長よりも短くして排気通路容積の気筒間格差を少なくした場合とで、図13及び図15のように、排気ポート圧力を測定したところ、排気通路容積の気筒間格差を少なくした場合は、排気通路52,53,54の前記通路長を同じとした場合に比べて、ブローダウンガスのピーク圧力(図13及び図15におけるP_maxに相当)の気筒間のバラツキが縮小した。また、体積効率(ηV)の気筒間格差も小さくなり、体積効率の最大バラツキが3%から2.2%に減少した。
その上で、容積拡大部62bの流路面積、及び、拡大部前長さL1が調整されることにより、少なくともエンジン低速域において、先行気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に、後続気筒12から排出された排気の正圧波が容積拡大部62bで反転及び反射して生成した負圧波が前記先行気筒12の排気ポート18に到達するので、少なくともエンジン低速域において、前記負圧波により、先行気筒12内の排気が排気ポート18側に吸い出され、前記先行気筒18の掃気がより一層促進される。
その結果、エゼクタ効果の気筒間格差が抑制され、そのため、安定した掃気効果が得られ、安定した体積効率の向上が図られると共に、気筒12から排出された排気が集合管56に噴出することにより発生するエゼクタ効果の負圧と、気筒12から排出された排気の正圧波が容積拡大部62bで反転及び反射することにより生成する負圧波とが協働し、エゼクタ効果単独で得られる掃気効果を超える掃気効果が得られる多気筒エンジンが実現する。
したがって、エゼクタ効果単独の場合と比べて、体積効率がより一層向上し、広い回転域に亘ってトルクが向上し、トルクのワイドレンジ化が達成された多気筒エンジンが実現する。また、拡大部前長さL1が1m以下に設定されているから、例えば極低速域等を除く実用的なエンジン回転域で、前記負圧波による吸い出し効果、すなわち掃気効果が得られる。
しかも、本実施形態においては、図3及び図6に示したように、独立排気通路52,53及び共通排気通路54は、気筒列方向の一端側から他端側を見たときに湾曲する湾曲部Rが形成され、この湾曲部Rにおいて、共通排気通路54は独立排気通路52,53よりも内側に位置している。
これにより、例えば排気系のコンパクト化等のために形成される独立排気通路52,53及び共通排気通路54の湾曲部Rを有効利用して、効率よく、共通排気通路54の上流端から下流端までの通路長を独立排気通路52の上流端から下流端までの通路長よりも短くできる。
本実施形態においては、当該エンジンは直列4気筒エンジンである。2つ設けられた独立排気通路52,53は、それぞれ、気筒列方向においてエンジン本体1の端部に位置する第1気筒12a又は第4気筒12dの排気ポート18に上流端が接続され、下流側部分が下流ほど流路面積が小さくなるように先細り形状に形成され、下流端の流路形状が扇形に形成されている。1つ設けられた共通排気通路54は、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に位置する第2気筒12b及び第3気筒12cの排気ポート18に2つの分岐通路54b,54cの上流端がそれぞれ接続され、前記分岐通路54b,54cが合流した1つの合流通路54aが下流ほど流路面積が小さくなるように先細り形状に形成され、前記合流通路54aの下流端の流路形状が扇形に形成されている。集合管56は、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に対向する位置に配置されている。そして、図10及び図11に示すように、2つの独立排気通路52,53の下流端及び1つの共通排気通路54の下流端は、各下流端の流路形状の扇形が3つ集まって円形となるように束ねられて集合管56に接続されている。その場合に、1つの共通排気通路54の下流端はエンジン本体1寄りに配置され、2つの独立排気通路52,53の下流端は気筒列方向に並んで配置されている。
