JP5996310B2 - 溶接用電源装置及び溶接用電源装置の制御方法 - Google Patents

溶接用電源装置及び溶接用電源装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、アーク期間と短絡期間とが交互に生じる消耗電極式のアーク溶接機に用いる溶接用電源装置及びその制御方法に関する。
従来、消耗電極式のアーク溶接機は、ワイヤ電極をアークによる消耗に応じて送給しながら溶接を実施している。その際、電極先端からアークが生じるアーク期間と、電極先端が溶接対象に接触する短絡期間とが交互に繰り返され、溶接用電源装置の制御回路としては、電極の材料や送給速度を考慮した各期間時々の電源装置の出力値を適正値とする出力制御(アーク長制御)を行っている。
ところで、通常の短絡期間中に微小時間の瞬時的なアーク(瞬時アーク)が生じたり、通常のアーク期間中に微小時間の瞬時的な短絡(瞬時短絡)が生じたりすることがある。このような瞬時事象から通常期間に復帰した際に、通常期間開始として出力制御をやり直すと、瞬時事象直後の出力値が所望の出力値から大きく乖離し、出力制御が不安定となって、溶接品質に影響を及ぼすことが懸念される。
これは、期間開始から期間終了までに都度の制御目標値が変動し、特に期間開始時においては、アーク、短絡といった事象変化の大きい前回の期間からの切り替わり直後であることからも、都度の制御目標値が大きく変動することが要因の一つである。従って、瞬時事象からの復帰時に通常の各期間開始として出力制御をやり直してしまうと、出力電流の立ち上がりが遅くなって出力電流を速やかに回復できず、アークが不安定になる等の問題が含まれる。
そこで、電源装置の制御回路にて瞬時事象を認識し、瞬時事象からの復帰時に特定のアーク状態又は短絡状態から出力制御が続行できるように、その制御目標値を予め定めた固定値に置き換えることが考えられている。これにより、瞬時事象からの復帰後においての出力制御の安定性向上が期待できる。
例えば特許文献1,2に開示の技術は、瞬時事象から復帰後の出力制御ではないが、通常の短絡期間からアーク期間への切り替わり直後の制御目標値に予め定めた固定値を用いる制御態様としており、これを瞬時事象直後の出力制御に適用すれば、瞬時事象直後の出力制御の安定化が期待できる。
特開2006−021227号公報 特開2009−183988号公報
しかしながら、瞬時事象直前の出力電流値等の出力値はその時々の状況に応じて変動するため、瞬時事象からの復帰時に制御目標値に固定値を用いる上記の制御態様としても、出力制御が速やかに安定する場合もあれば、出力制御が安定となるまでに時間を要する場合もあり、まだ改良の余地があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、瞬時事象後の出力制御の安定性向上を図ることができる溶接用電源装置及び溶接用電源装置の制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、アーク期間と短絡期間とが交互に生じる消耗電極式のアーク溶接機に用いる溶接用電源装置であり、各期間時々の出力値を含む出力制御を行うための制御目標値を算出し、該制御目標値に基づいて出力制御を実施する制御手段を備えた溶接用電源装置であって、前記制御手段は、期間変化が生じた時、該期間変化の直後の期間がアーク期間か短絡期間かを判定する期間判定手段と、期間変化を判定した時点から計時を行い、所定時間内に次の期間変化が生じたか否かを判定し、所定時間内に次の期間変化が生じない場合は、瞬時事象が生じていないと判定するとともに、所定時間内に次の期間変化が生じた場合は、今の期間変化とその一つ前の期間変化とが瞬時事象であると判定する瞬時事象判定手段と、期間変化時毎に前記制御目標値のバックアップを行い、前記瞬時事象が生じたとの判定時まで少なくともその瞬時事象直前の制御目標値を保持するバックアップ処理手段とを備え、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値に基づいて出力制御を行う。
