(1)全体構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多気筒エンジンの排気装置100を備えたエンジンシステムの概略構成図、図2は、図1の吸気系を除いた部分の拡大図、図3は、図1の排気系の概略側面図である。また、図4は、本実施形態に係る排気系に含まれる独立排気通路52,53、共通排気通路54及び集合管56の形状をより詳しく示す平面図、図5は、図4に示される部分の斜視図、図6は、図4に示される部分の側面図、図7は、図6のVII−VII線で切断した部分の斜視図である。
この排気装置100は、シリンダヘッド9及びシリンダブロック(図示せず)を有するエンジン本体1と、エンジン制御用のECU2と、エンジン本体1に接続される複数の独立吸気通路3等を含む吸気系と、エンジン本体1に接続される排気マニホールド5と、排気マニホールド5に接続される触媒装置6とを備えている。
前記シリンダヘッド9及びシリンダブロックの内部にはピストン(図示せず)がそれぞれ嵌挿された複数(図例では4つ)の気筒12が形成されている。本実施形態では、エンジン本体1は、直列4気筒のエンジンであって、シリンダヘッド9及びシリンダブロックの内部には、4つの気筒12が直列に並んだ状態で形成されている。具体的には、図1及び図4の右から順に、第1気筒12a、第2気筒12b、第3気筒12c、第4気筒12dが配置されている。第1気筒12a及び第4気筒12dは、気筒列方向(図1及び図2に関して左右方向)においてエンジン本体1の端部に位置する気筒、第2気筒12b及び第3気筒12cは、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に位置する気筒である。シリンダヘッド9には、ピストンの上方に区画された燃焼室内に臨むようにそれぞれ点火プラグ15が設置されている。
エンジン本体1は4サイクルエンジンであって、図8に示すように、各気筒12a〜12dにおいて、180°CAずつずれたタイミングで点火プラグ15による点火が行われて、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の各行程がそれぞれ180°CAずつずれたタイミングで行われる。本実施形態では、第1気筒12a→第3気筒12c→第4気筒12d→第2気筒12bの順に点火が行われ、この順に各行程が実施される。このことから明らかなように、第2気筒12b及び第3気筒12cは、点火順序が隣り合わず、したがって排気順序も隣り合わない。
シリンダヘッド9には、それぞれ燃焼室に向かって開口する2つの吸気ポート17及び2つの排気ポート18が設けられている。吸気ポート17は、各気筒12内に吸気を導入するためのものである。排気ポート18は、各気筒12内から排気を排出するためのものである。各吸気ポート17には、これら吸気ポート17を開閉して吸気ポート17と気筒12内部とを連通又は遮断するための吸気弁19が設けられている。各排気ポート18には、これら排気ポート18を開閉して排気ポート18と気筒12内部とを連通又は遮断するための排気弁20が設けられている。吸気弁19は、吸気弁駆動機構30で駆動されることにより、所定のタイミングで吸気ポート17を開閉する。排気弁20は、排気弁駆動機構40で駆動されることにより、所定のタイミングで排気ポート18を開閉する。
吸気弁駆動機構30は、吸気弁19に連結された吸気カムシャフト31と吸気VVT32とを有している。排気弁駆動機構40は、排気弁20に連結された排気カムシャフト41と排気VVT42とを有している。吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト41は、周知のチェーン及びスプロケット機構等の動力伝達機構を介してクランクシャフト(図示せず)に連結されており、クランクシャフトの回転に伴い回転して、吸気弁19及び排気弁20を開閉駆動する。
吸気VVT32及び排気VVT42は、吸気弁19及び排気弁20のバルブタイミングを変更するためのものである。例えば、吸気VVT32は、吸気カムシャフト31と同軸に配置されてクランクシャフトにより直接駆動される所定の被駆動軸(図示せず)を有し、この被駆動軸と吸気カムシャフト31との間の位相差を変更する。これにより、クランクシャフトと吸気カムシャフト31との間の位相差が変更され、吸気弁19のバルブタイミングが変更される。排気VVT42もこれに準じて同様である。
吸気VVT32及び排気VVT42の具体的構成としては、例えば、前記被駆動軸と吸気カムシャフト31又は排気カムシャフト41との間に周方向に並ぶ複数の液室を有し、これらの液室間に圧力差を設けることで前記位相差を変更する液圧式機構や、前記被駆動軸と吸気カムシャフト31又は排気カムシャフト41との間に電磁石を配設し、この電磁石に電力を付与することで前記位相差を変更する電磁式機構等が挙げられる。吸気VVT32及び排気VVT42は、ECU2で算出された吸気弁19及び排気弁20の目標バルブタイミングに基づいて前記位相差を変更する。
本実施形態では、吸気VVT32及び排気VVT42は、吸気弁19及び排気弁20の開弁期間及びリフト量、つまりバルブプロファイルをそれぞれ一定に保ったまま、吸気弁19及び排気弁20の開弁時期(図9には「開弁開始時期」と記す)及び閉弁時期をそれぞれ変更する。
本実施形態では、吸気弁19及び排気弁20の開弁時期及び閉弁時期とは、図9に示すように、バルブの開弁付近及び閉弁付近においてバルブリフトの勾配が緩やかな部分(ランプ部)を除いた区間をバルブの開弁期間とした場合の開弁開始時期及び閉弁完了時期のことをいう。例えば、ランプ部の高さが0.4mmである場合には、バルブリフト量が0.4mmに増大した時期又は減少した時期が、それぞれ開弁時期及び閉弁時期になる。
