JP5993894B2 - 光学結像装置 - Google Patents

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Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2005年6月19日付けで出願された米国仮特許出願第60/700,517号の利益を米国特許法第119条(e)項に基づいて主張するものであり、これらの内容は、本引用により、そのすべてが本明細書に含まれる。
本発明は、露光プロセスにおいて使用される光学素子モジュールに関するものであり、更に詳しくは、マイクロリソグラフィシステムの光学素子モジュールに関するものである。さらに本発明は、そのような光学素子モジュールを有する光学素子ユニットに関するものである。又、本発明は、そのような光学素子ユニットを有する光学露光装置に関するものである。さらに本発明は、光学素子を保持する方法に関するものである。本発明は、光学投影ユニットのコンポーネントを支持する方法にも関するものである。本発明は、マイクロ電子デバイス、特に、半導体デバイスを製造するフォトリソグラフィプロセスとの関連において、あるいは、そのようなフォトリソグラフィプロセスにおいて使用されるマスク又はレティクルなどのデバイスの製造との関連において使用可能である。
一般に、半導体デバイスなどのマイクロ電子デバイスの製造との関連において使用される光学系は、レンズ及びミラーなどの複数の光学素子を光学系の光路内に有している。これらの光学素子は、通常、露光プロセスにおいて協働することにより、マスク、レティクル、又はこれらに類似したものに形成された画像をウエハなどの基板上に転写している。これらの光学素子は、通常、1つ又は複数の機能的に個別の光学素子グループとして組み合わせられている。これらの別個の光学素子グループは、別個の光学素子ユニットによって保持可能である。そのような光学素子ユニットは、しばしば、1つ又は複数の光学素子を保持する光学素子モジュールのスタックから構築されている。これらの光学素子モジュールは、通常、それぞれがやはり光学素子を保持している1つ又は複数の光学素子ホルダを支持する一般にリング形状の外部支持デバイスを有している。
レンズなどの少なくとも主に屈折光学素子を有する光学素子グループは、その大部分が、通常は光軸と呼ばれる、光学素子が対称となる真っ直ぐな共通軸を具備している。さらに、このような光学素子グループを保持する光学素子ユニットは、しばしば、細長い実質的に筒状の設計を具備しており、これに起因し、これらは、通常、鏡筒と呼ばれている。
現在も継続中の半導体デバイスの小型化により、これらの半導体デバイスの製造に使用される光学系の分解能の改善に対する永続的なニーズが存在している。この分解能の改善に対するニーズは、光学系の開口数の増大と結像精度の向上に対するニーズを明らかに増大させている。
さらに、高品質の半導体デバイスを確実に得るために、単に高度の結像精度を示す光学系を提供することのみが必要とされるわけではない。露光プロセスの全体にわたって、且つ、そのシステムの寿命にわたって、このような高い精度を維持する必要もある。この結果、高品質の露光プロセスを提供するべく前述の光学素子間の所定の空間的な関係を維持するために、そのような光学系の光学素子を、決められたとおりに支持しなければならない。
これに関連して、とりわけ、光学系の光学素子を支持することについて、一般的な二つの要件が存在する。その一つは、可能な限り支持システムの共振周波数を高く保つために、所定の方向、特に光軸方向において、可能な限り光学素子の支持システムの剛性を高くしなければならないことである。さらに、光学系の光学素子が歪むことは、そのような歪みにより生じる結像誤差を可能な限り低く保つために、最大限避けるべきである。
そのような結像誤差の一つは、例えば、屈折光学素子の応力複屈折である。そのような応力複屈折は、主に光学素子の周囲の支持構造を介してその光学素子に生じさせ、光学素子の光学的使用領域を通じて放射的に伝播する応力によりもたらされる。そのような応力は、しばしば熱により生じ、光学素子とその周囲の支持構造との熱膨張係数(CTE)の差によりもたらされる。光学素子とその周囲の支持構造の温度状況の変動は、光学素子とその周囲の支持構造間の相対的な移動を引き起こす。これらの相対的な移動は、光学素子とその周囲の支持構造間の動作を強いる保持によって弱められ、上記の望まれない応力状況を引き起こす。
光学素子とその光学素子ホルダとの熱膨張係数の差による、熱起因の応力及び歪みを避けるために、光学素子とその光学素子ホルダとを、歪み非連結素子(deformation uncoupling elements)を介して接続することが知られている。これらの歪み非連結素子は、一般に光学素子とその光学素子ホルダ間の相対的な移動を可能にする。
これらの歪み非連結素子は、応力を低減させることができ、そのため、光学素子にもたらされる歪みも軽減することができる。しかし、それらは、支持システムの剛性も低下させるという欠点を有する。この効果を取り扱うために、その非連結素子の剛性を上げてもよい。しかし、そうすることは、それらの歪み非連結能力を低下させ、応力が増加することにつながり、したがって、光学素子にもたらされる歪みにつながる。
この問題を取り扱う別のアプローチが米国特許出願第2001/0039126号(海老沼等)により知られている。これは、熱膨張係数の差によって光学素子に生じる熱起因歪みを低減するために、光学素子とその光学素子に接触する支持リング間の熱膨張係数を適合させることについて提供されている。しかし、この解は、所定の熱膨張係数を持つ所定の光学素子に対して、熱膨張係数の適合は、支持リングのような大きな部材について比較的高価な材料を用いることによってのみ達成され得るという欠点を有する。
従って、前述の欠点を少なくともある程度克服すると共に、露光プロセスにおいて使用される光学系について良好かつ長期にわたって信頼性の高い結像特性を提供することが本発明の目的である。
露光プロセスにおいて使用される光学系の光学素子にもたらされる熱起因応力を軽減することにより、その光学系の結像精度を向上することが本発明の更なる目的である。
露光プロセスにおいて使用される光学系の光学素子に、その支持構造を介してもたらされる応力複屈折を軽減することにより、その光学系の結像精度を向上することが本発明の更なる目的である。
これらの目的は本発明により達成される。本発明が基づくのは、光学系の光学素子にその支持構造を介してもたらされる歪みの低減と、光学素子に対する支持機構の高い剛性とが、光学素子モジュールのうちの少なくとも一つのモジュールの構成部品が、従来の歪み非連結素子と比較して、光学素子と光学素子ホルダ間の相対的な位置についての熱起因の位置変動において光学素子にもたらされる力を低減するよう適合される場合、同時に、支持機構の高い剛性を維持することにより達成されるという教示である。本発明によれば、支持部材の剛性を維持した上でこの摂動力を軽減することは、幾つかの方法で達成される。
一つの解は、少なくとも所定の温度状況の変化において、モジュールの構成部品の接触点間の相対的なシフトが発生しないように、光学素子と関連する光学素子ホルダ間の熱膨張係数の差について、その熱膨張特性によって補償する接触素子を提供することである。この解により、熱起因の摂動力が光学素子にもたらされることを完全に避けることが可能となる。さらに、この解は、光学素子と光学素子ホルダの熱膨張係数を適合させる既知のものと比較して、所定の熱膨張係数の状況に適合しなければならないのは、接触素子とともに相対的に小さな部品のみであるという利点を有する。さらに、接触素子と光学素子及び光学素子ホルダとのそれぞれの接触点間の有効長を単に適合することにより、所定の熱膨張係数の状況について容易に適合可能となる。
第2の解は、温度状況の変化において、光学素子と関連する光学素子ホルダ間の相対的な移動を可能とするが、そのような相対的な移動の結果として光学素子にもたらされる摂動力を低減することである。本発明によれば、これらの摂動力は、大部分が連結されるモジュールの構成部品間の摩擦力に起因するので、連結されるモジュールの構成部品のインターフェースにおいてこれらの摩擦力を軽減する。このことは、接触摩擦の低いインターフェース位置においてモジュールの構成部品の摩擦特性を適合させることによって達成できる。さらに、モジュールの構成部品間の相対的な移動は、摩擦の少ないタイプの移動を提供するように適合される。好ましくは、そのようなタイプの移動において伝達される低い摩擦力のために、モジュールの構成部品間のインターフェース位置において回転移動が提供される。
