以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る放電装置150が搭載された車両1の前部の要部を示す。この車両1の前部におけるエンジンルーム2内には、当該車両1の左右の前輪3を駆動する不図示のエンジン及びトランスミッションが配設されている。以下、上記車両1についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
上記エンジン及びトランスミッションは、後述の左右一対のフロントサイドフレーム5間において車幅方向(左右方向)に並んでいて、本実施形態では、エンジンは、トランスミッションに対して右側に位置している。
上記エンジンルーム2の車幅方向両端部には、前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム5が配設されている。各フロントサイドフレーム5の後部は、その高さ位置が後側に向かって徐々に低くなるキック部5aとされている。このキック部5aと略同じ前後位置には、上記エンジンルーム2と車室とを仕切るダッシュパネル9が設けられている。
左右のフロントサイドフレーム5の車幅方向外側には、ホイールハウスパネル12(マッドガード)及びサスペンションタワー13がそれぞれ設けられている。各ホイールハウスパネル12は、可撓性のものであって、前輪3の上側を覆うように円弧状に形成されて、その円弧内側にフロントホイールハウス11を構成する。左右のサスペンションタワー13の下端部は、左右のフロントサイドフレーム5にそれぞれ固定され、左右のサスペンションタワー13の上端部は、左右のエプロンレインメンバー16にそれぞれ固定されている。
上記車両1の前端部には、フロントバンパー19(図5参照)が設けられ、このフロントバンパー19内に、車幅方向に延びるバンパービーム18が設けられている。上記フロントバンパー19の左右両端部は後側にそれぞれ延びて、それらの後端部は、左右のフロントホイールハウス11の直前にそれぞれ位置している。そして、左右のホイールハウスパネル12の車幅方向外側の端部における前側かつ下側部分が、上記フロントバンパー19の左右両端部の後端部にそれぞれ係合ピンを介して係合固定されている。
左右のフロントサイドフレーム5の前端には、クラッシュカン6がそれぞれ配設されている。具体的には、各フロントサイドフレーム5の前端にフランジ部5bが形成され、クラッシュカン6の後端にもフランジ部6aが形成されている。これら互いのフランジ部5b,6aが合わされた状態で、締結部材7(ボルト及びナット)によって固定されている。
上記バンパービーム18の左右両端部は、左右のクラッシュカン6の前端にそれぞれ締結固定されている。これら左右のクラッシュカン6は、バンパービーム18が車両の前面衝突時の衝突荷重を前側から受けたときに、前後方向に潰れることで、その衝撃吸収を行うようになっている。
バンパービーム18の後方における左右のクラッシュカン6の間には、不図示のラジエータを支持する枠状のシュラウド20が配設されている。このシュラウド20の上側部分を構成するアッパーメンバー21が車幅方向外側かつ後方に延び、アッパーメンバー21の両端部が連結部材22を介して左右のエプロンレインメンバー16の前端にそれぞれ結合されている。これにより、シュラウド20は、左右のエプロンレインメンバー16に支持されることになる。
上記シュラウド20の下側部分には、歩行者保護用のスティフナー25が前側に突出するように固定されている。このスティフナー25は、車両の前面に衝突した歩行者の脚部の下部に接触して該脚部を払うことで、該歩行者を車両1のボンネット上に転倒させ、これにより歩行者の脚部における骨折等の傷害の発生を可及的に防止するものである。尚、スティフナー25の前側は、上記フロントバンパー19により覆われている。
サスペンションタワー13と略同じ前後位置には、車幅方向に延びかつ左右両端部にて左右の前輪3をそれぞれ支持するサスペンションクロスメンバ31が配設されている(図2参照)。このサスペンションクロスメンバ31は、車幅方向に延びる本体部31aと、この本体部31aの左右両端部の前縁から前方へ延びる左右の前方延設部31b(図2及び図7参照)とを有している。上記本体部31aの左右両端部に、不図示の左右の前輪サスペンションアーム(ロアアーム)がそれぞれ支持されており、該前輪サスペンションアームを介して前輪3がサスペンションクロスメンバ31に支持される。本体部31aの上面における左右両端部には、上方へ延びる上方延設部31c(図2及び図7参照)がそれぞれ設けられ、左右の上方延設部31cの上端部が、左右のフロントサイドフレーム5の下面にそれぞれ固定されている。