各気筒12の吸気ポート17には独立吸気通路3が接続されている。独立吸気通路3は気筒数に対応して4つ備えられている。独立吸気通路3の気筒側の端部は2つに分かれ、その下流端が気筒12の2つの吸気ポート17に接続されている。
各気筒12の排気ポート18には独立排気通路52,53又は共通排気通路54が接続されている。すなわち、エンジン本体1の排気側には、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53という2つの独立排気通路と、1つの共通排気通路54とが備えられている。独立排気通路52,53の気筒側の端部はそれぞれ2つに分かれ、その上流端が気筒12の2つの排気ポート18に接続されている。共通排気通路54は、上流側部分が第1分岐通路54b及び第2分岐通路54cという2つの分岐通路に分岐し、各分岐通路54b,54cの気筒側の端部は2つに分かれ、その上流端が気筒12の2つの排気ポート18に接続されている。
(2)排気系の構成
本実施形態に係る多気筒エンジンの排気系は、前記独立排気通路52,53と、前記共通排気通路54と、集合管56と、触媒装置6とを含む。
まず、排気通路52,53,54について説明する。本実施形態では、排気通路52,53,54は、全気筒12a〜12dのうち一部の複数の気筒12b,12c用に共通に設けられた共通排気通路54と、残りの気筒12a,12d用に個別に設けられた独立排気通路52,53とを含んでいる。すなわち、4つの気筒12のうち、気筒列方向においてエンジン本体1の端部に位置する第1気筒12a及び第4気筒12dの排気ポート18には、それぞれ第1独立排気通路52の上流端及び第2独立排気通路53の上端部が接続され、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に位置する第2気筒12b及び第3気筒12cの排気ポート18には、それぞれ共通排気通路54の第1分岐通路54bの上流端及び第2分岐通路54cの上流端が接続されている。
第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53は、第1気筒12aの排気ポート18及び第4気筒12dの排気ポート18から集合管56に向けて下流に延びている。すなわち、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53は、単独の通路からなっている。これに対し、共通排気通路54の第1分岐通路54b及び第2分岐通路54cは、第2気筒12bの排気ポート18及び第3気筒12cの排気ポート18から所定距離だけ下流に延びた後、合流し、単一の合流通路54aとなって、集合管56に向けて下流に延びている。すなわち、共通排気通路54は、前記合流通路54a、前記第1分岐通路54b、及び前記第2分岐通路54cからなっている。そして、第1分岐通路54bの上流端が第2気筒12bの排気ポート18に接続され、第2分岐通路54cの上流端が第3気筒12cの排気ポート18に接続されている。このような本実施形態の排気系は4−3−1排気系ということができる。
前述したように、第2気筒12bと第3気筒12cとは、相互に排気順序が隣り合わない気筒12同士である。したがって、第2気筒12bから排出された排気と、第3気筒12cから排出された排気とが、共通排気通路54を連続して流れることはない。
2つの独立排気通路52,53及び1つの共通排気通路54は、相互に独立している。つまり、第1気筒12aから排出された排気と、第3気筒12cから排出された排気と、第4気筒12dから排出された排気と、第2気筒12bから排出された排気とは、相互に干渉し合うことなく各排気通路52,53,54を通過する。
第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53は、第1気筒12a及び第4気筒12dの排気ポート18から所定距離だけ下流に延びた後、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に向けて湾曲し、相互に近接する(図1、図2、図4及び図5参照)。同様に、共通排気通路54の第1分岐通路54b及び第2分岐通路54cは、第2気筒12b及び第3気筒12cの排気ポート18から所定距離だけ下流に延びた後、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に向けて湾曲し、相互に合流して合流通路54aとなる(図1、図2、図4及び図5参照)。
各排気通路52,53,54の下流端は、図4〜図7に示すように、下流ほど流路面積(排気通路52,53,54の断面積)が小さくなるように先細り形状に形成されている。つまり、各排気通路52,53,54の下流端は絞り部52x,53x,54xとして機能する。そのため、各排気通路52,53,54を通過した排気は絞り部52x,53x,54xから高速で噴出する。
各排気通路52,53,54の下流端(絞り部52x,53x,54x)は、エンジン本体1の外部で、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に対向する位置で相互に束ねられ、この状態で集合管56の上流端に接続される。集合管56は、エンジン本体1の外部で、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に対向する位置に配置されている。各排気通路52,53,54を通過した排気は各排気通路52,53,54の下流端すなわち絞り部52x,53x,54xから集合管56内に高速で噴出し、集合管56内で集合する。このとき集合管56内に負圧が発生し、発生した負圧によって隣接する他の排気通路52,53,54と連通する排気ポート18内の排気が下流に吸い出されるエゼクタ効果が得られる。