第3の解は、通常の動作状況下において、光学素子に及ぼされる保持力を全体的に軽減し、それにより、モジュールの構成部品間の熱に起因する相対的な移動において光学素子にもたらされる摂動力も全体的に軽減することである。この解は、保持力は通常、モジュールの構成部品間の熱に起因する相対的な移動をも妨げ、それによりモジュールの構成部品間のそのような相対的な移動において光学素子にもたらされる摩擦力に影響を及ぼすという概念に基づいている。通常、光学系が使用される場所と異なる場所でその光学系は製造され、取り付けられるので、光学素子に与えられる保持力は、光学系の通常の動作条件下で生じる力を考慮するだけでなく、例えば、その光学系の輸送中に生じるかなり高度に異常な力も考慮すべきである。そのため、従来のシステムでは、保持力は通常使用において必要とされるよりもかなり大きい。このことは、明らかに、モジュールの構成部品間の熱に起因する相対的な移動において、光学素子に大きな摂動力がもたらされることを招く。本発明によれば、これらの摂動力は、光学素子を所定の位置に保持するために、異常負荷状況下でのみ動作する保護デバイスを備えることにより軽減される。そのため、通常の動作状況下では、従来のシステムにおける保持力よりも相当に低い保持力を光学素子に加えて、摂動力もまた軽減することができる。
上記の解の任意の組み合わせを選択して、それらの利点である効果を組み合わせ、幾つかのモジュールの構成部品間の熱に起因する相対的な移動において光学素子にもたらされる摂動力をさらに軽減させてもよい。
従って、本発明の第1の態様によれば、光学素子と、光学素子ホルダと、第1の接触素子とを有する光学素子モジュールが提供される。光学素子は、第1の熱膨張係数を有する。光学素子ホルダは、第1の接触素子を介して光学素子を保持し、第2の熱膨張係数を有する。第2の熱膨張係数と第1の熱膨張係数は異なる。第1の接触点が第1のモジュール構成部品上に形成される。その第1のモジュール構成部品は、光学素子及び光学素子ホルダのうちの一つである。第1の接触素子は第2の接触点を有し、かつ第3の熱膨張係数を有する。第1の温度状況において、第1の接触点は第1の場所において第2の接触点と接触する。さらに、第1の接触素子は第2の場所において第2のモジュール構成部品と接触する。その第2の場所は、第1の温度状況において、第1の場所から第1の接触場所間隔だけ離れたところに位置する。また第2のモジュール構成部品は、第1のモジュール構成部品と異なる、光学素子及び光学素子ホルダのうちの一つである。第1の温度状況と異なる所定の第2の温度状況において、第1の温度状況に対する第1の接触素子のサイズの熱に起因する変化が、第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数間の差を補償し、第2の温度状況において、第1の接触点と第2の接触点間のシフトが実質上存在しないように、第3の熱膨張係数及び接触場所間隔の少なくとも一つは選択される。
本発明の第2の態様によれば、光学素子と、光学素子ホルダと、第1の接触素子とを有する光学素子モジュールが提供される。光学素子は、第1の熱膨張係数を有する。光学素子ホルダは、第1の接触素子を介して光学素子を保持し、第2の熱膨張係数を有する。第2の熱膨張係数と第1の熱膨張係数は異なる。光学素子及び光学素子ホルダのうちの一つは、第1のモジュール構成部品を形成し、かつ光学素子及び光学素子ホルダのうちの一つは、第1のモジュール構成部品と異なる第2のモジュール構成部品を形成する。第1の接触面が第1のモジュール構成部品上に形成される。第1の接触素子は、第2の接触曲面を有し、その第2の接触曲面は第1の接触面と接触する。第1の接触素子は、第2の接触曲面が、光学素子と光学素子ホルダ間の相対的な位置の熱起因の変化において、第1の接触面に対して回転移動を行うように適合される。
本発明の第3の態様によれば、複数のモジュール構成部品を有する光学素子モジュールが提供される。モジュール構成部品は、光学素子と、光学素子ホルダと、接触素子とを含む。光学素子は、第1の熱膨張係数を有する。光学素子ホルダは、第1の接触素子を介して光学素子を保持し、第2の熱膨張係数を有する。第2の熱膨張係数と第1の熱膨張係数は異なる。モジュール構成部品の少なくとも一つは、光学素子と光学素子ホルダ間の相対的な位置における熱起因の位置変化において光学素子にもたらされる力を少なくとも軽減するよう適合される。その位置変化は、複数のモジュール構成部品の温度状況における温度状況変動に起因する。
本発明の第4の態様によれば、複数の光学素子を支持し、互いに接続される複数の光学素子モジュールを有する光学素子ユニットが提供される。複数の光学素子モジュールは、本発明による光学素子モジュールである第1の光学素子モジュールを含む。
本発明の第5の態様によれば、マスク上に形成されたパターンの画像を基板上に転写する光学露光装置が提供される。係る光学露光装置は、光路と、その光路内に位置し、マスクを受けるマスク位置と、光路の端部に位置し、基板を受ける基板位置と、マスク位置と基板位置の間で光路内に配置された本発明による光学素子ユニットとを有する。
本発明の第6の態様によれば、光学素子を保持する方法が提供される。係る方法は、第1のステップでは、複数のモジュール構成部品を提供し、そのモジュールは、光学素子と、光学素子ホルダと、接触素子とを含み、第2のステップでは、光学素子ホルダを用いて光学素子を保持し、その光学素子ホルダは接触素子を介して光学素子を保持する。光学素子は、第1の熱膨張係数を有する。光学素子ホルダは、第2の熱膨張係数を有する。第2の熱膨張係数と第1の熱膨張係数は異なる。モジュール構成部品の少なくとも一つは、光学素子と光学素子ホルダ間の相対的な位置の熱起因の位置変化において光学素子にもたらされる力を少なくとも軽減するよう適合される。その位置変化は、複数のモジュール構成部品の温度状況における温度状況変動に起因する。
本発明の更なる態様及び実施例については、従属請求項と、添付の図面を参照した好適な実施例に関する以下の説明から、明らかとなるであろう。請求項における明示的な記述の有無とは無関係に、開示されている特徴のすべての組み合わせが本発明の範囲内に含まれている。
本発明による、好ましい実施形態の光学素子ユニットと光学素子モジュールを有する、本発明による光学露光装置の好ましい実施形態の概略図である。 図1の光学露光装置の光学素子ユニットの一部分の概略断面斜視図である。 図2の線III-IIIに沿った、光学素子ユニットの別の部分の概略断面斜視図である。 本発明による光学素子を保持する方法の好ましい実施形態のブロックダイアグラムである。 図1の光学露光装置において使用される、本発明による他の光学素子モジュールの一部分の概略断面図である。 図5の光学素子モジュールにおいて使用され得る他の接触素子の概略斜視図である。 図6Aの接触素子の他の概略図である。 図1の光学露光装置において使用される、本発明による他の光学素子モジュールの一部分の概略図である。 図7AのBについての詳細を示す概略図である。 図1の光学露光装置において使用される、本発明による他の光学素子モジュールの一部分の概略図である。 図8AのBについての詳細を示す概略図である。
(実施形態1)
以下においては、図1及び図2を参照し、本発明による光学素子ユニット3を備えた光学露光系2を有する、本発明による光学露光装置1の第1の好適な実施形態について説明することとする。
光学露光装置1は、マスク4上に形成されたパターンの画像を基板5上に転写するように適合される。このために、光学露光装置1は、上記のマスク4と光学素子ユニット3を照明する照明系6を有している。光学素子ユニット3は、マスク4上に形成されたパターンの画像を、例えば、ウェハなどの基板5上に投影する。
このために、光学素子ユニット3は、光学素子グループ7を保持している。この光学素子グループ7は、光学素子ユニット3のハウジング3.1内に保持されている。光学素子グループ7は、幾つかの光学素子107及び207だけでなく、レンズ、ミラーなどといった光学素子307及び407も有する。これらの光学素子107、207、307及び407は、光学素子ユニット3の折りたたまれた光軸3.2に沿って整列されている。
光学投影系2は、マスク4と基板5の間の光路の一部分を収容している。その光学素子107、207、307及び407が協働することにより、マスク4上に形成されたパターンの画像を光路の端部に配置された基板5上に転写している。光学投影系2の開口数NAを増加させるために、光学投影系2は、光学素子ユニット3の下端部と基板5の間に配置された液浸ゾーンを有していてもよい。
