本発明の第1実施形態に係る洗浄ブロー装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、洗浄機構が洗浄ブロー装置に適用された構成を一例として挙げるとともに、当該構成の中で洗浄機構を説明する。
図1乃至図3に示すように、洗浄ブロー装置10は、筐体12を備えている。筐体12の内部には、所定の容積を有する空間部14が形成されている。当該空間部14には、下記に示す洗浄室16、気流発生室18、接続流路20、洗浄液排水室22、ミスト除去室24等の複数の部屋及び流路が連通可能に形成されている。
(洗浄室)
先ず、洗浄室16について説明する。
空間部14の一部の領域には、洗浄室16が形成されている。洗浄室16の内部には、例えば、ワークWを把持する把持部26と、ワークWに洗浄液を供給するための洗浄機構と、が収容されている。
ワークWとは、洗浄対象物であり、一例として自動車の部品等が該当する。洗浄室16では、ワークWが洗浄液等によって洗浄され、例えばワークWの表面、鋳物中子孔の内部及びネジ穴の内部等に残留した切粉あるいは切削油等の異物が除去される。
把持部26は、例えば、ワークWを固定するための治具である。治具は、所定の把持機構を有しており、ワークWを固定しあるいはワークWの固定を解除することが可能である。治具は、所定の回転軸(図示省略)の軸回りに回転可能に構成されており、ワークWを把持した状態でワークWを回転軸の軸回りに回転させることができる。
洗浄機構は、ワークWに対して洗浄液を噴射する複数の洗浄ノズル30と、洗浄ノズル30に洗浄液を供給する洗浄ヘッダ28と、を有している。洗浄ヘッダ28は、例えば、洗浄室16の壁に固定されている固定式のものと、軸方向に可動する可動式のものと、がある。また、洗浄ヘッダ28は、例えば、洗浄室16の内部に配置された構成と、洗浄室16あるいは筐体12の外部に配置された構成と、がある。
なお、洗浄ヘッダ28を洗浄室16の外部、さらに好ましくは筐体12の外部に配置されている構成を採用してもよい。洗浄ヘッダ28が洗浄室16あるいは筐体12の内部に配置されている構成も可能であるが、洗浄ヘッダ28が洗浄室16あるいは筐体12の外部に配置されることにより、洗浄室16あるいは筐体12の小型化が可能になる。
特に、洗浄ヘッダ28が洗浄室16の外部に配置されている構成では、洗浄ノズル30の少なくとも一部(例えば、先端部など)だけが洗浄室16の内部側に位置し、ワークWに対する洗浄液の噴射が可能になる。
洗浄室16又はその近傍には、第1切替ダンパー部32が設けられている。第1切替ダンパー部32は、ワークWの洗浄時において洗浄室16の側壁として機能するとともに、エアブロー工程時においてワークWから水分を除去する時には空気流路88を形成する流路壁の一部として機能する。この結果、第1切替ダンパー部32が2つの機能を兼備することになり、部品点数及び製造コストを削減でき、ひいては洗浄ブロー装置10の小型化を実現できる。
第1切替ダンパー部32は、平板状に形成された第1切替ダンパー本体部34と、第1切替ダンパー本体部34を支持する第1切替ダンパー支持部36と、を有している。第1切替ダンパー支持部36は、回転軸40に接続されている。回転軸40が軸回りに回転することにより、第1切替ダンパー本体部34が洗浄室16の側壁として機能する位置(第1の位置)に導かれ(図1参照)、あるいは空気流路88の流路壁の一部として機能する位置(第2の位置)に導かれる(図2参照)。
第1切替ダンパー本体部34は、駆動源82(図3参照)の駆動力を受けて回転軸40の軸回りに回転可能に設けられている。ここで、駆動源82は、第1切替ダンパー本体部34に対して駆動力を直接付与する構成でもよいし、あるいは第1切替ダンパー支持部36に対して駆動力を直接付与する構成でもよい。さらには、駆動源82は、回転軸40に対して駆動力を直接付与して、回転軸40を回転駆動させる構成でもよい。
駆動源82として、例えば、エアーシリンダが用いられるが、油圧シリンダあるいはモータ、その他の駆動源を用いてもよい。
