JP5988694B2 - モータ制御装置、及びモータ制御方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、車両に備えられているルーフガラスを移動させて開閉する際に生じる摺動抵抗に応じてモータを駆動することが記載されている。
また、可動子25には、搬送物を載せるためのテーブル53と、可動子25が単位時間当たりに移動した距離を検出するエンコーダ27とが取り付けられている。
モータ制御装置10は、位置指令値と距離情報とに基づいて、リニアモータ20を制御する。
速度算出器102は、エンコーダ27から入力される距離情報に基づいて、可動子25が移動する速度を算出する。速度算出器102は、算出した可動子25の速度を補正値算出器105及び速度制御器107に出力する。
原点復帰処理では、例えば、リニアモータ20の固定子21上のいずれか一方の端部まで可動子25を移動させ、当該端部を原点(距離=0)とする処理を行う。
補正値算出器105は、補正係数テーブル104に記憶されている補正係数と、速度算出器102が算出した速度とを用いて、リニアモータ20において生じる摺動抵抗(抵抗力)を算出する。補正値算出器105は、算出した摺動抵抗を推力制御における補正値としてスイッチ109に出力する。
速度制御器107は、位置制御器106が算出する速度指令値と、速度算出器102が算出する速度との偏差に基づいて、速度指令値が示す速度で可動子25を移動させるための推力指令値を算出する。
なお、位置制御器106、及び、速度制御器107は、例えば、入力される指令値に基づいたPI制御又はPID制御により、指令値を算出する。
スイッチ109は、補正値選択器108の選択に応じて、補正値算出器105が算出する補正値を、推力指令値に対して加算するか減算するかを切り替える。
推力制御器111は、補正された推力指令値に基づいて、当該推力指令値が示す推力を得るためのq軸電流指令値を算出する。このとき、推力制御器111は、制御の対象となっているリニアモータ20の推力係数等を用いる。また、推力制御器111は、算出した電流指令値をq軸電流制御器112に出力する。
d軸電流制御器113は、入力されるd軸電流指令値と、ベクトル回転・3相2相変換器117から入力されるd軸電流値との偏差に基づいて、当該偏差を0(零)にするd軸電圧指令値を算出する。
なお、q軸電流制御器112、及びd軸電流制御器113は、位置制御器106や速度制御器107と同様に、例えば、入力される指令値に基づいたPI制御又はPID制御により、指令値を算出する。また、d軸電流制御器113に入力されるd軸電流指令値は0(零)である。
電力変換器115は、ベクトル回転・2相3相変換器114が算出する各相の電圧指令値で示される電圧をリニアモータ20のU相、V相、及びW相のコイルに印加する。具体的には、電力変換器115は、外部から供給される外部電圧に対して、各相の電圧指令値に基づいたPWM制御を行い、外部電圧を電圧指令値で示される電圧に変換し、変換して得られた電圧をリニアモータ20に印加する。
ベクトル回転・3相2相変換器117には、位相算出器101が算出する位相と、変流器116が測定したU相及びV相のコイルに流れる電流値と、U相及びV相の電流値から算出されるW相のコイルに流れる電流値とが入力される。ベクトル回転・3相2相変換器117は、リニアモータ20の位相に基づいて、U相、V相、及びW相の電流値からq軸電流値及びd軸電流値を算出する。ベクトル回転・3相2相変換器117は、算出したq軸電流値をq軸電流制御器112に出力し、算出したd軸電流値をd軸電流制御器113に出力する。
図3は、本実施形態におけるモータシステム1の摺動抵抗と可動子25の移動速度との関係の一例を示すグラフである。同図において、横軸は可動子25が移動する速度[m/s]を示し、縦軸は摺動抵抗[N]を示している。同図には、3つのグラフ(AFA,AFB,AFF)が示されている。これらのグラフにおける違いは、案内装置22に可動部分に用いられている潤滑剤の違いにより生じている。
(摺動抵抗[N])=K・(移動速度[m/s])+b …(1)
補正係数テーブル104には、実機による測定、又は計算機シミュレーション等により算出された、可動子25の移動速度と摺動抵抗との相関関係を示す抵抗係数Kと初期抵抗値bとが予め記憶されている。