光学素子ユニット3は、複数の光学素子モジュール3.3と3.4、光学素子モジュール3.5と3.6とともに、光学素子ユニット3を形成するために積層され、しっかりと接続された光学素子モジュール3.7からなる。各光学素子モジュール3.3−3.6は、それぞれ、1以上の光学素子107、207、307及び407を保持する。光学素子モジュール3.7は、光軸3.2を折りたたむために使用される反射光学素子8を保持するインターフェースモジュールである。また光学素子モジュール3.7は、それぞれのモジュールスタックに対するインターフェースを提供するインターフェースモジュールである。
図2は、光学素子ユニット3の第1の温度状況T1における、光学素子ユニット3の光学素子モジュール3.3の一部分の概略断面斜視図を示す。第1の温度状況T1は、光学素子ユニット3の構成部品内の特定の温度プロファイルによって特徴付けられる。
光学素子モジュール3.3の光学素子107は、光軸107.1を有する回転対称レンズである。レンズ107は石英(SiO2)で作られ、第1の熱膨張係数を持つ。
レンズ107は、通常、レンズ107の光軸107.1が光学素子ユニット3の光軸3.2と実質的に同一直線となるような空間に配置される。図2に示されたレンズ107の光軸107.1の位置は、計測したものではないことに留意されたい。実際、光軸107.1は、図2に示される距離をはるかに超えたレンズ107の外周からの距離の位置にある。
レンズ107はリング形状のレンズホルダ108という形態の光学素子ホルダにより保持され、レンズホルダ108もまた、リング形状フレーム素子109により保持される。レンズホルダ108は、第2の熱膨張係数を持つインバールで作られており、すなわち、その第2の熱膨張係数は、レンズ107の第1の熱膨張係数よりも大きい。レンズホルダ108は、複数の第1の接触素子110と複数の第2の接触素子111を介して、所定位置にレンズ107を保持する。図2の断面図において、第1の接触素子110の半分と第2の接触素子111の半分が示されており、接触素子110及び111の両方ともその切断面に対して対称となっている。
図示の実施形態において、3個の第1の接触素子110と3個の第2の接触素子111が、レンズホルダ108の内周において均等に配分されている。しかし、本発明の他の実施形態では、異なる数の第1の接触素子及び/又は第2の接触素子を備えてもよいことを理解されるであろう。そのため、例えば、第1及び/又は第2の接触素子を狭い間隔で多数形成して、米国特許第6,392,825号(トランツ等)の図2において開示されたものと同様の構成を備えるようにしてもよい。米国特許第6,392,825号は、参照としてその全体が本願に組み込まれる。そのような構成では、それぞれの第1及び/又は第2の接触素子を、米国特許第4,733,945号(バシク)の図4において開示されたものと同様の放射状に弾力性のある素子で形成してもよい。米国特許第4,733,945号は、参照としてその全体が本願に組み込まれる。さらに、これらの第1及び/又は第2の接触素子を、別個の素子として、またはレンズホルダに接続された接触素子接続素子、例えば米国特許第6,392,825号(トランツ等)の図2に示されたものと同様の接続リングを介して、(グループまたは全てが)一体として接続されるように形成してもよい。さらに、接触素子を一つのタイプのみ備えてもよい。例えば、下方の第1の接触素子のみを備えて、下からレンズを支持してもよい。
第1の温度状況T1において、第1の接触素子110の一端に形成された第1の接触ノーズ110.1は、第1の場所112においてレンズ107と接触する。それによりレンズ107の第1の接触平面107.3の第1の接触点107.2は、第1の接触素子110の第1の接触ノーズ110.1上の第2の接触点110.2と接触する。さらに、第1の接触素子110は、第2の場所113においてレンズホルダ108と接触し、その第2の場所113において第1の接触素子110は、ネジまたは他の適切な締め具技術を用いてレンズホルダ108に接続される。
同様に、第2の接触素子111の一端に形成された第2の接触ノーズ111.1は、第3の場所114においてレンズ107と接触する。それによりレンズ107の第3の接触平面107.5の第3の接触点107.4は、第2の接触素子111の第2の接触ノーズ111.1上の第4の接触点111.2と接触する。さらに、第2の接触素子111は、第4の場所115においてレンズホルダ108と接触し、その第4の場所115において第2の接触素子111は、ネジまたは他の適切な締め具技術を用いてレンズホルダ108に接続される。
本発明の他の実施形態では、第1及び第3の接触平面を曲面としてもよいことは明らかであろう。さらにまた、一方または両方の接触素子が接触平面を形成する一方、光学素子は、一方または両方とも接触ノーズを形成してもよい。
光軸107.1に沿って、第1の場所112は第3の場所114と一列に整列され、第2の場所113は、第4の場所115と一列に整列される。そのため、第1の場所112と第2の場所113だけでなく第3の場所114と第4の場所115の両方とも、光学素子モジュール3.3の半径方向116において接触場所間隔(接触場所間距離)Dだけ離れている。
一般に、半径方向116において、第1及び第3の接触点107.2及び107.4は、温度状況Tとレンズ107の第1の熱膨張係数αLの関数として、光軸107.1から半径L(T;αL)に位置する。さらに、第2の場所113及び第3の場所115は、温度状況Tとレンズホルダ108の第2の熱膨張係数αRの関数として、光軸107.1から半径R(T;αR)に位置する。そのため、接触場所間隔D(T;αLR)は、温度状況T、第1の熱膨張係数αL及び第2の熱膨張係数αRの関数として、以下の式で表される。
Figure 0005993894
第1の接触素子110は、図2に示された第1の温度状況T1において、その第2の接触点110.2と第2の場所113(第1の接触素子110がレンズホルダ108に固定的に接続される場所)間の半径方向116における間隔Eが接触場所間隔D(T;αLR)と等しくなるように設計される。さらに、第2の接触素子111は、図2に示された第1の温度状況T1において、その第4の接触点111.2と第4の場所115(第2の接触素子111がレンズホルダ108に固定的に接続される場所)間の半径方向116における間隔Eもまた接触場所間隔D(T;αLR)と等しくなるように設計される。
一般に、間隔Eも温度状況Tとそれぞれの接触素子110、111の熱膨張係数αEの関数、すなわちE(T; αE)となる。そのため、第1の温度状況Tにおいて以下の式が有効となる。
Figure 0005993894
図2に示された実施形態において、第1及び第2の接触素子110、111は第3の熱膨張係数を持つ同一の材料で作られていることに留意されたい。しかし、それらを、異なる熱膨張係数を持つ異なる材料で作成してもよく、その場合上記の式(2)においてそれら熱膨張係数が考慮されなければならないことが理解されるであろう。
第1の接触素子110が実質的に剛体素子であるのに対し、第2の接触素子111は、その第2の接触ノーズ111.1が光学素子107の光軸107.1に対して平行な方向に弾力性を持つような手法で支持されるように形成される。このため、第2の接触ノーズ111.1は、第2の接触素子111の基礎部分111.3と二つの板バネのアーム111.4を介して接続される。
第2の接触ノーズ111.1は、基礎部分111.3がレンズホルダ108にネジ込まれるときに、アーム111.4を弾性的に歪ませるような手法で第2の接触素子111から突出する。その結果として、第2の接触ノーズ111.1はレンズ107の第2の接触面107.5上へクランプ力F1を及ぼす。そのクランプ力F1は、第2の接触面107.5に対して実質的に垂直である。クランプ力の量は、基礎部分111.3とレンズホルダ108間に置かれた適切な厚みのスペーサ111.5によって調節することができる。
第1の接触素子110から突出した第1の接触ノーズ110.1は、レンズ107の第1の接触面107.3上へ反作用力F2を及ぼす。その反作用力F2は、第1の接触面107.3に対して実質的に垂直である。第1の接触ノーズ110.1と第2の接触ノーズ111.1は、反作用力F2がクランプ力F1と同一直線上にあり、クランプ力F1に反作用するように配列される。言い換えれば、レンズは個々の第1の接触素子110と関連する第2の接触素子111との間にクランプされる。
第1の接触面107.3と第2の接触面107.5はレンズの光軸107.1に対して実質的に垂直である。そのため、第1の温度状況T1において、その保持機構によってレンズにもたらされるレンズ107の中心へ半径方向に沿って向かう半径方向力は実質的に存在しない。
