(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る現像装置及び画像形成装置の一例について説明する。
(全体構成)
図1には、第1実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、上下方向(図示の矢印Y方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、を有している。なお、以後の説明では、画像形成装置10の上下方向をY方向、水平方向をX方向、X方向及びY方向と直交する奥行き方向を+Z方向、+Z方向とは逆の方向を−Z方向と記載する。そして、+、−の向きを区別する必要が無い場合は、単にZ方向と記載する。また、左、右と記載するときは、画像形成装置10を正面から見た場合の左、右(図の左、右と一致)を表している。
さらに、画像形成装置10は、画像形成部14の上側に一体的に設けられ画像形成された記録用紙Pを排出する排出部16と、排出部16の上に設けられ読取原稿GEを読み取る原稿読取部18と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を有している。
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26がY方向に並んで設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路30(二点差線で図示)に送り出す送り出しロール32が設けられている。そして、搬送路30における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が複数設けられている。また、搬送路30における記録用紙Pの搬送方向で、搬送ロール36よりも下流側であり且つ画像形成部14内には、記録用紙Pを一端停止させると共に決められたタイミングで二次転写部37(詳細は後述する)へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
画像形成部14は、装置本体である筐体16Aを有している。筐体16Aは、画像形成装置10の正面視で画像形成部14の左上部が中央上部及び右上部よりも上側に突出されている。そして、排出部16の上端及び奥側に原稿読取部18の左端部及び奥側が結合されている。これにより、画像形成装置10には、画像形成部14の上面、原稿読取部18の下面、及び排出部16の右側面で囲まれた排出領域19が形成されている。排出領域19では、排出部16からの記録用紙Pの排出及び積載が行われる。
また、画像形成部14で搬送路30における二次転写部37よりも下流側には、定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙P上の現像剤(トナー)を加熱する定着ロール82と、定着ロール82に向けて記録用紙Pを加圧する加圧ロール84とを有しており、記録用紙Pが定着ロール82と加圧ロール84との接触部を通過すると、トナーが溶融、凝固して、記録用紙Pにトナー画像TA(図2参照)が定着されるようになっている。
図1及び図2に示すように、画像形成部14の中央には、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーを組合せて記録用紙Pにトナー画像(現像剤像)を形成する画像形成ユニット40が設けられている。
画像形成ユニット40は、潜像を保持する像保持部材の一例としての感光体42K、42C、42M、42Yが、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーに対応して設けられている。なお、以後の説明では、K、C、M、Yを区別する必要がある場合は、数字の後にK、C、M、Yのいずれかの英字を付して説明し、同様の構成でK、C、M、Yを区別する必要がない場合は、K、C、M、Yの記載を省略する。
図2に示すように、感光体42K、42C、42M、42Yは、この順番で図示の右側に向けて並んでおり、それぞれ矢印b方向(図示の反時計回り方向)に回転するようになっている。また、各感光体42の周囲には、矢印b方向に沿って順に、帯電ロール46と、現像装置100と、転写手段の一例としての中間転写ベルト48及び一次転写ロール52と、クリーニングロール54とが設けられている。
帯電ロール46は、一例として、ステンレス鋼製の軸部の周囲に導電性弾性層、中間層、及び表面樹脂層を含む複数の層(いずれも図示省略)が形成された構成となっている。また、帯電ロール46は、外周面が感光体42の表面層と接触して従動するように軸部が回転可能に設けられており、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されることにより生じる放電により、感光体42の外周面を帯電させるようになっている。
