JP2004264782A - レンズ鏡筒 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズ鏡筒の駆動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えるのを防止する。
【解決手段】内側にレンズ部材が配置された第1の筒状部材と、第1の筒状部材の外側に配置された第2の筒状部材とを有し、第1の筒状部材および第2の筒状部材が光軸周りに相対的に回転することによりレンズ部材を光軸方向に移動可能なレンズ鏡筒において、第1の筒状部材および第2の筒状部材のうち一方の筒状部材に形成され、一方の筒状部材(107)の周方向に延びるガイド溝部(107y)と、他方の筒状部材(106)に凸状に形成され、第1の筒状部材および第2の筒状部材の相対回転によりガイド溝部に対して摺動可能な摺動部材(150)とを有する。
【選択図】 図8
【解決手段】内側にレンズ部材が配置された第1の筒状部材と、第1の筒状部材の外側に配置された第2の筒状部材とを有し、第1の筒状部材および第2の筒状部材が光軸周りに相対的に回転することによりレンズ部材を光軸方向に移動可能なレンズ鏡筒において、第1の筒状部材および第2の筒状部材のうち一方の筒状部材に形成され、一方の筒状部材(107)の周方向に延びるガイド溝部(107y)と、他方の筒状部材(106)に凸状に形成され、第1の筒状部材および第2の筒状部材の相対回転によりガイド溝部に対して摺動可能な摺動部材(150)とを有する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ等の光学機器に用いられるレンズ鏡筒であって、レンズ部材を光軸方向に進退させるために光軸周りに相対的に回転する2つの筒状部材の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カメラ(デジタルカメラ等)に使用されるレンズ鏡筒には、図14に示す構造のものがある。同図において、回転鏡筒107の内側には固定鏡筒106がはめ込まれ、固定鏡筒106は鏡筒本体101に光軸方向からのネジ止めにより固定される。回転鏡筒107は、ギヤ列を介してステッピングモータ130と連結しており、ステッピングモータ130からの駆動力を受けることにより光軸周りに回転する。
【0003】
回転鏡筒107の回転は、不図示のカム機構により撮影レンズ102〜105の光軸方向への移動に変換され、撮影レンズ102〜105が光軸方向に移動することによりズーミングが行われるようになっている。
【0004】
ここで、図7に示すように固定鏡筒106の外周面には立方体状の係合保持突起部106bが形成され、回転鏡筒107の内周面には係合保持突起部106bと係合するガイド溝部107yが形成されている。ガイド溝部107yおよび係合保持突起部106bが係合することにより、回転鏡筒107の光軸方向の位置決めがなされる。
【0005】
一方、回転鏡筒107が光軸周りに回転するときには、ガイド溝部107が係合保持突起部106bに対して摺動するようになっている。
【0006】
なお、図14に示すレンズ鏡筒の構成部品のうち上述した部品以外の部品については後述する発明の実施の形態で説明する部材と同じであり、同一部材については同一符号を用いている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−90611号公報
【特許文献2】
特開2001−183565号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラを用いた撮影では、静止画撮影が主体として行われているため、レンズ鏡筒の駆動音は撮影に影響を与えるものではない。
【0009】
しかしながら、現在のデジタルカメラの流れは、静止画撮影だけでなく動画撮影もできるようなものが求められており、レンズ鏡筒の駆動音によるノイズが動画撮影の際に録音されないようにするためには駆動音を小さくする必要がある。
【0010】
ここで、レンズ鏡筒の駆動音には、上述したようにガイド溝部107yおよび係合保持突起部106bが摺動する際に生じる音といったレンズ鏡筒の構成部品同士の摺動音や、ステッピングモータに連結する歯車の摺動音といったものがある。
【0011】
上述した従来技術のレンズ鏡筒においてズーミング動作を行うと、係合保持突起部106bのうちカメラ本体に近い側の光軸方向端面とこの端面と向き合うガイド溝部107の側面とが面接触しながら摺動する。このため、摺動音が大きくなり音声ノイズとして動画撮影に影響を与えることがある。
【0012】
また、回転鏡筒107を回転させるためには、この回転トルクに応じた駆動力を発生するステッピングモータが必要であるが、この駆動力に応じてステッピングモータの出力軸に連動する歯車から摺動音が発生し、この摺動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えることがある。
【0013】
そこで、本発明は、レンズ鏡筒の構成部品同士の摺動音を小さくするとともに、回転鏡筒の回転トルクを減らしてステッピングモータの出力軸に連動する歯車に負荷されるトルクを減らすことで歯車から発生する摺動音を小さくし、レンズ鏡筒の駆動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えるのを防止することができるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は内側にレンズ部材が配置された第1の筒状部材と、この第1の筒状部材の外側に配置された第2の筒状部材とを有し、第1の筒状部材および第2の筒状部材が光軸周りに相対的に回転することによりレンズ部材を光軸方向に移動可能なレンズ鏡筒において、第1の筒状部材および第2の筒状部材のうち一方の筒状部材に形成され、この一方の筒状部材の周方向に延びるガイド溝部と、他方の筒状部材に凸状に形成され、第1の筒状部材および第2の筒状部材の相対回転によりガイド溝部に対して摺動可能な摺動部材とを有し、摺動部材が、ガイド溝部に対して点で接触するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1から図5を用いて本発明の第1実施形態であるレンズ鏡筒の構成について説明する。ここで、図1はレンズ鏡筒の分解斜視図であり、図2は沈胴状態におけるレンズ鏡筒の光軸方向断面図である。また、図3はワイド状態におけるレンズ鏡筒の光軸方向断面図であり、図4はテレ状態におけるレンズ鏡筒の光軸方向断面図である。図5はレンズ鏡筒を光軸方向後方から見た図である。さらに、図18に本実施形態のレンズ鏡筒を備えたカメラの外観図を示す。
【0016】
図18において、10はカメラ本体であり、このカメラ本体10の前面中央にはズーミングが可能なレンズ鏡筒11が設けられている。また、カメラ本体10の前面における向かって右側には被写体に照明光を照射するストロボ装置を構成する発光窓部12が設けられ、発光窓部12の左側にはファインダ窓14および測光窓13がそれぞれ設けられている。
【0017】
さらに、カメラ本体10の上面には、撮影準備動作(焦点調節動作および測光動作)及び撮影動作(フィルムやCCD等の撮像素子への露光)を開始させるためのレリーズボタン15が設けられている。
【0018】
図1から図5において、101はレンズ鏡筒全体を支える鏡筒本体であり、この光軸方向後端部にはCCD取り付け部111aが設けられている。なお、以下に説明する各部材は、段ギヤ132を除き全て鏡筒本体101内に収納可能である。
【0019】
102は第1移動レンズ、103は第2移動レンズ、104は第3移動レンズ、105は第4移動レンズである。
【0020】
107は回転鏡筒(第1の筒状部材)であり、内周面にカム溝部107d、107eが形成され、外周面にカム溝部107cが形成されている。
【0021】
また、回転鏡筒107の内周面後端には、回転鏡筒107の周方向に延びるガイド溝部107yが形成されている。さらに、回転鏡筒107の後端部には、内径リブ107aが形成されている。
【0022】
106は固定鏡筒(第2の筒状部材)であり、この外周面には突き当て部106a、保持突起部106bおよびガイド突起部106yが形成されている。保持突起部106bは、図15に示すように固定鏡筒106の外周上における光軸を挟んで対向する位置に設けられている。
【0023】
また、ガイド突起部106yは、図15に示すように固定鏡筒106の外周のうち2つの保持突起部106bで挟まれる一方の領域内に2つ設けられ、他方の領域内に3つ設けられている。
【0024】
また、回転鏡筒107の後端部には、図15に示すように保持突起部106bの位置および大きさに対応した切り欠き部107kAが形成されているとともに、ガイド突起部106yの位置および大きさに対応した切り欠き部107kaが形成されている。この切り欠き部107kA、107kaは、ガイド溝部107yに連絡している。
【0025】
上述した構成において、保持突起部106bと切り欠き部107kAとの位相を合わせるとともに、ガイド突起部106yと切り欠き部107kaとの位相を合わせることにより、固定鏡筒106を回転鏡筒107の内側に組み込むことができる。
【0026】
組み込み後、保持突起部106bおよびガイド突起部106yは図16および図17に示すようにガイド溝部107yに沿って移動可能となり、回転鏡筒107は固定鏡筒106に対して光軸周りにのみ回転可能となる。
【0027】
ここで、ガイド突起部106yの周方向長さは、保持突起部106bの周方向長さよりも短くなっている。これは回転鏡筒107を光軸周りに回転させ、保持突起部106bを切り欠き部107kaに対応する位置まで移動させたときに、保持突起部106bが切り欠き部107kaから抜け出ないようにするためである。
【0028】
また、回転鏡筒107は、図15に示す位相状態から図17に示す位相状態まで回転可能となっている。なお、本実施形態では後述するようにレンズ鏡筒が沈胴状態からテレ状態に切り換わるまでに、回転鏡筒107が光軸周りに171°回転するようになっている。
【0029】
一方、保持突起部106bの上面略中央には、図8に示すように凹部106b1が形成されており、この凹部106b1には球部材(摺動部材)150がはめ込まれている。また、ガイド突起部106yの上面にも不図示の凹部が形成されており、この凹部に球部材150がはめ込まれている。
【0030】
球部材150は、ガイド溝部107yの底面に当接することで回転鏡筒107の光軸直交方向への変位を抑制している。また、保持突起部106bおよびガイド突起部106yの側面がガイド溝部107yの側面に当接することで回転鏡筒107が光軸方向に変位するのを阻止している。
【0031】
そして、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対して光軸周りに回転すると、球部材150はガイド溝部107yの底部を回転若しくは静止しながら摺動する。
【0032】
このようにガイド溝部107yに対して摺動する部材を球形状に構成することにより、球部材150とガイド溝部107yとの接触面積が、従来技術(面接触)よりも小さくなるため、回転鏡筒107と固定鏡筒106とが光軸周りに相対回転する際の摺動音を低減できる。その結果、レンズ駆動に伴い発生する摺動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えるのを防止できる。