この発明では、期間変化が生じた時、該期間変化の直後の期間がアーク期間か短絡期間かが判定される。また、期間変化を判定した時点から計時が行われ、所定時間内に次の期間変化が生じたか否かが判定され、所定時間内に次の期間変化が生じない場合は、瞬時事象(瞬時アーク、瞬時短絡)が生じていないと判定されるとともに、所定時間内に次の期間変化が生じた場合は、今の期間変化とその一つ前の期間変化とが瞬時事象であると判定される。また、期間変化時毎に制御目標値のバックアップが行われ、瞬時事象が生じたとの判定時まで少なくともその瞬時事象直前の制御目標値が保持される。そして、瞬時事象が生じたと判定されると、バックアップしておいた瞬時事象直前の制御目標値に基づいて出力制御が行われる。つまり、瞬時事象を挟んで継続的な出力制御が行われ、しかも瞬時事象直後の制御目標値は瞬時事象直前の制御目標値に基づいたものであり、瞬時事象直前の出力状況を反映したものであることから、いずれの瞬時事象後においても本来の出力値に速やかに回復でき、瞬時事象後の出力制御の安定性向上に貢献する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶接用電源装置において、前記バックアップ処理手段は、前記アーク期間と短絡期間とのそれぞれの前記制御目標値のバックアップを行い、前記制御手段は、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記瞬時事象直後の期間と同じ期間のバックアップしておいた前記制御目標値に基づいて出力制御を行う。
この発明では、アーク期間と短絡期間とのそれぞれの制御目標値がバックアップされ、瞬時事象が生じたと判定されると、瞬時事象直後の期間と同じ期間のバックアップしておいた制御目標値に基づいて出力制御が行われることから、期間の混同がなく、常に適切な出力制御が可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の溶接用電源装置において、前記バックアップ処理手段は、前記期間変化時点のみの前記制御目標値のバックアップを行う。
この発明では、期間変化時点のみの制御目標値がバックアップされることから、バックアップ処理に係る負荷を軽減でき、制御目標値データのバックアップ数を低減できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接用電源装置において、前記制御手段は、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値をそのまま用いて出力制御を行う。
この発明では、瞬時事象が生じたと判定されると、バックアップしておいた瞬時事象直前の制御目標値がそのまま出力制御に用いられる。これにより、瞬時事象が生じたとの判定時の制御目標値の設定に際し、演算が不要で、演算処理負荷の増加が防止できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接用電源装置において、前記制御手段は、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値に対して前記瞬時事象の影響を打ち消すような補正を行い、その補正後の制御目標値を用いて出力制御を行う。
この発明では、瞬時事象が生じたと判定されると、バックアップしておいた瞬時事象直前の制御目標値に対して瞬時事象の影響を打ち消すような補正を行い、その補正後の制御目標値が出力制御に用いられる。これにより、瞬時事象直後の出力制御がその瞬時事象による影響も考慮して実施されるため、瞬時事象直後の出力制御の安定性が一層向上する。
請求項6に記載の発明は、アーク期間と短絡期間とが交互に生じる消耗電極式のアーク溶接機に用いる溶接用電源装置の制御方法であり、各期間時々の出力値を含む出力制御を行うための制御目標値を算出し、該制御目標値に基づいて出力制御を実施する溶接用電源装置の制御方法であって、期間変化が生じた時、該期間変化の直後の期間がアーク期間か短絡期間かを判定し、期間変化を判定した時点から計時を行い、所定時間内に次の期間変化が生じたか否かを判定し、所定時間内に次の期間変化が生じない場合は、瞬時事象が生じていないと判定するとともに、所定時間内に次の期間変化が生じた場合は、今の期間変化とその一つ前の期間変化とが瞬時事象であると判定し、期間変化時毎に前記制御目標値のバックアップを行い、前記瞬時事象が生じたとの判定時まで少なくともその瞬時事象直前の制御目標値を保持し、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値に基づいて出力制御を行うようにした。
この発明では、請求項1と同様の作用効果が得られる。
本発明によれば、瞬時事象後の出力制御の安定性向上を図ることができる溶接用電源装置及び溶接用電源装置の制御方法を提供することができる。
一実施形態におけるアーク溶接機(溶接用電源装置)の電気的構成図。 同形態の制御動作を説明するための説明図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、消耗電極式のアーク溶接機10は、溶接用電源装置11にて生成した出力電力をトーチTHにて支持するワイヤ電極WEに供給してその先端にてアークを生じさせ、溶接対象(母材)Mの溶接を行うものである。この消耗電極式のアーク溶接機10においてはワイヤ電極WEがアークにより消耗するため、ワイヤ電極WEをその消耗に応じて送給する送給装置WFが用いられる。