感光体42の外周面で帯電ロール46と現像装置100との間の位置には、各トナー色に対応した光L(LK、LC、LM、LY)が、後述する露光装置60(図1参照)から照射(露光)されるようになっている。
図1に示すように、露光装置60は、図示しない半導体レーザ及びf−θレンズと、ポリゴンミラー62A、62Bと、図示しない結像レンズと、複数のミラー64と、を有している。そして、露光装置60は、画像信号に基づき半導体レーザから出射されたレーザ光をポリゴンミラー62A、62Bで偏向走査し、帯電ロール46(図2参照)により帯電された感光体42の外周面に照射(露光)して、静電潜像を形成するようになっている。そして、感光体42は、静電潜像を外周面に保持する。なお、露光装置66は、レーザ光をポリゴンミラーで走査する方式に限らず、LED(Light Emitting Diode)方式であってもよい。
図2に示すように、矢印b方向における光Lによる露光位置よりも下流側で感光体42と対向する位置には、感光体42に現像剤像を形成する現像装置100が設けられている。なお、現像装置100の詳細については後述する。
中間転写ベルト48は、無端状に形成されており、二次転写部37に設けられたベルト搬送ロール72と、ベルト搬送ロール72の右斜め上方に設けられたベルト搬送ロール74と、X方向でベルト搬送ロール74とは反対側に設けられモータ(図示省略)で駆動される駆動ロール76と、駆動ロール76の左斜め下方に設けられたベルト搬送ロール78とに巻き掛けられて、矢印a方向(図示の時計回り方向)に周回移動可能に支持されている。中間転写ベルト48の外周面は、現像剤像の一例としてのトナー画像TAが転写される転写面とされており、中間転写ベルト48のベルト搬送ロール78からベルト搬送ロール72までの転写面に感光体42K、42C、42M、42Yの外周面が接触している。
中間転写ベルト48を挟んで感光体42K、42C、42M、42Yの反対側には、一次転写ロール52(52K、52C、52M、52Y)が設けられている。一次転写ロール52は、中間転写ベルト48の内周面に接触している。そして、一次転写ロール52は、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されることで、接地された感光体42との電位差により、感光体42の外周面に保持されたトナー像を中間転写ベルト48の転写面へ一次転写させるようになっている。これにより、中間転写ベルト48が周回移動しているときに中間転写ベルト48上に各トナー像が重ねて転写されトナー画像TAが形成される。
クリーニングロール54は、一例として、感光体42の外周面と接触するブラシロールで構成されている。そして、クリーニングロール54は、感光体42の外周面に残留したトナーなどを掻き取って、クリーニングユニット内(図示省略)に回収するようになっている。なお、中間転写ベルト48を挟んで駆動ロール76側とは反対側には、二次転写後の中間転写ベルト48の転写面に残留したトナー等を清掃するための清掃部材(図示省略)が設けられている。
一方、二次転写部37は、中間転写ベルト48が巻き掛けられたベルト搬送ロール72と、中間転写ベルト48を挟んでベルト搬送ロール72側とは反対側に設けられた転写手段の一例としての二次転写ロール79とで構成されている。ベルト搬送ロール72又は二次転写ロール79には、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されるようになっており、ベルト搬送ロール72と二次転写ロール79との電位差により、中間転写ベルト48上のトナー画像TAが、搬送路30で搬送されている記録用紙P上に二次転写されるようになっている。
図1に示すように、画像形成部14の中間転写ベルト48よりも上側には、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各トナーを収容するトナーカートリッジ86K、86C、86M、86Yが交換可能に設けられている。また、排出部16内の搬送路30における定着装置80よりも下流側には、定着後の記録用紙Pを搬送する搬送ロール87と、搬送ロール87で搬送された記録用紙Pを排出領域19へ排出する排出ロール88とが設けられている。
一方、原稿読取部18は、読取原稿GEを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置90と、原稿搬送装置90の下側に配置され1枚の読取原稿GEが載せられるプラテンガラス92と、原稿搬送装置90によって搬送された読取原稿GE又はプラテンガラス92に載せられた読取原稿GEを読み取る原稿読取装置94とが設けられている。
原稿搬送装置90は、送り出しロール91と、一対の搬送ロール93と、レジストロール95と、を含む複数のロールが配置された自動搬送路96を有しており、自動搬送路96の一部は、記録用紙Pがプラテンガラス92上を通るように配置されている。