【0033】
また、本実施形態では、上述したように接触面積を小さくすることにより、球部材150およびガイド溝部107yの間に発生する摩擦力を低減することができるため、小さな駆動力でレンズを駆動することが可能となる。更に、駆動力を小さいと、駆動源を小型化できるためレンズ鏡筒やレンズ鏡筒を備えたカメラを小型化することも可能となる。
【0034】
また、駆動源の駆動力をギヤ列を用いて回転鏡筒107と固定鏡筒106に伝達させる場合、駆動源の駆動トルクを低減することができ、ギヤ同士の噛み合い作用により発生するノイズを低減することもできる。
【0035】
ここで、球部材150は、固定鏡筒106の外周に形成された2つの保持突起部106bおよび5つのガイド突起部106yのうちいずれに設けてもよい。また、1つの保持突起部106b又はガイド突起部106yに複数の球部材150を設けるようにしてもよい。具体的には、固定鏡筒106の外周のうち光軸を挟んでほぼ対向する位置に形成された2つの保持突起部106bに球部材150を配置することができる。
【0036】
なお、球部材150の材質には、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対してスムーズに回転できるようなものであればどのような材質であってもよい。具体的には、公知のベアリングに用いられるステンレス、プラスティック、ゴムなどを用いることができる。
【0037】
また、本実施形態では保持突起部106b(ガイド突起部106y)の先端(凹部106b1)に球部材150を配置して、ガイド溝部107yに対して摺動させることにより回転鏡筒107をスムーズに回転させているが、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対して問題なく回転することができるようなものであれば、どのような構成であってもよい。
【0038】
すなわち、保持突起部106b(ガイド突起部106y)および球部材150を一体形成してもよい。
【0039】
さらに、球部材150の周面やガイド溝部107yの内周面に潤滑剤、例えばグリースや潤滑油を塗布することもできる。これにより、球部材150がガイド溝部170yに対して摺動する際に、球部材150やガイド溝部170yが摩耗したり、球部材150およびガイド溝部170yの当接面に摩擦熱が発生したりするのを防止することができる。
【0040】
本実施形態のレンズ鏡筒では、固定鏡筒106の外周に2つの保持突起部106bおよび5つのガイド突起部106yを設けているが、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対して光軸方向で位置決めされた状態で回転できるものであれば保持突起部106bおよびガイド突起部106yの数や配置位置は適宜設定することができる。
【0041】
図1から図4において、108は、第1移動レンズ102を保持する第1レンズ枠である。この第1レンズ枠108の外周には、鏡筒本体101の内周面に形成された光軸方向に延びる直進ガイド溝部101aに係合する凸部108aが形成されている。
【0042】
また、第1レンズ枠108の内周面にはテーパコロ109が取り付けられており、このテーパコロ109は回転鏡筒107の外周面に形成されたカム溝部107cに係合する。
【0043】
110はレンズ名称などを表示したシートであり、第1レンズ枠108の前面に固定されている。111〜114はガイドバーであり、鏡筒本体101および固定鏡筒106により光軸方向に略平行な方向に保持されている。
【0044】
115は第2移動レンズ103を保持する第2レンズ枠である。この第2レンズ枠115には、スリーブ115aおよびUガイド溝部115bが形成されており、スリーブ115aはガイドバー111に係合しており、Uガイド溝部115bはガイドバー112に係合している。これにより、第2レンズ枠115は、ガイドバー111、112により光軸周りの回転が阻止され、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0045】
116は第2レンズ枠115に一体形成されたテーパコロであり、回転鏡筒107の内周面に形成されたカム溝部107dに係合する。
【0046】
117は円筒コロであり、先端側が若干小さい径となるように形成されている。円筒コロ117は、図3および図4に示すようにレンズ鏡筒が撮影可能状態(ワイド状態およびテレ状態間)にあるとき、回転鏡筒107の外周面に形成された光軸にほぼ垂直な面(垂直面)107gと若干の隙間を持った状態にある。
【0047】
ここで、レンズ鏡筒外部から第2移動レンズ102、第1レンズ枠108又はシート110に光軸方向の力が加わると、テーパコロ109はカム溝部107cに沿って撓みながら光軸方向に移動するが、円筒コロ117が垂直面107gに突き当たり外力を吸収することによってテーパコロ109が大きく変形するのを防止している。
【0048】
118は第3移動レンズ104を保持する第3レンズ枠である。この第3レンズ枠118には、スリーブ118aおよびUガイド溝部118bが形成されており、スリーブ118aはガイドバー113に係合しており、Uガイド溝部118bはガイドバー114に係合している。これにより第3レンズ枠118は、ガイドバー113、114により光軸周りの回転が阻止され、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0049】
119は第3レンズ枠118に取り付けられたテーパコロであり、回転鏡筒107の内周面に形成されたカム溝部107eに係合する。120は光量を調節する絞り装置であり、第3レンズ枠118に取り付けられ、第3レンズ枠118とともに光軸方向に移動する。
【0050】
121は絞り装置120を駆動する絞りモータであり、撮影光束の近傍であって、レンズ鏡筒の正面における向かって右側に配置されている。
【0051】
122はフレキシブルプリント基板(FPC)であり、不図示の制御部からの駆動信号を絞りモータ121に伝達する。このFPC122は曲げ部122aを有しており、絞り装置120の光軸方向の移動に応じて変形可能である。
【0052】
123は第4レンズ枠であり、図2に示すように第4移動レンズ105をレンズ保持板124とともに挟み込んで保持する。第4レンズ枠123には、スリーブ123aおよびUガイド溝部123bが形成されており、スリーブ123aはガイドバー113に係合しており、Uガイド溝部123bはガイドバー114に係合している。これにより第4レンズ枠123は、ガイドバー113、114により光軸周りの回転が阻止され、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0053】
126は第4レンズ枠123に取り付けられたラックであり、このラック126はコイルバネ125によって第4レンズ枠123側に片寄せされている。
【0054】
127は第4移動レンズ105を光軸方向に移動させる際の駆動源となるステッピングモータであり、図5に示すように長方形状の撮像画像のうち長辺側近傍に配置されている。このステッピングモータ127は、出力軸として形成された送りネジ部128と、この送りネジ部128に一体的に構成されたマグネットロータおよびこのマグネットロータを電磁駆動するコイルを収容した駆動部127aとから構成されている。
【0055】
送りネジ部128はラック126と噛み合い、ステッピングモータ127が作動して送りネジ部128が回転すると、送りネジ部128およびラック126の噛み合い作用によって第4レンズ枠123が光軸方向に移動する。
【0056】
129はステッピングモータ127を保持するためのモータ保持部材である。このモータ保持部材129は、所定の抜き形状の金属板を折り曲げることによって製作されたものであり、略コの字状に形成された本体部129bと、光軸直交方向に曲げ形成された鏡筒取り付け部129bとを有している。
【0057】
ここで、本体部129bは、ステッピングモータ127の駆動部127aを固定保持するとともに、駆動部127aに連結する送りねじ部128を回転可能に保持する。
【0058】
モータ127が取り付けられたモータ保持部材129は、鏡筒本体101内に光軸方向後方(CCD側)から挿入され、鏡筒取り付け部129aが鏡筒本体101の後端面(不図示)に当接した状態でビスにより固定される。これにより、モータ保持部材129は光軸方向において位置決めされる。
【0059】
ここで、鏡筒取り付け部129aは、駆動部127aの近傍に形成され、鏡筒取り付け部129aおよび駆動部127aが光軸周りに並ぶように配置されている。このため、ラック126や第4レンズ枠123が光軸方向に移動しても鏡筒取り付け部129aと干渉することはなく、また、モータ127を光軸に寄せて配置することができることにより、レンズ鏡筒の径方向の大型化を防止することができる。
【0060】
また、モータ保持部材129の鏡筒本体101への取り付けは、鏡筒取り付け部129aをCCD側から鏡筒本体101の後端面に当接させるだけであるため、鏡筒本体101の外周にモータ保持部材129を取り付けるための切り欠き部等を設けることなく容易にモータ保持部材129を鏡筒本体101に取り付けることができる。
【0061】
さらに図5に示すように、モータ保持部材129およびモータ127を、長方形状のCCD撮像画における長辺側近傍に配置することにより、モータ保持部材129およびモータ127をCCD撮影画の短辺側近傍に配置する場合に比べてモータ127等を光軸に寄せることができる。
【0062】
これにより、モータ保持部材129およびモータ127が収納される鏡筒本体101や、鏡筒本体101の外周に配置される回転鏡筒107の径を小さくすることができ、レンズ鏡筒全体を小型化(小径化)することができる。
【0063】
130は鏡筒本体101に取り付けられる減速機付きのステッピングモータで、長方形状のCCD撮影画における2つの長辺のうちステッピングモータ127が配置されている側の長辺と対向する長辺の近傍に配置されている。
【0064】
これにより、ステッピングモータ130を光軸に寄せて配置することができ、ステッピングモータ130が収納される鏡筒本体101や、鏡筒本体101の外周に配置される回転鏡筒107の径を小さくすることができ、レンズ鏡筒全体を小型化(小径化)することができる。
【0065】
131はステッピングモータ130の出力ギヤと噛み合うギヤであり、鏡筒本体101に回転可能に取り付けられている。132は大ギヤ部132aおよび小ギヤ部132bとで構成される段ギヤであり、大ギヤ部132aはギヤ131と噛み合い、小ギヤ部132bは回転鏡筒107の外周に形成された外周ギヤ部107iと噛み合う。
【0066】
133は鏡筒本体101にビスにより固定されるストッパであり、段ギヤ132の光軸方向の移動を阻止する。また、ストッパ133に形成された回転ストッパ部133aは、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際に回転鏡筒107の後端部に形成された凸部107hに当接可能であり、凸部107hとの当接により回転鏡筒107の回転量を所定量に制限する。
【0067】
