以下、図1を用いて、本発明による燃料電池システム100の一実施の形態ついて説明する。なお、図1に示す燃料電池システム100は、固体酸化物形の燃料電池システムである。燃料電池システム100は、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、電力変換装置50、及びシステム制御基板60を備えている。本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池モジュール20から排出される排熱を排熱回収システム30で回収して湯水を生成・貯湯する貯湯槽31を有する所謂コジェネレーションシステムである。
筐体11は、筐体11内を区画して第1室R1及び第2室R2を形成する仕切部材12を備えている。第1室R1は第1空間を形成し、第2室R2は第2空間を形成する。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する(仕切る)板状部材である。筐体11内には、仕切部材12より上方及び下方に第1室R1及び第2室R2が形成される。
筐体11の第2室R2内には、箱状の電力変換装置用ケーシング19(以下、ケーシング19と略す)が配置されている。そして、後述の電力変換装置50、第1電源部55、及び有接点リレー71〜73(図2参照)が、ケーシング19内に収納されている。なお、筐体11の壁面をケーシング19の壁面の一部としても差し支え無い。
ケーシング19には、図1に示すように、筐体11に形成された空気導入口11cと連通する空気導入口19aと、筐体11の第2室R2に連通する空気排出口19bが形成されている。ケーシング19は、空気導入口11c、空気排出口19bの形成部以外が密閉構造となっている。そして、空気導入口19a及び空気排出口11bの少なくとも一方には、換気用ファン16が設けられている。この換気用ファン16が作動すると、外気が、空気導入口11c、19aを介してケーシング19内に吸い込まれ、空気排出口11bから第2室R2に送出される。これにより、もし仮に筐体11(第2室R2)内で可燃性ガス(例えば改質用原料)のガス漏れが発生した場合であっても、ケーシング19内には、ガスが流入することない。このため、電力変換装置50や有接点リレー71〜73(図2参照)の接点付近にガスが存在しない状態を保つことができ、漏れた可燃性ガスに引火することを確実に防止することができるようになっている。
燃料電池モジュール20は、第1室R1内に当該第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。燃料電池モジュール20は、モジュール用ケーシング21(以下、ケーシング21と略す)、燃料電池24を少なくとも含んで構成されるものである。本実施形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23及び燃料電池24を備えている。
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造により支持されている。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23、燃料電池24、及び燃焼部26である燃焼空間R3が配設されている。このとき、蒸発部22、改質部23が燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
この蒸発部22には、一端(下端)が水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、改質水ポンプ41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともにその改質水供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。
また、蒸発部22には、燃料供給源(図示省略)からの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。改質用原料供給管42には、上流から順番に一対の原料バルブ42a、流量センサ42b、脱硫器42c、及び原料ポンプ42dが設けられている。原料バルブ42aは改質用原料供給管42を開閉する電磁開閉弁である。流量センサ42bは、燃料電池24に供給されている燃料(改質用原料)の流量すなわち単位時間あたりの流量を検出するものであり、その検出結果を制御部61に送信している。脱硫器42cは改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去するものである。原料ポンプ42dは、燃料電池24に燃料(改質用原料)を供給する供給装置であり、制御部61からの制御指令値にしたがって燃料供給源からの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。
改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、及び両極の間に介装された電解質からなる複数のセル24aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部23は省略することができる。
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給される。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ44a(カソードエア送出(送風)手段)によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管44を介して供給され、空気流路24cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
