[0043]ここに説明されている実施形態は、概して、物体を身体管腔から除去するために操舵できる外科用スネアを使用するための装置及び方法に及ぶ。本開示の装置の幾つかは、低侵襲性外科的技法を介して物体を患者の器官、血管、又は他の管腔から除去するように構成されている。
[0044]低侵襲性外科手術で使用される従来のスネア装置の課題には、成人患者又は小児患者の脈管構造又は他の身体管腔の大きさの制約内で且つスネア装置の提供する操縦性に限りのある状態で物体を捕捉することの難しさが含まれる。その様な課題は、特に破片や他の物体が患者の健康に重大な脅威をもたらす場合、とりわけ物体の向き、大きさ、形状、場所、又は他の構成が、速やかに捕捉して除去することを―不可能ではないにしろ―困難にしている場合に顕在化する。身体管腔内の事実上何れの向き、形状、又は大きさの物体でも捕縛するように効果的且つ予測可能に操舵でき向きを変えさせることのできるスネア装置を有することによってこれらの課題は克服され、特に複数の向きの範囲に亘って無限に小さいというわけではないにしろ極めて小さい増分で動かすことのできるスネア装置の実施形態においてはそうである。その様な成果は、個別的であれ集合的であれ、本開示の1つの実施形態に従い、図に示され及び/又はここに説明されている方法、システム、及び/又は装置を採用することによって実現させることができる。
[0045]本開示の例としての実施形態の様々な態様を説明するために、これより図面を参照してゆく。説明の中で、例としての外科用スネアは、脈管構造、器官、又は他の身体管腔内の物体を捕縛することに関連付けて説明されている。スネアを用いて捕捉及び/又は回収できる物体には様々な外来及び生体由来の物質が含まれるものと認識されたい。例えば、その様な物体には、外科的処置中に導入される異物が含まれるであろうし、腫瘤、ポリープ、組織、脈管、又は何らかの他の患者生体由来の物体であって捕縛されるべき物体、の様な生体由来物が含まれるであろう。更に、図面は例としての実施形態を概略的及び模式的に表現したものであり、本開示に制限を課すものでないことを理解されたい。また、様々な図面は幾つかの実施形態について機能的と考えられる縮尺で提供されているが、図面は必ずしも企図されている実施形態全てについて縮尺を合わせて描かれているわけではない。従って、図面からは、何らかの所要の縮尺について、如何なる推論も引き出されてはならない。
[0046]図に示されている例示としての実施形態では、同様の構造には同様の符号が付されている。ここでは例示としての実施形態を説明するのに特定の用語が使用されているが、とはいえそれによって本開示の範囲を限定しようとするものではないことを理解しておきたい。図面は、本開示の様々な実施形態を概略的及び模式的に表現したものであって、その様な形状、形態、縮尺、機能、又は他の特徴が不可欠なものとしてここに明示的に記載されていない限り、本開示の範囲に制限を課すものと解釈されてはならないことを理解されたい。本開示を手中にした関連技術分野の当業者には、ここに示されている発明的特徴の改変及び更なる修正及びここに示されている原理の更なる適用が想起されることであり、それらは本開示の範囲内にあると考えられるべきである。更に、外科的処置、カテーテル法、X線造影による視覚化、低侵襲性外科手術、など、の様々な周知の態様は、例としての実施形態の態様が曖昧になることを避けるために、ここでは取り立てて詳しく説明されていない。
[0047]これより図面を参照してゆくが、図1Aには、異物、生体由来物、又は何らかの他の物体、を捕捉するための外科用スネア10の例示的な実施形態が描かれている。外科用スネア10は、例えば、ヒト又は動物の患者の脈管系内の物体を、係合、捕縛、包囲、制御、若しくは捕捉するために使用することができるであろう。図示の実施形態では、外科用スネア10は本体12を含んでいる。本体12は、多数の異なった形態をとることができる。例えば、図示の実施形態では、本体12は細長である。幾つかの実施形態では、本体12は、細長く管状であってもよい。従って、本体12はここでは細長い管状部材12と言及されることもあるが、本体12は、他の形状、大きさ、構造、又は他の構成、又は前記のものの組合せ、を有することができる。幾つかの実施形態では、細長い管状部材12は可撓性であってもよい。例えば、細長い管状部材12は、低侵襲性処置で患者の脈管系を通過してゆけるように十分な可撓性のあるものとすることができる。
[0048]外科用スネア10は、幾つかの実施形態では、スネアループ14を含むことができる。図示の実施形態では、例えば、スネアループ14は、細長い管状部材12の遠位先端16に配置されている。より具体的には、この実施形態では、スネアループ14は、細長い管状部材12の遠位先端16から遠位方向及び/又は長手方向に延びる第1端を有するワイヤ又は他の要素を含んでいてもよい。ワイヤ又は他の要素は、当該ワイヤ又は他の要素の第2端が同様に遠位先端16に接続するように、略楕円形の軌跡を描いて折り返していてもよい。図1Aに示されているスネアループ14は、患者から回収されるべき物体を受け入れ捕捉するのに使用できる開口19を画定することができる。
[0049]図1Aのスネアループ14は例示にすぎないものと理解されたい。他の実施形態では、スネアループ14は、他の構成、形状、場所、又は他の特徴、又は前記のものの組合せを有していてもよい。例えば、スネアループ14は、略六角形、円形、矩形、菱形、又は他の軌跡を描いていてもよいし、ワイヤから形成されているのではなく中実材料から切り出されていてもよいし、細長い管状部材12に対して少なくとも部分的に横に延びていてもよいし、又は他の構成を有していてもよいし、又はその様な特徴の何れかの組合せを有していてもよい。幾つかの実施形態では、以下により詳細に説明されている様に、遠位先端16及び/又はスネアループ14は、操舵できるものであってもよい。例えば、細長い管状部材12が可撓性である実施形態においてさえ、遠位先端16は、細長い管状部材12に対して選択的に動かせる又は撓ませることができるものであってよい。1つの実施形態では、例えば、遠位先端16は0度から約180度の間で選択的に撓ませることができ、するとスネアループ14にも対応する撓みが現れる。その様な実施形態では、随意的に、スネアループ14は、0度から約180度の間で撓まされてもよく、そしてスネアループ14の事実上無限の数の実施可能な位置及び撓み状態の何れかが得られるようにその様な撓みの間で効果的に滑動してゆく。
[0050]遠位先端16及びスネアループ14を選択的に撓ませることを容易にするために、ユーザーインターフェース20が、細長い管状部材12の近位端18へ接続されていてもよい。より具体的には、ユーザーインターフェース20は、施術者に、施術者が外科用スネア10の遠位先端16及び/又はスネアループ14を選択的に撓ませることを可能にする用手インターフェースを提供するために使用することができる。図1Aに示されている実施形態では、ユーザーインターフェース20は、細長い管状部材12の近位端18へ接続されている指用部片と親指用部片のセットを含んでいてもよい。具体的には、図1Aは、細長い管状部材12の近位端18へキャップ24を介して接続されている親指用部片22を示している。図示のキャップ24には、細長い管状部材12の近位端18の少なくとも一部分を受け入れ、それにより細長い管状部材12をキャップ24へ接続する開口部を持たせることができる。キャップ24は、親指用部片22へも接続していて、少なくとも間接には、細長い管状部材12を親指用部片22へ連結している。
[0051]親指用部片22には更に指用部片26が接続されている。図示の実施形態では、指用部片26は、親指用部片22に対して滑動可能若しくは可動とされている。例えば、指用部片26は、親指用部片22が受け入れられる開口部を有していてもよい。指用部片26は、開口部内に受け入れられている親指用部片22に対して滑動することができる。指用部片26と親指用部片22の間の相対運動は、中央溝36内であるか又は中央溝36に対してとすることができ、及び/又は相対運動は遠位端16及び/又はスネアループ14を選択的に撓ませること又は他の動かし方を容易にすることができる。指用部片26を親指用部片22に対して滑動させるか若しくは動かしてゆく際、指用部片26は更に、事実上無限の数のとびとびの場所に位置付けられることになり、その様な場所もまた遠位先端16及び/又はスネアループ14の事実上無限の数のとびとびの位置に対応していることであろう。指用部片26には、従って、少なくとも一部には、スネアループ14及び/又は遠位先端16を選択的に撓まわせるための作動機構としての役目がある。例えば、以下により詳細に説明されている様に、作動機構は、更に、細長い管状部材12の遠位先端16へ直接又は間接に連結されているワイヤ又は他のフィラメント又は他の要素(図示せず)を含んでいてもよい。その様な要素は、細長い管状部材12の大凡全長さを延び、指用部片22へ直接又は間接に取り付けられていてもよい。
[0052]遠位先端16及び/又はスネアループ14を撓ませるために、外科医又は外科用スネア10の他の施術者は、例えば、指用部片26に人差し指と中指を、親指用部片22に親指を入れることができる。次いで、施術者が人差し指と中指を親指へ向けて引くと、それにより指用部片26も親指用部片22に対して動かされる。指用部片26をこのやり方で動かしてゆくと、張力又は別の力が遠位先端16へ接続している作動機構へ加えられ、すると遠位先端16が所望のやり方で撓んでゆく。例えば、遠位先端16は、非応力時状態から、遠位先端16及び/又はスネアループ14が0度から約180度の間で撓ませられている応力時状態へ曲がることであろうが、スネアループ14は、限定するわけではないが180度までを含め何れかの他の量だけ撓ませられてもよい。指用部片26の親指用部片22に対する滑動動作は、例えば、遠位先端16がスネアループ14及び/又は遠位先端16の元の向き又は非応力時の向きに関して0度から180度の間の事実上無限の角度範囲に亘って曲がる際の遠位先端16及び/又はスネアループ14の掃引動作に対応していてもよい。例えば、遠位先端16及びスネアループ14は、細長い管状部材12の遠位方向軸に沿って向きを定められていてもよい。指用部片26及び/又は親指用部片22が操作されると、遠位先端16及びスネアループ14は、元の又は非応力時の長手方向の向きから180度までの間で曲がることができる。
[0053]他の実施形態では、元の及び/又は非応力時の向きは、細長い管状部材12の長手方向軸に対して横であってもよい。例えば、元の向きは長手方向軸から直角であってもよく、すると、遠位先端16が180度撓めば、その結果スネアループ14も180度撓むことになる。その結果得られるスネアループ14の場所は、やはり、長手方向軸に対して直角ということになる。従って、180度撓ませると、結果的に最終の向き又は他の向きは、細長い管状部材12の長手方向軸に対して何らかの角度を成している向きとなる。また、撓みは180度までであってもよいが、これは一例にすぎない。他の実施形態では、最大撓みは180度未満(例えば約90度)であり、一方、他の実施形態では、最大撓みは180度より大きい(例えば約360度)とされているが、何れの所望の撓み量を得ることもできるであろう。
[0054]遠位先端16及び/又はスネアループ14が応力時位置又は非応力位置にある状態で、スネアループ14を異物又は他の物体の周りに位置付けること若しくはスネアループ14を使用して物体を係合させることができる。次に、スネアループ14が物体に係合している状態で親指用部片22を引き付けて患者から遠ざけてゆくことにより、物体を取り出すことができる。以下に説明されている実施形態の様な幾つかの実施形態では、スネアループ14は、更に、捕縛した物体周りに選択的に窄められる及び/又は絞られてもよい。スネアループ14は、例えばスネアループ14をカテーテルの様な送達管へ向けて引き付けることによって選択的に窄められてもよい。他の実施形態では、ワイヤ又は他のフィラメント又は要素には、少なくとも一部には、スネアループ14の大きさを縮小させるべくスネアループ14の一端を選択的に牽引する第2のアクチュエータとしての役目がある。スネアループ14を窄ませるのに他の機構を使用することもできるであろう。例えば、スネアループ14を形状記憶合金で形成し、熱又は電流が印加されると収縮又は変形するか閉位置へ付勢されるようにしてもよい。
[0055]外科用スネア10を作製及び/又は使用するやり方を更に正しく認識するために、図1Aの外科用スネア10の断面図を示している図1Bをこれより参照してゆく。図1Bでは、外科用スネア10の作動が更に深く理解されるように、外科用スネア10の様々な内部構成要素又は態様が示されている。とはいえ、図1Bの外科用スネア10は、本開示による1つの例としての外科用スネア10の例示にすぎず、従って本明細書の開示を考察することによって知られ得る外科用スネア又は他の器械や装置の範囲に制限を課すことを意図するものではないものと認識されたい。
[0056]図1Bでは、ワイヤ28が、細長い管状部材12の近位端18から延び、ユーザーインターフェース20へ取り付けられているものとして示されている。特に、この実施形態では、ワイヤ28は、近位端18から長手方向に取付部材30へ向けて延びているコアワイヤと考えることができる。この実施形態では、取付部材30は、ユーザーインターフェース20の指用部片26内に配置されている。例えば、取付部材30は、圧縮箱か又はワイヤ28を受け入れて固定する他の箱又は部材であってもよい。
[0057]より具体的には、その様な圧縮箱又は他の部材は、コアワイヤ28を受け入れるよう構成されている1つ又はそれ以上の開口部32を有していてもよい。例えば、図1Bでは、開口部32は、取付部材30の圧縮箱の実質的に全長さに沿って延びている。開口部32は、その中にコアワイヤ28が受け入れられる大きさとすることができる。幾つかの実施形態では、開口部32は、開口部の長さの少なくとも一部分に亘ってコアワイヤ28との干渉嵌めを生じさせるように構成されている形状、大きさ、又は他の構成を有していてもよい。また、開口部32の形状、大きさ、又は構成は、開口部の長さに沿って実質的に不変であってもよいし変化していてもよい。例えば、開口部32は、その長手方向の全長さに沿って不変の大きさ及び形状を有していてもよい。図1Bに示されている様な別の実施形態では、開口部32は、その長手方向の長さに沿って変化していてもよい。開口部32の遠位端は、例えば、コアワイヤ28を取付部材30の中へ挿入させるときに通す遠位側の開口が大きくなるように外向きにテーパしていてもよい。コアワイヤ28が取付部材30内を近位方向に動かされてゆくにつれ、開口部32の大きさは段階的又は直線的に漸減してゆく。図1Bに示されている様な段状のテーパの場合、細長い管状部材12の一部分も取付部材30の中へ延びている。開口部32が、取付部材30の内側から取付部材30の近位端に向かうにつれ内向きにテーパしているか外向きにテーパしているかは随意である。