溶接用電源装置11は、直流変換回路12、インバータ回路13、補助スイッチング回路14、トランスINT、及び出力変換回路15を備えている。
直流変換回路12は、ダイオードブリッジよりなる整流回路DR1と平滑コンデンサC1とを備え、商用電源から供給される三相の交流入力電力を直流電力に変換する。直流変換回路12は、変換した直流電力を一対の電源線L1,L2を介してインバータ回路13に出力する。
インバータ回路13は、IGBT等の4個のスイッチング素子TR1〜TR4を用い、スイッチング素子TR1,TR2を電源線L1側に、スイッチング素子TR3,TR4を電源線L2にそれぞれ配置したブリッジ回路にて構成されている。各スイッチング素子TR1〜TR4には、それぞれ還流ダイオードD1〜D4が接続されている。各スイッチング素子TR1〜TR4のゲートには制御回路21から制御パルス信号が入力され、スイッチング素子TR1,TR4とスイッチング素子TR2,TR3とがそれぞれ組をなして交互にオンオフ駆動される。各スイッチング素子TR1〜TR4は、入力された直流電力をそのオンオフ駆動に基づいて高周波交流電力に変換し、変換した高周波交流電力をトランスINTの一次側コイルに供給する。
インバータ回路13と直流変換回路12との間には、IGBT等のスイッチング素子TR5と補助コンデンサC2とを有する補助スイッチング回路14が備えられている。スイッチング素子TR5は、自身に還流ダイオードD5が接続され、直流変換回路12の後段における電源線L2上に配置されている。スイッチング素子TR5の後段でインバータ回路13との間の電源線L1,L2間には補助コンデンサC2が接続されている。スイッチング素子TR5のゲートには制御回路21から制御パルス信号が入力され、該スイッチング素子TR5はインバータ回路13のスイッチング素子TR1〜TR4と連動してオンオフ駆動される。
トランスINTは、インバータ回路13で生成された高周波交流電力の電圧調整を行い、二次側コイルから所定電圧に調整された高周波交流電力を出力変換回路15に出力する。
出力変換回路15は、整流回路DR2、直流リアクトルDCL、及び平滑コンデンサC3を備えている。整流回路DR2は、トランスINTの二次側コイルの両端にそれぞれアノードが接続される2個のダイオードを備え、各ダイオードのカソードが直流リアクトルDCLに接続されて構成されている。直流リアクトルDCLは出力線L3上に配置され、出力線L4はトランスINTの二次側コイルの中間点に接続されている。平滑コンデンサC3は、出力線L3,L4間に接続されている。出力変換回路15は、整流回路DR2、直流リアクトルDCL、及び平滑コンデンサC3にて、トランスINTから出力された高周波交流電力をアーク溶接に適した直流出力電力に変換する。
出力線L3が接続される電源装置11の出力端子aは、ケーブルを介してトーチTHのワイヤ電極WEと接続され、出力線L4が接続される電源装置11の出力端子bは、ケーブルを介して溶接対象Mと接続される。そして、電源装置11にて生成した出力電力のワイヤ電極WEへの供給にて該電極WEの先端にアークを生じさせることで、溶接対象Mのアーク溶接が行われる。
電源装置11に備えられる制御回路21は、起動スイッチTSからの起動信号の入力を受け、インバータ回路13及び補助スイッチング回路14のスイッチング制御を含む制御動作が可能な起動状態となる。制御回路21は、インバータ回路13のスイッチング制御とともに、補助スイッチング回路14をインバータ回路13と連動させることでスイッチング損失を低減するソフトスイッチング制御も行っている。このソフトスイッチング制御は、インバータ回路13のスイッチング素子TR1〜TR4のオフに先立って補助スイッチング回路14のスイッチング素子TR5をオフし、補助コンデンサC2の放電後にスイッチング素子TR1〜TR4をオフすることで、各スイッチング素子TR1〜TR5でのスイッチング損失の低減を図る制御である。
制御回路21は、その時々の制御目標値の算出を行っている。制御回路21には、出力電圧設定回路VRからの出力電圧設定値と、出力電圧検出回路VDからの出力電圧検出値とが入力され、これら各入力値や電極WEの材料、電極WEの送給速度を含む各種パラメータを用いて、出力電流目標値、出力電圧目標値等、出力制御(アーク長制御)に係る制御目標値の算出が行われる。制御回路21は、その時々に算出する制御目標値から、インバータ回路13及び補助スイッチング回路14に対して好適な出力電力となる制御パルス信号の設定を都度行い、所望出力値となる出力制御を行っている。
また、制御回路21は、期間判定部22、瞬時事象判定部23、バックアップ処理部24、及びメモリ25を備えている。