ここで、「第1切替ダンパー部32が洗浄室16の側壁として機能する」の解釈については、第1切替ダンパー部32が洗浄室16の側壁の全部または少なくとも一部を構成するという意味である。
詳細には、第1切替ダンパー部32の第1切替ダンパー本体部34が洗浄室16の側壁の全部または少なくとも一部を構成する。第1切替ダンパー本体部34が洗浄室16の側壁の少なくとも一部を構成する場合とは、例えば、洗浄室16の側壁に開口部が形成されており、第1切替ダンパー本体部34が当該開口部を開閉する構成が該当する。第1切替ダンパー本体部34が当該開口部を閉塞した場合には、洗浄室16の側壁に隙間が無くなり、洗浄室16に洗浄液を貯溜することができる。一方、第1切替ダンパー本体部34が当該開口部を開放した場合には、洗浄室16の側壁の開口部がそのまま露出して、洗浄室16が空気流路88の一部として機能する。
また、第1切替ダンパー部32が洗浄室16の側壁の全部を構成する場合とは、例えば、第1切替ダンパー部32の第1切替ダンパー本体部34が洗浄室16の側壁全体を構成するものである。この場合、第1切替ダンパー本体部34は、第1の位置で洗浄室16の側壁として洗浄室16を水密に区画形成し、第2の位置で洗浄室16の区画形成を崩して洗浄室16の内部を開放する。
洗浄室16又はその近傍には、排水ダンパー部42が設けられている。排水ダンパー部42は、ワークWの洗浄時において洗浄室16の底壁として機能するとともに、エアブロー工程時においてワークWから水分を除去する時には空気流路88を形成する流路壁の一部として機能する。これにより、排水ダンパー部42が2つの機能を兼備することになり、部品点数及び製造コストを削減でき、ひいては装置の小型化を実現できる。
排水ダンパー部42は、平板状に形成された排水ダンパー本体部44と、排水ダンパー本体部44を支持する排水ダンパー支持部46と、を有している。排水ダンパー支持部46は、回転軸48に接続されている。回転軸48が軸回りに回転することにより、排水ダンパー本体部44が洗浄室16の底壁として機能する位置(第1の位置)に導かれ(図1参照)、あるいは空気流路88の流路壁の一部として機能する位置(第2の位置)に導かれる(図2参照)。
排水ダンパー本体部44は、駆動源84(図3参照)の駆動力を受けて回転軸48の軸回りに回転可能に設けられている。駆動源84は、排水ダンパー本体部44に対して駆動力を直接付与する構成でもよいし、あるいは排水ダンパー支持部46に対して駆動力を直接付与する構成でもよい。さらには、駆動源84は、回転軸48に対して駆動力を直接付与して、回転軸48を回転駆動させる構成でもよい。
駆動源84として、例えば、エアーシリンダが用いられるが、油圧シリンダあるいはモータ、その他の駆動源を用いてもよい。
ここで、「排水ダンパー部42は、洗浄室16の底壁として機能する」の解釈については、排水ダンパー部42が洗浄室16の底壁の全部または少なくとも一部を構成するという意味である。
詳細には、排水ダンパー部42の排水ダンパー本体部44が洗浄室16の底壁の全部または少なくとも一部を構成する。排水ダンパー本体部44が洗浄室16の底壁の少なくとも一部を構成する場合とは、例えば、洗浄室16の底壁に開口部が形成されており、排水ダンパー本体部44が当該開口部を開閉する構成が該当する。排水ダンパー本体部44が当該開口部を閉塞した場合には、洗浄室16の底壁に隙間が無くなり、洗浄室16に洗浄液を貯溜することができる。一方、排水ダンパー本体部44が当該開口部を開放した場合には、洗浄室16の底壁の開口部がそのまま露出して、洗浄室16が空気流路88の一部として機能する。
また、排水ダンパー部42が洗浄室16の底壁の全部を構成する場合とは、例えば、排水ダンパー部42の排水ダンパー本体部44が洗浄室16の底壁全体を構成するものである。この場合、排水ダンパー本体部44は、第1の位置で洗浄室16の底壁として洗浄室16を水密に区画形成し、第2の位置で洗浄室16の区画形成を崩して洗浄室16の内部を開放する。
図1に示すように、洗浄室16には、筐体12の側壁と、第1切替ダンパー部32と、排水ダンパー部42と、により区画可能な洗浄槽38が形成され、当該洗浄槽38の内部で洗浄液を用いたワークWの洗浄が実行される。
