JP5995452B2 - 車輪用軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、車輪を駆動・非駆動に切り替えるクラッチ機能を備えた車輪用軸受装置およびその製造方法に関するものである。
4輪駆動の自動車には、前輪または後輪を、車輪用軸受装置に備えられたクラッチ機能で選択的に従動輪に切り替え可能としたものがある。このようなクラッチ機能付きの車輪用軸受装置の従来例を図10に示す。この車輪用軸受装置は、車体側に取り付けられる外方部材50と、この外方部材50の内周の複列の外側転走面50a、50aに対向する内側転走面55aを有する内方部材51と、対向する転走面50a、55a間に介在した複列の円錐ころ52、52とからなる。内方部材51は、車輪取付フランジ53を有するハブ輪54と、このハブ輪54の外周に軸方向に並んで嵌合される2つの内輪55、56とで構成され、各内輪55、56はその外周に各列の内側転走面55a、55aを有する。ハブ輪54の内周には、駆動軸となる等速自在継手の外側継手部材(図示せず)の軸部が、軸受57、58を介して回転自在に支持されている。
ハブ輪54の外周の2個の内輪55、56のうち、内端部側の内輪56は、外周がギヤ部56aに形成され、かつ端部内周にスプライン状部56bが形成されている。ハブ輪54の内端部の外周にはスプライン状部54aが形成され、このスプライン状部54aに内輪56のスプライン状部56bが噛み合わされる。ハブ輪54の内端部は、内輪56の大端面を押し付けるフランジ状の加締部54bとされ、この加締部54bにより内輪56がハブ輪54に対して軸方向に固定されている。
内輪56のギヤ部56aには、外側継手部材に形成されたギヤ部59と噛み合うリング状のスライドギヤ60が、軸方向へのスライドによって選択的に噛み合う。スライドギヤ60を介して、内輪56のギヤ部56aと外側継手部材のギヤ部59とが連結された状態で、駆動力が外側継手部材から内輪56およびハブ輪54を介して車輪に伝達される。すなわち、この時、ハブ輪54に支持される車輪は駆動輪となる。スライドギヤ60が内輪56のギヤ部56aに噛み合わない状態では、駆動力が車輪に伝達されず、この時ハブ輪54に支持される車輪は従動輪となる。
このような構成では、内輪56の端部外周に、外側継手部材のギヤ部59に噛み合うスライドギヤ60と噛合可能なギヤ部56aが形成されているので、ギヤ部56aへのスライドギヤ60の噛み合いの有無により、クラッチ機能を持たせることができる。また、このギヤ部56aは、内輪56に一体形成されているので、フレッティング摩耗が生じることがない。このため、内輪56をハブ輪54にクランプする軸力を充分に確保できて軸受ガタを防止できると共に、急発進時に、内輪56からスティックスリップ音が発生するのも防止できる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−138653号公報
然しながら、この従来の車輪用軸受装置では、内輪56は、端部内周にスプライン状部56bおよび外周にギヤ部56aが形成された後に熱処理が施されている。この熱処理において、スプライン状部56bおよびギヤ部56aは、歯の両側のフランク面から熱をもらうため、他の部位に比べて歯先部分が昇温し易い。これにより、高温に曝される時間が長くなって、特に歯先部分の表層部に脱炭が発生しやすい。ここで、脱炭とは、鋼を炭素と反応する雰囲気中で加熱するとき、表面から炭素が失われる現象をいい、硬さの不具合は無論、焼割れの原因にもなる。
この脱炭が生じると強度低下を招来するため、熱処理後にスプライン56bおよびギヤ部56aを研削加工等の後加工によってこの脱炭層を除去する必要がある。これでは加工工数が増大して製造コストが高騰するという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内輪の熱処理によるギヤ部とスプライン部に発生する脱炭層を除去し、疲れ強度を高めて耐久性の向上を図った車輪用軸受装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成され、この小径段部のインナー側の端部外周にセレーションが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周に前記ハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ形成され、前記ハブ輪の肩部に前記内輪の小端面が衝合された状態で、前記小径段部の端部を径方向外方に形成した加締部によって前記内輪が結合されると共に、この内輪が高炭素クロム軸受鋼で形成され、前記内側転走面をはじめ、前記ギヤ部から小鍔部を介して前記小端面に亙って表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層が形成され、前記内輪のセレーションには硬化層が形成されず、当該内輪のギヤ部とセレーションに表面改質が施されている。
このように、第3世代構造の車輪用軸受装置において、内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周にハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ形成され、ハブ輪の肩部に内輪の小端面が衝合された状態で、小径段部の端部を径方向外方に形成した加締部によって内輪が結合されると共に、この内輪が高炭素クロム軸受鋼で形成され、内側転走面をはじめ、ギヤ部から小鍔部を介して小端面に亙って表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層が形成され、当該内輪のギヤ部とセレーションに表面改質が施されているので、熱処理に伴う表層の脱炭層を除去することができ、圧縮残留応力を形成することができる。その結果、内輪のギヤ部とセレーションの疲れ強度を高めて耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記内輪のギヤ部に固体潤滑剤からなる潤滑皮膜が形成されていれば、ギヤが噛み合う時に歯面間で金属接触が生じ、異音の発生や早期摩耗に繋がるのを防止することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記潤滑皮膜がMoSまたはPTFEで構成されていても良い。
