JP5990456B2 - ケイ酸エステル組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
使用中に香りを長時間にわたって持続させることができる芳香剤としては、例えば、特許文献1に、有機ケイ素化合物又はその誘導体を固形物に含浸させた芳香剤が開示されている。
また、特許文献2には、安定に配合でき、保存安定性が良好で、長期に亘り機能性物質を徐放することができる機能性物質として、特定のケイ酸エステル化合物を含む機能性物質放出剤が開示されている。
更に、特許文献3には、香料や医薬品を長時間放出することができる化合物の製造方法として、特定のケイ素誘導体の合成方法が開示されている。
しかし、従来法によるエステル交換反応は比較的高温で長時間行う必要があるため、目的とする化合物に着色が生じるという問題があった。
また、反応を速めるためにアルカリ等の塩基性化合物を触媒として用いる方法があるが、アルカリの存在により目的とする化合物の着色が促進される。
したがって、短い反応時間で効率的に着色の少ないケイ酸エステル化合物を得る方法の開発が望まれていた。
すなわち、本発明は次の[1]〜[3]を提供する。
[1]沸点150〜250℃のアルコール(A)と、沸点100℃未満のアルコール(B)由来のアルコキシ基を有するシランとをエステル交換反応させることにより、アルコール(A)由来のアルコキシ基を有するシランを含有するケイ酸エステル組成物を製造する方法であって、下記条件(1)〜(3)を満たすようにエステル交換反応を行うケイ酸エステル組成物の製造方法。
条件(1):アルコール(A)と前記シランとの仕込みモル比(アルコール(A)/シラン)が1/1〜7/1であり、エステル交換反応は塩基性化合物の存在下で行う。
条件(2):アルコール(A)の含有量が、反応混合物中15質量%以上である場合は沸騰しない条件で反応を行う。
条件(3):アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.5個以下結合している場合においては、40kPa以下で反応を行う。
[2][1]の製造方法で得られたケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体。
[3][1]の製造方法で得られたケイ酸エステル組成物を含有する繊維処理剤。
条件(1):アルコール(A)と前記シランとの仕込みモル比(アルコール(A)/シラン)が1/1〜7/1であり、エステル交換反応は塩基性化合物の存在下で行う。
条件(2):アルコール(A)の含有量が、反応混合物中15質量%以上である場合は沸騰しない条件で反応を行う。
条件(3):アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.5個以下結合している場合においては、40kPa以下で反応を行う。
すなわち、本発明にかかる反応においては、アルコール(A)と前記シランとの仕込みモル比(アルコール(A)/シラン)を1/1〜7/1とし、塩基性化合物の存在下、アルコール(A)の含有量が反応混合物中15質量%以上である場合においては、沸騰しない条件で反応を行う。このように沸騰しない条件で行うことで、沸騰の熱損失による反応速度の低下を防ぐことができ、また、少量の触媒で効率的にエステル交換を生じさせることができるため、目的とする化合物の着色を防止することができる。
さらに、沸点100℃未満のアルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.5個以下の場合においては、40kPa以下で反応を行うことにより、エステル交換反応を効率よく進行させられるものと考えられる。
なお、本発明において「沸騰」とは、反応混合物内部から、急速に気化が生じる現象のことをいい、沸騰の開始は、気化による反応混合物の温度の低下により判断することができる。その後、継続的な沸騰は、気液界面における泡の発生によって判断することができる。
沸騰開始の判断は、反応混合物の組成、アルコール(A)の沸点等によって異なるが、反応混合物の温度が3℃以上低下した場合に行うことができる。
以下、本発明に用いられる各成分及び工程等について説明する。
本発明においては、着色の少ないケイ酸エステル組成物を得る観点、ケイ酸エステル組成物を効率よく得る観点及び得られたケイ酸エステル組成物から香料等のアルコールを長時間にわたって放出させる観点から、沸点が150〜250℃、好ましくは200〜250℃であるアルコール(A)を用いる。なお、「アルコール(A)の沸点」とは、1気圧における沸点(標準沸点)をいう。
また、アルコール(A)は、ケイ酸エステル組成物を効率よく得る観点から、1級又は2級アルコールが好ましく、2級アルコールがより好ましく、環状の2級アルコールが更に好ましい。
また、アルコール(A)のうち1級アルコールである香料の具体例としては、ベンジルアルコール(沸点205℃)、フェニルエチルアルコール(沸点220℃)、4−イソプロピルシクロヘキサンメタノール(沸点216℃)が挙げられる。
本発明においては、着色の少ないケイ酸エステル組成物を得る観点、ケイ酸エステル組成物を効率よく得る観点から、原料として、沸点100℃未満のアルコール(B)由来のアルコキシ基を有するシランを用いる。
アルコール(B)の沸点は、100℃未満であり、好ましくは60〜90℃である。また、アルコール(B)はアルキルアルコールであることが好ましく、その炭素数は好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2、より更に好ましくは2である。