ここで、カム溝部107c、カム溝部107eおよび垂直面107gは、回転鏡筒107の先端側から後端部まで連続して形成されており、回転鏡筒107の後端からテーパコロ109、116、119および円筒コロ117のぞれぞれをガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gに組み込むことができるようになっている。
【0068】
また、ストッパ部113の鏡筒本体101への取り付け方法は、具体的には以下のように行う。まず、上述したコロ(テーパコロ109、116、119、円筒コロ117)の組み込み後に、回転鏡筒107を光軸周り一方向に回転させることにより、これらのコロそれぞれをガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gに沿って移動させ、ガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gにおける使用領域内(テレ状態から沈胴状態までの領域内)まで移動させる。そして、ストッパ113を鏡筒本体101に固定する。
【0069】
これにより、回転鏡筒107が光軸周り他方向に回転しても、所定量回転した時点で凸部107iがストッパ113の回転ストッパ部113aに当接して回転鏡筒107の回転を阻止するため、回転鏡筒107がこれ以上回転してコロがガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gから外れるのを防止するようになっている。
【0070】
134は回転鏡筒位置検出装置であり、回転鏡筒107の凸部107hがこの位置検出装置134に設けられたセンサの間を通過することにより回転鏡筒107の回転位置を検出する。135は第4レンズ位置検出装置であり、第4レンズ枠123の遮光突起部(不図示)がこの位置検出装置135に設けられたセンサの間を通過することにより、第4レンズ枠123の光軸方向の位置を検出する。
【0071】
136はフレキシブルプリント基板(FPC)であり、不図示の制御部からの所定の制御信号をステッピングモータ127、130、回転鏡筒位置検出装置134、第4レンズ位置検出装置135に伝達する。
【0072】
一方、本実施形態のレンズ鏡筒の外周には、図6に示すようにモータ602が配置される。ここで、603はモータ602を支持する支持部材であり、601はレンズ鏡筒の外周に配置され、支持部材603が固定される保持部材である。
【0073】
上述したレンズ鏡筒の構造において、レンズ鏡筒を沈胴状態からワイド状態に切り換える際の動作を説明する。
【0074】
レンズ鏡筒が図2に示す沈胴状態にあるとき、不図示の制御部からFPC136上の配線を介してステッピングモータ130に所定の回転信号が伝達されると、ステッピングモータ130が時計方向又は反時計方向に回転する。
【0075】
このステッピングモータ130の回転力は、ギヤ131、段ギヤ132を介して回転鏡筒107の外周ギヤ部107iに伝達され、回転鏡筒107が光軸周り一方向に回転し始める。
【0076】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転すると、第1レンズ枠108は、テーパコロ109と回転鏡筒107のカム溝部107cとのカム係合作用および突起108aと直進ガイド溝部101aとの係合作用により光軸方向に移動する。
【0077】
また、第2レンズ枠115も、テーパコロ116と回転鏡筒107のカム溝部107dとのカム係合作用およびガイドバー111、112との係合作用により光軸方向に移動する。
【0078】
さらに、第3レンズ枠118も、テーパコロ119と回転鏡筒107のカム溝部107eとのカム係合作用およびガイドバー113、114との係合作用により光軸方向に移動する。
【0079】
なお、第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118の光軸方向移動量はそれぞれ、カム溝部107c、107d、107eのカムリフト量に応じた移動量となる。
【0080】
回転鏡筒107が光軸周りに回転して凸部107hが回転鏡筒検出装置134のセンサの隙間に入り込むと、回転鏡筒検出装置134において回転鏡筒107の回転位置が検出される。
【0081】
回転鏡筒107の回転位置が検出された時点で不図示の制御部からステッピングモータ130に所定数の駆動パルスが入力され、回転鏡筒107はレンズ鏡筒がワイド状態となる位置まで回転する。
【0082】
これにより、第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118は、図3に示すワイド状態の位置まで移動する。
【0083】
一方、不図示の制御部は、第4レンズ枠検出装置135の出力信号に基づいて第4レンズ枠123の位置検出を行い、この検出結果に基づいてステッピングモータ127に所定数の駆動パルスを出力する。
【0084】
これにより、ステッピングモータ127が回転し、この回転力が送りねじ部128およびラック126を介して第4レンズ枠123に伝達され、第4レンズ枠123が光軸方向に移動する。そして、第4レンズ枠123は図3に示すワイド状態の位置で停止する。
【0085】
次に、本実施形態のレンズ鏡筒をワイド状態から沈胴状態に切り換える際の動作を説明する。
【0086】
不図示の制御部からステッピングモータ127に所定の回転信号が入力されることにより、第4レンズ枠123は沈胴状態になったときに他のレンズ枠(第3レンズ枠118)と干渉しない位置まで移動する。
【0087】
また、ステッピングモータ130に所定の回転信号が入力されることにより、ステッピングモータ130は、レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に切り換わるときのステッピングモータ130の回転方向と反対の方向に回転して、回転鏡筒107を沈胴状態に対応する位置まで回転させる。
【0088】
ここで、回転鏡筒107が回転すると、この回転鏡筒107に形成されたカム溝部107c、107d、107eと各レンズ枠108、115、118に取り付けられたテーパコロ109、116、119とのカム係合作用によって第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118は光軸方向に移動して図3に示す沈胴状態の位置で停止する。この動作は、レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に切り換わる際の動作と反対の動作となる。
【0089】
次に、本実施形態であるレンズ鏡筒のズーム動作、具体的にはワイド状態からテレ状態に切り換える動作について説明する。
【0090】
レンズ鏡筒が図3に示すワイド状態にあるときに、不図示の制御部からステッピングモータ130に所定の回転信号が入力されると、ステッピングモータ130の回転力が回転鏡筒107に伝達されることにより回転鏡筒107が光軸周りに回転する。
【0091】
これにより、回転鏡筒107に形成されたカム溝部107c、107d、107eとコロ109、116、119とのカム係合作用によって第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118が光軸方向に移動する。
【0092】
ここで、回転鏡筒107の回転を回転鏡筒検出装置134により検出し、この検出結果に基づいて回転鏡筒107を所定のテレ位置まで回転させる。これにより、第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118が、図4に示すテレ状態の位置まで移動する。
【0093】
また、各レンズ枠108、115、118の光軸方向の移動に応じて、ステッピングモータ127に回転信号が入力されることにより、第4レンズ枠123が光軸方向に移動して図4に示すテレ状態の位置で停止する。これにより、レンズ鏡筒のズーミング動作が行われる。
【0094】
一方、レンズ鏡筒をテレ状態からワイド状態に切り換える場合には、上述した動作と反対の動作が行われる。
【0095】
なお、本実施形態ではデジタルカメラに用いられるレンズ鏡筒について説明したが、ビデオカメラや銀塩カメラなどにも本実施形態を適用することができる。
【0096】
また、本実施形態では、回転鏡筒107の内周面にガイド溝部107yを形成するとともに、固定鏡筒106の外周面に突起部(保持突起部106b、ガイド突起部106y)を形成し、この突起部の先端に球部材を設けているが、固定鏡筒106の外周面にガイド溝部を形成するとともに、回転鏡筒107の内周面に突起部を形成し、この突起部の先端に球部材150を設けるようにしてもよい。
【0097】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態であるレンズ鏡筒について図9を用いて説明する。ここで、第1実施形態において説明した部材と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
【0098】
第1実施形態のレンズ鏡筒では、図8に示すように保持突起部106bの上面中央に形成された凹部106b1に球部材150を配置しているが、本実施形態のレンズ鏡筒では、図9に示すように保持突起部106bにおける光軸方向一端側に切り欠き部106b2(切り欠き形状部)が形成されており、この切り欠き部106b2に球部材150が配置されている。
【0099】
また、不図示であるが、固定鏡筒106の外周に形成されたガイド突起部106yにも切り欠き部106b2と同様の切り欠き部が形成されており、この切り欠き部には球部材150が配置されている。
【0100】
上述した構造において、球部材150がガイド溝部107yの一方の側面(レンズ鏡筒先端側の側面)に当接可能であるとともに、保持突起部106bおよびガイド突起部106yがガイド溝部107yの他方の側面に当接可能である。これにより、回転鏡筒107は光軸方向において位置決めされた状態となる。
【0101】
また、球部材150がガイド溝部107yの底面に当接可能であることにより、回転鏡筒107をこの径方向において位置決めしている。
【0102】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際、球部材150は回転したり、静止したりしながらガイド溝部107yに対して摺動する。ここで、球部材150の表面やガイド溝部107yの表面に潤滑剤を塗布することができる。
【0103】
なお、本実施形態のレンズ鏡筒における他の構造は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒の構造と同じである。
【0104】
また、本実施形態においても第1実施形態と同様に保持突起部106bおよびガイド突起部106yが固定鏡筒106の外周に複数設けられているが、これらの保持突起部106bおよびガイド突起部106yのうちいずれかの突起部(106b、106y)に球部材150を配置することができる。
【0105】
さらに、本実施形態では保持突起部106bのうちレンズ鏡筒先端側(被写体側)の端部に切り欠き部106b2を形成しているが、保持突起部106bのうちレンズ鏡筒後端側(像面側)の端部に切り欠き部106b2を形成してもよい。
