JP5997558B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は回転電機、特にインバータ駆動回転電機に関する。
近年、省エネルギー化の観点からインバータ装置を用いて回転電機(電動機)を可変速運転することが盛んに行われている。しかしながら、インバータ装置を用いて回転電機を駆動した場合、インバータ装置の動作により発生する急峻なサージ電圧(インバータサージ電圧)が原因となり、従来の商用周波電源駆動時に比べて高い電圧が、回転電機の固定子巻線を構成する巻線間に発生することが報告されている(例えば非特許文献1参照)。
さらに、今後はスイッチング損失を低減し、インバータ装置を小型化するために、電圧立上り時間が小さいSiC(IGBT<Insulated Gate Bipolar Transistor>+SiC−Diode、MOSFET<Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor>)インバータが増えると予測されている。この立上り時間が小さいインバータ装置の採用によって、サージ電圧は一般的に増大する。
回転電機では、インバータの電圧立上り時間が短くなると、供電ライン側の第1コイルの分担電圧が高くなる問題があった。このような問題に対して従来は、絶縁強化をする方法や、サージ電圧に対する巻線間電圧分布を改善する方法により解決を図っていた。
この解決策において、前者の絶縁強化をする方法としては、インバータ装置からサージ電圧が加わる固定子巻線の巻数を減らし、絶縁皮膜を厚くする技術がある(例えば非特許文献2参照)。
また、巻線間の電圧分布を改善する方法においては、インバータ装置のサージ電圧が問題化する以前から、高圧モータ、高圧発電機などの高圧回転機、高圧変圧器、リアクトルなどの高圧静止誘導機器で、雷インパルス、真空遮断機の開閉サージなどの高圧急峻サージ電圧への対策が検討されている。例えば巻線間分布静電容量と巻線各部の対地分布静電容量で形成した等価回路で電磁巻線を近似し、ユニットステップ電圧に対する電圧分布を計算することで、巻線間電圧分布を解析する方法がある(例えば非特許文献3参照)。
また、巻線間の分布静電容量に比し巻線各部の対地分布静電容量を小さく設計することにより、巻線間電圧分布を低減する方法もある。さらに、スロット内における巻き始めの巻線導体と巻き終わりの巻線導体との間の距離が近接するように巻線を行い、巻線間電圧を低減する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−028880号公報
電気学会技術報告第739号、p.14〜20 電気学会回転機研究会資料RM−00−95 現代高電圧工学、p.91〜93、家田正之著、オーム社発行
しかしながら、非特許文献2などに開示された絶縁被膜を厚くして絶縁強化をする方法では、回転電機の巻線の線積率を低下させ、回転電機を大型化させてしまうという問題がある。また、絶縁被膜を厚くすることにより放熱性が悪化するという問題がある。そのため、絶縁を強化する方法にも限界がある。
また、特許文献1などに開示された技術では、集中巻と分布巻の巻線方式で、スロット内の巻始めと巻終りを近接して巻回すことは装置の制御が複雑になる問題がある。さらに、1本持ちの巻線では、巻始めと巻終りを近接させることによって、巻線の交差箇所が発生する。この巻線交差による応力集中のために絶縁被膜劣化が発生して絶縁性が低下するという問題がある。
本発明は、前記した問題に鑑みて創案されたものであり、その目的および課題は、急峻なインバータサージ電圧に対する供電ライン側の単位巻線への電圧集中を低減する回転電機を提供することである。
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、本発明の回転電機は、複数のスロットが形成された固定子鉄心と、該固定子鉄心に装着された固定子巻線と、を有する固定子と、該固定子に空隙を介して対向配置され、かつ回転可能に支持された回転子と、を備え、前記固定子巻線を構成する同じ単位巻線の巻始め引出線と巻終り引出線とが、前記スロットの外で巻線の絶縁被膜を介して接触していることを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、急峻なインバータサージ電圧に対する供電ライン側の単位巻線への電圧集中を低減する回転電機を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る回転電機のステータのステータコアのティースコアとスロットとにおいて、巻回された巻線の構造例を示す模式図であり、(a)はティースコアとスロットで巻回された巻線の斜視図であり、(b)はスロット内部における複数の巻線の配置を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る回転電機のステータのステータコアのティースコアとスロットとにおいて、巻回された巻線の構造を示す模式図であり、(a)はティースコアとスロットで巻回された巻線の斜視図であり、(b)は巻線の巻始め引出線と巻終り引出線との間の関係であるB構造と表記した部分の構造を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る回転電機のステータのステータコアのティースコアとスロットとにおいて、巻回された巻線の構造を示す模式図であり、(a)はティースコアとスロットで巻回された巻線の斜視図であり、(b)は巻線の巻始め引出線と巻終り引出線との間の関係であるB構造と表記した部分の構造を示す模式図である。 