アルコール(B)の具体例としては、メタノール(沸点64.7℃)、エタノール(沸点78.3℃)、n−プロパノール(沸点97.2℃)、イソプロパノール(沸点82.4℃)、sec−ブタノール(沸点98.5℃)、tert−ブタノール(沸点84.2℃)が挙げられ、ケイ酸エステル組成物を効率よく得る観点から、メタノール及びエタノールが好ましく、エタノールがより好ましい。
エステル交換反応においては、アルコール(A)、アルコール(B)由来のアルコキシ基を有するシラン以外に、その他のアルコール又はフェノール化合物を用いることができる。その他のアルコール又はフェノールを用いた場合、目的とするシランに対して、その他のアルコール又はフェノール化合物由来のアルコキシ基又はフェノキシ基を導入することができる。その他のアルコール又はフェノール化合物のなかでは、沸点250℃以上のフェノール化合物が好ましい。
前記フェノール化合物は、着色の少ないケイ酸エステル組成物を得る観点、及び得られたケイ酸エステル組成物から該フェノール独自の香調を長時間にわたって持続させる観点から、沸点が250℃以上、好ましくは280℃以上のものを用いる。なお、「フェノール化合物の沸点」とは、1気圧における沸点(標準沸点)をいう。
フェノール化合物は、香料であることが好ましく、フレグランス又はフレーバーであることがより好ましく、得られたケイ酸エステル組成物に良好な香調を付与する観点から、フレグランスであることが更に好ましい。
香料であるフェノール化合物をアルコール(A)と組み合わせて用いることにより、フェノール化合物の加水分解をアルコール(A)によって抑制することができるため、得られたケイ酸エステル組成物からフェノール化合物独自の香調を長時間にわたって持続させることが可能となる。
本発明においては、塩基性化合物の存在下、エステル交換反応を行う。本発明の条件を満たすことにより、少量の塩基性化合物の存在下であっても、着色の少ないケイ酸エステル組成物を効率よく得ることができる。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等の炭素数1〜3のアルコキシドとアルカリ金属との塩が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシドとアルカリ金属との塩がより好ましい。
エステル交換反応は、アルコール(A)と前記シランとの仕込みモル比(アルコール(A)/シラン)を1/1〜7/1とし、塩基性化合物存在下(条件(1))、アルコール(A)の含有量が、反応混合物中15質量%以上である場合においては沸騰しない条件(条件(2))で、かつ、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.5個以下の場合においては40kPa以下の条件(条件(3))で反応を行う。
なお、「反応条件下における沸点」とは、反応系における圧力及び沸点上昇を考慮した沸点をいう。
更に、着色の少ないケイ酸エステル組成物を得る観点及びケイ酸エステル組成物を効率よく得る観点から、反応開始からアルコール(A)の反応率が88%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上になるまでの間、沸騰させずに反応を行うことが好ましい。
前記アルコール(A)の反応率は、反応系外に留出したアルコール(B)のモル量を、仕込み量から計算される前記シランが有するアルコール(B)由来のアルコキシ基のモル量で除することにより求める。
具体的な反応温度は、ケイ酸エステル組成物を効率よく得る観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上、より更に好ましくは130℃以上、より更に好ましくは140℃以上、より更に好ましくは150℃以上、より更に好ましくは160℃以上、そして沸騰を確実に抑制しつつ、着色の少ないケイ酸エステル組成物を得る観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下、より更に好ましくは170℃以下である。
なかでも、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均0.8個以上で平均1.5個以下の場合においては、好ましくは8〜40kPa、より好ましくは10〜30kPa、更に好ましくは12〜25kPaで反応を行う。
アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均0.8個以下の場合においては、好ましくは25kPa以下、更に好ましくは20kPa以下で反応を行う。
本発明の製造方法で得られるケイ酸エステル組成物は、アルコール(A)由来のアルコキシ基を有するシランを含有する。また、ケイ酸エステル組成物には、フェノール化合物由来のフェノキシ基を有するシランを含有することが好ましい。なかでもアルコール(A)由来のアルコキシ基とフェノール化合物由来のフェノキシ基のいずれをも有するシランを含有することが好ましい。このようなシランは、フェノール化合物の加水分解をアルコール(A)によって抑制することができ、得られたケイ酸エステル組成物からフェノール化合物独自の香調を長時間にわたって持続させることが可能となる。
本発明の製造方法で得られるケイ酸エステル組成物には、アルコール(A)由来のアルコキシ基及びフェノール化合物由来のフェノキシ基以外のその他のアルコキシ基あるいはフェノキシ基を含有することができ、それらが、香料である場合、複合的な香調を付与することができる。