カソードエアブロワ44aは、第2室R2内に配設されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内の空気を吸入し燃料電池24の空気極に吐出するものであり、その吐出量は制御部61により調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1及び化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24b及び空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガス及び酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
そして、燃料流路24b及び空気流路24cから導出した、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料電池24と蒸発部22及び改質部23との間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(カソードオフガス)によって燃焼され、その燃焼ガス(火炎)によって蒸発部22及び改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは排気口21aから燃料電池モジュール20の外に排気される。このように、燃焼空間R3が、燃料電池24からのアノードオフガスと燃料電池24からのカソードオフガスとが燃焼されて改質部23を加熱する燃焼部26である。燃焼部26は、供給された可燃ガスが燃焼されるものである。可燃ガスは、燃えるガスであり、本実施形態では改質用燃料、アノードオフガスである。
燃焼部26(燃焼空間R3)では、アノードオフガスが燃焼されて火炎27が発生している。燃焼部26には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ26a1,26a2(交流補機)が設けられている。着火ヒータ26a1,26a2は、交流電流により加熱する交流ヒータ(ACヒータ)である。また、燃焼部26には、燃焼部26の温度を検出する温度センサ26bが設けられている。本実施形態では、温度センサ26bは、一対の熱電対26b1,26b2から構成されている。熱電対26b1は、蒸発部22と燃料電池24との間に配設され、熱電対26b1は、改質部23と燃料電池24との間に配設されている。熱電対26b1,26b2の検出結果(検出(出力)信号)は制御部61に送信されている。
排熱回収システム30は、燃料電池24の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系である。排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、が備えられている。
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽31に貯留された高温の温水が貯湯槽31の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
貯湯水循環ライン32の一端は貯湯槽31の下部に、他端は貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32a、第1温度センサ32b、熱交換器33、及び第2温度センサ32cが配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、制御部61によって流量(送出量)が制御されるようになっている。貯湯水循環ポンプ32aは、第2温度センサ32cの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、制御部61によって送出量が制御されるようになっている。
第1温度センサ32bは、熱交換器33の貯湯水導入側の貯湯水循環ライン32であって熱交換器33と貯湯槽31との間に配設されている。第1温度センサ32bは、貯湯水の熱交換器33の入口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の出口温度を検出するものであり、その検出結果を制御部61に送信するようになっている。
第2温度センサ32cは、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32に配設されている。第2温度センサ32cは、貯湯水の熱交換器33の出口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御部61に送信するようになっている。
熱交換器33は、燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの貯湯水が供給され燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器である。この熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aの上部には、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される排気口21aに連通する接続管45が接続されている。ケーシング33aの下部には、第1排気口11aに接続されている排気管46が接続されている。ケーシング33aの底部には、純水器14に接続されている凝縮水供給管47が接続されている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続されている熱交換部(凝縮部)33bが配設されている。