本発明の第4実施形態に係る回転電機のステータのステータコアのティースコアとスロットとにおいて、巻回された巻線の構造を示す模式図であり、(a)はティースコアとスロットで巻回された巻線の斜視図であり、(b)は巻線の巻始め引出線と巻終り引出線との間の関係であるB構造と表記した部分の構造を示す模式図である。 比較例のティースコアとスロットとにおいて、巻回された巻線の構造を示す図であり、(a)はティースコアとスロットで巻回された巻線の斜視図であり、(b)はスロット内部における複数の巻線の配置を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る回転電機を駆動、制御するシステム構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る回転電機の構造の外観を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る回転電機のC−C’軸方向の断面を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る回転電機の固定子巻線の回路構成例を示す図であり、(a)はΔ結線、(b)はY結線を示す。 図8の回転電機の断面構造で、かつ図9の固定子巻線の回路構成である場合において、巻線にステップ電圧を印加した場合の対地間電圧とコイル電圧の測定結果を示す図であり、(a)は巻始め部と各わたり部の対地間電圧を示し、(b)はコイルの両端のコイル電圧を示している。 第1コイルの巻始めにステップ電圧を印加した場合の巻線間の静電容量の大小による対地電圧波形とコイル電圧波形の相異を示す模式図であり、(a)は第1コイルの巻終りの対地間電圧の静電容量の大小による相異を示し、(b)は第1コイル電圧の静電容量の大小による相異を示している。
以下に本願の発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称す)を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る回転電機のステータにおける巻線構造例を説明する。
<ティースコアとスロットとにおいて巻回された巻線の構造・その1>
図1は、本発明の第1実施形態に係る回転電機310(図7)のステータ(固定子)301(図7)のステータコア(固定子鉄心)110の複数の歯形状のティースコア114と溝状の空間部であるスロット116とにおいて、巻回された巻線111の構造例を示す模式図であり、(a)はティースコア114とスロット116で巻回された巻線111の斜視図であり、(b)はスロット116内部における複数の巻線1〜12の配置を示す模式図である。
本発明の第1実施形態の特徴は、図1(〜図4)の回転電機のステータにおける巻線構造にあるが、図1(〜図4)で示した構造が如何なる効果があるかについては、図1のみの説明では、かならずしも理解され難いところがある。
したがって、わかりやすさの観点から、図6〜図11の回転電機のシステム構成や回転電機の構造、さらには回路構成や特性について先に説明し、その後、あらためて、図1(〜図4)の回転電機のステータにおける巻線構造について詳細に説明する。
<回転電機のシステム構成例>
図6は、本発明の第1実施形態に係る回転電機を駆動、制御するシステム構成例を示す図である。
図6において、電源(3相交流電源)230からの交流電力をインバータ(電力変換器)220で可変電圧可変周波数の3相交流電力に変換して、回転電機210に供給して駆動制御する。回転電機210は、その回転トルクで負荷240を駆動する。
なお、インバータ220は、複数のダイオード222を組み合わせたコンバータ回路221と、平滑コンデンサ223と、複数のスイッチング素子であるIGBT225を組み合わせたインバータ回路224から構成されている。
前記のコンバータ回路221は、交流電圧(交流電力)を直流電圧(直流電力)に変換する。また、平滑コンデンサ223は、コンバータ回路221から出力される直流電圧(直流電力)を平滑化し、高周波成分を除去するとともに、直流電圧(直流電力)を安定化させる。また、インバータ回路224は、複数のIGBT225をPWM(Pulse Width Modulation)制御回路(不図示)によって制御することによって、直流電圧(直流電力)を可変電圧可変周波数の3相交流電圧(3相交流電力)に変換して出力する。
<回転電機の構造の外観>
次に、回転電機の構造の外観について説明する。
図7は、本発明の第1実施形態に係る回転電機310の構造の外観を示す図である。
図7において、本発明の第1実施形態に係る回転電機310は、ステータ(固定子)301と、このステータ301の内周側に空隙を介して対向配置され、かつ回転可能に支持されているロータ(回転子)302から構成されている。
また、ロータ302の中心にはシャフト304があり、シャフト304の端部には軸受306とベアリング305が設けられている。
ステータ301とロータ302は、回転電機310のハウジング309とエンドブラケット307内に保持(支持)されている。
また、コイル(巻線、巻線群)303は、後記するステータコイル411、412、413(図8)と接続されている。
また、蓋308によって、回転電機310の下半分の内部構造は、図示されていないが下半分と上半分とは対称構造であって、図示された上半分の内部構造と同様な構造をしている。
なお、回転電機310の上半分は、回転電機の内部構造を示すために、蓋308を外した状態で図示されている。
<回転電機の断面構造>
次に、回転電機の断面構造について説明する。
