JP5998489B2 - 多光子励起型のテラヘルツ波発生素子及びテラヘルツ波検出素子 - Google Patents

多光子励起型のテラヘルツ波発生素子及びテラヘルツ波検出素子 Download PDF

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Description

本発明は、レーザ光の入射によりテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生素子及びテラヘルツ波の入射により信号を発生させるテラヘルツ波検出素子に関するものである。
テラヘルツ波は周波数が0.1〜10THz(その周辺領域を含む)の電磁波であり、近年研究が進められている。広く知られている構成を持つテラヘルツ波発生素子1の模式図を図6に示す。テラヘルツ波発生素子1は、基板2と、基板2の表面に形成された光伝導膜3と、光伝導膜3上で所定のギャップ5を挟んで対向するアンテナ4と、基板2をはさんでアンテナ4の反対側にシリコンレンズ6とを備える。アンテナ4にバイアス電圧を印加している状態で、基板2に対してアンテナ4の側からギャップ5に向かう方向(矢印Aの方向)で励起光が入射される時に、光伝導膜3が励起されてテラヘルツ波が発生する。このような構成では、テラヘルツ波がアンテナ4から基板2を通過する方向(矢印Bの方向)で出射されるため、テラヘルツ波の一部が基板2に吸収されて発生効率が低下する。例えば、基板2としてGaAs基板を用いる場合には、周波数が7〜10THzの領域のテラヘルツ波が基板2に吸収されることが知られている。
また、図6と同じ構成がテラヘルツ波検出素子として利用できる。この場合には、アンテナ4にバイアス電圧を印加していない状態で、基板2に対してアンテナ4の側からギャップ5に向かう方向(矢印Aの方向)で励起光が入射され、同時に基板2に対してアンテナ4の反対側からギャップ5に向かう方向(矢印Cの方向)でテラヘルツ波が入射される時に、アンテナ4の間を流れる電流を測定することでテラヘルツ波を検出することができる。このような構成では、検出するテラヘルツ波の入射側に基板2が存在するため、入射するテラヘルツ波の一部が基板2により吸収されて検出効率が低下する。
特許文献1に開示されたテラヘルツ波発生素子では、テラヘルツ波の発生効率を向上させるために、基板上のテラヘルツ波出射方向に開口部を設け、該開口部を通してテラヘルツ波を出射することによって、基板によるテラヘルツ波の吸収を低減している。
また、特許文献2に開示されたテラヘルツ波発生素子では、レンズ上にアンテナと薄い光伝導膜とがこの順番に積層されて形成されており、基板は除去されている。そのため、発生されたテラヘルツ波に対して、基板によるテラヘルツ波の吸収は起こらない。
特開2007−281419号公報 特開2005−311324号公報
多光子吸収による励起を起こしてテラヘルツ波を発生、検出する際には、特にアンテナのギャップにおける励起光の光強度を高める必要がある。図6の構造においてテラヘルツ波の発生効率、検出効率を向上させるために、仮に光伝導膜3とアンテナ4とを励起光が入射する側の反対側に設けたとしても、入射する励起光が空気と基板2との界面で大きく屈折してしまうため、ギャップ5における励起光のスポット(ビーム径)が広がり、ギャップ5での光強度が低下する。その結果、多光子吸収によるテラヘルツ波発生効率、検出効率が低下してしまう。
特許文献1に開示された技術は、基板上に開口部を作成するための工程が必要となるため、素子の製造方法が複雑化し、製造コストが増加する。また、開口部上のアンテナ及び光伝導膜が基板に支持されないため、強度が低下する。
特許文献2に開示された技術は、レンズ上に薄い光伝導膜のみを残して基板を除去する工程が必要になるため、素子の製造方法が複雑化し、製造コストが増加する。また、レンズ、アンテナ及び光伝導膜を支持する基板が除去されるため、やはり強度が低下する。
本発明の目的は、従来のアンテナ及び基板を用いて強度を維持して構成することができ、多光子吸収による励起を効率的に起こし、かつ基板によるテラヘルツ波の吸収を低減できるテラヘルツ波発生素子及び検出素子を提供することである。
