JP5997099B2 - 車両用バンパ補強材 - Google Patents

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Description

本発明は、衝突時のエネルギ吸収性能が優れた軽量な車両用バンパ構造体に関し、バンパ補強材がアルミニウム合金押出形材(以下、単にアルミニウム合金押出形材とも言う)を基材とする車両用バンパ補強材(以下、単にバンパ補強材とも言う)に関するものである。
自動車などの車体の前端(フロント)及び後端(リア)に取り付けられているバンパの内部には、強度補強材としてのバンパ補強材(バンパリインフォースメントあるいはバンパアマチャアなどとも言う)が設けられている。
このバンパ補強材は、周知の通り、バンパと車体との間に、車体に対し略水平方向で車幅方向に対し平行に延在するように配置されている。そして、車両平面視における車体フロントのデザイン曲率に応じて、両端部の一部あるいは全体的に、フロント側であれば車体後方側に向かって湾曲しているのが一般的である。
このようなバンパ補強材には、地球環境への対応から更に車体を軽量化したいとの要望が強くなり、従来使用されていた鋼材に代わって、高強度アルミ合金製押出形材や超高張力鋼板が使用され始めている。
特にアルミニウム合金押出形材は、溶接などの接合を伴わずに、閉断面や開断面などの中空断面構造が形成可能であり、かつ、断面内の肉厚配分を変更できるなど、軽量化と曲げ強度向上の両面で優れた性質を有する。なお、アルミニウム合金押出中空形材からなるバンパ補強材は、長手方向(押出方向)に亘って、その口型などの断面形状が均一(一定、一様)である。
これらバンパ補強材は、フロントサイドメンバやリヤサイドメンバ等、車体前後方向の骨格部材の車体フレーム類(車体メンバ類)に直接、あるいはバンパステイなどの背面からの支持部材(車体連結用部材)を介して連結される。
バンパ補強材は、バンパと車体の間に延在して、車体の前方や後方からの衝突、あるいは前方や後方への衝突に対するエネルギ吸収部材を構成している。このため、エネルギ吸収部材としてのバンパ補強材には、車体の衝突によりバンパ補強材前面から加わった衝突エネルギを、自らのたわみ変形(長手方向の曲げ変形)および車体前後方向(水平な断面方向)の押しつぶれ変形(圧壊)により吸収し、車体を保護する性能が求められている。高強度な7000系アルミニウム合金押出中空形材からなるバンパ補強材は、特に、このような衝撃吸収特性(エネルギ吸収特性)に優れている。
例えば、その長手方向(車幅方向)中央部に衝突力を受けた際に、アルミニウム合金押出中空形材からなるバンパ補強材は、その曲げ変形により、両端部のステイ取付部(固定端)よりも中央寄りの部位が後方へとたわみ、このたわみ変形によって衝突エネルギを吸収する。ただ、この中央部でのたわみ変形が大きくなりすぎると、変形したバンパ補強材自体が、背面側あるいは後方側の車体に近づき、バンパ補強材後方側に位置するラジエータなどの機能部品と干渉し、これら部品が損傷する可能性が高くなる。このため、その長手方向(車幅方向)中央部に衝突力を受けた際にも、この中央部での変位(たわみ変形)が少なく、衝突エネルギを吸収することが望まれている。
また、車高の異なる車との衝突変形を考慮し、バンパ補強材の車両上下方向高さは高くなる傾向にあり、衝突面側フランジの幅厚比(フランジ幅/肉厚)が比較的大きくなっている。このように衝突面側フランジの幅厚比が大きくなると、衝突時のたわみ変形で座屈が生じやすくなり、変形荷重は急激に低下し、エネルギ吸収量が低下する。これを回避するために、バンパ補強材中央部では、フランジ中央を支持する、補強用の中リブの本数を増加させて、衝突面側フランジの幅厚比の増加を抑える必要がある。
このように、バンパ補強材の中央部と、それ以外の部位である両端部側などとでは、互いに異なる衝撃吸収性能が求められることが多い。このため、バンパ補強材を、その長手方向に亘って均一な断面形状とするのではなく、その長手方向において断面形状を連続的に変化させることにより、衝撃吸収性能を部位ごとに異なる特性を持たせるような設計も種々提案されている。
例えば、鋼板などのハット成形あるいはロール成形品で構成されたバンパ補強材の場合、長手方向に比較的簡単に断面形状を変化させることができる。そこで、これを利用して、開断面のハット型製品を対象とする構造が提案されている(特許文献1、2参照)。
ただ、これらのバンパ補強材は、開断面構造であるために、閉断面構造バンパ補強材に比べて衝突時に断面が開き変形しやすく、最大荷重到達後に変形荷重が急激に低下するために、エネルギ吸収性能が劣るという問題がある。
これに対して、閉断面型のバンパ補強材を対象とする場合、バンパ取付部の形状を基準断面とし、中央部を潰し加工してバンパ中央の断面係数を増加させることにより、中央部に衝突力が作用する場合の性能向上を図った事例が提案されている(特許文献3、4参照)。
これらの構造は、バンパ補強材の車両幅方向中央を車体上下方向からプレス成形することで、背面側フランジを断面外側に張り出すように成形したことを特徴としている。しかし、これによって衝突背面側に断面が張り出すことで、バンパ補強材の背面の空間が狭く、つまりエネルギ吸収に使える空間が狭くなるという問題があり、断面係数が増加するわりに効果は小さい。
この問題を解決するために、中央部を潰し加工してバンパ中央の断面を前側に張り出すことで、衝突背面側のストローク確保と断面係数の拡大を両立した構造も提案されている(特許文献5参照)。しかし、近年では、車高の異なる車同士の衝突で衝突性能を満足するために、バンパ補強材の車両上下方向高さも確保することが必要になってきており、これらの断面上下方向からの潰し加工を施した構造では、バンパ中央の車両上下方向高さが減少してしまうこと自体が問題になる。
また、部位ごとに異なる衝撃吸収特性を持たせるために、鋼板などの単一の金属板材を絞り加工して、中空断面を略B字形状となし、かつ、この略B字形状の断面形状が、バンパ補強材の長手方向で連続的に変化しているようなバンパ補強材も提案されている(特許文献6参照)。この文献では、バンパ補強材の中央部分と両端部とが最も幅狭な略B字形状となる一方で、両端部側のステイ取り付け部分が最も幅広な略B字形状となるよう、単一の鋼板が成形加工されており、さらに、このバンパ補強材が長手方向に亘って円弧状に湾曲するように加工されている。
特表2006−527122号公報 特表2005−500196号公報 特開2001−63495号公報 米国特許6343820 B1号公報 特許第4904334号公報 特許第4203266号公報
前記特許文献6のように、車幅方向中央部を略B型(B字型、B字状)の断面形状とすれば、車幅方向中央部に衝突力を受けた際に、中央部断面は、内部に中リブを有する目型断面形状となる。このため、車高の異なる車との衝突性能を満足するためにバンパ補強材の車両上下方向高さを高くした場合でも、この中リブにより衝突面側フランジを支持することが可能になり、衝突面側フランジの幅厚比を小さくすることで、衝突面側フランジの座屈を防止でき、車両幅方向中央部近傍に衝突力が作用する場合のエネルギ吸収性能を確保しやすくなる。