本発明の香料前駆体組成物は、本発明のケイ酸エステル組成物を含むものであるため、アルコール(A)、フェノール化合物、その他のアルコール及びフェノールを加水分解により徐放する。
本発明の香料前駆体組成物は、ケイ酸エステル組成物以外に、油剤、界面活性剤、有機溶媒を含有してもよい。
本発明の香料前駆体組成物は、様々な製品に配合することができるため、前記アルコール及びフェノールを長期に亘り安定に徐放でき、長期に亘り前記アルコール及びフェノールに由来する香気を発生させることができる。
更に、本発明の香料前駆体組成物は、水溶液系での保存安定性に優れるため、香水、コロン、水系消臭芳香剤をはじめ、食器用洗剤、液体石鹸・化粧水等の各種化粧用品、シャンプー・リンス・コンディショナー・スタイリング剤等の頭髪用製品、液体入浴剤等に使用することができる。
また、消臭剤組成物を構成する場合には、消臭剤組成物中の本発明のケイ酸エステル組成物の含有量は、好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%である。
なお、本発明の香料前駆体組成物はケイ酸エステル組成物を含有するものであるが、このケイ酸エステル組成物は前述の本願発明の製造方法により製造したものであることが好ましい。
本発明の繊維処理剤は、本発明のケイ酸エステル組成物を含むものであるため、水系製品に配合した場合にも拙速な加水分解を抑制することができ、実際の使用態様において、前記アルコール及びフェノールを長期に亘り安定に徐放することが可能である。
かかる本発明のケイ酸エステル組成物を用いることによって、水系製品中での加水分解を抑制することができ、実際の使用態様において、好ましい香りを発し、優れた効果を持続的に発現させることができる。特に、衣料用洗浄剤及び柔軟仕上げ剤等の繊維処理剤用途において有用である。
<1>沸点150〜250℃のアルコール(A)と、沸点100℃未満のアルコール(B)由来のアルコキシ基を有するシランとをエステル交換反応させることにより、アルコール(A)由来のアルコキシ基を有するシランを含有するケイ酸エステル組成物を製造する方法であって、下記条件(1)〜(3)を満たすようにエステル交換反応を行うケイ酸エステル組成物の製造方法。
条件(1):アルコール(A)と前記シランとの仕込みモル比(アルコール(A)/シラン)が1/1〜7/1であり、エステル交換反応は塩基性化合物の存在下で行う。
条件(2):アルコール(A)の含有量が、反応混合物中15質量%以上である場合は沸騰しない条件で反応を行う。
条件(3):アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.5個以下結合している場合においては、40kPa以下で反応を行う。
<2>前記条件(2)において、アルコール(A)の沸点以下で反応を行う、<1>に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<4>前記条件(2)において、反応条件下における反応混合物の沸点以下で反応を行う、<1>〜<3>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<6>前記アルコール(A)の含有量が反応混合物中15質量%以上である場合における圧力が、好ましくは1kPa以上、より好ましくは2kPa以上、更に好ましくは4kPa以上であり、そして、好ましくは0.1MPa以下、より好ましくは80kPa以下、更に好ましくは60kPa以下である、<1>〜<5>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<8>アルコール(A)の反応率が好ましくは48%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは52%以上の場合においては、好ましくは40kPa以下、より好ましくは35kPa以下、更に好ましくは30kPa以下で反応を行う、<1>〜<7>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<10>前記アルコール(A)の沸点が、好ましくは200〜250℃である、<1>〜<9>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<12>前記2級アルコールが、好ましくは、メントール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、イソプレゴール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)−エタノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、p−t−ブチルシクロヘキサノールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはメントールである、<11>に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<14>前記アルコール(A)と前記フェノール化合物とのモル比(アルコール(A)/フェノール化合物)が、好ましくは85/15〜50/50、より好ましくは80/20〜50/50、更に好ましくは75/25〜50/50、更に好ましくは75/25〜60/40である、<13>に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<16>前記香料が、好ましくはラズベリーケトン、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、バニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、オイゲノール、及びイソオイゲノールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはラズベリーケトンである、<15>に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<18>塩基性化合物の量が、前記アルコール(B)由来のアルコキシ基を有するシランに対して、好ましくは0.05〜0.5モル%、より好ましくは0.05〜0.4モル%、更に好ましくは0.05〜0.3モル%である、<1>〜<17>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<20>前記炭素数1〜4のアルキルアルコールが、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールであり、より好ましくはエタノールである、<19>に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<22>アルコール(A)と前記シランとの仕込みモル比(アルコール(A)/シラン)が、好ましくは1/1〜5/1、より好ましくは2/1〜5/1、更に好ましくは3/1〜5/1、より更に好ましくは3/1〜4/1である、<1>〜<21>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<24>アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.5個以下の場合においては、40kPa以下、好ましくは35kPa以下、より好ましくは30kPa以下、更に好ましくは25kPa以下で反応を行う、<1>〜<23>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<26>アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均0.8個以下の場合においては、好ましくは25kPa以下、更に好ましくは20kPa以下で反応を行う、<1>〜<25>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<28>ケイ酸エステル組成物中のアルコール(A)由来のアルコキシ基とフェノール化合物由来のフェノキシ基とのモル比[アルコキシ基/フェノキシ基]が、好ましくは85/15〜50/50、より好ましくは80/20〜50/50、更に好ましくは75/25〜50/50、更に好ましくは75/25〜60/40である、<1>〜<27>のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
<30>前記<1>〜<28>のいずれかに記載の製造方法で得られたケイ酸エステル組成物を消臭剤組成物中、好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%含有する消臭剤組成物。
<32>前記<1>〜<28>のいずれかに記載の製造方法で得られたケイ酸エステル組成物を含有する繊維処理剤。
<33>前記<1>〜<28>のいずれかに記載の製造方法で得られたケイ酸エステル組成物を繊維処理剤組成物中、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%含有する繊維処理剤組成物。
実施例1
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.29gを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら160℃で2時間攪拌した。この時点における反応混合物の特性は、アルコール(A)の含有量が反応混合物中34.4質量%、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.2個、アルコール(A)の反応率が56.2%であった(以下、この順序で記す。)。
次いで、1段階目の減圧として、槽内の圧力を18kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、27質量%、平均0.8個、70.2%であった。
次いで、2段階目の減圧として、槽内の圧力を13.3kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、23.7質量%、平均0.6個、75.5%であった。
次いで、3段階目の減圧として、槽内の圧力を10.7kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、20.4質量%、平均0.5個、80.6%であった。
次いで、4段階目の減圧として、槽内の圧力を8kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、18.1質量%、平均0.3個、84.1%であった。
次いで、5段階目の減圧として、槽内の圧力を6.7kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、15.5質量%、平均0.3個、87.8%であった。
次いで、6段階目の減圧として、槽内の圧力を5.3kPaまで下げ3時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、10.2質量%、平均0.1個、95.4%であった。