[0058]以上に指摘されている様に、コアワイヤ28は、干渉嵌めを使用することによって取付部材30へ固定することができる。とはいえ、コアワイヤ28を取付部材30へ接続する他のやり方も使用することができるものと認識されたい。例えば、1つの実施形態では、コアワイヤ28は、細長い管状部材12内に設置され、細長い管状部材はその近位端を圧着されている。細長い管状部材12を圧着することで、コアワイヤ28がその中に固定され、すると細長い管状部材12を取付部材30内に固定できるようになる。幾つかの実施形態では、細長い管状部材12を圧着することで、より大きなリアルタイム応答性が生み出される。より具体的には、ユーザーインターフェース20を操作して遠位先端16を作動させ選択的に撓ませる際に、圧着型の細長い管状部材12は、指用部片26を引っ張るのと遠位先端16に撓みが生じる間の時差を小さくすることができる。更に他の実施形態では、コアワイヤ28は、追加の又は他の締結技法を使用することによって取付部材30へ固定されていてもよい。1つの例では、追加の管状部材が、コアワイヤ28の近位端の周りに配置され、所定場所に圧着される。次いで、当該管状部材が取付部材の開口部32の近位端に入れられる。その様な管状部材もコアワイヤ28の周りに圧着すれば、遠位先端16のリアルタイム応答性の向上につながる。コアワイヤ28を取付部材30又は指用部片26へ固定するのに、他の実施形態では、接着剤、機械的締結具、はんだ付け、溶接、又は他の締結具、又は前記のものの組合せ、が使用されていてもよい。
[0059]取付部材30は、コアワイヤ28を指用部片26に間接に連結することができる。例えば、コアワイヤ28は取付部材30へ固定され、それから取付部材30が指用部片26へ固定されている。幾つかの実施形態では、取付部材30は、指用部片26の一部として一体的に形成されていてもよい。他の実施形態では、取付部材30は、指用部片26とは別に形成されていてもよい。取付部材30が指用部片26と一体的に形成されていない実施形態では、取付部材30は、指用部片26の中央開口部34内に配置される及び/又は親指用部片22に対して(例えば親指用部片22の中央溝36内で)滑動する大きさ及び形状とすることができる。取付部材30は、更に、何れかの適したやり方で指用部片26へ固定されていてもよい。例えば、1つの実施形態では、1つ又はそれ以上の止めねじ(図示せず)が使用されていてもよい。止めねじは、例えば、指用部片26を貫き取付部材30の中へ延びていてもよい。取付部材30は、更に、1つ又はそれ以上の止めねじを受け入れて固定を促すように構成されている固定チャネル38を含んでいてもよい。認識される様に、接着剤、機械的締結具、干渉嵌め、溶接、はんだ付け、又は他の装置、又はそれらの何れかの組合せを含む、幾つもの他の固定装置が、同様に、取付部材30を指用部片26に取り付けるのに使用できるであろう。
[0060]先に指摘されている様に、幾つかの実施形態では、例示としてのコアワイヤ28は、細長い管状部材12の遠位先端16からユーザーインターフェース20まで延びている。図1Bに示されている様に、細長い管状部材12は、随意的に、コアワイヤ28が通って延びている複数の区間又は部分を含んでいる。具体的には、図1Bの細長い管状部材12は、3つの部分を含むことができるが、但しそれより多い又は少ない部分が含まれていてもよい。
[0061]図1Bでは、第1部分40が、細長い管状部材12の概ね近位端18に配置されており、細長い管状部材12とユーザーインターフェース20の間の接続部に位置している。第1部分40は、例えば、実質的に中実構造を有する管を含んでいてもよい。例えば、第1部分40は、押出成形又はモールド成形ステンレス鋼、ニチノール(NITINOL)(登録商標)、から形成されたハイポ管であってもよい。また一方、他の実施形態では、第1部分40は、他の金属又は合金はもとより、ポリマー、有機材料、複合材、他の材料、又は前記のものの何らかの組合せを含む、他の材料から作られていてもよい。第1部分40は、細長い管状部材12の近位端18でカニューレを形成又は画定していてもよく、幾つかの実施形態では、コアワイヤ28のユーザーインターフェース20への固定を容易にするのに使用できる。例えば、先に説明されている様に、コアワイヤ28は第1部分40を通って延びていてもよい。第1部分40はコアワイヤ28へ(例えば圧着によって)固定され、そして第1部分40が取付部材30の中へ延ばされてもよい。
[0062]図1Bに更に示されている様に、細長い管状部材12の第1部分40は、キャップ24と親指用部片22とによって所定位置に保持されていてもよい。図示の実施形態では、キャップ24は近位チャネル42を含んでいる。親指用部片22は、近位チャネル42の中へ螺合させることのできるねじの切られた接続具44を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、ねじの切られた接続具44の遠位端と近位チャネル42の遠位端の間に空隙が作り出されるように、近位チャネル42はねじの切られた接続具44の長さより大きい長さを有している。細長い管状部材12の第1部分40は、幾つかの実施形態では、その様な空隙内に納まるように構成されている半径方向膨隆体46又は他の構造を含んでいてもよい。例えば、半径方向膨隆体46は、親指用部片22とキャップ24が第1部分40を所定位置に保持するように、空隙内に固定的に納まる大きさとすることができる。半径方向膨隆体46は、更に、他の実施形態では省略することもできる。1つの実施形態では、例えば、細長い管状部材12のユーザーインターフェース20への固定が容易になるように、親指用部片22とキャップ24の間の第1部分40の周りにOリングを設置することができる。
[0063]細長い管状部材12の第1部分40が所定場所に保持されると、細長い管状部材12の第2部分48及び第3部分50もユーザーインターフェース20に対して所定場所に保持されることになる。幾つかの実施形態では、第2部分48は、第1部分40に比して、同一又は類似の材料で形成され、及び/又は同一又は類似の構成を有していてもよい。また一方、他の実施形態では、第1部分と第2部分48は異なった材料及び/又は構成を有することができる。
[0064]1つの例としての実施形態では、第1部分は実質的に中実の管状構造であり、一方、第2部分48はコイル状構成を有していてもよい。より具体的には、第2部分48は、少なくとも部分的には、管状構造を形成するように巻かれたワイヤで構成されていてもよい。その様なワイヤのコイル状構造は、実施形態それぞれにより異なっていてもよい。1つの例では、コイル状の第2部分48は、密に巻かれていてもよい。例えば、密巻コイルでは、それぞれのコイルは隣り合うコイルにほぼ密接して形成されているか又は位置している。より具体的には、密巻コイルの幾つかの実施形態では、隣り合うコイルの中心間距離は、コイルワイヤの幅にほぼ等しくてもよい。また一方、他の実施形態では、第2部分48は、異なった構造を有していてもよい。例えば、第2部分48は、疎巻コイル構造を有していてもよいし、コイルでなくてもよい。例えば、第2部分48は、少なくとも部分的には、管状構成に押出成形若しくはモールド成形された高分子材料(例えばナイロン又はポリアミド)から形成されていてもよい。
[0065]第2部分48は、何れの適したやり方で第1部分40へ接続されていてもよい。例えば、細長い管状部材12の第1部分40及び第2部分48は、ステンレス鋼、ニチノール(登録商標)、何か他の生体適合性金属又は合金、又はそれらの組合せ、から形成されていてもよい。第1部分40と第2部分48は、次に、一体にはんだ付けされるか又は溶接されてもよい。他の実施形態では、第2部分48は、第1部分40の内側又はその周りに螺合されるか又はそれ以外のやり方で固定されていてもよい。更に他の実施形態では、エポキシ、化学的融着、又は他の接続機構を使用することができる。
[0066]以上に指摘されている様に、細長い管状部材12は複数の部分を有することができる。図1Bの実施形態では、細長い管状部材12は、第2部分48から長手方向に延びる第3部分50を有している。幾つかの実施形態では、第3部分50は、第1部分40又は第2部分48に比して、同一又は類似の材料で形成されていてもよく、及び/又は同一又は類似の構成を有していてもよい。また一方、他の実施形態では、第1部分40、第2部分48、又は第3部分50の少なくとも1つは、異なった材料及び/又は構成を有していてもよい。
[0067]1つの例としての実施形態では、第2部分48は、密巻コイル状構成を有していてもよい。第3部分50は、同様にコイル状構成を有していてもよいし、中実の管状構成を有していてもよいし、何か他の構成を有していてもよい。1つの随意的な実施形態では、第3部分50は、第2部分48に比して、疎らに巻かれたコイル状構成を含んでいる。例えば、第3部分50のコイルの中心同士は、第2部分48のコイルの中心間離隔距離より大きい距離だけ、及び/又は第3部分50を形成しているワイヤの幅より大きい距離分だけ、離隔されていてもよい。1つの実施形態では、例えば、第2部分48の隣り合うコイルは、第2部分48ではコイルの中心間距離が大凡コイルワイヤ幅になるように、ほぼ触れ合っていてもよい。また一方、第3部分50では、コイル同士は離隔されていてもよい。例えば、隣り合うコイルの中心間距離は、コイルワイヤの幅の115%から200%の間であってもよい。とはいえ、密巻コイル及び/又は疎巻コイルの中心間距離も同様に異なっていてもよいことが認識されるであろう。例えば、密巻コイルは、コイルワイヤ幅の100%から150%の中心間距離の間で変化していてもよい。疎巻コイルは、コイルワイヤ幅の105%から300%の中心間距離の間で変化していてもよいが、疎巻コイルについてはいっそう大きなコイル距離でさえ使用することができる。
[0068]第2部分48及び第3部分50にコイル状ワイヤを使用するという態様は、コイルが概して互いに動くことができて、細長い管状部材12に可撓性を提供し、なお且つ細長い管状部材12に身体管腔を通って延びるための柱強度を与える、ということである。コイルが互いに対して動くことができるので、コイル及び/又はコイル部分は、患者の脈管構造、器官、又は他の内部構造の形状へ曲がるか若しくは輪郭を沿わせるべく必要に応じて互いに離れたりくっついたりすることができる。その上、コイルが柱強度を提供しているので、細長い管状部材12は、脈管構造、器官、身体管腔、など、を通って延ばせるようになる。他の実施形態では、外科用スネア10の一部分は、カテーテル又は他の類似装置の様な送達管が無くとも延ばすことができるであろう。例えば、カテーテルを、心臓の右心室の様な身体の特定の区域を完全に通り抜けて、物体が位置している左又は右の肺動脈の中へ延ばすのは難しいか、侵襲性又は外傷性があろう。その様なケースでは、カテーテルは、物体へ向けて途中までしか延ばされなくてもよい。それでも、細長い管状部材12の遠位端16の柱強度のおかげで、細長い管状部材12をカテーテルの遠位開口部から出して心臓の右心室の様なこれら特定の区域を通り抜けて左又は右の動脈血管の中へ延ばすことが可能になる。こうして、カテーテルが外科用スネア12を身体管腔の中へ途中まで導入するやり方しか提供し得なくとも、なお外科用スネア10は送達管又は他の装置無しに最終的な所望場所まで延びることができる。他の実施形態では、外科用スネア10は、回収可能な物体に近接する場所へ延びているカテーテルと共に使用されてもよいし、又は外科用スネア10は、カテーテルも送達装置も一切無しに使用されてもよい。
[0069]ここでの論考に鑑み、図1A及び図1Bの外科用スネア10の構造及び/又は使用は、従って、多数のやり方により異なっていてもよいものと理解されたい。例えば、外科用スネア10は、様々に異なる大きさを有していてもよい。その様な大きさのばらつきは、少なくとも一部には、外科用スネアの使用が意図される身体管腔の大きさ、患者の年齢又は体格、回収可動な物体の場所、又は他の要因、又は前記のものの組合せ、を含む多数の要因に基づくことであろう。1つの実施形態によれば、例えば、細長い管状部材12は約150センチメートルまでの長さを有しているが、それより大きい長さでさえ使用することができる。長さは、第3部分50は約10mm乃至約50mmの間の長さの疎巻コイルを有していてもよいが、幾つかの実施形態では、第3部分50の長さは50mmより長くてもよいし10mm未満であってもよい。
[0070]細長い管状部材12は、様々に異なった大きさの身体管腔、カテーテル、又は他の装置又は場所に納まるように構成されることであろう。幾つかの実施形態では、細長い管状部材12は、4フレンチから8フレンチの間の内径を有しているカテーテルに納まるように構成されている。例えば、細長い管状部材12は大凡0.85mmの直径を有していてもよいが、それより大きい又は小さい直径も企図されている。別の実施形態では、細長い管状部材12は、約0.5mmから1.5mmの間の直径を有していてもよい。他の実施形態では、細長い管状部材12の直径はその全長さに亘って変化している。例えば、第3部分50の遠位先端16は、遠位先端16での大きさが細長い管状部材12の第2部分48と第3部分50の間の接合部の大きさより小さくなるようにテーパしていてもよい。他の実施形態では、第1部分40と第2部分48と第3部分50のうちの何れか又は全ては、テーパしているか、又はそれ以外のやり方で互いに比して又は各々の長手方向長さに亘って異なる大きさを有している。
[0071]細長い管状部材12がコイル状の管状構造を含んでいる実施形態では、コイルを形成するのに使用されているワイヤそれ自体は、多数の異なった寸法又は他の構造の何れを有していてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、コイルワイヤは、大凡0.15mmの直径を有することができるとされるが、コイルワイヤはそれより大きくても小さくてもよい。例えば、コイルワイヤは大凡0.05mmから0.5mmの間の直径を有していてもよいが、他の実施形態では、それより大きい又は小さいワイヤであってもなお使用されることがあろう。
[0072]図1A及び図1Bの例としてのユーザーインターフェース20も、多数の様々なやり方により異なっていてもよい。例えば、図示の実施形態は、指用部片26が中央溝36に沿って遠位先端16の特定の撓みに概ね対応する距離を移動できるようにしている。例えば、指用部片26を中央溝36に沿って一杯まで移動させることが、遠位先端16を約90度、約180度、又は約270度撓ませることに対応していてもよい。他の実施形態では、指用部片26を親指用部片22の中央溝36に沿って動かすことによって起こり得る撓みの量は、360度まで又は360度超を含め、他の量にばらついていてもよい。
[0073]指用部片26は、指用部片26の移動がそのまま細長い管状部材12の遠位先端16の撓みに対応するやり方で、親指用部片22に対して可動であってもよいとされているが、その様な実施形態は同様に例示にすぎない。他の実施形態では、例えば、指用部片26には、指用部片26の移動と遠位先端16の撓みの間に大凡1:1の関係より大きい又は小さい変位比を作り出す何らかの形態の機械的倍率が提供されていてもよい。例えば、歯車装置又は何らかの他の機構を使用し、指用部片26の変位を、遠位先端16の変位の2倍、遠位先端16の変位の半分、又は何か他の比に対応させることもできるであろう。