(気流発生室)
次に、気流発生室18について説明する。
空間部14の一部の領域には、気流発生室18が形成されている。気流発生室18は、洗浄室16を基準として気流中の空気の流れる方向における上流側の位置に形成されている。気流発生室18の内部には、空気の流れ(気流)を発生させるための気流発生源50が収容されている。
なお、本実施形態の「空気」は、圧縮空気を意味しない。すなわち、ファン等により気流が発生させられ、その気流の中で舞う空気を意味する。
気流発生源50として、圧縮空気を供給するためのコンプレッサ等ではなく、筐体12の内部に気流を発生させるためのファン等が用いられる。なお、ファンは、モータ等の駆動源(図示省略)により軸回りに回転する。
ここで、気流発生室18の開口部は、水平方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して設けられている。すなわち、気流発生室18は、水平方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜したエアブロー傾斜上壁52と、エアブロー傾斜上壁52に対して略平行に形成されたエアブロー傾斜下壁54と、を有している。エアブロー傾斜上壁52及びエアブロー傾斜下壁54は、空気流路88の流路壁の一部として機能する。
具体的には、気流発生室18の開口部は、ミスト除去室24側から洗浄室16側に向かって下り傾斜となるように形成されている。換言すれば、洗浄室16側を基準として、気流発生室18は、洗浄室16側から離間する方向に向かって上り傾斜するように形成されている。
また、エアブロー傾斜上壁52は、ミスト除去室24側から洗浄室16側に向かって下り傾斜となるように形成されている。換言すれば、エアブロー傾斜上壁52は、洗浄室16側を基準として、洗浄室16側から離間する方向に沿って上り傾斜するように形成されている。
エアブロー傾斜下壁54に上記気流発生源50が設置された状態では、気流発生源50の回転中心となる回転軸51も水平方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜する。このため、気流発生源50によって発生した気流中の空気が把持部26で把持されているワークWに対して集中的に当てられ、ブロー効果が高くなる。
上記気流発生源50によって発生した気流中の空気は、エアブロー傾斜上壁52に沿ってワークW側へ流れていくため、エアブロー傾斜上壁52が傾斜していることにより、ワークWを気流の環境に置いたときの空気の流量が増大する。これにより、ワークWに対するブロー効果が高くなる。
なお、ワークWの側面で気流が浸入し難い部位又は気流が浸入し難い凹部に対しては、圧縮空気の供給手段を部分的又は限定的に用い、前記部位又は前記凹部に対して圧縮空気を吹き付けてもよい。これにより、前記部位又は前記凹部に動きを与え、気流環境中の空気でワークWを包み込み、ワークWから水分を飛散させることが可能になる。
また、気流発生室18は、上述した通り、水平方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して設けられているため、洗浄室16で洗浄に使用される洗浄液が洗浄室16の洗浄槽38から溢れ出した場合等において、洗浄液の気流発生室18に対する浸入を阻止する。すなわち、洗浄液が気流発生室18に浸入する場合にはエアブロー傾斜下壁54を上っていく必要があるが、重力の影響を受けて、洗浄液が落下する。このため、洗浄液が気流発生室18に浸入し難くなるとともに、たとえ気流発生室18に洗浄液が浸入した場合でも、気流発生室18の外部へ容易に排水することができる。
(接続流路)
次に、接続流路20について説明する。
また、空間部14の一部の領域には、接続流路20が設けられている。接続流路20は、気流発生室18と洗浄室16とを接続するとともに、気流中の空気が流通するための空気流路88として機能する。接続流路20は、洗浄室16を基準として、空気の流れる方向の上流側に位置している。