本発明の第1の態様は、多光子励起によりテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生素子であって、入射される励起光に対して透明な基板と、前記基板に前記励起光が入射される側とは反対側の前記基板の面上に設けられる光伝導膜と、前記光伝導膜上に設けられ、ギャップを挟んで対向する2つの電極を有するアンテナと、前記基板に前記励起光が入射される側に設けられ、前記励起光を前記ギャップに集光する集光部と、前記アンテナ上に設けられ、前記ギャップにおいて発生されるテラヘルツ波を、前記基板に前記励起光が入射される側とは反対側に導くように構成されているアンテナ側レンズと、を備え、前記アンテナは、前記光伝導膜および前記アンテナ側レンズのどちらか一方に設けられた溝に嵌合している。
本発明の第2の態様は、多光子励起によりテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出素子であって、入射される励起光に対して透明な基板と、前記励起光が入射される側とは反対側の前記基板の面上に設けられる光伝導膜と、前記光伝導膜上に設けられ、ギャップを挟んで対向する2つの電極を有するアンテナと、前記基板に前記励起光が入射される側に設けられ、前記励起光を前記ギャップに集光する集光部と、前記アンテナ上に設けられ、前記励起光が前記基板に入射される側とは反対側から入射されるテラヘルツ波を前記ギャップに集光するように構成されているアンテナ側レンズと、を備え、前記アンテナは、前記光伝導膜および前記アンテナ側レンズのどちらか一方に設けられた溝に嵌合している。
本発明に係るテラヘルツ波発生素子及び検出素子は、従来のアンテナ及び基板を用いて強度を低下させずに構成することができる。また、アンテナのギャップにおいて多光子吸収を効率的に起こすことができる。さらに、基板によるテラヘルツ波の吸収を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出装置の概略図である。 本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出素子の平面図である。 (a)、(b)本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出素子の断面図である。 (a)検出されたテラヘルツ波の時間波形を表す図である。(b)検出されたテラヘルツ波のスペクトルを表す図である。 (a)、(b)、(c)本発明に係るテラヘルツ波発生検出素子の別の実施形態を表す断面図である。 従来のテラヘルツ波発生検出素子の断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出素子は、同一の構成でテラヘルツ波発生素子としてもテラヘルツ波検出素子としても機能する。すなわち、テラヘルツ波発生検出素子にバイアス電圧が印加されている状態で励起光(ポンプ光)が照射されるとテラヘルツ波発生素子としてテラヘルツ波を発生させることができ、テラヘルツ波発生検出素子にバイアス電圧が印加されていない状態で励起光(プローブ光)とテラヘルツ波とが照射されるとテラヘルツ波検出素子として該テラヘルツ波を検出することができる。
図1は、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出装置100の概略構成図である。テラヘルツ波発生検出装置100は、短パルス光102を発生させるレーザ発振器101と、短パルス光102をポンプ光104とプローブ光105とに分割するビームスプリッタ103と、ポンプ光104に遅延を与える光学遅延部112と、ポンプ光104及びプローブ光105をそれぞれ集光するための集光レンズ106、113と、ポンプ光104を受けてテラヘルツ波の発生を行うテラヘルツ波発生検出素子201(テラヘルツ波発生素子201aという)と、プローブ光105を受けてテラヘルツ波の検出を行うテラヘルツ波発生検出素子201(テラヘルツ波検出素子201bという)と、テラヘルツ波発生素子201aに変調されたバイアス電圧を印加するバイアス変調器107と、テラヘルツ波検出素子201bから発生される電流を増幅する電流増幅器114と、バイアス変調器107及び電流増幅器114に接続されてロックイン検出を行うロックインアンプ116と、を備える。