図8は、本発明の第1実施形態に係る回転電機のC−C’(図7)軸方向の断面を示す図である。
図8において、回転電機310(図7)のステータ301(図7)とロータ420の断面を示しており、それぞれについて順に説明する。
[ステータ301について]
図8において、ステータ301(図7)は、ステータコア410と、ステータコイル(固定子巻線)411、412、413(順にU相、V相、W相)とを備えて構成されている。
ステータコア410は、薄板の鋼板をプレス成形により所定の形状とした上で、積層したものである。また、ステータコア410は、環状のヨークコア415と、これから径方向に突出し、周方向に等間隔で配置された複数の歯型状のティースコア414とを備えて構成されている。
また、ヨークコア415とティースコア414とは、一体に形成されている。
ステータコア410の内周部には、ステータコア410の内周表面側が開口し、軸方向に連続した複数のスロット416が形成されている。このスロット416は、周方向に隣接する複数のティースコア414の間に形成された溝状の空間部である。
図8に示した第1実施形態において、ステータコア410には、合計48個のスロット416が形成されている。
《ステータコイル》
次に、ステータ301に備えられたステータコイル(固定子巻線)411、412、413について説明する。また、ステータコイルについては、集中巻と分布巻があるが、図8では分布巻の場合を示している。なお、集中巻と分布巻の相異については、後記する。
ステータコイル411、412、413は、また同心巻であり、ステータコア410のティースコア414に巻回されている。ここで、同心巻きとは、コイルが、複数のスロットを跨いで(或いは挟んで)離した2つのスロット416に収納されるように、ティースコア414に巻かれ、同じ極のコイルであれば同心状に配置される巻線方式である。
ステータコイル411、412、413は、コイル導体を積層しながら連続的に巻回したU相ステータコイル411と、V相ステータコイル412と、W相ステータコイル413とから構成されている。
ステータコイル411、412、413は、自動巻線機を用いて、巻き枠に所定の順序で予め巻回され、その後、自動挿入機を用いて、ステータコア410のスロット416の入口部からスロット416内に挿入され、ステータコア410に巻かれる。
ステータコイル411、412、413は、U相ステータコイル411、V相ステータコイル412、W相ステータコイル413の順に、スロット416内に挿入される。
ステータコイル411、412、413のスロット416内における巻き順の詳細については、図1、図5を参照して後記する。
ステータコイル411、412、413のコイル端部は、スロット416から軸方向両方向に突出してステータコイル413の軸方向の両端面に配置されている。
《ステータコイルの巻き方》
全体としてのステータコイルは、U相ステータコイル411、V相ステータコイル412、W相ステータコイル413の3相で、各相にステータコイルが8個で構成されているので、合計24個のステータコイルを備えている。
各ステータコイル、例えば、ひとつのU相のステータコイルは、間に他のV相、W相のステータコイルが入る8個のスロット416を挟んで巻回される。つまり、ステータコア410に存在する複数の突極、つまりティースコア414の複数の突極を跨ぐように、互いに離したスロット416内に挿入され、ティースコア414の突極に巻回される。
なお、ティースコア414の突極とは、周方向に隣接するスロット416間に形成されたコア部分を指す。
また、他のU相ステータコイル411、V相ステータコイル412、W相ステータコイル413も、他の相のコイルが入る8個のスロット416を挟んで巻回される。そして、複数のティースコア414の突極を跨ぐように、互いに離したスロット416内に挿入されるように、ティースコア414の突極に巻回される分布巻の構成となっている。
分布巻の構成であるため、弱め界磁制御や、リラクタンストルクを活用して、低回転速度だけでなく高回転速度までの広い回転数範囲について制御が可能となる。
[ロータ420について]
図8において、ロータ420は、ロータコア421と、永久磁石422、シャフト423とから構成されている。ロータコア421は、薄板の鋼板をプレス成形により所定の形状とした上で積層し、シャフト423に固定したものである。
ロータコア421の外周部には、ロータ420の軸方向に貫通した複数(4個)の磁石挿入孔(422)が周方向に等間隔で形成されている。なお、図8の断面図では、永久磁石と磁石挿入孔とを区別して明確に示せないので、同一の符号422を用いて箇所を示している。
また、磁石挿入孔(422)のそれぞれに永久磁石422が挿入され、固定されている。
また、シャフト423(304、図7)は、前記したように、ハウジング309(図7)の両側にそれぞれ固定されたエンドブラケット307(図7)に、軸受306(図7)とベアリング305(図7)によって回転可能に支持されている。
<回転電機の固定子巻線の回路構成>
次に、回転電機の固定子巻線の回路構成について説明する。
図9は、本発明の第1実施形態に係る回転電機310(図7)の固定子巻線の回路構成例を示す図であり、(a)はΔ結線、(b)はY結線を示す。
図9(a)において、直列接続された複数(図9では3個)のコイルが、U端子543、V端子544、W端子545のそれぞれの端子間に接続され、Δ結線を構成している。
第1コイル(第1の単位巻線)540は、端子(供電側)に近いコイルであって、U端子543、V端子544、W端子545から1番目のコイルである。Δ結線の場合には、端子に一番近いコイルは各端子に2個ずつあるので、第1コイル540は計6個ある。
