以下、図1を用いて、本発明による燃料電池システムの一実施形態ついて説明する。なお、図1に示す燃料電池システムは、固体酸化物形の燃料電池システムである。燃料電池システムは、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、電力変換装置50、および制御装置60を備えている。本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池モジュール20から排出される排熱を排熱回収システム30で回収して湯水を生成・貯湯する貯湯槽31を有する。
筐体11は、筐体11内を区画して第1室R1及び第2室R2を形成する仕切部材12を備えている。第1室R1は第1空間を形成し、第2室R2は第2空間を形成する。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する(仕切る)板状部材である。筐体11内には、仕切部材12により上方及び下方に第1室R1及び第2室R2が形成される。
燃料電池モジュール20は、第1室R1内に当該第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。燃料電池モジュール20は、モジュール用ケーシング21(以下、ケーシング21と略す)、燃料電池24を少なくとも含んで構成されるものである。本実施形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23及び燃料電池24を備えている。
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造により支持されている。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23、燃料電池24、および第1燃焼部26(特許請求の範囲に記載の燃焼部)である燃焼空間R3が配設されている。このとき、蒸発部22、改質部23が燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、後述する凝縮水を蒸発させて水蒸気(改質用水蒸気)を生成している。よって、蒸発部22は凝縮水を蒸発させて水蒸気(改質用水蒸気)を生成して改質部23へ導出するものである。また、蒸発部22は、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気(改質用水蒸気)と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
この蒸発部22には、一端(下端)が水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、改質水ポンプ41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に凝縮水を供給するとともに、制御装置60からの制御指令値にしたがってその改質水供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。
また、蒸発部22には、燃料供給源Gsからの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。改質用原料供給管42には、原料ポンプ42aが設けられている。原料ポンプ42aは、燃料電池24に燃料(改質用原料)を供給する供給装置であり、制御装置60からの制御指令値にしたがって燃料供給源Gsからの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。
改質部23は、改質用原料と水蒸気(改質用水蒸気)とから改質ガスを生成するものである。具体的には、改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、改質用水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
燃料電池24は、改質ガスと酸化剤ガスとにより発電するものである。燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、及び両極の間に介装された電解質からなる複数のセル24aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部23は省略することができる。
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給される。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ44aによって送出されたカソードエアはカソードエア供給管44を介して供給され、空気流路24cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