期間判定部22は、アーク期間か短絡期間かの判定を行っている。消耗電極式のアーク溶接機10では、溶接時のアークによるワイヤ電極WEの消耗に伴い送給装置WFからワイヤ電極WEを送給しつつ溶接を行うため、ワイヤ電極WEの先端からアークが生じるアーク期間と、ワイヤ電極WEの先端が溶接対象Mに接触する短絡期間とが交互に繰り返される。このとき、アーク期間では出力電圧が高く、短絡期間では出力電圧が低くなるため、期間判定部22は、その出力電圧(出力電圧検出値)と閾値との比較からアーク期間か短絡期間かの判定を行う。
瞬時事象判定部23は、アーク期間中に瞬時短絡が生じたか、また短絡期間中に瞬時アークが生じたかの判定を行っている。即ち、瞬時事象判定部23は、期間判定部22にてアークと短絡との期間変化を判定した時点(閾値を跨いだ時点)から時間計時を行い、所定時間内に次の期間変化が生じたかを判定する。所定時間内に次の期間変化が生じない場合は、瞬時事象判定部23は瞬時事象(瞬時アーク、瞬時短絡)が生じていないと判定し、期間判定部22にて判定された現在の期間が通常のアーク期間又は通常の短絡期間として認識される。一方、所定時間内に次の期間変化が生じた場合は、瞬時事象判定部23はその今の期間変化とその一つ前の期間変化とが瞬時事象であると判定し、期間判定部22にて判定された期間は瞬時事象によるものとして認識される。また、瞬時事象判定部23にて瞬時事象を判定した後の期間が通常期間と判定された場合、期間判定部22にて判定された現在の期間が瞬時事象前の通常期間から継続する通常期間として認識される。
具体的には図2に示すように、期間変化が生じた時間t1〜t6に対して所定時間txの計時がそれぞれ行われ、時間t1からの所定時間tx内に期間変化が生じていない時間t1〜t2の期間は通常の短絡期間であり、時間t2からの所定時間tx内の時間t3に期間変化が生じた時間t2〜t3の期間は瞬時アーク期間である。瞬時アーク後の時間t3の短絡期間への変化は所定時間tx内に期間変化が生じていないため、時間t1から継続の1つの短絡期間とみなされる。また同様に、時間t4からの所定時間tx内に期間変化が生じていない時間t4〜t5の期間は通常のアーク期間であり、時間t5からの所定時間tx内の時間t6に期間変化が生じた時間t5〜t6の期間は瞬時短絡期間である。瞬時短絡後の時間t6のアーク期間への変化は所定時間tx内に期間変化が生じていないため、時間t4から継続の1つのアーク期間とみなされる。
バックアップ処理部24は、期間判定部22にてアークと短絡との期間変化を判定した時点の制御目標値(内部計算データ)のバックアップを行う。即ち、バックアップ処理部24は、短絡期間変化時点の制御目標値を直前のアーク期間での最新の制御目標値であるとしてアーク期間用バックアップデータDtaとしてメモリ25に格納し、アーク期間変化時点の制御目標値を直前の短絡期間での最新の制御目標値であるとして短絡期間用バックアップデータDtbとしてメモリ25に格納する。この場合、瞬時事象判定部23にて瞬時事象が生じたと判定された場合には、出力制御に用いる制御目標値をその瞬時事象前の適切な制御目標値データへの復元処理(ロールバック処理)が行われる。
具体的には図2において、時間t1では、短絡期間変化時点、即ちアーク期間の最新制御目標値データDt1がアーク期間用バックアップデータDtaとして格納され、時間t2では、アーク期間変化時点、即ち短絡期間の最新制御目標値データDt2が短絡期間用バックアップデータDtbとして格納される。時間t3では、短絡期間変化時点で瞬時アークとして判定されることから、時間t3の制御目標値データDt3はアーク期間用バックアップデータDtaとして保持されず、先の制御目標値データDt1が維持される。また、瞬時アークと判定された時間t3直後の出力制御に使用する使用データDxとしては、時間t3以降が短絡期間であることから、短絡期間用バックアップデータDtbとして保持されている制御目標値データDt2が同短絡期間での最新の適正値データとして用いられる。
また同様に、時間t4では、アーク期間変化時点(短絡期間最新)の制御目標値データDt4が短絡期間用バックアップデータDtbとして格納され、時間t5では、短絡期間変化時点(アーク期間最新)の制御目標値データDt5がアーク期間用バックアップデータDtaとして格納される。時間t6では、アーク期間変化時点で瞬時短絡として判定されることから、時間t6の制御目標値データDt6が短絡期間用バックアップデータDtbとして保持されず、先の制御目標値データDt4が維持される。また、瞬時短絡と判定された時間t6直後の出力制御の使用データDxとしては、時間t6以降がアーク期間であることから、アーク期間用バックアップデータDtaとして保持されている制御目標値データDt5が同アーク期間での最新の適正値データとして用いられる。因みに、上記手法を用いれば、瞬時アークや瞬時短絡が連続して生じる状況でも、これら瞬時事象直後の出力制御の使用データDxとしては、アーク期間、短絡期間毎で最新の適正値データとなる。