本実施形態では、集合管56の下流に配置されている触媒装置6の活性化の観点から、また排気系のコンパクト化の観点から、各排気通路52,53,54はできるだけ短くなるように排気ポート18から集合管56まで最短距離で結ばれている。その結果、気筒12a〜12dと集合管56との位置関係に応じて、排気通路52,53,54の長さが気筒12a〜12d毎にばらついている。
ここで、排気通路52,53,54の長さとは、排気通路52,53,54の上流端すなわち燃焼室を臨む排気ポート18の開口から排気通路52,53,54の下流端すなわち集合管56の上流端との接続部までの長さをいう。特に、共通排気通路54の長さは、第2気筒12bに接続した第1分岐通路54bの長さ又は第3気筒12cに接続した第2分岐通路54cの長さと、合流通路54aの長さとの和であり、2つの分岐通路54b,54cの長さを両方含むものではない。
具体的に、第1気筒12aの第1独立排気通路52及び第4気筒12dの第2独立排気通路53は長さが相対的に長くなり、第2気筒12b及び第3気筒12cの共通排気通路54は長さが相対的に短くなる。しかし、共通排気通路54は2つの気筒12b,12cの排気ポート18に接続するために上流側部分が2つの分岐通路54b,54cに分岐しているので、そのような分岐がない独立排気通路52,53に比べて、長さは短いが、容積は大きくなる。つまり、本実施形態では、複数の排気通路52,53,54には容積が相違するものが混在しており、そのうち、共通排気通路54は、容積が相対的に大きい排気通路すなわち大容積通路であり、独立排気通路52,53は、容積が相対的に小さい排気通路すなわち小容積通路である。
したがって、第2気筒12b又は第3気筒12cから共通排気通路54に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力は、第1気筒12a又は第4気筒12dから独立排気通路52,53に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力よりも低くなり、結果として、第2気筒12b又は第3気筒12cから共通排気通路54に排出された排気が集合管56に噴出するときの流速が、第1気筒12a又は第4気筒12dから独立排気通路52,53に排出された排気が集合管56に噴出するときの流速よりも低くなる。そのため、共通排気通路54が接続された第2気筒12b又は第3気筒12cから排出された排気による負圧ないしエゼクタ効果が、独立排気通路52,53が接続された第1気筒12a又は第4気筒12dから排出された排気による負圧ないしエゼクタ効果よりも小さくなるという問題、つまりエゼクタ効果の気筒間格差が生じるという問題がある。
そこで、本実施形態では、このようなエゼクタ効果の気筒間格差を抑制するために、大容積通路である共通排気通路54の絞り部54xの流路面積を、小容積通路である独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積よりも小さく設定している。
図7に示すように、各排気通路52,53,54の絞り部52x,53x,54xの流路は扇形に形成されている。3つの排気通路52,53,54の絞り部52x,53x,54xは、扇形が3つ集まって円形となるように束ねられて集合管56の上流端に接続されている。図10(a)及び図10(b)に示すように、各排気通路52,53,54の絞り部52x,53x,54xの扇形(実線)の流路面積は、各排気通路52,53,54の上流側部分の円形、楕円形又は長円形(鎖線)の流路面積の略1/3まで絞られている。
図10(a)に示すように、本実施形態では、第2気筒12b及び第3気筒12cの共通排気通路54の絞り部54xの扇形の中心角θ4を、第1気筒12a及び第4気筒12dの独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの扇形の中心角θ2、θ3よりも小さく設定している。3つの扇形の半径は相互に同じである。これにより、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積が独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積よりも小さくなる。
これに代えて、図10(b)に示すように、3つの扇形の中心角θ2、θ3、θ4を相互に同じとし、代わりに、第2気筒12b及び第3気筒12cの共通排気通路54の絞り部54xの扇形の半径を、第1気筒12a及び第4気筒12dの独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの扇形の半径よりも小さく設定してもよい。これによっても、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積が独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積よりも小さくなる。さらに、3つの扇形の中心角θ2、θ3、θ4及び半径の両方を調整することにより、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積を独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積よりも小さく設定してもよい。