また、請求項4に記載の発明のように、前記内輪のギヤ部が転造面で形成されていれば、加工工数が低減して低コスト化を図ることができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記転動体が円錐ころからなり、前記内輪の内側転走面の大径側に前記円錐ころを案内するための大鍔部が形成されると共に、前記外方部材の複列の外側転走面のうちアウター側の外側転走面の大径側に前記円錐ころを案内するための大鍔部が一体に形成されていれば、ハブ輪の形状が簡素化され、鍛造加工が容易になると共に、強度・剛性が高くなり、耐久性を向上させることができる。
また、本発明のうち請求項6に記載の方法発明は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成され、この小径段部のインナー側の端部外周にセレーションが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置の製造方法において、前記内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周に前記ハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ形成され、前記ハブ輪の肩部に前記内輪の小端面が衝合された状態で、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が結合されると共に、この内輪が高炭素クロム軸受鋼で形成され、前記内側転走面をはじめ、前記ギヤ部から小鍔部を介して前記小端面に亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層が形成され、前記内輪のセレーションには硬化層が形成されず、前記内輪のギヤ部とセレーションが、熱処理の後、当該内輪を回転させた状態で、ショットピーニング加工が施される。
このように、第3世代構造の車輪用軸受装置の製造方法において、内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周にハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ形成され、ハブ輪の肩部に内輪の小端面が衝合された状態で、小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって内輪が結合されると共に、この内輪が高炭素クロム軸受鋼で形成され、内側転走面をはじめ、ギヤ部から小鍔部を介して小端面に亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層が形成され、内輪のセレーションには硬化層が形成されず、内輪のギヤ部とセレーションが、熱処理の後、当該内輪を回転させた状態で、ショットピーニング加工が施されているので、熱処理に伴う表層の脱炭層を除去することができ、圧縮残留応力を形成することができる。その結果、内輪のギヤ部の疲れ強度を高めて耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記軸受組立後、前記車輪用軸受装置が縦置きに配置され、前記シールの端面に遮蔽板が載置されてマスキングした状態で、前記内輪のギヤ部がショットピーニング加工されれば、シールに噴射されたショット粒が飛散して変形してリップシメシロが崩れたり、シール内に入り込んだりし、リップ損傷やリップがめくれてシール性が低下するのを防止することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成され、この小径段部のインナー側の端部外周にセレーションが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周に前記ハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ形成され、前記ハブ輪の肩部に前記内輪の小端面が衝合された状態で、前記小径段部の端部を径方向外方に形成した加締部によって前記内輪が結合されると共に、この内輪が高炭素クロム軸受鋼で形成され、前記内側転走面をはじめ、前記ギヤ部から小鍔部を介して前記小端面に亙って表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層が形成され、前記内輪のセレーションには硬化層が形成されず、当該内輪のギヤ部とセレーションに表面改質が施されているので、熱処理に伴う表層の脱炭層を除去することができ、圧縮残留応力を形成することができる。その結果、内輪のギヤ部とセレーションの疲れ強度を高めて耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図1の一方のシールを示す要部拡大図である。 図1の他方のシールを示す要部拡大図である。 本発明に係るショットピーニングの加工方法を示す説明図である。 図4のショットピーニングの他の加工方法を示す説明図である。 図5のギヤ側の加工方法を示す説明図である。 図5のスプライン側の加工方法を示す説明図である。 図1のギヤ部のショットピーニングの他の加工方法を示す説明図である。 