JP5993054B1 - 広い吸収帯を示す薄膜とそれを含むデバイスとそれらの製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学的な安定性に優れ、単一材料でありながら紫外・可視・赤外の幅広い波長域に光吸収を示す材料の提供。【解決手段】式(1)で示される陰イオンを含有する固体及び薄膜。ここで、(E1、E2、E3、E4は各々独立に、O、C1〜30の原子団で一置換された窒素、シアノ基又はトリフルオロメチル基を有する炭素;R1〜R13は各々独立にH、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又は複素環基)【選択図】なし

Description

本発明は、広い吸収帯を示す固体および薄膜とそれを含むデバイスとそれらの製法に関するものである。
現在、石油等の化石燃料の燃焼による大気中の二酸化炭素の増加が地球規模の環境問題となっている。化石燃料の使用量を減らすために、別のエネルギー源として太陽電池が活用されている。また、二酸化炭素を有機酸などとして固定化する人工光合成技術が開発中の段階にある。
太陽電池および人工光合成のいずれもエネルギー源は太陽光である。地上付近に届く太陽光は、紫外、可視、赤外域の広い波長範囲にわたる光の集合体である。太陽光を高い効率でエネルギーに変換するためには、この広い波長範囲にわたって光を吸収する材料が必要となる。
近年、有機材料を用いる有機太陽電池が注目されている。有機太陽電池は、赤外領域におけるエネルギー変換効率が低い課題がある。これは、赤外光を吸収できる有機材料が少ないためである。従って、赤外光を吸収できる有機材料の開発が進められている。
紫外、可視、赤外領域にわたって吸収を示す材料が実現できれば、太陽電池や人工光合成以外にも、広い波長領域にわたって感度を有する光センシングデバイスや撮像デバイス用の材料として用いることができる。また、太陽光を効率よく遮るフィルター用材料としても期待される。
特許文献1にはインモニウム誘導体が700〜1000nmの赤外域に吸収を示すことが開示されている。しかし、この化合物群は、可視光域の吸収に乏しく、光に対する化学的安定性に劣ることが知られている。特許文献2には金属錯体系の化合物が700〜1100nmの赤外域に吸収を示すことが開示されているが、可視光域の吸収に乏しい。特許文献3には、有機化合物の陽イオンが700〜1100の赤外域に吸収を示すことが開示されているが、可視光域の吸収に乏しい。特許文献4にはスクアリリウム誘導体が600〜800nmの赤外域に吸収を示すことが開示されているが、可視光域の吸収に乏しい。特許文献5には、トリオキソトリアンギュレンの中性ラジカルがピーク波長1134nmで赤外域に吸収を示すことが開示されている。この化合物は可視光域にも中程度の吸収を示すものの、ラジカル種であるために化学的な安定性に課題が残る。特許文献6には、π共役高分子系において900nm程度の赤外域まで幅広い吸収を示すことが開示されているが、それ以上の長波長の光の吸収はできない。
前段落で述べた化合物群の長波長側の吸収端は1500nm以下であるが、地上付近の太陽光は2500nm程度まで有効な光エネルギーを有している。従って、より長波長に吸収を有する材料が高効率な太陽光エネルギーの活用のために必要である。
一方、広い波長領域で光吸収するために赤外吸収材料を紫外光および可視光吸収材料と混ぜて用いることが考えられるが、異種分子間の好ましくない相互作用が副作用として発生することが多く、単一材料で広い波長領域を光吸収できることが最も望ましい。好ましくない相互作用の例としては、光吸収で生じた励起子や電子・正孔が異種分子にトラップされて外部に取り出せないなどの現象がある。
非特許文献1には、化1で示される化合物が開示されている。この化合物を水酸化テトラブチルアンモニウムで処理すると、化1の化合物は脱プロトン化してアニオンとなり、このアニオンがテトラヒドロフラン溶液中にて850nm程度まで吸収を示すことが開示されている。しかしながら、この溶液は、地上付近の太陽光のエネルギーが最も多い波長帯である500〜600nmの領域をほとんど吸収できない。また、この材料の固体状態の光吸収の物性については文献中に記載がない。
特開平10−283939 特開2005−99755 特開2007−279676 特開2008−244296 WO2010−061595 2013−234265 Eur.J.Org.Chem.2008年、673〜683ページ
本発明が解決しようとする課題は、化学的な安定性に優れ、単一材料でありながら紫外・可視・赤外の幅広い波長域に光吸収を示す材料を提供することである。
特許文献1〜6で開示されているような近赤外領域まで光吸収ができる材料は、分子内で正と負の電荷分離状態にあるか、あるいは完全にイオン化しており、分子間のクーロン相互作用が強い。このため、蒸発温度が高くなり、蒸発温度に至る前に熱分解してしまい、電子デバイスを製造する際に有用な蒸着による製膜が困難であるという別の課題がある。
本発明の別の目的は、蒸着が可能でかつ赤外域を含む広い波長範囲の光吸収ができる薄膜の製造方法を提供することである。
発明者は、化学的安定性に優れ、太陽光のスペクトルに対応する広範囲な波長にわたって光を吸収できる材料を鋭意検討した。その結果、ある特定の化合物を薄膜状態に凝集した場合に、溶液のスペクトルからは全く予測できないほど長波長領域の吸収と紫外〜可視域の全般に幅広い吸収を示すことを発明した。さらにその材料を蒸着法を用いて製膜する製造方法も発明した。
本発明の材料は、下記の化2一般式(1)で示される陰イオンを含有する薄膜である。ここで、(1)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。ただし、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR1〜R13が全て水素であり、かつ対となる陽イオンがテトラブチルアンモニウムイオンである化合物を含有する薄膜を除く。
本発明の製造方法は、下記の化3一般式(3)で表される化合物を蒸着法によって製膜し、その後塩基性の試薬に浸漬、暴露あるいは接触させることにより化2一般式(1)で表される陰イオンに化学変換し、化2一般式(1)の薄膜を得る薄膜の製造方法である。ここで、化3一般式(3)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。Hは水素を表す。
本発明の別の製造方法は、化3一般式(3)で表される化合物を蒸発させながら、同時に塩基性の化合物を蒸発させて2つの化合物を接触させ、化2一般式(1)で表される陰イオンに化学変換し、化2一般式(1)の薄膜を得る薄膜の製造方法である。