ここで、共通排気通路54の容積が独立排気通路52,53の容積よりも大きいほど、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積を独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積よりも小さくする。その場合、共通排気通路54の容積をV2とし、独立排気通路52,53の容積をV1とし、共通排気通路54の容積V2と独立排気通路52,53の容積V1との比をV2/V1で表し、独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積をS1とし、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積をS2とし、独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積S1と共通排気通路54の絞り部54xの流路面積S2との比をS1/S2で表すと、例えば、V2/V1が1.35のとき、排気通路52,54の絞り部52x,54xの流路面積(本実施形態では扇形の面積)と同じ面積を有する真円の直径をaとすると、独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの直径aは22mm、共通排気通路54の絞り部54xの直径aは21mm、S1/S2は1.047が好ましく採用可能であり、あるいは、独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの直径aは23.5mm、共通排気通路54の絞り部54xの直径aは22.5mm、S1/S2は1.044等が好ましく採用可能である。
図11は、本実施形態の第2気筒12b又は第3気筒12cから共通排気通路54に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力(実線)と、第1気筒12aから独立排気通路52に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力(破線)とを併せて示す図である。左側から順に第2気筒12bのピーク圧力、第1気筒12aのピーク圧力、第3気筒12cのピーク圧力が示され、横軸に第1気筒12aの行程が示されている。測定条件は、V2/V1=1.35、独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの前記直径a=23.5mm、共通排気通路54の絞り部54xの前記直径a=22.5mm、S1/S2=1.044、回転数=3000rpmである。
図11から明らかなように、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積S2を、独立排気通路52の絞り部52xの流路面積S1よりも小さく設定した結果、共通排気通路54の容積V2が独立排気通路52の容積V1よりも大きいにも拘らず、第2気筒12b又は第3気筒12cから共通排気通路54に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力(実線)は、第1気筒12aから独立排気通路52に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力(破線)と同程度に高いものであった。そのため、第2気筒12b又は第3気筒12cから共通排気通路54に排出された排気が集合管56に噴出するときの流速が、第1気筒12aから独立排気通路52に排出された排気が集合管56に噴出するときの流速と同程度に高くなり、エゼクタ効果の気筒間格差が抑制されることになる。
比較のため、共通排気通路54の絞り部54xの前記直径aを23.5mm、つまりS1/S2を1としたときの測定結果を図11に鎖線で示した。図示したように、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積S2を、独立排気通路52の絞り部52xの流路面積S1と同じに設定したときは、共通排気通路54の容積V2が独立排気通路52の容積V1よりも大きいことに起因して、第2気筒12b又は第3気筒12cから共通排気通路54に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力(鎖線)は、第1気筒12aから独立排気通路52に排出されたブローダウンガスの排気ポート18内のピーク圧力(破線)よりも低いものであった。そのため、第2気筒12b又は第3気筒12cから共通排気通路54に排出された排気が集合管56に噴出するときの流速が、第1気筒12aから独立排気通路52に排出された排気が集合管56に噴出するときの流速よりも低くなり、エゼクタ効果の気筒間格差が生じることになる。