図8の遮蔽板の装着部を示す要部拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成され、この小径段部のインナー側の端部外周にセレーションが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周に前記ハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ一体に形成され、前記ハブ輪の肩部に前記内輪の小端面が衝合された状態で、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が一体に塑性結合されると共に、前記内輪のギヤ部とセレーションにショットピーニングによる表面改質が施され、前記ギヤ部に固体潤滑剤からなる潤滑皮膜が形成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の一方のシールを示す要部拡大図、図3は、図1の他方のシールを示す要部拡大図、図4は、本発明に係るショットピーニングの加工方法を示す説明図、図5は、図4のショットピーニング他の加工方法を示す説明図、図6は、図5のギヤ側の加工方法を示す説明図、図7は、図5のスプライン側の加工方法を示す説明図、図8は、ギヤ部のショットピーニングの他の加工方法を示す説明図、図9は、図8の遮蔽板の装着部を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は第3世代と呼称されて駆動輪側に用いられ、内方部材1と外方部材2、および両部材1、2間に転動自在に収容された複列の転動体(円錐ころ)3、3とを備えている。内方部材1は、ハブ輪4と、このハブ輪4に塑性結合された内輪5とからなる。
ハブ輪4は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、この車輪取付フランジ6の周方向等配位置に車輪を固定するハブボルト6aが植設されていると共に、外周に一方(アウター側)のテーパ状の内側転走面4aと、この内側転走面4aから肩部4bを介して軸方向に延びる円筒状の小径段部4cが形成されている。そして、この小径段部4cのアウター側にセレーション(またはスプライン)7が転造加工によって形成されている。
内輪5は、外周にテーパ状の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の小径段部4cに所定のシメシロを介して圧入されている。そして、内側転走面5aの大径側に転動体3を案内するための大鍔部5bが形成されると共に、小径側には転動体3の脱落を防止するための小鍔部5cが形成され、内輪5の小端面(正面側端面)5dがハブ輪4の肩部4bに突き合された状態でセットされた背面合せタイプの複列の円錐ころ軸受を構成している。そして、内輪5の大鍔部5bのインナー側の端部外周には転造加工によりギヤ部8が一体に形成されている。これにより、加工工数が低減して低コスト化を図ることができる。
また、内輪5のインナー側の端部内周には、前述したハブ輪4のセレーション7に噛合するセレーション(またはスプライン)20がスロッター加工によって一体に形成されている。内輪5は高炭素クロム軸受鋼で形成され、内側転走面5aをはじめ、ギヤ部8から小鍔部5cを介して小端面5dに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層30(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。この内輪5を、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼(JIS規格のSC系機械構造用炭素鋼)で形成し、高周波焼入れによって所定の硬化処理を行っても良いし、また、SCr420やSCM415等の浸炭鋼で形成し、浸炭焼入れによって所定の硬化処理を行っても良い。なお、転動体3はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で形成され、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。
外方部材2は、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ2bを一体に有し、内周に外向きに開いたテーパ状の複列の外側転走面2a、2aが一体に形成されている。そして、複列の転動体3、3は両転走面間に保持器9によって転動自在に収容されている。また、ナックルに内嵌される外径面には環状溝28が形成され、この環状溝28にOリング等の弾性リング29が装着されている。これは、ナックルと等速自在継手の外側継手部材との間にシールを挿入(図示せず)することで、ギヤ部8、26とスライドギヤ27に泥水や異物が入らないように気密性を向上させるためのものである。
ハブ輪4はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面4aをはじめ、車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから肩部4aを介して小径段部4cに亙って高周波焼入れによって表面硬さが58〜64HRCの範囲に所定の硬化層10(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。なお、後述する加締部21は鍛造後の表面硬さのままの未焼入れ部とされている。これにより、加締加工が容易となり、加工時の微小クラックの発生を防止すると共に、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪4の耐久性が向上する。