左右の前方延設部31bの下面における前端部同士は、車幅方向に延びる連結クロスメンバ32によって連結されている。こうして、サスペンションクロスメンバ31の本体部31a及び左右の前方延設部31b並びに連結クロスメンバ32は、平面視で略矩形枠状をなすペリメータフレームを構成している。
上記各前方延設部31bの上面における前端部には、上方へ延びる円筒部材35(図4参照)がそれぞれ固定され、各円筒部材35の上端が、各フロントサイドフレーム5のフランジ部5bの下部において略水平状に折り曲げられて形成された固定部5cの下面にそれぞれ締結固定される。また、各前方延設部31bの前端には、上記スティフナー25の左右両端部に結合される結合部材36が締結固定されている。
上記スティフナー25の左端から左側のホイールハウスパネル12の前側下端にかけての部分(車両1の左前角部の下部)、及び、スティフナー25の右端から右側のホイールハウスパネル12の前側下端にかけての部分(車両1の右前角部の下部)には、それぞれ、当該角部の下面を覆うアンダーカバー41が配設されている(図1及び図2参照)。
左側のフロントサイドフレーム5よりも車幅方向外側(左側)つまりエンジンルーム2の左外側でかつ左側のフロントホイールハウス11よりも車両前側の位置に、電気を蓄電する蓄電装置70が配設されている。この蓄電装置70は、左側のフロントサイドフレーム5(詳細には、フランジ部5b)に支持されている。また、蓄電装置70は、車両正面視で、左側の前輪3に対して車幅方向内側にずれた位置に配設されている(図4及び図5参照)。さらに、蓄電装置70は、前後方向において後述の発電機85と略同じ位置に配設されている(図6参照)。尚、蓄電装置70は、左側のクラッシュカン6のフランジ部6aに支持されるようにしてもよい。
蓄電装置70は、保持部材77を有していて、この保持部材77により、左側のフロントサイドフレーム5のフランジ部5bに取付固定されている。蓄電装置70は、複数のコンデンサ(キャパシタ)を有するものである。尚、蓄電装置70は、1つのコンデンサを有するものであってもよい。
蓄電装置70は、上下方向に延びる形状をなしていて、左側のフロントサイドフレーム5の上端と略同じ高さ位置から左側のアンダーカバー41の上面近傍の高さ位置まで延びている。
図6に示すように、上記エンジンルーム2における右前部には、上記エンジンにより駆動されて発電する発電機85(オルタネータ)が配設されている。この発電機85は、上記エンジンの前部に設けられていて、該エンジンのクランク軸により、エンジンの右側の端面に設けられたベルトを介して回転駆動されて発電する。この発電機85による発電電力が蓄電装置70に供給されて蓄電される。発電機85は、特に、車両1の減速時に車両1の運動エネルギーを電力(回生電力)に変換し、この回生電力が蓄電装置70に蓄えられる。上記発電機85と蓄電装置70とは、第1ハーネス86により繋がれており(図6及び図7参照)、この第1ハーネス86を介して発電機85による電力が蓄電装置70に供給される。
発電機85は、エンジンルーム2内の右前部において、フロントサイドフレーム5と略同じ高さ位置で連結クロスメンバ32の後側に位置している。そして、第1ハーネス86は、発電機85から連結クロスメンバ32の車幅方向中央に向かって斜め下側に延びる垂下部87と、連結クロスメンバ32に沿って車幅方向に延びる水平部88(図7参照)とを有し、この水平部88の左側端部が、サスペンションクロスメンバ31の前方延設部31bの車幅方向内側近傍で上側に折れ曲がって、上記保持部材77に設けられた接続部78に接続されている。
連結クロスメンバ32の後面には、第1ハーネス86の水平部88を保護する第1プロテクタ部材89(図6及び図7参照)が設けられている。この第1プロテクタ部材89は、第1ハーネス86の水平部88が挿通される角パイプ状のプロテクタ本体部90と、このプロテクタ本体部90に設けられた取付ブラケット91とを有している。この取付ブラケット91が、連結クロスメンバ32の上面に、ボルトや係合固定具等の固定部材を介して固定されることにより、第1ハーネス86の水平部88が、第1プロテクタ部材89により保持された状態で連結クロスメンバ32の後面に止着される。このように水平部88を連結クロスメンバ32に止着することで、第1ハーネス86を安定して支持することができる。また、第1ハーネス86(水平部88)を連結クロスメンバ32の後面に止着することで、車両1の前面衝突時に、その衝撃荷重から第1ハーネス86を効果的に保護することができるとともに、シュラウド20又はシュラウド20に支持されたラジエータの後方変位が第1ハーネス86により阻害されるという事態の発生を防止することができる。