また、前記特許文献6のように、バンパ補強材の中央部分が最も幅狭な略B字形状とされつつ、その全長に亘って円弧状に湾曲していれば、その背面側の空間は広く、ラジエータなど機能部品との距離が長くなる。このため、バンパ補強材の中央部への衝突力によって、中央部が後方へとたわむ変形をした場合でも、機能部品との衝突や損傷を生じにくい。
ただ、前記特許文献6のような、同じ略B型(B字型、B字状)の断面形状の大きさ(幅)を、その長手方向において連続的に変化させたような、相似形の可変断面形状は、前記特許文献6に記載の通り、金属板とは言いつつ、成形性の良い鋼板でなければ成形が難しい。
また、前記特許文献6に示すような構造は、各断面の線長が長手方向で大きく変化している。板材から成形する場合には、各部の断面線長に応じて、初期ブランクの形状を設定し、成形後に接合することで対応できる。なお、前述したように、このような工程であっても、比較的成形性の良い鋼板が求められるのに対して、長手方向に均一な断面形状を有する閉断面の押出形材から成形する場合、成形後の接合などの手段によって、断面内での線長変化を吸収することができないため、どうしても断面内で大きな伸び変形が必要になる部位が生じる。特に、バンパ補強材向けの、高強度な(高硬度な)7000系アルミニウム合金では、比較的伸びが低いものが多く、長手方向への極端な断面変化を連続して設けることは事実上不可能といえる。
また、前記特許文献6のような、同じ略B型の断面形状の大きさを、その長手方向において連続的に変化させたような相似形の可変断面型では、その長手方向の両端部も当然略B型断面となる。ただ、このような略B型断面の両端部では、背面側(後面側)に略B型断面の凹凸を有し、平坦な接合面が小さくなる。このため、少なくともアルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材では、この背面側(後面側)から、特にアルミニウム合金製などのステイを充分な接合強度で接合させにくくなる。
本発明の目的は、その長手方向において断面形状を異形に連続的に変化させることが可能な、アルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材を提供することである。また、その長手方向における断面形状を異形に連続的に変化させることにより、部位ごとに異なる断面形状と、その断面形状からくる特性を持たせた、アルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明の車両用バンパ補強材は、中空断面を有するアルミニウム合金押出形材からなる車両用バンパ補強材であって、
前記中空断面が、一対の衝突面側フランジおよび背面側フランジと、これら一対のフランジ同士をつなぐ上ウエブおよび下ウエブとにより形成され、
この中空断面の形状が、前記バンパ補強材の長手方向で、その両端部の口型断面から、前記長手方向の中央部の略B型断面に至る異形断面形状に、連続的に変化しており、
この中空断面形状の変化が、差厚部位を有する前記背面側フランジと、前記上下ウエブとを前記中空断面内で前記長手方向に亘って順次変形させたものからなり、
この変形が、前記背面側フランジのうちで部分的に薄肉とされた中央部薄肉部を頂部とするとともに、この中央部薄肉部の両側に位置する上部と下部の中肉部とを各々側壁とする、前記衝突面側フランジに向かう凸部の形成と、この凸部が、前記長手方向の両端部から中央部に向かうほど、その断面形状と前記車両の前後方向の幅とを変化させつつ、前記衝突面側フランジに漸近することからなっていて、
前記長手方向の中央部では、前記凸部の頂部が前記衝突面側フランジに平行に延在するとともに前記衝突面側フランジの背面に接合される一方で、前記凸部の各側壁が、前記中空断面を3分割する位置に、前記上下ウエブに平行に延在する中リブとして各々形成されて、前記略B型断面をなしており、
前記バンパ補強材の前記背面側フランジが、肉厚t4の前記中央部薄肉部と、この中央部薄肉部より車両上側に延在する肉厚t3の上部中肉部と、この中央部薄肉部より車両下側に延在する肉厚t3´の下部中肉部との差厚部位からなるとともに、これら各部の肉厚が、t3´>t4、t3>t4の関係を各々有する一方で、前記上ウエブが、前記衝突面側フランジの側に延在する肉厚t1の上部衝突面側薄肉部と、前記背面側フランジの側に延在する肉厚t2の上部背面側厚肉部とからなるとともに、前記下ウエブが、前記衝突面側フランジの側に延在する肉厚t1′の下部衝突面側薄肉部と、前記背面側フランジの側に延在する肉厚t2′の下部背面側厚肉部との差厚部位からなり、これら各部の肉厚が、t2>t1、t2´>t1´、t2>t3、t2´>t3´の関係を各々有する、
ことである。
た、前記バンパ補強材の前記衝突面側フランジの肉厚t5が、上部中肉部の肉厚t3、下部中肉部の肉厚t3′に対して、t5>t3およびt5>t3′の関係を有していることが好ましい。
また、前記バンパ補強材の前記背面側フランジあるいは前記上下ウエブにおける前記差厚部位同士が肉厚の段差を有して接続されていることが好ましい。
また、前記バンパ補強材が7000系アルミニウム合金押出形材からなることが好ましい。
本発明によれば、アルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材の長手方向における断面形状と車両の前後方向の幅とを、異形断面に連続的に変化させることが可能となる。このため、衝撃吸収(エネルギ吸収)など、部位ごとに異なる断面形状と、その断面形状からくる特性を持たせることが可能である。
すなわち、前記バンパ補強材における長手方向の両端部は口型断面としたまま、その長手方向の中央部を略B型断面として、これら口型断面から略B型断面に至る異形断面形状に、中空断面の形状と車両の前後方向の幅とが、その長手方向で連続的に変化し、両端部側から中央部に向かうほど車両の前後方向の幅を減少させる異形断面形状とすることができる。これによって、衝撃吸収性能が部位ごとに異なる特性を持たせ、特に長手方向中央部の衝突背面側のストローク確保と、衝撃吸収性能を向上させることが可能となる。
この車両の前後方向の幅の変化によって、特にバンパ補強材中央部を幅狭として、衝突背面側のストロークを広げ、確保することができる。
また、前記凸部により長手方向中央部の衝突面側フランジを、略B型断面あるいは略目型断面として、補強用の中リブによって支持、補強することが可能となる。
また、本発明では、長手方向中央部のみの衝突面側フランジのみを、自身の背面側フランジを変形させた中リブによって、部分的に略B型断面あるいは略目型断面として補強することができ、目型あるいは田型断面よりも軽量な口型断面のアルミニウム合金押出中空形材を、バンパ補強材により活用することができる。
また、前記バンパ補強材における長手方向の両端部は口型断面としたままとすることによって、その両端部の背面側(後面側)に平坦な接合面が確保でき、車体取り付け用のステイを充分な接合強度で接合させることが可能となる。
本発明バンパ補強材の一つの実施形態を示す説明図である。 図1の長手方向の各部位における断面を示す断面図である。 本発明バンパ補強材の製作過程を示す説明図である。 本発明バンパ補強材の製作過程を示す説明図である。 本発明の他の実施形態を示す説明図である。 本発明の他の実施形態を示す説明図である。 本発明の他の実施形態を示す説明図である。
