JP5994557B2 - 蓄電装置の製造方法および蓄電装置 - Google Patents
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Description
請求項2に記載の発明によれば、糸状部材が電極組立体の側面に複数回巻き付けられているため、電極組立体、及びケースの双方と接触する部分も多くなり、電極組立体とケースとの摩擦をより低減しやすくなり、電極組立体の破損を、より効果的に防止できる。
請求項3に記載の発明によれば、糸状部材は、電解液に可溶な材料である。電極組立体は、ケースに挿入された後は、外力を受けない方が好ましい。しかしながら、糸状部材が電極組立体とケースの双方に接触した状態で介在されたままであると、電極組立体の表面に荷重を与えたままとなる。そこで、糸状部材を、ケース内に充填される電解液に可溶な材料とすることによって、電解液を充填すると糸状部材が溶ける。したがって、ケース内に電解液を充填させた後には、糸状部材の存在よる電極組立体への荷重は解消され、電極組立体がケースから受ける荷重を低減し、電極組立体の破損を防止することができる。
蓄電装置としての二次電池2は、図1及び図2に示すように、その外周が角型をなす角型電池である。また、本実施形態の二次電池2は、リチウムイオン電池である。二次電池2は、金属製のケース3に電極組立体5が収納されて構成される。ケース3は、ケース本体となる直方体状の本体部材4と、本体部材4の開口部4aを閉塞する矩形平板状の蓋部材6とからなる。本体部材4と蓋部材6は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。本体部材4は、ケース3の底面として、ケース底面部41と、ケース底面部41から立設した二対の互いに対向するケース側面部42とを有する。蓋部材6は、蓋部材6の厚さ方向に貫通した孔である注液口30を有する。注液口30より、電解液がケース3内に注入される。
そして、電極組立体5は、ケース3と絶縁するために覆われる絶縁シート50を備える。そして、電極組立体5を積層方向に圧力を加えながらケース3に挿入し、更に電解液を充填して密閉することで、二次電池2となる。なお、電極組立体5のケース3への挿入方向は、正極端子7、及び負極端子8の突設する方向に沿う方向である。
電極組立体5は、絶縁シート50に覆われた状態では、側面S、底面B、上面Uを有する。
図4に示すように、「電極組立体5の側面S」とは、電極組立体5の積層方向の両方の最外層の面(以下、最外層面51)と、両最外層面51同士を繋ぎ、かつ互いに対向する二対の面の内、挿入方向に沿う一対の面である連結面52により構成されている。両連結面52は、電極組立体5を構成する正極シート10、負極シート11、及びセパレータ12の端面上の面である。両最外層面51、及び両連結面52は、ケース3に挿入された状態で、ケース側面部42に対向する面であり、ケース3への挿入時に、ケース側面部42との距離が最も接近する近接面を含む。電極組立体5の上面Uとは、両最外層面51、及び両連結面52の夫々に連続する面であり、正極タブ状部15、及び負極タブ状部19を有する側の面である。電極組立体5の底面Bとは、上面Uと同様に、最外層面51、及び両連結面52の夫々に連続する面であるが、ケース3に挿入された状態で、ケース底面部41と対向する面である。また、電極組立体5において、上面Uとは反対側に位置する面である。
まず、図4に示すように電極組立体5の側面S上に一本の糸状部材55を複数回巻き付ける。
このとき、糸状部材55の巻き付け角度は、電極組立体5のケース3への挿入方向に対して、所定の角度である。以下、本実施形態での巻き付け角度について詳述する。
図5に示すように、電極組立体5の側面S上に挿入方向に沿う線である任意の仮想基準線Iを規定する。本実施形態では、最外層面51と連結面52との境界線Kの内の一つを仮想基準線Iとする。そして、この仮想基準線Iを起点として、電極組立体5を周方向に展開した展開図Fを規定する。この展開図Fは、側面Sを構成する両最外層面51と、両連結面52とが、一つの長方形(図5におけるハッチング部分)となる展開図である。
なお、糸状部材55における実際に側面Sに巻き付ける部分の長さをL、側面Sの外周をL1、巻き付け回数をNとすると、L=(L1・N/Sinθ)+βの関係が成立する。なお、βは正の値である。ここで(L1・N/Sinθ)は、側面Sにおいて、糸状部材55によって巻き付けられる部分の長さである。つまり、電極組立体5における糸状部材55が配置される部分の長さよりもβ分だけ長く糸状部材55を巻き付ける。
糸状部材55の両端は、電極組立体5に固定はされておらず、単に電極組立体5の側面S上に両端が仮留めあるいは後述する挿入工程まで保持された状態で配置されている。
このようにして、糸状部材55を巻き付けた電極組立体5をケース3に挿入する。