【0106】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態であるレンズ鏡筒について図10を用いて説明する。ここで、第1実施形態において説明した部材と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
【0107】
第1実施形態のレンズ鏡筒では、図8に示すように球部材150をガイド溝部107yの底面に当接させているが、本実施形態のレンズ鏡筒では、ガイド溝部107yの底面に曲面を持つ凹部107uを形成し、この凹部107uに球部材150の一部を当接させている。この凹部107uは、ガイド溝部107yと同様に、回転鏡筒107の周方向に延びている。
【0108】
ここで、保持突起部106bの構成は第1実施形態のレンズ鏡筒と同じであり、保持突起部106bの上面中央に凹部106b1が形成され、この凹部106b1に球部材150がはめ込まれている。
【0109】
また、不図示であるがガイド突起部106yにも保持突起部106bの凹部106b1と同様の凹部が形成されており、この凹部に球部材150がはめ込まれている。この球部材150もガイド溝部107yに形成された凹部107uに当接する。
【0110】
上述した構造において、球部材150がガイド溝部107yに形成された凹部107uに当接することにより、回転鏡筒107を光軸方向および半径方向において位置決めしている。
【0111】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際、球部材150は回転したり、静止したりしながら凹部107uに対して摺動する。
【0112】
なお、本実施形態におけるレンズ鏡筒の他の構造は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒の構造と同じである。
【0113】
また、本実施形態では、第1実施形態における構成に加えて、ガイド溝部107yの底面に球部材150と当接する凹部107uを形成した構成としているが、第2実施形態における構成に加えてガイド溝部107yに本実施形態における凹部107uと同様の凹部を形成してもよい。
【0114】
すなわち、第2実施形態において、球部材150が当接するガイド溝部107yの底面および一側面に凹部107uと同様の凹部を形成してもよい。
【0115】
更に、本実施形態では凹部107yの形状を曲面としたが、V字状や台形形状に形成してもよい。
【0116】
凹部107yをV字状に形成した場合、球部材150は、凹部107yと2点において接触する。凹部107yを台形形状に形成した場合、球部材150は、凹部107yと3点において接触する。
【0117】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態であるレンズ鏡筒について図11を用いて説明する。ここで、第1実施形態において説明した部材と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
【0118】
第1実施形態から第3実施形態のレンズ鏡筒では、保持突起部106bおよびガイド突起部106yのうち所定の位置(凹部106b1又は切り欠き部106b2)に球部材150が配置されており、球部材150は所定の位置から動くことなくガイド溝部107yに対して摺動する。
【0119】
一方、本実施形態のレンズ鏡筒では、図11に示すように回転鏡筒107の周方向に延びる保持突起部106bに、この長手方向に延びる長穴部106nが形成されており、この長穴部106nに球部材150が回転可能にはめ込まれている。
【0120】
また、不図示であるが、固定鏡筒106の外周に形成されたガイド突起部106yにもこのガイド突起部106yの長手方向に延びる長穴部が形成されており、この長穴部に球部材150がはめ込まれている。
【0121】
上述した構造において、球部材150がガイド溝部107yの底面に当接することにより、回転鏡筒107をこの径方向において位置決めしている。また、保持突起部106bの側面がガイド溝部107yの側面に当接することにより、回転鏡筒107を光軸方向において位置決めしている。
【0122】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際、球部材150は長穴部106n内を移動しながらガイド溝部107yの底面に対して摺動する。これにより、回転鏡筒107は固定鏡筒106の外周をスムーズに回転することができる。
【0123】
なお、本実施形態のレンズ鏡筒における他の構造は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒の構造と同じである。
【0124】
また、本実施形態における構成に加えて、ガイド溝部107yの底面に曲面形状をもつ凹部を形成し、この凹部に球部材150を当接させるようにしてもよい。
【0125】
さらに、本実施形態では、突条に形成された保持突起部106b(ガイド突起部106y)の上面中央に長手方向に延びる長穴部106nを形成して、この長穴部106n内に球部材150を配置しているが、突条に形成された保持突起部106b(ガイド突起部106y)のうち光軸方向一端側に長手方向に延びる切り欠き部(切り欠き形状部)を形成して、この切り欠き部内に球部材150を配置するようにしてもよい。
【0126】
このように保持突起部106bに切り欠き部を形成した場合において、ガイド溝部107yの底面および一側面に曲面形状を持つ凹部を形成し、この凹部に球部材150を当接させるようにしてもよい。
【0127】
以上説明した各実施形態は、以下に示す各発明を実施した場合の一例でもあり、下記の各発明は上記各実施形態に様々な変更や改良が加えられて実施されるものである。
【0128】
〔発明1〕 内側にレンズ部材が配置された第1の筒状部材と、この第1の筒状部材の外側に配置された第2の筒状部材とを有し、前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材が光軸周りに相対的に回転することにより前記レンズ部材を光軸方向に移動可能なレンズ鏡筒において、
前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材のうち一方の筒状部材に形成され、この一方の筒状部材の周方向に延びるガイド溝部と、
他方の筒状部材に凸状に形成され、前記第1の筒状部材と前記第2の筒状部材との相対回転により前記ガイド溝部に対して摺動可能な摺動部材とを有し、
前記摺動部材における、前記ガイド溝部に対して摺動する部分が球面であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【0129】
〔発明2〕 前記摺動部材が球部材であることを特徴とする発明1に記載のレンズ鏡筒。
【0130】
〔発明3〕 前記球部材は、前記他方の筒状部材に形成された凹部内に保持され、前記ガイド溝部の底面に対して摺動可能であることを特徴とする発明2に記載のレンズ鏡筒。
【0131】
〔発明4〕 前記凹部は、前記球部材を前記他方の筒状部材周方向への移動を許容するように保持していることを特徴とする発明3に記載のレンズ鏡筒。
【0132】
〔発明5〕 前記他方の筒状部材には切り欠き形状部が設けられ、
前記球部材は、この切り欠き形状部の光軸方向端面、前記ガイド溝部のうち前記光軸方向端面と向かい合う端面、及び前記ガイド溝部の底面に接触していることを特徴とする発明2に記載のレンズ鏡筒。
【0133】
〔発明6〕 前記ガイド溝部の底面に、前記球部材が面又は複数の点で接触する溝部を設けたことを特徴とする発明3から5のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【0134】
〔発明7〕 発明1から6のいずれかに記載のレンズ鏡筒を有することを特徴とする光学機器。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レンズ鏡筒の駆動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるレンズ鏡筒の分解斜視図。
【図2】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸方向断面図(沈胴状態)。
【図3】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸方向断面図(ワイド状態)。
【図4】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸方向断面図(テレ状態)。
【図5】第1実施形態であるレンズ鏡筒の背面図。
【図6】第1実施形態であるレンズ鏡筒の周囲の構造における分解斜視図。
【図7】従来技術であるレンズ鏡筒の部分断面図。
【図8】(a)第1実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
(b)係合保持突起部の上面図。
【図9】(a)第2実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
(b)係合保持突起部の上面図。
【図10】第3実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
【図11】(a)第4実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
(b)球部材が配置された係合保持突起部の上面図。
【図12】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図13】第1実施形態であるレンズ鏡筒の部分拡大図。
【図14】従来技術であるレンズ鏡筒の分解斜視図。
【図15】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図16】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図17】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図18】第1実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラの正面図。
【符号の説明】
101:鏡筒本体
102:第1移動レンズ 103:第2移動レンズ
104:第3移動レンズ 105:第4移動レンズ
106:固定鏡筒 107:回転鏡筒
107a:内径リブ 107c:カム溝部
107d:カム溝部 107e:カム溝部
107g:垂直面 107h:凸部 107i:外周ギヤ部
107kA:切り欠き部 107ka:切り欠き部
107u:凹部 108:第1レンズ枠 109:テーパコロ
110:シート 111〜114:ガイドバー
115:第2レンズ枠 116:テーパコロ 117:円筒コロ
118:第3レンズ枠 118a:スリーブ 118b:Uガイド溝部
119:テーパコロ 120:絞り装置 121:絞りモータ
122:FPC 123:第4レンズ枠 123a:スリーブ
123b:Uガイド溝部 124:レンズ保持板
125:コイルバネ 126:ラック 127:ステッピングモータ
128:送りネジ部 129:モータ保持部材 129a:鏡筒取り付け部
130:ステッピングモータ 131:ギヤ 132:段ギヤ
132a:大ギヤ部 132b:小ギヤ部 133:ストッパ