本発明車両用バンパ補強材の実施の形態について、以下に図を参照しながら詳述する。
図1は、本発明における車両のフロント側バンパ補強材にバンパステイ取付が完了した状態を示している。図1(a)は車両上方よりバンパ補強材を平面視したときの、長手方向中心部から右半分の部分断面図、図1(b)は図1(a)の端部におけるF−F断面図である。
図2は、図1(a)のバンパ補強材の長手方向の各部位の断面を各々示し、図2(a)は図1(a)のA−A断面、図2(b)は図1(a)のB−B断面、図2(c)は図1(a)のC−C断面、図2(d)は図1(a)のD−D断面、図2(e)は図1(a)のE−E断面を各々示す。
(中空断面形状)
図1の本発明車両用バンパ補強材1において、図2(e)に、図1の長手方向両端部の断面であるE−E断面で示す通り、素材のアルミニウム合金押出形材は、口型の中空断面からなっている。すなわち、素材アルミニウム合金押出形材は、本発明が規定する前記長手方向に異形の可変断面に成形される前は、その長手方向に均一な口型の形状の中空断面を有する。なお、本発明で言う中空断面、中空断面形状、あるいは、単に断面や断面形状とは、車両用バンパ補強材の長手方向に対して直角な方向の断面を言う。
図1では、図の左右側が車両の幅(車幅、車体幅)方向であり、図の上下側が車両の前後方向(フロントバンパ補強材の場合には上方向が車両の前方向)、図の前後側が車両の上下方向である。また、図2では、図の左右側が車体の上下方向であり、図の上下側が車両の前後方向(フロントバンパ補強材の場合には上方向が車両の前方向)、図の前後側が車両の幅方向である。
なお、図1では、車輌用バンパ補強材1の中央部から右半分側のみを示す。この場合、バンパ補強材1は、中心線を境に線対称な外形、構造を有している。したがって、車輌用バンパ補強材1の構造や車体への取り付け方、そして、特にバンパ補強材1の両端部側でのステイ9の形状、取りつけ構造、位置も、中心線を境に互いに線対称に同じ構造、形状をしている。
図1、2のフランジ3、4の配置につき、車輌用のフロント上ウエブ2及び下ウエブ2´場合には、フランジ4が車体前方側の衝突面側(前面側)フランジ、フランジ3が車体後方側の背面側(後面側)フランジとなる。また、ウエブ2が車両上側の上ウエブ、ウエブ2´が車両下側の下ウエブとなる。この図1、2において、バンパ補強材の中空断面は、車両幅方向に延在して配置される背面側フランジ3と、この背面側フランジ3に平行でかつ間隔をあけて配置される衝突面側フランジ4と、これら一対の両フランジ3、4同士を各々つなぎ、車両幅方向に互いに間隔をあけて平行に延在して配置される上ウエブ2及び下ウエブ2´により形成されている。
図2(e)に示す通り、バンパ補強材の両端部の中空断面(元の素材アルミニウム合金押出形材の中空断面)は、フランジ3、4に対して、ウエブ2、2´が各々直交している、矩形の口型閉断面形状を示している。ただ、これらが構成する中空断面(元の素材アルミニウム合金押出形材の中空断面)は、断面が概略中空形状でありさえすれば、閉断面や開断面であることを問わない。また、図1、2では、フランジ3、4と、これらのフランジ3、4同士を互いに連結する、四隅の肩R(曲率、コーナーRとも言う)がごく小さい、矩形(四角形)の断面形状を示しているが、このような矩形に限らず、いずれかの肩Rが大きい、略矩形断面形状や楕円形などの断面形状が用途や要求特性に応じて、適宜選択される。
(長手方向形状)
本発明の異形断面とされたバンパ補強材1は、その長手方向(図1の左右方向)に亘って、直線的であっても良いが、バンパ補強材1の両端部1cが、水平面内で車体側に曲げられた(曲げ加工された)形状とされていることが好ましい。これは、車体の設計やデザインなどからくる、バンパ補強材の取り付けスペースの制約のためである。その態様としては、図1(a)に示すように、両端部1c側が車体(車両)後方側あるいは車体側に向かって傾斜するように、その長手方向(図1の左右方向)に亘って全体が円弧状に湾曲するように、曲げ加工されていても良い。
また、図7に示すように、本発明の異形断面とされたバンパ補強材1の中央部1bを直線状として、その長手方向の両端部1c側を、円弧状あるいは傾斜させた形状とした態様としても良い。この図7も、図1(a)と同じく、図1(a)は車両上方よりバンパ補強材を平面視したときの、長手方向中心部から右半分の部分断面図である。
(フランジ、ウエブ)
個々のフランジ3、4、ウエブ2、2´は、図1、2のように、必ずしも平坦な面を有する平板あるいは板状体である必要はない。必要に応じて、後述する、部分的に厚みが異なるような差厚部位や、これら差厚部位同士の境界となる肉厚段差、更には凹凸面や曲線面、溝などの凹凸や模様を有するものが、バンパ補強材1の大きさや形状あるいは要求特性に応じて、適宜許容される。
また、フランジ3、4同士、ウエブ2、2´同士、更には後述する中リブ3a、3a′も、互いに厳密な意味で平行である必要はなく、概略平行あるいは概略断面が中空形状でさえあれば、例えば台形断面など、互いに多少とも傾斜しあう、あるいは互いに曲線的となっているなど、適宜の設計変更が、バンパ補強材1の大きさや形状、あるいは要求特性に応じて、設計上許容される。
図1、2において、中空断面の形状は、車輌用のフロントバンパ補強材の場合を想定して、衝突面側フランジ4や、背面側フランジ3の板の面積あるいは幅(高さ)を比較的大きくし、ウエブ2、2´の板の面積あるいは幅(高さ)を比較的小さくした長方形をしている。ただ、バンパ補強材の用途に応じて、これら板の面積あるいは幅(高さ)や、関係は適宜選択される。
(異形断面)
図1、2において、バンパ補強材1の中空断面は、バンパ補強材1の長手方向で連続的に変化している可変断面として異形断面形状を有する。この異形断面形状は、図2に示す通り、バンパ補強材1の長手方向で、その両端部1cにおける、図1(a)のE−E断面である、図2(e)の口型断面から、その中央部1bにおける、図1(a)のA−A断面である図2(a)の、略B型断面に至る異形断面形状に連続的に変化している。そして、両端部1cから中央部1bに向かうほど、バンパ補強材1の車両の前後方向の幅が減少し、車幅方向中央部1bではこの幅が最小となっている。
このような中空断面形状の連続的な変化は、後述する差厚部位を有する背面側フランジ3と、上下ウエブ2、2´とを、中空断面内で長手方向に亘って順次変形させたものからなっている。
この変形によって、背面側フランジ3が中空断面内で変形して衝突面側フランジ4の方(側)に向かう突出部としての凸部5が形成されている。すなわち、背面側フランジ3のうちで部分的に薄肉とされた中央部薄肉部3bを頂部とするとともに、この中央部薄肉部3bの両側に位置する上部と下部の中肉部3a、3a´とを各々側壁とする、衝突面側フランジ4に向かう凸部5が形成されている。
また、この変形は、凸部(突出部)5が、図2(e)から、図2(d)、図2(c)、図2(b)、図2(a)に順に至るように、バンパ補強材1の長手方向の両端部1cから中央部1bに向かうほど、その断面形状を変化させつつ衝突面側フランジ4に漸近(順次接近)していくことからもなっている。