図3及び図6に示すように、第1独立排気通路52、第2独立排気通路53、及び共通排気通路54は、例えば排気系のコンパクト化等のために、気筒列方向の一端側から他端側を見たときに、エンジン本体1の内部から外部に亘って、絞り部52x,53x,54xよりも上流側の部分で、図3及び図6に関して下方に湾曲する湾曲部Rが形成されている。そして、この湾曲部Rにおいて、共通排気通路54は、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53よりも下方への湾曲方向の内側に配置されている。また、共通排気通路54の下流端の絞り部54xも、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53の下流端の絞り部52x,53xよりも下方への湾曲方向の内側に配置されている。そのため、共通排気通路54の上流端から下流端までの長さが、独立排気通路52,53の上流端から下流端までの長さよりもさらに短くなっている。これは、共通排気通路54の容積をできるだけ小さくして独立排気通路52,53の容積に近づけようとする方策の1つである。しかしながら、例えば排気系のコンパクト化を無視して独立排気通路52,53をむやみに長くする等の措置を取らない限りは、共通排気通路54の容積を独立排気通路52,53の容積に等しくすることは難しい。そのため、共通排気通路54の容積が独立排気通路52,53の容積よりも大きくなってしまうので、このような排気通路52,53,54の容積の気筒間格差に起因するエゼクタ効果の気筒間格差を是正するために、大容積通路である共通排気通路54の絞り部54xの流路面積を、小容積通路である独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積よりも小さく設定しているのである。
図1〜図7に示すように、独立排気通路52,53及び共通排気通路54の上流側部分はシリンダヘッド9内に連通孔として形成されている。そして、独立排気通路52,53及び共通排気通路54のシリンダヘッド9外の部分(エンジン本体1の外部に露出している部分)と集合管56とは排気マニホールド5として形成されている。なお、図4〜図7において、符号52f,53f,54fは、独立排気通路52,53及び共通排気通路54のシリンダヘッド9外の部分をエンジン本体1に結合するためのフランジである。また、独立排気通路52,53及び共通排気通路54のシリンダヘッド9外の部分は、耐熱性に富む鋳鋼で作製され、集合管56は、ステンレス鋼で作製されている。
図3及び図6から明らかなように、本実施形態では、共通排気通路54は、シリンダヘッド9内に連通孔として形成された部分を含めて、エンジン本体1の内部から外部に亘って、前記湾曲部Rにおいて、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53よりも湾曲方向の内側に配置されている。ただし、これに限定されず、共通排気通路54の上流端から下流端までの長さが、独立排気通路52,53の上流端から下流端までの長さよりもさらに短くなる限り、状況に応じて、共通排気通路54は、シリンダヘッド9外の部分のみ又はシリンダヘッド9内の部分のみ、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53よりも湾曲方向の内側に配置されてもよい。
ここで、図3、図6及び図13から明らかなように、共通排気通路54の下流端の絞り部54xは第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53の下流端の絞り部52x,53xよりもエンジン本体1寄りに配置され、第1独立排気通路52及び第2独立排気通路53の下流端の絞り部52x,53xは気筒列方向に並んで配置されている。
次に、集合管56について説明する。図2及び図3に示すように、集合管56は、上流から順に、円筒形状のガス流入部56a、逆円錐台形状の絞り部56b、円筒形状のストレート部56c、円錐台形状のディフューザー部56d、及び円筒形状のガス排出部56eを含む。束ねられた3つの排気通路52,53,54の下流端(絞り部52x,53x,54x)は、前記ガス流入部56aに接続される。
集合管56は、排気通路52,53,54の絞り部52x,53x,54xから排気が高速で集合管56内に噴出することにより得られるエゼクタ効果を促進し、且つ、低下した排気の圧力及び温度を集合管56の下流側部分(例えばディフューザー部56d)において再び上昇すなわち回復させるような形状を有している。
絞り部56bは、排気通路52,53,54の下流端から集合管56内に噴出した排気が高い流速を維持したまま下流に流れ込むように、下流ほど流路面積(集合管56の断面積)が小さくなるように逆円錐台形状に形成されている。この絞り部56bの下流端の流路面積は集合管56の最小流路面積である。
ストレート部56cは、前記絞り部56bから流れ込んだ排気の流速が高いまま維持されるように、前記最小流路面積を保って下流に延びる円筒形状に形成されている。
このような集合管56の上流側部分の形状により、各排気通路52,53,54の下流端から高速で集合管56内に噴出した排気は、高速を維持したまま前記絞り部56bを通過し、高速を維持したまま前記ストレート部56cに流れ込み、この排気の周囲に広い範囲で大きい負圧が発生し、エゼクタ効果が促進される。
ディフューザー部56dは、集合管56の上流側部分において低下した排気の圧力及び温度が再び上昇すなわち回復するように、下流ほど流路面積が大きくなるように円錐台形状に形成されている。
ガス排出部56eは、集合管56が触媒装置6に接続し、排気が触媒装置6に排出される部分であり、流路面積が一定の円筒形状に形成されている。このガス排出部56eの下流端に触媒装置6のケーシング62が接続され、集合管56を通過した排気は触媒装置6のケーシング62に流入する。