原稿読取装置94は、ランプ97から読取原稿GEの原稿面へ照射された光の反射光LTを受光部98で受光することで、読取原稿GEを読み取るようになっている。また、原稿読取装置94は、プラテンガラス92の下側の左端部に静止した状態で原稿搬送装置90によって搬送された読取原稿GEを読み取り、又はX方向に移動しながらプラテンガラス92に載せられた読取原稿GEを読み取るようになっている。
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の画像データが露光装置60に出力される。続いて、露光装置60から画像データに応じて出射された光L(LK、LC、LM、LY)は、帯電ロール46により帯電された感光体42の外周面(表面)を露光し、各感光体42の表面には各色の画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、各感光体42の表面に形成された静電潜像は、各現像装置100によってトナー画像として現像される。そして、各感光体42の表面のトナー画像は、一次転写ロール52(図2参照)によって中間転写ベルト48に順次多重転写される。
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路30を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト48への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写部37に搬送される。そして、中間転写ベルト48上に多重転写されたトナー画像は、二次転写部37に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール79によって二次転写される。
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80へ搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が定着ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排出部16から排出領域19へ排出される。
(要部構成)
次に、現像装置100について説明する。
図3には、現像装置100が示されている。なお、現像装置100K、100C、100M、100Yは、使用する現像剤中のトナーを除いて同様の構成であるため、K、C、M、Yを区別せずに現像装置100として説明する。
現像装置100は、現像剤Gが収容された筐体の一例としてのハウジング102と、現像ロール106と、現像ロール106の外周面に保持された現像剤Gの層の厚みを規制する現像剤規制部材の一例としてのトリマー108と、現像剤Gを現像ロール106に供給する供給部材の一例としての第1オーガ109と、第2オーガ111と、遮断部材の一例としての遮断ブロック110と、を有している。
現像剤Gは、一例として、負極性に帯電するトナーTと、正極性に帯電する磁性粒子の一例としての磁性キャリアCAとを含む2成分現像剤で構成されている。そして、現像剤Gは、ハウジング102内で、詳細を後述する遮断ブロック110の上端部110A(図5参照)以上の高さまで貯留されている。
ハウジング102は、容器本体103と、容器本体103の上部を塞ぐカバー部材104とを含んで構成されている。また、ハウジング102は、現像ロール106が収容される現像ロール室122と、現像ロール室122の下方側に設けられた第1攪拌室123と、第1攪拌室123に隣接する第2攪拌室124とを有している。
容器本体103は、下側に凸となるようにX方向の2箇所で湾曲した底壁103Aと、底壁103Aの左端部に形成された平坦部103Bと、底壁103Aの右端部に立設された側壁103Cと、底壁103Aの中央部に立設され第1攪拌室123と第2攪拌室124とを仕切る仕切壁103Dとを含んで構成されている。
カバー部材104は、第2攪拌室124上に配置される上壁104Aと、上壁104Aの左端部から左斜め上方へ延びて現像ロール室122を覆う傾斜壁104Bと、傾斜壁104Bの上端に連続して湾曲した湾曲壁104Cと、上壁104Aの端部から下方に延びて容器本体103に嵌め込まれる嵌合部104Dとを有している。
図4には、現像装置100の横断面が示されている。なお、図4では、現像ロール106と第1オーガ109及び第2オーガ111とを説明するために、これらを同一平面で示しているが、実際は図3に示すように、現像ロール106の方が第1オーガ109及び第2オーガ111に比べてY方向上側に配置されている。また、図4では、遮断ブロック110(図3参照)の図示を省略している。