このように構成された熱交換器33においては、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、接続管45を通ってケーシング33a内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部33bを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管46を通って第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管47を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33bに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
また、燃料電池システムは、水タンク13及び純水器14を備えている。水タンク13及び純水器14は第2室R2内に配設されている。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯めておくものである。
純水器14は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、熱交換器33からの凝縮水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管48を介して水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管48を通って水タンク13に導出される。
水タンク13には、凍結防止ヒータ13a(交流補機)が設けられている。同様に、純水器14にも、凍結防止ヒータ14a(交流補機)が設けられている。凍結防止ヒータ13a(凍結防止ヒータ14a)は、通電されて加熱され、水タンク13(純水器14)内の純水が凍結するのを防止する。
また、燃料電池システムは、第2室R2を形成する筐体11に形成された空気導入口11cと、第1室R1を形成する筐体11に形成された空気排出口11bと、仕切部材12に形成された空気導入口12aに設けられた換気用ブロワ15と、を備えている。この換気用ブロワ15が作動すると、外気が空気導入口11cを介して第2室R2内に吸い込まれ、換気用ブロワ15によって第1室R1内に送出され、第1室R1内の空気が空気排出口11bを介して外部に排出される。
電力変換装置50は、燃料電池24と系統電源51に接続され、燃料電池24で発電された電力を交流に変換するものである。電力変換装置50は、DC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50b、電力変換装置制御部50cを備えている。DC/DCコンバータ50aは、燃料電池24及びDC/ACインバータ50bに接続されている。DC/DCコンバータ50aは、電線54を介して、電線52に接続されている。DC/DCコンバータ50aは、燃料電池24から出力される直流電流(例えば40V)を入力し、所定の電圧(例えば350V)の直流電流に昇圧又は降圧して出力するものである。
DC/ACインバータ50bは、DC/DCコンバータ50aから出力される直流電流を入力し、交流電流(例えば100Vや200V)に変換して出力するものである。また、DC/ACインバータ50bは、系統電源51から入力した交流電流(例えば100Vや200V)を所定の電圧の直流電流(例えば350V)に変換して出力する機能も有している。本実施形態では、DC/ACインバータ50bは、直流を交流に変換する機能と、交流を直流に変換する機能の両機能を内蔵した1つの機器で構成しているが、それぞれの機能を別の機器で構成するようにしても差し支え無い。
電力変換装置制御部50cは、制御部61と互いに通信可能に接続されており、制御部61の指示にしたがってDC/DCコンバータ50a、DC/ACインバータ50bの駆動、有接点リレー71〜73のオン・オフを制御する。
第1電源部55は、DC/DCコンバータ50a及びDC/ACインバータ50bに接続されており、DC/DCコンバータ50aとDC/ACインバータ50bからの直流電流を入力して所定の電圧(例えば24V)の直流電流に降圧し、第2電源部56や直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15に供給する。第2電源部56は、第1電源部55に接続されていて、第1電源部55からの直流電流を入力して所定の低電圧(例えば5V)の直流電流に降圧して、制御部61に供給する。第1電源部55や第2電源部56は、DC−DCレギュレータを有している。
系統電源(または商用電源)51は、当該系統電源51に接続された電線52を介して負荷装置53に電力を供給するものである。負荷装置53は、交流電源で駆動される負荷であり、例えばドライヤ、冷蔵庫、テレビなどの電化製品である。
さらに、燃料電池システムは、制御部61を備えている。図2に示すように、上述した温度センサ26b1,26b2,32b,32c、流量センサ42bは、それぞれ信号線81〜84によって制御部61の入出力インターフェイス(図示省略)に接続されている。(図2参照)。制御部61はマイクロコンピュータ61a(図3参照)を有しており、マイクロコンピュータ61aは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェイス、CPU、RAM、及びROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システムの運転を実施している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
図2に示すように、制御部61には、直流電流(直流電源電圧)を供給するための直流用導線91〜97によって、それぞれ、改質水ポンプ41a、原料ポンプ42d、貯湯水循環ポンプ32a、カソードエアブロワ44a、原料バルブ42a、換気用ブロワ15、及び換気用ファン16が接続している。これら、改質水ポンプ41a、原料ポンプ42d、貯湯水循環ポンプ32a、カソードエアブロワ44a、換気用ブロワ15、換気用ファン16は、直流電流で稼働するモータ90(図3参照)を有し、燃料電池24の制御に必要な直流補機である。なお、直流補機である原料バルブ42aは、モータ90の代わりに、ソレノイドを有している。図3に示すように、制御部61は、それぞれの直流補機に対応するドライバ61bを有している。ドライバ61bは、マイクロコンピュータ61aの指令に基づき、それぞれの直流補機に駆動電流を供給するためのものである。