凸部5は、その断面形状が、中央部の図2(a)に至るほど変形が進んで、図の上下方向における、その頂部(薄膜中央部)3bの高さが高く、側壁(上部と下部の中肉部)3a、3a´の長さが長くなっている。同時に、凸部5の頂部3bが、衝突面側フランジ4に対して、平行に延在しつつ徐々に近接するとともに、凸部の各側壁3a、3a´が、中空断面を3分割する位置になって、上下ウエブ2、2´と平行に延在するよう変形していく。
ここで、図2(e)に示す通り、両端部の中空断面はそのまま変形せずに、元の素材アルミニウム合金押出形材の中空断面である口型断面形状を保持している。
この変形によって、バンパ補強材1の長手方向の中央部1bでは、凸部5の頂部3bが衝突面側フランジ4に平行に延在するとともに衝突面側フランジ4の背面(裏面)に近接あるいは接触して、6の×印で示す通り、溶接などによって接合される。その一方で、凸部5の各側壁3a、3a´は、中空断面を3分割する位置に、上下ウエブ2、2´に平行に延在する中リブとして各々形成されて、略B型断面をなしている。
なお、本発明で言う平行とは、厳密な意味での平行というだけではなく、凸部5の頂部3bが衝突面側フランジ4背面へ接合できる範囲や、各側壁3a、3a´が補強用の中リブとして機能する範囲で、若干の傾きがあるような、概略並行な場合を含む。また、本発明で言う略B型断面とは、別の表現としては目型断面とも言え、Bや目の字に近似あるいは相似する断面形状を包含する表現である。すなわち、図2(a)に示す通り、バンパ補強材1の長手方向の中央部1bの断面形状として、凸部5の各側壁3a、3a´によって、元の口型の中空断面が3分割された上で、衝突面側フランジ4、上ウエブ2、凸部5の側壁3aと、衝突面側フランジ4、下ウエブ2´、凸部5の側壁3a´によって形成された二つの中空部分を、車体の上下方向に並べて配置した断面形状のことを言う。
このような差厚部位を有する背面側フランジ3と、上下ウエブ2、2´との、元の口型の中空断面内での、バンパ補強材1の長手方向に亘って連続する変形や凸部5の形成によって、バンパ補強材1の車両前後方向の幅も両端部1c側から中央部1bに至るほど小さくなるように連続的に変化する。
この変化について、図1、2に示す通り、バンパ補強材1の車両前後方向(図1、2の上下方向)の幅は、両端部1c側から中央部1bに至るほど小さくなるように連続的に変化している。すなわち、バンパ補強材1の両端部1c側は、元の素材アルミニウム合金押出形材の口型断面の形状を保持しているので、図2(e)のように最も幅が広い。これに対して、バンパ補強材1の中央部1b側は、図2(a)のような、中空断面内での変形によって完成された略B型断面をなしているため、その幅は最も小さくなる。
ちなみに、前記変形が、元の口型の中空断面内ではなく、部分的にせよ、この口型中空断面の領域あるいは位置から外にはみ出すように変形する場合には、バンパ補強材1のエネルギ吸収特性を低下させるような問題が生じやすい。このような中空断面外となる変形として、例えば、上下ウエブ2、2´の中間部分が車両上下方向にはみ出すように中空断面外に変形する場合が想定される。この場合には、上下ウエブ2、2´の中空断面外への折曲がり変形が顕著になるほど、バンパ補強材断面の圧壊変形強度が低下し、これに伴って衝突時のエネルギ吸収量が低下するため、バンパ補強材1の中央部などの変形ストロークが却って増加して、衝突時に背面側部品を損傷する可能性が生じる。
(異形断面効果)
以上の通り、本発明では、アルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材1の長手方向における、断面形状と車両の前後方向の幅とを、異形断面として、連続的に変化させている。このように、車両用バンパ補強材1の長手方向における断面形状を異形に連続的に変化させたことにより、衝撃吸収(エネルギ吸収)やステイの取り付け性や接合性など、部位ごとに異なる断面形状と、その断面形状からくる特性を持たせることが可能である。
長手方向に均一な口型断面形状を有するアルミニウム合金押出中空形材は、元々衝撃吸収性能(エネルギ吸収性能)が優れる。本発明によれば、このように優れた衝撃吸収性能を有する口型断面形状のアルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材1を、従来は困難であった、口型断面形状から略B型断面形状と、その長手方向で連続的に変化している異形断面形状として、その性能を向上させることができる。
すなわち、バンパ補強材1における長手方向の両端部1cは口型断面としたまま、その長手方向の中央部1bを略B型断面として、これら口型断面から略B型断面に至る異形断面形状に、中空断面の形状と車両の前後方向の幅とが、その長手方向で連続的に変化した異形断面形状とすることができる。これによって、衝撃吸収性能が部位ごとに異なる特性を持たせ、特に長手方向中央部の衝突背面側のストロークを広げ確保することや、衝撃吸収性能を向上させることが可能となる。
また、このような中空断面の形状と車両の前後方向の幅とが、その長手方向で連続的に変化した異形断面形状(構造)は、後述する差厚部位を有する背面側フランジ3と、上下ウエブ2、2´とをプレス成形加工することによって、簡便に形成できる。
そして、この車両の前後方向の幅の変化、すなわちバンパ補強材1の両端部1cから中央部1bに向かうほど、車両の前後方向の幅を減少させることによって、特にバンパ補強材中央部1bを最も幅狭とする。これによって、衝突背面側のストロークが確保されることで、バンパ補強材1の背面側の空間を広くできる。このため、中央部1bに衝突力が作用して、中央部がたわみ変形(曲げ変形)する場合であっても、背面側に配設されたラジエータなど機能部品の損傷を生じにくい。また、バンパ補強材1の背面側の空間を広くできることが、その分のたわみ変形しろ(曲げ変形しろ)の確保にもつながり、エネルギ吸収性能が向上する。
また、車高の異なる車との衝突性能を満足するために、バンパ補強材1の車両上下方向の高さ(図1の図の前後方向、図2の図の左右方向の長さ)を高くした場合でも、凸部5により中央部1bの衝突面側フランジ4を、略B型断面あるいは略目型断面として、補強用の中リブ3a、3a′によって支持、補強することが可能となる。これによって、衝突面側フランジ4の幅厚比を小さくすることで、衝突面側フランジ4の座屈を防止でき、車幅方向中央部1bに衝突力が作用する場合の、エネルギ吸収性能を確保しやすくなる。
本発明では、中央部1bのみの衝突面側フランジ4を、自身の背面側フランジ3などを変形させた中リブ3a、3a′によって、部分的に略B型断面あるいは略目型断面として補強することができる。また、バンパ補強材1の中央部1bでは、衝突面側フランジ4に凸部5が近接することにより、上下両ウエブ2、2´の上下部背面側厚肉部2a、2a´が、図2(a)に示す通り、バンパ補強材1の背面側フランジとして位置する。これによって、中央部1b断面の断面係数を比較的高くすることができる。