本発明の材料は、化学的に安定で太陽光の広い波長域にわたる光を吸収することができるため、高いエネルギー変換効率の有機太陽電池あるいは人工光合成デバイスなどの電子デバイスを提供することができる。また、広い波長領域にわたって感度を有する光センシングデバイスや撮像デバイスおよび太陽光を効率よく遮るフィルターを提供することができる。
本発明の製造方法により、均質な薄膜が得られ、メタルマスクの活用により製膜と同時に薄膜のパターニングが可能な蒸着法によって、有機太陽電池あるいは人工光合成デバイスなどの電子デバイスが高い品質と歩留りで製造できるようになる。
本発明を実施するための形態について記載する。本発明は、下記の化4一般式(1)で示される陰イオンを含有する薄膜である。ここで、化4一般式(1)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。ただし、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR1〜R13が全て水素であり、かつ対となる陽イオンがテトラブチルアンモニウムイオンである化合物を含有する薄膜を除く。
本発明で用いる化4一般式(1)の陰イオンは、熱的および化学的に安定な陰イオンであり、本発明の効果である広範囲の波長を吸収する役割を果たす。対応する化3一般式(3)で表される脱プロトンされておらず電荷を持たない中性状態の分子は、分子の中心的な位置に水素と置換基R1に結合した炭素(メチン)が存在し、この炭素はπ電子共役系に参加できないため、この部分でπ電子共役が切れ、長波長の光が吸収できず、また、分子の安定性が低い。これに対し、当該水素がプロトンとして脱離した後の陰イオンは、炭素の単結合と二重結合との結合交代が可能となり、炭素骨格全体にわたってπ電子共役系が広がり、安定な状態となる。なお、化4一般式(1)では、負電荷は前述のメチンに局在化した構造を示しているが、実際には前述の結合交代により、芳香族炭素あるいはカルボニルの酸素上に非局在化している点を付記しておく。一般式(1)の陰イオンは中性状態よりも安定な状態になり得ることで高い安定性を有している。さらに、分子全体にπ共役系が広がることにより、この陰イオンの最高占有分子軌道(HOMO)と最低非占有分子軌道(LUMO)のエネルギーのギャップが小さくなり長波長の波長を吸収することができるようになる。陰イオンの安定性と長波長領域の吸収を得るためには、陰イオンの負電荷を安定に収容できないとならない。このために、化4一般式(1)のE1、E2、E3、E4は電子求引性でかつπ共役系に参加できることが必要である。発明者は、化4一般式(1)の化合物を薄膜状態に凝集させることにより、溶液のスペクトルからは全く予測できないほど長波長領域の吸収と紫外〜可視域の全般に幅広い吸収が得られることを発見した。
幅広い吸収が得られる現象は次のような原理に基づく。陰イオンが光を吸収した際、HOMOからLUMOに電子が1つ遷移し、分子内に負の電荷をもった部分と正の電荷をもった部分が生じる。陰イオンの場合、もともと1つの負電荷を持っているため、2つの負電荷と1つの正電荷をもった励起状態が生じると考えられる。一般式(1)の化学構造は、負電荷を収容しやすい部位E1〜E4が4つ存在し、主にその部位に2つの負電荷が収容される。そこから少し離れた部位にベンゼン環が3つ存在し、主にこの部分に正電荷が収容される。薄膜状態に凝集している場合、一つの陰イオンは近接した基底状態の陰イオンと強く相互作用して安定化されるため、溶液状態に比べてHOMOとLUMOのエネルギーギャップが小さくなり、長波長の光を吸収できるようになる。この化合物系においては平面性が高く、特異的に陰イオンが重なりやすいので、このような特異的な吸収端の長波長化が得られる。また、より短波長の吸収帯はHOMOからLUMOよりも高い電子準位への電子遷移に対応するが、この遷移に対しても上述と同じ安定化機構が働き長波長シフトするため、溶液状態のような明確な吸収帯は平坦化され、結果的に幅広い波長をまんべんなく吸収できる本発明の効果が得られる。
(1)式中、E1、E2、E3、E4は、負電荷を収容してアニオンの化学的な安定性を向上させるために電子求引性に優れる必要がある。E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいは一つ以上のシアノ基あるいはトリフルオロメチル基を有する炭素を好適に用いることができる。
(1)式中R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、およびtert−ブチル基などが挙げられる。アルキル基に含まれる炭素数としては、炭素数が多いほど非極性溶媒への溶解性に優れる傾向にある。炭素数が多いほど合成が困難になるため、1個〜20個の範囲であることが好ましい。
シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基などが挙げられる、アルキル基に含まれる炭素数としては、炭素数が多いほど非極性溶媒への溶解性に優れる傾向にある。炭素数が多いほど合成が困難になるため、1個〜20個の範囲であることが好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる、アルキル基に含まれる炭素数としては、炭素数が多いほど非極性溶媒への溶解性に優れる傾向にある。炭素数が多いほど合成が困難になるため、1個〜20個の範囲であることが好ましい。
複素環基とは、ピラン環、ピペリジン環など炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環の置換基である。これらは、極性が高い溶媒への溶解性を高める効果がある。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、よう素から選ばれる原子を指す。これらは、電子求引性であるため、陰イオンの安定性を増加する効果がある。
アリール基とは、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、アンスリル基などの芳香族炭化水素の置換基であり、これらがさらに置換基を有していてもよい。これらの置換基の導入によって、HOMO−LUMOエネルギーギャップを縮め、より効率的に長波長の光の吸収をできるようになる。アリール基の炭素数は6〜40のものを好適に用いることができる。
ヘテロアリール基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ピリジル基、ビピリジル基などが挙げられる。これによって、HOMO−LUMOエネルギーギャップを縮め、より効率的に長波長の光の吸収をできるようになる。ヘテロアリール基に含まれる炭素数は、4〜40のものを好適に用いることができる。
アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、ブタジニエル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素を示し、これらがさらに置換基を有していてもいなくてもよい。これらは、陰イオン種のπ電子共役長を伸ばす効果があり、HOMO−LUMOエネルギーギャップを縮め、より効率的に長波長の光の吸収をできるようになる。アルケニル基の炭素数は、2〜20のものを好適に用いることができる。
シクロアルケニル基とは、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基のことであり、これがさらに置換基を有していてもいなくてもよい。これらは、陰イオン種のπ電子共役長を伸ばす効果があり、HOMO−LUMOエネルギーギャップを縮め、より効率的に長波長の光の吸収をできるようになる。シクロアルケニル基の炭素数は、4〜20のものを好適に用いることができる。
アルキニル基とは、例えばエチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素を含む不飽和脂肪族炭化水素を示し、これは置換基を有していてもいなくてもよい。アルキニル基の炭素数は2〜20のものを好適に用いることができる。
アミノ基としては、ジメチルアミノ基やジフェニルアミノ基などを好適に用いることができる。これらの置換基はさらに別の置換基が導入されていてもよい。
ボリル基としては芳香族置換基で置換されたボリル基を好適に用いることができる。例えば、ジメジチルボリル基などが挙げられる。これらの置換基は電子受容性が高いため、陰イオンの安定性をさらに高めることができる。
カルボニル基、カルボキシル基は、置換基を有していてもよい。これらの置換基は電子受容性が高いため、陰イオンの安定性をさらに高めることができる。
陰イオンの具体的な化学構造の例としては、[1]〜[20]で示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
構造式[2]は、構造式[1]のカルボニルをフェニルイミンに置換しており、イミン部位を通じてπ電子共役系がより広がっているため、より化学的に安定で長波長の光を効果的に吸収することができる。構造式[3]は、構造式[1]のカルボニルをジシアノエテンに置換しており、より電子求引性が高くなり負電荷を安定に収納できるため、より化学的に安定である。構造式[3]は、構造式[1]のカルボニルをジ(トリフルオロメチル)エテンに置換しており、より電子求引性が高くなり、負電荷を安定に収納できるため、より化学的に安定である。
構造式[5]は、構造式[1]の水素6つをメチル基に置換しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため、分子全体が化学的により安定となっている。構造式[6]は、構造式[1]の水素6つをターシャリーブチル基に置換しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため、分子全体が化学的により安定でかつ、非極性溶媒への溶解性が改善されている。構造式[7]は、構造式[1]の水素6つをメトキシ基に置換しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため、分子全体が化学的により安定でかつ、極性溶媒および非極性溶媒への溶解性が改善されている。構造式[8]は、構造式[1]の水素6つをフッ素に置換しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため、分子全体が化学的により安定でかつ、電子求引性のフッ素で陰イオンの負電荷が安定化されるため、陰イオン全体の化学的安定性が改善される。
構造式[9]は、構造式[1]の水素6つを塩素に置換しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため、分子全体が化学的により安定でかつ、電子求引性の塩素で陰イオンの負電荷が安定化されるため、陰イオン全体の化学的安定性が改善される。構造式[10]は、構造式[1]の水素6つをフェニル基に置換しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため、分子全体が化学的により安定でかつ、π共役系が広がるため、より化学的に安定で長波長の光を効果的に吸収することができる。構造式[11]は、構造式[1]の水素6つをチエニルに置換しており、π電子系が広がるため、より化学的に安定で長波長の光を効果的に吸収することができる。構造式[12]は、構造式[1]の水素6つをジメチルアミノ基に置換しており、より極性溶媒への溶解性が向上する。
構造式[13]は、構造式[1]の水素6つをアセチル基に置換しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため分子全体が化学的により安定でかつ、電子求引性のアセチル基で陰イオンの負電荷が安定化されるため、陰イオン全体の化学的安定性が改善される。構造式[14]は、構造式[1]の水素6つをジオキシエチル基に置換して追加の環状構造を導入しており、ベンゼン環部位の化学的な反応性を抑制しているため、分子全体が化学的により安定でかつ、極性溶媒および非極性溶媒への溶解性が向上する。構造式[15]は、構造式[1]のベンゼン環をナフタレン環に置換しており、π電子系が広がるため、より化学的に安定で長波長の光を効果的に吸収することができる。構造式[16]は、構造式[1]のメチン部位の水素1つをメチル基に置換しており、陰イオンの負電荷が安定化されるため、より化学的な安定性が向上する。
構造式[17]は、構造式[1]のメチン部位の水素1つをフッ素に置換しており、、陰イオンの負電荷が安定化されるため、より化学的な安定性が向上する。構造式[18]は、構造式[1]のメチン部位の水素1つを塩素に置換しており、、陰イオンの負電荷が安定化されるため、より化学的な安定性が向上する。構造式[19]は、構造式[1]のメチン部位の水素1つをフェニル基に置換しており、陰イオンの負電荷が安定化されるため、より化学的な安定性が向上する。構造式[20]は、構造式[1]のメチン部位の水素1つをピリジル基に置換しており、陰イオンの負電荷が安定化されるため、より化学的な安定性が向上する。
本発明の別の態様は、化4一般式(1)で示される陰イオンを含有する薄膜のうち、前記陰イオンの対となる陽イオンとして金属元素の陽イオン、アンモニウムイオン、第一級アンモニウムイオン、第二級アンモニウムイオン、第三級アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、錯イオンのいずれかを含むことを特徴とする薄膜である