[0074]更に、ユーザーインターフェース20の親指用部片22及び指用部片26は、遠位先端16の撓みを制御するために施術者によって使用される例としての構造にすぎない。他の実施形態では、他の型式のユーザーインターフェースが使用されてもよい。1つの実施形態では、例えば、ハンドルが、コアワイヤ28へ連結されているトリガ機構と共に使用されていてもよい。トリガが引かれてゆくと、コアワイヤ28も引かれて遠位先端16に撓みを生じさせることになる。他の実施形態では、トルク装置が使用されていてもよい。例えば、コアワイヤ28へダイヤルが接続されていてもよい。ダイヤルを回転させると、コアワイヤが中央シャフトの周りに巻き付けられ、それにより遠位先端16に撓みを生じさせることになる。更に他の実施形態では、他のユーザーインターフェースも使用できるであろう。例えば、別の実施形態では、露出したワイヤがユーザーインターフェースの役目を果たしている。別の実施形態では、複数のコアワイヤが撓みを制御するのに使用されていてもよく、及び/又はスネアループ14の窄まりを制御するフィラメントがユーザーインターフェースへ連結されていてもよい。その様な実施形態では、複数のユーザーインターフェース又は制御機構が使用されているかもしれない。従って、ユーザーインターフェース20は、撓み先端16及び/又はスネアループ14を制御するために、複数の変位部材、回転部材、又は他の部材、又はそれらの組合せ、を含むこともできるであろう。更に、コアワイヤ28は、ユーザーインターフェースを遠位先端16へ連係する1つのやり方であるが、その他の適した作動機構が使用されていてもよい。
[0075]加えて、図1Bは、細長い管状部材12の長手方向軸に対して或る角度を成しているスネアループ14を示している。同様に、ここでの開示に鑑み、その様な角度は例示にすぎないものと認識されたい。本開示の幾つかの実施形態では、スネアループ14は、第1状態又は非応力時状態で、細長い管状部材12に対して角度が付けられている。また一方、他の実施形態では、スネアループ14の細長い管状部材12に対する角度は、ユーザーインターフェース20の操作又は制御によるものであり、ひいては、本明細書の開示に鑑み知られ得る何れかのやり方によって異なっていてもよい。例えば、図1Bでは、スネアループ14は、細長い管状部材12の軸から約30度オフセットされている。他の実施形態では、スネアループ14は、30度より大きい又は小さい角度が付けられる。例えば、スネアループ14は、細長い管状部材12の軸に対して0度から90度の間で角度が付けられていてもよい。
[0076]外科用スネア10の各種構成要素を製造するのにも、様々な材料が使用できるであろう。1つの実施形態によれば、例えば、ユーザーインターフェース20は高分子材料から作られていてもよい。また一方、他の実施形態では、金属、合金、有機材料、複合材、又は他の材料、又は前記のものの組合せ、が利用されていてもよい。細長い管状部材12もまた、数多くの材料の何れから作られていてもよい。幾つかの実施形態では、細長い管状部材12は生体適合性材料から形成されている。例えば、細長い管状部材12は、ステンレス鋼合金から形成されていてもよい。また一方、他の実施形態では、細長い管状部材12は、チタン、ニッケル、ニッケル‐チタン合金(例えばニチノール(登録商標))、コバルト、クロム、白金、ステンレス鋼、又はそれらの合金、又は他の材料、又は前記のものの組合せ、から形成されていてもよい。更に、装置10の何れかの部分又は全ての部分は、冷間加工された材料、歪み硬化させた材料、熱処理を施した材料、又はそれ以外のやり方で所望の一揃いの特性を生み出すべく形成された材料、から形成されていてもよい。幾つかの実施形態では、外科用スネア10の何れかの部分又は全ての部分は、生体適合性材料の様な他の材料で被覆されていてもよい。例えば、細長い管状部材12は、生体適合性材料で被覆されていてもよい。その様な被覆は、管状部材12全体に塗布されていてもよい。コイル状構造を有する実施形態では、当該被覆は、代替的又は追加的に、コイル状構造を形成させるために製造されるワイヤへ塗布されていてもよい。細長い管状部材12を被覆するのに使用できる一例としての生体適合性ポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)があるが、他のポリマー及び/又は他の材料を使用することもできる。
[0077]次に図2を参照すると、本図には本開示の少なくとも1つの実施形態による外科用スネア100の遠位端が示されている。図示の実施形態では、スネアループ114は、管状部材112の遠位先端116へ接続されている。管状部材112は、図1A及び図1Bの細長い管状部材12に類似していてもよい。例えば、この実施形態では、管状部材112は、少なくとも、密巻コイル部分148と疎巻コイル部分150を含んでいる。図示の実施形態では、疎巻コイル部分150は、スネアループ114に隣接して配置されていて、遠位先端116の一部を形成している。他の実施形態では、他の型式又は追加の型式のコイル又は要素が、スネアループ114に隣接していてもよく、及び/又は遠位先端116の一部を形成していてもよい。
[0078]図2に示されている様に、複数のワイヤ、フィラメント、又は他の要素を、管状部材112内に配置させることができる。この実施形態では、例えば、少なくとも4本のワイヤが管状部材112内を長手方向に延びている。より具体的には、図2は、コアワイヤ128、撓めワイヤ129、及びスネアワイヤの2つの端115、117を含んでいるが、管状部材112内のワイヤは、幾つの数の名称で呼ばれていてもよいし、幾つの数の異なった目的を有していてもよい。他の実施形態では、それより多い及び/又は少ないワイヤが使用されていてもよい。例えば、撓めワイヤ29は取り除かれていてもよい。他の実施形態では、撓めワイヤ29は、被覆部、溶接部、他の構造、又は前記のものの組合せ、と置き換えられていてもよい。
[0079]図2のコアワイヤ128は、図1A及び図1Bに関連付けて説明されているコアワイヤ28に類似していてもよい。例えば、コアワイヤ128は、管状部材112の実質的に全長さを延びていて、遠位先端116及び/又はスネアループ114の撓みを制御することのできるユーザーインターフェースへ接続されているか又はその一部として使用されていてもよい。図示の実施形態では、コアワイヤ128は、管状部材112の遠位先端116へ接続されている。例えば、コアワイヤ128は、管状部材112の遠位先端116へ、溶接されるか、はんだ付けされるか、機械的に接続されるか、接着されるか、化学的に融着されるか、又はそれ以外のやり方で固定されていてもよいし、又は前記のものの組合せによってもよい。1つの実施形態では、例えば、コアワイヤ128は管状部材112の内面にレーザー溶接されていてもよいが、その様な実施形態は例示にすぎず、ここで参照されている様な方法を含め他の接続方向が採用されていてもよい。
[0080]図2に示されている様に、更に、撓めワイヤ129は、管状部材112の遠位先端116の周りに配置させることができる。例示としての撓めワイヤ129は、管状部材112の長手方向の長さに沿って一部に限定して延びていてもよく、コアワイヤ128より短くてもよく、コアワイヤ128より前に終端していてもよく、又は他の構造を有していてもよく、又はそれらの何れかの組合せを有していてもよい。この実施形態では、例えば、撓めワイヤ129は、管状部材112の疎巻コイル部分150に沿って部分的に延びている。撓めワイヤ129も管状部材112へ接続されているが、その様な接続はレーザー溶接又は別の適した方法を使用することによって施行されてもよいし、又は他の実施形態では、撓めワイヤ129はコアワイヤ128及び/又はスネアワイヤの端115、117へ連結されていてもよい。
[0081]1つの例としての実施形態では、撓めワイヤ129は、管状部材112内の、コアワイヤ128の位置と概ね反対側になる場所に配置されている。より具体的には、撓めワイヤ129は、1つの実施形態では、中心軸又は長手方向軸周りにコアワイヤ128から約180度の角度にオフセットされているが、他のオフセットが使用されてもよい。例えば、撓めワイヤ129は、コアワイヤ128に隣接していてもよいし、0度から180度の間の何れの角間隔にオフセットされていてもよい。
[0082]撓めワイヤ129は、幾つの数の異なった目的に使用されていてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、外科用スネアの施術者は、ユーザーインターフェース又は何か他の機構を使用してコアワイヤ128に選択的に張力を掛けることができる。コアワイヤ128が疎巻コイル部分150へ接続されている場合には、コアワイヤ128へ掛かる張力は疎巻コイルを一体に圧縮しようとするであろう。しかしながら、外科用スネア110の遠位先端116が縮むのではなく曲がるのが望ましいこともある。撓めワイヤ128は、更に、疎巻コイルへ直接又は間接に接続されていてもよい。結果として、幾つかの実施形態では、コアワイヤ128が張力を受けたとき、撓めワイヤ129は疎巻コイルの圧縮を制限することができる。その結果、コアワイヤ128へ掛かる張力は、疎巻コイルを圧縮するのではなしに疎巻コイルを曲げるか若しくは撓ませることになる。疎巻コイル部分150が曲がってゆく際、スネアループ114は遠位先端116と共に動く。例えば、コアワイヤ128への張力が遠位先端116を0度から約90度の間で屈曲させるのであれば、スネアループ114もまた0度の初期位置から当該初期位置から大凡90度オフセットされた第2位置まで進む軌跡に沿って掃引することになる。
[0083]スネアループ114と遠位先端116の間の対応した運動を容易にするために、スネアループ114は、更に、管状部材112の遠位先端116へ直接又は間接に接続されていてもよい。1つの実施形態では、例えば、スネアループ114はワイヤをループ状構造を形成するように曲げて形成されている。より具体的には、ワイヤの第1端115は管状部材112から外へ遠位方向に向けて長手方向に延びていてもよい。スネアループ114は、略楕円形、雁首形、六角形、矩形、円形、菱形、又は他の形状を有していてもよい。ワイヤがこうして何れかのその様な形状を描くと、スネアループワイヤの第2端117は、その結果、図2に示されている具合に折り返して管状部材112に接続する。
[0084]幾つかの実施形態では、スネアループ114を形成している第1端115及び第2端117は、更に、近位方向及び/又は長手方向に管状部材112の中へと延びていてもよい。スネアループワイヤの第1端115及び第2端117がその様に延長されていれば、スネアループ114を管状部材112の遠位先端116へ又はそれに近接して接続することがやり易くなる。図示の実施形態では、例えば、スネアループワイヤの第1端115及び第2端117は、疎巻コイル状部分150の内側へ、コアワイヤ128へ、又は撓めワイヤ129へ、又は何か他の構造へ、又は前記のものの何れかの組合せへ、レーザー溶接されるか、微細溶接されるか、又はそれ以外のやり方で固定されていてもよいし、又はそれらの組合せによってもよい。
[0085]本明細書の開示に鑑みて理解される様に、外科用スネア100の諸要素の形状、大きさ、位置、数、構造、構成、配列、及び他の特徴は、多種多様なやり方により異なっていてもよい。例えば、図示の実施形態では、管状部材112、スネアループ114、コアワイヤ128、及び撓めワイヤ129が、略円形の断面形状を有しているものとして描かれているが、これは例示にすぎない。他の実施形態では、管状部材112、スネアループ114、コアワイヤ128、及び撓めワイヤ129、又はそれらの何れかの組合せは、異なった断面形状を有していてもよいし、ワイヤから形成されていなくてもよい。例えば、撓めワイヤ129は、平ワイヤでできていてもよいし、棒材から成っていてもよい。その様な平ワイヤ又は棒材は、略矩形の断面形状を有していてもよく、幾つかの実施形態では、管状部材112の選択的撓みの方向を予測可能に制御するのを支援する。管状部材112、コアワイヤ128、撓めワイヤ129、又はスネアループ114の何れか又は全ては、更に、楕円形、矩形、六角形、菱形、八角形、台形、又は他の形状、又は前記のものの組合せ、を含む他の形状を有していてもよい。
[0086]遠位端100を構成する各種要素の大きさもまた様々であってよい。例えば、管状部材112は、幾つの数の異なった幅又は直径を有していてもよく、及び/又は異なった断面の大きさ又は形状を有するワイヤ又は他のフィラメント又は要素から形成されていてもよい。結果として、管状部材112の内幅及び外幅も変わってくる。スネアループ114、コアワイヤ128、及び撓めワイヤ129の大きさは、こうして、管状部材112を貫くルーメンの大きさに基づいて異なることであろう。例えば、1つの実施形態では、管状部材112の内径は約0.55mmとすることができる。その様な実施形態では、コアワイヤ128、撓めワイヤ129、及びスネアループ114は、図2に示されている様に図示のワイヤ4本が管状部材112内で菱形パターンを形成する大きさとすることができる。例えば、コアワイヤ128と撓めワイヤ129そして更にスネアループワイヤの第1端115及び第2端117のそれぞれは、大凡0.15mm乃至0.18mmの幅を有することができる。他の実施形態では、コアワイヤ128、撓めワイヤ129、第1端115及び第2端117は、異なったパターンに配列されているか又は異なった大きさを有しており、及び/又は管状部材112が異なった大きさを有していることもあろう。例えば、管状部材112は、約0.35mmから約2.5mmの間の内幅を有することができるが、管状部材112は、他の実施形態では、より小さい又はより大きい幅を有していてもよい。管状部材112の内側の大きさが異なれば、コアワイヤ128、撓めワイヤ129、スネアループワイヤの第1端115及び第2端117の大きさも変わってくるであろうが、その様なばらつきは必須というわけではない。追加的又は代替的に、コアワイヤ128、撓めワイヤ129、第1端115及び第2端117は、管状部材112内で、円形、楕円形、不定形、又は他のパターン、又はそれらの組合せ、を形成していてもよい。
