JP5879125B2 - ケイ酸エステル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、実際の使用態様において、香料等の機能性物質を長期に亘り安定に徐放できるケイ酸エステル組成物に関する。
近年、繊維製品の香りに対する意識の高まりから、持続性のある香料や持続性付与成分を用いた衣料用洗浄剤、柔軟仕上げ剤等の繊維製品処理剤組成物が種々検討されている。
衣類に持続性のある香りを付与する技術として、特許文献1には特定のケイ酸エステル化合物、及び脂肪アルキル第4級アンモニウム化合物を含有し、編織物に長期間持続する香気を付与する編織物コンディショナー組成物が開示されている。
また、特許文献2には特定のケイ酸エステル化合物を含有し、編織物に長期間持続する香気を付与する芳香付与成分を含有する洗浄剤組成物が開示されている。
これらの技術では、ケイ酸エステルの加水分解物が香料成分として用いられ、繊維製品に付着したケイ酸エステルが空気中の水分等によって徐々に加水分解されることで持続性のある香りを繊維製品にもたらすことを意図したものであるが、衣料用洗浄剤や柔軟仕上げ剤等の水系製品中でケイ酸エステルの分解が進行してしまい、効果が持続しない問題がある。
水系製品中でのケイ酸エステルの加水分解を抑制し、香料や抗菌剤をはじめとする各種機能性物質を実際の使用態様において長期に亘り安定に徐放させる技術も提案されている。
例えば、特許文献3には、ケイ酸エステル化合物に導入する機能性物質について、LogP値(1−オクタノール/水分配係数)の観点から特定の2種を組み合わせて用いる技術が開示されている。
また特許文献4には、ケイ素原子に特定鎖長の炭化水素基が結合しているケイ酸エステル化合物を用いる技術が開示されている。
更に、特許文献5では、ケイ酸エステル化合物からの香料、フレーバー、抗菌剤等の各種機能性物質の徐放速度に関する検討がなされている。
特開昭54−59498号公報 特開昭54−93006号公報 特開2009−242798号公報 特開2009−197055号公報 国際公開第01/79212号
特許文献3において、徐放すべき機能性物質としてアルコール性水酸基を有する化合物を用いた場合には十分な効果が実現されるが、より酸性度の高いフェノール性水酸基を有する化合物を用いた場合には水系製品中での加水分解が十分に抑制されない。とりわけ、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール(バニリン等やサリチル酸誘導体)、ヒドロキシピラノン誘導体(マルトール等)及びヒドロキシフラノン誘導体(ストロベリーフラノン等)を用いる場合には、水系製品中での加水分解が顕著に起こり、製品中の保存安定性に乏しいばかりか、実際の使用態様においてその徐放効果が満足に発現されない。
しかしながら、バニリン等はバニラの香り、マルトール等はカラメル様の香り、ストロベリーフラノン等はイチゴ様の香り等の好ましい香気を有するため、その香りを効果的に徐放させることが望まれている。
特許文献4及び5をみても、前述の各誘導体に特異的に生じる水系製品中での加水分解の問題に関して特に検討されておらず、製品中での機能性フェノールの分解・放出を効果的に抑制し得る手段は示唆されていない。
本発明は、実際の使用態様において、香料等の機能性物質であるベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体を長期に亘り安定に徐放できるケイ酸エステル組成物及びこのケイ酸エステル組成物の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は前記ケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体組成物及び繊維処理剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、又はヒドロキシフラノン誘導体由来の置換基を有するケイ酸エステル組成物において、比較的長鎖のアルキル基、3級アルコール由来のアルコキシ基、及び比較的短鎖のアルキル基を置換基として用いることにより、実際の使用態様において、香料等の機能性物質である前記各誘導体を長期に亘り安定に徐放できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1]下記式(1)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物。
(R1O)a(R2O)b3 c4 dSi (1)
(式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R2Oは3級アルコールのアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示す。a、b、c及びdの和は4であり、aは平均値で1〜2、bは平均値で0〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R2O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
[2]前記ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、又はヒドロキシフラノン誘導体である香料を加水分解により徐放する、前記ケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体組成物。
[3]前記ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、又はヒドロキシフラノン誘導体である香料を加水分解により徐放する、前記ケイ酸エステル組成物を含有する繊維処理剤。
[4]下記工程(A)を有するケイ酸エステル組成物の製造方法。
工程(A);下記式(2−2)で表されるアルキルハロゲノシランと、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種とを、塩基性物質の存在下で反応させることにより式(1−2)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物を得る工程
(R1O)a3 c4 dSi (1−2)
3 c4 dSiXa (2−2)
(式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。a、c及びdの和は4であり、aは平均値で1〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
[5]下記工程(B)及び(C)を有するケイ酸エステル組成物の製造方法。
工程(B);下記式(2)で表されるアルキルハロゲノシランと3級アルコール(R2OH)とを塩基性物質の存在下で反応させることにより、下記式(3)で表される化合物を得る工程
工程(C);下記式(3)で表される化合物と、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種とを反応させることにより式(1)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物を得る工程
(R1O)a(R2O)b3 c4 dSi (1)
3 c4 dSiXa+b (2)
(R2O)b3 c4 dSiXa (3)
(式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R2Oは3級アルコールのアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。a、b、c及びdの和は4であり、aは平均値で1〜2、bは平均値で0〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R2O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
[6]前記方法で得られたケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体組成物。