陽イオンは、一般式(1)の陰イオンと対となり化学的に安定な状態を実現する。また、陽イオンは各種溶媒への溶解性を調整でき、太陽電池などの薄膜デバイスを湿式法で製造するために重要な溶解性を確保することができる。例えば、水のように極性が高い溶媒に溶かしたい場合、陽イオンは、原子半径の小さい金属の陽イオンが好ましい。逆に極性が低い溶媒に溶かしたい場合、第四級アンモニウムイオンなど炭素を多く含む陽イオンを用いることが好ましい。また、陽イオンは薄膜状態における陰イオン間の相互作用を調整する効果が得られる。大きな陽イオンを対イオンに選択すると、前述した陰イオン間の重なり合いが阻害され、長波長領域の吸収を抑えることができる。具体的には長い炭素鎖を含む第四級アンモニウム塩やイオン半径が大きな陽イオンを用いるとよい。
陽イオンとしては、一般式(1)の陰イオンと化学的に安定に対を形成できるものであれば、特に限定されるものではないが、アルカリ金属の陽イオン、アルカリ土類金属の陽イオン、遷移元素金属の陽イオン、典型金属の陽イオン、希土類金属の陽イオン、あるいは、アンモニウムイオン、第一級アンモニウムイオン、第二級アンモニウムイオン、第三級アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、錯イオンのいずれかである。錯イオンとは錯体がイオンになったものである。
陽イオンの具体的な例として、金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、ゲルマニウムイオン、スズイオン、鉛イオン、アンチモンイオン、ビスマスイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、イットリウムイオン、ジルコニウムイオン、モリブデンイオン、ルテニウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、カドミウムイオン、タンタルイオン、タングステンイオン、イリジウムイオン、白金イオン、金イオン、セリウムイオン、ユーロピウムイオン、イットリウムイオンが挙げらえる。いくつかの価数を取り得る金属元素は化学的に安定であれば、どの価数の陽イオンでも用いることができる。
アンモニウムイオンの例としては、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
アンモニウムイオンの他の例としては、高分子の主鎖に共有結合で結合された側鎖としてアンモニウムイオンを導入したものも好適に用いることができる。このような材料は、従来から陰イオン交換樹脂と呼ばれて用いられてきた。低分子量のアンモニウムイオンを用いる場合に比べて膜の均一性や安定性に優れる効果が得られる。
錯イオンの例としては、テトラアミン銅(2価)イオン [Cu(NH2+ 、テトラアミン亜鉛(2価)イオン[Zn(NH2+ 、ジアンミン銀(1価)イオン[Ag(NH が挙げられる。
本発明の薄膜のうち、前記陰イオンと前記陽イオン対が薄膜中で結晶化していることを特徴とする薄膜は、本発明の効果を得るためにより効果的である。本発明においては、前述のように、陰イオン部位が重なり合うことで長波長化と広い波長域にわたって光吸収が得られる効果が生まれる。陰イオンの重なり合いに対して最も効果的であるのが結晶化である。なお、薄膜全体が結晶化している必要はなく、局所的・部分的に結晶化していれば本発明の効果を得ることができる。
本発明の薄膜は、広い波長領域の光を吸収できるので、光フィルターや光吸収材として用いることができる。特に太陽光などの広い波長の光源に対して効果的に光吸収できる。
本発明の薄膜を用いて太陽電池や光電変換デバイスなどの太陽光を利用するデバイスを作成することにより、太陽光を効率的に吸収して電子と正孔が得られるため、高効率のデバイスを実現することができる。
本発明の薄膜を用いて人工光合成デバイスや二酸化炭素固定化装置を作成することにより、太陽光を効率的に吸収して、水の電気分解と二酸化炭素の還元に必要な電子と正孔を得ることができるため、高効率のデバイスを実現することができる。
本発明の薄膜を用いて光センシングデバイスあるいは撮像デバイスを作成することによって、広い波長範囲にわたって感度を有する光センシングデバイスや撮像デバイスを実現することができる。
本発明の化10一般式(2)で示される化合物は、新規な化合物である。ここで、化10一般式(2)式中、Xn+はn価の陽イオンを表し、金属元素の陽イオン、アンモニウムイオン、第一級アンモニウムイオン、第二級アンモニウムイオン、第三級アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、錯イオンのいずれかであり、[]nは、括弧内の陰イオンがn個陽イオンXn+と対になっていることを表す。陰イオンの構造において、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。ただし、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR1〜R13が全て水素であり、かつXn+がテトラブチルアンモニウムイオンである化合物を除く。
一般式(2)の本発明の化合物を用いることにより、化学的に安定でより広い波長領域にわたって光吸収ができる薄膜を得ることができ、得られる薄膜を用いることで高効率の太陽電池や人工光合成デバイスなどを得ることができる。
本発明の薄膜の製造方法は、下記の化11一般式(3)で表される化合物を蒸着法によって製膜し、その後塩基性の試薬に浸漬、暴露あるいは接触させることにより化2一般式(1)で表される陰イオンに化学変換し、化2一般式(1)の薄膜を得る薄膜の製造方法である。ここで、(3)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。Hは水素を表す。
なお、本発明の蒸着法とは、減圧した空間の中に化合物を配置し、加熱などの方法で気化させ、気化した化合物の蒸気を基板に堆積する製造方法を指す。
本発明の製造方法により、均質な薄膜が得られ、メタルマスクの活用によって製膜と同時に薄膜のパターニングが可能な蒸着法がデバイス等の製造に適用できる。したがって、広い波長範囲の光吸収が可能で安定な有機太陽電池あるいは人工光合成デバイスなどの電子デバイスが高い品質と歩留りで製造できるようになる。
本発明の製造方法の別の態様としては、一般式(3)で表される化合物を蒸発させながら、同時に塩基性の化合物を蒸発させて2つの化合物を薄膜内で接触させ、化2一般式(1)で表される陰イオンに化学変換し、これを含有する薄膜が得られる製造方法である。