レーザ発振器101としては、ファイバレーザを用いる。レーザ発振器101が発生する短パルス光102に対して、テラヘルツ波発生検出素子201の基板が透明である必要がある。すなわち、レーザ発振器101は、テラヘルツ波発生検出素子201で使用される基板がほとんど又は全く吸収しない波長領域の短パルス光102を発生させる。その結果、励起光(ポンプ光、プローブ光)の基板による吸収を低減できるため、テラヘルツ波の発生及び検出を高い効率で行うことができる。本実施形態においては、テラヘルツ波発生検出素子201にGaAs基板を用いるため、中心波長1560nm、パルス幅20fs、出力100mWの短パルス光102を用いている。
所望の波長の短パルス光を出射できるものであれば、ファイバレーザ以外のフェムト秒レーザ、例えば固体レーザ、色素レーザ又はパラメトリックレーザ等、任意のレーザ光源を利用することができる。
ビームスプリッタ103は、レーザ発振器101から短パルス光102が出射される方向に設置され、短パルス光102をテラヘルツ波発生に用いるためのポンプ光104と、テラヘルツ波検出に用いるためのプローブ光105とに分岐する。ビームスプリッタ103としては、偏光ビームスプリッタを用いる。レーザ発振器101とビームスプリッタ103との間にλ/2板(不図示)を設けることで、短パルス光102の偏光を任意に変更し、分岐比を調整することができる。分岐比は、1:1になるように調整することが一般的だが、検出感度が最大になるように調整することが望ましい。ビームスプリッタ103として、強度を分割するビームスプリッタを用いてもよい。
光学遅延部112は、ビームスプリッタ103からポンプ光104が出射される方向に設けられ、ポンプ光104の光路長を変更し、それによりポンプ光104に遅延を発生させることができる。光学遅延部112には周知の構成が用いられる。例えば、光学遅延部112は、駆動部と、ポンプ光104を反射してテラヘルツ波発生素子201aに導く複数のミラーとを有し、該駆動部により該複数のミラーを移動させることによって、ポンプ光104の光路長を変更することができる。
本実施形態では光学遅延部はポンプ光に対して設けられているが、ポンプ光とプローブ光との間の時間差を変更できればよいので、ビームスプリッタ103からプローブ光105が出射される方向に光学遅延部を設け、プローブ光105に対して遅延を発生させてもよい。
テラヘルツ波発生素子201aは、光学遅延部112により遅延されたポンプ光104が出射される方向に設けられる。光学遅延部112とテラヘルツ波発生素子201aとの間には、ポンプ光104のスポットを絞るための集光レンズ106が設けられる。集光レンズ106としては任意のレンズを用いることができるが、テラヘルツ波発生素子201aのアンテナにおけるスポットを小さくして多光子吸収を起こしやすくするため、単焦点でNAの大きなレンズを用いることが望ましい。また、テラヘルツ波発生素子201aの有するアンテナにバイアス変調器107が接続され、テラヘルツ波発生に必要なバイアス電圧に変調を与えて印加する。バイアス変調器107はロックイン検出に使用する参照信号108をロックインアンプ116に出力する。変調周波数は100kHz程度の高周波で行うことが好ましいが、使用するロックインアンプの周波数帯域に合わせて調整を行う。テラヘルツ波発生素子201aにバイアス電圧が印加されている状態で、ポンプ光104が入射されると、テラヘルツ波109が発生され、出射される。
本実施形態では、バイアス変調器107がバイアス電源と変調器の両方の機能を有しているが、バイアス電源と変調器とを別に設けてもよい。その場合には、変調器として音響光学変調器(AOM)や、チョッパ等をポンプ光104の光路上に設けることにより、ポンプ光104を変調することができる。
テラヘルツ波発生素子201aから出射されるテラヘルツ波109をテラヘルツ波検出素子201bに導くために、出射されたテラヘルツ波109をコリメート(平行光化)するための第1の軸外し放物面鏡110と、コリメートされたテラヘルツ波109をテラヘルツ波検出素子201b上に集光するための第2の軸外し放物面鏡111とが設けられる。また、テラヘルツ波発生素子201aおよびテラヘルツ波検出素子201bを透過する励起光を除去するために、テラヘルツ波発生素子201aおよびテラヘルツ波検出素子201bの励起光の入射側とは反対側に、それぞれフィルタ117a、117bを設けるとよい。フィルタ117a、117bとしては、レーザ光を反射し、テラヘルツ波を透過させる素材、例えばブラックポリエチレンやゲルマニウム基板を用いることができる。