[0087]次に図3A−図3Cを参照すると、外科用スネア200の遠位端202の拡大図が撓みの様々な段階で模式的に示されている。例えば図3Aでは、外科用スネア200は第1状態にあることが示されている。第1状態は、幾つかの実施形態では、非応力時状態に対応している。例えば、非応力時状態では、何らかの張力又は圧縮力がコアワイヤ228に加えられていたとしても無視できる程度であり、その結果、コアワイヤ228には、遠位端202又は疎巻コイル250に選択的に曲がるか若しくは撓むよう仕向ける傾向は殆ど又は全く無い。代わりに、遠位端202に何らかの撓みがあるとすれば、それは疎巻コイル250が可撓性であるがためであり、その様な疎巻きコイル250が身体管腔の壁と直接又は間接に(例えばカテーテルの様な送達管が身体管腔の内壁に接触したことに追随して)接触した結果であろう。従って、非応力時状態又は第1状態は、遠位端202又は疎巻コイル250が図3Aに示されている様に直線状でなくてはならないということを含意しているわけではない。実際に、以上の実施形態で指摘されている様に、疎巻コイル250は、遠位端202が血管や器官の様な身体管腔を通過できるようになる可撓性を提供する複数のコイル251を有していてもよい。疎巻コイル250のその様な可撓性は、コアワイヤ228又は何らかの他の作動機構を使用して遠位端202を選択的に撓ませることからもたらされるというよりむしろ、カテーテルの様な送達管を使用して外科用スネア200を案内することからもたらされることもある。他の実施形態では、疎巻コイル250は、意図的に湾曲させられることもあれば、或いはそれ以外にも患者体内でカテーテル無しに湾曲させられる又は曲げられることすらある。従って、第1状態又は非応力時状態とは、外科用スネア200、疎巻コイル250、又は遠位端202に何れかの特定の形状又は構成を有することを要求するものとの推論はなされるべきではない。例えば、非応力時状態に疎巻コイル250が90度まで曲げられていることすらあるかもしれず、但し、その様な曲がりは、1つの実施形態では、使用者が例えば選択的にコアワイヤ228を引くことによって遠位端202へ掛ける力というよりむしろ解剖学的動機に起因するものである。
[0088]図3Aの実施形態では、外科用スネア200の第1状態には、スネアループ214が、管状の疎巻コイル250に対して少なくとも部分的に長手方向に延びていることが含まれる。具体的には、この実施形態では、スネアループ214は、最後の遠位側コイル253に対して遠位方向に、且つ疎巻コイル250に関して概ね長手方向に延びている。また一方、他の実施形態では、スネアループ214は他の方向に延びていてもよい。例えば、スネアループ214は、第1状態で、疎巻コイル250に対して概ね横向きであってもよい。1つの実施形態では、例えば、スネアループ214は、第1状態で、疎巻コイル250の中心軸に対して約0度から約90度の間の何れかの角度に配置されていてもよい。他の実施形態では、スネアループ214は、疎巻コイル250の中心軸に対して90度を超える角度に配置されていてもよい。また、スネアループ214は、更に、疎巻コイル250から長手方向に延び、そして更に疎巻コイル250に対して横向きであってもよい。例えば、スネアループ214の互いに反対側の端が疎巻コイル250から長手方向に延び、次いでループ部分が疎巻コイル250の中心軸に対して横向きに延びるように曲げられていてもよい。
[0089]同じく図3Aに示されている様に、スネアループ214は、スネアループ214がスネア開口219を画定している全体として開口した構成を有することができる。スネア開口219は、異物又は他の物体が少なくとも部分的に中に位置付けられ次いで外科用スネア200を使用して回収されることを可能にする大きさ、形状、若しくは構成とすることができる。
[0090]先に論じられている様に、本開示の幾つかの実施形態による外科用スネアは、スネアループ214の位置を変えるべく選択的に操作されている。例えば、少なくとも1つの実施形態によれば、コアワイヤ228は外科用スネア200の遠位端202へ接続されていてもよい。そしてコアワイヤ228が力を掛けられると、遠位端202は選択的に撓む。その様な選択的撓みは、管状部材212の長手方向の長さに沿った他の撓みからは概して独立している。
[0091]例えば、図3Bは、外科用スネア200が第2状態を画定するべく操作されたところの一例を示している。第2状態では、外科用スネア200の遠位端202は、図3Aに示されている第1状態から撓まされている。より具体的には、図3Bでは、外科用スネア200の遠位端202は、第1状態の遠位端202に対して約90度撓んでしまっている。その様な撓みは、少なくとも一部には、コアワイヤ228へ掛けられる力によってもたらされる。撓みを生じさせる力は、幾つかの実施形態では張力であるだろうが、遠位端202に撓みを生じさせるのに圧縮力又は他の力を使用することもできる。幾つかの実施形態では、撓みは、追加的又は代替的に、撓め部材229からもたらされていてもよい。図3Bでは、例えば、撓め部材229は、同様に外科用スネア200の遠位端202へ接続されているワイヤであってもよい。撓め部材229は、疎巻コイル250の長さの少なくとも一部に沿って延びていて、コアワイヤ228が張力下に置かれたとき、疎巻コイル250が縮むのではなしに曲がることができるようにする堅さを提供している。第2状態は従って応力時状態に対応している。より具体的には、例としての実施形態では、第2状態は、コアワイヤ228へ応力が掛けられて遠位端202を選択的に撓ませているという点で、外科用スネア200にとって応力時状態である。
[0092]疎巻コイル250は、外科用スネア200が応力時状態にあるとき、遠位端202が撓むのを容易にする。例えば、図3Bでは、遠位端202は屈曲し、湾曲状の軌跡を画定している。特に、図示の実施形態は、複数のコイル251が屈曲して、内側湾曲231と外側湾曲233を画定していることを示している。内側湾曲231は、外側湾曲233の長さより小さい長さを有している。例えば、張力がコアワイヤ228へ加えられてゆくと、張力は遠位コイル253にも移り、遠位コイル253に動くよう仕向ける。内側湾曲231では、複数のコイル251は一体に圧縮された状態になる。また一方、外側湾曲233では、疎巻コイル250は展開し、複数のコイル251は更に離隔されることになる。その結果、内側湾曲231は弧長を小さく形成されるのに対し、外側湾曲233は、大きな弧長を有して形成されることになる。幾つかの実施形態では、内側湾曲231は撓めワイヤ229の場所に概ね対応し、外側湾曲233はコアワイヤ228の場所に概ね対応しているであろうが、その様な配置は例示にすぎない。例えば、他の実施形態では、撓めワイヤ229は内側湾曲231に概ね近接していてもよい。
[0093]引き続き図3Bを参照して、外科用スネア200の遠位端202が撓ませられると、スネアループ214も第1状態(図3A)のスネアループ214の位置に対して位置が変わることが認識されるであろう。例えば、遠位端202が、屈曲する、曲がる、若しくは撓むと、スネアループ214も対応する様式で動くことになる。図3Bに示されている様に遠位端202が大凡90度動いた場合、スネアループ214も大凡90度撓む。こうして幾つかの実施形態では、コアワイヤ228は、遠位端202とスネアループ214の両方を同時に撓ませるのに使用することができる。更に、スネアループ214は、必ずしもスネアループ214又はスネア開口219の大きさ又は形状に変化を生じさせることなく撓むことができる。例えば、スネアループ214が第1状態から第2状態へ湾曲状の軌跡に沿って掃引する際、スネアループ214の長さ、幅、形状、又は他の構成は、実質的に不変に保たれる。例えば、撓みはスネアループ214の大きさ又は形状に直接には如何なる変化も生じさせないが、身体管腔214の壁は直接又は間接に何らかの撓みを生じさせるかもしれない。外的影響によって生じるその様な撓みの間、スネアループ214の形状は軽微な変化を被る可能性はあっても、スネアループ214の長さ及び/又は幅は実質的に不変に保たれることであろう。更に、スネアループ214は図3Aに示されている位置と図3Bに示されている位置の間の何れの位置の間を動くこともできるので、スネアループ214は湾曲状の軌跡に沿って効果的に掃引することができ、―無限に小さいというわけではないにしろ―極めて小刻みに変化させることができる。
[0094]外科用スネア200の遠位端202及びスネアループ214が撓む量は、コアワイヤ228へ加えられる力の量に基づいて異なる。例えば、遠位端200は、0度(例えば図3A)と約90度(例えば図3B)の間の何れかの量撓ませられる。なおいっそう大きく撓ませることも実施可能であろう。例えば、図3Cでは、外科用スネア200は第3状態にあることが示されている。図示の第3状態では、遠位端202は、約180度撓んでしまっている。第3状態も応力時状態に対応し、コアワイヤ228へ加えられる力によってもたらされる。第3状態ではコアワイヤ228へ加えられている力は、第2状態のコアワイヤへ加えられている力より大きいであろう。
[0095]図3Cに示されている第3状態では、外科用スネア200の遠位端202及びスネアループ214は、図3Aに示されている第1状態の遠位端202の位置に対して約180度撓んでしまっている。その様な撓みは、例えば、内側湾曲231及び外側湾曲233に略半円形状を持たせる。同様に内側湾曲231の弧長は外側湾曲233の弧長より小さく、コイル251は内側湾曲231に沿って一体に接触しているのに対し、外側湾曲233に沿っては更に離隔している。
[0096]よって、図3A−図3Cに示されている様に、スネアループ214は、こうして、外科用スネア200の遠位端202を撓ませることによって、初期位置から幾つもの位置及び向きに効果的に動かされる。例えば、遠位端202を約180度までの間で撓ませることによって、スネアループ214を異物又は他の物体に向けさせ係合させることができ、特に、スネアループ214を湾曲状の軌跡に沿って掃引させ、潜在的には事実上無限の数の角度位置の間で選択的に変化させてゆくことで、異物の殆ど如何なる湾曲の周りにも或いは異物が患者体内のどこの場所又は位置にあろうとも係合させることができる。湾曲状の軌跡は、スネアループ214及び遠位端202が、それとは違って静止している管状部材212に関して、半径方向にも長手方向にも撓むか又はそれ以外のやり方で動くことができるようにする。
[0097]図3A−図3Cは、疎巻コイル250の長さを延びているコアワイヤ228と、撓めワイヤ229と、疎巻コイル250を部分的に通って延びているスネアループワイヤ端115、117と、を含んでいる一例としての外科用スネア200を示しているが、その様な図示は単に例示にすぎないものと認識されたい。他の実施形態では、例えば、ワイヤ又は他の要素の数、長さ、位置、又は配列は異なっていてもよい。例えば、撓めワイヤ229は、疎巻コイル250の全長さを通って延びていてもよいし、管状部材212の密巻コイル部分の中へ少なくとも部分的に延びていてもよいし、疎巻コイル250の外部に在ってもよいし、及び/又は省かれていてもよい。スネアループ214の端部も同様に、疎巻コイル250を通って延びていてもよいし、密巻コイルを通って又はその中まで延びていてもよいし、疎巻コイル250の何れの部分も通って延びることのないように管状部材212の外側部分へ直接に接続されていてもよいし、何れの他の構成を有していてもよいし、又は前記のものの組合せであってもよい。
[0098]例えば、図4は、密巻コイル部分348と疎巻コイル部分350の両方を備える管状部材312を有する外科用スネア300の部分断面図を示している。図4の外科用スネア300は、図1A及び図1Bの外科用スネア10に対応していてもよいが、必ずしもそうでなくともよい。例えば、図4の部分断面図は、細長い管状本体12(図1A)の例示としての第2部分48と第3部分50の間の接合部の拡大図を提供している。
[0099]図4に示されている様に、コアワイヤ328は、管状部材312を少なくとも部分的に通って延びていてもよい。図示の実施形態では、コアワイヤ328は、図示の密巻コイル348及び疎巻コイル350を完全に通り抜けて延びている。コアワイヤ328は、幾つの数の特徴を提供していてもよい。例えば、ここに説明されている様に、コアワイヤ328は外科用スネア300の遠位先端へ連係されていてもよい。すると、その様な外科用スネア300の施術者は、コアワイヤ328を押す、引く、又はそれ以外のやり方で制御して、外科用スネアの遠位先端を曲がらせるか若しくは撓ませることができるであろう。外科用スネアの遠位先端を撓ませると、対応するスネアループもまた撓ませられ、軌跡に沿って所望の位置、向き、又は場所へ向けて掃引する。他の実施形態では、コアワイヤ328は、追加の又は他の目的のために使用されていてもよい。例えば、コアワイヤ328は、追加的又は代替的に、スネアループの大きさを制御していてもよい。別の実施形態では、コアワイヤ328は、複数の方向に撓むようになっていてもよい。例えば、電流がコアワイヤ328に掛けられれば、コアワイヤ328は1つの方向に方向決めされるのに対し、コアワイヤ328を押す又は引く、又は異なった電流をコアワイヤ328へ掛ける、或いはそれ以外のやり方でコアワイヤ328を制御すると、コアワイヤ328が管状部材312を異なったやり方で撓ませるよう仕向けられるというようにしてもよい。
[0100]幾つかの実施形態では、コアワイヤ328は管状部材312の大凡全長さを延びている。また一方、他の実施形態では、コアワイヤ328は、管状部材312の一部だけを通って延びていてもよい。例えば、管状部材312に沿った中間場所にアクチュエータを配置させれば、その結果、コアワイヤ328は管状部材312の一部だけを通って延びることになる。他の実施形態では、複数のワイヤ、フィラメント、又は他の要素が、管状部材を完全に通り抜けて又は一部を通って延ばされていてもよい。例えば、図5は、複数のワイヤ又は他の要素が管状部材412の図示の長さの実質的に全長さを通って延びている外科用スネア400の部分の一例を示している。より具体的には、図5は、管状部材412の密巻コイル448及び疎巻コイル450を通って延びる2本のワイヤ又は他のフィラメント又は要素を示している。2つの要素は、幾つの数の目的に使用されていてもよいし、様々に異なった意図の何れを成就させるべく使用されていてもよい。1つの実施形態によれば、外科用スネア400は、ここに説明されているコアワイヤに似た働きをする第1フィラメント428を含んでいる。例えば、第1フィラメント428は、管状部材412の実質的に全長さを走っていて、外科用スネア400の遠位先端及び/又はスネアループを選択的に撓ませるのに使用されていてもよい。第1フィラメント428は、更に、ユーザーインターフェースと外科用スネア400の遠位先端の間の大凡全長さを走っていてもよい。随意的に、更に第2フィラメント415が存在していてもよい。第2フィラメント415は、幾つかの実施形態では、管状部材412の一部だけを通って延びることができる。例えば、第2フィラメント415は、ここに説明されている撓めワイヤとして、管状部材412の圧縮というよりむしろ撓みを容易にする堅さ又は強度を提供するよう働いていてもよい。