カソードエアブロワ44aは、第2室R2内に配設されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内の空気を吸入し燃料電池24の空気極に吐出するものであり、その吐出量は制御装置60により調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1及び化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24b及び空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガス及び酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
そして、燃料流路24b及び空気流路24cから導出した、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料電池24と蒸発部22及び改質部23との間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(カソードオフガス)によって燃焼され、その燃焼ガス(火炎27)によって蒸発部22及び改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは排気口21aから燃料電池モジュール20の外に燃焼排ガスとして排気される。このように、燃焼空間R3が、燃料電池24からのアノードオフガスと燃料電池24からのカソードオフガスとを燃焼して改質部23を加熱する第1燃焼部26である。第1燃焼部26は、可燃性ガスと酸化剤ガスとを燃焼するものである。可燃性ガスは、燃えるガスであり、本実施形態では改質用燃料、アノードオフガスである。
第1燃焼部26(燃焼空間R3)では、アノードオフガスが燃焼されて火炎27が発生している。第1燃焼部26には、一対の着火ヒータ26a1,26a2が設けられている。着火ヒータ26a1,26a2は、第1燃焼部26を着火するものである。着火ヒータ26a1,26a2は、アノードオフガスを着火している。着火ヒータ26a1,26a2は、制御装置60の指示によって交流電流により加熱する交流ヒータ(ACヒータ:交流補機)である。
さらに、ケーシング21は、導出口21aに第2燃焼部28を備えている。第2燃焼部28は、第1燃焼部26で燃焼されなかった可燃性ガス(以下、未燃焼可燃性ガスとする)を導入し燃焼して導出するものである。未燃焼可燃性ガスは、例えば、水素、メタンガス、一酸化炭素などである。第2燃焼部28は、可燃性ガスを燃焼する触媒である燃焼触媒(例えばセラミックハニカムまたは、メタルハニカムと貴金属の触媒である。)で構成されている。第2燃焼部28には、燃焼触媒ヒータ28aが設けられている。燃焼触媒ヒータ28aは、未燃焼可燃性ガスを燃焼させる燃焼触媒を加熱するものである。燃焼触媒ヒータ28aは、燃焼触媒を触媒の活性温度まで加熱する。燃焼触媒ヒータ28aは、制御装置60の指示によって交流電流により加熱する交流ヒータ(ACヒータ:交流補機)である。
排熱回収システム30は、燃料電池24および改質部23の少なくともいずれか一方の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系である。排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯槽31に補給水を供給する給水装置31aと、貯湯槽31に貯められた貯湯水を排出する排水装置31bと、貯湯水が循環する貯湯水循環回路32と、燃料電池モジュール20からの排熱と貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、が備えられている。
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。排水装置31bは、貯湯槽31の上部に接続されており、例えば開閉バルブで構成されている。貯湯槽31に貯留された高温の温水が貯湯槽31の柱状容器の上部から排水装置31bによって導出されるようになっている。導出された温水は、浴槽、シャワなどの湯利用機器や、浴室暖房、床暖房などの熱利用機器などに利用される。なお、排水装置31bは、貯湯水循環回路32上に設けるようにしてもよい。この場合、熱交換器33の貯湯水の導出口側に設けることが望ましい。
給水装置31aは、貯湯槽31の下部に接続されており、例えば外部の高圧の水源(例えば水道)とその外部の水源の水圧を導入して減圧し導出する減圧弁と、で構成されている。排水装置31bによって温水が導出されると、給水装置31aは、外部の水源からの水(補給水)を減圧して貯湯槽31に補給するようになっている。具体的には、補給水は、水道水や井戸水などの水(低温の水)である。なお、給水装置31aは、開閉バルブを追加して構成しても良い。また、給水装置31aは、外部の高圧の水源と減圧弁との構成に代えて、水タンクとポンプにより構成するようにしてもよい。