第1の温度状況T1と異なる第2の温度状況T2において、光学素子ユニット3の構成部品内の温度は所定量上昇する。温度上昇の結果、とりわけ、レンズ107及びレンズホルダ108は半径方向116へ拡大する。レンズホルダ108の第2の熱膨張係数は、レンズ107の第1の熱膨張係数よりも高いので、温度上昇は、レンズホルダ108がレンズ107から半径方向に離れるように、半径方向116においてレンズ107とレンズホルダ108間の相対的な移動を生じさせる。言い換えれば、接触場所間隔D(T;αLR)は、(1)式にしたがって増加する。
従来のクランプ機構を備えた従来のシステムでは、これは、個々の接触素子とレンズ間のインターフェースにおいて相対的な半径方向の移動と残余の弾性歪みをもたらし、また応力が光学素子にもたらされ、レンズの光学的使用領域を通じて半径方向に伝播することにつながる。前述したように、そのような半径方向の応力は、応力起因複屈折のような結像誤差をもたらす。
しかし、本発明によれば、第1の接触素子110と第2の接触素子111は、第2の温度状況T2において、第1の接触点107.2と第2の接触点110.2間のシフトが実質的に存在せず、また第3の接触点107.4と第4の接触点111.2間のシフトも存在しないように第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数の差を補償する。
このため、第1の接触素子110と第2の接触素子111は、第1及び第2の熱膨張係数とそれぞれ異なる第3の熱膨張係数を持つスチール材で作成される。その第3の熱膨張係数は、第1及び第2の熱膨張係数よりも高い。
第1の接触素子110について、第2の接触場所113と第3の熱膨張係数αEのうちの少なくとも一方は、以下の式となるように選択される。
Figure 0005993894
同じことが第2の接触素子111にも適用される。すなわち、第4の接触場所115と第3の熱膨張係数αEのうちの少なくとも一方が、(3)式が有効となるように選択される。
言い換えれば、第1及び第2の接触素子110、111よりも高い熱膨張のため、それぞれの接触素子110、111は、第1の温度状況T1と第2の温度状況T2の間の所定の温度状況変動において、レンズ107とレンズホルダ108のそれぞれの第1の熱膨張係数と第2の熱膨張係数の間の差に起因する、レンズ107とレンズホルダ108間のギャップを補う。そのため、第2の温度状況T2においても、実質的にモジュール構成部品の熱膨張にもかかわらない。
第1及び第2の接触素子は、必ずしも光学素子ホルダに固定的に取り付けなければならないわけではない。本発明の他の実施形態では、運動学的に拮抗する手法で、第1及び第2の接触素子それぞれのうちの少なくとも一つを光学素子に固定的に取り付け、接触素子110、111及びレンズ107間の接触を上記のような手法で光学素子ホルダと接触させてもよいことが理解されるであろう。
本発明の他の実施形態では、他の材料または組み合わせを選択してもよいことが理解されるであろう。場合によっては、レンズとレンズホルダ間の熱膨張係数の差を、それぞれの接触素子の場所、サイズ、材料(すなわち、熱膨張係数)を適切に選択することにより補償してもよい。
さらに、温度状況の変動全体の間、すなわち、第1の温度状況T1と第2の温度状況T2間の遷移中、第1及び第2の接触素子110、111により提供されるレンズの第1の熱膨張係数とレンズホルダの第2の熱膨張係数の差の補償は効果を有することが理解されるであろう。しかし、温度状況の変動中、モジュール構成部品(レンズ107、レンズホルダ108及び接触素子110、111)における温度プロファイルの変化に応じて、第1及び第2の接触素子110、111は、温度状況変動の全期間中、完全な補償を提供しないこともある。
そのため、第1の温度状況T1と第2の温度状況T2間の遷移中、特定の熱起因の半径方向摂動力がレンズ107にもたらされることもあり得る。しかし、本発明は以下の手段によって、これらの熱起因の半径方向摂動も軽減する。
まず、図3から分かるように、重力補償手段117を備える。この重力補償手段117はレンズホルダ108に取り付けられ、レンズ107の外周に近接して配置される。重力補償手段117は、要するに、その質量のためにレンズ107へ作用する重力とバランスをとる力をレンズへ及ぼす。
このため、重力補償手段117は、力生成手段117.1を有し、その力生成手段117.1は、レンズ107の外周の所定のわずかな部分にわたってレンズ107の第1の接触面107.3と接触する。図3の実施形態では、3個の力生成手段117.1が、第1の接触素子110によって持たれていないレンズ107の周辺部分のほぼ全体にわたって広がる。
各力生成手段117.1は、レンズの光軸107.1に対して平行に、レンズ107へ線力を及ぼす。力生成手段117.1は、バネ軸に対して傾斜した楕円コイルを備えた螺旋バネ(米国、カリフォルニア、ポーリングのバルシールエンジニアリング株式会社により製造されたバルスプリング(登録商標)と呼ばれるようなもの)の形式で提供される。しかし、本発明の他の実施形態では、異なる数で他のタイプの力生成手段、例えば、板バネ素子、磁気若しくは空気圧式素子などを、重力補償手段に使用してもよいことが理解されるであろう。
力生成手段117.1は、レンズホルダ108の内周に固定的に接続された支持素子117.2上に支持される。ここでも、第1の接触素子110と同様に、支持素子117.2は、レンズ107の第1の熱膨張係数とレンズホルダ108の第2の熱膨張係数の差を補償するような熱膨張係数を持つとともに、その差を補償するように設計され、取り付けられる。言い換えれば、支持素子117.2は、上記の温度状況変動において、力生成手段117.1とレンズ107間の接触点のシフトが実質上存在しないように設計される。
このことは、重力補償手段117を介してレンズに半径方向の摂動力がもたらされることを回避する。しかし、この完全な補償はある程度省略されてもよいことが理解されるであろう。例えば半径方向の相対的な移動を、熱膨張において力生成手段117.1とレンズ107間において許容してもよい。力生成手段117.1は、その設計により、レンズ107の第1の接触面107.3に対して回転移動を行うこともあるためである。そのような回転移動は、レンズ107上で非常に低い回転摩擦を作用させることになるので、レンズ107に半径方向の摂動力がもたらされることを大幅に軽減する。レンズ107にもたらされる摩擦力をさらに軽減するため、力生成手段117.1及びレンズ107の第1の接触面107.3の少なくとも一方が、低摩擦係数接触面、例えばそれぞれの接触面において摩擦係数コーティングを備えていてもよい。
重力補償手段117の利点は、第1の接触面107.3に直交する、第1の接触素子110とレンズ107間に作用する垂直反作用力が、レンズ107に作用する重力とのバランスに由来する成分を含まなくてもよいという事実にある。そのため、第1の接触素子110は、関連する第2の接触素子111によって及ぼされるクランプ力とバランスをとるだけの、軽減された垂直接触力のみを及ぼす。この軽減された垂直接触力は、レンズ107と第1の接触素子110間における熱起因の半径方向の相対的な移動において、軽減された摩擦摂動力のみがレンズ107に半径方向に作用するという利点を持つ。その摩擦摂動力は垂直接触力と接触場所における摩擦係数の関数となる。
レンズ107と接触素子110、111間における熱起因の半径方向の相対的な移動において、レンズ107に作用する摩擦摂動力のさらなる軽減を、レンズ107と第1及び第2の接触ノーズ110.1、111.1のうちの少なくとも一つが低摩擦係数接触面を備えること、例えば、それぞれの接触面(すなわち、第1及び第2の接触面107.3、107.5及び/又は第1及び第2の接触ノーズ110.1、111.1)において低摩擦係数コーティングを備えることによって達成できる。またこの手段により、そのような熱起因の半径方向における相対的な移動において、軽減された摩擦摂動力のみが半径方向116においてレンズ107に作用する。その摩擦摂動力は、垂直接触力とそれぞれの接触場所における摩擦係数の関数となる。
上述したように、レンズホルダ108は、リング形状のフレーム素子109により保持される。フレーム素子109それ自体は光学素子ユニット3のハウジング3.1の一部分を形成してもよく、あるいは、ハウジング3.1の一部分を形成する、分離した部品に接続されていてもよい。
レンズホルダ108は、光軸107.1と略一致する第1の対称軸108.1を持つ。同じことがフレーム素子109にも適用される。すなわち、フレーム素子109もまた、光軸107.1と略一致する第2の対称軸109.1を持つ。