最後に7段階目の減圧として、槽内の圧力を4kPaまで下げ2時間撹拌した。エステル交換反応中、沸騰は見られなかった。反応12時間目でのアルコール(A)の反応率は95%であった。その後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.29gを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら160℃で2時間攪拌した。この時点における反応混合物の特性は、アルコール(A)の含有量が反応混合物中35.8質量%、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.1個、アルコール(A)の反応率が53.5%であった(以下、この順序で記す。)。
次いで、1段階目の減圧として、槽内の圧力を18kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、25.3質量%、平均0.7個、73.0%であった。
次いで、2段階目の減圧として、槽内の圧力を13.3kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、22.8質量%、平均0.6個、76.9%であった。
次いで、3段階目の減圧として、槽内の圧力を10.7kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、20.6質量%、平均0.5個、80.4%であった。
次いで、4段階目の減圧として、槽内の圧力を8kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、18.7質量%、平均0.4個、83.2%であった。
次いで、5段階目の減圧として、槽内の圧力を6.7kPaまで下げ5時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、10.9質量%、平均0.1個、94.3%であった。
最後に6段階目の減圧として、槽内の圧力を5.3kPaまで下げ3時間撹拌した。エステル交換反応中、沸騰は見られなかった。反応14時間目でのアルコール(A)の反応率は95%であった。
その後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.29gを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら160℃で2時間攪拌した。この時点における反応混合物の特性は、アルコール(A)の含有量が反応混合物中38.6質量%、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.1個、アルコール(A)の反応率が46.8%であった(以下、この順序で記す。)。
次いで、1段階目の減圧として、槽内の圧力を18kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、31.6質量%、平均0.8個、61.5%であった。
次いで、2段階目の減圧として、槽内の圧力を8kPaまで下げた。18kPaから8kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が160℃から153℃に低下した。
更に槽内の圧力8kPa、系内温度153℃で1時間撹拌した。反応4時間目の時点における反応混合物の特性は、28.7質量%、平均0.7個、67.0%であった。
最後に3段階目の減圧として、槽内の圧力を4kPaまで下げた。8kPaから4kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が153℃から140℃に低下した。
更に槽内の圧力4kPa、系内温度140〜150℃で14時間撹拌した。反応18時間目のアルコール(A)の反応率は82%であった。
その後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.33gを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら160℃で2時間攪拌した。
この時点における反応混合物の特性は、アルコール(A)の含有量が反応混合物中33.9質量%、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.2個、アルコール(A)の反応率が55.8%であった(以下、この順序で記す。)。
次いで、1段階目の減圧として、槽内の圧力を18kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、26.4質量%、平均0.9個、70.9%であった。
次いで、2段階目の減圧として、槽内の圧力を8kPaまで下げた。18kPaから8kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が160℃から151℃に低下した。
更に槽内の圧力8kPa、系内温度151℃で1時間撹拌した。反応4時間目の時点における反応混合物の特性は、22.7質量%、平均0.7個、76.3%であった。
最後に3段階目の減圧として、槽内の圧力を4kPaまで下げた。8kPaから4kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が151℃から140℃に低下した。