第1コイル540の巻始め部541は、コイルの最初のターンである。また、第1コイル540の巻終り部542は、コイルの最終のターンである。なお、ターンとは、コイルを構成する線の1巻分に相当する最小単位の構成部分であって、このターンが複数の集合となることでコイルが構成されている。
また、第1コイル540の巻始め部541は、図1の巻始め引出線150に対応し、第1コイル540の巻終り部542は、図1の巻終り引出線151に対応している。
前記したように、図9(a)では、直列接続された複数のコイルは、3個しか表記していないが、3個を超したコイルが直列接続されているのが一般的で、各端子の第1コイル540に続いて、端子から離れていく各コイルを順に第2コイル、第3コイル、第4コイル、・・・と表記するものとする。
また、第1コイル540の巻終り部542とそれに続く第2コイルの間の巻線を第1・2コイルわたり部(542)と表記する。同様に、第2コイルと第3コイルの間の巻線を第2・3コイルわたり部、第3コイルと第4コイルの間の巻線を第3・4コイルわたり部と表記するものとする。
なお、前記した第1コイル540の巻終り部542は、前記した第1・2コイルわたり部(わたり線)542は、概ね同一の箇所であるので、符号で示す場合は、ともに符号542で示すものとする。
また、図9(b)において、直列接続された複数(図9では3個)のコイルが、U端子543、V端子544、W端子545の各端子と中性電位点546とのそれぞれの間に接続され、Y結線を構成している。
Y結線の場合には、端子に一番近いコイルは各端子に1個ずつであるので、第1コイル540は計3個である。Y結線の場合にも、第1コイル540の巻始め部541は、コイルの最初のターンであり、第1コイル540の巻終り部542は、コイルの最終ターンである。
また、各端子の第1コイル540に続いて、端子から順に離れていく各コイルを第2コイル、第3コイル、第4コイル、・・・と表記するものとする。
また、第1コイル540の巻終り部542とそれに続く第2コイルの間の巻線を第1・2コイルわたり部と表記する。同様に、第2コイルと第3コイルの間の巻線を第2・3コイルわたり部、第3コイルと第4コイルの間の巻線を第3・4コイルわたり部と表記するものとする。
<電圧波形測定結果>
図10は、図8の回転電機の断面構造で、かつ図9の固定子巻線の回路構成である場合において、巻線にステップ電圧を印加した場合の対地間電圧とコイル電圧の測定結果を示す図であり、(a)は巻始め部(巻始め引出線)と各わたり部の対地間電圧を示し、(b)はコイルの両端のコイル電圧を示している。なお、ステップ電圧を印加するのは、サージ電圧を想定している。
また、スロット外部でもスロット内部においても、巻始め引出線150と巻終り引出線151との間に静電容量を付加していない場合の測定結果である。
また、図10(a)、(b)において、横軸は時間の推移であり、1目盛りが500nsである。また、縦軸は(a)に対地線間電圧、(b)にコイル電圧を示していて、(a)、(b)ともに1目盛りが200mVである。
また、図10(a)において、巻始め部(巻始め引出線541、図9)の特性線601、第1・2コイルわたり部の特性線602、第2・3コイルわたり部の特性線603、第3・4わたり部の特性線604についての対地線間電圧の測定結果を示している。
また、図10(b)において、第1コイルの特性線611、第2コイルの特性線612、第3コイルの特性線613についてのコイル電圧の測定結果を示している。
図10(a)において、特性線601に示すように、巻始め部(巻始め引出線541、図9)にステップ電圧が印加された場合において、特性線602が示す第1・2コイルわたり部(第1コイルの巻終り)は、巻始め部(特性線601)の電圧変化に素早く追従していない。
また第2・3コイルわたり部の特性線603や第3・4コイルわたり部の特性線604は、さらに遅れて電圧が変化している。
図10(b)において、第1コイルの電圧変化の特性線611、第2コイルの電圧変化の特性線612、第3コイルの電圧変化の特性線613が示されている。
なお、図10(a)における巻始め部の特性線601と第1・2コイルわたり部の特性線602との差分が、図10(b)の第1コイルの特性線611となる。また、図10(a)における第1・2コイルわたり部の特性線602と第2・3コイルわたり部の特性線603との差分が、図10(b)の第2コイルの特性線612となる。
また、図10(b)において、第1コイル電圧(特性線611)が、ピークに達してから、1.2μs遅れて、第2コイル電圧(特性線612)がピークに達している。この結果、巻始めの対地間電圧の約90%が第1コイルに集中している。そして、同一の時間において、第1コイル、第2コイル、第3コイルが同じ電圧を分担していない。
このように,図8かつ図9の構造を備えた回転電機では、急峻なサージ電圧に対して第1コイル540に高い電圧が発生する。
なお、望ましくは、前記のように第1コイルに電圧が集中せずに、複数のコイル(第1コイル、第2コイル、第3コイル・・・)が概ね同じ電圧を分担して、急峻なサージ電圧に対して耐える構造をとることである。
<巻線間静電容量の付加による改善>
図10において、サージ電圧が発生した場合の各コイル、特に第1コイルに電圧が集中する結果が得られた。次に、この電圧の集中を防止する対策として、巻線の間に静電容量を付加することを検討する。
《理論的な考察》
巻線間の静電容量が大きくなると静電容量分圧によって、第1コイル電圧を小さくすることができる。ここで、静電容量Cは、一般的に以下の(1式)で与えられる。