本実施形態では、排気通路52,53,54の絞り部52x,53x,54xの流路面積(本実施形態では扇形の面積)と同じ面積を有する真円の直径をaとし、集合管56の最小流路面積(本実施形態では絞り部56bの下流端の流路面積ひいてはストレート部56cの流路面積)と同じ面積を有する真円の直径をDとしたときに、a/Dを0.5以上に設定すれば、排気通路52,53,54の絞り部52x,53x,54xから集合管56内に噴出した排気が十分に高い流速を維持したままストレート部56cに流れ込み、高いエゼクタ効果が得られることが分かっているので、本実施形態では、a/D≧0.5が満足されるように、排気通路52,53,54の下流端(絞り部52x,53x,54x)の流路面積及び集合管56の最小流路面積が定められている。
また、本実施形態では、各排気通路52,53,54の下流端(絞り部52x,53x,54x)から集合管56内に噴出した排気が後述する円筒形状のガス流入部56aの内面に張り付いて排気の流速が低下するという不具合を抑制するために、図12に示すように、集合管56のガス流入部56aの内面を、3つの排気通路52,53,54の下流端が束ねられてなる円形よりも、径方向において外方に離間させている。例えば、3つの排気通路52,53,54の下流端が束ねられてなる円形の外径を40mm、ガス流入部56aの内径を60mmに設定し、2つの円を同心に配置している。
次に、触媒装置6について説明する。触媒装置6は、エンジン本体1から排出された排気を浄化するための装置であり、図2及び図3に示すように、三元触媒である触媒本体64と、この触媒本体64を収容するケーシング62とを備えている。
ケーシング62は、前記集合管56のガス排出部56eに接続される接続部62aと、この接続部62aの下流に位置して前記触媒本体64を収容する触媒収容部62cと、前記接続部62aと前記触媒収容部62cとの間に介在する容積拡大部62bとを含んでいる。
接続部62aは、集合管56のガス排出部56eと略同じ径を有する円筒形状に形成されている。触媒本体64は、略円筒形状であって、十分な触媒能力が確保されるように、前記集合管56よりも大きな径を有している。これに伴い、触媒収容部62cは、前記接続部62aよりも大径の略円筒形状に形成されている。例えば、接続部62aの径が60mm程度であるのに対して、触媒収容部62cの径は100mm程度に設定されている。そして、この接続部62aと触媒収容部62cとの間に介設された前記容積拡大部62bは、排気が接続部62aから円滑に触媒本体64全体に流入するように、接続部62aから触媒収容部62cに向かって拡径する円錐台形状に形成されている。
本実施形態では、前記触媒本体64は三元触媒であるから、空燃比が1付近で最もよく浄化性能を発揮する。図5に符号62dで酸素濃度センサ(O2センサ)を示した。図示しない燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量は、この排気系に設けられた酸素濃度センサ62dの検出値によって決まる。しかし、燃料噴射量は一般的には気筒12a〜12d毎には変えない場合が多い。したがって、その場合は、エゼクタ効果が気筒12a〜12d毎にばらつき、体積効率(ηV)が気筒12a〜12d毎にばらつくと、空燃比が気筒12a〜12d間でばらつくことになるので、そうなると、触媒本体64の浄化性能が十分発揮されず、エミッションが悪化することになる。また、気筒12a〜12d毎に燃料噴射量を変えて空燃比を揃えることによりエミッションの悪化を防いだとしても、その場合は、体積効率のばらつきがトルクのばらつきを招き、エンジン振動の原因になる。
図1に戻り、ECU2は、運転条件に応じて予め設定された吸気弁19及び排気弁20の目標バルブタイミングをその記録領域(メモリ)に格納している。ECU2は、例えばエンジン回転センサやスロットル開度センサ等の各種センサやスイッチ類(図示せず)からの信号に基いて現在の運転条件を演算すると共に、この演算結果に対応した目標バルブタイミングを前記記録領域から抽出し、各気筒12a〜12dの吸気弁19及び排気弁20のバルブタイミングがこの目標バルブタイミングとなるように前記吸気弁駆動機構30及び排気弁駆動機構40を制御する。
本実施形態では、各気筒12a〜12dの吸気弁19及び排気弁20の目標バルブタイミングは、次のような観点から設定されている。すなわち、少なくとも所定の運転領域(例えば3000rpm)において、図8に示すように、各気筒12a〜12dの吸気弁19の開弁期間と排気弁20の開弁期間とが吸気上死点を挟んで所定のオーバーラップ期間T_O/L重複し、且つ、各気筒12a〜12dの排気弁20が排気順序が1つ前の他の気筒12a〜12dのオーバーラップ期間T_O/L中に開弁を開始すること、である。具体的には、第1気筒12aの吸気弁19と排気弁20とのオーバーラップ期間T_O/L中に第3気筒12cの排気弁20が開弁し、第3気筒12cの吸気弁19と排気弁20とのオーバーラップ期間T_O/L中に第4気筒12dの排気弁20が開弁し、第4気筒12dの吸気弁19と排気弁20とのオーバーラップ期間T_O/L中に第2気筒12bの排気弁20が開弁し、第2気筒12bの吸気弁19と排気弁20とのオーバーラップ期間T_O/L中に第1気筒12aの排気弁20が開弁するように、目標バルブタイミングが設定されている。これにより、排気順序が1つ前の他の気筒12a〜12dの掃気が促進され、体積効率の向上ひいてはトルクの向上が図られる。
(3)本実施形態の特徴
以上のように、本実施形態では、エゼクタ効果が得られるように構成された多気筒エンジンの排気装置100において、次のような特徴的構成を採用した。