貯湯水循環回路32の一端は貯湯槽31の下部に、他端は貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環回路32上には、一端から他端に向かって順番にラジエータ32a、貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32b、第1温度センサ32c、熱交換器33、及び第2温度センサ32dが配設されている。ラジエータ32aは、貯湯水循環回路32に貯湯槽31から導出された貯湯水を冷却するものである。ラジエータ32aは、制御装置60の指令によってオン・オフ制御されており、オン状態のときには貯湯水を冷却し、オフ状態のときには貯湯水を冷却しない。また、本実施形態においては、ラジエータ32aは、空冷式のラジエータであり、その冷却能力は外気温度で変わるものである。ラジエータ32aは常にオン状態で制御されているものとする。貯湯水循環ポンプ32bは、貯湯槽31の下部にある貯湯水の導出口から貯湯水を吸い込んで貯湯水循環回路32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、制御装置60によって流量(送出量)が制御されるようになっている。貯湯水循環ポンプ32bは、第2温度センサ32dの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、制御装置60によって送出量が制御されるようになっている。
第1温度センサ32cは、特許請求の範囲に記載された温度センサである。第1温度センサ32cは、貯湯水循環回路32上であって貯湯槽31の貯湯水の導出口と熱交換器33の貯湯水の導入口との間に配設されて貯湯水の温度を検出するものである。具体的には、第1温度センサ32cが配設された位置の貯湯水の温度を検出している。第1温度センサ32cは、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
第2温度センサ32dは、貯湯水循環回路32上であって熱交換器33の貯湯水の導出口と貯湯槽31と貯湯水の導入口との間に配設されて貯湯水の温度を検出するものである。具体的には、第2温度センサ32dが配設された位置の貯湯水の温度を検出している。第2温度センサ32dは、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
熱交換器33は、貯湯水循環回路32上に配設されて燃料電池24および改質部23の少なくともいずれか一方からの排熱を貯湯水に回収するものである。ここで本実施形態における排熱は、燃料電池モジュール20から排出される燃焼排ガスに含まれる排熱である。この排熱は、燃料電池24および改質部23の排熱だけでなく、蒸発部22、第1燃焼部26および第2燃焼部28の排熱も含まれる。すなわち、熱交換器33は、燃料電池24および改質部23の排熱を含む燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器である。この熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aの上部には、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される排気口21aに連通している。ケーシング33aの下部には、第1排気口11aに接続されている排気管45が接続されている。ケーシング33aの底部には、純水器14に接続されている凝縮水供給管46が接続されている。ケーシング33a内には、貯湯水循環回路32に接続されている熱交換部(凝縮器)33bが配設されている。凝縮器33bは、燃料電池24および改質部23の少なくともいずれか一方を流通する高温かつ水蒸気を含むガスから熱量を回収して水蒸気を凝縮して凝縮水を生成するものである。具体的には、高温かつ水蒸気を含むガスは、本実施形態においては、燃料電池モジュール20から排出される燃焼排ガスである。
このように構成された熱交換器33においては、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、排気口21aを通ってケーシング33a内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部(凝縮器)33bを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ冷却されるとともに凝縮される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管45を通って第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管46を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部(凝縮器)33bに流入した貯湯水は、加熱されて貯湯槽31に流出される。
また、燃料電池システムは、水タンク13及び純水器14を備えている。水タンク13及び純水器14は第2室R2内に配設されている。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯めておくものである。
純水器14は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、熱交換器33からの凝縮水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管47を介して水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管47を通って水タンク13に導出される。よって、水タンク13は、凝縮器33bで生成されて導出された凝縮水を貯めるものである。
電力変換装置50は、燃料電池24から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して交流の系統電源51および負荷装置53に接続されている電源ライン52に電線54を介して出力する第1機能を有している。また、電力変換装置50は、系統電源51からの交流電圧を電源ライン52および電線54を介して入力し所定の直流電圧に変換して制御装置60および補機に出力する第2機能を有している。
系統電源(または商用電源)51は、系統電源51に接続された電線52を介して負荷装置53に電力を供給するものである。負荷装置53は、交流電源で駆動される負荷であり、例えばドライヤ、冷蔵庫、テレビなどの電化製品である。
補機は、燃料電池モジュール20に改質用原料、水、空気を供給するためのモータ駆動のポンプ41a,42a及びカソードエアブロワ44aなどから構成されている。この補機は直流電圧にて駆動されるものである。
制御装置60は、燃料電池24の発電を少なくとも制御するものである。図2に示すように、制御装置60には、上述したラジエータ32a、温度センサ32c,32dが接続されている。また、制御装置60には、上述した補機である各ポンプ32b,41a,42a、およびブロワ44aが接続されている。制御装置60は、電力変換装置50から直流電圧が供給されて駆動している。そして、制御装置60は、それぞれの補機が必要に応じた出力となるように、電力変換装置50から供給された直流電圧を所定の直流電圧に変換して、それぞれの補機に出力するように制御する。
図2に示すように、着火ヒータ26a1、26a2および燃焼触媒ヒータ28aには、系統電源51から交流電圧を供給するため、それぞれ一端が電線54に接続された交流用導線71、72の他端が接続されている。交流用導線71、72上には、それぞれ開閉器71a、72aが配設されている。開閉器71aは、開路または閉路することにより、ヒータ26a1、26a2と系統電源51とを電気的に遮断または接続するものである。開閉器72aは、開路または閉路することにより、ヒータ28aと系統電源51とを電気的に遮断または接続するものである。開閉器71a、72aは、制御装置60と接続され、制御装置60の制御信号にしたがって開路または閉路される。
次に、上述した燃料電池システムの系統電源51から送電がある場合の基本的動作の一例について説明する。制御装置60は、図示しないスタートスイッチが押されて運転が開始される場合、または計画運転にしたがって運転が開始される場合には、起動運転を開始する。
起動運転が開始されるときは、制御装置60は、補機を作動させる。具体的には、ポンプ41a、42aを作動させ、蒸発部22に改質用原料および凝縮水(改質水)の供給を開始する。上述したように、蒸発部22では混合ガスが生成されて、混合ガスは改質部23に供給される。改質部23では、供給された混合ガスから改質ガスが生成されて、改質ガスが燃料電池24に供給される。また、制御装置60は、開閉器71a、72aをオン状態(閉じた状態)とする。そして、系統電源51から交流電圧が着火ヒータ26a1,26a2に供給され、着火ヒータ26a1,26a2が加熱されて、第1燃焼部26において、燃料電池24から導出された改質用原料および改質ガスが着火される。また、系統電源51から交流電圧が燃焼触媒ヒータ28aに供給され、第2燃焼部28において、燃焼触媒が加熱される。改質部23が所定温度以上となれば、起動運転は終了する。
発電運転中では、制御装置60は、燃料電池24の発電する電力が、負荷装置53の消費電力となるように補機を制御して、改質ガスおよびカソードエアを燃料電池24に供給する。燃料電池24の発電する電力より負荷装置53の消費電力が上回った場合、その不足電力を系統電源51から受電して補うようになっている。
また、発電運転中は、熱交換器33において、燃料電池24および改質部23の少なくともいずれか一方からの排熱を含む燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスが冷却されるとともに凝縮されて、その排熱が貯湯水に回収される。これにより貯湯水が加熱され、加熱された貯湯水は貯湯槽31に貯められる。また、凝縮された凝縮水は水タンク13に貯められ、蒸発部22に供給される。