本発明によれば、実際の使用態様において、香料等の機能性物質であるベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体を長期に亘り安定に徐放できるケイ酸エステル組成物、及びこのケイ酸エステル組成物の製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、前記ケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体組成物及び繊維処理剤を提供することができる。
[ケイ酸エステル組成物]
本発明のケイ酸エステル組成物は、下記式(1)で表されるケイ酸エステルを含有するものである。
(R1O)a(R2O)b3 c4 dSi (1)
(式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R2Oは3級アルコールのアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示す。a、b、c及びdの和は4であり、aは平均値で1〜2、bは平均値で0〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R2O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
本発明のケイ酸エステル組成物が、水系製品に安定に配合でき保存安定性が良好で、実際の使用態様において、香料等の機能性物質であるベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、又はヒドロキシフラノン誘導体を長期に亘り安定に徐放することができる理由は明らかではないが、次のように考えられる。
すなわち、R1Oを含む前記各誘導体は、いずれもカルボニル基と炭素間二重結合との間における共役構造を有していることから、これらの化合物の水酸基の酸性度が非常に高くなっており、R1Oが加水分解されやすくなっているが、R3、R4のアルキル基の疎水性効果によりケイ酸エステル自体が疎水化されて、加水分解の原因となる水との接触が抑制され、更にこれらのアルキル基の電子供与性効果によりR1Oの水酸基部分の酸性度が低くなるため、当該ケイ酸エステルの保存安定性が高くなっているものと考えられる。
また、3級アルコールのアルコキシ基は電子求引性が低く酸性度が低いために、前記アルキル基と同様に前記各誘導体のアルコキシ基の安定性を適度に高め、更にこの3級アルコールの嵩高さによりケイ素原子周辺の構造を固定化して、当該ケイ酸エステルの保存安定性を高めているものと考えられる。
本発明のケイ酸エステル組成物自体は水に不溶性あるいは難溶性であり、香料前駆体組成物や繊維処理剤組成物中の製品中ではエマルジョンあるいはミセル状になっていると考えられ、使用時においては水になじみやすい前記各誘導体部分が水と接触して徐々に加水分解を受けることで、適度かつ長期に亘る徐放性能を発現するものと考えられる。
なお、本発明において「ベンゼン環に直接結合したカルボニル基」とは、ベンゼン環を構成する炭素原子に対して他の原子を介さずに直接結合しているカルボニル基をいう。
また、「徐放」とは、徐々に加水分解が進行し、各誘導体が長期間放出されることをいう。
以下、本発明に用いられる各成分及び工程等について説明する。
<ケイ酸エステル>
本発明に用いられるケイ酸エステルは、下記式(1)で表される化合物である。
(R1O)a(R2O)b3 c4 dSi (1)
(式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R2Oは3級アルコールのアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示す。a、b、c及びdの和は4であり、aは平均値で1〜2、bは平均値で0〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R2O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
前記R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基である。
ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体としては、ヒドロキシベンズアルデヒド類及びサリチル酸類が好ましく、中でも香料としての効能及びケイ酸エステル組成物の徐放性能の観点から、ヒドロキシベンズアルデヒド類がより好ましい。
ヒドロキシベンズアルデヒドとしては、香料としての香調及びケイ酸エステル組成物の徐放性能の観点からバニリン、エチルバニリンが好ましい。
サリチル酸類としては、サリチル酸エステルが好ましく、サリチル酸エチルがより好ましい。
ヒドロキシピラノン誘導体としては、エチルマルトール、マルトールが挙げられ、香料としての香調及びケイ酸エステル組成物の徐放性能の観点から、エチルマルトールが好ましい。
ヒドロキシフラノン誘導体としては、ストロベリーフラノン(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン)、ホモフロノール、ソトロン及びエモキシフロンが挙げられ、香料としての香調及びケイ酸エステル組成物の徐放性能の観点からストロベリーフラノンが好ましい。
前記ベンゼン環に直接結合したカルボニル基を有するフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体及びヒドロキシフラノン誘導体は、香料アルコールであることが好ましくフレグランス(香粧品香料)又はフレーバー(食品香料)であることがより好ましく、フレグランスであることが更に好ましい。
1Oのうち香料であるものの好ましい具体例としては、香料等としての効能及びケイ酸エステル組成物の徐放性能の観点から、バニリン、エチルバニリン、サリチル酸エチル、マルトール、エチルマルトール、ストロベリーフラノン、ホモフロノール、ソトロン及びエモキシフロンが好ましく、バニリン、エチルマルトール、ストロベリーフラノンがより好ましい。
前記R2Oは3級アルコールのヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基である。この3級アルコールとしては、ケイ酸エステル組成物の保存安定性、及び徐放性能を向上させる観点から、炭素数が4〜15であることが好ましく、4〜12であることがより好ましく、4〜10であることが更に好ましい。
3級アルコールを用いる場合は、臭気の閾値が高いことが香りを害しない点から好ましく、また分子効率の点から分子量が小さいことが望ましい。具体的な分子量としては、74〜200が好ましく、74〜180がより好ましく、74〜150が更に好ましい。このような3級アルコールのとしては、tert−ブチルアルコールが好ましい。
この3級アルコールは、香料であることが好ましく、フレグランス(香粧品香料)又はフレーバー(食品香料)であることがより好ましく、フレグランスであることが更に好ましい。
3級アルコールのうち香料の具体例としては、ミルセノール類、テルピネオール類、リナロール類、ムゴール類等が挙げられる。
ミルセノール類としては、ミルセノール(2−メチル−6−メチレン−7−オクテン−2−オール)、ジヒドロミルセノール(2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール)、テトラヒドロミルセノール(2,6−ジメチル−2−オクタノール)等が挙げられる。
テルピネオール類としては、テルピネオール(1−メチル−4−イソプロピル−1−シクロヘキセン−8−オール)、ジヒドロテルピネオール(1−メチル−4−イソプロピルシクロヘキサン−8−オール)等が挙げられる。
リナロール類としては、リナロール(3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール)、ジヒドロリナロール(3,7−ジメチル−6−オクテン−3−オール)、テトラヒドロリナロール(3,7−ジメチル−3−オクタノール)、エチルリナロール(3,7−ジメチル−1,6−ノナジエン−3−オール)、ゲラニルリナロール(1,6,10,14−ヘキサデカテトラエン−3−オール)等を挙げられる。