接続流路20又はその近傍には、第2切替ダンパー部56が設けられている。第2切替ダンパー部56は、図1に示すように、ワークWの洗浄時において、第1の位置で洗浄液の気流発生室18への浸入を阻止するための浸入防止壁として機能する。また、第2切替ダンパー部56は、図2に示すように、ワークWが気流の環境に置かれる時において、第2の位置で空気流路88を形成する流路壁の一部として機能する。これにより、第2切替ダンパー部56が2つの機能を兼備することになり、部品点数及び製造コストを削減でき、ひいては装置の小型化を実現できる。
第2切替ダンパー部56は、例えば、平板状に形成された第2切替ダンパー本体部58と、錘部59と、を有している。
第2切替ダンパー本体部58は、回転軸60に接続されている。回転軸60が軸回りに回転することにより、第2切替ダンパー本体部58が気流発生室18の開口部の少なくとも一部を遮る浸入防止壁として機能する位置(第1の位置)に導かれ(図1参照)、あるいは空気流路88の流路壁の一部として機能する位置(第2の位置)に導かれる(図2参照)。
錘部59は、第2切替ダンパー本体部58が気流発生源50によって発生した気流中の空気の風圧を受けない状態で、第2切替ダンパー本体部58が第1の位置で常に停止するようにするためのウエイトバランサとして機能する。
第2切替ダンパー本体部58は、気流発生源50によって発生した気流中の空気の風圧を受けて錘部59の重力に対抗しながら回転軸60の軸回りに回転する。換言すれば、気流発生源50によって発生した気流中の空気の風圧を利用して、第2切替ダンパー本体部58が第1の位置から第2の位置へ移動する。これにより、第2切替ダンパー本体部58を駆動するための駆動源を別途設ける必要がなくなり、部品点数及び製造コストの削減を図り、装置を小型化できる。
なお、第2切替ダンパー本体部58は、ワークWの洗浄時等のように気流中の空気の風圧を受けていない時には、錘部59の自重の作用により回転軸60の軸回りに回転し第2の位置から第1の位置に移動する。そして、第2切替ダンパー本体部58は、第1の位置で気流発生室18への浸入防止壁として機能する。
当然ながら、第2切替ダンパー部56は、第1切替ダンパー部32の構成と同様に構成されていてもよい。この場合には、駆動源を別途設ける構成になるため、第2切替ダンパー部56の回転駆動に関する自動制御が可能になる。
接続流路20は、気流発生源50によって発生した気流中の空気を把持部26に把持されたワークWに対して導くための接続傾斜壁62を有している。接続傾斜壁62は、気流発生室18側から洗浄室16側に向かって下り傾斜となるように形成されている。換言すれば、接続傾斜壁62は、洗浄室16側を基準として、洗浄室16側から離間する方向に沿って上り傾斜するように形成されている。これにより、気流発生源50によって発生した気流中の空気は、接続傾斜壁62に沿ってワークW側へ流れていくため、接続傾斜壁62が傾斜していることにより、ワークWを気流環境においた空気の流量が増大する。この結果、ワークWに対するブロー効果が高くなる。
ここで、図1に示すように、ワークWの洗浄時には、第1切替ダンパー本体部34が洗浄室16の側壁として機能する位置(第1の位置)に導かれ、第2切替ダンパー本体部58が気流発生室18への浸入防止壁として機能する位置(第1の位置)に導かれる。これにより、洗浄室16でワークWの洗浄が実行されている時に、洗浄室16から溢れ出た洗浄液等が気流発生室18に浸入することを防止できる。
一方、図2に示すように、ワークWが気流の環境に置かれる時には、第1切替ダンパー本体部34は、略水平となるように接続流路側に倒れ、空気流路88の流路壁の一部として機能する位置(第2の位置)に導かれる。また、第2切替ダンパー本体部58も同様にして、略水平となるように接続流路側に倒れ、空気流路88の流路壁の一部として機能する位置(第2の位置)に導かれる。
このとき、第1切替ダンパー本体部34の先端部と第2切替ダンパー本体部58の先端部とが所定の領域にわたって重ね合わされた状態になり、接続流路20の流路壁に隙間が形成されないように両者が接続された状態になる。