このような発電運転中に、図示しないストップスイッチが押されて発電運転が停止される場合、または運転計画にしたがって運転が停止される場合には、制御装置60は、燃料電池システムの停止運転(停止処理)を実施する。制御装置60は、改質用原料および凝縮水の蒸発部22への供給を停止し、改質ガスおよび空気の燃料電池24への供給を停止する。このとき、燃料電池24が残原料によって発電している場合には、その出力電力は各ヒータ26a1、26a2および28aなどへ供給されて消費される。残原料による燃料電池24の発電が終了すれば、停止運転は終了する。
このような停止運転が終了すると、燃料電池システムは待機状態(待機時)となる。待機時は、燃料電池システムの発電停止状態(すなわち、起動運転、発電運転、停止運転のいずれの運転中でない状態である。)のことであり、発電指示(スタートスイッチのオンなど)を待っている状態のことである。すなわち、停止運転状態終了時点の状態が維持される。
次に、系統電源51からの送電が停止(以下、停電とする)した場合の燃料電池システムの動作の一例について説明する。停電の場合は、燃料電池システムは、燃料電池24が発電する電力のみを負荷装置53に供給するように運転(以下、自立発電運転とする)する。自立発電運転中においては、制御装置60は、燃料電池24が所定電力(例えば最大出力電力の半分)を維持して発電するように補機を制御する。この場合であって、負荷装置53の消費電力が燃料電池24の出力電力よりも小さいときは、制御装置60は、燃料電池24の出力電力の余剰電力を着火ヒータ26a1,26a2および燃焼触媒ヒータ28aの少なくともいずれか一方で消費するように制御する。このとき、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスには、燃料電池24の出力電力の余剰電力を消費するヒータの熱も反映される。
次に、上述した燃料電池システムにおける作動について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
制御装置60は、基準値を初期値に設定する(ステップS102)。基準値は、しきい値Thを設定するために基準とする温度である。初期値は、燃料電池システムが改質水を外部から供給せずに自身内で生成する凝縮水のみを利用するように運転する水自立運転(以下、水自立運転とする)が成立するように設定するのが好ましい。水自立運転を成立させるには、燃料電池24における発電に必要な改質水の量以上の凝縮水の量を自身内で生成すれば良い。すなわち、初期値は、発電に必要な改質水の量と同じ量の凝縮水を熱交換器33で生成できるような貯湯水の温度に設定するのが好ましい。具体的には、初期値は27度に設定するのが好ましい。この場合、貯湯水の温度が初期値以下であれば、水自立運転は成立する。一方、貯湯水の温度が初期値よりも大きい場合は、水自立は成立しないが、貯湯水の温度が初期値に近いほど凝縮水が生成される量は多くなる。
次に制御装置60は、基準値に第1の所定値α(例えば5℃)を加えた値をしきい値Thとして、温度センサ32cの検出する温度Tbがしきい値Th以上か否かを判定する(ステップS104)。制御装置60がステップS104を初めて実行するときは、基準値は初期値に設定されているため(ステップS102)、しきい値Thは、初期値に第1の所定値αを加えた値となる。初期値は27℃であるため、第1の所定値α(5℃)を加えるとしきい値Thは32℃になる。
一方、制御装置60が、ステップS104を2回目以降に実行するときは、基準値は、排水装置31bによる貯湯水の排出が完了した後の時点に温度センサ32cによって検出した貯湯水の温度Tbに設定されているため(ステップS114)、新たなしきい値Thは、その時点の温度センサ32cによって検出した貯湯水の温度Tbに第1の所定値αを加えた値になる。
ここで、温度センサ32cの検出する温度Tbがしきい値Thよりも低い場合は、制御装置60は、ステップS104にて「NO」と判定して、熱交換器33による貯湯水への排熱の回収を継続する。一方、温度センサ32cの検出する温度Tbがしきい値Th以上となった場合は、制御装置60は、ステップS104にて「YES」と判定して、排水装置31bにより貯湯水の排出を開始する(排水制御部:ステップS106)。また、制御装置60は、ステップS106にて排水装置31bによる貯湯水の排出を開始すると、貯湯槽31の下部から給水装置31aによって補給水が給水される。
ここで、貯湯槽31の上部から貯湯水が排出され、温度の低い補給水が貯湯槽31の下部に供給されると、補給水と貯湯槽31の下部に貯留している貯湯水とが混ざることになる。さらに補給水が給水され続けると、元々貯湯槽31の下部に貯留していた貯湯水は少なくなっていくため、貯湯槽31の下部の貯湯水の温度は補給水の温度相当に安定していく。よって、所定時間Tが経過すると、この貯湯水は貯湯槽31から貯湯水循環回路32へ導出されて貯湯水の温度が温度センサ32cによって検出される。所定時間Tは、排水装置31bにより貯湯水の排出を開始した時点から、温度センサ32cの検出する温度Tbが安定するまでにかかる時間である。すなわち、所定時間Tが経過すると貯湯槽31の下部の貯湯水の温度は補給水の温度相当に安定する。ここで、補給水の温度に安定した貯湯水はラジエータ32aで冷却されずに温度センサ32cまで導出されるため、温度センサ32cが検出する温度Tbは、補給水の温度を表すことになる。