133a:回転ストッパ部 134:回転鏡筒位置検出装置
135:第4レンズ位置検出装置 136:FPC 150:球部材
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ等の光学機器に用いられるレンズ鏡筒であって、レンズ部材を光軸方向に進退させるために光軸周りに相対的に回転する2つの筒状部材の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カメラ(デジタルカメラ等)に使用されるレンズ鏡筒には、図14に示す構造のものがある。同図において、回転鏡筒107の内側には固定鏡筒106がはめ込まれ、固定鏡筒106は鏡筒本体101に光軸方向からのネジ止めにより固定される。回転鏡筒107は、ギヤ列を介してステッピングモータ130と連結しており、ステッピングモータ130からの駆動力を受けることにより光軸周りに回転する。
【0003】
回転鏡筒107の回転は、不図示のカム機構により撮影レンズ102〜105の光軸方向への移動に変換され、撮影レンズ102〜105が光軸方向に移動することによりズーミングが行われるようになっている。
【0004】
ここで、図7に示すように固定鏡筒106の外周面には立方体状の係合保持突起部106bが形成され、回転鏡筒107の内周面には係合保持突起部106bと係合するガイド溝部107yが形成されている。ガイド溝部107yおよび係合保持突起部106bが係合することにより、回転鏡筒107の光軸方向の位置決めがなされる。
【0005】
一方、回転鏡筒107が光軸周りに回転するときには、ガイド溝部107が係合保持突起部106bに対して摺動するようになっている。
【0006】
なお、図14に示すレンズ鏡筒の構成部品のうち上述した部品以外の部品については後述する発明の実施の形態で説明する部材と同じであり、同一部材については同一符号を用いている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−90611号公報
【特許文献2】
特開2001−183565号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
デジタルカメラを用いた撮影では、静止画撮影が主体として行われているため、レンズ鏡筒の駆動音は撮影に影響を与えるものではない。
【0009】
しかしながら、現在のデジタルカメラの流れは、静止画撮影だけでなく動画撮影もできるようなものが求められており、レンズ鏡筒の駆動音によるノイズが動画撮影の際に録音されないようにするためには駆動音を小さくする必要がある。
【0010】
ここで、レンズ鏡筒の駆動音には、上述したようにガイド溝部107yおよび係合保持突起部106bが摺動する際に生じる音といったレンズ鏡筒の構成部品同士の摺動音や、ステッピングモータに連結する歯車の摺動音といったものがある。
【0011】
上述した従来技術のレンズ鏡筒においてズーミング動作を行うと、係合保持突起部106bのうちカメラ本体に近い側の光軸方向端面とこの端面と向き合うガイド溝部107の側面とが面接触しながら摺動する。このため、摺動音が大きくなり音声ノイズとして動画撮影に影響を与えることがある。
【0012】
また、回転鏡筒107を回転させるためには、この回転トルクに応じた駆動力を発生するステッピングモータが必要であるが、この駆動力に応じてステッピングモータの出力軸に連動する歯車から摺動音が発生し、この摺動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えることがある。
【0013】
そこで、本発明は、レンズ鏡筒の構成部品同士の摺動音を小さくするとともに、回転鏡筒の回転トルクを減らしてステッピングモータの出力軸に連動する歯車に負荷されるトルクを減らすことで歯車から発生する摺動音を小さくし、レンズ鏡筒の駆動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えるのを防止することができるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は内側にレンズ部材が配置された第1の筒状部材と、この第1の筒状部材の外側に配置された第2の筒状部材とを有し、第1の筒状部材および第2の筒状部材が光軸周りに相対的に回転することによりレンズ部材を光軸方向に移動可能なレンズ鏡筒において、第1の筒状部材および第2の筒状部材のうち一方の筒状部材に形成され、この一方の筒状部材の周方向に延びるガイド溝部と、他方の筒状部材に凸状に形成され、第1の筒状部材および第2の筒状部材の相対回転によりガイド溝部に対して摺動可能な摺動部材とを有し、摺動部材が、ガイド溝部に対して点で接触するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1から図5を用いて本発明の第1実施形態であるレンズ鏡筒の構成について説明する。ここで、図1はレンズ鏡筒の分解斜視図であり、図2は沈胴状態におけるレンズ鏡筒の光軸方向断面図である。また、図3はワイド状態におけるレンズ鏡筒の光軸方向断面図であり、図4はテレ状態におけるレンズ鏡筒の光軸方向断面図である。図5はレンズ鏡筒を光軸方向後方から見た図である。さらに、図18に本実施形態のレンズ鏡筒を備えたカメラの外観図を示す。
【0016】
図18において、10はカメラ本体であり、このカメラ本体10の前面中央にはズーミングが可能なレンズ鏡筒11が設けられている。また、カメラ本体10の前面における向かって右側には被写体に照明光を照射するストロボ装置を構成する発光窓部12が設けられ、発光窓部12の左側にはファインダ窓14および測光窓13がそれぞれ設けられている。
【0017】
さらに、カメラ本体10の上面には、撮影準備動作(焦点調節動作および測光動作)及び撮影動作(フィルムやCCD等の撮像素子への露光)を開始させるためのレリーズボタン15が設けられている。
【0018】
図1から図5において、101はレンズ鏡筒全体を支える鏡筒本体であり、この光軸方向後端部にはCCD取り付け部111aが設けられている。なお、以下に説明する各部材は、段ギヤ132を除き全て鏡筒本体101内に収納可能である。
【0019】
102は第1移動レンズ、103は第2移動レンズ、104は第3移動レンズ、105は第4移動レンズである。
【0020】
107は回転鏡筒(第1の筒状部材)であり、内周面にカム溝部107d、107eが形成され、外周面にカム溝部107cが形成されている。
【0021】
また、回転鏡筒107の内周面後端には、回転鏡筒107の周方向に延びるガイド溝部107yが形成されている。さらに、回転鏡筒107の後端部には、内径リブ107aが形成されている。
【0022】
106は固定鏡筒(第2の筒状部材)であり、この外周面には突き当て部106a、保持突起部106bおよびガイド突起部106yが形成されている。保持突起部106bは、図15に示すように固定鏡筒106の外周上における光軸を挟んで対向する位置に設けられている。
【0023】
また、ガイド突起部106yは、図15に示すように固定鏡筒106の外周のうち2つの保持突起部106bで挟まれる一方の領域内に2つ設けられ、他方の領域内に3つ設けられている。
【0024】
また、回転鏡筒107の後端部には、図15に示すように保持突起部106bの位置および大きさに対応した切り欠き部107kAが形成されているとともに、ガイド突起部106yの位置および大きさに対応した切り欠き部107kaが形成されている。この切り欠き部107kA、107kaは、ガイド溝部107yに連絡している。
【0025】
上述した構成において、保持突起部106bと切り欠き部107kAとの位相を合わせるとともに、ガイド突起部106yと切り欠き部107kaとの位相を合わせることにより、固定鏡筒106を回転鏡筒107の内側に組み込むことができる。
【0026】
組み込み後、保持突起部106bおよびガイド突起部106yは図16および図17に示すようにガイド溝部107yに沿って移動可能となり、回転鏡筒107は固定鏡筒106に対して光軸周りにのみ回転可能となる。
【0027】
ここで、ガイド突起部106yの周方向長さは、保持突起部106bの周方向長さよりも短くなっている。これは回転鏡筒107を光軸周りに回転させ、保持突起部106bを切り欠き部107kaに対応する位置まで移動させたときに、保持突起部106bが切り欠き部107kaから抜け出ないようにするためである。
【0028】
また、回転鏡筒107は、図15に示す位相状態から図17に示す位相状態まで回転可能となっている。なお、本実施形態では後述するようにレンズ鏡筒が沈胴状態からテレ状態に切り換わるまでに、回転鏡筒107が光軸周りに171°回転するようになっている。
【0029】
一方、保持突起部106bの上面略中央には、図8に示すように凹部106b1が形成されており、この凹部106b1には球部材(摺動部材)150がはめ込まれている。また、ガイド突起部106yの上面にも不図示の凹部が形成されており、この凹部に球部材150がはめ込まれている。
【0030】
球部材150は、ガイド溝部107yの底面に当接することで回転鏡筒107の光軸直交方向への変位を抑制している。また、保持突起部106bおよびガイド突起部106yの側面がガイド溝部107yの側面に当接することで回転鏡筒107が光軸方向に変位するのを阻止している。
【0031】
そして、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対して光軸周りに回転すると、球部材150はガイド溝部107yの底部を回転若しくは静止しながら摺動する。
【0032】
このようにガイド溝部107yに対して摺動する部材を球形状に構成することにより、球部材150とガイド溝部107yとの接触面積が、従来技術(面接触)よりも小さくなるため、回転鏡筒107と固定鏡筒106とが光軸周りに相対回転する際の摺動音を低減できる。その結果、レンズ駆動に伴い発生する摺動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えるのを防止できる。
【0033】
また、本実施形態では、上述したように接触面積を小さくすることにより、球部材150およびガイド溝部107yの間に発生する摩擦力を低減することができるため、小さな駆動力でレンズを駆動することが可能となる。更に、駆動力を小さいと、駆動源を小型化できるためレンズ鏡筒やレンズ鏡筒を備えたカメラを小型化することも可能となる。
【0034】
また、駆動源の駆動力をギヤ列を用いて回転鏡筒107と固定鏡筒106に伝達させる場合、駆動源の駆動トルクを低減することができ、ギヤ同士の噛み合い作用により発生するノイズを低減することもできる。
【0035】
ここで、球部材150は、固定鏡筒106の外周に形成された2つの保持突起部106bおよび5つのガイド突起部106yのうちいずれに設けてもよい。また、1つの保持突起部106b又はガイド突起部106yに複数の球部材150を設けるようにしてもよい。具体的には、固定鏡筒106の外周のうち光軸を挟んでほぼ対向する位置に形成された2つの保持突起部106bに球部材150を配置することができる。
【0036】