軽減された重量と良好な熱伝導率といった理由により、フレーム素子109はアルミニウムで作成される。そのため、フレーム素子109は、レンズホルダ108の第2の熱膨張係数と異なる第4の熱膨張係数を持つ。この点を考慮して、レンズホルダ108は、フレーム素子109の内周に等しく配分された複数の半径方向歪み非連結素子109.2を介してフレーム素子109に接続される。
レンズホルダ108は、歪み非連結素子109.2ごとに一つのネジ118を介してフレーム素子109に接続される。ネジ118を締めるときに歪み非連結素子109.2が歪曲することを避けるために、保護リング119がネジ118の頭部と歪み非連結素子109.2の間に配置される。
以下、本発明による光学素子を保持する方法の好ましい実施形態を、図1〜4を参照しつつ説明する。
図4は、本発明による光学素子を保持する方法の好ましい実施形態のブロックダイアグラムを示す。
第1のステップ20において、光学素子モジュール3.3の複数のモジュール構成部品107、108、109、110、111及び117が提供される。これらのモジュール構成部品の少なくとも一つは、レンズ107とレンズホルダ108間の相対的な位置における熱起因の位置変化において、レンズ107にもたらされる力を少なくとも軽減するように適合される。
上述したように、複数のモジュール構成部品は、図2及び図3に関して上述したようなレンズ107を含む。レンズ107は、ステップ20.1において提供される。
さらに、複数のモジュール構成部品は、図2及び図3に関して上述したようなレンズホルダ108及びフレーム素子109を含む。レンズホルダ108及びフレーム素子109は、ステップ20.2において提供される。
さらに、複数のモジュール構成部品は、図2及び図3に関して上述したような第1及び第2の接触素子110、111を含む。第1及び第2の接触素子110、111は、ステップ20.3において提供される。このステップ20.3では、第1及び第2の接触素子110、111は、図2及び図3に関して上述したように、温度状況変動においてレンズ107とレンズホルダ108間の熱膨張係数の差を補償できるように設計される。
第2のステップ21のステップ21.1において、第1の温度状況において、レンズ107が第1及び第2の接触素子110、111を介してレンズホルダ108により保持され、図2及び図3に関して上述したような構成を提供するように、光学素子モジュール3.3のモジュール構成部品は取り付けられる。
ステップ21.2において、図2及び図3に関して上述したように、光学素子モジュール3.3の温度状況が、第1の温度状況T1から第2の温度状況T2へ変化する、温度状況変動が提供される。
ステップ21.3において、第2の温度状況において、図2及び図3に関して上述したような構成を提供するように、レンズ107が第1及び第2の接触素子110、111を介してレンズホルダ108により保持される。図2及び図3に関して上述したように、第1及び第2の接触素子110、111は、レンズ107とレンズホルダ108間の熱膨張係数の差を補償するように設計され、レンズホルダ108に取り付けられる。そのため、第2の温度状況においても、レンズ107にもたらされる熱起因の半径方向の摂動力が実質的に存在しないように、レンズ107は保持される。
(実施形態2)
以下においては、図1及び図5を参照し、本発明による好ましい第2の実施形態の光学素子モジュール3.4について説明することとする。図5は、光学素子ユニット3の第1の温度状況T1における、光学素子ユニット3の光学素子モジュール3.4の一部分の概略断面を示す。第1の温度状況T1は、光学素子ユニット3の構成部品内の特定の温度プロファイルによって特徴付けられる。
光学素子モジュール3.4の光学素子207は、光軸207.1を有する回転対称レンズである。レンズ207は石英(SiO2)で作られ、第1の熱膨張係数を持つ。
レンズ207は、レンズ207の光軸207.1が光学素子ユニット3の光軸3.2と実質的に同一直線となるような空間に通常配置される。図5に示されたレンズ207の光軸207.1の位置は、計測したものではないことに留意されたい。実際、光軸207.1は、図5に示される距離をはるかに超えたレンズ207の外周からの距離の位置にある。
レンズ207はリング形状のレンズホルダ208という形態の光学素子ホルダにより保持され、レンズホルダ208もまた、図2のフレーム素子109と同様のリング形状フレーム素子により保持される。レンズホルダ208は、光軸207.1と一致する第1の対称軸208.1を持つ。
レンズホルダ208は、第2の熱膨張係数を持つインバールで作られており、すなわち、その第2の熱膨張係数は、レンズ207の第1の熱膨張係数よりも大きい。レンズホルダ208は、複数の第1の接触素子210と複数の第2の接触素子211を介して、所定位置にレンズ207を保持する。
図示の実施形態において、3個の第1の接触素子210と3個の第2の接触素子211が、レンズホルダ208の内周において均等に配分されている。しかし、本発明の他の実施形態では、異なる数の第1の接触素子及び/又は第2の接触素子を備えてもよいことが理解されるであろう。さらに、接触素子を一つのタイプのみ備えてもよい。例えば、下方の第1の接触素子のみを備えて、下からレンズを支持してもよい。
第1の接触素子210は、円形横断面を持つ円柱ローラである。第1の接触素子210は、レンズホルダ208の第1の平面環状プラットフォーム208.2上に支持される。プラットフォーム208.2の平面は軸208.1に対して略直交しており、したがって光軸207.1に直交している。第1の接触素子210は、レンズ207の第1の接触平面207.3と接触しており、その第1の接触面207.3は光軸207.1に対して直交している。
第2の接触素子211もまた、円形横断面を持つ円柱ローラである。第2の接触素子211は、レンズ207の第2の接触平面207.5と接触しており、その第2の接触面207.5は光軸207.1に対して直交している。さらに、第2の接触素子211は、レンズホルダ208の接触リング208.4上に形成された第2の平面環状プラットフォーム208.3と接触している。第2のプラットフォーム208.3の平面もまた軸208.1に対して略直交しており、したがって光軸207.1に直交している。
第1の接触素子210及び第2の接触素子211は、図5に示した状況において、光軸207.1に平行な軸方向に正確に整列されるように配置される。第1の接触素子210の円柱表面は、レンズ207の第1の接触面207.3と接触する第3の接触曲面210.3を形成する。さらに、第2の接触素子211の円柱表面は、レンズ207の第2の接触面207.5と接触する第4の接触曲面211.3を形成する。
第1の接触素子210と第2の接触素子211の間にレンズ207をクランプするために、弾性クランプ素子208.5がレンズホルダ208に接続される。そのクランプ素子は、図2の第2の接触素子111の手法で設計される。つまり、それは弾性アーム208.7を介して、レンズホルダ208に取り付けられる基礎部分208.8に接続されるクランプノーズ208.8を有する。
クランプノーズ208.6は、基礎部分208.8がレンズホルダ208に接続されるときに、アーム208.7を弾性的に歪ませるような手法で突出する。その結果として、クランプノーズ208.6は、接触リング208.4及び第2の接触素子211を介して、レンズ207の第2の接触面207.5上へクランプ力F1を及ぼす。そのクランプ力F1は、第2の接触面207.5に対して実質的に垂直である。このクランプ力の量も、基礎部分208.8とレンズホルダ208間に置かれた適切な厚みのスペーサによって調節することができる。
第1の接触面207.3と第2の接触面207.5はレンズ207の光軸207.1に対して実質的に垂直である。そのため、第1の温度状況T1において、その保持機構によってレンズ207にもたらされるレンズ207の中心へ半径方向に沿って向かう半径方向力は実質的に存在しない。
第1の温度状況T1と異なる第2の温度状況T2において、光学素子ユニット3の構成部品内の温度は所定量上昇する。温度上昇の結果、とりわけ、レンズ207及びレンズホルダ208は半径方向216へ拡大する。レンズホルダ208の第2の熱膨張係数は、レンズ207の第1の熱膨張係数よりも高いので、温度上昇は、レンズホルダ208がレンズ207から半径方向に離れるように、半径方向216においてレンズ207とレンズホルダ208間の相対的な移動を生じさせる。