C=ε×ε×S/d ・・・(1式)
ここに、ε:真空の誘電率[F/m]、ε:比誘電率、d:距離[m]、S:断面積[m]とする。
上記の(1式)によれば巻線間の静電容量を大きくするためには、コイル間の距離dを近づけることが有効である。
さらに、第1コイル電圧、つまり、第1コイルの巻始めと巻終りの電圧差を低減するために、巻線間のどの位置に静電容量を設けることが電気的に有効かという観点で検討すると、コイルの巻始めと巻終りに静電容量を付加することが効果的である。
したがって、コイルの巻始めと巻終りの距離dを近づけることが特に有効である。
《理論的な考察の模式図》
図11は、第1コイルの巻始めにステップ電圧を印加した場合の巻線間の静電容量の大小による対地電圧波形とコイル電圧波形の相異を示す模式図であり、(a)は第1コイルの巻終りの対地間電圧の静電容量の大小による相異を示し、(b)は第1コイル電圧(巻始めと巻終りの電圧差)の静電容量の大小による相異を示している。なお、静電容量は第1コイルの巻始めと巻終りとの間に付加されている。
また、図11は、理論的な考察を簡易的に図式化した模式図であって、測定結果ではない。
図11(a)において、横軸は時間の推移を示し、縦軸は第1コイルの巻始め、および巻終りの対地電圧を示している。
特性線700は、第1コイルの巻始めにステップ電圧を印加したときの第1コイルの巻始めの対地電圧の時間の推移を示している。つまり、ステップ電圧の波形そのものを示している。
特性線701は、付加した巻線間静電容量の値が小さい場合の第1コイルの巻終りの対地電圧の時間の推移を示している。
また、特性線702は、付加した巻線間静電容量の値が大きい場合の第1コイルの巻終りの対地電圧の時間の推移を示している。
特性線702を特性線701と比較すると、立上がりは急峻となって、第1コイルの巻終りの対地電圧の変化が、第1コイルの巻始めの対地電圧の変化に、より追従するような特性となっている。
この特性線702と特性線701との相異は、第1コイルの巻始めと巻終りの間に大きな静電容量を付加したことによって、第1コイルの巻終りが第1コイルの巻始めの電圧変化により追従するようになったことによる。
図11(b)において、横軸は時間の推移を示し、縦軸は第1コイルの巻始めと巻終りの間のコイル電圧を示している。
特性線711は、付加した巻線間静電容量の値が小さい場合の第1コイルのコイル電圧の時間の推移を示している。
また、特性線712は、付加した巻線間静電容量の値が大きい場合の第1コイルのコイル電圧の時間の推移を示している。
この特性線712と特性線711との相異は、第1コイルの巻始と巻終りの間に大きな静電容量を付加したことによって、第1コイルの巻終りが第1コイルの巻始の電圧変化により追従するようになったことによる。そのため、巻終りと巻始との間の電位差が小さくなる、つまり第1コイルのコイル電圧が小さくなったことを示している。
以上のように、第1コイルの巻始と巻終りの間に大きな静電容量を付加することは、第1コイルの巻始にステップ電圧やサージ電圧が印加された場合に、第1コイルに過大な電圧が印加されることを防止するのに効果的である。
<ティースコアとスロットとにおいて巻回された巻線の構造・その2>
図1の本発明の第1実施形態に係る回転電機のステータのステータコア110のティースコア114とスロット116とにおいて、巻回された巻線の構造について、詳細に説明する。
前記したように、図1は、本発明の第1実施形態に係る回転電機310(図7)のステータ301(図7)のステータコア110の複数の歯形状のティースコア114と溝状の空間部であるスロット116とにおいて、巻回された巻線111の構造例を示す模式図であり、(a)はティースコア114とスロット116で巻回された巻線111の斜視図であり、(b)はスロット116内部における複数の巻線1〜12の配置を示す模式図である。実際には、(a)、(b)においてともに巻線の数は12本を超す本数が選択されるのが一般的である。また、(b)における巻線1〜12は、(a)における複数の巻線111とつながっている。
また、図1(a)の「A部」と表記した部分のスロット116の構造の図の上部から見た平面の断面構造を、図1(b)において「A部断面図」として図示している。
図1における本発明の第1実施形態の大きな特徴は、(a)に示すように、巻線の巻始め部150における引出線(150)と巻終り部151における引出線(151)とを、スロット116の外部で巻線の絶縁被膜を介して、接触させていることである。なお、巻線の巻始め部150と巻始め引出線150とは、実質的に同一であるので共通の符号を使用する。また、同様に、巻線の巻終り部151と巻終り引出線151とは、実質的に同一であるので共通の符号を使用する。
この巻始め引出線150と巻終り引出線151とを、絶縁被膜を介して接触させることで、巻線の巻始め部150と巻終り部151との間に静電容量が付加される。この静電容量の付加により、前記したように第1コイル540(図9)の電圧の集中を軽減する。
また、巻始め引出線150と巻終り引出線151とを接触させる箇所は、図9の回路構成における前記した第1コイル(第1の単位巻線)540(図9)と第2コイル(第2の単位巻線)とのわたり線(わたり部)542の箇所とする。
なお、巻線をティースコア114とスロット116に直接巻きつける方法を集中巻と呼称する。集中巻の場合は、スロット116にコイルを巻回した後に、巻始め引出線150と巻終り引出線151とを接触させる。
また、あらかじめ巻かれた巻線をスロット116に挿入する方法を分布巻と呼称する。
分布巻の場合は、巻枠にて巻回した巻線を、スロット116に挿入した後に、巻始め引出線150と巻終わり引出線151とを接触させる。