本発明の製造方法により、溶液への浸漬などの追加工程が必要なく、均質な薄膜が得られ、メタルマスクの活用によって製膜と同時に薄膜のパターニングが可能な蒸着法がデバイス等の製造に適用できる。したがって、広い波長範囲の光吸収が可能で安定な有機太陽電池あるいは人工光合成デバイスなどの電子デバイスが高い品質と歩留りで製造できるようになる。
一般式(4)で表される本発明の化合物は新規な有機化合物である。ここで、(4)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。Hは水素を表す。ただし、ただし、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR1〜R13が全て水素である化合物と、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR2〜R13が全て水素であり、かつR1が臭素である化合物を除く。
一般式(4)の本発明の化合物を用いて、本発明の製造方法により陰イオンに転換することにより、化学的に安定でより広い波長領域にわたって光吸収ができる薄膜を得ることができ、得られる薄膜を用いることで高効率の太陽電池や人工光合成デバイスなどを得ることができる。
化合物の具体的な化学構造の例としては、構造式[21]〜[40]で示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化学修飾により得られる効果は、化2一般式(1)で示したアニオン種の化学修飾に記載した内容と同じであるので省略する。
構造式[21]に示す化合物の合成;冷却管を備えた3つ口フラスコにピリジン10mlと1、3−インダンジオン5.0gを加えて窒素で置換する。その後、反応系を120℃にて一時間加熱する。その後室温に冷やしてエタノール100mlを加えてよくかき混ぜる。固体をろ過して、ろ液に濃塩酸20mlを加えて構造式[21]に示す化合物を析出させる。析出した固体をろ過にて取得する。得られた固体を100ml三角フラスコに移し、水で良く洗う。得られた固体を約1Paの真空下での昇華精製にて3回精製し、目的とする化合物を黄色の固体として得た。収量は0.9gで収率は20%であった。
得られた構造式[21]の化合物のプロトンNMRを測定した。測定は、400メガヘルツのNMR設備によって、化4、構造式[1]の化合物の重クロロホルム溶液に対して実施した。その結果、下記の結果が得られ、合成した化合物が構造式[21]であることが確認された。
H−NMR(CDCl (d ppm)):5.23(s、2H)、7.82(m、6H)、8.02(m、4H)、9.84(dd、2H)
得られた化4−構造式[1]の質量分析を行った。イオン化手法は、大気圧化学イオン化法を適用した。測定の結果、親イオンピーク m+1/z=403が得られ、化4の構造式[1]であることが確認された。
構造式[22]〜[24]に示す化合物の合成;得られた構造式[21]の化合物を原料として、従来から知られている手法でカルボニル基を置換することにより得ることができる。一例として、構造式[22]に示す化合物は構造式[21]の化合物にアニリンを作用させることで得ることができる。
構造式[25]〜[35]に示す化合物の合成;構造式[21]に示す化合物と同様に合成できるが、出発原料が対応する1,3−インダンジオンの誘導体を用いる必要がある。例えば、構造式[25]の化合物を得るためには、5,6−ジメチル−1,3−インダンジオンを出発原料として、構造式[21]に示す化合物と同様の製造方法を実施すればよい。
構造式[36]〜[40]に示す化合物の合成;得られた構造式[21]の化合物を原料として、従来から知られている手法でメチンの水素を置換すれば得られる。例えば、構造式[38]の化合物は、構造式[21]の化合物のクロロホルム溶液に塩素ガスを作用させることにより得ることができる。
構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩の合成;三角フラスコにアセトンとエタノールの1:1混合溶液50mlを加える。これに構造式[21]の化合物の黄色固体0.9gを加えてよく撹拌して、均一な混濁液とする。次に5%水酸化ナトリウム水溶液20mlを加えて室温で1時間撹拌する。有機相が濃い緑色の溶液となる。分液ロートにて水相を取り除き、有機相の溶媒を留去する。その後、得られる固体を50ml三角フラスコにいれ水30mlを加えて十分に洗う。ろ過により得られる固体を圧力1Pa、温度120℃にて8時間加熱することで乾燥し、目的とする構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩を得た。収量は0.9gであった。
得られた構造式[1]のナトリウム塩のプロトンNMRを測定した。測定は、400メガヘルツのNMR設備によって、化4、構造式[1]の化合物のジメチルスルホキシド溶液に対して実施した。その結果、下記の結果が得られ、合成した化合物が構造式[21]であることが確認された。
H−NMR(CDCl (d ppm)):7.16(dd、2H)、7.57−7.63(m、8H)、8.67(s、1H)、8.96(dd、2H)
得られた構造式[1]のナトリウム塩の質量分析を行った。イオン化手法は、大気圧化学イオン化法を適用した。測定の結果、親イオンピーク m+2/z=403が得られ、構造式[1]の陰イオンであることが確認された。
得られた構造式[1]のナトリウム塩の蛍光X線分析を行った。その結果、ナトリウムイオンに同定される蛍光X線ピークが観測された。検出された炭素のピークとナトリウムイオンのピークから質量比を換算すると、炭素+ナトリウムを100%とした場合に4.5%となった。計算値の6.6%と多少のずれがあるが、蛍光X線ピークの定量性は低いので、誤差範囲内で妥当な結果といえる。
構造式[2]〜[20]に示す化合物のナトリウム塩は、対応する中性分子[22]〜[40]
に対して、構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩の合成と同様の製造方法を適用すれば得ることができる。
その他の本発明の陽イオンと対になった陰イオンも同様にして合成可能である。たとえば、カリウム塩を得るためには、水酸化ナトリウム水溶液の代わりに水酸化カリウム水溶液を用いればよい。テトラブチルアンモニウム塩を得るためには、水酸化テトラブチルアンモニウムのアセトン溶液を用いればよい。