図4に示すように、容器本体103における現像ロール106の軸方向(+Z方向)両端部の位置には、後述するマグネットロール106Aの両端部から+Z方向外側へ突出したシャフト106Cを支持する支持壁103E、103Fが形成されている。また、容器本体103は、+Z方向における第1攪拌室123及び第2攪拌室124の長さが、支持壁103E、103Fの間隔よりも長くなっており、突出部126が形成されている。なお、支持壁103E、103F間には、現像ロール106の下側で図示しない壁部が連結されており、この壁部にトリマー108(図3参照)がネジ128(図3参照)で固定されている。
仕切壁103Dには、−Z方向の端部付近にX方向に貫通した第1流入口132が形成され、+Z方向の端部にX方向に貫通した第2流入口133が形成されている。これにより、第1オーガ109及び第2オーガ111が回転すると、第1流入口132及び第2流入口133を通って矢印K方向に現像剤Gが循環する。
また、突出部126における第1攪拌室123の下部には、現像剤Gを現像装置100から排出するための現像剤排出口134が形成されている。そして、突出部126における第2攪拌室124の上部には、新しい現像剤Gを現像装置100内に補給するための現像剤補給口136が形成されている。なお、現像剤補給口136は、第1流入口132よりも−Z方向に配置されており、仕切壁103Dで仕切られているため、補給された新しい現像剤Gがすぐに現像剤排出口134から排出されることはない。
図3及び図4に示すように、現像ロール106は、円柱状に形成され容器本体103にシャフト106Cを介して固定支持された磁力発生部の一例としてのマグネットロール106Aと、円筒状に形成されマグネットロール106Aの外側で回転可能に支持された現像剤保持体の一例としての現像スリーブ106Bとを有している。即ち、マグネットロール106Aは、現像スリーブ106Bの内側に配置されている。
図3に示すように、マグネットロール106Aは、外周面(周方向)に沿って複数の磁極が設けられており、詳細には、シャフト106Cの軸方向に見て、第1オーガ109に近い右下側から時計回り方向に引付極の一例としてのピックアップ極S3、層形成極N2、現像極S1、搬送極N1、及びピックオフ極S2が設けられている。なお、搬送極N1から現像極S1及びピックオフ極S2へ向けて、また、層形成極N2から現像極S1、ピックアップ極S3へ向けて磁力線が生じているが、図示を省略している。
ここで、以後の説明では、マグネットロール106Aを軸方向に見たとき、上側の位置を12時、下側の位置を6時として、各磁極の位置を説明する。一例として、ピックアップ極S3は、4時方向に配置されており、現像剤Gを引き付けて現像スリーブ106Bの外周面に保持させる。層形成極N2は、トリマー108の先端部と対向して7時方向に配置されており、複数の磁性キャリアCAを穂立ちさせた状態で現像スリーブ106Bの外周面に保持させる。なお、本実施形態における層形成極N2の磁力は、通常設定される磁力(一例として80mT)よりも下げられている(低く設定されている)。これは、現像装置100の現像ロール106の駆動トルクを下げるためであり、また、層形成極N2の磁力を低磁力にして磁気吸引力を減らし、層形成中(層規制中)の現像剤Gへの負荷を低下させる狙いもある。
現像極S1は、感光体42(図2参照)の外周面と対向して9時方向に配置されている。搬送極N1は、11時方向に配置されており、感光体42(図2参照)への現像が終了して残った現像剤Gを引き付けて現像スリーブ106Bの外周面に保持させる。ピックオフ極S2は、2時方向に配置されており、ピックオフ極S2とピックアップ極S3との間で現像剤Gを現像スリーブ106B上から剥離させる。
図4に示すように、現像スリーブ106Bは、Z方向の両端部に、該両端部を塞ぐキャップ状の支持部材137A(−Z方向側)、支持部材137B(+Z方向側)が取り付けられている。支持部材137A、137Bは、環状に形成されており、内側にZ方向を軸方向とするベアリング138A、138Bが固定されている。そして、ベアリング138A、138Bにシャフト106Cが挿入されることで、マグネットロール106Aに対して現像スリーブ106Bが回転可能となっている。なお、現像スリーブ106Bの外周面には微少な凹凸が形成されており、現像剤Gを外周面に保持可能となっている。
また、支持壁103Fには、ベアリング142がZ方向を軸方向として固定されており、ベアリング142に支持部材137Bの一部が挿入されている。そして、支持部材137Bの+Z方向の端部には、Z方向を軸方向として回転するギア144が取り付けられている。これにより、ギア144が回転すると、支持部材137A、137Bがシャフト106Cの周りを回転して、現像スリーブ106Bがマグネットロール106Aの外側を回転する。