ムゴール類としては、ムゴール(2,6−ジメチル−3,5−オクタジエン−2−オール及び3,7−ジメチル−4,6−オクタジエン−3−オール)、テトラヒドロムゴール(2,6−ジメチル−2−オクタノール及び3,7−ジメチル−3−オクタノール)等を挙げられる。
その他の香料の具体例としては、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、アンブリノール(2,5,5−トリメチル−オクタヒドロ−2−ナフトール)、オシメノール(2,6−ジメチル−5,7−オクタジエン−2−オール)、3,6−ジメチル−3−オクタノール、4−ツヤノール(4−メチル−1−イソプロピルビシクロ[3.1.0]ヘキサン−4−オール)、ネロリドール(3,7,11−トリメチル−1、6,10−ドデカトリエン−3−オール)、α−ビサボロール(3−シクロヘキセン−1−メタノール)、パチュリアルコール(1,6−メタノナフタレン−1(2H)−オール)、イソフィトール(3,7,11,15−テトラメチル−1−ヘキサデセン−3−オール)、スクラレオール(1−ナフタレンプロパノール)、α、α−ジメチルフェニルエチルアルコール、p−メチルジメチルベンジルカルビノール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、3−メチル−1−フェニル−3−ペンタノール、フロロール(2−イソブチル−4−メチルテトラヒドロー2H−ピラン−4−オール)等が挙げられる。
これらの香料の中では香調のマッチングの観点から、ミルセノール類及びリナロール類が好ましく、フローラルな香調を有するジヒドロミルセノール及びテトラヒドロリナロールがより好ましい。
式(1)におけるR3は、炭素数10〜30のアルキル基である。前記炭素数が10未満又は30を超えるとケイ酸エステルの保存安定性が低下し、アルコールを徐放することができる期間が短くなる。R3のアルキル基の炭素数としては、ケイ酸エステルの保存安定性とアルコールの徐放性のバランスの観点から、12〜30が好ましく、12〜22がより好ましく、16〜20が更に好ましい。
また、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよいが、反応性の観点から、直鎖状であることが好ましい。
炭素数10〜30のアルキル基の例としては、各種デシル基、各種ドデシル基(ラウリル基)、各種テトラデシル基(ミリスチル基)、各種ヘキサデシル基(セチル基)、各種オクタデシル基(ステアリル基)、各種エイコシル基(アラキル基)、各種ドコシル基(ベヘニル基)等が挙げられる。これらの中では、ケイ酸エステルの保存安定性とアルコールの徐放性のバランスの観点から、各種ヘキサデシル基(セチル基)、各種オクタデシル基(ステアリル基)、各種エイコシル基(アラキル基)が好ましく、各種オクタデシル基(ステアリル基)がより好ましい。
なお、本明細書における「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
4は炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数が8を超えるとケイ酸エステルの保存安定性、アルコールの徐放性のバランスが悪くなる。
このような観点から、アルキル基の炭素数は1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
また、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよいが、反応性の観点から、直鎖状であることが好ましい。
炭素数1〜8のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基が挙げられる。ケイ酸エステルの保存安定性とアルコールの徐放性のバランスの観点から、メチル基、エチル基、各種プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(1)で表されるケイ酸エステルの置換基であるR1O、R2O、R3及びR4のそれぞれの数は、a、b、c及びdで表され、R1Oの数を示すaは平均値で1〜2、R2Oの数を示すbは平均値で0〜2、R3の数を示すcは1又は2、R4の数を示すdは0〜2である。
すなわち、本発明のケイ酸エステル組成物において、香料等の効果を発現させるアルコールであるR1Oが平均値で1〜2個導入され、保存安定性を高めて長期に亘る徐放効果を発現させるR3が1又は2個導入され、保存安定性と徐放効果のバランスの観点から、R2O及びR4がそれぞれ0〜2個導入される。
なかでも、ケイ酸エステル組成物の保存安定性、及び徐放性能を向上させる観点から、R2Oを有する場合には、R2Oのbが平均値で1〜2、R1Oのaが平均値で1〜2、R3のcが1、R4のdが0であることが好ましく、R2Oのbが平均値で1、R1Oのaが平均値で2、R3のcが1、R4のdが0であることがより好ましい。
2Oを有しない場合には、上記と同様の観点から、R2Oのbが0、R1Oのaが1、R3のcが1、R4のdが2であることが好ましい。
すなわち、アルキル基であるR3が1個、R4が2個導入されることにより、ケイ酸エステル自体が疎水化されて、加水分解の原因となる水との接触が抑制され、更にこれらのアルキル基の電子供与性効果によりR1Oの水酸基部分の酸性度が低くなるため、当該ケイ酸エステルの保存安定性が高くなっているものと考えられる。
また、アルキル基であるR3を1個、3級アルコールのR2Oを平均値で1〜2個有することで、前記と同様にR1Oの安定性を適度に高め、更にR2Oの嵩高さによりケイ素原子周辺の構造を固定化して、当該ケイ酸エステルの保存安定性を高めているものと考えられる。
[ケイ酸エステル組成物の製造方法]
本発明のケイ酸エステル組成物の製造方法は、ケイ酸エステルがR2Oを有するか否かで製造方法が異なるため場合を分けて説明する。
<1>R2Oを有しないケイ酸エステルを含むケイ酸エステル組成物の製造方法
2Oを有しないケイ酸エステルを含むケイ酸エステル組成物の製造方法は、下記式(2−2)で表されるアルキルハロゲノシランと、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種とを、塩基性物質の存在下で反応させることにより式(1−2)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物を得る工程(A)を有する方法により製造する。
(R1O)a3 c4 dSi (1−2)
3 c4 dSiXa (2−2)
(式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。a、c及びdの和は4であり、aは平均値で1〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
(工程(A))
工程(A)は、前記式(2−2)で表されるアルキルハロゲノシランと前記各誘導体から選ばれる少なくとも1種とを、塩基性物質の存在下で反応させる工程である。
式(2−2)で表されるアルキルハロゲノシランのハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、1分子中に複数のハロゲン原子を有するものであってもよいが、1種類のハロゲン原子のみを有するものであることが好ましい。具体的には、ジメチルオクタデシルクロロシラン等が挙げられる。
工程(A)で用いられるベンゼン環に直接結合したカルボニル基を有するフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体は、前記と同様のものを用いることができ、具体的には、バニリン、エチルバニリン、サリチル酸エチル、マルトール、エチルマルトール、ストロベリーフラノン、ホモフロノール、ソトロン及びエモキシフロンが好ましく、香料としての香調及びケイ酸エステル組成物の徐放性能の観点から、バニリン、エチルマルトール、ストロベリーフラノンがより好ましい。