上述したように、レンズに直接作用する従来のクランプ機構を備えた従来のシステムでは、これは、個々の接触素子とレンズ間のインターフェースにおいて相対的な半径方向の移動と残余の弾性歪みをもたらし、また応力が光学素子にもたらされ、レンズの光学的使用領域を通じて半径方向に伝播することにつながる。前述したように、そのような半径方向の応力は、応力起因複屈折のような結像誤差をもたらす。
しかし、本発明によれば、第1の接触素子210の第3の接触曲面210.3と第2の接触素子211の第4の接触曲面211.3は、レンズ207とレンズホルダ208間のこの熱に起因する相対的な移動において、両方とも、それぞれ第1の接触面207.3及び第2の接触面207.5上でそれぞれ回転移動する。また、第3の接触曲面210.3及び第4の接触曲面211.3は、それぞれ、第1のプラットフォーム208.2及び第2のプラットフォーム208.3上で回転移動する。接触素子210及び211の両方とも、同一の直径を持つので、接触素子210及び211は、それらが光軸207.1に平行な方向に整列されたまま、同期回転する。
この回転移動は、レンズ207に、その半径方向216に向かう非常に低い摩擦力をもたらすことになる。言い換えれば、その回転移動は、実質的に摩擦のない純粋な回転移動であることが理解されるであろう。ここで、発生する実質的に無視可能な残余の摩擦は、円柱接触素子210、211とそれぞれの接触相手との理想的な接触線からの、接触領域の歪みに起因する偏差に由来する。そのため、そのような回転接触素子を持たない従来のシステムと比較して、熱起因の半径方向摂動力の大幅な軽減が本発明により達成される。したがって、応力起因複屈折のような結像誤差を引き起こす半径方向の摂動応力は、本発明を用いることにより、大幅に軽減される。
本発明の他の実施形態では、第1及び第2の接触素子のそれぞれは、必ずしもレンズに直接接触しなければならないわけではないことが理解されるであろう。例えば、中間素子が、レンズと接続され、それぞれの接触素子と接触するようにしてもよい。またこれらの中間素子は、上記のようなクランプ素子208.5のような手法で設計されたクランプ素子であってもよい。
上記の概要のように、温度状況変動において、特定の大幅に軽減された熱起因の半径方向摂動力がレンズ207にもたらされる場合がある。しかし、本発明はまた、以下の手段によってこれらの熱起因の半径方向摂動力をさらに減少させる。
まず、図3に関して説明したように、重力補償手段117と同様の重力補償手段を備える。この重力補償手段は、第1の接触面207.3に直交する、第1の接触素子210とレンズ207間に作用する垂直反作用力が、レンズ207に作用する重力とのバランスに由来する成分を含まなくてもよいという効果を有する。そのため、第1の接触素子210は、関連する第2の接触素子211によって及ぼされるクランプ力とバランスをとるだけの、軽減された垂直接触力のみを及ぼす。この軽減された垂直接触力は、レンズ207と第1の接触素子210間における熱起因の半径方向の相対的な移動において、さらに軽減された摩擦摂動力のみが半径方向216においてレンズ207に作用するという利点を持つ。その摩擦摂動力は垂直接触力と接触場所における摩擦係数の関数となる。
レンズ207と接触素子210、211間における熱起因の半径方向の相対的な移動において、レンズ207に作用する摩擦摂動力のさらなる軽減を、レンズ207と第1及び第2の接触素子210、211のうちの少なくとも一つが低摩擦係数接触面を備えること、例えば、それぞれの接触面(すなわち、第1及び第2の接触面207.3、207.5及び/又は第1及び第2の接触面210.3、211.3)において低摩擦係数コーティングを備えることによって達成できる。またこの手段により、そのような熱起因の半径方向における相対的な移動において、さらに軽減された摩擦摂動力のみが半径方向216においてレンズ207に作用する。その摩擦摂動力は、垂直接触力とそれぞれの接触場所における摩擦係数の関数となる。
最後に、本発明による、レンズ207と接触素子210、211間における熱起因の半径方向の相対的な移動において、レンズ207に作用する摩擦摂動力のさらなる軽減を、保護デバイス222を備えることにより達成できる。この保護デバイス222は、通常の動作状況下において、レンズ207に及ぼされる保持力を全体的に軽減することを可能とし、したがって、通常の動作状況下におけるレンズ207とレンズホルダ208間の熱起因の相対的な移動について、レンズ207にもたらされる摩擦摂動力も全体的に軽減することが可能となる。
この解は、通常、保持力は、レンズ207とレンズホルダ208間の熱に起因する相対的な移動にも反作用し、そのため、そのようなレンズ207とレンズホルダ208間の相対的な移動において、保持力はレンズ207にもたらされる摩擦力に影響を及ぼすという概念に基づいている。通常、光学素子ユニット3が後に使用される場所とは異なる場所において光学素子ユニット3の製造及び取り付けが行われるため、レンズ207に与えられる保持力は、光学系の通常動作条件下で発生する力だけでなく、例えば、光学素子ユニット3の輸送中に発生する大幅に高い異常な力も考慮しなければならない。そのため、従来のシステムでは、レンズ207に及ぼされる保持力は、通常使用において必要とされるよりも大幅に高くなっている。保持力と上記に概説した摂動力との相関により、このことは、レンズ207とレンズホルダ208間の熱に起因する相対的な移動において、レンズ207にもたらされる摂動力が増大することにつながるのは明らかである。
本発明によれば、保護デバイス222は、通常の動作条件下において、レンズ207に及ぼされる保持力の軽減を可能とすることにより、これらの摂動力をさらに減少させる。保護デバイス222は、異常負荷条件下でのみレンズ207を保持するために動作する。このため、保護デバイス222はレンズホルダ208に固定的に取り付けられ、ストッパ素子222.1を備える。ストッパ素子222.1は、弾性的に取り付けられた、それぞれのクランプ素子208.5のクランプノーズ208.6に空間的に関連する。
クランプ素子208.5は、光学素子ユニット3の通常動作条件下、すなわち、通常負荷状況下において、第2の接触素子211を介して、第1の保持力をレンズ207に及ぼす。この第1の保持力は、通常負荷状況下でレンズ207に作用すると想定される通常変位力に対して、(他のクランプ素子208.5の保持力とともに)ほぼ所定の位置にレンズ207を保持するのに必要とされる最大力である保持力限界にまで及ぶ。
レンズ207に作用する変位力がこの保持力限界まで発揮されることを必要としない限り、ストッパ素子222.1とクランプノーズ208.6の間に微小ギャップ223が形成される。そして保持力限界に達すると、直ちに、光学素子ユニット3の通常動作条件下において作用する変位力を超える異常変位力に対して、レンズ207を所定位置に保持するため、レンズ207に及ぼされる保持力が急激に増加するように、クランプノーズ208.6は実質的に剛体のストッパ素子222.1としっかりと接触するようになる。
図5に示したギャップ223は、視認性を良くするという理由のため、スケールから外れている。実際では、ギャップ223は如何なる負荷条件下でもレンズ207と接触素子210、211とが十分に接触するために、十分に小さくなっている。
本発明の他の実施形態では、保護デバイスを、クランプ素子208.5の他の移動可能な部分、又はレンズ207の他の適当な部分若しくはレンズ207と機械的に接続された他の移動可能な部分と接触するように適合させてもよいことが理解されるであろう。さらに、クランプ素子を、異常負荷条件下でのみ動作する、他の適切な設計のものとしてもよい。例えば、それは、異常負荷状況下で、レンズ207、クランプノーズ208.6若しくはレンズ207と機械的に接続された他の移動可能な構成部品と能動的に接触を行う能動デバイス、例えば、電気的、空気圧式又は他のアクチュエートデバイスであってもよい。
さらに、保護デバイス222を図2に示した実施形態と組み合わせて使用してもよく、それは通常動作条件下で必要な保持力を軽減する上記の利益をもたらすことが理解されるであろう。
さらに、本発明の他の実施形態では、第1及び第2の接触素子は、必ずしも円柱素子でなければならない必要性はないことが理解されるであろう。温度状況変動における、相対的な移動が生じる場合、レンズとレンズホルダ間のインターフェース面上で、実質的に純粋な回転移動を行う接触曲面を、それぞれの接触素子が持つことのみが必要とされる。例えば、それぞれの接触素子は、ボール形状素子であってもよい。この場合、接触素子の接触相手は、単一の接触平面を備えることが必ずしも必要とされるわけではない。例えば、ボール形状接触素子は、半径方向に伸ばされた略V字形状溝の二つの接触面と接触することも可能である。そして、そのボール形状接触素子は、温度状況変動において、V字形状溝に沿って実質的に摩擦無く回転移動することができる。さらに、それぞれの接触素子は、レンズ207及びレンズホルダ208の一つと固定的に接続されていてもよい。