[0101]また一方、他の実施形態では、第2フィラメント415は、管状部材412の実質的に全長さを、又はユーザーインターフェースと外科用スネア400の遠位先端の間の実質的に全長さを、延びていてもよい。例えば、第2フィラメント415は、1つの実施形態では、スネアループの第1端へ接続されていてもよい。更に、第2フィラメント415は、管状部材412へ直接に固定されていなくてもよい。例えば、第2フィラメント415は、管状部材412内を動くように構成されていてもよい。一例として、施術者は、直接か又はユーザーインターフェースを使用するかの何れかにより、第2フィラメント415の近位端を引っ張ることができる。第2フィラメント415がスネアループへ接続されている実施形態では、第2フィラメント415へ掛けられる力が、スネアループを管状部材412へ向けて引き、スネアループの形状又は大きさを変化させるか、又はスネアループの全体又は一部分を管状部材412内部に引き込ませる。その様な作用は、例えば、スネアループが回収可能な物体の周りに設置され、施術者がスネアループをその様な物体周りに絞りたいと所望している場合に有用であろう。第2フィラメント415を引くか又はそれ以外のやり方で操作することによって、スネアループを絞るか若しくは物体を固定するよう所望通りに変化させることができる。
[0102]第2フィラメント415は、更に、スネアループ以外の他の要素へ接続していてもよい。例えば、1つの実施形態では、第2フィラメント415は、外科用スネア400の遠位先端へ接続していて、遠位先端及び/又はスネアループを撓ませるための第2機構を提供していてもよい。例えば、第1フィラメント428は遠位先端を1つの方向に又は1つのやり方で撓ませるのに使用され、一方、第2フィラメント415は遠位先端を第2の方向に又は第2のやり方で撓ませる。当然ながら、より多くの又はより少ないフィラメントを含むこともできる。例えば、3本、4本、又はそれより多いフィラメントを使用し、外科用装置400の遠位先端を特定の方向に選択的に撓ませるための複数のアクチュエータが提供されるようにしてもよい。
[0103]図6は、3本のフィラメントが外科用スネア500の管状部材512の長さを通って配置されている追加の実施形態を示している。この実施形態では、外科用スネア500の管状部材512は、随意的に、疎巻コイル550へ接続されている密巻コイル548を含んでいる。密巻コイル548及び疎巻コイル550の両方を通って、3本のフィラメント528a、528b、515が延びている。ここに論じられている様に、その様なフィラメント528a、528b、515は、幾つの数の構成又は用途を有していてもよい。1つの実施形態では、第1フィラメント528a及び第2フィラメント528bは、それぞれ、ここに説明されているコアワイヤと似た働きをする。例えば、第1フィラメント528a及び第2フィラメント528bは、それぞれ、外科用スネア500の遠位先端を所望のやり方で又は方向に撓ませるために独立且つ選択的に操作されていてもよい。実例として、使用者は、外科用スネア500の近位端のユーザーインターフェースを使用し、第1フィラメント528aに選択的に張力を掛けると、外科用スネア500の遠位先端が特定の方向に又はやり方で屈曲するか又は撓むようになっていてもよい。代わりに、同じ又は異なったユーザーインターフェース又はアクチュエータを使用し、第2フィラメント528bに張力を掛けると、外科用スネア500の遠位先端が異なった方向に又はやり方で屈曲するか又は撓むようになっていてもよい。例えば、第2フィラメント528bは、第1フィラメント528aによって生じた撓みの方向から約180度オフセットされた方向への撓みを生じさせてもよい。
[0104]図6に更に示されている様に、更に第3フィラメント515が外科用スネア500の管状部材512を少なくとも部分的に通って延びている。第3フィラメント515は、随意的に、第1フィラメント528a及び第2フィラメント528bから独立して働いていてもよい。第3フィラメント515は、例えば、外科用スネア500のスネアループの大きさを調節する、外科用スネア500を更に追加の方向に又はやり方で屈曲させる又は撓ませる、外科用スネア500内に何か他の反応を生じさせる、又は前記のことの何れかの組合せを生じさせる、ために使用することができるであろう。
[0105]ここに論じられている様に、外科用スネア500の管状部材512の全体は一部分内に配置されているフィラメントの数に関わらず、その様なワイヤ又は他のフィラメントは、幾つもの異なったやり方で管状部材512に固定することができるであろう。1つの実施形態では、例えば、ワイヤは、外科用スネア500の遠位先端にレーザー溶接されていてもよい。他の実施形態では、取り付けのための方法として、ここに参照されている様な様々な方法を使用することができるであろう。
[0106]これより図7を参照するが、本図には、本開示の実施形態による別の外科用スネア600であって、1本又はそれ以上のワイヤ又は他のフィラメントを管状部材612へ取り付けるのにキャップ660を採用している外科用スネア600が示されている。より具体的には、図7は、疎巻コイル650に近接して密巻コイル648を含んでいる外科用スネア600の部分断面図を提供している。疎巻コイル650は、管状部材612の遠位端616に又はそれに近接して、且つ外科用スネア600の遠位端616のスネアループ614に隣接して、配置されている。
[0107]図示の実施形態では、コアワイヤ628が、管状部材612の内側を通って延びていて、管状部材の大凡遠位端616に終端している。その様なコアワイヤ628は、管状部材612の遠位端616の選択的撓みを提供するのに使用することができるが、遠位端616及び/又はスネアループ614を選択的に撓ませるための他の機構を採用することもできるであろう。更にこの実施形態では遠位端616にキャップ660があり、キャップ660は、疎巻コイル650へ、螺合されるか、接着されるか、溶接されるか、結着されるか、又はそれ以外のやり方で連結されていてもよいし、又は前記のものの組合せによってもよい。例えば、キャップ660は、疎巻コイル部分650の1つ又はそれ以上のコイルの外面の周りに嵌められていてもよいが、他の実施形態では、キャップ660は、疎巻コイル部分650の内又は上に配置されていてもよいし、又はそれ以外のやり方で管状部材612へ固定されていてもよい。
[0108]キャップ660は、外科用スネア660のコアワイヤ628を受け入れるか若しくはコアワイヤ628と結合するように構成することができる。例えば、受座661は、キャップ660の内面側に形成されていてもよく、受座661はコアワイヤ628と結合しコアワイヤ628をキャップ660へ固定する大きさ或いは構成とすることができる。そうしてキャップ660が管状部材616の遠位端616へ固定されると、力がコアワイヤ628へ掛けられた際に、当該力はキャップ660へ移り、そしてキャップ660から疎巻コイル650へ移ってゆく。例えば、施術者がコアワイヤ628を張力又は圧縮下に置いた場合、コアワイヤ628は、少なくとも一部ながら、疎巻コイル650に特定量だけ又は特定方向に屈曲する若しくは撓むよう仕向けることであろう。
[0109]図示の実施形態では、キャップ660は更に第2受座662を含んでいてもよい。第2受座662は、例えば、第2ワイヤ又はフィラメントを外科用スネア616の遠位端616へ連結するのに使用されていてもよい。図7では、例えば、第2フィラメントは、コアワイヤ628へ加えられる力に応えて遠位端616が屈曲するのを容易にするのに使用することのできる撓めワイヤ629であってもよい。他の実施形態では、第2フィラメントには、第2のコアワイヤ又は別のワイヤ又は他の要素も含まれよう。
[0110]図7には、ワイヤ628、629と結合するように特定の大きさ若しくは構成の受座661、662を有するキャップ660が示されているが、これは例示にすぎないものと認識されたい。他の実施形態では、ワイヤ628、629は、特定の構成の受座が無くとも、溶接、結着、接着、はんだ付け、機械的締結、又は他の方法、又はそれらの組合せ、によって直接にキャップ660へ接続することができるであろう。他の実施形態では、キャップ660は、ワイヤ628、629を、それらワイヤ628、629がキャップ660を完全に又は部分的に通って延ばされキャップ60又は管状部材612に対して所定位置に固定されるように、受け入れるための開口部又は溝を有していてもよい。例えば、コアワイヤ628及び/又は撓めワイヤ629は、キャップ660の開口部を通され、次いでキャップ660の外面側に、結紮されるか、はんだ付けされるか、溶接されるか、又はそれ以外のやり方で固定されるようにしてもよい。また、受座661、662の様な、ワイヤ628、629との接合部は省かれていてもよい。
[0111]キャップ660は、こうして、コアワイヤ628及び/又は撓めワイヤ629を管状部材612の遠位端616へ接続するのを容易にすることができる。その結果、コアワイヤ628又は他の機構を使用し、遠位端616を選択的に撓ませてゆく際、キャップ660は、コアワイヤ628を疎巻コイル650へ間接に接続して疎巻コイル650を選択的に操作されたやり方で撓むよう仕向けることができる。疎巻コイル650が所望のやり方で撓んでゆくと、スネアループ614にも対応する撓み又は運動が現れる。その様な対応する撓みを容易にするため、スネアループ614もまた、幾つかの実施形態では、キャップ660へ接続させることができる。スネアループ614は、例えば、コアワイヤ628及び/又は撓めワイヤ629について説明されているやり方と類似のやり方でキャップ660へ連結されている2つの端を有するワイヤから形成されていてもよい。実例として、スネアループ614を形成しているワイヤの2つの端は、キャップ660の1つ又はそれ以上の開口部に通され、次いで、結紮、溶接、はんだ付け、結着、又はそれ以外のやり方での固定、又はそれらの組合せが行われて、スネアループ614がキャップ660の内面へ固定される。他の実施形態では、受座、又は他の取付機構を使用し、スネアループ614をキャップ660の外面へ固定するようにしてもよい。
[0112]スネアループ614は、事実上、患者の管腔内から物体を回収するのに使用することのできる如何なる形状を有していてもよい。例えば、スネアループは、円形、楕円形、六角形であってもよいし、他の形状又は構成を有していてもよい。図8A及び図8Bは、例として、本開示の実施形態と共に使用できる2通りのスネアループ構成を示している。図8Aは、例として、略楕円形の雁首構成を有するスネアループ714を示している。図示の実施形態では、楕円形スネアループ714は、実質的に閉じたループを画定している。特に、スネアループ714は、第1の近位端715から略楕円形のループを周って延び第2の近位端717に終端している。第1近位端715と第2近位端717は、図8Aに示されている様に離隔していてもよいが、それでもなお実質的に閉じたループを画定している。また一方、他の実施形態では、第1近位端715と第2近位端717は触れ合ってスネアループ714を完全に閉じている。更に他の実施形態では、第1近位端715と第2近位端717は、スネアループ714を閉じるべく交差するか又は一体に接続されていてもよい。例えば、図8Bは、第1近位端815と第2近位端817が公差してスネアループ814を完全に閉じている六角形スネアループ814の代わりの実施形態を示している。
[0113]ここでの開示に鑑みて認識される様に、本開示によるスネアループは、こうして様々な構成を有することができる。より具体的には、本開示と関連付けて使用できるスネアループは、楕円形、雁首形、六角形、円形、矩形、三角形、菱形、螺旋、複合(例えば複数輪)、その他、を含む様々な形状を有することができ、また同じく様々な大きさを有することもできる。例えば、スネアループは、長さ大凡5mmから長さ大凡40mmまでを範囲とする大きさのものが利用可能であるとされてはいても、より小さい又はより大きいスネアループを使用することもできるであろう。同様に、スネアループの幅も異なっていてよい。例えば、本開示の1つの実施形態によるスネアループは、幅大凡2mmから幅大凡20mmまでの範囲であるとされてはいても、幅はより小さくてもより大きくてもよい。こうして、本開示によるスネアループは、細長い構成、定形構成、不定形構成、実質的に閉じた構成、完全に閉じた構成、又はその他の構成、又は前記のものの組合せ、であってもよい。
[0114]低侵襲性処置のたゆみない進化に伴い、昨今は低侵襲性処置も、患者の身体管腔内に置かれてしまった医療装置、断片、又は他の物体を捕捉し除去する機会を提供できる。その様な低侵襲性処置は、従来の開放性手術より費用も時間もかからない上に、合併症のリスクも軽減される。その様な低侵襲性処置では、回収装置は、螢光透視法又は何か他の視覚化支援と共に使用されるのが典型である。一例としての回収装置は、例えば、カテーテルを通って延ばし患者の身体管腔の中の異物へ向かわせることのできる固定スネアを含んでいてもよい。遠位のスネアを、異物の端の周りに位置付け、カテーテルに押し当てて引き、スネアを異物周りに絞る。次いで、回収装置を引いて、異物を患者の身体管腔を通して、異物が最終的に患者の身体から撤去されるまで引きずってゆく。
[0115]その様なスネア器具は、ひいては、何らかの異物を患者にとって低侵襲的なやり方で除去するための有効な手段を提供することができる。また一方、場合によっては、異物が、スネアの位置決めを不可能ではないにせよ困難にする様な形状、大きさ、配置であることもあろう。その様な場合には、熟練した外科医をしてさえ、スネアを断片の周りに設置するのが困難である及び/又は時間を食うという思いに至らせる。スネアの向き又は場所を異物に効果的に係合するよう変えるのに何度も挑戦が繰り返されることになるかもしれない。スネアの向きを変えることの難しさが、処置時間及び患者への外傷を増加させないとも限らない。
[0116]例えば、異物が肺動脈の中に在る場合は、熟練した外科医でさえ、回収装置を用いて異物を回収するのに難儀を来すであろう。左右の肺動脈は、心臓の右心室からアクセス可能ではあるが、但し、回収装置を左右の肺動脈に到達させるには、回収装置が大凡90度の鋭い曲がりを作り出さなくてはならない。方向転換をうまくこなすために、回収装置は約90度曲がれるようになる回転半径を有していてもよい。概して、曲げ半径が回収装置を肺動脈の曲がりの外面に沿って延びるよう仕向けることであろう。とはいえ、回収されるべき異物は、肺動脈の曲がりの内面に沿って位置しているかもれない。必然的に、外科医は、異物を捕捉し回収するべく内側の曲がり面に沿って回収装置の向きを定めるのに難儀を来すことであろう。肺動脈は心臓から数インチ(1インチ=2.54cm)しか離れていないので、肺動脈内の物体は、更に、心臓が鼓動するとあちこち移動する可能性があり、それにより、物体を捕縛する難しさが増大することになる。
[0117]物体の回収を容易にするため、スネアによっては、ループが回収装置の細長いシャフトから直角に延びる構造になっているものもある。その様な装置は、物体によっては、ループでの捕捉がより簡単にできるようになる。しかしながら、ループが回収装置のシャフトに対して直角に延びていることにより、装置の幅は増加する。幅が増加すれば、その様な回収装置の挿入は難しくなるか、又は患者に外傷を与えることであろう。