したがって、その全長に亘って目型あるいは田型断面のように、補強用の中リブを設けた、従来のアルミニウム合金押出中空形材を用いる場合に比して、重量を減らすことができる。また、断面係数拡大への寄与が小さい中リブ部3a、3a´及び衝突面側フランジ4の接合フランジ面7は、比較的薄肉にすることにより、効率的に軽量化できる。これによって、目型あるいは田型断面よりも軽量な、口型断面のアルミニウム合金押出中空形材のバンパ補強材への活用や適用を、目型あるいは田型断面の適用に代わって、大きく広げることができる。
また、バンパ補強材1における長手方向の両端部1cは口型断面としたままとすることによって、その両端部1cの背面側(後面側)に平坦な接合面が大きく確保できる。このため、アルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材1では、この背面側(後面側)から、特にアルミニウム合金製などのステイ9を充分な接合強度で、簡便に接合させることが可能となる。更に、この両端部1c側の断面形状は、中リブの無い口型断面となるので、曲げ変形時の座屈が生じやすくなってはいるものの、両端部1c側では、バンパ補強材1あるいはステイ9の圧壊変形で、負荷される衝突エネルギを吸収することになるので、これによる不利益はほとんどない。
(バンパ補強材各部位の厚み)
本発明でのバンパ補強材各部位の厚みは、後述する部位同士の差厚関係も考慮すると、フランジ4、3の肉厚範囲として、2〜10mmの範囲から選択されることが好ましい。フランジ4、3の肉厚は同じとする必要がなく、衝突面側のフランジ4を厚く、背面側のフランジ3を薄くしても良い。このようなフランジ2、3の肉厚に対して、ウエブ2、2′の肉厚は、フランジ4、3の肉厚と同じか、より薄くしても、また、より厚くしても良いが、前記フランジ4、3の肉厚範囲から選択することが好ましい。このように、部位に応じて肉厚(板厚)を自由に変えられることも、バンパ補強材が、中空断面のアルミニウム合金押出形材からなることの大きな利点である。
但し、これらの肉厚に関し、本発明では、バンパ補強材(素材アルミニウム合金押出形材)の中空断面形状を、例えば口型などの元の断面形状から、前記略B型断面形状などに、前記バンパ補強材の長手方向で連続的に変化させる、異形断面での可変断面形状に成形加工する必要がある。このためには、個々のフランジ3、4、ウエブ2、2´が、各々その部位(場所)に寄らず均一な厚みとなっているのではなく、部位(場所)によって、その厚みが各々異なる差厚化されている(差厚部位からなる)とともに、その差厚の(肉厚の)異なり方に一定の関係があることが好ましい。
(背面側フランジ3の差厚化)
背面側フランジ3は、プレス成形によって変形して、凸部5を形成する重要部位となる。バンパ補強材1(素材アルミニウム合金押出形材)の中央部1bの中空断面形状が口型断面形状から略B型断面形状になるように、背面側フランジ3を、両端部1c側から順に、断面形状が異なる凸部5形状に成形するためには、プレス成形によって、背面側フランジ3が途中から2箇所折れ曲がるような変形をする必要がある。このような折れ曲がり変形のためには、前提となる前記肉厚範囲を満足した上で、最低限、背面側フランジ3の中央部3bが、前記凸部の成形が可能なだけ、部分的に薄肉化されることが必要である。この部分的な薄肉化とは、極端には切り欠きに近いような、断面視での長さが短い、点状のような薄肉部であっても、そこを起点に折れ曲がり変形が生じるので、これを含む、折れ変形の起点となる薄肉部、すなわち差厚部位(好ましくは後述する肉厚段差)が設けられている必要がある。
背面側フランジ3の中央部3bが薄肉化されず、背面側フランジ3がその部位に亘って同じ肉厚を有している場合には、はっきりした折れ変形の起点が無いため、フランジ全体に変形が生じることで、接合部6のフランジ面やウエブ面3a、3a´の平坦度が確保しにくい。このため、成形後の製品強度が低下したり、接合面の確保などの点で問題が生じることになる。
そして、特にバンパ補強材が高強度な(高硬度な)7000系アルミニウム合金からなる場合や、前記バンパ補強材に特有の厚肉な仕様では、曲げ加工時の材料抵抗が大きく、シャープな曲げ半径での加工が難しい点も問題である。
このため、両端部1cでの高さが低い(凹凸が小さな)凸部5形状にプレス成形することができたとしても、特に中央部1bの凸部5を、略B型断面形状にプレス成形することが困難となる。
前記異形断面形状へのプレス成形によって、背面側フランジ3が途中から2箇所折れ曲がるような変形をするためには、背面側フランジ3の好ましい差厚部位の態様としては、図2に示す通り、バンパ補強材1の背面側フランジ3が、その車両上下方向の長さが3分割される形で差厚化されていることが好ましい。図2では、背面側フランジ3は、肉厚t4の中央部薄肉部3bと、この中央部薄肉部3bより車両上側に延在する肉厚t3の上部中肉部3aと、この中央部薄肉部3bより車両下側に延在する肉厚t3´の下部中肉部3a´とからなる。ここで、これら各部の肉厚の関係は、当然ながら、t3´>t4、t3>t4となる。
背面側フランジ3の車両上下方向の3分割される、これら中央部薄肉部3b、上部中肉部3a、下部中肉部3a´の各部位の長さの割合は、衝突面側フランジ4やバンパ補強材1の中空断面を3分割する分割割合、すなわち側壁あるいは中リブとして衝突面側フランジ4を補強する位置によって決まる。そして、この位置は、バンパ補強材1の車両上下方向の高さや衝突面側フランジ4の幅厚比によって定まり、車幅方向中央部1bに衝突力が作用する場合に要求されるエネルギ吸収性能からも設計される。凸部5において、側壁となる上部及び下部中肉部3a、3a´が、衝突面側フランジ3や中空断面を、車両上下方向に3分割する中リブとして形成されていれば、平均的に衝突面側フランジ4の幅厚比を低くすることが可能となり、部品重量の増加を抑えて、より効果的な座屈防止が可能となる。
この点、このような効果を最大限発揮させるためには、衝突面側フランジ4やバンパ補強材1の中空断面を3等分あるいはこれに近い割合に分割する割合が好ましい。このため、これら中央部薄肉部3b、上部中肉部3a、下部中肉部3a´の各部位の長さも、これに応じて、3等分あるいはこれに近い割合に分割することが好ましい。
(上下ウエブ2、2´の差厚化)
一方、背面側フランジ3だけの差厚化でもプレス成形は可能ではあるが、成形性の向上のために、背面側フランジ3だけでなく、上下ウエブ2、2´も、前提となる前記肉厚範囲を満足した上で、差厚部位からなることが好ましい。上下ウエブ2、2´も、プレス成形によって、背面側フランジ3とともに、その途中から折れ曲がり変形して、凸部5を形成するための背面側を形成する必要がある。すなわち、バンパ補強材1(素材アルミニウム合金押出形材)の中央部1bの中空断面形状が口型断面形状から略B型断面形状になるように、背面側フランジ3を、両端部1c側から順に、断面形状が異なる凸部5形状にプレス成形するために、上下ウエブ2、2´も、背面側フランジ3による凸部5の成形を可能とする、途中から折れ曲がり変形することが必要である。そして、この途中からの折れ曲がり変形のために、上下ウエブ2、2´が部分的に薄肉化されており、折れ変形の起点となる差厚部位(好ましくは後述する肉厚段差)が形成されていることが好ましい。