なお、図1(b)のスロット116内部における複数の巻線1〜12の配置において、巻終り(巻終)が番号(符号)の1で、巻始め(巻始)が番号(符号)の12である。そして、巻終りから巻始めに従って、順番に番号付けがされている。
図1(b)は、集中巻の場合の巻き方であって、巻終りの巻線1は、コアの中心を基準として最外層にあり、巻始めの巻線12は、最内層に配置されている。また、巻終りと巻始めの途中のある巻線2、3は、巻線1と同様に最外層ある。次の巻線4、5、6は、最外層より1層分だけ内側にある。さらに次の巻線7、8、9は、最内層より1層分だけ外側にある。さらに次の巻線10、11は、巻線12と同じ最内層に配置されている。
なお、巻線3と巻線4とは、隣りに配置されている。同様に巻線6と巻線7、および巻線9と巻線10とは、それぞれ隣りに配置されている。このように、巻始めの巻線12から巻終りの巻線1まで、最内層から最外層に向かって順に配置している。このような巻線の配置にすると、巻線どうしが互いに交差することがない。
巻線の交差箇所がないので、巻線に無理な外力が加わるおそれがない。したがって、外力による損傷の危険性は少ない。また、応力集中に起因する絶縁被膜の劣化による絶縁性の低下の可能性も少ない。
また、図1(b)のスロット116内部において、巻始である巻線12と巻終である巻線1とは離れた位置にあり、スロット116内部においては、巻始である巻線12と巻終である巻線1との静電容量の値は小さい。
したがって、巻始である巻線12と巻終である巻線1との大きな静電容量を付加するためには、スロット外部で付加する。このため、前記したように、スロット外部で巻始め引出線150と巻終り引出線151とを巻線の絶縁被膜を介して接触させる方法をとっている。
なお、図1(a)において、巻始め引出線150と巻終り引出線151とが平行に接触している。また、その平行している長さが大きいほど、(1式)の断面積Sが増加して、静電容量の値が大きくなる。
(比較例:巻線の構造)
次に、比較例として、本発明の第1実施形態とは異なるティースコア114とスロット116とにおいて、巻回された巻線の構造を説明する。
図5は、比較例のティースコア114とスロット116とにおいて、巻回された巻線の構造を示す模式図であり、(a)はティースコア114とスロット116で巻回された巻線の斜視図であり、(b)はスロット116内部における複数の巻線1〜12の配置を示す模式図である。
なお、図5(a)の「A部」と表記した部分のスロット116の構造の図の上部から見た平面の断面構造を、図5(b)において「A部断面図」として図示している。
図5(a)においては、巻線の巻始め部150における引出線(150)と巻終り部151における引出線(151)を、スロット116の外部で接触、もしくは近接させることはしていない。
一方、図5(b)において、スロット116内部で、巻始である巻線12と巻終である巻線1は、隣接していて、スロット116内部で、巻線の巻始め部150と巻終り部151との間に静電容量を付加する手法をとっている。
すなわち、図5(b)において、巻始である巻線12と巻終である巻線1とは、最内層と最外層との間の中間層で隣接している。そして、巻線2〜11は、最内層(11、10、9)、中間層(8、7、6、5)、最外層(4、3、2)との間を比較的に不規則に配置されている。
以上、図5(a)、(b)に示すように、比較例では、スロット116内で巻始めと巻終りを近接させる巻線の巻回方法を行っている。そして、スロット116の外では、巻始めと巻終りを近接させることはしていない。
したがって、巻始め引出線150と巻終り引出線151とには、静電容量が付加されているので、インバータサージ電圧が印加されても第1コイル540(図9)に電圧が集中することは避けられる。
しかしながら、図5(b)に示すような分布巻では巻始めと巻終りの距離のばらつきが大きいため近接させるには手作業や巻線設備による複雑な制御が必要である。
なお、図1(b)に相当する集中巻では、巻始めは最内層にあり、巻終りは最外層にあるため巻始めと巻終りの距離が大きい。つまり、スロット116内で巻始めと巻終りを近接させることはできない。
また、前記したように比較例では、スロット116内の巻始めと巻終りを近接して巻回すことは、装置の制御が複雑になる問題があった。
さらに、1本持ちの巻線では、スロット116内で巻始めと巻終りを近接させることにより、交差箇所が発生する。分布巻においては、巻線を巻いた後にスロット116に挿入するが、巻線交差による外力によってスロット116内に挿入する際の損傷が発生しやすくなる。また、挿入後においても、巻線交差の箇所における応力集中のために絶縁被膜劣化が発生し、それによって絶縁性が低下する可能性がある。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図2は、本発明の第2実施形態に係る回転電機310(図7)のステータ301(図7)のステータコア110の複数の歯形状のティースコア114と溝状の空間部であるスロット116とにおいて、巻回された巻線111の構造を示す模式図であり、(a)はティースコア114とスロット116で巻回された巻線111の斜視図であり、(b)は巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151との間の関係であるB構造と表記した部分の構造を示す模式図である。
