JP5991073B2 - 振動機 - Google Patents

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本発明は、鋳造ラインにおいて、鋳造製品などのワークを搬送するための振動機に関するものである。
鋳造ラインにおいては一般に、(1)鋳型の造型、(2)鋳型への注湯、(3)鋳型の冷却、(4)鋳型の解枠(鋳物製品の取り出し)というプロセスが進行する。そして、解枠後取り出された鋳物製品は、振動トラフを有する振動機(振動コンベア)によって搬送されるが、(4)の解枠工程自体を振動機(シェイクアウトマシン)によって行う場合もある。いずれの場合であっても、鋳造製品などのワークは、振動機から下工程の他の搬送装置(振動コンベア、エプロンコンベアなど)に移し替えられる。本明細書において、ワークは鋳物製品その他の被搬送物を意味するものとする。
このとき、図1、図2に示すように、振動機1と他の搬送装置2との搬送方向が同じであれば、特に問題は生じない。しかしながら、ラインの設置スペースの関係から、図3、図4に示すように、振動機1の搬送方向を他の搬送装置2の搬送方向と直交させて配置せざるを得ない場合がある。このような場合に特許文献1の図2、3に示されるように、振動機1の振動トラフ3の先端を下流側の搬送方向に対して、搬送幅寸法に合わせて角度を付ける形状とする。これは、振動トラフ3の先端の間口を広げ、下流側の搬送装置2上でのワーク及びワーク群の偏積を避けるためである。しかしながら、このような工夫をしても、ワークの移し替え部においてワークが停滞することは避けられない。図5に示すように、振動機1と搬送装置2とのワークの移し変え部でワークWが停滞すると、ワークWどうしが絡み合って大きなワーク群Gが形成されやすい。
このようにワーク群Gが形成されると、振動機1から他の搬送装置2へ落下するワークWは、搬送装置2上で停滞しているワーク群Gの上に落下することとなる。そうすると、ワークWはワーク群Gにぶつかり、搬送装置2に対して振動トラフ3の上流側から落下したワークWは、図5に示すように振動トラフ3の上流側へ跳ね返ってしまうことがある。そして、上流側へ跳ね返ったワークWは、振動トラフ3と搬送装置2の間に噛み込まれてしまうことがある。
このような噛み込みが発生した場合には、復旧作業のために鋳造ラインを停止する必要があり、生産性が低下する。また、過酷な作業環境の鋳造工場において、この復旧作業は作業者にとって大きな負担となる。一方、搬送装置2上に形成されたワーク群Gは、振動トラフ3の側板4に引っ掛りやすい。これは、振動トラフ3の先端に形成される間口が小さいためである。このような引っ掛りも生産性を低下させる原因となる。
特開平11−138253号公報
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、ワークを搬送方向の異なる搬送装置に、噛み込みや引っ掛りを発生させることなく移送することができる振動機を提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明に係る振動機は、底板と側板とからなる振動トラフを有し、ワークを搬送しつつその搬送方向と直交する方向に配置された他の搬送装置に落下させる振動機であって、前記底板の先端を前記他の搬送装置の上流側よりも下流側が後退した斜辺とするとともに、前記他の搬送装置の上流側に位置する前記底板及び側板の端部に、上記斜辺からの突出部を形成し、また、前記他の搬送装置の下流側に位置する前記底板及び側板の端部に、上記斜辺から後退した凹部を形成したことを特徴とするものである。
なお請求項2のように、前記突出部の幅を、ワークの短手寸法の1/2以下とすることが好ましい。
本発明の振動機は、底板の先端を斜辺とするとともに、他の搬送装置の上流側に位置する底板及び側板の端部に突出部を形成したので、他の搬送装置の上流側に位置する底板から落下するワークは、底板の突出部に載りながら、他の搬送装置に落下する。この落下の方向は他の搬送装置の下流側に向かう方向であるので、ワークが不規則に跳ね返ったとしても、振動トラフの先端よりも上流側へ跳ね返ることは少ない。従ってワークが振動トラフと他の搬送装置との間に噛み込まれるトラブルを防止することができる。また、底板及び側板の端部に凹部を形成することによって、振動トラフの先端の間口を広げることができ、ワークをできるだけ振動トラフの下流側の側板から遠い位置に移し換えることができるため、他の搬送装置上に形成されたワーク群が振動トラフの側板に引っ掛かることを防止することができる
また請求項2のように、上流側の側板とともに突出させる底板の他の搬送装置の搬送方向の幅を、ワークの短手寸法の1/2以下とすることによって、ワークを他の搬送装置の下流方向に向けて確実に落下させることが可能となる。
搬送方向を同一にして配置された振動機と他の搬送装置の平面図である。 図1の振動機と他の搬送装置の正面図である。 搬送方向を直交して配置された振動機と他の搬送装置の平面図である。 図3の振動機と他の搬送装置の正面図である。 従来の振動機を用いた場合のワークの跳ね返り、及びワーク群の引っ掛かり状態を説明する平面図である。 本発明に係る振動機と他の搬送装置を示す平面図である。 本発明に係る振動機を用いた場合のワークの跳ね返り、及びワーク群の通過状態を説明する平面図である。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図6、図7に基づき説明する。
図6、図7において、10は本発明に係る振動機であり、振動トラフ11と2つのモーター(振動モーター)12,12を有する。この振動トラフ11は底板13と、側板14とからなる。側板14は図2、図4に示される従来のものと同様に、底板13の両側に形成されている。振動機10は、鋳型から取り出された鋳造製品を図6中に矢印で示す方向(X方向)に搬送する機能を持つ。