ここで、接続流路内部の空気流路88の開口部21の面積が気流発生室18側から洗浄室16側に向かって絞られるようにして構成されている。換言すれば、接続流路内部の空気流路88の洗浄室16側の開口部21の開口面積が気流発生室18側の開口面積よりも小さくなるように設定されている。このため、接続流路内部の空気流路88の気流発生室18側における空気の流速が洗浄室16側における空気の流速よりも速くなる。これにより、ワークWが気流の環境に置かれることになり、ワークWの表面に付着していた残留水分(例えば、洗浄液等)が剥離される。この結果、ワークWに対するブロー効果が高くなる。
なお、接続流路内部の空気流路88の開口面積とは、エアブロー工程時に第1切替ダンパー部32と第2切替ダンパー部56と筐体12とによって接続流路20の内部に区画形成される空気流路88の開口部の面積を意味する。
(洗浄液排水室)
次に、洗浄液排水室22について説明する。
空間部14の一部の領域には、洗浄液排水室22が形成されている。洗浄液排水室22は、主として洗浄室16で洗浄に使用された洗浄液等を排水するための部屋として機能すると同時に、洗浄室16とミスト除去室24とを接続する。そして、洗浄液排水室22は、空気が流通するための空気流路88として機能する。
洗浄液排水室22には、洗浄液を貯溜あるいは回収するためのタンク部62が設けられている。
洗浄液排水室22は、洗浄室16を基準として空気の流れる方向における下流側の位置に形成されている。
洗浄液排水室22には、第3切替ダンパー部64が設けられている。第3切替ダンパー部64は、図1に示すように、洗浄室16からの洗浄液の排水時等において洗浄液がミスト除去室24へ浸入することを阻止するための浸入防止壁として機能する。また、第3切替ダンパー部64は、図2に示すように、ワークWが気流の環境に置かれる時において空気流路88を形成する流路壁の一部として機能する。これにより、第3切替ダンパー部64が2つの機能を兼備することになり、部品点数及び製造コストを削減でき、ひいては装置の小型化を実現できる。
第3切替ダンパー部64は、平板状に形成された第3切替ダンパー本体部66と、第3切替ダンパー本体部66を支持する第3切替ダンパー支持部68と、を有している。第3切替ダンパー支持部68は、回転軸70に接続されている。回転軸70が軸回りに回転することにより、第3切替ダンパー本体部66がワークWの洗浄液の排水時等において洗浄液がミスト除去室24へ浸入することを阻止するための浸入防止壁として機能する位置(第1の位置)に導かれ(図1参照)、あるいは空気流路88の流路壁の一部として機能する位置(第2の位置)に導かれる(図2参照)。
第3切替ダンパー本体部66は、駆動源86(図3参照)の駆動力を受けて回転軸70の軸回りに回転可能に設けられている。駆動源86は、第3切替ダンパー本体部66に対して駆動力を直接付与する構成でもよいし、あるいは第3切替ダンパー支持部68に対して駆動力を直接付与する構成でもよい。さらには、駆動源86は、回転軸70に対して駆動力を直接付与して、回転軸70を回転駆動させる構成でもよい。
駆動源86として、例えば、エアーシリンダが用いられるが、油圧シリンダあるいはモータ、その他の駆動源を用いてもよい。
ここで、図1に示すように、ワークWの洗浄時には、排水ダンパー本体部44が洗浄室16の底壁として機能する位置(第1の位置)に導かれ、第3切替ダンパー本体部66が洗浄液のミスト除去室24への浸入防止壁として機能する傾斜した位置(第1の位置)に導かれる。これにより、洗浄室16においてワークWの洗浄で使用された洗浄液が洗浄室16から排水される時に、洗浄液が第3切替ダンパー本体部66に衝突することによって洗浄液の流れる勢いが打ち消され、洗浄液がミスト除去室24に浸入することを防止できる。
一方、図2に示すように、ワークWが気流の環境に置かれる時には、第3切替ダンパー本体部66が略水平になるように倒れ、洗浄液排水室22に形成される空気流路88の流路壁の一部として機能する位置(第2の位置)に導かれる。また、排水ダンパー本体部44は、洗浄室16の底壁を開放する位置(第2の位置)に導かれる。