本実施形態では、制御部61は、それぞれのドライバ61bに対応するスイッチング素子61cを有している。各スイッチング素子61cは、それぞれ、第1電源部55と接続されている。また、システム制御基板60は、直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15、16の数だけ、各スイッチング素子61cと直流用導線91〜97を接続するためのコネクタ等の接続部67が設けられている。そして、この接続部67には、各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15、16が接続する直流用導線91〜97が接続している。このような構成により、各スイッチング素子61cに各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15、16が接続している。言い換えると、各スイッチング素子61cは、第1電源部55と各直流用導線91〜97の間の電路に設けられている。各スイッチング素子61cは、後述のPWM信号に基づき前記電路を遮断・連通する。
各ドライバ61bは、マイクロコンピュータ61aの指令に基づきパルス波のデューティー比を変化させて変調するPWM回路を有していて、各スイッチング素子61cにPWM信号を出力する。各スイッチング素子61cは、入力されたPWM信号に基づき、第1電源部55と各直流用導線91〜97とを接続する電路を遮断・連通する。これにより、各直流補機を駆動するモータ90の出力やソレノイドが制御される。
図2に示すように、着火ヒータ26a1、26a2は、有接点リレー71を介して電線54に接続されている。また、凍結防止ヒータ13a、14aは、それぞれ有接点リレー72、73を介して電線54に接続されている。言い換えると、有接点リレー71〜73は、電線54と各ヒータ26a1、26a2、13a、14aとを接続する交流電力(交流電源電圧)を供給するための交流用導線75〜77に設けられている。有接点リレー71〜73は、電磁石により可動接点を固定接点に対し離接させるリレーであり、その可動接点の固定接点に対する離接動により交流用導線75〜77を遮断し連通するものである。
本実施形態では、各有接点リレー71〜73の電磁石を構成するコイルは、それぞれ信号線86〜88によって電力変換装置制御部50cに接続されている。そして、電力変換装置制御部50cは、シリアル通信による信号線85によって制御部61に接続されている。つまり、制御部61と各有接点リレー71〜73の電磁石を構成するコイルとは、信号線85を介して接続されている。なお、シリアル通信とは、一度に1ビットずつ、逐次的にデータを送る通信のことをいう。このように、信号線85は、シリアル通信による信号線なので、信号線85の本数は、例えば2〜4本であり少数である。
ケーシング19内の交流用導線75〜77は、ケーシング19に形成された取出口19cからケーシング19の外に取り出される。取出口19cには、防水コネクタやグロメット等で構成された取出固定部材19dが液密に(または気密に)取り付けられている。取出固定部材19dは、交流用導線75〜77を、取出口19cから取り出すとともに、ケーシング19の取出口19c部分に固定している。これにより、取出口19cからケーシング19内への水分等の異物やガスの侵入が防止される。なお、図2に示す実施形態では、各有接点リレー71〜73に接続されている交流用導線75〜77は、それぞれ別の取出口19cからケーシング19の外部に取り出されているが、交流用導線75〜77が同一の取出口19cからケーシング19の外に取り出される実施形態であっても差し支え無い。
各ヒータ26a1、26a2、13a、14a(交流補機)は、燃料電池システム100の運転に必要な補機である。以下に、ヒータ26a1、26a2、13a、14aの役割について説明する。燃料電池24の起動運転時には、制御部61は、有接点リレー71をオンする(閉じる)指令を、電力変換装置制御部50cを介して有接点リレー71に出力する。よって、有接点リレー71がオン状態(閉じた状態)となり、系統電源51から交流電流が着火ヒータ26a1,26a2に供給され、着火ヒータ26a1,26a2が加熱されて、燃焼部26において、改質用原料が着火される。
制御部61が、温度センサ(後述する)で検出された温度の情報に基づき、水タンク13や純水器14内の水が凍結しそうと判断した場合には、制御部61は、有接点リレー72、73をオンする(閉じる)指令を、電力変換装置制御部50cを介して有接点リレー72、73に出力する。よって、有接点リレー72、73がオン状態(閉じた状態)となり、系統電源51から交流電流が凍結防止ヒータ13a、14aに供給され、凍結防止ヒータ13a、14aが加熱され、水タンク13や純水器14内の水の凍結が防止される。筐体11の第2室R2には、図示しない温度センサが配設され、この温度センサはその位置の温度を検出し、その検出結果を制御部61に送信するようになっている。
次に図4を用いて、制御部61及び第2電源部56から構成されたシステム制御基板60の構造について説明する。システム制御基板60は、基板64と複数の電子部品65(例えば、CPU、チップ部品等である)とから構成されている。基板64には、パターン64aとランド64bが形成されている(図4(B)参照)。そして、電子部品65の端子65aがランド64bに半田付けにより接続されて、複数の電子部品65が基板64に実装されている。図4の(A)に示すように、複数の電子部品65により制御部61や第2電源部62が構成されている。図4に示す実施形態では、制御部61と第2電源部62とは、単一の基板64上に構成されているが、制御部61と第2電源部62とが別体の基板上に構成されている実施形態であっても差し支え無い。