テラヘルツ波検出素子201bは、ビームスプリッタ103から出射されるプローブ光105が導かれる方向に設けられる。プローブ光105の光路上には、プローブ光105のスポットを絞るための集光レンズ113が設けられる。集光レンズ113としては任意のレンズを用いることができるが、テラヘルツ波発生素子201aのアンテナにおけるスポットを小さくして多光子吸収を起こしやすくするため、単焦点でNAの大きなレンズを用いることが望ましい。また、テラヘルツ波検出素子201bの有するアンテナに電流増幅器114が接続される。テラヘルツ波検出素子201bにプローブ光105とテラヘルツ波109とが入射されると、それに応答してテラヘルツ波検出素子201bの有するアンテナに電流が流れ、該電流を電流増幅器114によって増幅することができる。電流増幅器114は増幅した電流を電流信号115としてロックインアンプ116に出力する。
ロックインアンプ116は、バイアス変調器107と電流増幅器114とに接続され、参照信号108と電流信号115とのロックイン検出(同期検波)を行い、発生されたテラヘルツ波109の検出を行うことができる。さらに、光学遅延部112を作動させてポンプ光104の遅延時間を変化させながらテラヘルツ波109の検出を行うことで、テラヘルツ波109の時間波形を得ることができる。
本実施形態では発生されるテラヘルツ波をそのまま検出しているが、発生されるテラヘルツ波を物体に照射し、該物体で反射または透過されるテラヘルツ波を検出することで、該物体の物性を計測することに利用できる。その場合には、テラヘルツ波発生素子201aとテラヘルツ波検出素子201bとの間に物体を設置し、軸外し放物面鏡を組み合わせて該物体上にテラヘルツ波発生素子201aからのテラヘルツ波を集光し、さらに軸外し放物面鏡を組み合わせて該物体で反射または透過されるテラヘルツ波をテラヘルツ波検出素子201b上に集光すればよい。
本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出素子201の構成を、図2、3を用いて説明する。図2は、テラヘルツ波発生検出素子201をテラヘルツ波が出射または入射される側から見た平面図を表す。図2中の破線は光伝導膜203に対して奥側の形状を示す。図3(a)は、テラヘルツ波発生検出素子201を、ギャップ205を含むD−D線で切断し、矢印方向に見た断面図を表す。図3(b)は、テラヘルツ波発生検出素子201を、切り欠き部206a及び導電線208を含むE−E線で切断し、矢印方向に見た断面図を表す。
テラヘルツ波発生検出素子201は、基板202と、励起光(ポンプ光、プローブ光)が入射する側とは反対側の基板202の面上に形成された光伝導膜203と、光伝導膜203上で所定のギャップ205を挟んで対向するアンテナ204と、アンテナ204上に設けられている、テラヘルツ波を集光させるためのアンテナ側レンズ206と、励起光が入射する側の基板202の面に接して設けられている、励起光をギャップ205に集光させるための基板側レンズ207と、アンテナ204に接続されている導電線208と、を備える。
基板202としては、GaAs基板を用いる。GaAsはバンドギャップが1.42eV(温度が300Kの時)であるため、873nm以下の波長で吸収が生じる。本実施形態においては、基板202による励起光の吸収を低減するために、励起光に873nmより大きい波長の光を用い(つまり、用いる励起光に対して基板202が透明であるように構成し)、アンテナ204のギャップ205において多光子励起を発生させることによって、テラヘルツ波の発生及び検出を行っている。
本実施形態ではレーザ発振器101として中心波長1560nm、パルス幅20fs、出力100mWの短パルス光を出力するものを用いている。
光伝導膜203は、基板202に対して励起光が入射する側とは反対側の面を覆うように設けられる。光伝導膜203としては、基板202上に低温下のエピタキシャル成長等により形成された低温成長GaAsを用いる。アンテナ204と組み合わせてテラヘルツ波の発生及び検出が可能であれば、低温成長GaAs以外にも光励起キャリア移動度が高い任意の素材が利用できる。