なお、球部材150の材質には、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対してスムーズに回転できるようなものであればどのような材質であってもよい。具体的には、公知のベアリングに用いられるステンレス、プラスティック、ゴムなどを用いることができる。
【0037】
また、本実施形態では保持突起部106b(ガイド突起部106y)の先端(凹部106b1)に球部材150を配置して、ガイド溝部107yに対して摺動させることにより回転鏡筒107をスムーズに回転させているが、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対して問題なく回転することができるようなものであれば、どのような構成であってもよい。
【0038】
すなわち、保持突起部106b(ガイド突起部106y)および球部材150を一体形成してもよい。
【0039】
さらに、球部材150の周面やガイド溝部107yの内周面に潤滑剤、例えばグリースや潤滑油を塗布することもできる。これにより、球部材150がガイド溝部170yに対して摺動する際に、球部材150やガイド溝部170yが摩耗したり、球部材150およびガイド溝部170yの当接面に摩擦熱が発生したりするのを防止することができる。
【0040】
本実施形態のレンズ鏡筒では、固定鏡筒106の外周に2つの保持突起部106bおよび5つのガイド突起部106yを設けているが、回転鏡筒107が固定鏡筒106に対して光軸方向で位置決めされた状態で回転できるものであれば保持突起部106bおよびガイド突起部106yの数や配置位置は適宜設定することができる。
【0041】
図1から図4において、108は、第1移動レンズ102を保持する第1レンズ枠である。この第1レンズ枠108の外周には、鏡筒本体101の内周面に形成された光軸方向に延びる直進ガイド溝部101aに係合する凸部108aが形成されている。
【0042】
また、第1レンズ枠108の内周面にはテーパコロ109が取り付けられており、このテーパコロ109は回転鏡筒107の外周面に形成されたカム溝部107cに係合する。
【0043】
110はレンズ名称などを表示したシートであり、第1レンズ枠108の前面に固定されている。111〜114はガイドバーであり、鏡筒本体101および固定鏡筒106により光軸方向に略平行な方向に保持されている。
【0044】
115は第2移動レンズ103を保持する第2レンズ枠である。この第2レンズ枠115には、スリーブ115aおよびUガイド溝部115bが形成されており、スリーブ115aはガイドバー111に係合しており、Uガイド溝部115bはガイドバー112に係合している。これにより、第2レンズ枠115は、ガイドバー111、112により光軸周りの回転が阻止され、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0045】
116は第2レンズ枠115に一体形成されたテーパコロであり、回転鏡筒107の内周面に形成されたカム溝部107dに係合する。
【0046】
117は円筒コロであり、先端側が若干小さい径となるように形成されている。円筒コロ117は、図3および図4に示すようにレンズ鏡筒が撮影可能状態(ワイド状態およびテレ状態間)にあるとき、回転鏡筒107の外周面に形成された光軸にほぼ垂直な面(垂直面)107gと若干の隙間を持った状態にある。
【0047】
ここで、レンズ鏡筒外部から第2移動レンズ102、第1レンズ枠108又はシート110に光軸方向の力が加わると、テーパコロ109はカム溝部107cに沿って撓みながら光軸方向に移動するが、円筒コロ117が垂直面107gに突き当たり外力を吸収することによってテーパコロ109が大きく変形するのを防止している。
【0048】
118は第3移動レンズ104を保持する第3レンズ枠である。この第3レンズ枠118には、スリーブ118aおよびUガイド溝部118bが形成されており、スリーブ118aはガイドバー113に係合しており、Uガイド溝部118bはガイドバー114に係合している。これにより第3レンズ枠118は、ガイドバー113、114により光軸周りの回転が阻止され、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0049】
119は第3レンズ枠118に取り付けられたテーパコロであり、回転鏡筒107の内周面に形成されたカム溝部107eに係合する。120は光量を調節する絞り装置であり、第3レンズ枠118に取り付けられ、第3レンズ枠118とともに光軸方向に移動する。
【0050】
121は絞り装置120を駆動する絞りモータであり、撮影光束の近傍であって、レンズ鏡筒の正面における向かって右側に配置されている。
【0051】
122はフレキシブルプリント基板(FPC)であり、不図示の制御部からの駆動信号を絞りモータ121に伝達する。このFPC122は曲げ部122aを有しており、絞り装置120の光軸方向の移動に応じて変形可能である。
【0052】
123は第4レンズ枠であり、図2に示すように第4移動レンズ105をレンズ保持板124とともに挟み込んで保持する。第4レンズ枠123には、スリーブ123aおよびUガイド溝部123bが形成されており、スリーブ123aはガイドバー113に係合しており、Uガイド溝部123bはガイドバー114に係合している。これにより第4レンズ枠123は、ガイドバー113、114により光軸周りの回転が阻止され、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0053】
126は第4レンズ枠123に取り付けられたラックであり、このラック126はコイルバネ125によって第4レンズ枠123側に片寄せされている。
【0054】
127は第4移動レンズ105を光軸方向に移動させる際の駆動源となるステッピングモータであり、図5に示すように長方形状の撮像画像のうち長辺側近傍に配置されている。このステッピングモータ127は、出力軸として形成された送りネジ部128と、この送りネジ部128に一体的に構成されたマグネットロータおよびこのマグネットロータを電磁駆動するコイルを収容した駆動部127aとから構成されている。
【0055】
送りネジ部128はラック126と噛み合い、ステッピングモータ127が作動して送りネジ部128が回転すると、送りネジ部128およびラック126の噛み合い作用によって第4レンズ枠123が光軸方向に移動する。
【0056】
129はステッピングモータ127を保持するためのモータ保持部材である。このモータ保持部材129は、所定の抜き形状の金属板を折り曲げることによって製作されたものであり、略コの字状に形成された本体部129bと、光軸直交方向に曲げ形成された鏡筒取り付け部129bとを有している。
【0057】
ここで、本体部129bは、ステッピングモータ127の駆動部127aを固定保持するとともに、駆動部127aに連結する送りねじ部128を回転可能に保持する。
【0058】
モータ127が取り付けられたモータ保持部材129は、鏡筒本体101内に光軸方向後方(CCD側)から挿入され、鏡筒取り付け部129aが鏡筒本体101の後端面(不図示)に当接した状態でビスにより固定される。これにより、モータ保持部材129は光軸方向において位置決めされる。
【0059】
ここで、鏡筒取り付け部129aは、駆動部127aの近傍に形成され、鏡筒取り付け部129aおよび駆動部127aが光軸周りに並ぶように配置されている。このため、ラック126や第4レンズ枠123が光軸方向に移動しても鏡筒取り付け部129aと干渉することはなく、また、モータ127を光軸に寄せて配置することができることにより、レンズ鏡筒の径方向の大型化を防止することができる。
【0060】
また、モータ保持部材129の鏡筒本体101への取り付けは、鏡筒取り付け部129aをCCD側から鏡筒本体101の後端面に当接させるだけであるため、鏡筒本体101の外周にモータ保持部材129を取り付けるための切り欠き部等を設けることなく容易にモータ保持部材129を鏡筒本体101に取り付けることができる。
【0061】
さらに図5に示すように、モータ保持部材129およびモータ127を、長方形状のCCD撮像画における長辺側近傍に配置することにより、モータ保持部材129およびモータ127をCCD撮影画の短辺側近傍に配置する場合に比べてモータ127等を光軸に寄せることができる。
【0062】
これにより、モータ保持部材129およびモータ127が収納される鏡筒本体101や、鏡筒本体101の外周に配置される回転鏡筒107の径を小さくすることができ、レンズ鏡筒全体を小型化(小径化)することができる。
【0063】
130は鏡筒本体101に取り付けられる減速機付きのステッピングモータで、長方形状のCCD撮影画における2つの長辺のうちステッピングモータ127が配置されている側の長辺と対向する長辺の近傍に配置されている。
【0064】
これにより、ステッピングモータ130を光軸に寄せて配置することができ、ステッピングモータ130が収納される鏡筒本体101や、鏡筒本体101の外周に配置される回転鏡筒107の径を小さくすることができ、レンズ鏡筒全体を小型化(小径化)することができる。
【0065】
131はステッピングモータ130の出力ギヤと噛み合うギヤであり、鏡筒本体101に回転可能に取り付けられている。132は大ギヤ部132aおよび小ギヤ部132bとで構成される段ギヤであり、大ギヤ部132aはギヤ131と噛み合い、小ギヤ部132bは回転鏡筒107の外周に形成された外周ギヤ部107iと噛み合う。
【0066】
133は鏡筒本体101にビスにより固定されるストッパであり、段ギヤ132の光軸方向の移動を阻止する。また、ストッパ133に形成された回転ストッパ部133aは、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際に回転鏡筒107の後端部に形成された凸部107hに当接可能であり、凸部107hとの当接により回転鏡筒107の回転量を所定量に制限する。
【0067】
ここで、カム溝部107c、カム溝部107eおよび垂直面107gは、回転鏡筒107の先端側から後端部まで連続して形成されており、回転鏡筒107の後端からテーパコロ109、116、119および円筒コロ117のぞれぞれをガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gに組み込むことができるようになっている。
【0068】
また、ストッパ部113の鏡筒本体101への取り付け方法は、具体的には以下のように行う。まず、上述したコロ(テーパコロ109、116、119、円筒コロ117)の組み込み後に、回転鏡筒107を光軸周り一方向に回転させることにより、これらのコロそれぞれをガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gに沿って移動させ、ガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gにおける使用領域内(テレ状態から沈胴状態までの領域内)まで移動させる。そして、ストッパ113を鏡筒本体101に固定する。
【0069】
これにより、回転鏡筒107が光軸周り他方向に回転しても、所定量回転した時点で凸部107iがストッパ113の回転ストッパ部113aに当接して回転鏡筒107の回転を阻止するため、回転鏡筒107がこれ以上回転してコロがガイド溝部107c、107eおよび垂直面107gから外れるのを防止するようになっている。
【0070】