複数の気筒12a〜12dの排気ポート18に上流端が接続され、前記気筒12a〜12dから排出された排気が通過する複数の排気通路52,53,54と、前記各排気通路52,53,54の下流端において下流ほど流路面積が小さくなるように形成された絞り部52x,53x,54xと、前記各排気通路52,53,54の下流端(絞り部52x,53x,54x)が束ねられて接続され、各排気通路52,53,54を通過した排気が集合する集合管56とを備えた。ECU2は、少なくとも所定の運転領域(例えば低速高負荷域等)において、各気筒12a〜12dの吸気弁19の開弁期間と排気弁20の開弁期間とが所定のオーバーラップ期間T_O/L重複し、各気筒12a〜12dの排気弁20が排気順序が1つ前の他の気筒12a〜12dのオーバーラップ期間T_O/L中に開弁を開始するように、各気筒12a〜12dの吸気弁19及び排気弁20を駆動する吸気弁駆動機構30及び排気弁駆動機構40を制御する。
これにより、ある気筒12a〜12dから排出された排気が排気通路52,53,54の下流端の絞り部52x,53x,54xから集合管56に高速で噴出することにより前記集合管56内に負圧が発生し、この負圧が排気順序が1つ前の他の気筒12a〜12dの排気ポート18に作用して排気が下流に吸い出されるエゼクタ効果が得られる。
しかも、少なくとも所定の運転領域においては、排気順序が1つ前の他の気筒12a〜12dのオーバーラップ期間T_O/L中に負圧が作用するので、前記エゼクタ効果により、前記他の気筒12a〜12d内にも負圧が作用し、掃気が促進され、体積効率の向上ひいてはトルクの向上が図られる。
その上で、複数の排気通路52,53,54には容積が相違するものが混在しており、複数の排気通路52,53,54のうち、大容積通路である共通排気通路54の絞り部54xの流路面積S2が、小容積通路である独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積S1よりも小さく設定されているので、共通排気通路54の容積V2が大きいことに起因するエゼクタ効果の低下を、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積S2を小さくして共通排気通路54の絞り部54xから排気が集合管56に噴出するときの流速を高めることにより補うことができる。その結果、触媒装置6の活性化の観点から、また排気系のコンパクト化の観点から、排気通路52,53,54をできるだけ短くしつつ、エゼクタ効果の気筒間格差ひいてはトルクの気筒間格差が抑制される。また、エゼクタ効果の気筒間格差が抑制されることにより、体積効率の気筒間格差が抑制され、ひいては空燃比の気筒間格差も抑制されるので、三元触媒である触媒本体64の浄化性能が十分発揮されて、エミッションの悪化やエンジン振動の増加も抑制される。
本実施形態では、排気通路52,53,54は、全気筒12a〜12dのうち一部の複数の気筒12b,12c用に共通に設けられた共通排気通路54と、残りの気筒12a,12d用に個別に設けられた独立排気通路52,53とを有している。そして、排気順序が隣り合わない第2気筒12b及び第3気筒12cのための排気通路は、各気筒12b,12cの排気ポート18に上流端が接続された複数の分岐通路54b,54cと、前記各分岐通路54b,54cが合流した部分に上流端が接続され、且つ、下流端に絞り部54xが形成された合流通路54aとからなる共通排気通路54である。一方、第1気筒12a及び第4気筒12dのための排気通路は、各気筒12a,12dの排気ポート18に上流端が接続され、且つ、下流端に絞り部52x,53xが形成された単独の通路からなる独立排気通路52,53である。そして、共通排気通路54の容積V2が独立排気通路52,53の容積V1よりも大きく設定され、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積S2が独立排気通路52,53の絞り部52x,53xの流路面積S1よりも小さく設定されている。
これにより、分岐通路54b,54cと合流通路54aとからなる共通排気通路54と、単独の通路からなる独立排気通路52,53とが混在している場合に、共通排気通路54の容積V2が独立排気通路52,53の容積V1よりも大きく設定されているので、共通排気通路54の分岐通路54b,54cを長くすることができる。その結果、分岐通路54b,54cを急角度で合流させずに済み、共通排気通路54を通過する排気の抵抗を少なく抑えることができる。そのため、共通排気通路54の排気抵抗を減らしつつ、エゼクタ効果の気筒間格差及びエミッションの悪化等を抑制することができる。
本実施形態では、当該エンジンはエンジン本体1に第1気筒12aから第4気筒12dまで4つの気筒が直列に配置された直列4気筒エンジンであり、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に位置する第2気筒12b及び第3気筒12cの排気通路が共通排気通路54であり、気筒列方向においてエンジン本体1の端部に位置する第1気筒12a及び第4気筒12dの排気通路が独立排気通路52,53である。そして、集合管56は気筒列方向においてエンジン本体1の中央部に対向する位置に配置されている。
これにより、図13によく示されるように、気筒列方向においてエンジン本体1の中央部を境に、4つの気筒12a〜12dと1つの共通排気通路54と2つの独立排気通路52,53と1つの集合管56とが左右対称に配置される。その結果、エゼクタ効果の気筒間格差ひいてはトルクの気筒間格差及びエミッションの悪化等が効率よく抑制される。
本実施形態では、共通排気通路54及び独立排気通路52,53は絞り部52x,53x,54xよりも上流側の部分で下方に湾曲し(湾曲部R)、共通排気通路54及びその絞り部54xは独立排気通路52,53及びその絞り部52x,53xよりも下方への湾曲方向の内側に配置されている。