外方部材2は、ハブ輪4と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成し、複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入れによって表面に58〜64HRCの範囲に所定の硬化処理が施されている。そして、外方部材2と内輪5との間に形成される環状空間の開口部にはシール11、12が装着され、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
本実施形態では、複列の転動体3、3のうちインナー側の転動体3は、前述したように、内輪5側に形成された大鍔部5bによって案内されているが、アウター側の転動体3は、外方部材2側に形成された大鍔部2cによって案内されている。すなわち、アウター側の外側転走面2aの大径側に大鍔部2cが一体に形成され、ハブ輪4の外周には大鍔部をはじめ、転動体3の脱落を防止するための小鍔部も形成されていない。これにより、ハブ輪4の形状が簡素化され、鍛造加工が容易になる。
アウター側のシール11は、図2に拡大して示すように、外方部材2のアウター側端部の内周に所定のシメシロを介して圧入された芯金13と、この芯金13に接合されたシール部材14とからなる一体型のシールで構成されている。芯金13は、冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて断面略L字状に形成されている。
一方、シール部材14はNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延び、車輪取付フランジ6のインナー側の側面に所定のシメシロを介して摺接するサイドリップ14aと、この内径側で、径方向外方に傾斜して延び、断面が円弧状に形成された基部6bに所定の軸方向シメシロを介して摺接するダストリップ14bと、軸受内方側に傾斜して延び、基部6bに所定の径方向シメシロを介して摺接するグリースリップ14cを有している。なお、シール部材14の材質としては、例示したNBR以外にも、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等をはじめ、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。
一方、インナー側のシール12は、図3に拡大して示すように、互いに対向配置されたスリンガ15と環状のシール板16とからなる、所謂パックシールで構成されている。スリンガ15は、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)やフェライト系のステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪5の大鍔部5bに圧入される円筒部15aと、この円筒部15aから径方向外方に延びる立板部15bとからなる。
一方、シール板16は、外方部材2の端部に内嵌される芯金17と、この芯金17に加硫接着により一体に接合されたシール部材18とからなる。芯金17は、オーステナイト系ステンレス鋼板、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成されている。
シール部材18はNBR等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びる一対のサイドリップ18a、18bと、この内径側に軸受内方側に傾斜して延びるグリースリップ18cを一体に有している。そして、一対のサイドリップ18a、18bはスリンガ15の立板部15bの側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接すると共に、グリースリップ18cは円筒部15aに所定の径方向シメシロを介して摺接している。なお、シール部材18の材質としては、例示したNBR以外にも、例えば、HNBR、EPDM等をはじめ、ACM、FKM、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。
本実施形態では、図1に示すように、車輪取付フランジ6のアウター側の側面6cにはハブボルト6aを包含する所定の幅を有する環状溝19が形成されている。これにより、ハブボルト6aの圧入による側面6cへの変形等の影響を最小限に抑制することができる。
また、加締加工時に軸受部を回転させながら行うことにより、転動体3が回転に伴って競りあがり、大鍔部5b、2cに案内されるため、軸受内部すきまを規定値の範囲に安定して収めることができる。
なお、ここでは、転動体3が円錐ころからなる複列円錐ころ軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、本発明に係る車輪用軸受装置はこれに限らず、例えば、図示はしないが、転動体にボールを用いた複列アンギュラ玉軸受で構成されていても良い。
ハブ輪4と内輪5との一体化は、ハブ輪4の小径段部4cに内輪5がセレーション7、20を介して所定のシメシロで圧入され、ハブ輪4の肩部4bに内輪5の小端面5dが衝合された状態で、小径段部4cの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部21によって所定の軸受予圧が付与された状態で、内輪5が軸方向に固定され、一体に塑性結合されることによって行われている。
ハブ輪4の内周には、図示しない等速自在継手を構成する外側継手部材の軸部が転がり軸受22、23を介して回転自在に支持されている。これらの転がり軸受22、23のうち、アウター側の転がり軸受22は深溝玉軸受からなり、インナー側の転がり軸受23はシェル形の針状ころ軸受からなる。
また、ハブ輪4の小径段部4bには、環状のパルサリング24が装着され、外方部材2には、このパルサリング24に対峙する回転速度センサ25が外周から内周に貫通して配設されている。パルサリング24は、例えば、円周方向に並べて磁極N、Sが設けられた多極磁石からなる。一方、回転速度センサ25は、ホール素子等からなり、内方部材1の回転に伴うパルサリング24の磁極変化を検出してセンサ信号として出力し、車輪の回転速度を検出する。