[0118]次に図9A及び図9Bを参照すると、本開示による一例としての回収方法が示されている。図示の実施形態では、患者の肺動脈内の物体を除去するのに肺動脈カテーテル法を使用することができる。図示の実施形態では、カテーテル901の様な送達管が、身体の大血管(例えば、内頚静脈、鎖骨下静脈、又は大腿静脈)経由で導入されることになるが、カテーテル901に心臓903へのアクセスを供与するのに使用することのできる何れの他の血管が使用されてもよい。その様な血管進入部位から、カテーテル901は、患者の身体を通り、心臓903を通って向かわされる。より具体的には、図9A及び図9Bに示されている様に、カテーテル901は、上大静脈905を通って右心房907の中へ向かわされる。右心房907から、カテーテル901は、右心室909の中へ、そして最終的に肺動脈911の中へと向かわされる。
[0119]外科医がカテーテル901を図9Aに示されている位置へと向かわせるのを支援するのに、視覚化技法が使用されてもよい。例えば、外科医は、カテーテル901の場所のリアルタイム画像を得るために螢光透視法の様なX線造影による視覚化技法を使用することができるであろうが、他の適した視覚化技法を使用することもできる。カテーテル901は、カテーテルを何れかの特定の視覚化技法にとって可視とならせるやり方で形成又は修正されてもよい。螢光透視法では、例えば、カテーテル901は、螢光透視法による放射線がカテーテル901を通過するのを阻害又は制限する放射線不透過性にされていてもよく、そうすればカテーテル901が螢光透視ディスプレイ上に可視となる。カテーテル901は、例えば、放射線不透過性染料又は造影剤が表面に被覆されているか又は中に注入されていてもよい。カテーテル901は、更に、バリウム、ビスマス、タングステンの様な放射線不透過性充填材を用いて形成されていてもよい。カテーテル901は、追加的又は代替的に、放射線不透過性マーカー帯が塗布されていてもよい。例えば、X線造影による視覚化中にカテーテル901を可視化するのに、白金、金、イリジウム、タンタル、又は他の放射線不透過性材料、又は前記のものの組合せ、の帯がカテーテル901の上又は中に設置されていてもよい。
[0120]カテーテル901が所定位置に置かれたら、外科用スネア900が患者体内の物体925を捕捉するよう患者体内に位置決めされる。図示の実施形態では、外科用スネア900は、カテーテル901を通して設置され、カテーテル901の遠位端から外へ、そして更に肺動脈911の中へ延ばされる。図9Aに示されている様に、肺動脈911は、90度に近い鋭い曲がりを有しているものである。カテーテル901及び外科用スネア900が可撓性といえども、カテーテル901及び/又は外科用スネア900は物体925に正対当接する位置を取るのが難しいかもしれない。例えば、図示の実施形態では、物体925は、肺動脈911内の湾曲部の内側に位置している。カテーテル901が肺動脈911を通って延ばされてゆく際、カテーテル901は、湾曲部の外側輪郭を周って延びる傾向がある。カテーテル901がその様な位置を取ることで、ひいては外科用スネア900にとってはカテーテル901の遠位開口部を出てはみても物体925に直接係合するのは難しくなる。
[0121]本明細書の開示に鑑みて認識される様に、本開示による外科用スネア900は、アクセスし難い場所にある物体925にさえ有効に係合することができ、随意的には回収することができ、しかも外科用スネア900にカテーテルを通過させるのに殆ど又は全く苦労なく、且つ患者への無用な外傷を生じさせないやり方で行える。幾つかの実施形態では、外科用スネア900は、物体925に係合するよう選択的に操舵することができ、及び/又は物体925に係合するようそれ以外のやり方で構成されている。図9Aでは、例えば、スネアループ914は、選択的に操舵でき、更にスネア900のシャフト912から或る角度を成して延びている。この特定の例では、スネアループ914は、シャフト912に対して大凡30度の角度を成している。約30度では、スネアループ914は、カテーテル901を通って延びていても変形が最小に抑えられる。しかしながら、スネアループ914がカテーテル901から伸展すると、角度の付けられた姿勢のおかげで、スネア901を選択的に操舵するより前でさえ物体925との係合が可能になる。約30度というスネアループ914の角度例は単に例示であるものと理解されたい。例えば、幾つかの実施形態では、スネアループ914は、シャフト912に対して0度から180度の間の角度に配置されていてもよい。
[0122]場合によっては、図9Aの物体925は、シャフト912に対して或る角度に向きの付けられたスネアループ914を以ってしてもアクセスするのが難しいこともあろう。そのため、外科用スネア900の遠位端916及びスネアループ900は、物体925に到達するよう操舵できるようになっていてもよい。実例として、外科用スネア900の遠位端916は、選択的に操舵できるようになっている。従って、遠位端916は、シャフト912の全体的な可撓性とは独立に、スネアループ914を物体925に係合することのできる位置へと撓むように操舵又は案内されることになる。
[0123]例えば、図9Bに示されている様に、図9Aの外科用スネア900は、スネアループ914を物体925に係合させられるやり方で選択的に案内されてきた。より具体的には、図9Bのシャフト912の遠位端916は、湾曲部に沿って、約0度から約90度の間で撓まされたところである。スネアループ914も回転し、図9Aに示されているスネアループ914の位置に対して約90度の回転に対応する湾曲状の軌跡に沿って掃引している。図9Bに示されている位置では、スネアループ914は、肺動脈911内の湾曲部の内側に当接している物体925を、シャフト912の向きを変えて湾曲部の内側に当接させなくても、係合し、回収することができる。幾つかの実施形態では、スネアループ914が撓ませられ、次いで外科用スネア900がカテーテル901内を長手方向に動かされてスネアループ914を物体925に当接係合させる。
[0124]更に、スネアループ914は、湾曲状の軌跡に沿って掃引させ、軌跡に沿って事実上無限の数の位置の何れにも位置付けることができるので、外科用スネア900には、殆ど苦労無く且つ患者への無用の外傷を引き起こすこと無くカテーテル901を通過させてゆくことができる。例えば、外科用スネアの長手方向軸に対して90度の角度に固定されているスネアループ914は、カテーテルを通過するかもしれないが、カテーテル内に納まるには変形を余儀なくされることであろう。カテーテルの内面は、変形を来し、スネアのカテーテル通過に対する抵抗を増大させる。追加的又は代替的に、スネアのカテーテル通過の難しさが軽減されるようにより大きなサイズのカテーテルを使用することもできるであろうが、但しカテーテルのサイズが大きくなれば患者への外傷が大きくならないとも限らない。しかしながら、図示の実施形態では、外科用スネアループ914は、随意的に、外科用スネア900のシャフト912に対して略長手方向に向かせることができる。その様な向きなら、カテーテル内でのスネアループ914の変形は軽減され、その結果、外科用スネア900は、より簡単にカテーテルを通して延ばせるようになり、又は、カテーテル無しに身体管腔を通して延ばすことさえも、そしてまた小さいサイズのカテーテルを通して延ばすこともできるようになる。更に、スネアループ914には軌跡に沿って事実上無限の数の位置の何れかへ選択的に掃引させることができるので、スネアループ914は、一旦カテーテル901の外に出てから所望の位置へ動かされると、又は撓まされ更に動かされた後、効果的に物体を捕縛することができる。スネアループ914が一旦カテーテル901の外に出てから撓まされる際、スネアループ914の大きさ、長さ、幅、形状、又は他の寸法は、比較的不変に保たれ、物体925の効果的な捕縛を可能にする。
[0125]スネアループ914を物体925の周りに係合するように位置付けたら、外科医又は他の施術者は、外科用スネア900を動かして物体925に係合させることができる。そうするために、外科医は、更に視覚化又は他の技法を使用してもよい。外科医は、例えば、カテーテル901を位置付けるのに使用したのと同じ視覚化技法を使用してもよい。従って、単に一例として、外科用スネア900は、更に、外科医が螢光透視法の様なX線造影による視覚化技法を使用している場合には放射線不透過性とすることができる。外科用スネア900に放射線不透過特性を提供するには、外科用スネア900に使用される材料が放射線不透過性であってもよい。例えば、シャフト912及び/又はスネアループ914が、放射線不透過性材料で形成されるか又は被覆されていてもよい。シャフト912及び/スネアループ914は、例えば、ステンレス鋼合金、チタン、ニッケル、ニッケル‐チタン合金、コバルト、クロム、金、白金、又は他の材料、又は前記のものの何れかの組合せ、から形成されているか又はそれらで被覆されていてもよい。
[0126]物体925に対する外科用スネア900の位置付けを更に容易にするため、カテーテル901は、概して図9A及び図9Bに示されている様に、物体925に近接して配置されてもよい。このやり方では、外科用スネア900は、カテーテル901の遠位端から外へ伸展させれば、物体925に隣接して配置される。また一方、他の実施形態では、外科用スネア900はより長い距離を延ばされることもあり、またカテーテル901は、例えば大きさの制約や材料選定などのせいで、物体925に近接して配置させることができないこともある。例えば、別の実施形態では、カテーテル901は、上大静脈905、心臓903、又は肺動脈911の中へ途中までしか延びておらず、外科用スネアのシャフト912は物体925に到達する前にカテーテル901から外へ相当な距離を延びることになるかもしれない。例えば、カテーテル901の遠位端は、図9Bの仮想線で示されている遠位端902の場所に概ね対応していることもあろう。スネア900は、遠位端902から遠位方向に肺動脈911の曲がりを周って最終的に物体925に近接する目的地まで延びるのに十分な柱強度を有していてもよい。他の実施形態では、外科用スネア900は、何れの型式の送達管も無しに使用できるだけの柱強度を有していてもよい。
[0127]外科用スネア900を位置決めし回収される物体925に係合させるやり方は別にして、外科用スネア900は、その後、物体925を保持するように操作され、そのまま外科用スネア900は心臓903を通って患者体外へ退却させられる。1つの実施形態では、ここに論じられている様に、外科用スネア900のスネアループ914は、選択的に引っ込めることができるようになっていてもよい。その様な実施形態では、施術者は、ワイヤ又は他の要素を引くか又はそれ以外のやり方で操作して、スネアループ914の大きさを窄めさせ、物体925の周りにきつく引き付けさせることができる。その後、外科用スネア900は、物体925と共に患者から摘出される。
[0128]別の実施形態では、使用者は、物体925の回収のためにスネアループ914の大きさ及び/又は形状を選択的に縮小させるのにカテーテル901を使用することができる。例えば、外科用スネア900が近位方向に引き出されてゆくとスネアループ914がカテーテル901の遠位端に進入し始めるように、カテーテル901を物体925に近接して設置することができる。スネアループ914がカテーテル901の中へ引き入れられてゆくと、スネアループ914の近位端はカテーテル901の中に囲い込まれ、スネアループ914をカテーテル901の中へ引き入れ続けることにより、スネアループ914は変形して折り畳まれ、それにより、スネアループ914は物体925周りにきつく引き付けられる。こうして、本開示の実施形態は、カテーテル901を使用することによって、又はカテーテル901とは独立に、スネアループ914を選択的に折り畳むことを企図している。
[0129]ひとたびスネアループ914が物体925周りに十分に絞られたら、外科用スネア900を完全に退却させることができる。カテーテル901が使用されている実施形態では、外科用スネア900は、カテーテル901内へ完全に引き入れられ、患者から引き抜かれる。物体925及びスネアループ914をより簡単にカテーテル901の中へ引き入れさせるために、カテーテル901の遠位端には角度が付けられていてもよい。例えば、カテーテル901の遠位端は、約30度から約60度の間の角度に切られているか又は形成されていてもよいが、それより大きい又は小さい角度を使用することもできる。他の実施形態では、カテーテル901は鈍な遠位端を有していてもよい。
[0130]図示の実施形態は、スネアループ914がシャフト912から長手方向に延びている外科用スネア900を示しているが、本明細書の開示に鑑み、これは単に例示であるものと認識されたい。他の実施形態では、例えば、スネアループ914は、当初よりシャフト912から角度(例えば直角)を成して延びていてもよい。その様な実施形態で、スネアループ914が更にここに記載されている様に選択的に撓ませることができるものであれば、患者の脈管構造又は身体内の事実上何れの場所であっても物体を回収できるようになる。
[0131]図9A及び図9Bには、患者の肺動脈内から物体を回収する例示としての方法が説明されているが、本明細書の開示からは、ここに説明されている外科用スネアが数多くの他のやり方で使用されてもよいことが自明であろう。実際に、開示されている外科用スネアは、物体を患者体内の事実上何れの場所内からでも回収するべく使用することを企図しており、肺又は肺動脈に限定されない。幾つかの実施形態では、例えば、本開示による外科用スネアは、患者の心臓の中の中隔閉鎖栓又は他の物体を回収するのに使用することもできるであろうし、患者の腎臓、肝臓、又は他の器官、脈管、又は患者の身体管腔から、異物又は生体由来物、又は他の物体を回収することもできるであろう。
[0132]ここに指摘されている様に、本開示による外科用スネアは、外科用スネアの遠位端に又はそれに隣接して1つ又はそれ以上のループを含んでいてもよく、当該1つ又はそれ以上のループは、患者の身体管腔の中へ、カテーテルを使用して及び/又は何れかの他の適したやり方で、挿入することができる。図10は、一例としてのスネア装置1000を示しており、当該スネア装置1000を、幾つかの実施形態に従って使用すれば、スネアループ1014が自身が配置される身体管腔及び/又はカテーテルの幅よりも大きい幅を有している場合でさえ、スネアループ1014を簡単に身体管腔の中へ挿入させられるやり方でスネアループ1014を配置することができる。