これにより、図3及び図6によく示されるように、例えば排気系のコンパクト化等のために、共通排気通路54及び独立排気通路52,53が同一方向(下方)に湾曲する場合に、その湾曲部Rを利用して、効率よく、共通排気通路54の上流端から下流端までの長さを独立排気通路52,53の上流端から下流端までの長さよりもさらに短くすることができ、大容積通路である共通排気通路54の容積V2をできるだけ小さくすることができる。その結果、共通排気通路54の絞り部54xの流路面積S2を小さくする度合いを抑制することができ、共通排気通路54の絞り部54xを通過する排気の抵抗の増大を抑制することができる。
(4)本実施形態の変形例
前記第1の実施形態は、排気系が4−3−1排気系の場合であったが、これに限定されない。例えば、図14の第2の実施形態に示すように、排気系が4−1排気系の場合も本発明は好ましく適用される。図14において、符号151〜154は、それぞれ、第1〜第4気筒12a〜12dの排気ポート18に上流端が接続され、下流端に絞り部151x,152x,153x,154x(図15参照)が形成された単独の通路からなる独立排気通路である。
この第2実施形態では、全ての排気通路151〜154が同種の排気通路、すなわち単独の通路からなり分岐がない独立排気通路であるので、第1気筒12aの第1独立排気通路151及び第4気筒12dの第4独立排気通路154は、長さが相対的に長くなり、ひいては容積が相対的に大きくなる。また、第2気筒12bの第2独立排気通路152及び第3気筒12cの第3独立排気通路153は、長さが相対的に短くなり、ひいては容積が相対的に小さくなる。つまり、第2実施形態では、第1独立排気通路151及び第4独立排気通路154は、容積が相対的に大きい排気通路すなわち大容積通路であり、第2独立排気通路152及び第3独立排気通路153は、容積が相対的に小さい排気通路すなわち小容積通路である。
そのため、第2実施形態では、図15に示すように、第1独立排気通路151及び第4独立排気通路154の絞り部151x,154xの流路面積を、第2独立排気通路152及び第3独立排気通路153の絞り部152x,153xの流路面積よりも小さく設定している。
なお、図15には、4つの扇形の中心角を調整することにより、第1独立排気通路151及び第4独立排気通路154の絞り部151x,154xの流路面積を第2独立排気通路152及び第3独立排気通路153の絞り部152x,153xの流路面積よりも小さく設定する場合を示したが、4つの扇形の半径を調整してもよく、さらには、4つの扇形の中心角及び半径の両方を調整してもよい。
図16及び図17に示す第3の実施形態は、排気系が4−2−1排気系の場合である。図16において、符号254は、排気順序が隣り合わない第2気筒12b及び第3気筒12cの排気ポート18に上流端が接続された第1分岐通路254b及び第2分岐通路254cと、前記分岐通路254b,254cが合流してなり、下流端に絞り部254x(図17参照)が形成された合流通路254aとからなる第1共通排気通路であり、符号255は、排気順序が隣り合わない第1気筒12a及び第4気筒12dの排気ポート18に上流端が接続された第1分岐通路255b及び第2分岐通路255cと、前記分岐通路255b,255cが合流してなり、下流端に絞り部255x(図17参照)が形成された合流通路255aとからなる第2共通排気通路である。
この第3実施形態では、全ての排気通路254,255が同種の排気通路、すなわち分岐通路と合流通路とからなり分岐がある共通排気通路であるので、第1気筒12a及び第4気筒12dの第2共通排気通路255は、長さが相対的に長くなり、ひいては容積が相対的に大きくなる。また、第2気筒12b及び第3気筒12cの第1共通排気通路254は、長さが相対的に短くなり、ひいては容積が相対的に小さくなる。つまり、第3実施形態では、第2共通排気通路255は、容積が相対的に大きい排気通路すなわち大容積通路であり、第1共通排気通路254は、容積が相対的に小さい排気通路すなわち小容積通路である。
そのため、第3実施形態では、図17に示すように、第2共通排気通路255の絞り部255xの流路面積を、第1共通排気通路254の絞り部254xの流路面積よりも小さく設定している。
なお、図17には、2つの扇形の中心角を調整することにより、第2共通排気通路255の絞り部255xの流路面積を第1共通排気通路254の絞り部254xの流路面積よりも小さく設定する場合を示したが、2つの扇形の半径を調整してもよく、さらには、2つの扇形の中心角及び半径の両方を調整してもよい。
前記実施形態では、集合管56は、流路面積が縮小する絞り部56bだけを含むもの(ストレート部56c及びディフューザー部56dがないもの)でもよく、絞り部56bと流路面積が拡大するディフューザー部56dとだけを含むもの(ストレート部56cがないもの)でもよい。このような構成の集合管56を用いてもエゼクタ効果は十分得ることができる。例えば、量産設計時にレイアウト上の制約等から集合管56を短くする場合に、絞り部56bだけを含む集合管56や、ストレート部56cを省略して絞り部56bとディフューザー部56dとを直接滑らかに曲面でつなぐような形状の集合管56等としても構わない。
例えば、シリンダヘッド9と排気マニホールド5との合わせ面等では、排気通路52,53,54の下流のほうが流路面積が大きい部分が存在してもよい。すなわち、エゼクタ効果が得られるのであれば、状況に応じて、排気通路52,53,54の下流端(絞り部52x,53x,54x)よりも上流側の部分では、下流ほど流路面積が大きくなるように形成された部分があっても構わない。