工程(A)で用いられる塩基性物質は、副生成物として生じるハロゲン化水素を中和し、反応を速やかに進行させる観点から、アミン、アルコールのアルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属が好ましく、反応を速やかに進行させつつも二量化反応等の副反応を低減する観点から、アミン及びアルコールのアルカリ金属塩がより好ましく、アミンが更に好ましい。
アミンとしては、環状アミンが好ましく、前記と同様の観点から、環内に窒素原子を有する複素環アミンがより好ましく、イミダゾール、ピリジンが更に好ましい。
アルコールのアルカリ金属塩としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドが挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
工程(A)においては、反応系を均一に保ちつつ、副反応を抑制する観点から、非プロトン性有機溶媒中で行うことが好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アミドが挙げられ、前記と同様の観点から、ハロゲン化炭化水素及びアミドが好ましく、アミドがより好ましい。
エーテルとしては、炭素数4〜6のエーテルが好ましく、炭素数4のエーテルがより好ましく、具体例としてはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフランが好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素、テトラクロロエタンが好ましい。
アミドとしては、ジメチルホルムアミドが好ましい。
工程(A)においては、式(2−2)で表されるアルキルハロゲノシラン及び塩基性物質を反応容器に投入し、これに前記各誘導体を添加することが好ましい。また、これらを非プロトン性有機溶媒に溶解させておくことが好ましい。
前記各誘導体は、反応が急激に進行しないように徐々に添加することが好ましい。
各誘導体の配合量は前記シランに対して1〜3当量であることが安定性の観点から好ましく、前記式において、aが平均値で1のときは1〜1.5当量が好ましい。塩基性物質は、各誘導体に対して1〜4当量であることが好ましい。非プロトン性有機溶媒はハロゲン化シランに対して質量で1〜30倍であることが好ましい。
反応温度は−10〜40℃で行うことが好ましく、仕込み時の急激な反応を抑制するために、初期は−10〜30℃で行い、その後、20〜50℃で行うことが好ましい。
工程(A)において得られるものは混合物であるが、安定性と徐放性能に優れる式(1−2)で表されるケイ酸エステルが主生成物として得られる。
このようにして得られたケイ酸エステル組成物は、前記各誘導体を長期に亘り安定に徐放でき、このケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体組成物、並びに繊維処理剤組成物に同様の効果を付与することができる。
<2>R2Oを有するケイ酸エステルを含むケイ酸エステル組成物の製造方法
2Oを有するケイ酸エステルを含むケイ酸エステル組成物の製造方法は、
工程(B);下記式(2)で表されるアルキルハロゲノシランと3級アルコール(R2OH)とを塩基性物質の存在下で反応させることにより、下記式(3)で表される化合物を得る工程と、
工程(C);下記式(3)で表される化合物と、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種とを反応させることにより式(1)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物を得る工程とを有する製造方法により製造することができる。
(R1O)a(R2O)b3 c4 dSi (1)
3 c4 dSiXa+b (2)
(R2O)b3 c4 dSiXa (3)
(式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R2Oは3級アルコールのアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。a、b、c及びdの和は4であり、aは平均値で1〜2、bは平均値で0〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R2O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
(工程(B))
工程(B)は、式(2)で表されるアルキルハロゲノシランと3級アルコール(R2OH)とを、塩基性物質の存在下で反応させて式(3)で表される化合物を得る工程である。
式(2)で表されるアルキルハロゲノシランのハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、1分子中に複数のハロゲン原子を有するものであってもよいが、1種類のハロゲン原子のみを有するものであることが好ましい。具体的には、トリクロロオクタデシルシラン等が挙げられる。
工程(B)で用いられる3級アルコールとしては、前記と同様の3級アルコールを挙げることができ、ケイ酸エステル組成物の保存安定性を保ち、徐放性能を向上させる観点から、炭素数が4〜12のものが好ましく、4〜10のものがより好ましい。
3級アルコールの具体例としては、臭気の閾値が高く分子量が小さいtert−ブチルアルコールを挙げられる。
工程(B)で用いられる塩基性物質は、副生成物として生じるハロゲン化水素を中和し、反応を速やかに進行させる観点から、アミン、アルコールのアルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属が好ましく、反応を速やかに進行させつつも二量化反応等の副反応を低減する観点から、アミン及びアルコールのアルカリ金属塩がより好ましく、アミンが更に好ましい。
アミンとしては、環状アミンが好ましく、前記と同様の観点から、環内に窒素原子を有する複素環アミンがより好ましく、イミダゾール、ピリジンが更に好ましい。
アルコールのアルカリ金属塩としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドが挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
工程(B)における反応は、反応系を均一に保ちつつ、副反応を抑制する観点から、非プロトン性有機溶媒中で行うことが好ましい。用いることができる非プロトン性有機溶媒としては、前記と同様の観点から、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アミドが好ましく、ケトン及びハロゲン化炭化水素がより好ましく、ケトンが更に好ましい。
ケトンとしては、炭素数4〜6のケトンが好ましく、炭素数4のケトンがより好ましい。ケトンの具体例としては、2−ブタノン、3−メチル−ペンタン−2−オンを挙げることができる。
エーテルとしては、炭素数4〜6のエーテルが好ましく、炭素数4のエーテルがより好ましい。エーテルの具体例としては、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素、テトラクロロエタンが好ましい。
アミドとしては、ジメチルホルムアミドが好ましい。
工程(B)における反応は、副反応を防ぐ観点から、反応容器内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
不活性ガスで置換された反応容器に前記原料等を仕込む順序としては、アルキルハロゲノシランを反応容器に入れておき、次いで3級アルコール及び塩基性物質を添加することが好ましい。また、いずれも非プロトン性有機溶媒に溶解させておくことが好ましい。
3級アルコール及び塩基性物質は別に添加してもよいが、反応を迅速に進める観点から混合して添加することが好ましく、反応が急激に進行しないように徐々に添加することがより好ましい。