この点で、図2では、上ウエブ2も、衝突面側フランジ4の側に延在する肉厚t1の上部衝突面側薄肉部2bと、背面側フランジ3の側に延在する肉厚t2の上部背面側厚肉部2aとの差厚部位からなる。また、下ウエブ2′も、衝突面側フランジ4の側に延在する肉厚t1′の下部衝突面側部2b′と、背面側フランジ3の側に延在する肉厚t2′の下部背面側厚肉部2a′との差厚部位からなる。これら各部の肉厚は、t2>t1、t2´>t1´の関係を各々有する。
上ウエブ2の衝突面側フランジ4側の上部衝突面側薄肉部2bや、下ウエブ2′の、衝突面側フランジ4側の下部衝突面側薄肉部2b′は、凸部5の形成時のフランジ3の折れ変形に伴い、2aあるいは2a′との差厚部位を起点として容易に折れ変形が生じる。そして、この折れ変形により凸部5の背面側を形成しやすくする。更に、これら上下ウエブ2、2´に設けられた差厚部位や、後述する肉厚段差部15によって、これらを起点とする曲げ変形が生じることで、この両端部1c側の断面形状は、中リブの無い口型断面となるので、曲げ変形時の座屈が生じやすくなってはいるものの、効率的にエネルギを吸収することができ、口型断面による不利益はほとんどない。
一方、上ウエブ2の背面側フランジ3の側に延在する肉厚t2の上部背面側厚肉部2a、下ウエブ2′の背面側フランジ3の側に延在する肉厚t2′の下部背面側厚肉部2a′は、バンパ補強材1の中央部1bでは、図2(a)に示す通り、端部側での背面フランジ3に代わって、凸部5の両側で、背面フランジを形成している。このため、部品重量をあまり増加させずに、バンパ補強材1の中央部1bでの曲げ強度を効率的に向上するためには、中立軸から遠い、衝突面および背面側の肉厚を厚くする必要があり、2aおよび2a´部については背面フランジとして、厚肉化している。ここで、特に端部側断面に対して曲げ強度に対する要求が強い中央部断面近傍での断面係数確保を目的とすると、端部側での背面フランジ3(側壁3a、3a′)の肉厚t2よりも厚い、t2>t3、t2´>t3´の関係を各々有することが好ましい。
上下ウエブ2、2´が薄肉部をもたずその部位に亘って同じ肉厚を有している場合には、背面フランジ3を同板厚で構成した場合と同様に、はっきりした折れ変形の起点が無いため、ウエブ全体に変形が生じ、ウエブ面の平坦度が確保しにくい。このため、成形後の製品強度が低下したり、他部品との接合面確保などの点で問題が生じることになる。
そして、特にバンパ補強材が高強度な(高硬度な)7000系アルミニウム合金からなる場合や、前記バンパ補強材に特有の厚肉な仕様では、曲げ加工時の材料抵抗が大きく、シャープな曲げ半径での加工が難しい点も問題である。
(衝突面側フランジの肉厚関係)
バンパ補強材1の衝突面側フランジ4の肉厚t5については、その圧壊強度を確保する意味から、背面側フランジ3の上下部中肉部3a、3a′の肉厚t3、t3´に対し、t5>t3およびt5>t3′の関係を有していることが好ましい。また、この関係に、背面側フランジ3の中央部薄肉部3bの肉厚t4を入れて、t5>t3>t4または/及びt5>t3′>t4であることが好ましい。
衝突面側フランジ4は、バンパ補強材1の長手方向の位置によらず、常に衝突変形時の曲げ変形に対して、中立軸から遠い位置に配置される部位に当たる。このため、この衝突面側フランジ4の肉厚t5の厚肉化により、効率的な断面係数の拡大を図り得る。そして、このような肉厚構成を採ることで、衝突力の作用時の曲げ中立軸は、中空断面の中心から衝突面フランジ4側に移動することになり、たわみ変形に伴い衝突面側に作用する圧縮力自体も小さくなり、更に座屈が生じにくくなるという点で有利になる。
また、図2における成形後の(潰し加工後の)バンパ補強材1の長手方向の中央部断面形状では、その曲げ強度をできるだけ高くするために、中空断面の衝突面側フランジ4および背面側フランジ3に厚肉部を設け、これらをつなぐウエブ2、2´はそれに比べて薄肉とし、そして衝突面側フランジ4に接合される背面側フランジ3の凸部(突出部)5の肉厚が最も薄くなる方が、部分的な厚肉化による重量増加に対して、曲げ強度を効率的に高く出来る。
(肉厚段差)
バンパ補強材1の背面側フランジ3あるいは上下ウエブ2a、2a′における、前記差厚部位同士が、肉厚の段差15を有して(介して)接続されていることが好ましい。この肉厚の段差15は、図2の各図に示す通り、肉厚が異なる互いの部位同士の境界としての、急激な(急峻な)板厚差を有する各部位の平坦面に対して略直角あるいは立ち上がり角度が急な段差(差厚段差部)である。このような段差には、前記した、切り欠きに近いような、断面視での長さが短い、点状のような薄肉差厚部位も含みうる。
このような各段差15を設けることによって、図2の各図に示す通り、異形断面形成のための、これらの部位のプレス成形の際に、これらの段差部分(途中部分)で、各部位の途中での折れ曲がり変形が生じやすくなって、凸部5や略B型断面形状の成形が一層容易となる効果がある。この効果は、バンパ補強材が高強度な(高硬度な)7000系アルミニウム合金からなる場合や、前記バンパ補強材に特有の厚肉な仕様で、特に材料抵抗が大きくなる場合に大きい。これに対して、差厚部位同士を、このような肉厚の段差がなく、互いの肉厚(板厚)を徐々になだらかな勾配で変化させて接続すると、このような効果はなくなる。
このような厚みの段差(板厚差)を設けるのは、背面側フランジ3における上部及び下部中肉部3a、3a´各々の肉厚t3、t3´と中央部薄肉部4bの肉厚t4の肉厚差の各境界部分、あるいは上下両ウエブ2、2´における上下部背面側厚肉部2a、2a´各々の肉厚t2、t2´と上下部衝突面側部2b、2b´各々の肉厚t1、t1´の各肉厚差の境界部分とする。
(異形断面の成形方法)
以下に、本発明バンパ補強材を得るために、差厚部位を有する背面側フランジ3と、上下ウエブ2、2´とを、元の口型の中空断面内で、バンパ補強材1の長手方向に亘って連続する変形や凸部5を形成する、成形方法を図3、4を用いて詳述する。
図3は、前記図1、2と同じ口型素材アルミニウム合金押出中空形材のプレス成形方法を示している。このうち、図3(a)は、前記図1、2で示したバンパ補強材の要件として、必須あるいは好ましい肉厚関係や部位を全て有する、前記図1、2と同じ(同じ口型断面形状条件を備えた)素材アルミニウム合金押出中空形材の断面を示している。また、図3(b)は、このアルミニウム合金押出形材1aをプレス成形装置に装着した状態を、押え型を省略し、図1と同じ平面視にて示している。図3(c)は図3(b)の素材アルミニウム合金押出中空形材中央部のX−X断面図である。
図4は、図3(b)に続いて、素材アルミニウム合金押出中空形材1aをプレス成形している工程を示す平面図であり、図4(d)はプレス成形前半工程、図4(e)はプレス成形後半工程を各々示す。
先ず、図3(b)、(c)に示す通り、素材中空形材1aの開口部に、芯金11、11を差し込むとともに、プレス装置の押え型12を、素材中空形材1aの衝突面側フランジ4及び上下ウエブ2、2´の外面に装着する。そして、プレス装置のラム先端に取り付けられたパンチ13により、素材中空形材1aの長手方向中央部において、背面側フランジ3側から、上向きの矢印で示すように、図の上方向に向けてプレス成形する。