図2において、(b)に示すように、(a)のB構造として表記した巻線の巻始め部150と巻終り部151の関係は、巻始め引出線150と巻終り引出線151を互いに撚り合わされた撚り線状にすることによって、接触させ、かつ接触状態を保っている。この撚り線状の構造によって、静電容量を巻始め引出線150と巻終り引出線151との間で付加する。
また、撚る回数は多くして、接触面積((1式)の断面積S)を増やし、巻線間の静電容量を増加させることが望ましい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図3は、本発明の第3実施形態に係る回転電機310(図7)のステータ301(図7)のステータコア110の複数の歯形状のティースコア114と溝状の空間部であるスロット116とにおいて、巻回された巻線111の構造を示す模式図であり、(a)はティースコア114とスロット116で巻回された巻線111の斜視図であり、(b)は巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151との間の関係であるB構造と表記した部分の構造を示す模式図である。
図3において、巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151を巻線の絶縁被膜を介して接触させ、絶縁チューブ160で覆う、または拘束することによって、接触状態を保持する方法である。
絶縁チューブ160は、伸縮性があり巻始め引出線150と巻終り引出線151を覆った長さ分だけ接触させることが望ましい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図4は、本発明の第4実施形態に係る回転電機310(図7)のステータ301(図7)のステータコア110の複数の歯形状のティースコア114と溝状の空間部であるスロット116とにおいて、巻回された巻線111の構造を示す模式図であり、(a)はティースコア114とスロット116で巻回された巻線111の斜視図であり、(b)は巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151との間の関係であるB構造と表記した部分の構造を示す模式図である。
図4において、巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151は、樹脂状の誘電体161で固着され、接触状態が保持されている。
なお、誘電体161の比誘電率((1式)のε)は1以上であるが、高い(大きい)方が望ましい。
また、巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151を固着される方法としては、ワニス処理(ワニス樹脂)、紫外線硬化剤(紫外線硬化樹脂)、自己融着銅線などがある。
なお、自己融着銅線とは、銅線に融着材が塗布されているものであって、融着材の材質としては、エナメル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ホルマールなどがある。
<実機による確認>
図1の本発明の第1実施形態において、実機による特性を確認した。
図1における巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151の接触状態の長さを、第1コイル540(図9)と第2コイルのわたりの長さで接触させた場合(他の諸条件の説明は省略する)に、概ね2%の第1コイル電圧の低減が確認できた。
また、前記の接触状態の長さを増加すると、接触長さに応じてコイル電圧が低減した。
また、図4の本発明の第4実施形態において、第1実施形態と同一の長さで接触させた場合で、誘電体161で固着させたときに、コイル電圧はさらに低減した。
<効果>
以上説明したように、第1〜第4実施形態によれば、モータあるいはインバータ駆動回転電機システムを使用した場合、回転電機310の対コアのサージ電圧を低減することができる。このため、モータ巻線間のコイル電圧を低減し、巻線間の絶縁劣化を防止することができる。したがって、インバータ駆動時にも急峻なインバータサージ電圧が原因と考えられるモータ巻線間の絶縁劣化を防止した回転電機310、あるいはインバータ駆動回転電機システムを提供することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明はこれら実施形態およびその変形に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があってもよく、以下にその例をあげる。
《引出線の接触方法》
巻始め引出線150と巻終り引出線151との接触方法として、図2においては、接触部分のB構造を撚り線の構造で示し、図3では絶縁チューブ160で覆う方法を示したが、撚り線構造の上から絶縁チューブ160を覆ってもよい。
また、図4の誘電体161を付加した構造の上から、接触状態の保持を確実にするためや、外力からの損傷を防ぐためなどに、絶縁チューブ160を覆ってもよい。
また、これら図2、図3、図4で示したB構造の方法をすべて組み合わせてもよい。
《集中巻と分布巻》
図1(a)、(b)において、スロット116内の巻線1〜12については、集中巻の場合を例にあげて主として説明したが、分布巻の場合においても、同様なことがいえる。
すなわち、分布巻の場合においても、巻始め引出線150と巻終り引出線151とを絶縁被膜を介して接触されると、集中巻の場合と同様に、サージ電圧が発生した場合の第1コイルに電圧が集中することを防止することに効果がある。
《接触状態の保持方法》