[0133]図示の実施形態では、スネアループ1014の身体内への挿入を容易にするのに挿入装置1070を使用することができる。挿入装置1070は、何れの適したやり方で作動していてもよく、図示の実施形態では、スネアループ1014を、カテーテル及び/又は身体管腔内に納まる大きさ及び/又は形状に折り畳むことによって作動するものである。従って、幾つかの実施形態では、挿入装置1070は、ループ折り畳み機構の役目を果たしている。例えば、図示の実施形態では、スネアループ1014は、機械的に圧縮されるか又は折り畳まれることになる。また一方、他の実施形態では、スネアループ1014は、何れかの他の適したやり方で、調節されるか、折り畳まれるか、若しくは変容させられてもよい。例えば、スネアループ1014は、形状記憶材料で形成されていてもよい。形状記憶材料の場合、スネアループ1014に電流を印加するか又はスネアループ1014を加熱又は冷却すれば、スネアループ1014を身体管腔の中への挿入が容易になる既定形状へ変化させることができる。とはいえ、以上の実施形態は例示にすぎず、スネアループ1014のカテーテル又は身体管腔への挿入を容易にすることのできる如何なる型式の装置又は機構が、ここに説明されているスネア装置と関連付けて使用されてもよい。
[0134]特に図10に示されている挿入装置1070に関し、一例としての挿入装置1070は、スネア装置1000の管状部材1012上に配置することができる。その様な配置は、ここに論じられている様に、スネア装置1000の施術者が選択的に設置することによって、及び/又はスネア装置1000が挿入装置1070を含むように事前組立されることによって、起こる。図示の実施形態では、挿入装置1070は、管状部材1012を通過させる1つ又はそれ以上のチャネル又はルーメンを含むことができる。実例として、図10の挿入装置1070は、管1074とロック1072を含んでおり、それらはそれぞれがスネア装置1000の管状部材1012を受け入れるよう構成された内部ルーメンを有しているが、その様な構造は例示にすぎない。内部ルーメンが使用されようと、他の接続機構が使用されようと、挿入装置1070はスネア装置1000へ連結されることになる。
[0135]幾つかの実施形態では、挿入装置1070は、スネア装置1000の管状部材1012に対して滑動可能に配置させることができる。例えば、挿入装置1070内のチャネル又はルーメンは、少なくとも管状部材1012の外径と同じ程大きくされている。挿入装置1070の内径対管状部材1012の外径の間に十分な寸法差があれば、管状部材1012は挿入装置1070内を滑動することができる。
[0136]施術時、挿入装置1070―管1074及び/又はロック1072を含む―は、スネアループ1014を選択的に圧縮するように管状部材1012に沿って又はそれに対して長手方向に動くことができる。例えば、1つの実施形態では、挿入装置1070は、管状部材1012と同軸に管状部材1012に沿って長手方向に矢印Aで表されている方向に滑動する。図10に示されている様に、挿入装置1070は、挿入装置1070の遠位端に管1074を含んでいる。挿入装置1070を管状部材102に沿って選択的に滑動させるか又はそれ以外のやり方で+動かすことができる場合には、管1074を、長手方向に概ね遠位方向に向けて、管1074の遠位端がスネアループ1014の近位端に係合するまで滑動させる。
[0137]ここで指摘されている様に、スネアループ1014は、幾つもの異なった構成を有するものである。1つの実施形態では、スネアループ1014は、管状部材1012と結合するか又はそれへ連結される全体としてテーパした近位端を有している。幾つかの実施形態では、スネアループ1014のテーパした近位端は、スネアループ1014の挿入装置1070の管1074内への挿入を容易にすることができる。例えば、管1074をスネアループ1014の近位端に係合させる。力を加えて管1074を遠位方向に動かしてゆくと、スネアループ1014のテーパした近位端が管1074の中へ押しやられ、それによりスネアループ1014が更に折り畳まれ、圧縮される。管1074を遠位方向へ動かし続けると、終にはスネアループ1014の全体又は実質的に全体が折り畳まれ管1074内に置かれる。このやり方でスネアループ1014を折り畳むことによって、スネアループ1014の有効全幅は、挿入装置1070の管1074の大凡内径まで縮小される。
[0138]以上に指摘されている様に、挿入装置1070は、管状部材1012に沿って選択的に滑動させることができる。幾つかの実施形態では、挿入装置1070は管状部材1012に沿って滑動自在とされ、他の実施形態では滑動運動は制限されている。例えば、図10では、挿入装置1070は、管1074へ連結されている随意的なロック1072を含んでいる。ロック1072は、挿入装置1070が管状部材1012に対して長手方向に動くのを制限又は阻止するよう選択的に調節されることになる。
[0139]図10に示されているロック1072の特定の例は、把持部1076と、1つ又はそれ以上の係合部材1080から成るセットと、を含むことができる。この特定の実施形態では、把持部1076の回転運動が係合部材1080の運動へ連係されていてもよい。例えば、把持部1076を一方の方向に(例えば反時計回りに)回転させると、係合部材1080が半径方向に展開し、それにより係合部材1080間のチャネル又はルーメンの大きさが増加するようになっていてもよい。把持部1076を第2の方向に(例えば時計回りに)回転させると、係合部材1080は半径方向に収縮し、それにより係合部材1080間のチャネル又はルーメンの大きさが減少する。チャネル又はルーメンの大きさが減少してゆくと、係合部材1080は管状部材1012との接触に入ってゆき、挿入装置1070を管状部材1012へ少なくとも選択的にロックする摩擦嵌めを作り出す。図示の実施形態では、3つの係合部材1080が管状部材1012の周りに角度を空けて配置されており、管状部材1012を選択的に把持するのに使用されている。また一方、他の実施形態では、3つより多い又は少ない係合部材1080が使用されていてもよい。例えば、管状部材1012を把持するのに単一の圧縮リングが使用されていてもよいし、又は他の実施形態では4つ又はそれ以上の係合部材が管状部材1012を把持していてもよい。
[0140]把持部1076の運動を係合部材1080へ連係するのに多数の異なった型式のリンクの何れが使用されていてもよい。例えば、内部螺合機構(図示せず)が使用されていてもよい。その様な実施形態では、把持部1076を選択的に回転させると、螺合機構が把持部1076の位置を長手方向に前進させる。図10の特定の例では、把持部1076は、その近位端にテーパ1078を含んでいる。係合部材1080も随意的にテーパであってよい。そうすると、把持部1076が長手方向に近位に向かう方向に前進してゆくと、テーパ1078が1つ又はそれ以上の係合部材1080の外面に係合し、それによりそれら係合部材を内向きに圧縮する。把持部1078が遠位方向に退くと、テーパ1078は係合部材1080が半径方向外向きに展開するのを許容する。幾つかの実施形態では、係合部材1080が半径方向外向きの方向に押しやられ易くなるように、付勢機構(図示せず)が係合部材1080を付勢していてもよい。
[0141]随意的なロック1072は、幾つもの他の適したやり方で作動していてもよい。例えば、別の実施形態では、ロック1072は、係合部材1080へ直接に連結する内ねじを含んでいてもよい。その様な実施形態では、把持部1076側に外部テーパ1078が無くとも、把持部1076の回転運動により係合部材1080は半径方向内向き又は外向きに動かされる。更に他の実施形態では、管状部材1012を圧縮若しくは把持するのに、或いはそれ以外のやり方でロック1072を管状部材1012へ固定するのに、1つ又はそれ以上のクランプ、止めねじ、又は他の機構を使用することができる。
[0142]ロック1072又は何れかの他の適したロックは、幾つもの異なった目的又は理由で挿入装置1070と関連付けて使用することができ、幾つもの適したやり方で管1074へ連結することができるであろう。例えば、挿入装置1070がスネアループ1014を折り畳む実施形態では、ロック1072は、ひとたびスネアループ1014が折り畳まれるや選択的に作動させられてもよい。こうすれば、例えば、医師又は他の施術者が簡単にスネアループ1014を折り畳まれた状態に維持できるようになり、その間にスネアループ1014はカテーテル及び/又は患者の中へ挿入される。ひとたびスネアループ1014が所望場所に位置付けられると、ロック1072を選択的に解除すればよい。次いで、管状部材1012を前進させ、挿入装置1070を引っ込ませればよい。
[0143]ロック1072は、挿入装置1070をインターフェース部分として使用できるようにもする。一例として、管状部材1012は、身体管腔の中へ挿入され、所望場所に置かれるとする。スネアループ1014が、所望の物体を捕縛してしまったら、スネアループはカテーテルに当接に又はその内部に引っ込められることになる。スネアへの張力を維持するのにロック1072を作動させることができる。ロック1072は、そのとき、スネアループ1014を身体管腔から引き出すためのインターフェースとして使用されることになる。
[0144]追加的又は代替的に、ロック1072は、スネアループ1014の取り扱い、動かし方、又は他の操作を容易にすることができる。例えば、スネアループ1014が身体管腔内部に設置されると、例えば挿入装置1070を管状部材1012にロックすることによって、ロック1072を作動させてもよい。次いで、把持部1076を手で扱う。例えば、把持部1076を扱い、挿入装置1070を回転させることによって、管状部材1012及び/又はスネアループ1014が身体管腔内で回転させられるようになっていてもよい。
[0145]ロック1072は、管1074に固定されていてもよい。例えば、1つの実施形態では、ロック1072は、ロック1072と管1074が一体にスネア装置1000の管状部材1012に対して長手方向の向きに動くように、管1074へ固定されていてもよい。少なくとも1つの実施形態では、ロック1072は、少なくとも部分的には、管1074と一体的に形成されていてもよい。例えば、把持部1076又は内部機構は、管1074と一体的に形成されていてもよい。別の実施形態では、管1074は、ロック1072へ実質的に永久的に固定されていてもよい。例えば、管は、接着剤又はリベットを使用して、又は溶接、ろう付け、はんだ付けによって、把持部1076へ連結されていてもよい。更に他の実施形態では、管1074は、ロック1072へ選択的に固定されていてもよい。管1074を把持部1076へ連結するのに、例えば、ねじ又は割りピンの様な解放できる機械的締結具が使用されていてもよい。
[0146]ここでの開示に鑑み、挿入装置1070は、幾つもの形態をとることができるし、幾つも特徴を提供することができる、ということが認識されるであろう。以上に説明されている挿入装置1070の1つのその様な特徴は、スネアループ1014のカテーテル及び/又は身体管腔への挿入が容易になるようにスネアループ1014を折り畳むこと若しくは変容させることである。挿入装置1070をどの様に使用してその様な特徴を提供させるかという実例が、図11に関連付けて示され、説明されている。
[0147]概して、図11は、導入器シース1090を使用して身体組織1094及び脈管壁1096を穿通し、身体管腔1098へのアクセスが提供されるようにしている実施形態を示している。幾つかの実施形態では、スネア又は他の装置が導入器シース1090を通して身体管腔1098の中へ直接挿入されている。とはいえ、図11では、更にカテーテル1091が導入器シース1090に通され、次いでスネアループ1014がカテーテル1091を通って身体管腔の中へ送られている。
[1048]以上に指摘されている様に、導入器シース1090は、組織1094そして脈管壁1096を貫通して、身体管腔1098へのアクセスを提供する。例えば、導入器シース1090の遠位端は、身体管腔1098内に位置付けられるか若しくはそこへのアクセスを提供することができ、一方、近位端は他の装置又は器具が導入器シース1090を通って身体管腔1098にアクセスするのを許容するように構成されている。例えば、導入器シース1090は、その近位端にハブ1092を有していてもよい。幾つかの実施形態では、ハブ1092は、導入器シースの長さを貫通しているチャネル又はルーメンと連通している開口部を有していてもよい。その様なチャネルは、例えば、カテーテル1091がハブ1092を通って導入器シース1090に入り、導入器シース1090の遠位端から出て、そこで身体管腔1098の中へ直接入ってゆけるようにするであろう。
[0149]ハブ1092は全体が導入器シース1090の一部として形成されていてもよいが、これは単に例示であるものと認識されたい。他の実施形態では、例えば、ハブ1092は、省かれてもよいし、及び/又はカテーテル1091の一部であってもよい。更に他の例示としての実施形態では、ハブ1092は、その一部が導入器シース1090の一部として形成されていてもよく、またその一部がカテーテル1091から形成されていてもよい。例えば、導入器シース1090は、ハブ1092の第2部分と結合するように構成されたハブ1092の第1部分を有していてもよい。ハブ1092の第2部分はカテーテル1091と一体であってもよいし、又はそうでなければカテーテル1091へ取り付けられていてもよい。
[0150]導入器シース1090、ハブ1092、又はカテーテル1091が形成又は構成されている特定のやり方は別にして、その様な要素の何れか又は全ては、ここに説明及び/又は企図されている様々なスネア装置と組み合わせて使用することができる。例えば、図示の実施形態では、図10のスネア装置1000は、ハブ1092を通して挿入されている。ハブ1092を通される場合、スネア装置1000のスネアループ1014及び/又は管状部材1012は、導入器シース1090及び/又はカテーテル1091の中へ進入する。図10では、ハブ1092は、ロック1070を当接係合させる近位ストッパ面を提供している。より具体的には、ハブ1092のルーメンの大きさは、スネア装置の管1074をその中に配置させるのに足る大きさであるが、ロック1072の直径より小さくされている。その結果、ロック1072が長手方向にハブ1092に対応する位置まで動かされたとき、ハブ1092はロック1072に係合し、挿入装置1070がそれ以上前進するのを阻止又は制限することができる。挿入装置1070がその様な位置にある状態で、係合部材1080を緩めて管状部材1012を解放することができる。こうすれば、例えば、管状部材1012が挿入装置1070に対して滑動するか若しくは動けるようになる。より具体的には、1つの実施形態によれば、管状部材1012は、遠位の方向に進められ、長手方向に遠位に向けてカテーテル1091及び/又は身体管腔1098を通過してゆくことができる。
[0151]また、管状部材1012が進められたら、スネアループ1014が管1074から出る。ルーメン1098及び/又はカテーテル1091の大きさが管1074より大きいので、スネアループ1014は管1074を出ると展開することができる。スネアループ1014は、管1074内に圧縮される以前に保有していたのと実質的に同じ大きさ、形状、又は他の構成を持つまでに、又はカテーテル1091又は身体管腔1098によって許される大きさまで、展開することができる。カテーテル1091と関連付けて使用されている場合、スネアループ1014は、管1074を出て、カテーテル1091に対応する大きさまで展開することができ、その後、カテーテル1091を出ると、ループの非応力時の幅と大きさ又は身体管腔の幅のうち小さい方に対応する大きさまで展開することができる。管状部材1012は、次いで、スネアループ1014が捕縛及び/又は回収される物体と整列できるようになる場所まで進められることになる。