ここで、パンチ13は、X−X断面においては図3(c)に示す如く、背面側フランジ3の中央部薄肉部3bの幅と略同一幅を有する先端部13aと、背面側フランジ3の全幅より若干小幅な本体部13bからなる。そして、図3(b)に示す如く、その先端部13a及び本体部13bともに、素材中空形材1aの長手方向中央部が、所定幅だけ衝突面側に突出し、両端に向かうほど背面側に後退する形状を有している。
この様な形状を有するパンチ13を、背面側フランジ3側からプレスすることによって、図4(d)に示す通り、素材押出中空形材1aの端部側1cは成形せずに口型のままとする一方、長手方向中央部1bに向かう部位を成形する。すなわち、パンチ13の先端部13aが、背面側フランジ3や上下ウエブ2、2´を、車両前方側(図の上側)方向へ、中空断面内で変形させて(折り曲げ変形させて)、中央部薄肉部3bを頂部とする車両前方向きの凸部(突出部)5が形成される。同時に、アルミニウム合金押出形材1aの長手方向両端部1cから中央部1bに向かうほど幅狭(幅が減少する)となる、前記図2に示した、口型断面から略B型断面に至る異形断面が連続的に形成される。
このような成形の終了後に、図4(e)に示す通り、成形されたバンパ補強材1(あるいは押出中空形材1a)を、一旦プレス成形装置から取り出して、長手方向中央部において凸部5が形成された中央部薄肉部3bの複数個所を、衝突面側フランジ4に溶接接合(接合部6)して接合フランジ面7を形成する。また、更に、このバンパ補強材1(あるいは押出中空形材1a)、その長手方向に湾曲面が形成された押え型を装着したプレス成形装置(図示省略)にセットして、パンチ13を衝突面側にプレスする。これによって、図4(e)に示すように、その長手方向中央部1bを頂点として、両端部1cに至るに従って、背面側に後退する湾曲形状が賦与された、車両用バンパ補強材1が得られる。
このようにして形成された車両用バンパ補強材1によれば、その両端部1cから中央部1bに向かうほど車両の前後方向の幅が減少して、この幅が最小となった車幅方向中央部1bでは、背面側フランジ3の中央部薄肉部3bを頂部とする車両前方向きの凸部5が形成されている。そして、この中央部薄肉部3bが衝突面側フランジ4に溶接接合されている構造になり、バンパ補強材1の車幅方向中央部断面は、図4(a)に示す如く、内部に凸部5を形成する背面フランジ3の上下中肉部3a、3a´が、2本の中リブとして、略B型断面形状あるいは略目型断面形状を形成している。すなわち、バンパ補強材1の車幅方向(長手方向)の中央部1bの衝突面側フランジ4は、この凸部5によって背面側から補強されていることになる。
このため、車高の異なる車との衝突性能を満足するためにバンパ補強材1の車両上下方向の高さを高く(大きく)した場合でも、2本の中リブ3a、3a´により衝突面側フランジ4を支持することが可能になる。その結果、衝突面側フランジ4の幅厚比を小さくすることで、衝突面側フランジ4の座屈を防止でき、中央部1bに衝突力が作用する場合のエネルギ吸収性能を確保しやすくなる。
凸部5は、前記した通り、プレス成形を行うことで容易に形成が可能であり、このようにプレス成形で凸部5を形成することで、この凸部5が形成された部位の断面係数は低下するものの、その背面側の空間は広く、ラジエータなど機能部品との距離が長くなる。このため、バンパ補強材1の中央部1bに衝突力が作用する場合であっても、中央部1bの変形ストロークが確保され、背面側の機能部品の損傷を生じにくい。
本発明は、従来からある断面係数増大により部材の曲げ強度を高くして衝突ストロークを短くするような対策ではなく、逆に曲げ強度を低くしても、背面側の空間を大きくとり、たわみ変形自体は大きくなるものの衝突までの距離を稼ぐことで、衝突性能の低下を防止するように対策している。これにより、断面係数を小さく設定できるために、従来構造に比べて部品自体の重量を軽くできる。
(アルミニウム合金)
アルミニウム合金は、その強度を高くして、各部位の肉厚を薄くすることによって、バンパ補強材1の重量を軽くし、かつエネルギ吸収特性を向上させるという観点から選択される。この観点によれば、本発明バンパ補強材(素材押出中空形材)に使用するアルミニウム合金は、6000系や5000系アルミニウム合金でも良い。ただ、JIS規格およびAA規格に規定された範囲の、Al−Zn−Mg系組成あるいはAl−Zn−Mg-Cu系組成からなる、より高強度な7000系アルミニウム合金からなることが好ましい。このアルミニウム合金からなる押出中空形材は、熱間押出後に溶体化処理および焼き入れ処理(質別記号T4)やその後の時効処理(質別記号T6)、過時効処理(質別記号T7)などが施されて、車両用バンパ補強材の素材として用いられる。
因みに、本発明バンパ補強材(素材押出中空形材)への耐食性付与などの表面処理は不要であるが、他の鋼製や鉄製の自動車部材と接合される場合には、異材同士の電位差による電食の防止のために、接合部に樹脂(接合を兼ねた樹脂でも可)を介在させて、アルミと鋼や鉄とを絶縁すること、あるいは鋼材にダクロ処理などの表面処理を追加することが望ましい。
(バンパ補強材の車両取り付け)
以上のようなバンパ補強材1を車両に取り付けるには、図2(e)に示す口型断面の形状を保持して、溶接などによる接合強度を得るための広い平坦面が確保された、図1の両端部側1cの背面側フランジ3に、バンパステイ9を接合すれば良い。
図1の実施態様では、両端部側1cの衝突面側フランジ4と背面側フランジ3とを貫通する貫通孔14を設けて、この貫通孔14に、バンパステイ9を貫通させている。そして、衝突面側フランジ4の表面(前面)側に前部フランジ9aを溶接接合している。その一方で、背面側フランジ3側の裏面にも後部フランジ9bを溶接接合して取り付けている。
ここで、図1(b)は、アルミニウム合金押出中空形材からなるバンパステイ9の、前部フランジ9aと後部フランジ9bの形成と、ステイ9の衝突面側フランジ4の表面(前面)側への加締接合とを同時に行う方法を示している。すなわち、貫通孔14に筒状のバンパステイ9を貫通させた後に、ステイの内部(空間)に電磁コイルを挿入した上で、このコイルに通電して電磁力を発生させる電磁成形によって拡管成形された、ステイ9の態様を示している。これによれば、ステイ9の拡管成形によって、前部フランジ9aと後部フランジ9bの形成と、ステイ9の衝突面側フランジ4の表面(前面)側への加締接合とを同時、あるいは順次行うことができる。このように、ステイ9をバンパ補強材1の少なくとも衝突面側フランジ4に加締接合してバンパ補強材1に固定するのが、コスト面や溶接熱影響回避の点から最も望ましい。
このような車両用バンパ補強材1を車両に取り付けるには、更に、図2(e)に示すように、背面側フランジ3及び衝突面側フランジ4の両端部に各々取付孔8a、8bを形成して、車両前後方向を押出方向とする、閉断面形状のアルミニウム合金押出形材からなるバンパステイ9が、図3に示すように接合される。その際、このバンパステイ9には、衝突面側の一端に前部フランジ9aが溶接接合されており、この前部フランジ9aが接合されたバンパステイ9を、バンパ補強材1の両端部に形成された取付孔8a、8bに衝突面側から貫通した後、背面側のバンパステイ9の他端に、後部フランジ9bを溶接接合して取り付ける。