本実施例では構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩の薄膜をキャスト法で製膜した。まず、前述の合成法により得た構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩の10mgをアセトン10mlに溶解し、0.1重量%の溶液を調整する。次にスライドガラス上にピペットを用いて液滴の厚みが約1mmになるように滴下する。その後、空気中で自然乾燥させる。乾燥後、ホットプレート上で150℃10分間ベークして、構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩のキャスト薄膜を得た。膜厚計で測定したところ、およそ200nmの厚みであった。この薄膜の吸収スペクトルを測定した結果を図1に示した。
比較例1: 本比較例では構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩のテトラヒドロフラン溶液における吸収スペクトルの測定を行った。スペクトル測定用の安定剤が含有されていないテトラヒドロフランの2x10−4mol/lの溶液を調整して測定を行った。結果を図1に示す。
図1から分かるように、構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩は、比較例1のテトラヒドロフラン溶液では、吸収端が850nm程度になっているのに対し、実施例1のキャスト膜では3000nmまで測定しても吸収端が観測できないほど長波長の光吸収が観測された。一般に知られている従来の材料であれば、溶液状態から固体状態にすると吸収端の長波長シフトが観測されるものが多いが、その長波長化は大きい場合でも50nm程度の長波長シフトであり、本化合物系が従来材料から大きく異なる特異な挙動を示す材料系であることが発見されたといえる。このような結果は、分子やイオンの化学構造だけで予測することは不可能であり、高度な進歩性を備えた発明と言うことができる。さらに図1において、テトラヒドロフラン溶液においては500〜600nmの領域の透過性が高いのに対して、キャスト膜では、この領域の光も良好に吸収することができ、本発明の薄膜は、広い波長域にわたってまんべんなく光を吸収できることがわかる。なお、実施例1で作成した薄膜は透過スペクトルが測定しやすいように透過率が40〜70%になるように膜厚を200nm程度に調整してあるが、膜厚を厚くすることによって透過率をほとんど0%にすることができる。たとえば、膜厚が5マイクロメートルになるように調整した膜では透過率は広い波長率にわたってほとんど0%である。
この特異な吸収スペクトルの変化のメカニズムは次のような原理に基づいている。構造式[1]の陰イオンは極めて平面性が高く、π電子共役系が広がった陰イオンが互いに多数重なり合う。陰イオンが光を吸収した際、HOMOからLUMOに電子が1つ遷移し、分子内に負の電荷をもった部分と正の電荷をもった部分が生じる。陰イオンの場合、もともと1つの負電荷を持っているため、2つの負電荷と1つの正電荷をもった励起状態が生じると考えられる。構造式[1]の化学構造は、負電荷を収容しやすいカルボニル基が4つ存在し、主にその部位に2つの負電荷が収容される。そこから少し離れた部位にベンゼン環が3つ存在し、主にこの部分に正電荷が収容される。薄膜状態に凝集している場合、一つの陰イオンは近接した基底状態の陰イオンと強く相互作用して安定化されるため、溶液状態に比べてHOMOとLUMOのエネルギーギャップが小さくなり、長波長の光を吸収できるようになる。この陰イオンにおいては平面性が高く、特異的に重なりやすいので、このような特異的な吸収端の長波長化が得られる。また、より短波長の吸収帯はHOMOからLUMOよりも高い電子準位への電子遷移に対応するが、この遷移に対しても上述と同じ安定化機構が働き長波長シフトするため、溶液状態のような明確な吸収帯は平坦化され、結果的に幅広い波長をまんべんなく吸収できる本発明の効果が得られる。
構造式[1]の陰イオンのナトリウム塩が結晶となっていることは、深被写界深度光学顕微鏡(キーエンス社VHシリーズ)観察における結晶面の確認、および粉末X線回折測定でピークが出現することにより確認した。
なお、実施例1のキャスト膜は、多結晶膜となっており結晶粒界が存在する。この界面での光散乱により透過光が減少する効果も透過率測定の測定結果に含まれると考えられるが、膜の厚みが200nm程度であり、透過率に寄与する散乱の効果は小さいため、吸収スペクトルに寄与する主たる効果は、膜自体の光吸収である。
本実施例では構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩の薄膜をスピンコート法で製膜した。まず、前述の合成法により得た構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩の10mgをアセトン1mlに溶解し、1重量%の溶液を調整する。次にスピンコータの回転台の上に固定したスライドガラス上にピペットを用いて液滴の厚みが約1mmになるように滴下する。その後、700回転/分の回転速度で回転させ、溶媒であるアセトンを揮発させる。その後、ホットプレート上で150℃10分間ベークして、構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩のスピンコート薄膜を得た。膜厚計で測定したところ、およそ100nmの厚みであった。この薄膜の吸収スペクトルを測定した結果を図2に示した。図中、100%スピンコート膜と記載してある。
本実施例では構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩をポリメチルメタクリレート樹脂に15%分散させた薄膜をスピンコート法で製膜した。まず、前述の合成法により得た構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩を重量比15%となるようにポリメチルメタクリレート樹脂に混合し、重量濃度1%のアセトン溶液を調整した。次にスピンコータの回転台の上に固定したスライドガラス上にピペットを用いて液滴の厚みが約1mmになるように滴下する。その後、700回転/分の回転速度で回転させ、溶媒であるアセトンを揮発させる。その後、ホットプレート上で150℃10分間ベークして、構造式[1]に示す陰イオンのナトリウム塩をポリメチルメタクリレート樹脂に15%分散した
スピンコート薄膜を得た。膜厚計で測定したところ、およそ100nmの厚みであった。この薄膜の吸収スペクトルを測定した結果を図2に示した。図中、15%スピンコート膜と記載してある。