図6A及び6Bは、図5の第1の接触素子210及び/又は第2の接触素子211を置換可能な接触素子310の例の異なる外観を示す。接触素子310は、球面接触面310.3を備えた移動可能な接触部310.4を有する。屈曲部310.5を介して、球面接触部310.4は基礎部310.6と一体的に接続されている。基礎部310.6は、レンズホルダ208又はレンズ207と接続されていてもよく、そのため屈曲部310.5の屈曲軸310.7は、レンズ207の光軸207.1に対して垂直な平面内で半径方向216に対して直交する。
図5の光学素子ユニット3.4を使用しても、図4を参照して上述した方法と同様に、本発明による光学素子保持方法を実行可能であることが理解されるであろう。
図2の実施形態とともに実行される方法に対する差は、温度状況の変化において、すなわち図4のステップ21.2において、相対的な移動がレンズ207とレンズホルダ208間の機械的インターフェースにおいて行われるという事実にある。しかし、本発明によれば、この相対的な移動は低摩擦移動、すなわち回転移動である。
(実施形態3)
以下においては、図1、図7A及び7Bを参照し、本発明による好ましい第3の実施形態の光学素子モジュール3.5について説明することとする。図7A及び7Bは、光学素子ユニット3の光学素子モジュール3.5の一部分を示す。
光学素子モジュール3.5の光学素子407は、光軸を持つ回転対称レンズであり、光学素子ユニット3に取り付けられる場合、光学素子407は略水平面内にある。
レンズ407は石英(SiO2)で作られ、リング形状のレンズホルダ408という形態の光学素子ホルダにより保持される。そのレンズホルダは、レンズ407の光軸と一致する、第1の回転対称軸を有する。レンズホルダ408は、第2の熱膨張係数を持つインバールで作られており、その第2の熱膨張係数は、レンズ407の第1の熱膨張係数と異なり、すなわち、その第1の熱膨張係数よりも大きい。レンズホルダ408は、図2に関して上述したような手法で、複数の第1の接触素子410と複数の第2の接触素子411を介して、所定位置にレンズ407を保持する。そのため、それについてはここでは主に上記の説明を参照する。
光学素子モジュール3.5も、重力補償デバイス417を有する。この重力補償デバイス417(重量補償デバイス117のような)は、その質量のためにレンズ407へ作用する重力と実質的にバランスをとる保持力をレンズ407に及ぼすように適合される。
レンズ407のスタンド構成と呼ばれるもののため、重力補償デバイス417は、ロープ又はストラップ形態の弾性テンション素子417.1を有する。テンション素子417.1は、中間部417.3と二つの端部417.4及び417.5を有する。端部417.4及び417.5の両方は、中間部417.3がレンズ407の下部の周りを巻くように、レンズ407の重心上に位置する場所においてレンズホルダ408に吊るされる。
重力補償デバイス417によりレンズ407へ及ぼされる力は、テンション素子417.1のそれぞれの端部417.4及び417.5においてテンション素子417.1に接続されたボルトネジ417.8に、ナット417.7を介して作用するバネ417.6のプレテンションを調整することにより、調整可能である。巻き角は約170°であり、重力補償手段417によりレンズ407へ及ぼされる力が、局所的に応力が集中することを避け、広い領域にわたって分布するようになっている。
レンズ407を、半径方向、すなわち垂直面内において、レンズの位置を正確に規定するレンズホルダ408内のシートに配置してもよい。ともかく、レンズの垂直平面内の位置を維持するために、レンズ407の周囲上方において、レンズホルダ408に設けられた複数のストッパ(好ましくは二つのストッパ)に対してレンズ407を引っ張るように、重力補償手段417により及ぼされる力がレンズ407に作用する重力を僅かに超えてもよいことが理解されるであろう。
さらに、異常な垂直負荷がレンズ407に作用する場合(例えば、光学素子ユニット3の輸送中)に、レンズ407と接触し得る別の一つまたは複数のストッパをレンズホルダ408の下部に設けてもよい。
(実施形態4)
以下においては、図1、図8A及び8Bを参照し、本発明による好ましい第3の実施形態の光学素子モジュール3.6について説明することとする。図8A及び8Bは、光学素子ユニット3の光学素子モジュール3.6の一部分を示す。
光学素子モジュール3.6の光学素子507は、光軸を持つ回転対称ミラーであり、光学素子ユニット3に取り付けられる場合、光学素子507は略水平面内にある。
ミラー507はリング形状のミラーホルダ508という形態の光学素子ホルダにより保持される。そのミラーホルダは、ミラー507の光軸と一致する、第1の回転対称軸を有する。ミラーホルダ508は、第2の熱膨張係数を持つ材料で作られており、その第2の熱膨張係数は、ミラー507の第1の熱膨張係数と異なり、すなわち、その第1の熱膨張係数よりも大きい。ミラーホルダ508は、図2に関して上述したような手法で、複数の第1の接触素子510と複数の第2の接触素子511を介して、所定位置にミラー507を保持する。そのため、それについてはここでは主に上記の説明を参照する。
光学素子モジュール3.6も、重力補償デバイス517を有する。この重力補償デバイス517(重量補償デバイス117及び重量補償デバイス417のような)は、その質量のためにミラー507へ作用する重力と実質的にバランスをとる保持力をミラー507に及ぼすように適合される。
ミラー507のスタンド構成と呼ばれるもののため、重力補償デバイス517は、板バネ素子形態の複数の弾性力発揮素子517.1を有する。板バネ素子517.1は、ミラー507の重心の下側に位置する場所においてミラーホルダ508に固定的に接続された弓形状基礎素子517.9におけるスロットにより形成される。基礎素子517.9は、ミラー507の垂直対称軸507.6に対して対称な構成となっている。
板バネ素子517.1の自由端は、ミラー507の下側部分において約90°の角度にわたってミラー507の外周と接触する。しかし、適切であれば、他の角度を選択してもよいことが理解されるであろう。板バネ素子517.1は、それぞれの板バネ素子517.1によりミラーに及ぼされる力が、ミラー507の垂直軸507.6からの距離が増加するとともに減少するように適合される。そのため、ミラーの質量分布に対応する適正な支持が達成される。
また、ミラー507を、半径方向、すなわち垂直面内において、ミラーの位置を正確に規定するミラーホルダ508内のシートに配置してもよい。ともかく、ミラーの垂直平面内の位置を維持するために、ミラー507の周囲上方において、ミラーホルダ508に設けられた複数のストッパ(好ましくは二つのストッパ)に対してミラー507が押されるように、重力補償手段517により及ぼされる力がミラー507に作用する重力を僅かに超えてもよいことが理解されるであろう。
さらに、異常な垂直負荷がミラー507に作用する場合(例えば、光学素子ユニット3の輸送中)に、ミラー507又は板バネ517.1と接触し得る別の一つまたは複数のストッパをミラーホルダ508の下部に設けてもよい。
上記において、本発明の実施形態を、光学素子が円形形状を持つ場合について説明してきたが、本発明の他の実施形態では、光学素子は他の形状を有してもよいことが理解されるであろう。同じことが光学素子ホルダにも適用される。
さらに、本発明を、主に、レンズ及び平行平面板といった屈折光学素子が個々の光学素子ホルダによって保持される実施形態との関連で説明した。しかし、本発明の他の実施形態では、反射光学素子及び/又は回折光学素子といった他のタイプの光学素子、例えばミラーまたは回折格子などを、上記のように、対応する光学素子ホルダによって保持してもよいことが理解されるであろう。
さらに、異なる設計の光学素子モジュールを組み込んだ光学素子ユニットに関して本発明を説明した。しかし、本発明を、単一の設計またはタイプの光学素子モジュールを組み込んだ光学素子ユニットに関して使用してもよいことが理解されるであろう。
さらに、一度折りたたまれた光軸を持つ光学素子ユニットに関して本発明を説明した。しかし、本発明を、直線状の光軸または任意の回数折りたたまれた光軸を持つ光学素子ユニットに関して使用してもよいことが理解されるであろう。
最後に、光学露光プロセスについての実施形態に関して本発明を説明した。しかし、本発明を、それぞれの光学素子の領域における熱膨張に由来する応力から光学素子の不安を解消することが必要とされる、他の光学用途に関して使用してもよいことが理解されるであろう。