次に制御装置60は、排水装置31bによる貯湯水排出開始から所定時間T(例えば5分)が経過したか否かを判定する(ステップS108)。所定時間Tが経過していない場合は、制御装置60は、ステップS108にて「NO」と判定して、所定時間Tの経過までステップS108の判定を繰り返す。一方、所定時間Tが経過した場合は、制御装置60は、ステップS108にて「YES」と判定して、貯湯水の排出を完了する(ステップS110)。
次に制御装置60は、排水装置31bによる排出完了直後の温度センサ32cの検出する温度Tbが、排出開始直前の温度Tbに第2の所定値β(例えば10℃)を加えた値よりも低くなったか否かを判定する(ステップS112)。このとき、排水装置31bによる排出完了直後の温度センサ32cの検出する温度Tbが、排出開始直前の温度Tbに第2の所定値βを加えた値よりも低くなっていない場合は、制御装置60は、燃料電池システムが正常に作動していないと判断する。すなわち、排水装置31bの排水状態に異常があることで補給水が十分に供給されない等により、温度センサ32cの検出する温度Tbが低くなっていないとして、燃料電池システムが正常に作動していないと判断している。そして、制御装置60は、ステップS112にて「NO」と判定して、ステップS104に戻る。一方、排水装置31bの排出完了直後の温度センサ32cの検出する温度Tbが、排出開始直前の温度Tbに第2の所定値βを加えた値よりも低くなっている場合は、制御装置60は、燃料電池システムは正常に作動していると判断して、ステップS112にて「YES」と判定する。
そして、制御装置60は、基準値を、排水装置31bによる貯湯水の排出が完了した後の時点に温度センサ32cによって検出した貯湯水の温度Tbに設定する(ステップS114)。なお、上述したように、しきい値Thが、水自立運転が成立する値以下に設定されている場合は、水自立運転が成立する。一方、しきい値Thが、水自立運転が成立する値よりも大きい値で設定されている場合は、水自立運転は成立しない。しかし、熱交換器33に導入する貯湯水の温度はしきい値Thの温度よりも低く抑えられるため、熱交換器33において可能な限り凝縮水が生成されるようにしつつ、貯湯水の無駄な排出を抑制することが可能となる。
次に、上述したフローチャートに沿って燃料電池システムが作動したときの貯湯水の温度変化を、図4に示すタイムチャートを用いて説明する。
図4は、本実施形態における燃料電池システムがフローチャートに沿って作動したときの貯湯水31の下部に貯留する貯湯水の温度Taと、温度センサ32cが検出する温度Tbの時間経過に伴う変化を示している。また、しきい値Th1〜Th3はしきい値Thを、時間Tは所定時間Tを、時刻t1〜t6、t11〜t14は時刻を示している。
時刻t1は、燃料電池システムが発電運転を開始する時刻である。燃料電池システムが発電運転を開始すると、温度Tbがしきい値Th1(32℃)になるまで貯湯水が加熱される。時刻t2は、温度Tbがしきい値Th1に達したときの時刻である。このとき温度Taは、ラジエータ32aがあるため、温度Tbよりも高い温度である。仮に、このときの温度Taは40℃になっているとする。温度Tbがしきい値Th1に達すると、貯湯水の排出が開始される(ステップS106:排水制御部)。上述したように、貯湯水の排水を開始すると、補給水(仮に31℃とする)が給水される。ここで、時刻t2では温度Ta(40℃)および温度Tb(32℃)は、補給水(31℃)の温度よりも高いため、補給水の給水が開始されると、温度Taおよび温度Tbは下がり始める。補給水の給水が開始されてもしばらくすると、温度変化がほとんどなかった温度Taおよび温度Tbは、比較的急に下がり、所定時間T後には最終的に補給水温度に安定する。
時刻t3は、時刻t2から時間Tが経過し、貯湯水の排出を完了する時刻である(ステップS110)。補給水の供給が開始されて時間Tが経過したため、時刻t3のときの温度Taおよび温度Tbは、補給水の温度(31℃)で安定する。ここで、現在の温度Tb(31℃)は、排出開始直前の温度(32℃)に第2の所定値β(10℃)を加えた値(42℃)よりも低くなる。よって、基準値は、時刻t3のときの温度Tb(31℃)に設定される(ステップS112、S114)。そして、しきい値Thは、時刻t3のときの温度Tb(31℃)に第1の所定値α(5℃)を加えて得た新たなしきい値Th2(36℃)に更新される(ステップS104)。そして、貯湯水の排出が完了すると同時に、貯湯水の循環が開始され、貯湯水が加熱される。具体的には、貯湯水の排出が完了しても温度Taおよび温度Tbはほとんど温度変化しないが、しばらくすると、温度Taおよび温度Tbは、比較的急に上がる。温度上昇のタイミングは、貯湯槽31内の層状(例えば補給水温度の層と60〜70℃の比較的に高温の層の二層からなる)に存在する貯湯水の温度分布による。