図2では、各薄膜や溶液の吸収スペクトルの差分が分かりやすいように、縦軸を透過率ではなくAbsorbanceに変換し、かつ、短波長側の420nm付近の吸収ピークで規格化している。この図から分かるように、薄膜とした実施例1、実施例2、実施例3は程度の差はあるものの、いずれも比較例1のテトラヒドロフラン溶液のスペクトルに比較して、長波長シフトおよび300〜400nm領域と500〜600nm領域の吸収の増加が観測され、本発明の効果である広い波長領域にわたり光吸収できる。吸収スペクトルの幅広さとしては、100%キャスト膜が最も優れているが、必ずしも図1に示したような2000nmを超える長波長を必要としない場合もある。例えば赤外線センサーに用いる場合、ある特定波長までに感度を有すればよく、それ以上の長波長に感度を持つと逆にノイズとなる場合がある。このような場合、実施例2や実施例3のようにスピンコート膜とすることや高分子樹脂の分散膜とすることで吸収端を調整することができる。またスピンコート膜や高分子樹脂の分散膜は膜厚の均一性に優れるという効果もあるので、必要に応じて適用すればよい。
実施例2と実施例3において、実施例1よりも吸収の長波長化と平坦化が小さい。この現象は、前述の陰イオンの重なり合いの程度に起因する。すなわち、キャスト膜はその製造工程において溶媒が徐々に揮発するため、含まれる陰イオンが互いに安定な重なりに配置され、微結晶の集まりとなることができる。これに対し、スピンコート膜では、溶媒が早く揮発するため、含まれる陰イオンは安定な重なりになる前に析出してしまい結晶性が低い。結晶性が低い膜では、前述のHOMO−LUMOギャップが小さくなる効果が小さいために長波長シフトと吸収スペクトルの平坦化効果が小さくなる。さらに高分子に分散した膜においては、陰イオン同士の平均の距離が大きくなるため、前述の重なり合いが小さくなるために、長波長シフトと吸収スペクトルの平坦化はより小さくなる。
本発明の薄膜は広い波長領域に吸収を有しているので、外光を遮る光吸収フィルムの材料として好適に用いることができる。
本発明の薄膜は半導体性を有しており、光吸収により電荷発生や高エネルギー電子を生成することができるため、さまざまな電子デバイスに用いることができる。
本発明の薄膜を蒸着法で形成する方法についても実施例を示す。まず合成方法を示した構造式[21]で示す材料を真空蒸着法で製膜する。具体的には蒸着用の抵抗加熱源であるモリブデンボートに構造式[21]で示す化合物を20mg入れる。このモリブデンボートを真空蒸着装置のチャンバー内の電極にセットする。また、蒸着するガラス基板を基板ホルダーにセットする。この後、真空チャンバーを閉じて真空引きし、10−4Pa台まで真空引きする。前記の抵抗加熱源のモリブデンボートに電流を流すことによりボートが加熱され、中に入れた構造式[21]で示す化合物が蒸発してガラス基板に製膜される。この実施例では100nmの厚みまで製膜した。この後、水酸化ナトリウムの5重量%の水溶液にこの膜を浸漬することにより、構造式[1]で示す陰イオンとナトリウムイオンの塩が生成する。次にこの薄膜を純水で洗浄した後、ホットプレート上で150℃で30分ベークして脱水した。この薄膜の吸収スペクトルを測定すると、実施例2と同様の吸収を示す膜になっていることが確認された。
一般に赤外域に吸収を有する有機化合物は蒸発が困難である。これは、赤外域を吸収できる有機化合物は、π共役が大きく広がった分子量が大きな分子であるか、あるいは電荷分離のため分子間の相互作用が強いので、蒸発しにくいためである。本発明の赤外域に吸収を示す蒸着膜の製造方法は、この難しさを克服した有用性が高い発明である。
本発明の薄膜を蒸着法で形成する別の方法について具体的に説明する。まず合成方法を示した構造式[21]で示す材料を真空蒸着法で製膜する。具体的には蒸着用の抵抗加熱源であるモリブデンボート1に構造式[21]で示す化合物を20mg入れる。このモリブデンボート1を真空蒸着装置のチャンバー内の電極1にセットする。さらに、化19に示す化合物バソクプロインを別のモリブデンボート2に20mg入れ、チャンバー内の別の電極2にセットする。また、蒸着するガラス基板を基板ホルダーにセットする。この後、真空チャンバーを閉じて真空引きし、10−4Pa台まで真空引きする。前記の抵抗加熱源のモリブデンボート1とモリブデンボート2に同時に電流を流すことによりそれぞれのボートが加熱され、中に入れた構造式[21]で示す化合物とバソクプロインが蒸発してガラス基板に混合されながら製膜される(共蒸着)。それぞれの製膜速度を水晶振動子で測定しながら、両方の蒸着速度が1オングストローム毎秒になるように調整した。この実施例では100nmの厚みまで製膜した。この薄膜の吸収スペクトルを測定すると、実施例2と同様の吸収を示す膜になっていることが確認された。これは、バソクプロインが塩基性であり、構造式[21]の化合物と膜中で接触すると構造式[21]の化合物の酸性な水素が引き抜かれ、構造式[1]の陰イオンが生成するためである。
本発明の薄膜を用いる光電変換デバイスの具体的な製造方法について述べる。まず、ガラスなどの透明な基板を準備し、この上に第一の電極を形成する。第一の電極は、デバイス内部に発生した起電力を外部に取り出すため、ガラス基板上で外部回路と連結される接触端子部分に連結されている。次に、本発明の薄膜を含む単層膜あるいは多層膜を形成する。第一の電極の上に第二の電極を形成する。第二の電極は、デバイス内部発生した起電力を外部に取り出すため、ガラス基板上で外部回路と連結される接触端子部分に連結されている。最後に外部の水などの腐食からデバイスを守るために封止を行う。本発明の薄膜を含むことにより、本発明の特徴である広い波長域にわたって光を吸収でき、光吸収により正孔と電子対が生成するために、適切な周辺材料を選択することにより外部に光電流を効率よく取り出すことができ、広い波長領域にわたって変換効率が高い光電変換デバイスを提供することができる。太陽光を用いた場合は、太陽電池としてもちいることができる。なお、本発明の効果を得るためには、本発明の薄膜を用いた光電変換デバイスであればよく、本段落で述べたデバイスの構造および製造方法に限られるものではない。
前段落で述べた光電変換デバイスは光センサーとして用いることもできる。吸収できる波長の光が照射された際に、電流あるいは電圧を外部信号として取り出せるためである。微細なこの光センサーをアレイ状に多数並べた構造にすることにより、精細な画像を得ることもできる。さらに、紫外、赤、緑、青、赤外などのように特定領域の波長を透過する光フィルターを周期的に配置することによって、フルカラーで紫外、赤外領域にも感度を有する光センサーを得ることもできる。
本発明の薄膜を用いる光センサーの別の形態としては、ガラスなどの透明な基板を準備し、この上に第一の電極と第二の電極を電気的に独立させて並置する。2つの電極は、外部に信号を伝えるために外部に端子が引き出されている。この2つの電極に重なるように本発明の薄膜を含む単層あるいは多層膜を形成する。このような構造と製造方法を適用することにより、別の形態の光センサーが得られる。