アルキルハロゲノシランがモノアルキルトリハロゲノシランの場合、副生成物を抑制する観点から、モノアルキルトリハロゲノシランに対して3級アルコールを2当量以上とすることが好ましい。
塩基性物質は、反応の効率性の観点から3級アルコールに対して1〜4当量であることが好ましい。
工程(B)に用いられる非プロトン性有機溶媒は、アルキルハロゲノシランに対して質量で1〜30倍であることが好ましい。
反応温度は−10〜40℃で行うことが好ましく、仕込み時の急激な反応を抑制するために、初期は−10〜10℃で行い、その後、20〜40℃で行うことが好ましい。
(工程(C))
工程(C)は、工程(B)で得られた式(3)で表される化合物:(R2O)b3 c4 dSiXaに対して、更にベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体から選ばれる少なくとも1種を反応させて式(1)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物を得る工程である。
工程(C)で用いられるベンゼン環に直接結合したカルボニル基を有するフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、及びヒドロキシフラノン誘導体、いわゆるR1OHで表されるアルコールは、前記と同様のものを用いることができ、具体的には、バニリン、エチルバニリン、サリチル酸エチル、マルトール、エチルマルトール、ストロベリーフラノン、ホモフロノール、ソトロン及びエモキシフロンが好ましく、香料としての香調及びケイ酸エステル組成物の徐放性能の観点から、バニリン、エチルマルトール、ストロベリーフラノンが好ましい。
工程(C)においても塩基性物質を用いることが好ましい。この工程(C)における塩基性物質としては、反応を速やかに進行させつつも二量化反応等の副反応を低減する観点からアミンがより好ましく、アミンとしては環状アミンが好ましく、前記と同様の観点から、環内に窒素原子を有する複素環アミンがより好ましく、イミダゾール及びピリジンが更に好ましい。
塩基性物質は、反応の効率の観点から、R1OHで表されるアルコールに対して1〜1.5当量であることが好ましい。
工程(C)における反応においても、反応系を均一に保ちつつ、副反応を抑制する観点から、非プロトン性有機溶媒中で行うことが好ましい。用いることができる非プロトン性有機溶媒としては、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アミドが挙げられ、前記と同様の観点からケトンが好ましく、ケトンとしては、炭素数4〜6のケトンが好ましく、炭素数4のケトンがより好ましい。ケトンの具体例としては、2−ブタノン、3−メチル−ペンタン−2−オンが挙げられる。
エーテルとしては、炭素数4〜6のエーテルが好ましく、炭素数4のエーテルがより好ましく、具体例としてはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフランが好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素、テトラクロロエタンが好ましい
アミドとしては、ジメチルホルムアミドが好ましい。
この工程(C)においては、工程(B)で得られた式(3)で表される化合物:(R2O)b3 c4 dSiXaを保持する反応容器に対して前記各誘導体を添加することが好ましく、塩基性物質も合わせて添加することが好ましい。また、これらを非プロトン性有機溶媒に溶解させておくことが好ましい。
前記各誘導体と塩基性物質とは別々に添加してもよいが、各誘導体と塩基性物質とを混合して添加することが反応を迅速に進める観点から好ましく、反応が急激に進行しないように徐々に添加することが好ましい。
各誘導体は保存安定性の観点から前記シランに対して1〜2当量であることが好ましい。非プロトン性有機溶媒は工程(B)で用いたアルキルハロゲノシランに対して質量で1〜30倍であることが好ましい。
反応温度は−10〜40℃で行うことが好ましく、仕込み時の急激な反応を抑制するために、初期は−10〜10℃で行い、その後、20〜40℃で行うことが好ましい。
工程(C)において得られるものは混合物であるが、保存安定性と徐放性能に優れる式(1)で表されるケイ酸エステルが主生成物として得られる。
このようにして得られたケイ酸エステル組成物は、機能性物質である各誘導体を長期に亘り安定に徐放でき、このケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体組成物、並びに繊維処理剤組成物に同様の効果を付与することができるものと考えられる。
本発明のケイ酸エステル組成物の製造方法においては、工程(A)又は工程(C)の後に、反応溶液と水とを接触させて塩を除去する工程(D)、及び非プロトン性有機溶媒を除去する工程(E)を設けることが好ましい。
(工程(D))
工程(D)は、工程(A)又は(C)で得られたケイ酸エステル組成物を含む反応混合物に水を接触させて塩を除去する工程である。
工程(D)における塩としては、各工程で得られた塩基性物質とシラン由来のハロゲンとからなる塩である。工程(D)において、水と反応混合物とを接触させる際に、エタノール等の炭素数1〜4のアルコールを添加することが好ましく、pHの変動を抑える観点から、炭酸水素ナトリウム水溶液等の弱酸の塩の水溶液を用いることが好ましい。
接触後のケイ酸エステル組成物及び非プロトン性有機溶媒等の水に不溶あるいは難溶な成分は、ヘキサン等の非極性有機溶媒で抽出することが好ましい。
(工程(E))
工程(E)は、工程(D)で得られた、水に不溶あるいは難溶な成分の混合物から溶媒を除去する工程である。工程(E)においては、減圧して濃縮することで非プロトン性有機溶媒、及び各工程で用いた非極性有機溶媒等を除去する。これによって、純度の高いケイ酸エステル組成物を得ることができる。
なお、工程(E)を行う前に残留した水分の濃度が上昇し、加水分解が生じることを抑制するために、前もって硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウム等の乾燥剤で脱水することが好ましい。
[香料前駆体組成物]
本発明の香料前駆体組成物は、上記のケイ酸エステル組成物を含むものであり、前記ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、又はヒドロキシフラノン誘導体である香料を加水分解により徐放する。
本発明の香料前駆体組成物は、ケイ酸エステル組成物以外に油剤、界面活性剤、有機溶媒を含有してもよい。
本発明の香料前駆体組成物は、様々な製品に配合することができ、当該製品に各誘導体で構成される香料の香気を長期にわたって発生させることができる。
香料前駆体組成物を配合することができる製品としては、油系消臭芳香剤組成物、粉末洗剤、固形石鹸、入浴剤、オムツ等の衛生品、エアゾール型等の消臭剤組成物等、非水溶液系製品が挙げられる。
更に、本発明の香料前駆体組成物は、水溶液系での保存安定性に優れるため、香水、コロン、水系消臭芳香剤をはじめ、食器用洗剤、液体石鹸・化粧水等の各種化粧用品、シャンプー・リンス・コンディショナー・スタイリング剤等の頭髪用製品、液体入浴剤等に使用することができる。
本発明のケイ酸エステル組成物を用いて芳香剤組成物を構成する場合、芳香剤組成物中の式(1)で表されるケイ酸エステルの含有量は0.001〜90質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。また、消臭剤組成物を構成する場合には、消臭剤組成物中の式(1)で表されるケイ酸エステルの含有量は0.0001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましい。
[繊維処理剤]
本発明のケイ酸エステル組成物は、水系製品に配合した場合にも機能性物質の拙速な分解を抑制することができ、実際の使用態様において香料等の機能性物質である前記各誘導体を長期に亘り安定に徐放することができ、機能性物質由来の諸々の機能を持続的に発現させることができる。