時刻t4から時刻t6までの間においては、上述した時刻t2から時刻t4までの間の作動が繰り返される。すなわち、温度Tbがしきい値Th2(36℃)に達すると(時刻t4)、貯湯水の排出が開始される(ステップS106)。このときの温度Taは、ラジエータ32aがあるため、温度Tb(36℃)よりも高い温度である。ここで、補給水は31℃であるため、補給水の給水が開始されると、温度Taおよび温度Tbは下がり始める。
時刻t5は、時刻t4から時間Tが経過し、貯湯水の排出を完了する時刻である(ステップS110)。補給水の供給が開始されて時間Tが経過したため、時刻t5のときの温度Taおよび温度Tbは、補給水の温度(31℃)で安定する。ここで、現在の温度Tb(31℃)は、排出開始直前の温度(32℃)に第2の所定値β(10℃)を加えた値(42℃)よりも低くなる。よって、基準値は、時刻t5のときの温度Tb(31℃)に設定される(ステップS114)。そして、しきい値Thは、時刻t5のときの温度Tb(31℃)に第1の所定値α(5℃)を加えて得た新たなしきい値Th3(36℃)に更新される(ステップS104)。このように、補給水の温度が一定に保たれている場合は、排水終了時点の温度Tbは一定となるため、しきい値Tbも一定の値に保たれる。一方、補給水の温度が変化すれば、その変化に応じてしきい値Thも変更される。そして、貯湯水の排出が完了すると同時に、貯湯水の循環が開始され、貯湯水が加熱される。温度Tbがしきい値Th3(36℃)に達すると(時刻t6)、貯湯水の排出が開始される(ステップS106)。
次に、本実施形態において、しきい値Th1を変更しない場合の温度Tbの温度変化について説明する。経過時間が時刻t3になるまでは、上述した温度変化と同じであるが、このときにしきい値Thは更新されない。よって、温度Tbがしきい値Th1になるまで貯湯水が加熱される。時刻t11は、温度Tbがしきい値Th1に再度到達した時刻である。ここで、温度Tbがしきい値Th1に到達したため、貯湯水の排出が開始され(ステップS106)、時間Tが経過すると、貯湯水の排出が停止される(ステップS110)。時刻t12は、時刻t11から時間Tが経過して貯湯水の排出が停止された時刻である。そして、しきい値Thは変更されずに、貯湯水が再度加熱され、温度Tbがしきい値Th1に到達し(時刻t13)、貯湯水が再度排出開始され(ステップS106)、時間T経過後に貯湯水の排出が停止される(時刻t14)。
ここで、しきい値Thを変更する場合は、しきい値Thを変更しない場合に比べて、貯湯水を排出するタイミングが遅くなる。すなわち、しきい値Thを変更する場合は、時刻t3から見て次に貯湯水を排出するのは、時刻t4となる。一方、しきい値Thを変更しない場合は、時刻t3から見て次に貯湯水を排出するのは時刻t11となる。よって、本実施形態のようにしきい値Thを変更すると、時刻t4から時刻t11までの時間だけ、制御装置60が貯湯水を排出するタイミングが遅くなる。したがって、本実施形態のようにしきい値Thを変更する場合の方が、貯湯水の頻繁な排水を抑制し、貯湯水を無駄に排出しないことになる。
本実施形態によれば、温度センサ32cが検出する貯湯水の温度Tbがしきい値Th以上となると、ステップS106(排水制御部)にて排水装置31bから貯湯水が排水されるとともに、貯湯槽31に給水装置31aから補給水が供給される。そして、排水装置31bによる貯湯水の排出が完了した後に、ステップS104にて新たに設定するしきい値Thは、その排出が完了した後の時点に温度センサ32cによって検出された温度Tbに、第1の所定値αを加えた値となる。すなわち、排水装置31bによる貯湯水の排出が完了した後の時点の補給水の水温が更新前しきい値Thに相当する温度であったとしても、新たに設定されたしきい値Thは、排水装置31bによる貯湯水の排出が完了した後の時点の補給水の水温に相当する値に所定値αを加えた値に更新されており、更新前しきい値Thより所定値α分は上昇させているため、しきい値Thを上昇させない場合と比較して、貯湯水の頻繁な排出が抑制され、貯湯水が無駄に排出されることを抑制することができる。
また、熱交換器33は、燃料電池24および改質部23の少なくともいずれか一方を流通する高温かつ水蒸気を含むガスから熱量を回収して水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮器33bで構成されている。そして、燃料電池システムは、凝縮器33bで生成されて導出された凝縮水を貯める水タンク13と、凝縮水を蒸発させて改質用水蒸気を生成して改質部23へ導出する蒸発部22と、をさらに備えている。これにより、凝縮器33bにおいて生成された凝縮水を改質水(改質用水蒸気)として利用して燃料電池24の発電をする燃料電池システムにおいて、すなわち、改質水を外部から供給せずに自身内で生成する凝縮水のみを利用するように運転する水自立運転を行う燃料電池システムにおいても、貯湯水の無駄な排出を抑制することができる。すなわち、ステップS104にて設定されているしきい値Thが水自立運転成立可能な範囲である場合は、水自立運転を成立させることができる。