アンテナ204は、光伝導膜203の表面、つまり、基板202について励起光の入射側とは反対側に設けられる。アンテナ204は一対の電極を有しており、該一対の電極の一部がギャップ205を挟んで近接するように構成されている。ギャップ205の間隔は5μm程度が好ましい。
アンテナ側レンズ206としてはシリコンレンズが用いられ、アンテナ204上に設けられる。シリコンレンズは基板202に用いられているGaAsよりも誘電率が高いため、アンテナ204のギャップ205において発生されるテラヘルツ波を、基板202の方向ではなく、アンテナ側レンズ206の方向へ多く誘導することができる。また、テラヘルツ波を検出する場合には、アンテナ側レンズ206は該テラヘルツ波をギャップ205に集めるよう動作する。基板202よりも誘電率が大きければ、シリコンレンズ以外にも任意の素材が利用できる。このように構成することで、発生及び検出するテラヘルツ波が基板202を通らないため、基板202による該テラヘルツ波の吸収を抑制することができる。
光伝導膜203とアンテナ側レンズ206との間隔は、3μm以下にすることが好ましい。それにより、光伝導膜203とアンテナ側レンズ206との間のギャップ205において、テラヘルツ波が多重反射されることを防止または低減させることができる。
基板側レンズ207は、集光レンズ106、113とは別に、基板202上の光伝導膜203とは反対側(つまり、励起光の入射側)の面上に設けられる。基板側レンズ207は、基板202と同等のまたは近い誘電率を持つ平凸レンズであり、該平凸レンズの平面部を基板202に接して設けられる。本実施形態ではGaAsの平凸レンズを用いている。基板側レンズ207は基板202に厳密に接していなくとも、近接していることで同様の作用が期待できる。基板側レンズ207により、基板202の表面で励起光が大きく屈折して励起光のスポットがアンテナ204のギャップ205において広がることを抑制できる。その結果、入射する励起光のスポットをギャップ205において絞ることができるため、多光子励起を効率よく起こす、つまり多光子励起の発生確率を上げることができる。このように構成することによって、基板202を薄く構成しなくとも多光子励起によるテラヘルツ波発生及び検出を行うことができるため、広く用いられる厚さである300〜500μmの厚さの基板を用いることができ、テラヘルツ波発生検出素子201に十分な強度をもたせることができる。
本実施形態では基板202における励起光の入射側に平凸レンズを設置しているが、基板202の表面での励起光の屈折を抑制できればよい。そのため、レンズを設置する代わりに、基板202の励起光の入射側の表面形状を、屈折が低減される曲面形状、例えば半球状に加工してもよい。
本実施形態では平凸レンズを使用しているが、代わりに両凸レンズを用いてもよい。その場合には、該両凸レンズの凸面と基板202との間の空気による屈折を抑制するため、樹脂などの屈折率整合材で埋めることが望ましい。
アンテナ204には、導電線208が接続される。アンテナ側レンズ206の一部を切り欠いて切り欠き部206aを設け、導電線208は切り欠き部206aを通してアンテナ204に接続される。切り欠き部206aは、テラヘルツ波の発生及び検出を阻害しないよう、アンテナ側レンズ206の周辺部、つまりテラヘルツ波の発生及び検出が行われるギャップ205から離れた場所に設けることが望ましい。テラヘルツ波の発生を行う場合には、導電線208にはバイアス変調器107(バイアス電源でもよい)が接続される。テラヘルツ波の検出を行う場合には、導電線208には電流増幅器114が接続される。
本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出素子201によれば、基板側レンズ207によりギャップ205における励起光のスポットを絞るように構成されているため、効率的に多光子励起を起こしてテラヘルツ波の発生及び検出を行うことができ、テラヘルツ波発生検出素子201に十分な厚さを持つ基板202を用いることができる。さらに、発生及び検出されるテラヘルツ波が基板202を通らないように構成されているため、該テラヘルツ波が基板202により吸収されることを低減することができる。
以下に、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出装置100及びテラヘルツ波発生検出素子201の動作を説明する。