詳細な図示は省略するが、上記車両1の車室内における左側のフロントシートのシートクッションと車室フロアとの間には、蓄電装置70からの電力を変換する電力変換装置92(図8参照)が配設されている。図8に示すように、本実施形態では、蓄電装置70から、電力変換装置92を介して、一般的な鉛蓄電池で構成されたバッテリ121と車両1の車両電気負荷130とに、上記蓄電した電気(電力)が供給されるように構成されている。車両電気負荷130は、例えばオーディオ装置、ナビゲーション装置、照明装置等である。蓄電装置70からの、車両電気負荷130で使い切れない余剰分の電気(電力)が、車両電気負荷130に電気(電力)を供給するバッテリ121に供給されて蓄電される。
電力変換装置92は、蓄電装置70からの電力を降圧してバッテリ121及び車両電気負荷130へ出力するDC/DCコンバータを含む。すなわち、本実施形態では、発電機85及び蓄電装置70側の電圧(例えば25V)が、バッテリ121及び車両電気負荷130側の電圧(12V)よりも高いために、蓄電装置70からバッテリ121及び車両電気負荷130へ電力を供給する際に変圧する必要があり、そのためにDC/DCコンバータを含む電力変換装置92が設けられる。このように発電機85及び蓄電装置70側の電圧を高くした方が、発電機85による発電電力を効率良く蓄電装置70に蓄えることが可能になる。尚、これに限らず、バッテリ121及び車両電気負荷130側の電圧の方が高い場合であってよく、この場合には、電力変換装置92としては、蓄電装置70からの電力を昇圧してバッテリ121及び車両電気負荷130へ出力するものとすればよい。
電力変換装置92は、蓄電装置70と同様に、車両1の左側部分に配設されている。また、蓄電装置70は、左側のフロントホイールハウス11よりも前側に配設されている一方、電力変換装置92は、左側のフロントホイールハウス11よりも後側に配設されている。これら蓄電装置70と電力変換装置92とは、第2ハーネス94により繋がれており、この第2ハーネス94を介して蓄電装置70から電力が電力変換装置92に供給される。第2ハーネス94の蓄電装置70側の端部は、上記接続部78に接続される。
上記電力変換装置92と上記バッテリ121とは、第3ハーネス95により繋がれており、この第3ハーネス95を介して電力変換装置92から電力がバッテリ121に供給される。
第2及び第3ハーネス94,95は、蓄電装置70の後側近傍で1つに束ねられて、電力変換装置92へ向かう。すなわち、第2及び第3ハーネス94,95は、左側のフロントホイールハウス11の上側(ホイールハウスパネル12とその上方に設置されたホイールエプロンメンバ16との間)を通り、その後、ダッシュパネル9の左側端部の前面に沿って下側に延びた後、車室フロアの下面に沿って後側へ延び、そこから、車室フロアに設けられた挿通孔より車室内に導入されて上記電力変換装置92に接続される。第2及び第3ハーネス94,95は、左側のフロントホイールハウス11の上側位置においては、ホイールエプロンメンバ16に複数個の係合固定具109を介して固定された1つの被覆チューブ108により覆われている(図7参照)。
図6に示すように、上記バッテリ121は、エンジンルーム2内における左側フロントサイドフレーム5の車幅方向内側の面に接するように配設されている。このバッテリ121は、左側のフロントサイドフレーム5に固定されている。こうして、バッテリ121も、蓄電装置70及び電力変換装置92と同様に、車両1の左側部分に配設される。
このように第3ハーネス95により電力変換装置92とバッテリ121とが接続されることによって、電力変換装置92から降圧された電圧でもって電力がバッテリ121に供給されて蓄電される。尚、バッテリ121と車両電気負荷130とは、不図示のハーネスを介して接続されており、バッテリ121から該ハーネスを介して車両電気負荷130に電力が供給されるととともに、蓄電装置70から第2ハーネス94、電力変換装置92、第3ハーネス95及び上記不図示のハーネスを介して車両電気負荷130に電力が供給される。
ここで、蓄電装置70の故障等により蓄電装置70を新しいものと交換する際や、車両1を解体して廃棄する際には、蓄電装置70のコンデンサの放電を十分に行うことが好ましい。そこで、本実施形態では、蓄電装置70に、該蓄電装置70のコンデンサの放電を行う放電装置150が取り付けられている。本実施形態では、放電装置150は、蓄電装置70の下端部近傍における車幅方向外側の部分に取り付けられている。