次に、本実施形態の作用について、電源装置11の制御回路21は、制御目標値の都度算出を行い、算出した制御目標値に基づいてインバータ回路13、補助スイッチング回路14、及び送給装置WFに対する各種制御を行う。また、制御回路21は、アーク溶接中に交互に生じるアーク期間、短絡期間の期間判定に加え、瞬時アーク、瞬時短絡といった瞬時事象の発生有無の判定も行っている。そして、瞬時事象が生じた場合、制御回路21は、瞬時事象判定直後の出力制御に用いる制御目標値にその都度算出する制御目標値を用いず、アーク期間、短絡期間毎のバックアップデータDta,Dtbとして格納された制御目標値を用いる。
この時のバックアップデータDta,Dtbとしては、通常のアーク期間、短絡期間毎で瞬時事象直前の最新で適正な制御目標値データを格納しており、瞬時事象直後の出力制御に同期間毎のデータを使用することから、瞬時事象直後は新たな期間開始として制御をやり直すのではなく、瞬時事象前の出力状況が反映された継続的な制御が行われる。従って、図2の具体例で示すように、時間t3や時間t6での出力制御の態様が継続的な制御となるため、同図の一点鎖線で囲んだ部分のように例えば出力電流が速やかに立ち上がり、本来の出力電流値に速やかに回復するように改善され、その後の出力制御の安定化に寄与する。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)制御回路21の期間判定部22は、期間変化が生じた時、アーク期間か短絡期間かを判定し、瞬時事象判定部23は、その前の期間変化との関係により瞬時事象(瞬時アーク、瞬時短絡)にて生じた期間かを判定する。バックアップ処理部24は、期間変化時毎に制御目標値のバックアップを行い、瞬時事象が生じたとの判定時までその瞬時事象直前の制御目標値の保持を行う。そして、制御回路21は、瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、バックアップしておいた瞬時事象直前の制御目標値に基づいて出力制御を行う。つまり、制御回路21は、瞬時事象を挟んで継続的な出力制御を行い、しかも瞬時事象直後の制御目標値は瞬時事象直前の制御目標値に基づいたものであり、瞬時事象直前の出力状況を反映したものであることから、いずれの瞬時事象後においても本来の出力値に速やかに回復できる制御となり、瞬時事象後の出力制御の安定性向上を図ることができる。
(2)バックアップ処理部24は、アーク期間と短絡期間とのそれぞれの制御目標値をバックアップデータDta,Dtbとしてバックアップし、制御回路21は、瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、瞬時事象直後の期間と同じ期間のバックアップしておいた制御目標値に基づいて出力制御を行う。そのため、期間の混同がなく、常に適切な出力制御を行うことができる。
(3)バックアップ処理部24は、期間変化時点のみの制御目標値のバックアップを行うことから、バックアップ処理に係る負荷を軽減でき、また制御目標値データのバックアップ数を低減することができる。
(4)制御回路21は、瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、バックアップしておいた瞬時事象直前の制御目標値をそのまま出力制御に用いる。これにより、瞬時事象が生じたとの判定時の制御目標値の設定に際し、制御回路21での演算が不要で、演算処理負荷の増加を防止することができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・アーク期間、短絡期間毎の制御目標値のバックアップを行うようにしたが、例えば期間毎に分けないで、制御目標値のバックアップを行うようにしてもよい。また、期間変化時点のみの制御目標値のバックアップを行ったが、期間変化時以外のタイミングで制御目標値データのバックアップを行ってもよい。
・瞬時事象直後の出力制御において、バックアップしておいた瞬時事象直前の制御目標値をそのまま用いたが、例えばバックアップしておいた瞬時事象直前の制御目標値に対して瞬時事象の影響を打ち消すような補正等のデータ加工を行い、その加工後の制御目標値を用いるようにしてもよい。このようにすれば、瞬時事象直後の出力制御がその瞬時事象による影響も考慮して実施されるため、瞬時事象直後の出力制御の安定性が一層向上する。