更に槽内の圧力4kPa、系内温度140〜152℃で14時間撹拌した。反応18時間目でのアルコール(A)の反応率は88%であった。その後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.60gを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら160℃で2時間攪拌した。この時点における反応混合物の特性は、アルコール(A)の含有量が反応混合物中34.3質量%、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.2個、アルコール(A)の反応率が56.2%であった(以下、この順序で記す。)。
次いで、1段階目の減圧として、槽内の圧力を18kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、25.7質量%、平均0.8個、72.1%であった。
次いで、2段階目の減圧として、槽内の圧力を8kPaまで下げた。18kPaから8kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が160℃から152℃に低下した。
更に槽内の圧力8kPa、系内温度152℃で1時間撹拌した。反応4時間目の時点における反応混合物の特性は、22.5質量%、平均0.6個、77.3%であった。
最後に3段階目の減圧として、槽内の圧力を4kPaまで下げた。8kPaから4kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が152℃から139℃に低下した。更に槽内の圧力4kPa、系内温度139〜150℃で14時間撹拌した。反応15時間目でのアルコール(A)の反応率は94%であった。
その後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.87gを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら160℃で2時間攪拌した。この時点における反応混合物の特性は、アルコール(A)の含有量が反応混合物中31.9質量%、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.2個、アルコール(A)の反応率が60.1%であった(以下、この順序で記す。)。
次いで、1段階目の減圧として、槽内の圧力を18kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、25.3質量%、平均0.8個、73.9%であった。
次いで、2段階目の減圧として、槽内の圧力を8kPaまで下げた。18kPaから8kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が160℃から152℃に低下した。
更に槽内の圧力8kPa、系内温度152℃で1時間撹拌した。反応4時間目の時点における反応混合物の特性は、20.4質量%、平均0.5個、80.1%であった。
最後に3段階目の減圧として、槽内の圧力を4kPaまで下げた。8kPaから4kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が152℃から140℃に低下した。
更に槽内の圧力4kPa、系内温度140〜150℃で7時間撹拌した。反応11時間目でのアルコール(A)の反応率は94%であった。
その後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液1.40gを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら160℃で2時間攪拌した。この時点における反応混合物の特性は、アルコール(A)の含有量が反応混合物中32.1質量%、アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.2個、アルコール(A)の反応率が60.5%であった(以下、この順序で記す。)。
次いで、1段階目の減圧として、槽内の圧力を18kPaまで下げ1時間撹拌した。この時点における反応混合物の特性は、24.5質量%、平均0.7個、74.3%であった。
次いで、2段階目の減圧として、槽内の圧力を8kPaまで下げた。18kPaから8kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が160℃から151℃に低下した。
更に槽内の圧力8kPa、系内温度151℃で1時間撹拌した。反応4時間目の時点における反応混合物の特性は、19.6質量%、平均0.5個、82.3%であった。
最後に3段階目の減圧として、槽内の圧力を4kPaまで下げた。8kPaから4kPaまで減圧する際に沸騰が起こり、系内温度が151℃から140℃に低下した。更に槽内の圧力4kPa、系内温度140〜149℃で6時間撹拌した。反応10時間目でのアルコール(A)の反応率は94%であった。
その後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
Si(ORasp)(OMenthyl)3を含む香料放出剤の合成
300mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.67g(0.20mol)、ラズベリーケトン36.13g(0.22mol)、メントール103.14g(0.66mol)、5.275質量%ナトリウムエトキシドエタノール溶液0.29gを入れ、窒素気流下(大気圧で)エタノールを留出させながら160℃で10時間攪拌した。反応10時間目でのアルコール(A)の反応率は57.8%であった。