20はこの振動機10の搬送方向と直交する方向(図6中に矢印で示すY方向)に配置され、振動機10の底板13から落下してくる鋳造製品を受け取る他の搬送装置であり、この実施形態ではエプロンコンベアである。図6ではX方向とY方向は直角であるが、必ずしも直角に限定されるものではない。他の搬送装置20の搬送方向(Y方向)を基準として、図6の上側を上流側、下側を下流側と表現する。
振動トラフ11の側板14は、Y方向の上流側に位置する側板14aと、下流側に位置する側板14bとで構成される。そして振動トラフ11の底板13の先端は、他の搬送装置20の上流側よりも下流側が−X方向に後退した斜辺15となっている。換言すれば、この斜辺15は下流側の側板14bに近い部分よりも、上流側の側板14aに近い部分がX方向に迫り出した形状となっている。底板13の先端をこのような斜辺15とすることにより、振動トラフ11の先端の間口を広げることができるとともに、他の搬送装置20上でのワークW及びワーク群Gの偏積を避けることができる。
他の搬送装置20の上流側に位置する底板13及び側板14aの端部には、底板13の先端の斜辺15からの突出部16が形成されている。そのX方向の突出量は特に限定されるものではないが、その幅(Y方向の長さ)は搬送されるワークの幅の1/2以下としておく。これは底板13の突出部16に載ったワークWを確実に他の搬送装置20の下流側に落下させるためである。
さらに、下流側の側板14b及びそれに隣接する底板13の下流側端部には、上記斜辺15から後退した凹部17が形成されている。この凹部17はその長さ及び幅に関して特に限定されるものではない。
以下に、本発明の振動機10の動作を説明する。
まず、解枠工程により鋳型から取り出されたワークが振動トラフ11の底板13上に載置される。そして、モーター12により振動トラフ11を振動させて、ワークWをX方向に搬送する。この構成は一般的な振動コンベアと同様である。振動トラフ11の先端まで搬送されたワークWは、底板13の先端の斜辺15から他の搬送装置20であるエプロンコンベア上に落下する。
図5に示したように、底板13の先端の上流側端部から落下するワークWは、従来の振動機では上流側へ跳ね返ることがあった。しかし本発明では、底板13の先端の上流側端部から落下するワークWは、突出部16にその一部が載った状態から落下する。そのため、そのワークWは、図7に示すように、Y方向の下流側に向かって落下する。これは前述のとおり突出部の幅をワークWの短手寸法の1/2以下としているためである。なお、突出部16の幅がこれより大きいと、ワークWはそのままX方向に向かって落下する可能性が高くなる。
以上のように、ワークWをY方向に落下させることにより、仮にワークWが落下した際に、図7に示すように停滞しているワーク群Gに当たりY方向の上流側に跳ね返ったとしても、振動トラフ11の上流側の側板14aよりも上流側に跳ね返る可能性を低減することができる。したがって、ワークWの上流側の側板14aと他の搬送装置20の搬送面との間での噛み込みを防止することができる。
一方、他の搬送装置20上のワーク群Gは、底板13の先端に凹部17が設けられているため、下流側の側板14bに引っ掛かることなく、容易に他の搬送装置20の下流側に搬送される。
以上の実施例では、鋳型から取り出された鋳物製品を搬送する振動機10を例にしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、鋳型を解枠するための解枠機能を有する振動機に適用することもできる。この場合には、振動トラフ11の底板13を格子状に形成する。そして、振動トラフ11に鋳型を載置し、振動トラフ11の振動により鋳型を解枠し、ワークの取り出しを行う。解枠後の(すなわち、粉々になった)鋳型は格子状の底板13から落下し、回収されて再利用される。鋳型から分離された鋳物製品は格子上に留まり、そのまま振動によって搬送される。
あるいは本発明の振動機10に、砂落とし装置としての機能を持たせることもできる。この場合にも、振動トラフ11の底板13を格子状に形成する。そして、鋳型から取り出された砂が付着したままの鋳物製品を、振動トラフ11に載置する。振動によってワークを搬送する際に、振動によって砂が分離し、格子から落下し回収される。
以上に説明したように、本発明の振動機によれば、ワークを搬送方向の異なる搬送装置に、噛み込みや引っ掛りを発生させることなく移送することができる。
1 従来の振動機
2 他の搬送装置
3 振動トラフ
4 側板
10 本発明の振動機
11 振動トラフ
12 モーター
13 底板
14 側板
14a 上流側の側板
14b 下流側の側板
15 斜辺
16 突出部
17 凹部
20 他の搬送装置
W ワーク
G ワーク群

Claims (2)

  1. 底板と側板とからなる振動トラフを有し、ワークを搬送しつつその搬送方向と直交する方向に配置された他の搬送装置に落下させる振動機であって、
    前記底板の先端を前記他の搬送装置の上流側よりも下流側が後退した斜辺とするとともに、
    前記他の搬送装置の上流側に位置する前記底板及び側板の端部に、上記斜辺からの突出部を形成し
    また、前記他の搬送装置の下流側に位置する前記底板及び側板の端部に、上記斜辺から後退した凹部を形成したことを特徴とすることを特徴とする振動機。
  2. 前記突出部の幅を、ワークの短手寸法の1/2以下としたことを特徴とする請求項1に記載の振動機。
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