一方、第1攪拌室123には、現像剤Gを攪拌しながら搬送する第1オーガ109が配置されている。第1オーガ109は、Z方向に沿って配置された回転軸109Aと、回転軸109Aの外周に支持されたらせん状の翼部の一例としての順搬送羽根109Bと、逆搬送羽根109Cとを有している。順搬送羽根109Bは、現像剤Gを−Z方向に搬送するために第2流入口133からから第1流入口132にかけて設けられている。
逆搬送羽根109Cは、現像剤排出口134付近に設けられており、現像剤Gを順搬送羽根109Bの搬送方向とは逆方向に搬送することによって、現像剤Gを第1攪拌室123から第2攪拌室124に流入させている。また、回転軸109Aは、突出部126の−Z方向端部の前側壁103Gと容器本体103の+Z方向端部の後側壁103Hとによって回転可能に支持されており、回転軸109Aの+Z方向の端部にはギア145が取り付けられている。
このように、第1オーガ109は、現像スリーブ106Bの回転方向におけるトリマー108(図3参照)よりも上流側で現像スリーブ106Bと対向配置され、現像スリーブ106Bと回転軸方向(Z方向)が揃えられ、順搬送羽根109Bを回転して現像剤Gを回転軸方向に搬送すると共に現像スリーブ106Bに現像剤Gを供給するようになっている。
第2攪拌室124には、現像剤Gを攪拌しながら搬送する第2オーガ111が配置されている。第2オーガ111は、Z方向に沿って配置された回転軸111Aと、回転軸111Aの外周に支持された順搬送羽根111Bと、逆搬送羽根111Cとを有している。順搬送羽根111Bは、現像剤Gを+Z方向に搬送するために第1流入口132からから第2流入口133にかけて設けられている。
逆搬送羽根111Cは、第2流入口133付近に設けられており、現像剤Gを順搬送羽根111Bの搬送方向とは逆方向に搬送することによって、現像剤Gを第2攪拌室124から第1攪拌室123に流入させている。また、回転軸111Aは、前側壁103Gと後側壁103Hとによって回転可能に支持されており、回転軸111Aの+Z方向の端部にはギア146が取り付けられている。
現像ロール106のギア144は、第1オーガ109のギア145と中間ギア147を介して噛み合っており、ギア145は、第2オーガ111のギア146と噛み合っている。また、ギア144は、駆動源であるモータ(図示省略)の回転力が伝達されるように配置されている。
ここで、モータによってギア144が回転すると、ギア145はギア144と同方向である+R方向(図3における時計回り方向)に回転し、ギア146は逆方向である−R方向(図3における反時計回り方向)に回転する。即ち、第1オーガ109と第2オーガ111は、互いに逆方向に回転する。そして、第1オーガ109及び第2オーガ111の回転により、第1攪拌室123及び第2攪拌室124の現像剤Gが互いに逆方向に搬送され循環する。このとき、第1オーガ109の搬送する現像剤Gが現像ロール106に供給される。
続いて、図3に示すように、第1攪拌室123内の現像剤Gは、ピックアップ極S3によって現像スリーブ106B上に保持された状態で、現像スリーブ106Bの+R方向の回転により搬送される。そして、現像スリーブ106B上に保持された現像剤Gは、現像スリーブ106Bの外周面とトリマー108の先端部との間へ進入することで層の厚みが規制され、感光体42(図2参照)と対向する現像領域に搬送される。
トリマー108は、Z方向を長手方向とする板状の部材であり、Y方向からX方向へ僅かに傾いた方向を短手方向とすると共に、先端部(上端面108A)をシャフト106C側へ向けて配置されている。即ち、トリマー108は、Y方向において現像スリーブ106Bよりも下側に配置されており、現像スリーブ106Bを介して層形成極N2と対向配置され、現像スリーブ106Bの外周面の現像剤層の厚みを規制するようになっている。
次に、遮断ブロック110について説明する。
図5に示すように、現像ロール106と第1オーガ109との間には、現像ロール106に向かう現像剤Gの移動を遮る遮断ブロック110が配置されている。
遮断ブロック110は、一例として、X−Y断面の形状が台形状でZ方向に同じ断面形状で延びるブロック体で構成されており、平坦部103B上に下面が固定されて容器本体103と一体化されている。詳細には、遮断ブロック110は、+Z方向に見て(X−Y断面で見て)点F、G、H、Iで囲まれた台形状となっている。
台形FGHIにおいて、線分FIは、遮断ブロック110の下面に相当し、線分FG、線分IHは、線分FIに対してほぼ直角となる方向に立ち上げられた遮断ブロック110の左側面、右側面に相当する。そして、線分GHは遮断ブロック110の上面に相当する。線分FGの長さは、線分IHの長さよりも短くなっており、線分GHは点Hから点Gへ向けて斜め下方に傾斜している。