図3を参照して、絶縁チューブ160を用いることにより、巻線の巻始め引出線150と巻終り引出線151とを巻線の絶縁被膜を介して接触させ、接触状態を保持する方法について説明したが、接触状態を保持できるものであれば絶縁チューブ160に限定されない。例えば、複数個の輪によって複数個所で拘束して接触状態を保持してもよい。
また、接触状態を保持できるチューブであれば、かならずしも絶縁性の素材に限定されない。
また、絶縁チューブ160の長さと、巻始め引出線150と巻終り引出線151を覆った長さが、かならずしも一致しなくともよい。一致していない場合においても、巻始め引出線150と巻終り引出線151との接触状態に応じた静電容量が確保できる。
《固着用の樹脂》
図4で示した第4実施形態において、巻始め引出線150と巻終り引出線151を固着する方法として、ワニス処理(ワニス樹脂)、紫外線硬化剤(紫外線硬化樹脂)、自己融着銅線を例にあげたが、これらの方法に限定されない。
固着性を有する樹脂であり、さらに望ましい条件として比誘電率の大きい樹脂であれば、他の素材の樹脂を用いられる可能性がある。
(本発明、本実施形態の補足)
本発明、本実施形態の回転電機では、近年、インバータ駆動が盛んに行われている低圧モータにおいて、急峻サージ電圧に対し巻線間の分担電圧を緩和し、巻線間での絶縁劣化の発生を防止するものである。インバータ装置の発生するサージ電圧は、時間的な割合は少ないが、数10KHz程度の周期で動作中は、絶えず繰り返される。そして、固定子鉄心に巻回されている巻線群を備えた回転電機に繰り返し印加される。
本実施形態では、回転電機の単位巻線の巻始めと巻終りをスロット外で接触させることにより、巻線間静電容量を向上させ、急峻なインバータサージ電圧に対して、供電ライン側巻線に集中する電圧を低減する。また、この供電ライン側巻線の分担電圧の低減分を他の単位巻線にも分担させ、各単位巻線の分担電圧を平等化する。したがって、同相の単位巻線の巻線端部間の巻線接触部に発生する電圧を低減できる。
また、本実施形態では、スロット外で巻線の巻始めと巻終りを接触させるので、巻線の交差を無くすことができる。そのため応力集中による絶縁被膜劣化と絶縁性の低下を防止できる。また、巻線の巻位置を制御する複雑な巻線装置も必要がない。
また、前記のように、巻線の巻始め引出線と巻終り引出線を接触させる簡易な構成のため、巻線の仕様を変えることなく、電圧に対する巻線の絶縁耐力を向上させることができる。
また、従来と同程度の体格(容積、形状)で回転電機の高出力化を達成できる。特にインバータ装置によって駆動され、インバータ装置から巻線に過大なサージ電圧が印加される回転電機には好適である。
1〜12 巻線(固定子巻線)
110、410 ステータコア(固定子鉄心)
111、411 ステータコイル、巻線、固定子巻線、U相ステータコイル
114、414 ティースコア
116、416 スロット
150、541 巻始め引出線、巻始め部
151 巻終り引出線、巻終り部
160 絶縁チューブ
161 誘電体
210、310 回転電機
220 インバータ(電力変換器)
221 コンバータ回路
222 ダイオード
223 平滑コンデンサ
224 インバータ回路
225 IGBT(スイッチング素子)
230 電源(3相交流電源)
240 負荷
301 ステータ(固定子)
302、420 ロータ(回転子)
303 コイル、巻線、巻線群
304、423 シャフト
305 ベアリング
306 軸受
307 エンドブラケット
308 蓋
309 ハウジング
412 ステータコイル、固定子巻線、V相ステータコイル
413 ステータコイル、固定子巻線、W相ステータコイル
415 ヨークコア
421 ロータコア
422 永久磁石(磁石挿入孔)
540 第1コイル(単位巻線、第1の単位巻線)
542 巻終り部、わたり部、わたり線
543 U端子
544 V端子
545 W端子
546 中性電位点
601〜604、611〜613、700〜702、711、712 特性線

Claims (6)

  1. 複数のスロットが形成された固定子鉄心と、該固定子鉄心に装着された固定子巻線と、を有する固定子と、
    該固定子に空隙を介して対向配置され、かつ回転可能に支持された回転子と、
    を備え、
    前記固定子巻線を構成する同じ単位巻線の巻始め引出線と巻終り引出線とが、前記スロットの外で巻線の絶縁被膜を介して接触していることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1において、
    前記固定子巻線は、供電側より第1の単位巻線と第2の単位巻線との間のわたり線間で、前記単位巻線の巻始め引出線と巻終り引出線とが平行に接触していることを特徴とする回転電機。
  3. 請求項1において、
    前記固定子巻線は、供電側より第1の単位巻線と第2の単位巻線との間のわたり線間で、前記単位巻線の巻始め引出線と巻終り引出線とが互いに撚り合わされていることを特徴とする回転電機。
  4. 請求項1において、
    前記固定子巻線は、供電側より第1の単位巻線と第2の単位巻線との間のわたり線間で、前記単位巻線の巻始め引出線と巻終り引出線が絶縁チューブで覆われることを特徴とする回転電機。
  5. 請求項1において、
    前記固定子巻線は、供電側より第1の単位巻線と第2の単位巻線との間のわたり線間で、前記単位巻線の巻始め引出線と巻終り引出線とが、樹脂で固着されることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項5において、
    前記樹脂は、ワニス樹脂、または紫外線硬化樹脂であることを特徴とする回転電機。
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