本発明の薄膜を光吸収層として用いる二酸化炭素固定化装置について具体的に述べる。二酸化炭素固定化装置として、水を光分解して電子とプロトンと酸素を取り出す明反応と、生じた電子とプロトンを活用して二酸化炭素を還元する案反応を組み合わせた装置構造が一般に知られている。例えば、特許文献7に記載がある。この先行例では、水の電気分解を行うアノードとして窒化物半導体を用いているが、250〜400nmの光しか活用することができない。本発明の二酸化炭素固定化装置は、陰極室と陽極室とこれら2室を連結する固体電解質膜からなり、陰極室はカソード電極を備えており、陽極室はアノード電極を備えている。アノード電極は金属電極の表面に本発明の薄膜を有しており、幅広い波長域の光を吸収して電子と正孔対を薄膜内で形成し、生じた正孔で水をプロトンと酸素に分解でき、生じた電子をカソード電極に外部回路を通じて送る。アノード電極の材質は、特に限定されるものではなく、導電性が高く、表面に本発明の薄膜を保持できればよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、アルミニウムなどをもちいることができる。アノードで生じたプロトンは前記薄膜中の固体電解質を通じて、カソード表面に送られる。外部から陰極室に導入された二酸化炭素は、カソード表面に到達し、アノードから送られた電子で還元され、またアノードから固体電解質を通って送られてきたプロトンと化学反応して蟻酸などの有機酸やメタノールなどのアルコールに変換される。カソードでの反応によって生成する物質は、カソード電極の材質と陽極室内の化学種によって制御することができる。カソード電極の材質としては金、銀、銅、鉛、錫、白金、ロジウム、ルテニウムなどが挙げられる。
WO2012/120571
本発明の薄膜は、そのままでも太陽光など幅広い光を吸収できる吸収材や吸収フィルムとして活用することができる。また、光を吸収してHOMOからLUMOへの電子遷移に基づき、高エネルギーの電子を生成できるので、これを利用して光電流を生じることができる。この効果を用いることにより、太陽光などの幅広い光に感度を有する光電変換素子(太陽電池)や光センサー、人工光合成デバイスに用いることができる。
図1は、本発明に該当する材料である構造式[1]の陰イオンのナトリウム塩のキャスト膜の透過率である。比較のため、構造式[1]の陰イオンのナトリウム塩のテトラヒドロフラン溶液の吸収スペクトルを合わせて示している。 図2は、本発明に該当する材料である構造式[1]の陰イオンのナトリウム塩を100%含有するキャスト膜(実施例1)、100%含有するスピンコート膜(実施例2)、85%のポリメチルメタクリレートに分散した15%含有するスピンコート膜(実施例3)のAbsorbanceを測定したものである。比較のため、構造式[1]の陰イオンのナトリウム塩のテトラヒドロフラン溶液のスペクトルとともに示している。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示される陰イオンを含有する薄膜。ここで、(1)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。ただし、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR1〜R13が全て水素であり、かつ対となる陽イオンがテトラブチルアンモニウムイオンである化合物を含有する薄膜を除く。
  2. 請求項1の薄膜のうち、前記陰イオンの対となる陽イオンとして金属元素の陽イオン、アンモニウムイオン、第一級アンモニウムイオン、第二級アンモニウムイオン、第三級アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、錯イオンのいずれかを含むことを特徴とする請求項1の薄膜
  3. 請求項1あるいは請求項2の薄膜のうち、前記陰イオンと前記陽イオン対が薄膜中で結晶化していることを特徴とする薄膜
  4. 請求項1あるいは請求項2の薄膜を陽極と陰極の間に含んでなることを特徴とする光電変換デバイス。
  5. 請求項1あるいは請求項2の薄膜を光吸収層として用いる二酸化炭素固定化装置。
  6. 請求項1あるいは請求項2の薄膜を光吸収層として用いる光センシングデバイス。
  7. 一般式(2)で示される化合物。ここで、(2)式中、Xn+はn価の陽イオンを表し、金属元素の陽イオン、アンモニウムイオン、第一級アンモニウムイオン、第二級アンモニウムイオン、第三級アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、錯イオンのいずれかであり、[]nは、括弧内の陰イオンがn個陽イオンXn+と対になっていることを表す。陰イオンの構造において、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。ただし、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR1〜R13が全て水素であり、かつXn+がテトラブチルアンモニウムイオンである化合物を除く。
  8. 一般式(3)で表される化合物を蒸着法によって製膜し、その後塩基性の試薬に浸漬、暴露あるいは接触させることにより一般式(1)で表される陰イオンに化学変換し、請求項1の薄膜を得る薄膜の製造方法。ここで、(3)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。Hは水素を表す。
  9. 一般式(3)で表される化合物を蒸発させながら、同時に塩基性の化合物を蒸発させて2つの化合物を接触させ、一般式(1)で表される陰イオンに化学変換し、請求項1の薄膜を得る薄膜の製造方法。
  10. 一般式(4)で表される化合物。ここで、(4)式中、E1、E2、E3、E4は、同一でも異なっていてもよく、酸素原子、あるいは炭素数が1〜30の範囲の原子団で一置換された窒素、あるいはシアノ基またはトリフルオロメチル基を有する炭素であり、R1〜R13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、アミノ基、ボリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基からなる群より選ばれる。Hは水素を表す。ただし、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR1〜R13が全て水素である化合物と、E1〜E4が全て酸素原子であり、かつR2〜R13が全て水素であり、かつR1が臭素である化合物を除く。
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