放電装置150は、箱状のケース151を備えている。このケース151は、その詳細な構成の図示は省略するが、ケース151の内部を外部に開放する開放部を有するケース本体151aと、該ケース本体151aの開放部を開閉可能に閉塞する蓋部材151bとを有する。ケース本体151aの開放部は、車幅方向外側を向いており、蓋部材151bは、ケース本体151aの開放部が閉状態にあるときに該ケース本体151aの車幅方向外側に位置してケース本体151aに係合固定されている。また、蓋部材151bは、ケース本体151aに対して着脱可能に構成されていて、蓋部材151bをケース本体151aから外す(蓋部材151bとケース本体151aとの係合を解除する)ことで、ケース本体151aの開放部を開状態にすることが可能に構成されている。
放電装置150のケース151内には、上記コンデンサを放電させるための放電抵抗部152(図8参照)と、作業者が、この放電抵抗部152による上記コンデンサの放電を行う放電回路を形成するための操作を行う操作部153(図3及び図8参照)と、上記コンデンサの放電状態を上記作業者が目視で確認するために該作業者が視認可能な視認部154(図3及び図8参照)とが収容されている。
上記放電抵抗部152は、不図示の基板上に配設された複数の抵抗が直列に接続されてなる。放電抵抗部152は、1つの抵抗で構成することも可能である。上記基板は、ケース151内に固定されている。上記操作部153は、作業者により操作されて、上記コンデンサの放電を行う放電回路を形成(閉成)するスイッチと見做すことができ、本実施形態では、上記基板上に設けられたON/OFF切換えスイッチで構成されている。このON/OFF切換えスイッチは、一旦OFF状態からON状態に切り換えられれば、ON状態が維持され、逆にON状態からOFF状態に切り換えられれば、OFF状態が維持される。上記視認部154は、本実施形態では、上記基板上に設けられかつ放電抵抗部152の複数の抵抗に直列に接続されたLEDからなる。
放電抵抗部152、操作部153及び視認部154は、回路図で示すと、図8のような関係にある。放電抵抗部152の視認部154とは反対側は、不図示のプラス側ハーネスを介して、蓄電装置70のプラス端子である上記接続部78に接続されている。一方、上記操作部153の視認部154とは反対側は、不図示のマイナス側ハーネスを介して、蓄電装置70のマイナス端子(図示せず)に接続されている。このマイナス端子は、上記保持部材77を介して、車体(フロントサイドフレーム5)に接続されて接地される。
上記操作部153の操作により上記ON/OFF切換えスイッチがON状態になると、上記放電回路が形成され、これにより、上記コンデンサの電荷が上記放電抵抗部152へと流れて、放電抵抗部152でコンデンサの電荷が消費され、こうして上記コンデンサの放電が行われる。尚、上記操作部153は、ON/OFF切換えスイッチに限らず、作業者の操作により上記放電回路を形成できて上記コンデンサの放電を、その終了まで継続して行えるものであれば、どのような構成のものであってもよい。
上記視認部154のLEDは、該LEDへの印加電圧(つまり上記コンデンサの電圧)が所定電圧以上であるときには点灯する一方、該所定電圧よりも低いときには消灯するようになっている。上記所定電圧は、上記コンデンサの放電が十分に行われて、その放電が終了したと見做すことが可能な電圧である。これにより、作業者は、上記LEDの点灯/消灯により上記コンデンサの放電状態が分かり、上記LEDが消灯すれば、放電が終了したと判断することができる。尚、視認部154は、LEDに限らず、上記コンデンサの放電状態を上記作業者が目視で確認することができるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、視認部154を、上記コンデンサの電圧を数値表示したりバー表示したりする液晶で構成してもよい。バー表示の場合、上記コンデンサの放電が進む(上記コンデンサの電圧が低下する)に従って、点灯するバーの長さを短くするようにする。
上記操作部153は、ケース本体151aの開放部が開状態にあるときに、作業者が上記操作を行うことが可能となるように構成され、上記視認部154は、ケース本体151aの開放部が開状態にあるときに、作業者が視認可能となるように構成されている。すなわち、作業者は、放電作業をする際には、蓋部材151bをケース本体151aから外して、ケース本体151aの開放部を開状態にする必要がある。このことから、蓋部材151bは、放電作業完了証明部材として扱うことができ、車両のメーカ等が、この蓋部材151bを、車両を解体して廃棄する解体業者等から回収するようにし、解体業者等は、その蓋部材151bでもって、放電作業が完了したことを証明することができる。