遮断ブロック110の左側面(線分FG)は、トリマー108のX方向右側面に隣接して配置されているが、トリマー108には固定されていない。また、遮断ブロック110の右側面(線分IH)は、第1オーガ109の順搬送羽根109Bの外周面と間隔をあけて配置されている。さらに、X−Y面において、点Gは、線分FGの延長方向におけるトリマー108の上端面108Aから距離hだけ下側に配置されている。そして、遮断ブロック110は、トリマー108に近い側である線分FGが、トリマー108から遠い側である線分IHに比べて、現像スリーブ106Bから離れて配置されている。そして、現像装置100には、遮断ブロック110とトリマー108とで、トリマー108の先端部(点Aを含む先端部)よりも現像スリーブ106Bから離れて現像スリーブ106B側へ開口する空間の一例としての現像剤循環室125が形成されている。詳細には、現像剤循環室125は、遮断ブロック110の上面と、トリマー108の右側面とで形成されており、さらに、現像スリーブ106Bの外周面で囲まれている。
一方、現像装置100をZ方向に見て、トリマー108の現像スリーブ106Bと対向する先端部中央(上端面108Aを二等分する点)を点A、層形成極N2の現像スリーブ106B側の先端部中央を点B、第1オーガ109の回転軸中心を点Cとする。なお、点Aの位置は先端部中央に限らず、上端面108A上の他の位置で設定してもよい。
また、点Aから順搬送羽根109Bの回転軌跡の外周に引いた接線のうちトリマー108に近い側の接線をL1(以後、仮想平面L1という)、点Bから第1オーガ109の外周面(順搬送羽根109Bの回転軌跡の外周)に引いた接線のうちトリマー108に近い側の接線をL2(以後、仮想平面L2という)、点Aと点Cとを結ぶ線分をL3(以後、仮想平面L3という)とする。なお、仮想平面L1と順搬送羽根109Bとの接点を点D、仮想平面L2と順搬送羽根109Bとの接点を点Eとする。
ここで、遮断ブロック110は、ハウジング102内において、仮想平面L1、L2、L3を横切って配置されている。
(比較例)
次に、遮断ブロック110が設けられていない第1比較例について説明する。
図6(A)に示すように、第1オーガ109が現像剤Gを搬送する場合、第1オーガ109が+R方向に回転すると、現像剤Gは、回転するらせん状の順搬送羽根109Bから力F1を受ける。即ち、順搬送羽根109Bは、現像剤Gに対して、軸方向である−Z方向に移動する力を与える一方で、周方向や回転軸109Aから離れる径方向に移動する力F1も与える。
従って、図6(B)に示すように、現像スリーブ106Bと第1オーガ109との間の現像剤Gには、周方向、径方向の力F1が作用する。即ち、現像スリーブ106Bと第1オーガ109との間の現像剤Gは、マグネットロール106A(図3参照)の磁力だけでなく、順搬送羽根109Bから現像スリーブ106Bに向かう方向の力F1も加わった力を受けた状態で、現像スリーブ106Bの外周面に保持される場合がある。このため、順搬送羽根109Bから力F1を受けた部分は、現像剤Gの量が多く保持され、あるいは現像剤Gの密度が部分的に高くなるなどして、現像スリーブ106Bの軸方向の現像剤Gの保持量にムラが生じる場合がある。
図8(A)に示すように、第1オーガ109が回転して現像剤Gを搬送する場合、順搬送羽根109Bに対して搬送方向下流側の部分では現像剤Gの量が少なくなり、順搬送羽根109Bに対して上流側の部分では現像剤Gの量が多くなり易い。このため、順搬送羽根109Bの1ピッチ(図示の距離W1)毎に現像剤Gの量が増減し、第1オーガ109の軸方向に沿って現像剤Gの剤面がZ方向で波状の凹凸となる場合がある。
この場合、第1オーガ109の軸方向の位置に応じて現像スリーブ106B(図5参照)の外周面に保持される現像剤Gの量が異なり易く、現像スリーブ106Bに保持された現像剤Gの量が軸方向に増減されてムラとなる(第1オーガ109における搬送方向下流側の現像剤Gの量が少ない部分が目立つ)。
このため、図8(C)に示すように、第1比較例の現像装置200における現像スリーブ106B上には、順搬送羽根109B(図8(A)参照)に応じた周期的な斜めの模様(現像剤の量が多い部位をG1、現像剤の量が少ない部位をG2とする)が形成されることになる。なお、第1比較例の現像装置200は、遮断ブロック110を除く他の構成については現像装置100と同様であるため、他の部位の図示を省略している。
このように、第1比較例において、現像スリーブ106B上に周期的な斜めの模様が形成された状態で感光体42(図2参照)上の潜像が現像されると、現像された画像及び記録用紙P上の画像にも周期的な斜めの濃淡、いわゆる、オーガマークが発生する場合がある。特に、濃度の薄い画像であるハーフトーン画像を印刷した場合に、このオーガマークが顕著となり易い。
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、各現像装置100では、第1オーガ109及び第2オーガ111が回転することにより、容器本体103(ハウジング102)に収容された現像剤Gが攪拌されながら搬送される。第1攪拌室123に搬送された現像剤Gは、現像スリーブ106Bに供給され、現像スリーブ106Bの外周面に保持される。そして、現像スリーブ106Bの外周面の現像剤Gは、トリマー108(図3参照)によって層の厚みが規制される。