かかる本発明のケイ酸エステル組成物を用いることによって、水系製品中における安定性が極めて乏しいベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノールを有するケイ酸エステルであっても、製品中での分解を抑制することができるため、優れた効果を持続的に発現させることができ、特に、衣料用洗浄剤及び柔軟仕上げ剤等の繊維処理剤用途において有用である。
これら繊維処理剤における式(1)で表されるケイ酸エステルの含有量は、特に限定されず、その用途に応じて適宜変えることができる。本発明のケイ酸エステル組成物を用いて衣料用洗浄剤組成物や柔軟仕上げ剤組成物等の繊維処理剤組成物を構成する場合、繊維処理剤組成物中の式(1)で表されるケイ酸エステルの含有量は0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
<ケイ酸エステル組成物の製造>
実施例1(C1837SiMe2(OVan)の製造)
以下の手順にしたがって、ジメチルオクタデシルクロロシランの塩素原子をバニリン(HOVan)で置換した(C1837SiMe2(OVan))を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これにジメチルホルムアミドを35ml、ジメチルオクタデシルクロロシランを21.3g(61mmol)、イミダゾールを7.8g(114mmol)加えた。一方、バニリン9.3g(61mmol)をジメチルホルムアミド20mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、25℃でフラスコ内に40分かけて滴下した。40℃で120分攪拌を続けた後、冷却した。
フラスコ内に5%炭酸水素ナトリウム水溶液250gを加えた後、ヘキサン100mlで抽出操作を行った。この抽出操作は計3回行った。硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮を行い、24.1gのロウ状固体を得た。
実施例2(C1837SiMe2(OEtMal)の製造)
以下の手順にしたがって、ジメチルオクタデシルクロロシランの塩素原子をエチルマルトール(HOEtMal)で置換した(C1837SiMe2(OEtMal))を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これにジメチルホルムアミドを40ml、ジメチルオクタデシルクロロシランを19.4g(56mmol)、イミダゾールを11.8g(173mmol)加えた。一方、エチルマルトール10.1g(72mmol)をジメチルホルムアミド20mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、25℃でフラスコ内に滴下した。フラスコ内にジメチルホルムアミドを30ml、塩化メチレンを60ml加えながら25℃で30分攪拌を行い、更に40℃で300分攪拌を続けた後、冷却した。
フラスコ内に5%炭酸水素ナトリウム水溶液250gを加えた後、塩化メチレン100mlで抽出操作を行った。この抽出操作は計3回行った。更に抽出液をイオン交換水100mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮を行い、20.2gのロウ状の固体を得た。
実施例3(C1837Si(OtBu)2(OEtMal)の製造)
以下の手順にしたがって、トリクロロオクタデシルシランの塩素原子をエチルマルトール(HOEtMal)及びt−ブタノール(HOtBu)で置換した(C1837Si(OtBu)2(OEtMal))を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた300ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これに塩化メチレンを20ml、トリクロロオクタデシルシランを11.6g(30mmol)加えた。一方、イミダゾールを4.5g(66mmol)、t−ブタノール4.5g(60mmol)を塩化メチレン10mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら10分かけて滴下した。更に塩化メチレン5mlを用いて滴下ロート内を洗浄した後、この洗浄に用いた塩化メチレンを滴下して25℃で180分攪拌を続けた。次に、イミダゾール2.3g(33mmol)、エチルマルトール4.2g(30mmol)を塩化メチレン10mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら滴下し、更に25℃で180分間攪拌を行った。
フラスコ内にエタノールを10ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液80gを加えた後、塩化メチレン30mlで抽出操作を行った。この抽出操作は計3回行った。硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮を行い、17.1gの褐色オイルを得た。
ガスクロマトグラフィーにて成分分析を行ったところ、このオイルには目的とする3−(ジ−t−ブトキシ(オクタデシル)シリロキシ)−2−エチル−4H−ピラン−4−オンが面積比61.9%含まれていた。他の成分として、エチルマルトールが面積比23.4%含まれていた。
実施例4(C1837Si(OtBu)2(OFranl)の製造)
以下の手順にしたがって、トリクロロオクタデシルシランの塩素原子をストロベリーフラノン(HOFranl)及びt−ブタノール(HOtBu)で置換した(C1837Si(OtBu)2(OFranl))を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた300ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これに塩化メチレンを20ml、トリクロロオクタデシルシランを11.6g(30mmol)加えた。一方、イミダゾールを4.5g(66mmol)、t−ブタノール4.5g(60mmol)を塩化メチレン10mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら、15分かけて滴下した。塩化メチレン5mlを用いて滴下ロート内を洗浄した後、この洗浄に用いた塩化メチレンを滴下し、更に25℃で180分攪拌を続けた。次に、イミダゾール2.3g(33mmol)、ストロベリーフラノン4.3g(30mmol)を塩化メチレン10mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら滴下し、更に25℃で180分攪拌を行った。
フラスコ内にエタノールを5ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液80gを加えた後、塩化メチレン50mlで抽出操作を行った。この抽出操作は計3回行った。硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮を行い、17.0gの褐色オイルを得た。
実施例5(C1837Si(OtBu)(OVan)2の製造)
以下の手順にしたがって、トリクロロオクタデシルシランの塩素原子をバニリン(HOVan)及びt−ブタノール(HOtBu)で置換した(C1837Si(OtBu)(OVan)2)を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これに2−ブタノンを15ml、トリクロロオクタデシルシランを7.8g(20mmol)加えた。一方、イミダゾールを1.5g(22mmol)、t−ブタノール1.5g(20mmol)を2−ブタノン4mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら、15分かけて滴下した。2−ブタノン3mlを用いて滴下ロート内を洗浄した後、この洗浄に用いた2−ブタノンを滴下し、更に25℃で80分攪拌を続けた。次に、イミダゾール3.0g(44mmol)、バニリン6.1g(40mmol)を2−ブタノン20mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら、25分かけて滴下した。2−ブタノン5mlを用いて滴下ロートを洗浄し、これを滴下し、更に25℃で60分、40℃で30分攪拌を行った。