134は回転鏡筒位置検出装置であり、回転鏡筒107の凸部107hがこの位置検出装置134に設けられたセンサの間を通過することにより回転鏡筒107の回転位置を検出する。135は第4レンズ位置検出装置であり、第4レンズ枠123の遮光突起部(不図示)がこの位置検出装置135に設けられたセンサの間を通過することにより、第4レンズ枠123の光軸方向の位置を検出する。
【0071】
136はフレキシブルプリント基板(FPC)であり、不図示の制御部からの所定の制御信号をステッピングモータ127、130、回転鏡筒位置検出装置134、第4レンズ位置検出装置135に伝達する。
【0072】
一方、本実施形態のレンズ鏡筒の外周には、図6に示すようにモータ602が配置される。ここで、603はモータ602を支持する支持部材であり、601はレンズ鏡筒の外周に配置され、支持部材603が固定される保持部材である。
【0073】
上述したレンズ鏡筒の構造において、レンズ鏡筒を沈胴状態からワイド状態に切り換える際の動作を説明する。
【0074】
レンズ鏡筒が図2に示す沈胴状態にあるとき、不図示の制御部からFPC136上の配線を介してステッピングモータ130に所定の回転信号が伝達されると、ステッピングモータ130が時計方向又は反時計方向に回転する。
【0075】
このステッピングモータ130の回転力は、ギヤ131、段ギヤ132を介して回転鏡筒107の外周ギヤ部107iに伝達され、回転鏡筒107が光軸周り一方向に回転し始める。
【0076】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転すると、第1レンズ枠108は、テーパコロ109と回転鏡筒107のカム溝部107cとのカム係合作用および突起108aと直進ガイド溝部101aとの係合作用により光軸方向に移動する。
【0077】
また、第2レンズ枠115も、テーパコロ116と回転鏡筒107のカム溝部107dとのカム係合作用およびガイドバー111、112との係合作用により光軸方向に移動する。
【0078】
さらに、第3レンズ枠118も、テーパコロ119と回転鏡筒107のカム溝部107eとのカム係合作用およびガイドバー113、114との係合作用により光軸方向に移動する。
【0079】
なお、第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118の光軸方向移動量はそれぞれ、カム溝部107c、107d、107eのカムリフト量に応じた移動量となる。
【0080】
回転鏡筒107が光軸周りに回転して凸部107hが回転鏡筒検出装置134のセンサの隙間に入り込むと、回転鏡筒検出装置134において回転鏡筒107の回転位置が検出される。
【0081】
回転鏡筒107の回転位置が検出された時点で不図示の制御部からステッピングモータ130に所定数の駆動パルスが入力され、回転鏡筒107はレンズ鏡筒がワイド状態となる位置まで回転する。
【0082】
これにより、第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118は、図3に示すワイド状態の位置まで移動する。
【0083】
一方、不図示の制御部は、第4レンズ枠検出装置135の出力信号に基づいて第4レンズ枠123の位置検出を行い、この検出結果に基づいてステッピングモータ127に所定数の駆動パルスを出力する。
【0084】
これにより、ステッピングモータ127が回転し、この回転力が送りねじ部128およびラック126を介して第4レンズ枠123に伝達され、第4レンズ枠123が光軸方向に移動する。そして、第4レンズ枠123は図3に示すワイド状態の位置で停止する。
【0085】
次に、本実施形態のレンズ鏡筒をワイド状態から沈胴状態に切り換える際の動作を説明する。
【0086】
不図示の制御部からステッピングモータ127に所定の回転信号が入力されることにより、第4レンズ枠123は沈胴状態になったときに他のレンズ枠(第3レンズ枠118)と干渉しない位置まで移動する。
【0087】
また、ステッピングモータ130に所定の回転信号が入力されることにより、ステッピングモータ130は、レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に切り換わるときのステッピングモータ130の回転方向と反対の方向に回転して、回転鏡筒107を沈胴状態に対応する位置まで回転させる。
【0088】
ここで、回転鏡筒107が回転すると、この回転鏡筒107に形成されたカム溝部107c、107d、107eと各レンズ枠108、115、118に取り付けられたテーパコロ109、116、119とのカム係合作用によって第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118は光軸方向に移動して図3に示す沈胴状態の位置で停止する。この動作は、レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に切り換わる際の動作と反対の動作となる。
【0089】
次に、本実施形態であるレンズ鏡筒のズーム動作、具体的にはワイド状態からテレ状態に切り換える動作について説明する。
【0090】
レンズ鏡筒が図3に示すワイド状態にあるときに、不図示の制御部からステッピングモータ130に所定の回転信号が入力されると、ステッピングモータ130の回転力が回転鏡筒107に伝達されることにより回転鏡筒107が光軸周りに回転する。
【0091】
これにより、回転鏡筒107に形成されたカム溝部107c、107d、107eとコロ109、116、119とのカム係合作用によって第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118が光軸方向に移動する。
【0092】
ここで、回転鏡筒107の回転を回転鏡筒検出装置134により検出し、この検出結果に基づいて回転鏡筒107を所定のテレ位置まで回転させる。これにより、第1レンズ枠108、第2レンズ枠115および第3レンズ枠118が、図4に示すテレ状態の位置まで移動する。
【0093】
また、各レンズ枠108、115、118の光軸方向の移動に応じて、ステッピングモータ127に回転信号が入力されることにより、第4レンズ枠123が光軸方向に移動して図4に示すテレ状態の位置で停止する。これにより、レンズ鏡筒のズーミング動作が行われる。
【0094】
一方、レンズ鏡筒をテレ状態からワイド状態に切り換える場合には、上述した動作と反対の動作が行われる。
【0095】
なお、本実施形態ではデジタルカメラに用いられるレンズ鏡筒について説明したが、ビデオカメラや銀塩カメラなどにも本実施形態を適用することができる。
【0096】
また、本実施形態では、回転鏡筒107の内周面にガイド溝部107yを形成するとともに、固定鏡筒106の外周面に突起部(保持突起部106b、ガイド突起部106y)を形成し、この突起部の先端に球部材を設けているが、固定鏡筒106の外周面にガイド溝部を形成するとともに、回転鏡筒107の内周面に突起部を形成し、この突起部の先端に球部材150を設けるようにしてもよい。
【0097】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態であるレンズ鏡筒について図9を用いて説明する。ここで、第1実施形態において説明した部材と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
【0098】
第1実施形態のレンズ鏡筒では、図8に示すように保持突起部106bの上面中央に形成された凹部106b1に球部材150を配置しているが、本実施形態のレンズ鏡筒では、図9に示すように保持突起部106bにおける光軸方向一端側に切り欠き部106b2(切り欠き形状部)が形成されており、この切り欠き部106b2に球部材150が配置されている。
【0099】
また、不図示であるが、固定鏡筒106の外周に形成されたガイド突起部106yにも切り欠き部106b2と同様の切り欠き部が形成されており、この切り欠き部には球部材150が配置されている。
【0100】
上述した構造において、球部材150がガイド溝部107yの一方の側面(レンズ鏡筒先端側の側面)に当接可能であるとともに、保持突起部106bおよびガイド突起部106yがガイド溝部107yの他方の側面に当接可能である。これにより、回転鏡筒107は光軸方向において位置決めされた状態となる。
【0101】
また、球部材150がガイド溝部107yの底面に当接可能であることにより、回転鏡筒107をこの径方向において位置決めしている。
【0102】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際、球部材150は回転したり、静止したりしながらガイド溝部107yに対して摺動する。ここで、球部材150の表面やガイド溝部107yの表面に潤滑剤を塗布することができる。
【0103】
なお、本実施形態のレンズ鏡筒における他の構造は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒の構造と同じである。
【0104】
また、本実施形態においても第1実施形態と同様に保持突起部106bおよびガイド突起部106yが固定鏡筒106の外周に複数設けられているが、これらの保持突起部106bおよびガイド突起部106yのうちいずれかの突起部(106b、106y)に球部材150を配置することができる。
【0105】
さらに、本実施形態では保持突起部106bのうちレンズ鏡筒先端側(被写体側)の端部に切り欠き部106b2を形成しているが、保持突起部106bのうちレンズ鏡筒後端側(像面側)の端部に切り欠き部106b2を形成してもよい。
【0106】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態であるレンズ鏡筒について図10を用いて説明する。ここで、第1実施形態において説明した部材と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
【0107】
第1実施形態のレンズ鏡筒では、図8に示すように球部材150をガイド溝部107yの底面に当接させているが、本実施形態のレンズ鏡筒では、ガイド溝部107yの底面に曲面を持つ凹部107uを形成し、この凹部107uに球部材150の一部を当接させている。この凹部107uは、ガイド溝部107yと同様に、回転鏡筒107の周方向に延びている。
【0108】
ここで、保持突起部106bの構成は第1実施形態のレンズ鏡筒と同じであり、保持突起部106bの上面中央に凹部106b1が形成され、この凹部106b1に球部材150がはめ込まれている。
【0109】
また、不図示であるがガイド突起部106yにも保持突起部106bの凹部106b1と同様の凹部が形成されており、この凹部に球部材150がはめ込まれている。この球部材150もガイド溝部107yに形成された凹部107uに当接する。
【0110】
上述した構造において、球部材150がガイド溝部107yに形成された凹部107uに当接することにより、回転鏡筒107を光軸方向および半径方向において位置決めしている。
【0111】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際、球部材150は回転したり、静止したりしながら凹部107uに対して摺動する。