ここで、図7に示すように、現像装置100では、現像スリーブ106Bと第1オーガ109との間に遮断ブロック110が配置されている。このため、第1オーガ109によって搬送されている現像剤Gは、順搬送羽根109Bから径方向に押されて(図6の力F1)現像スリーブ106B方向に移動しようとしても、遮断ブロック110によって移動を遮断される。即ち、現像剤Gに対して、第1オーガ109から現像スリーブ106Bに向かう方向に働く力は、遮断ブロック110に妨げられるので、現像スリーブ106B付近の現像剤Gは、第1オーガ109から現像スリーブ106Bへ向かう力を直接的には受けにくくなる。
詳細には、遮断ブロック110が仮想平面L1と交差しているので、第1オーガ109が+R方向に回転した場合、現像剤Gが、点Dを通過する順搬送羽根109Bから接線方向の力F2を受けてトリマー108側に向かって移動しようとしても、遮断ブロック110に移動を遮断される。
また、遮断ブロック110が仮想平面L2と交差しているので、第1オーガ109が+R方向に回転した場合、現像剤Gが、点Eを通過する順搬送羽根109Bから接線方向の力F3を受けさらにピックアップ極S3の磁力(引付力)を受けて、現像スリーブ106B側に向かって移動しようとしても、遮断ブロック110に移動を遮断される。
このように、現像装置100では、第1オーガ109による現像剤Gの変動の影響を受けにくくなり、現像剤Gがマグネットロール106Aの磁力のみで現像スリーブ106Bに保持され易くなる。そして、第1オーガ109からの力が加わって現像剤Gが現像スリーブ106B上に多く保持されることが抑制され、現像剤Gの密度が部分的に高くなることが抑制される。これにより、現像装置100では、図8(B)に示すように、第1オーガ109(図7参照)の回転により生じる現像スリーブ106B上の現像剤層のムラが抑制される。そして、現像スリーブ106B上の軸方向の現像剤層のムラが抑制されることから、図1に示す画像形成装置10では、記録用紙Pの搬送方向と交差する幅方向における現像剤像(トナー画像)のムラが抑制される。
図7に示すように、現像装置100では、遮断ブロック110が仮想平面L3と交差しているので、現像スリーブ106B付近の現像剤Gが仮想平面L3よりも下側における順搬送羽根109Bからの力を受けにくくなっているものの、仮想平面L3よりも上側における順搬送羽根109Bからの力F4は受ける。一方、その力F4の方向は、現像スリーブ106B及びトリマー108に向かう方向ではないので、現像スリーブ106B上の現像剤層のムラは抑制される。そして、仮想平面L3は第1オーガ109の回転軸109Aの中心を通って設定されているので、現像スリーブ106Bに向かう現像剤Gに影響しない領域まで必要以上に遮断することが抑制される。
また、現像装置100は、トリマー108が現像スリーブ106Bよりも下側に配置され、且つハウジング102内には、遮断ブロック110の上端部110A以上の高さまで現像剤Gが貯留されるようになっている(一例として、現像装置100には図示しないトナー補給センサが設けられており、現像剤Gの貯留量が管理されている)。このため、ハウジング102内の現像剤Gが消費された場合でも、遮断ブロック110の上端部110A以上の高さに現像剤Gが存在する。これにより、ピックアップ極S3周辺への現像剤Gの供給量の低下が抑制される。
さらに、現像装置100は、遮断ブロック110がハウジング102に一体化されているので、遮断ブロック110をハウジング102に固定しない構成に比べて、遮断ブロック110の剛性が上がる。また、遮断ブロック110の剛性が上がることから、遮断ブロック110とトリマー108とを接触させた場合は、トリマー108のゆがみが抑制され、現像ロール106の外周面とトリマー108の先端との間隔の変化が抑制される。
ここで、現像剤循環室125が形成されていない第2比較例について説明する。
図9(B)に示すように、第2比較例の現像装置210では、遮断ブロック110に換えて遮断ブロック212が設けられている。なお、第2比較例の現像装置210は、遮断ブロック212を除く他の構成については現像装置100と同様であるため、他の部位の図示を省略し、又は現像装置100と同じ部位について、現像装置100と同じ符号を付与して示している。
第2比較例の遮断ブロック212は、直方体を長手方向に見て、一方の上端角部を斜めに切り取った形状となっており、切り取った部位が傾斜面212Aとされている。傾斜面212Aは、トリマー108の上端面108Aの一端へ向けて斜め上方へ延びる面である。即ち、遮断ブロック212は、トリマー108に近い側がトリマー108から遠い側に比べて、現像スリーブ106Bに近づけて配置されている。なお、第2比較例の傾斜面212A上の空間は、開口を有していないので、本実施形態の現像剤循環室125(図9参照)とは異なる。