本実施形態では、少なくとも電子部品65の端子65aと基板64のランド64bとの接続部は、防水処理がされている。本実施形態の防水処理は、例えばポッティング処理である。このポッティング処理は次のように行われる。(1)電子部品65を基板64上に実装後、基板64の外縁を取り囲む枠体(図示省略)を基板64に取り付けた後に、基板64の姿勢を水平にする。(2)エポキシ等の合成樹脂で構成されたポッティング材(液状封止材料)を基板64上に流し込み(または塗布し)、電子部品65の端子65a、基板64のパターン64aやランド64bとの接続部をポッティング材で覆う。このように、少なくとも電子部品65の端子65aと基板64のランド64bとの接続部は防水処理がなされているので、当該接続部は湿気や水分等の異物から保護される。なお、少なくとも基板64のパターン64aやランド64bとの接続部を、防水性被膜や防水性ゴムで覆うことにより、当該部分に防水処理を施すことにしても差し支え無い。
次に、図2に戻って説明する。システム制御基板60はケーシング19の外部に配設されている。システム制御基板60は、ネジ止め等でケーシング19の外面や筐体11の第2室R2に取り付けられている。なお、システム制御基板60とケーシング19との間には、絶縁性を確保するために、絶縁部材(図示省略)が配設されている。図2に示す実施形態では、システム制御基板60は、ケーシング19の外面(側面)に、取り付けられている。
このように、システム制御基板60はケーシング19の外部に配設されているので、信号線81〜84や直流用導線91〜96を、ケーシング19の内部から外部にケーシング19を通して取り出す必要が無く、ケーシング19を通すために必要となる防水コネクタやグロメットが不要となる。
なお、電力変換装置50システム制御基板60は、稼働時に発熱する。熱を発生するシステム制御基板60がケーシング19の外部に配設されているので、電力変換装置50とシステム制御基板60の稼働に伴う熱が分散され(熱分散)、その結果、発熱する電力変換装置50を収納するケーシング19内の過熱が緩和される。
第2電源部56と第1電源部55とは接続線57によって接続されている。ケーシング19内の接続線57は、ケーシング19に形成された取出口19eからケーシング19の外部に取り出されている。また、換気用ファン16と制御部61(スイッチング素子61c)とは直流用導線97によって接続されている。ケーシング19内の直流用導線97は、取出口19eからケーシング19の外部に取り出されている。取出口19eには、防水コネクタやグロメット等で構成された取出固定部材19fが液密に(または気密に)が取り付けられている。取出固定部材19fは、接続線57や直流用導線97を取出口19eから取り出すとともに、ケーシング19の取出口19eの部分に固定している。
上述のように電力変換装置制御部50cと制御部61とはシリアル通信による信号線85によって接続されている。ケーシング19内の信号線85は、ケーシング19に形成された取出口19gからケーシング19の外部に取り出されている。取出口19gには、それぞれ、防水コネクタやグロメット等で構成された取出固定部材19hが液密に(または気密に)が取り付けられている。取出固定部材19hは、信号線85を取出口19gから取り出すとともに、ケーシング19の取出口19gの部分に固定している。このような構造により、取出口19c、19gからケーシング19内への水分等の異物やガスの侵入が防止される。
上述した実施形態によれば、燃料電池システム100では、図2に示すように、有接点リレー71〜73はケーシング19内に収納されている一方で、システム制御基板60はケーシング19の外部に配設されている。これにより、有接点リレー71〜73はシステム制御基板60には配設されていないため、システム制御基板60には、有接点リレーに流れる高圧の交流電流が入力されない。よって、システム制御基板60において、直流電流が流れる直流回路と高圧の交流電流が流れる交流回路との絶縁距離を確保する必要が無い。このため、システム制御基板60を、絶縁距離を確保するスペース分は少なくとも小型化することができ、これに伴いケーシング19を小型化することができるので、燃料電池システム100のコストアップを防止することができる。
また、システム制御基板60は、ケーシング19の外部に配設されていることから、ケーシング19の内部から外部にケーシング19を通して、システム制御基板60の制御部61と各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15とをそれぞれ接続する直流用導線91〜96を取り出す必要が無く、ケーシング19の外部に配設されているシステム制御基板60の制御部61から直接各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15に直流用導線91〜96で接続させることができる。このため、ケーシング19の直流用導線91〜96を取り出すための取出口を形成する必要が無く、更に、直流用導線91〜96をケーシング19外に取り出すための多数のコネクタやグロメットをケーシング19に設ける必要が無いことから、燃料電池システム100のコストアップを防止することができる。
また、図4に示すように、システム制御基板60において、少なくとも電子部品65の端子65aと基板64のランド64bとの接続部は、防水処理がされている。これにより、システム制御基板60をケーシング19の外部に配設した場合に、電子部品65の端子65aと基板64のランド64bとの接続部は、湿気や水分等の異物から保護される。
(システム制御基板をケーシングから離間して配設した実施形態)