テラヘルツ波発生素子201aには、バイアス変調器107によりアンテナ204にバイアス電圧を印加する。該バイアス電圧には、ロックイン検出を行うために変調を掛けておく。
この状態で、レーザ発振器101から、短パルス光102を発生させる。短パルス光102は、ビームスプリッタ103によりポンプ光104とプローブ光105とに分岐される。ポンプ光104には、光学遅延部112により遅延が与えられる。遅延されたポンプ光104は集光レンズ106によりテラヘルツ波発生素子201aに集光される。テラヘルツ波発生素子201aにおいて、ポンプ光104は基板側レンズ207を通り、アンテナ204のギャップ205に集光される。その結果、光伝導膜203の多光子励起が起こり、テラヘルツ波109が発生される。発生されたテラヘルツ波109はアンテナ側レンズ206を通って出射される。
テラヘルツ波発生素子201aから出射されたテラヘルツ波109は、軸外し放物面鏡110、111により、コリメートされた後にテラヘルツ波検出素子201bに集光される。テラヘルツ波109は、さらにアンテナ側レンズ206を通ってアンテナ204のギャップ205に集光される。
テラヘルツ波の発生と並行して、プローブ光105は集光レンズ113によりテラヘルツ波検出素子201bに集光される。テラヘルツ波検出素子201bにおいて、プローブ光105は基板側レンズ207を通り、アンテナ204のギャップ205に集光される。
テラヘルツ波検出素子201bのギャップ205にテラヘルツ波109とプローブ光105とが到達すると、ギャップ間に電流が流れる。該電流は電流増幅器114で増幅され、電流信号115としてロックインアンプ116に入力される。同時に、バイアス変調器107からの参照信号108がロックインアンプ116に入力され、テラヘルツ波検出素子201bに入射されたテラヘルツ波109のロックイン検出が行われる。さらに光学遅延部112がポンプ光104に与える遅延時間を変化させながら検出を行うことで、テラヘルツ波109の時間波形を取得する。
本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出装置100及びテラヘルツ波発生検出素子201を用いてテラヘルツ波発生及び検出を行った実施結果を図4(a)、(b)に示す。図4(a)は、ロックインアンプ116により取得された、横軸に時間、縦軸に振幅をとった時間波形である。図4(b)は、該時間波形にフーリエ変換を行うことにより取得された、横軸に周波数、縦軸に強度をとったスペクトルである。GaAsは7〜10THzの周波数領域を吸収することが知られているが、図4(b)によれば該周波数領域での吸収が低減されていることがわかる。
本発明に係るテラヘルツ波発生検出素子201の別の実施形態を図5(a)〜(c)に示す。図5(a)〜(c)は、図2に係る実施形態とは断面形状が異なるのみであり、それ以外の構成は共通している。図5(a)〜(c)はそれぞれ図2のD−D線で切断した断面図に相当する。
図5(a)に係る実施形態においては、アンテナ側レンズ206に、アンテナ204が篏合できる形状の溝206bが設けられる。アンテナ204は溝206bに篏合している状態で光伝導膜203に接して設けられる。このように構成することで、アンテナ側レンズ206は、ギャップ205において光伝導膜203に接する又は近接することができるため、ギャップ205において発生または検出されるテラヘルツ波が、空気とレンズとの界面で屈折することを防止または低減することができる。
図5(b)に係る実施形態においては、光伝導膜203に、アンテナ204が篏合できる形状の溝203aが設けられる。アンテナ204は溝203aに篏合している状態で光伝導膜203に接して設けられる。このように構成することで、アンテナ側レンズ206は、ギャップ205において光伝導膜203に接する又は近接することができるため、ギャップ205において発生または検出されるテラヘルツ波が、空気とレンズとの界面で屈折することを防止または低減することができる。
図5(c)に係る実施形態においては、光伝導膜203の表面に配置されたアンテナ204は、空気より高い誘電率であって、アンテナ側レンズ206に近い誘電率を持つ接着層209(例えば、樹脂などの屈折率整合剤)で覆われ、接着層209上にアンテナ側レンズ206が設けられる。このように構成することで、ギャップ205が接着層209で充填されることによりギャップ205から空気が排除されるため、ギャップ205において発生または検出されるテラヘルツ波が、空気とレンズとの界面で屈折することを防止または低減することができる。