その後、図3(b)に示す如くこのバンパステイ9を内部から拡管して、バンパ補強材1の少なくとも衝突面側フランジ4に加締接合してバンパ補強材1に固定するのが、コスト面や溶接熱影響回避の点から最も望ましい。この態様では、ステイ9がバンパ補強材1と同じ車体前面側に一体に位置しており、バンパ補強材1とともに、あるいは同時に、効率的に衝突エネルギを吸収できる。すなわち、バンパ補強材1の端部側に衝突力が作用した場合、この衝突力は衝突面側フランジ4を介して、あるいは介さずに直接ステイ9に作用するため、このステイ9自体の長手方向(車両前後方向)の圧壊変形により、効率的にエネルギを吸収できる。また、本構造は、バンパ補強材1を貫通するようにステイ9を配置することにより、図示しない後面側のサイドメンバの空間が短くても、このサイドメンバとバンパ補強材1とを、ステイ9を介して容易に接合することができる。
図5、6に、バンパ補強材1へのバンパステイ9の取付け方の他の態様を示す。
図5(a)は、図1(a)と同じく、図1(a)は車両上方よりバンパ補強材を平面視したときの、長手方向中心部から右半分の部分断面図である。図5(b)は(a)のG−G断面図である。また、図6は、図1(a)と同じく、図1(a)は車両上方よりバンパ補強材を平面視したときの、長手方向中心部から右半分の部分断面図である。図6(b)は(a)のH−H断面図である。
図5の態様では、バンパ補強材1の背面側フランジ3にのみ取付孔8bを形成して、ステイ9を取り付けている。すなわち、この取付孔8bをバンパ補強材1の両端まで延長して、端部まで背面側に開放された孔としている。その上で、前部フランジ9a及び後部フランジ9が接合されたバンパステイ9を、取付孔8bの背面側から、この開放孔に差し込んで、バンパ補強材1の衝突面側フランジ4に、前部フランジ9aをボルト接合10により取り付けている。
図6の態様では、背面側フランジ3にステイ9の取付孔を設けず、ステイ9の前部フランジ9aを、図6に示す如く車両前方側に折り返して、コ状断面を有する受面を形成し、この受面に背面側フランジ3を載置する。そして、折り返されたフランジ9a、9a及びバンパ補強材1の上下ウエブ2、2´にボルト孔を形成して、折り返されたフランジ9a、9aの外側からボルトを差し込んで、バンパ補強材1端部から上下ウエブ2、2´を介して、バンパ補強材1の中空断面内に挿入したボルト10により機械的に接合している。
以上の通り、本発明によれば、その長手方向において断面形状を異形に連続的に変化させることが可能な、アルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材を提供できる。また、その長手方向における断面形状を異形に連続的に変化させることにより、部位ごとに異なる断面形状と、その断面形状からくる特性を持たせた、アルミニウム合金押出中空形材からなる車両用バンパ補強材を提供できる。したがって、目型あるいは田型断面のアルミニウム合金押出中空形材よりも軽量化で、同程度のエネルギ吸収特性が求められるバンパ補強材に好適である。
1:車両用バンパ補強材、1a:アルミニウム合金押出中空形材、2:上ウエブ、2′:下ウエブ、2a:上部背面側厚肉部、2a′:下部背面側厚肉部、2b:上部衝突面側部、2b′:下部衝突面側部、3:背面側フランジ、3a:上部中肉部(中リブ)、3a′:下部中肉部(中リブ)、3b:中央部薄肉部、4:衝突面側フランジ、5:凸部、6:溶接接合、7;接合フランジ面、8a、8b:取付孔、9:バンパステイ、9a:前部フランジ、9b:後部フランジ、10:ボルト接合、11:芯金、12:押え型、13:パンチ、13a:先端部、13b:本体部、
t1:(上ウエブの)上部衝突面側部肉厚、t1′:(下ウエブの)下部衝突面側部肉厚、t2:(上ウエブの)上部背面側厚肉部肉厚、t2′:(下ウエブの)下部背面側厚肉部肉厚、t3:(背面側フランジの)上部中肉部肉厚、t3′:(背面側フランジの)下部中肉部肉厚、t4:(背面側フランジの)中央部薄肉部肉厚、t5:衝突面側フランジ肉厚

Claims (4)

  1. 中空断面を有するアルミニウム合金押出形材からなる車両用バンパ補強材であって、
    前記中空断面が、一対の衝突面側フランジおよび背面側フランジと、これら一対のフランジ同士をつなぐ上ウエブおよび下ウエブとにより形成され、
    この中空断面の形状が、前記バンパ補強材の長手方向で、その両端部の口型断面から、前記長手方向の中央部の略B型断面に至る異形断面形状に、連続的に変化しており、
    この中空断面形状の変化が、差厚部位を有する前記背面側フランジと、前記上下ウエブとを前記中空断面内で前記長手方向に亘って順次変形させたものからなり、
    この変形が、前記背面側フランジのうちで部分的に薄肉とされた中央部薄肉部を頂部とするとともに、この中央部薄肉部の両側に位置する上部と下部の中肉部とを各々側壁とする、前記衝突面側フランジに向かう凸部の形成と、この凸部が、前記長手方向の両端部から中央部に向かうほど、その断面形状と前記車両の前後方向の幅とを変化させつつ、前記衝突面側フランジに漸近することからなっていて、
    前記長手方向の中央部では、前記凸部の頂部が前記衝突面側フランジに平行に延在するとともに前記衝突面側フランジの背面に接合される一方で、前記凸部の各側壁が、前記中空断面を3分割する位置に、前記上下ウエブに平行に延在する中リブとして各々形成されて、前記略B型断面をなしており、
    前記バンパ補強材の前記背面側フランジが、肉厚t4の前記中央部薄肉部と、この中央部薄肉部より車両上側に延在する肉厚t3の上部中肉部と、この中央部薄肉部より車両下側に延在する肉厚t3´の下部中肉部との差厚部位からなるとともに、これら各部の肉厚が、t3´>t4、t3>t4の関係を各々有する一方で、前記上ウエブが、前記衝突面側フランジの側に延在する肉厚t1の上部衝突面側薄肉部と、前記背面側フランジの側に延在する肉厚t2の上部背面側厚肉部とからなるとともに、前記下ウエブが、前記衝突面側フランジの側に延在する肉厚t1′の下部衝突面側薄肉部と、前記背面側フランジの側に延在する肉厚t2′の下部背面側厚肉部との差厚部位からなり、これら各部の肉厚が、t2>t1、t2´>t1´、t2>t3、t2´>t3´の関係を各々有する、
    ことを特徴とする車両用バンパ補強材。
  2. 前記バンパ補強材の前記衝突面側フランジの肉厚t5が、上部中肉部の肉厚t3、下部中肉部の肉厚t3′に対して、t5>t3およびt5>t3′の関係を有していることを特徴とすることを特徴とする請求項に記載の車両用バンパ補強材。
  3. 前記バンパ補強材の前記背面側フランジあるいは前記上下ウエブにおける前記差厚部位同士が肉厚の段差を有して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用バンパ補強材。
  4. 前記バンパ補強材が7000系アルミニウム合金押出形材からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用バンパ補強材。
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