これにより、気筒列方向のエンジン本体1の中央部を境に、エンジン本体1の一端側と他端側とで、2つの独立排気通路52,53と1つの共通排気通路54と3つの排気通路の下流端の配置と集合管56とが対称に配置されるので、エゼクタ効果の気筒間格差が効率よく抑制される。
本実施形態においては、気筒12から排出された排気を浄化可能な触媒本体64と、排気の流れ方向に延びて前記触媒本体64を収容するケーシング62とを含む触媒装置6が設けられ、前記ケーシング62は、前記集合管56の下流端に接続され、前記触媒本体6は、前記ケーシング62の上流端から下流に離間した位置(触媒収容部62c)で前記ケーシング62に収容され、前記ケーシング62の前記触媒本体64よりも上流側の一部(容積拡大部62b)が正圧波の反転及び反射により負圧波を生成させるための容積拡大部として機能している。
これにより、触媒装置6のケーシング62の触媒本体64よりも上流側の容積拡大部62bが正圧波から負圧波を生成させるための容積拡大部として機能するため、別途容積拡大部を設ける場合と比べて、排気系の構造を簡素化できる。また、別途容積拡大部を設ける場合と比べて、排気ポート18から触媒本体64までの距離を短くできるので、触媒本体64に流入する排気の温度低下を抑制でき、触媒の早期活性化及び触媒の活性化状態の維持の点で有利となる。
本実施形態においては、前記集合管56は、流路面積が下流ほど大きくなるように形成されたディフューザー部56dを3つの排気通路52,53,54の下流端(すなわち集合管56の上流端)から下流に離間した位置に備えている。
これにより、ディフューザー部56dの存在によって、集合管56の排気の流れ方向の長さを短く抑えつつ、集合管56から排出される排気の圧力及び温度をより確実に回復させることができる。
(4)本実施形態の変形例
集合管56は、流路面積が縮小する絞り部56bだけを含むもの(ストレート部56c及びディフューザー部56dがないもの)でもよく、絞り部56bと流路面積が拡大するディフューザー部56dとだけを含むもの(ストレート部56cがないもの)でもよい。このような構成の集合管56を用いてもエゼクタ効果は十分得ることができる。例えば、量産設計時にレイアウト上の制約等から集合管56を短くする場合に、絞り部56bだけを含む集合管56や、ストレート部56cを省略して絞り部56bとディフューザー部56dとを直接滑らかに曲面でつなぐような形状の集合管56等としても構わない。
したがって、集合管56のディフューザー部56dは省略可能であるが、このディフューザー部56dを設けて、排気の圧力及び温度を回復させるようにすれば、容積拡大部62bに到達する排気の正圧波の正圧量、ひいては容積拡大部62bで反転及び反射して生成する負圧波の負圧量を高めることができ、この負圧波による気筒12の掃気性能の向上効果をより高めることができる。また、触媒の活性化の点でも有利である。
触媒装置6のケーシング62の接続部62aは省略可能である。つまり、ケーシング62の触媒本体64よりも上流側の全部(容積拡大部62b)が正圧波の反転及び反射により負圧波を生成させるための容積拡大部として機能することになる。これにより、集合管56を出た排気が、直接、容積拡大部62bを介して触媒本体64に流入し、触媒の活性化の点で有利となる。
吸気弁19と排気弁20とのオーバーラップ期間T_O/Lを設け、一方の気筒12のオーバーラップ期間T_O/Lと他方の気筒12の排気開弁時期とを重複させる制御を行うのは、低速域でも高負荷域のみとしてもよい。
前記実施形態では、独立排気通路52,53の下流側部分を下流ほど流路面積が小さくなるように形成し、共通排気通路54の合流通路54aを下流ほど流路面積が小さくなるように形成したが、これに限定されない。例えば、シリンダヘッド9と排気マニホールド5との合わせ面等では、下流のほうが流路面積が大きい部分が存在してもよい。すなわち、エゼクタ効果が得られる範囲内で、状況に応じて、各排気通路52,53,54の下流端より上流側では、下流ほど流路面積が大きくなるように形成された部分があっても構わない。