上述したように、電極組立体5のケース3への挿入方向は、電極組立体5における正極端子7、及び負極端子8の突設方向に沿う方向(図7(a)に示す、矢印G方向)である。より具体的には、ケース3の本体部材4に、電極組立体5の底面Bを、ケース底面部41と対向させる。このとき、電極組立体5の側面Sは、本体部材4のケース側面部42の内面に最も接近する近接面53を含んでいる。また、糸状部材55は、挿入方向に対して交差し、かつこの近接面53上に配置されている。そして、電極組立体5を糸状部材55が電極組立体5の側面Sとケース側面部42の内面の双方と接触するように挿入していく。すると、図6、及び図7(b)に示すように、糸状部材55は、糸状部材55と電極組立体5の最外層面51、もしくは連結面52との間に生じる摩擦、もしくは糸状部材55とケース側面部42の内面との間に生じる摩擦によって、ケース側面部42と、最外層面51、及び連結面52との間で糸状部材55の周方向に転がるように回転する。糸状部材55は、回転することにより、巻き付けられた位置よりも電極組立体5の上面U側に相対的に移動する。本実施形態では、糸状部材55は、側面Sに巻き付けられているため、側面Sを構成する両最外層面51、及び両連結面52のいずれを近接面53としてもよい。そして、電極組立体5の底面Bがケース底面部41と接触したら、挿入を終える。
糸状部材55が、近接面53を含んだ電極組立体5の側面Sに複数回巻き付けられている。これにより、電極組立体5を本体部材4に挿入するときに、糸状部材55を、側面S、及びケース側面部42の双方に確実に接触させることができる。
また、挿入方向に対する糸状部材55の電極組立体5への巻き付け角度θが小さいと、糸状部材55がその周方向に転がりにくいが、本実施形態では、巻き付け角度θは、α≦θ≦90°となっている。糸状部材55が回転可能な方向と、電極組立体5の挿入方向とが一致している場合(θ=90°の場合)に、糸状部材55は最も回転しやすい。しかし、θを90°に近くして巻き付けると、糸状部材55の側面S上の間隔(ピッチ)が短くなり、電極組立体5への巻き付け回数Nが増加する。その結果、糸状部材55の長さLも長くなる。また、90°とした場合は、一本の糸状部材55で、例えば最外層面51の挿入方向の一端から他端までを巻き付けることは出来ない。しかし、巻き付け角度を0°に近付けると、糸状部材55が回転可能な方向と、電極組立体5の挿入方向とのズレが大きく、回転し難い。したがって、巻き付け角度θを、α≦θ≦90°の範囲とすることで、電極組立体5の、本体部材4への挿入時に、電極組立体5との間、もしくは本体部材4との間の摩擦によって、糸状部材55の周方向に転がりやすい一方、一本の糸状部材55で、電極組立体5の側面Sの必要な範囲を巻き付けることができる。
さらに、糸状部材55は断面が円形となるように形成されており、電極組立体5の本体部材4への挿入時に、側面Sとケース側面部42との間で糸状部材55の周方向に、より転がりやすい。
(1)電極組立体5の本体部材4への挿入時に、糸状部材55が電極組立体5、及び本体部材4の双方に確実に接触するため、挿入時の摩擦力により糸状部材55が転がり、電極組立体5の本体部材4への挿入時の、電極組立体5と本体部材4との間の摩擦を低減でき、電極組立体5の破損を防止できる。
(2)糸状部材55の巻き付け角度θを、上述のようにα≦θ≦90°とし、更に断面を円形にしたことで、挿入時の摩擦力によってより転がりやすく、電極組立体5の本体部材4への挿入時の、電極組立体5と本体部材4との間の摩擦をより低減でき、電極組立体5の破損を、より効果的に防止できる。
(4)糸状部材55を電解液に可溶なEC,PC等で形成したため、電解液をケース3内に注入させた場合、電解液に浸漬される部分は溶ける。したがって、糸状部材55によって電極組立体5に過剰な荷重を与えることを防止でき、電極組立体5の挿入後における糸状部材55による電極組立体5の破損を防止できる。
○ 上記の実施形態では、糸状部材55を電解液に溶ける材料としたが、糸状部材55は、電解液に溶ける材料としなくてもよい。この場合、電解液に溶ける材料により形成した場合と比較して、糸状部材55の直径を小さくし、電極組立体5を本体部材4に挿入した後において電極組立体5に対する過剰な荷重を与えないようにすることが好ましい。
○ 上記の実施形態では、糸状部材55の両端は仮留めされているのみとしたが、糸状部材55の一端もしくは両端は、電極組立体5に固定してもよい。この場合は、糸状部材55が周方向に回転しやすいように、糸状部材55の長さLを、L=(L1・N/Sinθ)+βとし、βを長めに設定することが好ましい。
○ 糸状部材55の挿入方向に対する巻き付け角度θは、糸状部材55の全長において一定でなくてもよい。ただし、電極組立体5のいずれの場所においても、α≦θ≦90°の関係が成立することが好ましい。
○ 上記の実施形態では、糸状部材55は、電極組立体5の側面Sに複数回巻き付けたが、複数回でなくてもよい。例えば一回巻き付ける構成としても、糸状部材55がケース側面部42と電極組立体5の側面Sの双方に接触すれば、摩擦力の低減は可能である。