また、排水装置31bによる貯湯水の排出が完了した後であって、その排出完了直後の貯湯水の温度Tbが排出開始直前の貯湯水の温度Tbに第2の所定値βを加えた値よりも低くなった場合に、しきい値Thは、その完了した後の時点に温度センサ32cによって検出した貯湯水の温度Tbに、第1の所定値αを加えて得た値に設定される(ステップS110、112、114、104)。ここで、その排出完了直後に温度センサ32cの検出する温度Tbが排出前の温度に第2の所定値βを加えた値より低くなっていれば、排水装置によって貯湯水が正常に排出され、給水装置によって補給水が正常に供給されたことになる。よって、燃料電池システムが正常に作動していることを確認することができる。したがって、燃料電池システムが正常に作動している状態で、しきい値Thの変更を適切に行うことができる。
また、排水装置31bによる貯湯水の排出を開始して所定時間Tが経過した後に、しきい値Thは、その完了した後の時点に温度センサ32cによって検出した貯湯水の温度Tbに、第1の所定値αを加えて得た値に設定される(ステップS108、114、104)。すなわち、貯湯水を所定時間Tだけ排出した後、つまり補給水を所定時間Tだけ供給した後は、貯湯水の温度は所定時間Tを経過する前より安定しているため、燃料電池システムが正常に作動していることをより確実に確認することができる。よって、しきい値Thの変更を適切に行うことができる。
なお、本発明による他の実施形態として、制御装置60は、ステップS114にて、しきい値Thを、排水装置31bによる貯湯水の排出が完了した時点に温度センサ32cによって検出した貯湯水の温度Tbに第1の所定値αを加えて得た新たなしきい値Thに設定しても良い。この場合、制御装置60は、ステップS114にてしきい値Thを更新しているため、ステップS104では、第1の所定値αを加えないようにする。
また、本発明による燃料電池システムの他の実施形態として、本発明を水自立運転しない燃料電池システムに適用しても良い。この場合、改質水として補給水を外部の水源(例えば水道管)から水タンク13または純水器14へ供給されるようにすればよい。
また、上述した実施形態において、ラジエータ32aを水冷式としてもよい。水冷式ラジエータの場合、外気温より低く調整可能な冷媒を使用することで、空冷式ラジエータと比較して補給水を低い温度に冷却することができる。このとき、水冷式ラジエータをオフ状態とするように制御した場合、貯湯水はラジエータ32aで若干冷却されるものの、温度センサ32cが検出する温度Tbは、補給水の温度に近い温度を表すことになる。
また、本実施形態における燃料電池24は固体酸化物燃料電池であったが、本発明を高分子電解質形燃料電池に適用するようにしてもよい。この場合、燃料電池モジュール20に代えて、図5に示すように、燃料電池81aおよび改質部81bを含んで構成されている。
燃料電池81aは、燃料ガス(水素ガス)および酸化剤ガス(酸素を含む空気)が供給されて水素と酸素の化学反応により発電して直流電流(例えば40V)を出力するものである。
改質部81bは、燃料(改質用燃料)を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池81aに供給するものであり、バーナ(燃焼部)81b1、改質部81b2、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)81b3および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)81b4から構成されている。燃料としては、天然ガス、LPG、灯油、ガソリンおよびメタノールなどがある。
バーナ81b1は、起動運転時に外部から燃焼用燃料および燃焼用空気が供給され、または定常運転時に燃料電池81aの燃料極からアノードオフガス(燃料電池81aに供給されずに排出された改質ガス)が供給され、供給された各可燃性ガスを燃焼して燃焼ガスを改質部81b2に導出するものである。
改質部81b2は、外部から供給された燃料に蒸発器からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部81b2に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部81b3に導出される。
COシフト部81b3は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素とに変成している。これにより改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部81b4に導出される。
CO選択酸化部81b4は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池81aの燃料極に導出される。
この場合、熱交換器33は、燃焼部81b1からの燃焼ガスの排熱、改質部81b2から燃料電池81aへの改質ガス(アノードガス)の排出、燃料電池81aから燃焼部へのアノードオフガスの排熱、燃料電池81aの酸化剤極からのカソードオフガスの排熱の少なくともいずれか一つを回収するように構成されている。