尚、蓋部材151bは、ケース本体151aから取り外せない構成であってもよく、例えば、蓋部材151bがヒンジ周りに回動してケース本体151aの開放部を開状態にするような構成であってもよい。但し、蓋部材151bがケース本体151aから取り外せない場合は、蓋部材151bを、放電作業完了証明部材として扱うことはできない。
上記蓋部材151bには、上記作業者が上記コンデンサの放電作業の内容(放電作業の手順)を把握するための説明が記載された説明部が設けられている。この説明部は、例えば、蓋部材151bに貼り付けられたラベルで構成される。
上記説明部は、蓋部材151bのケース表側の面に設けてもよく、ケース内側の面(裏面)に設けてもよい。特に、上記のように蓋部材151bがヒンジ周りに回動してケース本体151aの開放部を開状態にする構成では、説明部は、蓋部材151bのケース内側の面に設けるのがよい。こうすることで、作業者は、ケース本体151aの開放部が開状態にあるときに、上記説明部が見易くなり、該説明部を見ながら放電作業を行うことができる。
尚、上記説明部は、蓋部材151bに限らず、ケース本体151aに設けることも可能である。また、上記説明部は、ケース151に設けること以外にも、ボンネットを開けたときに作業者がよく見える箇所(例えばアッパーメンバー21の上面における後述のコーションラベルの近傍)に設けるようにしてもよい。
また、上記説明部とは別に、ボンネットを開けたときに作業者がよく見える箇所(例えばアッパーメンバー21の上面)に、蓄電装置70の交換前や車両1の解体前に、蓄電装置70の放電を行う必要がある旨と、蓄電装置70及び放電装置150の位置(特に放電装置150の位置)と、放電装置150へのアクセス方法とを記載したコーションラベルを貼り付けておくことが好ましい。尚、上記説明部が蓋部材151bのケース内側の面に設けられている場合には、上記コーションラベルに、放電作業に際して蓋部材151bを外すことも記載しておく。
作業者が、放電装置150による蓄電装置70のコンデンサの放電を行うには、先ず、左側のホイールハウスパネル12とフロントバンパー19との係合を解除する。そして、左側のホイールハウスパネル12の前側下部を上側かつ車幅方向内側へ捲って左側のフロントホイールハウス11の前側部分に開口部を形成する。このとき、左側のホイールハウスパネル12の前側下部を上側かつ車幅方向内側へ捲り易くするために、予め車両1のハンドルを右側に切って左側の前輪3の前側部分を車両内側に向けておくことが好ましい。
続いて、上記開口部からフロントバンパー19の内側に手を挿入して、放電装置150におけるケース151の蓋部材151bをケース本体151aから外して、ケース本体151aの開放部を開状態にする。ケース本体151aから外した蓋部材151bは、上記開口部から車両1の外側に取り出す。この蓋部材151bに上記説明部が設けられているので、作業者は、その説明部を見ながら放電作業を容易に行える。
次いで、ケース本体151a内の操作部153(ON/OFF切換えスイッチ)を操作して、放電抵抗部152による上記コンデンサの放電を行う放電回路を形成(閉成)する。これにより、上記コンデンサの放電が開始される。作業者は、視認部154のLEDを見て放電状態を確認する。すなわち、作業者は、LEDが点灯していれば、放電中であると判断し、そのLEDが消灯したとき、放電が終了したと判断し、蓄電装置70延いては車両1を廃棄することができる。尚、作業者は、LEDが最初から点灯しなければ、上記コンデンサが既に放電された状態にあると判断する。
こうして上記コンデンサの放電作業が完了する。上記取り外した蓋部材151bは、放電作業完了証明部材として、所定の回収ルートに従って、車両1のメーカ等に引き渡す。
したがって、本実施形態では、蓄電装置70のコンデンサの放電を行う放電装置150が、放電抵抗部152、操作部153及び視認部154を備えているので、作業者は、操作部153を操作して放電抵抗部152による上記コンデンサの放電を開始し、そのコンデンサの放電状態を視認部154で確認することで放電が終了したか否かが分かり、よって、蓄電装置70のコンデンサの放電作業を、車両1に搭載した状態で、誰でも簡単に行うことができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、蓄電装置70を、左側のフロントサイドフレーム5よりも車幅方向外側(左側)つまりエンジンルーム2の左外側でかつ左側のフロントホイールハウス11よりも車両前側の位置に配設したが、これに限らず、例えばエンジンルーム2内に配設してもよい。