このとき、図2に示すように、第3切替ダンパー本体部66の先端部と排水ダンパー本体部44の先端部とが近接する位置に留まり、洗浄液排水室22の流路壁に大きな隙間が形成されないように設定されている。これにより、排水ダンパー本体部44から第3切替ダンパー本体部66にわたって空気流路88の1つの流路壁が形成される。
(ミスト除去室)
次に、ミスト除去室24について説明する。
空間部14の一部の領域には、ミスト除去室24が形成されている。また、ミスト除去室24は、洗浄室16あるいは洗浄液排水室22を基準として空気の流れる方向における下流側の位置に形成されている。
ミスト除去室24は、洗浄液排水室22と気流発生室18との間に設けられており、洗浄室16を通過した空気が洗浄液排水室22を経てミスト除去室25に進入する。そして、ミスト除去室24を通過した空気が気流発生室18に進入する。
ミスト除去室24には、空間部14を流れる空気に含まれる液体の微粒子(ミストと定義する)を当該空気中から分離除去するミスト除去装置72が収容されている。ミスト除去装置72を設けたことにより、空気中のミストが除去されるため、気流発生源50及び把持部26に把持されているワークWに対してミストが付着して汚染されることを防止できる。
ミスト除去装置72は、空気が通過するように、ミスト除去室内部の空気流路88を塞ぐように設置されている。ミスト除去装置72のミストを捕捉する捕捉面73は、ミスト除去室24の開口部25における開口面25Aに対して傾斜するようにして設けられている。換言すれば、ミスト除去装置72の捕捉面73が、ミスト除去室24の開口部25における開口面25Aに対して平行ではなく、所定の傾斜角度だけ傾斜している。このため、空気のミスト除去装置72に対する接触面積(あるいは接触領域)が大きくなる。これにより、ミスト除去装置72におけるミストの捕捉効果が高くなり、ミスト除去装置72を通過した空気にミストがほとんど含まれない。この結果、気流発生源50及びワークWにミストが付着して汚染されることを防止できる。
ミスト除去室24の開口部25における開口面25Aとは、洗浄時あるいはエアブロー時に限られず、ミスト除去装置72の設計により決定される開口部を断面方向に切断したときの開口面を意味する。
ここで、ミスト除去室24は、洗浄室16側あるいは洗浄液排水室22側に向かって下り傾斜した傾斜底部74を有している。換言すれば、洗浄室16側あるいは洗浄液排水室22側を基準にすると、傾斜底部74は、洗浄室16側あるいは洗浄液排水室22側から離れていく方向に向かって上り傾斜している。このため、洗浄室16側あるいは洗浄液排水室22側の洗浄液が重力の影響を受けてミスト除去室24の内部側に浸入し難くなる。これにより、ミスト除去室24及びミスト除去装置72がミストにより汚染されることを抑制できる。
ミスト除去室24の内壁には、当該ミスト除去室24の内壁に付着した汚れを除去するための洗浄部76が設けられている。洗浄部76は、例えば、洗浄ノズル78を有しており、所定のタイミングで洗浄ノズル78から洗浄液が噴射する。洗浄ノズル78から噴射された洗浄液がミスト除去室24の内壁に勢い良く当り、ミスト除去室24の内壁が洗浄され、ミスト除去室24がクリーンな状態で維持される。この結果、ミスト洗浄室24を流れる空気にミストが再度付着することを防止でき、ひいては、ミストを含む空気がワークWに接触して汚染することを防止できる。
(制御システム)
次に、制御システムについて説明する。
図3に示すように、洗浄ブロー装置10の動作は、制御部80により制御される。具体的には、洗浄工程及びエアブロー工程を実行するためのプログラムが制御部80のROM80Bに格納されており、CPU80Aによりプログラムが実行される。また、制御部80には、一例として、第1切替ダンパー部32、排水ダンパー部42及び第3切替ダンパー部64の各駆動源82、84、86、気流発生源50等が電気的に接続されている。
次に、本実施形態の洗浄ブロー装置10の作用及び効果について説明する。説明の便宜上、ワークWの洗浄工程とワークWのエアブロー工程とにわけて説明する。
(洗浄工程)