[0152]ここでの開示に鑑み認識される様に、本開示によるスネア装置及び/又は挿入装置1070は、幾つもの適した構成を有することができる。図11では、例えば、導入器シース1090は角度の付けられた挿入配置を有しているものとして示されている。従って、幾つかの実施形態では、挿入装置1070の管1074は可撓性であってもよい。可撓性の管1074なら、例えば、角度の付けられた導入器シース1090の長さの全体又は一部分に沿って滑動するのに十分に曲がることができる。管1074は、追加的又は代替的に、半径方向に可撓性であってもよい。その様な実施形態では、半径方向に可撓性の管1074は、それがスネアループ1014を圧縮する際に半径方向に拡がることができる。管1074は、半径方向に拡がりはするが、なお管1074を導入器シース1090、カテーテル1091、及び/又は身体管腔1098内に配置させておける量しか拡がらない。また一方、他の実施形態では、管1074は剛性であってもよい。例えば、導入器は、身体管腔の中へ直進的なアクセスを提供していてもよく、そうすると管1074は可撓性である必要はない。
[0153]更に本明細書の開示に鑑み、挿入装置1070の管1074の大きさ及び形状は幾つものやり方により異なっていてもよいものと認識されたい。例えば、1つの実施形態では、管1074の長さは、スネアループ1014の長さに概ね対応している。他の実施形態では、管1074は、より長いこともあれば、より短いこともある。例えば、より長い管1074なら、管1074を幾つもの異なった大きさのスネアループ1014と共に使用できるであろう。従って、図11の実施形態は、管1075が、導入器シース1090及びカテーテル1091を通って延び、更に身体管腔1098内に位置付けられることになるものとして示しているが、これは例示に過ぎない。他の実施形態では、管1074及び導入器シース1090の長さは、管1074が導入器シース1090に進入するが但し身体管腔1098の中まで進入しない長さとすることができる。
[0154]幾つかの実施形態によれば、挿入装置1070は、スネア装置へ選択的に取り付け可能又は脱着可能であってもよい。実例として、挿入装置1070は、スネアループと管状部材を含んではいるが但し別体のユーザーインターフェース(例えば図1Aのユーザーインターフェース20)は含んでいないスネア装置と関連付けて使用されてもよい。その様な実施形態では、挿入装置1070を、管状部材1012の遠位端に選択的に設置し、長手方向に遠位に向けて動かして、管状部材1012の遠位端のスネアループ1014を圧縮させてもよい。また一方、別の実施形態では、挿入装置1070は、スネア装置の一部として組み立てられてもいてもよい。例えば、図1の外科用スネア10に関し、挿入装置1070は外科用スネア10の一部として事前組立されていてもよい。外科用スネア10の製造時に挿入装置1070が管状部材1012上に設置されてもよい。挿入装置1070の設置は、何れの所望の時点に起こってもよい。挿入装置1070が外科用スネア上に含められるのは、例えば、スネアループが取り付けられる前でもよいし、ユーザーインターフェースが取り付けられる前でもよいし、スネアループ及び/又はユーザーインターフェースが取り付けられた後でもよい。次いで、外科用スネアは、挿入装置1070が既に設置され外科用スネアと共にいつでも使える状態の一体型ユニットとして、販売、包装、市場提供、など、されることになる。
[0155]挿入装置1070は、外科用スネア上に配置されたら、そこに永久的に付着されるように構成されていてもよいし、又は取り外し可能に付着されるように構成されていてもよい。1つの実施形態によれば、挿入装置1070はいつでも取り外せる。例えば、挿入装置1070は、スネアループ1014を圧縮するため遠位方向に動かされる。遠位方向へ動かし続ければ、挿入装置1070はスネアループ1014の全長さを通り越してゆくことによって外科用スネア装置から取り外せるようになる。代替的又は追加的に、挿入装置1070は、スネアループ1014を圧縮若しくは形状変更させなくても、いつでも取り外せる。更に他の実施形態では、挿入装置1070がスネア装置から取り外されないように拘束する又は防げるために1つ又はそれ以上の保定ロッド又は他の機構が挿入装置1070に係合していてもよい。
[0156]図12はスネア2000の一部として使用されてもよいとされる挿入装置2070の別の例としての実施形態を示している。とはいえ、挿入装置2070は、単なるもう1つの例示としての実施形態であり、本開示の範囲内として企図されている幾つもの挿入装置の1つにすぎない。
[0157]図12の挿入装置2070は、スネア2000から、具体的にはスネア2000の管状部材2012から、選択的に取り外し可能であってもよい。管状部材2012は、例えば、ここに説明されている様な密巻コイル、疎巻コイル、可撓性の管、又は何れかの他の適した構造、又はそれらの組合せ、を含むものとすることができる。1つの実施形態では、スネア2000は、図1Aの外科用スネア10に類似し、管状部材2012へ取り付けられているキャップ2024付きユーザーインターフェース2020を含んでいる。また一方、他の実施形態では、ユーザーインターフェース2020、キャップ2024、管状部材2012、又は他の特徴又は構成要素、又はそれらの組合せ、は除かれるか又は修正されていてもよい。
[0158]図12に示されている特定の実施形態では、挿入装置2070は、スネア2000へ選択的に連結されるように、及び/又はスネア2000から選択的に取り外されるように、構成されている。より具体的には、図示の挿入装置2070は、二枚貝式の管2074を含んでいてもよい。二枚貝式の管2074は、内部ルーメンを有し、更に選択的に開くこと及び/又は閉じることができる。二枚貝式の管2074を開くことによって、二枚貝式の管2074の第1半部2075と第2半部2076は少なくとも中途半端ながら分離される。図12に示されている様に、半部2075、2076が分離すると、二枚貝式の管2074の壁に開いたチャネルが形成される。二枚貝式の管2074がスネア2000の管状部材2012の周りに配置されていても、管状部材2012に二枚貝式の管2074の壁に形成されたチャネルを通り抜けさせれば、その結果、スネア2000と挿入装置2070を分離させることができる。同様に、二枚貝式の管2074がスネアに連結されていないとき、二枚貝式の管2074を開けば、管状部材2012は二枚貝式の管の壁のチャネルを通って(例えば第1半部2075と第2半部2076の間の開口を通って)、二枚貝式の管2074の内部ルーメンへ入ってゆくことができる。次いで二枚貝式の管2074を閉じれば、挿入装置2070は管状部材2012の周りに固定される。
[0159]二枚貝式の管2074は、スネア2000へ選択的に取り付けたり脱着させたりすることのできる挿入装置の1つの例としての実施形態の例示にすぎない。この実施形態では、二枚貝式の管2074の半部2075、2076のそれぞれは、接合具2078のセットを含んでいる。接合具2078は、例えば、枢動ピンを受け入れる互い違いになったヒンジブラケットを含んでいてもよい。枢動ピンが互い違いになったヒンジブラケット内に設置され、それにより接合具2078が固定されたら、第1半部2075と第2半部2076は一体に固定される。枢動ピンは、半部2075、2076を互いに対して長手方向に大きく動かないように拘束しながらもなお半部2075と2076が互いに対して少なくとも中途半端ながら回転するのを許容するやり方で、二枚貝式の管2074を一体に接続することができる。
[0160]接合具2078は、何れの適した構成を有していてもよい。例えば、図12では、接合具2078は、二枚貝式の管2074の長さに沿って部分的にしか延びていない。具体的には、接合具2078は、二枚貝式の管2074の中間部分に又はその付近に配置させることができる。こうすれば、例えば、二枚貝式の管2074の遠位端を導入器シース及び/又はカテーテルの中へ簡単に挿入できるようになる。また一方、他の実施形態では、導入器シース及び/又はカテーテルは、二枚貝式の管2074はもとより接合具2078も併せて受け入れる大きさとすることができる。
[0161]同様に図12に示されている様に、図示の接合具2078は、更に、ユーザーインターフェース2020に隣接する二枚貝式の管2074の近位端からオフセットされていてもよい。例えば、この実施形態では、ユーザーインターフェース2020は、環状溝2072が形成されたキャップ2024を含んでいる。環状溝2072は、二枚貝式の管2074が閉構成にあるとき、二枚貝式の管2074を受け入れる大きさである。二枚貝式の管2074を、閉じておいて、溝7072の中へ挿入すると、干渉嵌め又は摩擦嵌めが形成され、挿入装置2070がユーザーインターフェース2020へ固定される。環状溝2072は、随意的に、略円形、楕円形、又はそれ以外に二枚貝式の管2074の形状に対応する形状である。環状溝2072は、更に、接合具2078の全体又は一部分を受け入れる形状若しくは構成であってもよい。環状溝2072は、挿入装置2070をスネア2000へ固定するための機構の一例にすぎないものと認識されたい。他の実施形態では、例えば、キャップ2024及び/又は管状部材2012は、挿入装置2070を固定させる戻り止め又は別の構造を含んでいてもよい。
[0162]幾つかの実施形態では、環状溝2072又は他の機構は、二枚貝式の管2074をユーザーインターフェース2020へ連結するときに半部2075、2076を一体に固定するよう働く。また一方、幾つかの実施形態では、二枚貝の半部2075、2076は、更に、挿入装置2070が溝2072へ直接に連結されていないときでさえ、選択的又は永久的に、一体にロックされるようになっていてもよい。例えば、半部2075、2076は、さねはぎ構成を含んでいてもよく、そうすれば、閉じられると、さね部分が溝部分に交わって少なくとも一時的に半部2075、2076を閉構成にロックする。他の実施形態では、半部2075、2076を一体にロックするのに止め金が取り付けられていてもよい。例えば、二枚貝式の管2074の一部分の周りに輪具が設置されていてもよいし、又は第1の半部2075側にタブが含まれていて、第2の半部2076側にインターロック式の止め金が形成されていてもよい。幾つかの実施形態では、ロック掛け機構は解放可能であってもよい。例えば、使用者は、干渉嵌め又は摩擦嵌め或いは別のロック掛け機構を選択的に打ち負かす力を加えることができる。他の実施形態では、他の型式のロック掛け機構が使用されていてもよい。実際、幾つかの実施形態では、ロック掛け機構はまるごと省略されており、二枚貝式の管2074を閉構成に及び/又は管状部材2012に対して特定の長手方向場所にロックするロック掛け機構は何も無い。
[0163]二枚貝式の管2074又は他の挿入装置構成要素2074が管状部材2012上か又はその周りに設置されている場合、二枚貝式の管2074は、随意的に、管状部材2012に沿って長手方向に滑動するか又はそれ以外のやり方で動くようになっていてもよい。二枚貝式の管2074は、例えば、ここに説明されている様にスネアループに係合するべく遠位方向に動かされてもよい。スネアループは、随意的に、二枚貝式の管2074内に圧縮され、それから二枚貝式の管2074がカテーテル、導入器シース、身体管腔、又は他の構造内に設置されてもよい。その後、二枚貝式の管2074の遠位端から外へスネアループを伸展させることにより、スネアループは圧縮を解かれて1つ又はそれ以上の展開構成に戻る。
[0164]ここでの説明は、スネアループを圧縮するのに使用されてもよいとされる様々な管に関しているが、スネアループの圧縮は、管の特定の形状、大きさ、又は他の構成にも、また更には管にも、限定されないものと認識されたい。例えば、スネアループを圧縮するのに使用される構造は、幾つもの異なった長さ又は断面形状を有することができるであろう。断面形状は、例えば、円形又は楕円形であってもよいが、方形、菱形、三角形、定形、不定形、又は他の断面形状も企図されている。幾つかの実施形態では、断面形状又は大きさは、管の長さに沿って変化していてもよい。例えば、管は、スネアループの圧縮が容易になるようにテーパしているか又はフレア状であってもよい。
[0165]以上の詳細な説明は、特定の例示としての実施形態を参照している。しかしながら、ここに企図され付随の特許請求の範囲に述べられている範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が成され得ることが認識されるであろう。例えば、様々なスネア装置及び構成要素は、大きさ、形状、構成、特徴、など、の異なった組合せを有していてもよい。ここに説明されているその様な差異は、主として、スネア装置を本開示の範囲内で使用、作製、及び修正することのできる多数の異なったやり方が存在していることを示すために提供されている。異なった特徴は、幾つかの実施形態では、必要な例示説明を削減するために組み合わされてもいるが、一部の特定の特徴のみが他の特徴と適合性があることを指し示すことを意図したものではない。よって、或る特徴が1つ又はそれ以上の他の特徴とのみ関連付けて使用されると明白に指し示されていない限り、その様な特徴は、ここに開示されている何れの実施形態に関しても置き換え可能に使用でき、又は本開示の範囲に従って修正できる。詳細な説明及び添付図面は、従って、制限を課すものではなく単に例示とみなされるべきであり、全てのその様な修正又は変更が仮にあれば、それらは本開示の範囲内に含まれるものとする。
[0166]より厳密にいえば、本開示での例示としての実施形態をより詳しく説明してきたが、本開示はこれらの実施形態に限定されることはなく、当業者が以上の詳細な説明に基づいて認識し得る修正、省略、(例えば様々な実施形態に跨る態様の)組合せ、適合、及び/又は変更、を有するありとあらゆる実施形態を含む。特許請求の範囲の限界は、特許請求の範囲の中で用いられている用語遣いに基づき広義に解釈されるべきであり、以上の詳細な説明に記述されている例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的であるものと解釈されたい。また、ここに説明され及び/又は特許請求の範囲に記載されている何れの方法又はプロセスの、その中に記載されている何れの工程も、特許請求の範囲に別段の指定のない限り、何れの順序で実行されてもよく、特許請求の範囲に提示されている順序に限定されない。従って、本発明の範囲は、以上に与えられている説明及び解説によるのではなく、唯一、付随の特許請求の範囲及びそれらの法的等価物によって判断されるべきである。