また、上記実施形態では、放電装置150を蓄電装置70に取り付けたが、車両1における蓄電装置70の近傍(蓄電装置70から所定距離以内の位置)に設けてもよい。すなわち、作業者が、比較的大きな蓄電装置70を目印にして、放電装置150を容易に見つけることができるような位置に放電装置150を設ければよい。例えば、放電装置150と蓄電装置70とを、フロントサイドフレーム5に対して前後方向に並設して取り付けるようにしてもよい。
ここで、本発明とは異なる参考形態として、放電装置150を、蓄電装置70から上記所定距離よりも離れた位置に設けてもよい。この場合は、作業のし易さを重視して、例えば図9に示すように、アッパーメンバー21の上面に設ける。図9の例では、放電装置150は、上記実施形態と同様の構成であって、ケース本体151aと蓋部材151bとを有する箱状のケース151を備えている。ケース本体151aの開放部は、上側を向いており、蓋部材151bは、ケース本体151aの開放部が閉状態にあるときに該ケース本体151aの上側に位置してケース本体151aに係合固定されている(図9では、蓋部材151bによりケース本体151aが見えていない)。ケース151内には、放電抵抗部152、操作部153及び視認部154が収容されている。図9で、160は、上記実施形態で説明したコーションラベルである。上記説明部を、ケース151に設けないで、コーションラベル160と兼用してもよい。放電作業自体は、上記実施形態と同様である。このように放電装置150を配置することにより、蓄電装置70の配置の自由度が向上し、仮に蓄電装置70を上記実施形態と同様の位置に配置したとしても、ホイールハウスパネル12の前側下部を上側かつ車幅方向内側へ捲ってフロントホイールハウス11の前側部分に開口部を形成する必要はなく、この開口部から放電装置150にアクセスする必要もない。したがって、蓋部材151bをケース本体151aから外す作業や操作部153を操作する作業が非常に容易になる。
また、参考形態として、放電装置150を、作業者が手に持って車両1の外側に持ち出せるようにしてもよい。この場合、放電装置150は、予め蓄電装置70とは接続されておらず、車両1の車室内やトランク、エンジンルーム2等の所定箇所に収納しておくようにする。この放電装置150は、ケース本体151aと蓋部材151bとを有する箱状のケース151(放電抵抗部152、操作部153及び視認部154を収容する)から2本のハーネスが延びていて、これらハーネスの先端部に1つの放電装置側コネクタが設けられている。上記2本のハーネスは、上記実施形態におけるプラス側及びマイナス側ハーネスに相当する。一方、蓄電装置70には、放電装置側コネクタと接続される蓄電装置側コネクタが移動不能に固定されている。この場合の操作部153は、上記放電装置側コネクタとON/OFF切換えスイッチとで構成されることになる。すなわち、放電抵抗部152によるコンデンサの放電を行う放電回路を形成するには、上記放電装置側コネクタを上記蓄電装置側コネクタに差し込むことで該両コネクタ同士を接続する操作を行うとともに、ON/OFF切換えスイッチを操作する。尚、ON/OFF切換えスイッチをなくして、操作部153を上記放電装置側コネクタのみで構成することも可能であり、こうすれば、上記放電装置側コネクタを上記蓄電装置側コネクタに差し込むことで該両コネクタ同士を接続する操作を行うことによって、上記放電回路が形成されて放電が開始されることになる。
さらに、参考形態としては、操作部153及び視認部154は、放電抵抗部152と共にケース151内に設ける必要は必ずしもなく、操作部153を、例えば車室内の、乗員が不用意に操作することがないような場所(例えば、インストルメントパネルの裏側でグローブボックスを外して操作可能な場所)に設け、視認部154を、例えばインストルメントパネルのメータ部に設けるようにしてもよい。この場合、放電抵抗部152はどこにあってもよい。また、放電抵抗部152は、他の電気部品が設けられている基板に設けることも可能であり、こうすれば、放電抵抗部152を収容するケース151をなくすことができる。さらに、放電抵抗部152をケース151内に収容する場合であっても、ケース151に蓋部材151bを設ける必要はない。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。