モータ制御装置10において、モータ制御処理が開始されると、位置制御器106に位置指令値が入力され(ステップS101)、位置制御器106は速度指令値を算出する(ステップS102)。
速度制御器107は速度指令値から推力指令値を算出し(ステップS103)、補正値算出器105は可動子25の移動速度から補正値(摺動抵抗)を算出する(ステップS104)。
加速している場合(ステップS105:加速)、換言すると摺動抵抗が可動子25の移動速度の加速を阻害している場合、補正値選択器108は、推力指令値に補正値を加算させることを選択し、補正値を加算させるようにスイッチ109を制御する。演算器110は、スイッチ109の切り替えに応じて、推力指令値と補正値とを加算し、加算結果を補正された推力指令値として出力する(ステップS106)。
一方、減速している場合(ステップS105:減速)、換言すると摺動抵抗が可動子25の移動速度の減速を助長している場合、補正値選択器108は、推力指令値から補正値を減算させることを選択し、補正値を減算させるようにスイッチ109を制御する。演算器110は、スイッチ109の切り替えに応じて、推力指令値から補正値を減算し、減算結果を補正された推力指令値として出力する(ステップS107)。
以降、モータ制御装置10では、ステップS101からステップS108の各処理が繰り返して行われる。
リニアモータ20を駆動してテーブル53に載せられた搬送物(対象物)を移動させる際に生じる摺動抵抗(抵抗力)を算出し、算出した摺動抵抗を補正値として、速度制御器107が算出する推力指令を補正する。これにより、対象物を移動させる際に生じる摺動抵抗の影響を抑えることができ、リニアモータ20の制御における応答性能を向上させることができる。また、対象物を移動させる速度に基づいて摺動抵抗を算出しているので、速度に応じて変化する摺動抵抗の影響を精度良く抑えることができる。
Claims (4)
- 案内装置の案内に沿って対象物を移動させるモータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータの可動子が移動する速度と、前記対象物を移動させる際に生じる前記案内装置の摺動抵抗との相関関係を示す係数を複数の異なる案内装置ごとに予め記憶している補正係数記憶部と、
前記可動子が移動する速度と、前記対象物の移動を案内する前記案内装置の前記係数とから推力指令値に対する補正値を算出する補正値算出部と、
外部より入力される指令値に基づいた推力指令値と前記補正値とから補正された推力指令値を算出する演算部と、
前記補正された推力指令値に基づいて前記モータを駆動させる推力制御部と
を備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置であって、
前記演算部は、
前記可動子が移動する速度を加速させる場合には前記推力指令値と前記補正値とを加算することにより前記補正された推力指令値を算出し、前記可動子が移動する速度を減速させる場合には前記推力指令値から前記補正値を減算することにより前記補正された推力指令値を算出する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置であって、
前記モータの駆動時間を計測するタイマと、
を備え、
前記補正係数記憶部には、前記モータの駆動時間に対応付けられた前記係数が複数の異なる案内装置ごと記憶されており、
前記補正値算出部は、前記タイマにより計測された駆動時間に対応する前記係数であって前記対象物の移動を案内する前記案内装置の前記係数と、前記可動子が移動する速度とから前記補正値を算出する、
ことを特徴とするモータ制御装置。 - モータの可動子が移動する速度と案内装置の案内に沿って対象物を移動させる際に生じる前記案内装置の摺動抵抗との相関関係を示す係数を複数の異なる案内装置ごとに予め記憶している補正係数記憶部を備え、前記対象物を移動させる前記モータを制御するモータ制御装置が行うモータ制御方法であって、
前記可動子が移動する速度と、前記対象物の移動を案内する前記案内装置の前記係数とから推力指令値に対する補正値を算出する補正値算出ステップと、
外部より入力される指令値に基づいた推力指令値と前記補正値とから補正された推力指令値を算出する演算ステップと、
前記補正された推力指令値に基づいて前記モータを駆動させる推力制御ステップと
を有することを特徴とするモータ制御方法。
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