・電源装置11の回路構成を適宜変更してもよい。インバータ回路13をフルブリッジ回路で構成したが、例えばハーフブリッジ回路等、他のスイッチング回路で構成してもよい。また、補助スイッチング回路14を省略してもよい。また、二次側の出力変換回路15を整流回路DR2、直流リアクトルDCL、及び平滑コンデンサC3で構成したが、整流回路DR2を他の整流回路に置換したり、平滑コンデンサC3を省略した構成としてもよい。
10 アーク溶接機
11 溶接用電源装置
21 制御回路(制御手段)
22 期間判定部(期間判定手段)
23 瞬時事象判定部(瞬時事象判定手段)
24 バックアップ処理部(バックアップ処理手段)

Claims (6)

  1. アーク期間と短絡期間とが交互に生じる消耗電極式のアーク溶接機に用いる溶接用電源装置であり、各期間時々の出力値を含む出力制御を行うための制御目標値を算出し、該制御目標値に基づいて出力制御を実施する制御手段を備えた溶接用電源装置であって、
    前記制御手段は、
    期間変化が生じた時、該期間変化の直後の期間がアーク期間か短絡期間かを判定する期間判定手段と、
    期間変化を判定した時点から計時を行い、所定時間内に次の期間変化が生じたか否かを判定し、所定時間内に次の期間変化が生じない場合は、瞬時事象が生じていないと判定するとともに、所定時間内に次の期間変化が生じた場合は、今の期間変化とその一つ前の期間変化とが瞬時事象であると判定する瞬時事象判定手段と、
    期間変化時毎に前記制御目標値のバックアップを行い、前記瞬時事象が生じたとの判定時まで少なくともその瞬時事象直前の制御目標値を保持するバックアップ処理手段と
    を備え、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値に基づいて出力制御を行うことを特徴とする溶接用電源装置。
  2. 請求項1に記載の溶接用電源装置において、
    前記バックアップ処理手段は、前記アーク期間と短絡期間とのそれぞれの前記制御目標値のバックアップを行い、
    前記制御手段は、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記瞬時事象直後の期間と同じ期間のバックアップしておいた前記制御目標値に基づいて出力制御を行うことを特徴とする溶接用電源装置。
  3. 請求項1又は2に記載の溶接用電源装置において、
    前記バックアップ処理手段は、前記期間変化時点のみの前記制御目標値のバックアップを行うことを特徴とする溶接用電源装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接用電源装置において、
    前記制御手段は、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値をそのまま用いて出力制御を行うことを特徴とする溶接用電源装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接用電源装置において、
    前記制御手段は、前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値に対して前記瞬時事象の影響を打ち消すような補正を行い、その補正後の制御目標値を用いて出力制御を行うことを特徴とする溶接用電源装置。
  6. アーク期間と短絡期間とが交互に生じる消耗電極式のアーク溶接機に用いる溶接用電源装置の制御方法であり、各期間時々の出力値を含む出力制御を行うための制御目標値を算出し、該制御目標値に基づいて出力制御を実施する溶接用電源装置の制御方法であって、
    期間変化が生じた時、該期間変化の直後の期間がアーク期間か短絡期間かを判定し、
    期間変化を判定した時点から計時を行い、所定時間内に次の期間変化が生じたか否かを判定し、所定時間内に次の期間変化が生じない場合は、瞬時事象が生じていないと判定するとともに、所定時間内に次の期間変化が生じた場合は、今の期間変化とその一つ前の期間変化とが瞬時事象であると判定し、
    期間変化時毎に前記制御目標値のバックアップを行い、前記瞬時事象が生じたとの判定時まで少なくともその瞬時事象直前の制御目標値を保持し、
    前記瞬時事象が生じたとの判定に基づいて、前記バックアップしておいた前記瞬時事象直前の制御目標値に基づいて出力制御を行うようにしたことを特徴とする溶接用電源装置の制御方法。
JP2012159831A 2012-07-18 2012-07-18 溶接用電源装置及び溶接用電源装置の制御方法 Active JP5996310B2 (ja)

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