Claims (27)

  1. 光学素子と、
    光学素子ホルダと、
    第1の接触素子と
    第2の接触素子とを有し、
    前記光学素子は、第1の熱膨張係数を有し、
    前記光学素子ホルダは、前記第1の接触素子を介して前記光学素子を保持し、かつ前記第1の熱膨張係数と異なる第2の熱膨張係数を有し、
    第1の接触点が、前記光学素子ある第1のモジュール構成部品上に形成され、
    前記第1の接触素子は第2の接触点及び第3の熱膨張係数を有し、
    前記第1の接触点は、第1の温度状況において、第1の場所において前記第2の接触点と接触し、
    前記第1の接触素子は、前記第1の温度状況において、前記第1の場所から第1の接触場所間距離(D)離れたところに位置する第2の場所において第2のモジュール構成部品と固定的に締め付けられて接触し、
    前記第2のモジュール構成部品は、記光学素子ホルダあり、
    前記第1の温度状況と異なる所定の第2の温度状況において、前記第1の温度状況に対する前記第1の接触素子のサイズの熱に起因する変化が、前記第1の熱膨張係数と前記第2の熱膨張係数間の差を補償し、かつ前記第2の温度状況において、前記第1の接触点と前記第2の接触点間のシフトが実質上存在しないように、前記第3の熱膨張係数及び前記接触場所間距離(D)のうちの少なくとも一つが選択され
    前記第2の接触素子は前記光学素子及び前記光学素子ホルダと接触し、かつ第4の熱膨張係数を有し、
    第3の接触点が、前記光学素子である第1の接続部品上に形成され、
    前記第2の接触素子は第4の接触点を有し、
    前記第1の温度状況において、前記第3の接触点は第3の場所において前記第4の接触点と接触し、
    前記第2の接触素子は第4の場所において第2の接続部品と固定的に締め付けられて接触し、該第4の場所は、前記第1の温度状況において、前記第3の場所から第2の接触場所間距離(D)離れたところに位置し、
    前記第2の接続部品は、前記光学素子ホルダであり、
    前記第2の温度状況において、前記第1の温度状況に対する前記第2の接触素子のサイズの熱に起因する変化が、前記第1の熱膨張係数と前記第2の熱膨張係数間の差を補償し、かつ前記第2の温度状況において、前記第3の接触点と前記第4の接触点間のシフトが実質上存在しないように、前記第4の熱膨張係数と前記第2の接触場所間距離(D)のうちの少なくとも一つが選択される、
    ことを特徴とする光学素子モジュール。
  2. 前記光学素子ホルダは第1の材料で作成され、
    前記第1の接触素子は、前記第1の材料と異なる第2の材料で作成される、請求項1に記載の光学素子モジュール。
  3. 前記光学素子は石英(SiO2)で作成され、
    前記光学素子ホルダはインバールで作成され、
    前記第1の接触素子はスチールで作成される、
    請求項1に記載の光学素子モジュール。
  4. 前記第3の熱膨張係数は、前記第2の熱膨張係数よりも高い、請求項1に記載の光学素子モジュール。
  5. 前記光学素子は、主に第1の平面内に広がり、かつ前記第1の平面に対して垂直な、中央に位置する光学素子軸を有し、
    前記第1の接触点は、前記光学素子の第1の接触面に配置され、前記第1の接触面は前記光学素子軸に対して垂直である、請求項1に記載の光学素子モジュール。
  6. 前記光学素子は外周を有し、
    前記光学素子及び前記光学素子ホルダと接触する複数の第1の接触素子が、前記外周に配分されている、請求項1に記載の光学素子モジュール。
  7. 前記光学素子ホルダはリング形状ホルダユニットを有し、
    前記ホルダユニットは前記光学素子の前記外周に沿って広がり、かつ前記第1の接触素子と接触する、請求項に記載の光学素子モジュール。
  8. リング形状フレームユニットを備え、
    前記フレームユニットは前記光学素子ホルダの外周に沿って広がり、かつ複数の歪み非連結素子を介して前記光学素子ホルダを保持する、請求項に記載の光学素子モジュール。
  9. 前記フレームユニットは、少なくともその熱膨張係数に関して、前記光学素子ホルダを形成する材料と異なる材料で作成される、請求項に記載の光学素子モジュール。
  10. 少なくとも一つの重力補償装置を備え、
    前記重力補償装置は前記光学素子ホルダによって保持され、かつ前記光学素子と接触して前記光学素子へ保持力を及ぼし、
    前記保持力は前記光学素子に作用する重力と実質的に対応する、請求項1に記載の光学素子モジュール。
  11. 前記重力補償装置は、前記光学素子ホルダによって保持され、かつ前記光学素子と接触する少なくとも一つの重力補償素子を有する、請求項10に記載の光学素子モジュール。
  12. 複数の前記重力補償素子を備え、
    前記重力補償素子は前記光学素子の外周の少なくとも一部分にわたって配分される、請求項11に記載の光学素子モジュール。
  13. 前記重力補償素子は弾性素子である、請求項10に記載の光学素子モジュール。
  14. 前記光学素子は、主に第1の平面内に広がり、かつ前記第1の平面に対して垂直な、中央に位置する光学素子軸を有し、
    光学素子軸は、重力方向に対して略平行であるか、重力方向に対して略垂直であるかの何れかである、請求項10に記載の光学素子モジュール。
  15. 光学素子軸は、重力方向に対して略垂直であり、
    前記重力補償装置は少なくとも一つの弾性テンション素子を有し、
    前記テンション素子は、前記光学素子の下側部分と接触する中間部と、前記光学素子ホルダにそれぞれ取り付けられた二つの端部とを有する、請求項14に記載の光学素子モジュール。
  16. 前記テンション素子は、ロープ素子またはストラップ素子の何れかである、請求項15に記載の光学素子モジュール。
  17. 前記光学素子は、主に第1の平面内に広がり、かつ前記第1の平面に対して垂直な、中央に位置する光学素子軸を有し、
    前記第3の接触点は、前記光学素子の第2の接触面に配置され、前記第2の接触面は前記光学素子軸に対して垂直である、請求項に記載の光学素子モジュール。
  18. 前記光学素子は前記第1の接触素子と前記第2の接触素子の間にクランプされる、請求項に記載の光学素子モジュール。
  19. 前記第2の接触素子は、前記光学素子と弾性的に接触する、請求項に記載の光学素子モジュール。
  20. 前記第2の接触素子は第1の接触部と第2の接触部を有し、
    前記第1の接触部は前記光学素子と接触し、
    前記第2の接触部は前記光学素子ホルダと接触し、
    前記第1の接触部は前記第2の接触部と弾性的に接続される、請求項19に記載の光学素子モジュール。
  21. 前記第1の接触部は前記第2の接触部と少なくとも一つの弾性アームを介して接続される、請求項20に記載の光学素子モジュール。
  22. ストッパ素子を備え、
    前記第2の接触素子は可動端部と固定端部を有し、
    前記可動端部は前記第1の接続部品と接触し、
    前記固定端部は前記第2の接続部品と接触し、
    前記ストッパ素子は前記可動端部から所定の間隔離れたところに位置し、かつ前記第1の接続部品から離れる第1の方向における前記可動端部の移動を制限するように適合される、請求項19に記載の光学素子モジュール。
  23. 前記所定の間隔は、前記光学素子モジュールの通常動作中、前記第1の方向において前記可動端部に作用することが想定される最大力の関数として選択され、
    前記所定の間隔の前記選択は、前記第1の方向において、前記最大力を越える異常力を経験する場合に、前記可動端部が前記ストッパ素子に接触するようになされる、請求項22に記載の光学素子モジュール。
  24. 前記第2の接触素子は、少なくともその熱膨張係数に関して、前記光学素子ホルダを形成する材料と異なる材料で作成される、請求項に記載の光学素子モジュール。
  25. 前記光学素子は石英(SiO2)で作成され、
    前記光学素子ホルダはインバールで作成され、
    前記第2の接触素子はスチールで作成される、
    請求項に記載の光学素子モジュール。
  26. 前記第4の熱膨張係数は、前記第2の熱膨張係数よりもい、請求項に記載の光学素子モジュール。
  27. 前記光学素子は外周を有し、
    前記光学素子及び前記光学素子ホルダと接触する複数の第2の接触素子が、前記外周に配分されている、請求項に記載の光学素子モジュール。
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