上述した実施形態においては、システム制御基板60をケーシング19に直接取り付けるようにしたが、システム制御基板60をケーシング19から離間して配設するようにしてもよい。この実施形態について図5を用いて上述した実施形態と異なる点について説明する。なお、同一部材については同一の符号を付して、その記載を省略する。
図5に示す実施形態では、システム制御基板60は、ケーシング19から離間されて、直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15の近傍又はケーシング19より直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15に近い位置に配設させている。このため、上述した図2に示す実施形態と比較して、信号線85や接続線57、直流用導線97は長くなる一方で、システム制御基板60と各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15とを接続する多数の直流用導線91〜96が短くなる。また、システム制御基板60が、ケーシング19から離間されて配設されているので、システム制御基板60からケーシング19に熱が伝達することが無い。このため、電力変換装置50とシステム制御基板60の稼働に伴う熱が分散され(熱分散)、その結果、熱を発生する電力変換装置50を収納しているケーシング19内の過熱が緩和される。
この実施形態によれば、図5に示すように、システム制御基板60と有接点リレー71〜73とは信号線85を介して接続され、システム制御基板60はケーシング19から離間して配設されている。ここで、信号線85は、少数(2〜4本程度)の導線で構成されている一方で、燃料電池システム200の運転に必要な直流電流で稼働する直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15は多いことから、各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15とシステム制御基板60の制御部61とを接続する電流供給用の直流用導線91〜96は多い。このため、システム制御基板60を、ケーシング19から離間して直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15の近傍に配設させた場合に、少数の導線で構成される信号線85は長くなるが、その一方で、システム制御基板60の制御部61と各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15とを接続する多数の直流用導線91〜96を短縮させることができる。このため、燃料電池システム100のコストを低減することができる。
(高分子電解質形燃料電池システムの実施形態)
なお、上述した実施形態では、本発明を、固体酸化物形燃料電池を備えている燃料電池システムに適用するようにしたが、高分子電解質形燃料電池を備えた燃料電池システムに適用するようにしてもよい。この場合、燃料電池システムは、図6に示すように、燃料電池124、改質器130、排熱回収システム(上述したものと同様なものである)を備えている。燃料電池124は、燃料ガス(水素ガス)及び酸化剤ガス(酸素を含む空気)が供給されて水素と酸素の化学反応により発電して直流電圧(例えば40V)を出力するものである。
改質器130は、燃料(改質用燃料)を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池124に供給するものであり、バーナ(燃焼部)126、改質部123、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)131、及び一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)132から構成されている。燃料としては天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、メタノールなどがある。
燃焼部126は、起動運転時に外部から燃焼用燃料及び燃焼用空気が供給され、または定常運転時に燃料電池の燃料極からアノードオフガス(燃料電池に供給され使用されずに排出された改質ガス)が供給され、供給された各可燃性ガスを燃焼して燃焼ガスを改質部123に導出するものである。
改質部123は、外部から供給された燃料に蒸発器122からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部131に導出される。
COシフト部131は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部132に導出される。
CO選択酸化部132は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池124の燃料極に導出される。
以上説明した実施形態では、各有接点リレー71〜73は、電力変換装置制御部50cを介して制御部61と接続している。しかし、各有接点リレー71〜73が、直接、信号線86〜88によって制御部61と接続している実施形態であっても差し支え無い。また、各有接点リレー71〜73が、電力変換装置制御部50cの代わりに中継点であるインターフェイスを介して制御部61と接続している実施形態であっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、図2に示す各直流補機41a、42d、32a、44a、42a、15、16は、24Vの直流電源で駆動する。しかし、これらの各直流補機のいずれかが、12Vの直流電源で駆動する直流補機に交換された実施形態であっても差し支え無い。この実施形態の場合には、第1電源部55は、DC/DCコンバータ50aとDC/ACインバータ50bからの直流電流を12Vの直流電流に降圧する。