フラスコ内にエタノールを10ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液75gを加えた後、ヘキサン40mlで抽出操作を行った。この抽出操作は計3回行った。抽出液をイオン交換水40gで洗浄後、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧濃縮を行い、11.9gのロウ状固体を得た。
比較例1(C817(Me)2Si(OVan)の製造)
以下の手順にしたがって、イソオクチルジメチルクロロシランの塩素原子をバニリン(HOVan)で置換した(C817(Me)2Si(OVan))を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた300ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これにテトラヒドロフランを40ml、バニリンを15.2g(100mmol)、イミダゾールを7.15g(105mmol)加えた。一方、イソオクチルジメチルクロロシラン20.7g(100mmol)を滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら、30分かけて滴下した。25℃で3時間攪拌を行なった後、フラスコ内にエタノールを5ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液40gを加えた後、酢酸エチル40mlで抽出操作を行った。この抽出操作は計3回行った。硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮を行い、38.5gの白色コロイド状液体を得た。
比較例2(Me3Si(OVan)の製造)
以下の手順にしたがって、トリメチルシリルクロライドの塩素原子をバニリン(HOVan)で置換した(Me3Si(OVan))を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これにテトラヒドロフランを30ml、トリメチルシリルクロライドを3.59g(33mmol)、ピリジンを2.61g(33mmol)加えた。一方、バニリン4.56g(30mmol)をテトラヒドロフラン30mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、25℃でフラスコ内に滴下した。25℃で5時間攪拌を行なった後、生成した白色沈殿をデカンテーションによって除去して透明な溶液を得た。白色沈殿はヘキサン30mlで洗浄し、洗浄液は回収して、先の溶液と合わせた。溶媒をエバポレーションによって除去し、6.54gの黄色液体(純度90%)を得た。
比較例3(Si(OVan)4の製造)
国際公開第01/79212号公報の実施例24に従って、テトラキス(4−ホルミル−2−メトキシフェニル)オルトシリケートを得た。
比較例4(Si(OVan)2(OTHLin)(OEt)の製造)
以下の手順にしたがって、テトラクロロシランの塩素原子をバニリン(HOVan)及びテトラヒドロリナロール(HOTHLin)で置換した(Si(OVan)2(OTHLin)(OEt))を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた300ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これにテトラヒドロフランを30ml、テトラクロロシランを11.9g(70mmol)加えた。一方、ピリジンを6.1g(77mmol)、テトラヒドロリナロール(HOTHLin)を11.1g(70mmol)をテトラヒドロフラン15mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら、10分かけて滴下した。25℃で1時間攪拌を行なった後、ピリジン12.2g(154mmol)、バニリン(HOVan)21.3g(140mmol)をテトラヒドロフラン10mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、フラスコを氷浴に浸しながら10分かけて滴下した。3時間25℃で攪拌を行なった後、エタノール(HOEt)を3.2g加えて、さらに25℃で30分攪拌した。濾過により沈殿を取り除き、減圧濃縮を行い、25.0gの紫色の液体を得た。
比較例5(Si(OVan)(OTHGer)3の製造)
以下の手順にしたがって、テトラクロロシランの塩素原子をバニリン(HOVan)及びテトラヒドロゲラニオール(HOTHGer)で置換した(Si(OVan)(OTHGer)3)を製造した。
攪拌翼と滴下ロートを備えた300ml四つ口フラスコを窒素で満たし、これに2−ブタノンを30ml、テトラクロロシランを6.0ml(52.5mmol)加えた。一方、イミダゾール11.8g(173mmol)、2、6−ジメチルー3−オクタノール24.9g(158mmol)を2−ブタノン20mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、300ml四つ口フラスコを氷浴に浸しながら、35分かけて滴下を行った。2−ブタノン5mlを用いて滴下ロート内を洗浄した後、この洗浄に用いた2−ブタノンを滴下し、更に25℃で60分攪拌を続けた。次に、イミダゾール3.93g(58mmol)、バニリン8.0g(53mmol)を2−ブタノン20mlと混合して均一な溶液を調製して滴下ロートに入れ、四つ口フラスコを氷浴に浸しながら、10分かけて滴下した。2−ブタノン5mlを用いて滴下ロート内を洗浄し、この洗浄に用いた2−ブタノンを更に滴下し、更に25℃で180分攪拌を行った。
4つ口フラスコにエタノールを10ml、次いで5%炭酸水素ナトリウム水溶液180gを加えた後、ヘキサン100mlで抽出操作を行った。この抽出操作は計3回行った。抽出液は硫酸ナトリウムで脱水後、減圧濃縮を行い、33.9gの白濁した黄色オイルを得た。
<繊維処理剤の製造>
実施例1〜5及び比較例1〜7
実施例1〜5及び比較例1〜5で製造したケイ酸エステル組成物及び比較例6としてのバニリン、比較例7としてのエチルマルトールと、定法にしたがって調製した表1に示す組成の未賦香液体柔軟仕上げ剤Aとを、下記の方法によりそれぞれ混合して柔軟仕上げ剤組成物を調製した。
すなわち、実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたケイ酸エステル組成物、及びバニリン、エチルマルトールを未賦香液体柔軟仕上げ剤Aに対して、それぞれ0.5質量%になるように50mLのスクリュー管(マルエムNo.7)に入れ、50℃に加熱後冷却を行うことにより繊維処理剤である柔軟仕上げ剤組成物を調製した。
Figure 0005879125
<香りの持続性評価>
あらかじめ、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製、商品名「アタック」)を用いて、木綿タオル24枚を日立製全自動洗濯機、型番「NW−6CY」で5回洗浄を繰り返し、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)。
National製電気バケツ、型番「N−BK2−A」に、5Lの水道水を注水し、ここに柔軟仕上げ剤組成物(調製後40℃で2週間保存したもの)を10g/衣料1.0kgとなるように溶解(処理浴の調製)させ、1分後に上述の方法で前処理を行った2枚の木綿タオルを5分間浸漬処理した。その後、この2枚の木綿タオルをNational製電気洗濯機、型番「NA−35」に移して3分間脱水処理を行った。脱水処理後、約20℃の室内に放置して1晩乾燥させ、乾燥後のタオルを約20℃の室内に1週間放置(吊し乾燥)した。