図1に示すように、ワークWの洗浄工程では、洗浄室16の把持部26にワークWが把持されて洗浄される。このとき、第1切替ダンパー本体部34が第1の位置で停止して洗浄室16の側壁として機能し、第2切替ダンパー本体部58が第1の位置で停止して気流発生室18への洗浄液等の浸入防止壁として機能する。さらに、排水ダンパー本体部44が第1の位置で停止して洗浄室16の底壁として機能し、第3切替ダンパー本体部66が第1の位置で停止してミスト除去室24への洗浄液等の浸入防止壁として機能する。
洗浄室16では、筐体12の内壁と第1切替ダンパー本体部34と排水ダンパー本体部44とで区画形成された洗浄槽38の内部で、把持部26により把持されたワークWに対して洗浄ノズル30から洗浄液が噴射され、洗浄工程が実行される。このとき、所定量の洗浄液が洗浄槽38に貯溜する。
ここで、ワークWの洗浄工程では洗浄液が洗浄槽38から溢れ出ることがあるが、第2切替ダンパー本体部58が第1の位置で停止して浸入防止壁として気流発生室18の開口部の少なくとも一部を遮断しているため、洗浄液が気流発生室18へ浸入することを防止できる。
また、第3切替ダンパー本体部66が第1の位置で停止して浸入防止壁としてミスト除去室24の開口部の少なくとも一部を遮断しているため、洗浄液がミスト除去室24へ浸入することを防止できる。
このようにして、ワークWが洗浄され、次の工程であるエアブロー工程に移行する。
(エアブロー工程)
図2に示すように、ワークWのエアブロー工程では、第1切替ダンパー本体部34が第2の位置に移動して、洗浄室16の側壁を開放するとともに、空気流路88の流路壁の一部として機能する。また、第2切替ダンパー本体部58が第2の位置に移動して空気流路88の流路壁の一部として機能する。このとき、第1切替ダンパー本体部34の先端部と第2切替ダンパー本体部58の先端部とが重なり合い、連続した1つの流路壁が形成される。
また、排水ダンパー本体部44が第2の位置に移動して、洗浄室16の底壁を開放するとともに、空気流路88の流路壁の一部として機能する。また、第3切替ダンパー本体部66が第2の位置に移動して空気流路88の流路壁の一部として機能する。このとき、排水ダンパー本体部44の先端部と第3切替ダンパー本体部66の先端部とが相互に近接し、洗浄液排水室22の内部で連続した1つの流路壁が形成される。
このようにして、気流発生室18、接続流路20、洗浄室16、洗浄液排水室22及びミスト除去室24からなる1つの閉じた循環流路である空気流路88が形成される。この空気流路88には、気流発生源50によって発生した気流中の空気が気流となって循環する。
エアブロー工程では、気流発生室18の気流発生源50によって発生した気流中の空気が接続流路20を通って洗浄室16に進入する。洗浄室16では、ワークWに付着した水分等が気流環境中の空気に引っ張られ、ワークWから剥離されて除去される。なお、気流環境においては空気が所定の流速で舞う。
その後、空気は、洗浄室16から洗浄液排水室22を通ってミスト除去室24に進入する。ミスト除去室24に進入した空気は、ミスト除去装置72を通過する。このとき、空気中に含まれる液体の微粒子(ミスト)がミスト除去装置72によって捕捉される。このため、ミスト除去装置72を通過した空気にはミストが含まれていない。そのミストが含まれていない空気は、ミスト除去室24から気流発生室18に流れ、再度、洗浄室16に向かって流れ、ワークWに当たってその表面から洗浄液を飛散させる。その後、空気が洗浄液排水室22を通ってミスト除去室24に進入し、ミスト除去装置72によって空気中に含まれるミストが取り除かれる。以後、これが繰り返される。
以上のように、本実施形態の洗浄ブロー装置10によれば、単一の筐体12の空間部14に、主として洗浄室16、気流発生室18及びミスト除去室24が形成されているため、各部屋を別々の装置で構成する場合に比較して、洗浄ブロー装置10の設置スペースが小さくなる。
以上で説明した各実施形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることが可能である。