100 テラヘルツ波発生検出装置
101 レーザ発振器
102 短パルス光
103 スプリッタ
104 ポンプ光
105 プローブ光
106、113 集光レンズ
107 バイアス変調器
108 参照信号
109 テラヘルツ波
110、111 軸外し放物面鏡
112 光学遅延部
114 電流増幅器
115 電流信号
116 ロックインアンプ
117a、117b フィルタ
201 テラヘルツ波発生検出素子
201a テラヘルツ波発生素子
201b テラヘルツ波検出素子
202 基板
203 光伝導膜
203a 光伝導膜の溝
204 アンテナ
205 ギャップ
206 アンテナ側レンズ
206a 切り欠き部
206b アンテナ側レンズの溝
207 基板側レンズ
208 導電線
209 接着層

Claims (10)

  1. 多光子励起によりテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生素子であって、
    入射される励起光に対して透明な基板と、
    前記基板に前記励起光が入射される側とは反対側の前記基板の面上に設けられる光伝導膜と、
    前記光伝導膜上に設けられ、ギャップを挟んで対向する2つの電極を有するアンテナと、
    前記基板に前記励起光が入射される側に設けられ、前記励起光を前記ギャップに集光する集光部と、
    前記アンテナ上に設けられ、前記ギャップにおいて発生されるテラヘルツ波を、前記基板に前記励起光が入射される側とは反対側に導くアンテナ側レンズと、
    を備え
    前記アンテナは、前記光伝導膜および前記アンテナ側レンズのどちらか一方に設けられた溝に嵌合しているテラヘルツ波発生素子。
  2. 前記アンテナ側レンズは、前記ギャップにおいて前記光伝導膜に接していることを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ波発生素子。
  3. 前記アンテナ側レンズが、前記基板より高い誘電率を有することを特徴とする請求項1または2に記載のテラヘルツ波発生素子。
  4. 前記集光部が、前記基板に前記励起光が入射される側の前記基板の面上に接している基板側レンズであることを特徴とする請求項1または2に記載のテラヘルツ波発生素子。
  5. 前記集光部が、前記基板に前記励起光が入射される側の前記基板の面の一部が半球状に加工された領域であることを特徴とする請求項1または2に記載のテラヘルツ波発生素子。
  6. 多光子励起によりテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出素子であって、
    入射される励起光に対して透明な基板と、
    前記励起光が入射される側とは反対側の前記基板の面上に設けられる光伝導膜と、
    前記光伝導膜上に設けられ、ギャップを挟んで対向する2つの電極を有するアンテナと、
    前記基板に前記励起光が入射される側に設けられ、前記励起光を前記ギャップに集光する集光部と、
    前記アンテナ上に設けられ、前記励起光が前記基板に入射される側とは反対側から入射されるテラヘルツ波を前記ギャップに集光するアンテナ側レンズと、
    を備え
    前記アンテナは、前記光伝導膜および前記アンテナ側レンズのどちらか一方に設けられた溝に嵌合しているテラヘルツ波検出素子。
  7. 前記アンテナ側レンズは、前記ギャップにおいて前記光伝導膜に接していることを特徴とする請求項6に記載のテラヘルツ波検出素子。
  8. 前記アンテナ側レンズが、前記基板より高い誘電率を有することを特徴とする請求項6または7に記載のテラヘルツ波検出素子。
  9. 前記集光部が、前記基板に前記励起光が入射される側の前記基板の面上に接している基板側レンズであることを特徴とする請求項6または7に記載のテラヘルツ波検出素子。
  10. 前記集光部が、前記基板に前記励起光が入射される側の前記基板の面の一部が半球状に加工された領域であることを特徴とする請求項6または7に記載のテラヘルツ波検出素子。
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