○ 上記の実施形態では、糸状部材55は一本としたが、複数本の糸状部材55を巻き付けてもよい。この場合、巻き付け角度θを90°とすることもできる。
○ また、糸状部材55は、電極組立体5に巻き付けずに、電極組立体5の表面に配置するだけでもよい。この場合、糸状部材55を巻き付ける部分は、電極組立体5を本体部材4に挿入するときに、電極組立体5と本体部材4とが最も接近する近接部に配置することが好ましい。換言すれば、電極組立体5において、糸状部材55を配置した場所が、最も本体部材4に接近するように、電極組立体5を本体部材4に挿入する。
○ 糸状部材55の直径を、電極組立体5に圧力を与えた状態で積層方向の電極組立体5の厚みと、積層方向と直交する方向に沿う一対のケース側面部42間の距離との差Zの1/2としたが、1/2以下としてもよい。この場合であっても、電極組立体5がケース3内で積層方向の圧力から開放されて復元した部分において、糸状部材55が、電極組立体5、及びケース側面部42の双方と接触するようにすればよい。このようにすれば、ケース3内で糸状部材55によって電極組立体5に過剰な荷重を与えることをより防止できる。
○ 糸状部材55を低弾性、高靱性、かつ高可撓性の材質(例えば、有機高分子を主成分とする弾性ゴム)などにすることにより、電極組立体5に過剰な荷重を与えないようであれば、糸状部材55の直径をZ/2以上としてもよい。
○ 糸状部材55の断面は、円形でなくてもよく、楕円状等であってもよい。ただし、断面の少なくとも一部が円弧状であることが好ましい。
○ 電極組立体5は、積層タイプでなく、帯状の正極、帯状の負極、及び帯状のセパレータを捲回軸を中心として捲き回した捲回タイプとしてもよい。
○ また、二次電池2は、角型電池としたが、電極組立体をケースに挿入するような電池であれば、角型電池に限らない。例えば、電極組立体とケースが共に円筒状の円筒型電池としてもよい。
○ 本実施形態の構成を、電気二重層コンデンサ等の他の蓄電装置に適用しても良い。
○ 二次電池2は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であっても良い。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであれば良い。
Claims (6)
- 正極と負極との間にセパレータを挟んだ層状の構造の電極組立体をケースに挿入して収
納する蓄電装置の製造方法であって、
前記電極組立体の外周を構成する側面の少なくとも一部に糸状部材を配置し、
前記糸状部材を、前記側面上に巻き付け、
前記側面上に前記電極組立体の挿入方向に沿う線である仮想基準線を規定し、さらに前記仮想基準線を起点として、前記側面を前記電極組立体の周方向に展開した場合に、前記展開した側面の対角線と前記挿入方向との角度である対角線角度が規定され、前記挿入方向に対する前記糸状部材の巻き付け角度は、前記対角線角度以上、かつ、直角以下とし、
前記糸状部材が前記挿入方向に交差するように、かつ、前記糸状部材の周方向に転がるように回転するように、前記ケースに前記電極組立体を前記糸状部材とともに挿入することを特徴とする蓄電装置の製造方法。 - 前記糸状部材を、前記側面上に複数回巻き付けることを特徴とする請求項1に記載の蓄
電装置の製造方法。 - 正極と負極との間にセパレータを挟んだ層状の構造の電極組立体をケースに挿入して収納する蓄電装置の製造方法であって、
前記電極組立体の外周を構成する側面の少なくとも一部に糸状部材を配置し、
前記糸状部材は、前記ケース内に注入される電解液に可溶な材料であり、
前記糸状部材が前記電極組立体の挿入方向に交差するように、前記ケースに前記電極組立体を前記糸状部材とともに挿入することを特徴とする蓄電装置の製造方法。 - 前記糸状部材を、前記側面上に複数回巻き付けることを特徴とする請求項3に記載の蓄
電装置の製造方法。 - 前記側面上に前記挿入方向に沿う線である仮想基準線を規定し、
さらに前記仮想基準線を起点として、前記側面を前記電極組立体の周方向に展開した場
合に、
前記展開した側面の対角線と前記挿入方向との角度である対角線角度が規定され、
前記挿入方向に対する前記糸状部材の巻き付け角度は、前記対角線角度以上、かつ、直
角以下とする請求項3または請求項4に記載の蓄電装置の製造方法。 - 正極と負極との間にセパレータを挟んだ層状の構造の電極組立体がケース内に収納された蓄電装置であって、
前記電極組立体の挿入方向に沿い、かつ前記電極組立体の外周を構成する側面の少なくとも一部と前記ケースとの間に介在させた糸状部材を有し、
前記糸状部材は、前記ケース内に注入される電解液に可溶な材料であることを特徴とする蓄電装置。
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