ここで、内輪部材5のギヤ部8には、外側継手部材のギヤ部26と噛み合うリング状のスライドギヤ27が、軸方向へのスライドによって選択的に噛み合う。このスライドギヤ27を介して、内輪5のギヤ部8と外側継手部材のギヤ部26が連結された状態で、駆動力が等速自在継手から内輪5およびハブ輪4を介して車輪に伝達される。すなわち、この時、ハブ輪4に支持される車輪は駆動輪となる。また、スライドギヤ27が内輪5のギヤ部8に噛み合わない状態では、駆動力が車輪に伝達されず、この時、ハブ輪4に支持される車輪は従動輪となり、4輪/2輪の切り換えが選択的に行われる。
次に、本発明に係る内輪5の製造方法について詳しく説明する。前述したように、内輪5は、内側転走面5aをはじめ、ギヤ部8から小鍔部5cを介して小端面5dに亙って高周波焼入れによって所定の硬化処理が施されるが、この熱処理の後、本実施形態では、図4に示すように、内輪5を回転治具31の上に載置し、内輪5を回転させた状態で、ギヤ部8とセレーション20がショットピーニングによる表面改質が施されている。これにより、熱処理に伴う表層の脱炭層を除去することができ、圧縮残留応力を形成することができる。その結果、内輪5のギヤ部8とセレーション20の疲れ強度を高めて耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
なお、ショット粒としては数10μm〜0.2mmの範囲の粒径をなす鋼球が用いられ、投射ノズル32から略100m/sec.以上の速度で噴射されるが、これ以外のセラミック等の非鉄系ショットであっても良い。本出願人が実施した試験では、ショット粒や投射条件によって多少の違いがあるも、被形成面の表面硬さを520HV以上に設定すれば、極表層に1000MPa程度の圧縮残留応力を形成することができることが判った。これにより熱処理後、ギヤ部8やセレーション20の歯先部が冷却され難くなって、その表面に引張残留応力が発生したとしても、表面に充分な圧縮残留応力を形成することができ、素材のもつ機械的強度および疲労強度を最大限に高めることができる。
さらに、本実施形態では、ショット粒以外に同径程度のMoS(二硫化モリブデン)等の固体潤滑粒子を混ぜたショットピーニング加工が施されている。これにより、表層の圧縮残留応力を高めると共に、強固な潤滑皮膜を均一に形成することができる。この種のギヤ部8は、前述したように、リング状のスライドギヤ27で、必要に応じて等速自在継手と連結されるため、内輪5のギヤ部8に潤滑剤がないと、噛み合う時に歯面間で金属接触が生じ、異音の発生や早期摩耗に繋がる恐れがあるから、こうした潤滑皮膜を同時に形成されることは効果的である。ここでは、固体潤滑粒子としてMoSを例示したが、これに限らず、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をはじめ、グラファイト系、テフロン(登録商標)系、フッ素系の固体潤滑粒子であっても良い。
なお、このショットピーニング以外に圧縮残留応力を付与する手段としては、前述したショットピーニングよりさらにショット粒の粒子径を細かくし、より高速で、例えば、150m/sec.以上の速度で被形成面に衝突させるWPC(wide peening cleaning)処理を例示することができる。このWPC処理は、高速でショット粒を被形成面に叩きつけるため、加工部極表層面では、瞬間的に金属の結晶を一度溶かす程の高温になり、その後、急冷されるため、金属結晶は微細化されて圧縮応力が生じることになる。
図5は、図4の加工方法の変形例を示すものである。この加工は、内輪5を回転治具31の上に載置し、内輪5を回転させた状態で、投射ノズル33をギヤ部8に向けると共に、別の投射ノズル34をセレーション20に向け、同時にショットピーニング加工が施される。この場合、図6に示すように、ギヤ部8の外周面に対し、投射ノズル33を傾斜させ、揺動運動させた状態で軸方向に順次移動させて行う。なお、投射ノズル33の噴射角度θは90°±45°の範囲に設定されている。一方、図7に示すように、セレーション20の内周面に対し、投射ノズル34の噴射角度θも90°±45°の範囲に設定されている。
この噴射角度θが135°を超える場合、あるいは、45°未満では、ショット粒の衝突エネルギーが低下して所望の圧縮残留応力を形成するのが難しいだけでなく、特に、ギヤ8の端部にショット粒が衝突し難くなり、脱炭層の除去や表面の圧縮残留応力の分布が不均一となって好ましくない。
次に、図8を用いて、軸受組立後にショットピーニング加工を施す方法を説明する。図示するように、軸受組立後、インナー側のシール12に噴射されたショット粒が飛散してスリンガ15に衝突し、変形してリップシメシロが崩れたり、シール12内に入り込んだりし、リップ損傷やリップがめくれてシール性が低下する恐れがあるため、車輪用軸受装置を縦置きに配置し、シール12のインナー側の端面に遮蔽板35を載置してマスキングするのが好ましい。この遮蔽板35の外径Dsは、軸心から外方部材2の車体取付フランジ2bまでの距離Hの2倍(Ds>2H)以上、あるいは、ハブ輪4の車輪取付フランジ6の外径Dhよりも大径(Ds>Dh)に設定されている。これにより、ギヤ部8以外の軸受部にショット粒が飛散するのを確実に防止することができ、製品品質の信頼性を向上させることができる。