脱水処理直後、1日後、7日後のタオルについて、バニリン等の香り強度を専門パネラー10人により下記基準で官能評価を行い平均値を求めた。なお、1日後及び7日後の評価においては、乾燥状態にあるタオルと、下記方法による湿潤処理(湿潤後1分後)後のタオルの両方について官能評価を行った。結果を表2に示す。
<湿潤処理>
リセッシュ(商品名、花王(株)製品)で使用されているトリガー容器(ポリエチレン製のスプレー容器であって、容器内の溶液を霧状に噴射することができるもの)に蒸留水を充填し、タオルより30cmほど離して1プッシュ(水重量0.4g)することで湿潤処理を行った。評価は、蒸留水で湿潤させてから1分経過した後に、専門パネラー10人により以下の基準で官能評価を行い、平均値を求めた。
評価基準
5:非常ににおいが強い
4:かなりにおいが強い
3:においが強い
2:においがする(認知閾値)
1:微かににおいがする(検知閾値)
0:においがしない
Figure 0005879125
表2から明らかなように、本発明のケイ酸エステル組成物は、柔軟仕上げ剤のような水系製品中に配合した場合でも、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合したフェノール誘導体、ヒドロキシピラノン誘導体、又はヒドロキシフラノン誘導体の拙速な分解・放出を抑制することができる。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物。
    (R1O)a(R2O)b3 c4 dSi (1)
    (式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、及び他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンから選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R2Oは3級アルコールのアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示す。a、b、c及びdの和は4であり、aは1〜2、bは0〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R2O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
  2. 3が炭素数12〜30のアルキル基である、請求項1に記載のケイ酸エステル組成物。
  3. 前記3級アルコールの炭素数が4〜15である、請求項1又は2に記載のケイ酸エステル組成物。
  4. 前記ベンゼン環に直接結合したカルボニル基を有し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、及び他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンが香料アルコールである、請求項1〜3のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物。
  5. 式(1)におけるcが1である、請求項1〜4のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物。
  6. 1Oがバニリン、エチルバニリン、サリチル酸エチル、マルトール、エチルマルトール、ストロベリーフラノン、ホモフロノール、ソトロン及びエモキシフロンから選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基である、請求項1〜5のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物。
  7. 式(1)におけるdが2である、請求項1〜6のいずれかに記載のケイ酸エステル組成物。
  8. 前記ベンゼン環にカルボニル基が直接結合し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、又は他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンである香料を加水分解により徐放する、請求項に記載のケイ酸エステル組成物を含有する香料前駆体組成物。
  9. 前記ベンゼン環にカルボニル基が直接結合し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、又は他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンである香料を加水分解により徐放する、請求項に記載のケイ酸エステル組成物を含有する繊維処理剤。
  10. 下記工程(A)を有するケイ酸エステル組成物の製造方法。
    工程(A);下記式(2−2)で表されるアルキルハロゲノシランと、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、及び他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンから選ばれる少なくとも1種とを、塩基性物質の存在下で反応させることにより式(1−2)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物を得る工程
    (R1O)a3 c4 dSi (1−2)
    3 c4 dSiXa (2−2)
    (式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、及び他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンから選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。a、c及びdの和は4であり、aは1〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
  11. 下記工程(B)及び(C)を有するケイ酸エステル組成物の製造方法。
    工程(B);下記式(2)で表されるアルキルハロゲノシランと3級アルコール(R2OH)とを塩基性物質の存在下で反応させることにより、下記式(3)で表される化合物を得る工程
    工程(C);下記式(3)で表される化合物と、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、及び他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンから選ばれる少なくとも1種とを反応させることにより式(1)で表されるケイ酸エステルを含有するケイ酸エステル組成物を得る工程
    (R1O)a(R2O)b3 c4 dSi (1)
    3 c4 dSiXa+b (2)
    (R2O)b3 c4 dSiXa (3)
    (式中、R1Oは、ベンゼン環にカルボニル基が直接結合し且つ他の官能基を有していてもよいフェノール、他の官能基を有していてもよいヒドロキシピラノン、及び他の官能基を有していてもよいヒドロキシフラノンから選ばれる少なくとも1種の化合物のヒドロキシ基から水素原子を除いたアルコキシ基を示し、R2Oは3級アルコールのアルコキシ基を示し、R3は炭素数10〜30のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。a、b、c及びdの和は4であり、aは1〜2、bは0〜2、cは1又は2、dは0〜2の数であり、各R1O、R2O、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)
  12. 非プロトン性有機溶媒中で前記反応を行う、請求項10又は11に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
  13. 工程(A)又は工程(C)の後に、反応溶液を水に接触させることにより塩を除去する工程(D)、及び非プロトン性有機溶媒を除去する工程(E)を有する、請求項12に記載のケイ酸エステル組成物の製造方法。
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