その後、濾過を行い、ラズベリーケトンとメントールのモル比1:3のケイ酸エステル化合物〔Si(ORasp)(OMenthyl)3〕を含む黄色油状物を得た。得られた油状物をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、表1に示す組成の香料放出剤を得た。
着色性評価は、得られた香料放出剤の色相を測定することにより行った。色相は、ガードナー比色計測定法により測定した。試料をガードナー比色管(標準色ガラス)の標線まで入れ、試料と標準液を入れた比色管を平行に並べ、白色の光源をバックに目視観察し、ガードナー色数標準液と色の比較を行った。試料の色に最も近いガードナー色数標準液の番号を試料の色相とした。
実施例1と比較例1で製造したケイ酸エステル組成物のろ過にかかる時間を、以下の方法により測定した。
実施例1と比較例1で製造したケイ酸エステル組成物25mLを、孔径1.0μmのメンブランフィルター(PTFE製、47mm径)でろ過し、ろ過開始時から終了時までの時間(秒)を測定した。結果を表1に示す。
表2に示す組成の未賦香液体柔軟仕上げ剤Aを定法にしたがって調製した。
実施例1で得られたケイ酸エステル組成物を未賦香液体柔軟仕上げ剤Aに対して、それぞれ0.5質量%(ラズベリーケトン換算)になるように50mLのスクリュー管(マルエムNo.7)に入れ、50℃に加熱後冷却を行うことにより繊維処理剤である柔軟仕上げ剤組成物を調製した。
なお、実施例1で得られたケイ酸エステル組成物の代わりにラズベリーケトンを用いたこと以外は前記と同様にして調製した柔軟仕上げ剤組成物を比較例7とした。
あらかじめ、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製、「アタック」)を用いて、木綿タオル24枚を(株)日立製作所製全自動洗濯機、「NW−6CY」で5回洗浄を繰り返し、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)。
<湿潤処理>
トリガー容器(ポリエチレン製のスプレー容器であって、容器内の溶液を霧状に噴射することができるもの)に蒸留水を充填し、タオルより30cmほど離して1プッシュ(水重量0.4g)することで湿潤処理を行った。評価は、蒸留水で湿潤させてから1分経過した後に、官能評価を行った。
5:非常ににおいが強い
4:かなりにおいが強い
3:においが強い
2:においがする(認知閾値)
1:微かににおいがする(検知閾値)
0:においがしない
Claims (11)
- 沸点150〜250℃のアルコール(A)と、沸点100℃未満のアルコール(B)由来のアルコキシ基を有するシランとをエステル交換反応させることにより、アルコール(A)由来のアルコキシ基を有するシランを含有するケイ酸エステル組成物を製造する方法であって、アルコール(A)と共に、フェノール化合物を用い、下記条件(1)〜(3)を満たすようにエステル交換反応を行うケイ酸エステル組成物の製造方法。
条件(1):アルコール(A)と前記シランとの仕込みモル比(アルコール(A)/シラン)が1/1〜7/1であり、エステル交換反応は塩基性化合物の存在下で行う。
条件(2):アルコール(A)の含有量が反応混合物中15質量%になるまでの間、沸騰させずに反応を行う。
条件(3):アルコール(B)由来のアルコキシ基がケイ素原子に対して平均1.5個以下結合している場合においては、40kPa以下で反応を行う。 - 前記条件(2)において、アルコール(A)の沸点以下で反応を行う、請求項1に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記エステル交換反応において、圧力を1割以上変化させる工程を4回以上設ける、請求項1又は2に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記アルコール(A)が2級アルコールである、請求項1〜3のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記2級アルコールがメントールである、請求項4に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記アルコール(A)と前記フェノール化合物とのモル比(アルコール(A)/フェノール化合物)が85/15〜50/50である、請求項1〜5のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記フェノール化合物が香料である、請求項1〜6のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記香料がラズベリーケトンである、請求項7に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記アルコール(B)由来のアルコキシ基を有するシランのケイ素原子に結合する置換基が全てアルコール(B)由来のアルコキシ基である、請求項1〜8のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記アルコール(B)が炭素数1〜4のアルキルアルコールである、請求項1〜9のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
- 前記炭素数1〜4のアルキルアルコールがエタノールである、請求項10に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
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