【0112】
なお、本実施形態におけるレンズ鏡筒の他の構造は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒の構造と同じである。
【0113】
また、本実施形態では、第1実施形態における構成に加えて、ガイド溝部107yの底面に球部材150と当接する凹部107uを形成した構成としているが、第2実施形態における構成に加えてガイド溝部107yに本実施形態における凹部107uと同様の凹部を形成してもよい。
【0114】
すなわち、第2実施形態において、球部材150が当接するガイド溝部107yの底面および一側面に凹部107uと同様の凹部を形成してもよい。
【0115】
更に、本実施形態では凹部107yの形状を曲面としたが、V字状や台形形状に形成してもよい。
【0116】
凹部107yをV字状に形成した場合、球部材150は、凹部107yと2点において接触する。凹部107yを台形形状に形成した場合、球部材150は、凹部107yと3点において接触する。
【0117】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態であるレンズ鏡筒について図11を用いて説明する。ここで、第1実施形態において説明した部材と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
【0118】
第1実施形態から第3実施形態のレンズ鏡筒では、保持突起部106bおよびガイド突起部106yのうち所定の位置(凹部106b1又は切り欠き部106b2)に球部材150が配置されており、球部材150は所定の位置から動くことなくガイド溝部107yに対して摺動する。
【0119】
一方、本実施形態のレンズ鏡筒では、図11に示すように回転鏡筒107の周方向に延びる保持突起部106bに、この長手方向に延びる長穴部106nが形成されており、この長穴部106nに球部材150が回転可能にはめ込まれている。
【0120】
また、不図示であるが、固定鏡筒106の外周に形成されたガイド突起部106yにもこのガイド突起部106yの長手方向に延びる長穴部が形成されており、この長穴部に球部材150がはめ込まれている。
【0121】
上述した構造において、球部材150がガイド溝部107yの底面に当接することにより、回転鏡筒107をこの径方向において位置決めしている。また、保持突起部106bの側面がガイド溝部107yの側面に当接することにより、回転鏡筒107を光軸方向において位置決めしている。
【0122】
そして、回転鏡筒107が光軸周りに回転する際、球部材150は長穴部106n内を移動しながらガイド溝部107yの底面に対して摺動する。これにより、回転鏡筒107は固定鏡筒106の外周をスムーズに回転することができる。
【0123】
なお、本実施形態のレンズ鏡筒における他の構造は、第1実施形態におけるレンズ鏡筒の構造と同じである。
【0124】
また、本実施形態における構成に加えて、ガイド溝部107yの底面に曲面形状をもつ凹部を形成し、この凹部に球部材150を当接させるようにしてもよい。
【0125】
さらに、本実施形態では、突条に形成された保持突起部106b(ガイド突起部106y)の上面中央に長手方向に延びる長穴部106nを形成して、この長穴部106n内に球部材150を配置しているが、突条に形成された保持突起部106b(ガイド突起部106y)のうち光軸方向一端側に長手方向に延びる切り欠き部(切り欠き形状部)を形成して、この切り欠き部内に球部材150を配置するようにしてもよい。
【0126】
このように保持突起部106bに切り欠き部を形成した場合において、ガイド溝部107yの底面および一側面に曲面形状を持つ凹部を形成し、この凹部に球部材150を当接させるようにしてもよい。
【0127】
以上説明した各実施形態は、以下に示す各発明を実施した場合の一例でもあり、下記の各発明は上記各実施形態に様々な変更や改良が加えられて実施されるものである。
【0128】
〔発明1〕 内側にレンズ部材が配置された第1の筒状部材と、この第1の筒状部材の外側に配置された第2の筒状部材とを有し、前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材が光軸周りに相対的に回転することにより前記レンズ部材を光軸方向に移動可能なレンズ鏡筒において、
前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材のうち一方の筒状部材に形成され、この一方の筒状部材の周方向に延びるガイド溝部と、
他方の筒状部材に凸状に形成され、前記第1の筒状部材と前記第2の筒状部材との相対回転により前記ガイド溝部に対して摺動可能な摺動部材とを有し、
前記摺動部材における、前記ガイド溝部に対して摺動する部分が球面であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【0129】
〔発明2〕 前記摺動部材が球部材であることを特徴とする発明1に記載のレンズ鏡筒。
【0130】
〔発明3〕 前記球部材は、前記他方の筒状部材に形成された凹部内に保持され、前記ガイド溝部の底面に対して摺動可能であることを特徴とする発明2に記載のレンズ鏡筒。
【0131】
〔発明4〕 前記凹部は、前記球部材を前記他方の筒状部材周方向への移動を許容するように保持していることを特徴とする発明3に記載のレンズ鏡筒。
【0132】
〔発明5〕 前記他方の筒状部材には切り欠き形状部が設けられ、
前記球部材は、この切り欠き形状部の光軸方向端面、前記ガイド溝部のうち前記光軸方向端面と向かい合う端面、及び前記ガイド溝部の底面に接触していることを特徴とする発明2に記載のレンズ鏡筒。
【0133】
〔発明6〕 前記ガイド溝部の底面に、前記球部材が面又は複数の点で接触する溝部を設けたことを特徴とする発明3から5のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
【0134】
〔発明7〕 発明1から6のいずれかに記載のレンズ鏡筒を有することを特徴とする光学機器。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レンズ鏡筒の駆動音が音声ノイズとして動画撮影に影響を与えるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるレンズ鏡筒の分解斜視図。
【図2】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸方向断面図(沈胴状態)。
【図3】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸方向断面図(ワイド状態)。
【図4】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸方向断面図(テレ状態)。
【図5】第1実施形態であるレンズ鏡筒の背面図。
【図6】第1実施形態であるレンズ鏡筒の周囲の構造における分解斜視図。
【図7】従来技術であるレンズ鏡筒の部分断面図。
【図8】(a)第1実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
(b)係合保持突起部の上面図。
【図9】(a)第2実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
(b)係合保持突起部の上面図。
【図10】第3実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
【図11】(a)第4実施形態であるレンズ鏡筒の部分断面図。
(b)球部材が配置された係合保持突起部の上面図。
【図12】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図13】第1実施形態であるレンズ鏡筒の部分拡大図。
【図14】従来技術であるレンズ鏡筒の分解斜視図。
【図15】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図16】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図17】第1実施形態であるレンズ鏡筒の光軸直交方向断面図。
【図18】第1実施形態のレンズ鏡筒が組み込まれたカメラの正面図。
【符号の説明】
101:鏡筒本体
102:第1移動レンズ 103:第2移動レンズ
104:第3移動レンズ 105:第4移動レンズ
106:固定鏡筒 107:回転鏡筒
107a:内径リブ 107c:カム溝部
107d:カム溝部 107e:カム溝部
107g:垂直面 107h:凸部 107i:外周ギヤ部
107kA:切り欠き部 107ka:切り欠き部
107u:凹部 108:第1レンズ枠 109:テーパコロ
110:シート 111〜114:ガイドバー
115:第2レンズ枠 116:テーパコロ 117:円筒コロ
118:第3レンズ枠 118a:スリーブ 118b:Uガイド溝部
119:テーパコロ 120:絞り装置 121:絞りモータ
122:FPC 123:第4レンズ枠 123a:スリーブ
123b:Uガイド溝部 124:レンズ保持板
125:コイルバネ 126:ラック 127:ステッピングモータ
128:送りネジ部 129:モータ保持部材 129a:鏡筒取り付け部
130:ステッピングモータ 131:ギヤ 132:段ギヤ
132a:大ギヤ部 132b:小ギヤ部 133:ストッパ
133a:回転ストッパ部 134:回転鏡筒位置検出装置
135:第4レンズ位置検出装置 136:FPC 150:球部材
Claims (1)
- 内側にレンズ部材が配置された第1の筒状部材と、この第1の筒状部材の外側に配置された第2の筒状部材とを有し、前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材が光軸周りに相対的に回転することにより前記レンズ部材を光軸方向に移動可能なレンズ鏡筒において、
前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材のうち一方の筒状部材に形成され、この一方の筒状部材の周方向に延びるガイド溝部と、
他方の筒状部材に凸状に形成され、前記第1の筒状部材および前記第2の筒状部材の相対回転により前記ガイド溝部に対して摺動可能な摺動部材とを有することを特徴とするレンズ鏡筒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007078895A (ja) * | 2005-09-12 | 2007-03-29 | Citizen Electronics Co Ltd | ズームレンズカメラ |
JP2009502034A (ja) * | 2005-07-19 | 2009-01-22 | カール・ツァイス・エスエムティー・アーゲー | 光学結像装置 |
JP2019184976A (ja) * | 2018-04-17 | 2019-10-24 | キヤノン株式会社 | レンズ鏡筒 |
-
2003
- 2003-03-04 JP JP2003057525A patent/JP2004264782A/ja active Pending
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