また、図9に示すように、遮蔽板35の内径Diは、内輪5のギヤ部8の外径Dgより0.1mm以上、シール12の内径Dm未満(Dm>Di≧Dg+0.1mm)に設定されている。これにより、シール12にショット粒が飛散するのを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、遮蔽板35の厚さWsは、ギヤ部8の幅Wgの25%以内(Ws≦0.25Wg)に設定されている。これにより、ギヤ8の端部にショット粒が衝突するのを阻害することなく、脱炭層の除去や表面の圧縮残留応力の分布を均一にすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、ハブ輪とこのハブ輪に嵌合された内輪を備え、特に、この内輪が揺動加締により固定された第3世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
1 内方部材
2 外方部材
2a 外側転走面
2b 車体取付フランジ
2c、5b 大鍔部
3 転動体
4 ハブ輪
4a、5a 内側転走面
4b 肩部
4c 小径段部
5 内輪
5c 小鍔部
5d 小端面
6 車輪取付フランジ
6a ハブボルト
6b 車輪取付フランジのインナー側の基部
6c 車輪取付フランジのアウター側の側面
7、20 セレーション
8、26 ギヤ部
9 保持器
10、30 硬化層
11 アウター側のシール
12 インナー側のシール
13、17 芯金
14、18 シール部材
14a、18a、18b サイドリップ
14b ダストリップ
14c、18c グリースリップ
15 スリンガ
15a 円筒部
15b 立板部
16 シール板
19 環状溝
21 加締部
22、23 転がり軸受
24 パルサリング
25 回転速度センサ
27 スライドギヤ
28 環状溝
29 弾性部材
31 回転治具
32、33、34 投射ノズル
35 遮蔽板
50 外方部材
50a 外側転走面
51 内方部材
52 円錐ころ
53 車輪取付フランジ
54 ハブ輪
54a、56b スプライン状部
54b 加締部
55、56 内輪
55a 内側転走面
56a、59 ギヤ部
57、58 軸受
60 スライドギヤ
Dg ギヤ部の外径
Dh 車輪取付フランジの外径
Di 遮蔽板の内径
Dm インナー側のシールの内径
Ds 遮蔽板の外径
H 軸心から車体取付フランジまでの距離
Wg ギヤ部の幅
Ws 遮蔽板の厚さ
θ 噴射角度

Claims (7)

  1. 外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成され、この小径段部のインナー側の端部外周にセレーションが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、
    前記内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周に前記ハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ形成され、前記ハブ輪の肩部に前記内輪の小端面が衝合された状態で、前記小径段部の端部を径方向外方に形成した加締部によって前記内輪が結合されると共に、この内輪が高炭素クロム軸受鋼で形成され、前記内側転走面をはじめ、前記ギヤ部から小鍔部を介して前記小端面に亙って表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層が形成され、前記内輪のセレーションには硬化層が形成されず、当該内輪のギヤ部とセレーションに表面改質が施されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記内輪のギヤ部に固体潤滑剤からなる潤滑皮膜が形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記潤滑皮膜がMoS2またはPTFEで構成されている請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記内輪のギヤ部が転造面で形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記転動体が円錐ころからなり、前記内輪の内側転走面の大径側に前記円錐ころを案内するための大鍔部が形成されると共に、前記外方部材の複列の外側転走面のうちアウター側の外側転走面の大径側に前記円錐ころを案内するための大鍔部が一体に形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  6. 外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成され、この小径段部のインナー側の端部外周にセレーションが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置の製造方法において、
    前記内輪のインナー側の端部外周にギヤ部と、端部内周に前記ハブ輪のセレーションに噛合するセレーションがそれぞれ形成され、前記ハブ輪の肩部に前記内輪の小端面が衝合された状態で、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪が結合されると共に、この内輪が高炭素クロム軸受鋼で形成され、前記内側転走面をはじめ、前記ギヤ部から小鍔部を介して前記小端面に亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に所定の硬化層が形成され、前記内輪のセレーションには硬化層が形成されず、前記内輪のギヤ部とセレーションが、熱処理の後、当該内輪を回転させた状態で、ショットピーニング加工が施されることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  7. 前記軸受組立後、前記車輪用軸受装置が縦置きに配置され、前記シールの端面に遮蔽板が載置されてマスキングした状態で、前記内輪のギヤ部がショットピーニング加工される請求項6に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
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