第2比較例の現像装置210では、図9(B)の左側に示すように、初期使用時において、遮断ブロック212の傾斜面212Aと現像スリーブ106Bとの間に存在する現像剤Gの流動性が上がっているため、トリマー108の上端面108Aと現像スリーブ106Bとの間の層規制部に向かって流れる現像剤Gの量が多くなる。このため、層規制部に作用する圧力が高まり、層規制部通過後の現像スリーブ106B上の現像剤Gの量が多くなる。
しかし、第2比較例の現像装置210では、図9(B)の右側に示すように、例えば数千枚分の現像後の使用時(経時)において、遮断ブロック212の傾斜面212Aと現像スリーブ106Bとの間に溜まった現像剤Gの一部が、流動せずに滞留して不動領域A2を形成する。このため、トリマー108の上端面108Aと現像スリーブ106Bとの間の層規制部に向かって流れる現像剤Gは、一方向のみの流れとなり、層規制部に作用する圧力が低下する。そして、現像スリーブ106B上の磁性キャリアCA(図3参照)の穂立ちの間隔が広がり、単位面積当たりの現像剤Gの密度が下がって、現像スリーブ106B上の現像剤Gの量が少なくなる。
一方、本実施形態の現像装置100は、図9(A)の左側に示すように、初期使用時において、遮断ブロック110の傾斜面110Bと現像スリーブ106Bとの間に存在する現像剤Gの一部である現像剤G´が、現像剤循環室125内でトリマー108の側面108Bに沿って移動して還流する。これにより、現像剤Gの流動性が上がっており、トリマー108の上端面108Aと現像スリーブ106Bとの間の層規制部に向かって流れる現像剤Gの量が多くなる。このため、層規制部に作用する圧力が高まり、層規制部通過後の現像スリーブ106B上の現像剤Gの量が多くなる。
さらに、現像装置100は、図9(A)の右側に示すように、現像剤循環室125が設けられているので、例えば数千枚分の現像後の使用時(経時)であっても、現像剤循環室125内に滞留する現像剤Gの量が少ない。このため、第2比較例の不動領域A2(図9(B)参照)に比べて不動領域A1は小さく、現像剤Gの流動性はよい。これにより、トリマー108の上端面108Aと現像スリーブ106Bとの間の層規制部に向かって流れる現像剤Gは、複数方向の流れとなり、層規制部に作用する圧力が高い状態で維持される。そして、現像スリーブ106B上の磁性キャリアCA(図3参照)の穂立ちの間隔が維持され、単位面積当たりの現像剤Gの密度が維持されることにより、層規制部通過後の現像スリーブ106B上の現像剤Gの量が多い状態で維持される。また、現像装置100では、経時において現像剤循環室125内の現像剤Gの流動性がよいことから、メンテナンスの頻度が第2比較例と比べて少なくて済む。
ここで、図10には、図5におけるトリマー108の先端から遮断ブロック110の点Gまでの距離hを、h1、h2、h3(h1<h2<h3)と変えていったときの、トリマー108通過後の現像スリーブ106B上の単位面積あたりの現像剤変化量(初期に対する経時(例えば数千枚分の画像形成後)での変化量)Δm1、Δm2、Δm3(絶対値では|Δm1|>|Δm2|>|Δm3|)の変化がグラフGAで示されている。図10に示すように、距離hが長くなり、現像剤循環室125(図5参照)が大きくなるほど、トリマー108通過後の現像スリーブ106B上の単位面積あたりの現像剤変化量が減少することが分かっている。なお、図10において、第2比較例(図9(B)参照)は、h=0で現像剤変化量Δm0(絶対値では|Δm0|>|Δm1|)となっており、本実施形態に比べて単位面積あたりの現像剤変化量が多いことが分かる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る現像装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図11には、第2実施形態の一例としての画像形成装置150及び現像装置160が示されている。画像形成装置150は、図1及び図2に示す第1実施形態の画像形成装置10において、原稿読取部18を除いて左右が反転され、且つ中間転写ベルト48の上側に感光体42、帯電ロール46、露光装置60、現像装置160、及びクリーニングロール54が配置された構成となっている。なお、画像形成装置150を構成する各ユニットは、現像装置160を除いて画像形成装置10とほぼ同様の構成のため、図示及び説明を省略する。
図11に示すように、現像装置160は、現像剤Gが収容された筐体の一例としてのハウジング162と、現像ロール166と、現像ロール166の外周面に保持された現像剤Gの層の厚みを規制するトリマー108と、現像剤Gを現像ロール166に供給する第1オーガ109と、第2オーガ111と、遮断部材の一例としての遮断ブロック170と、を有している。
ハウジング162は、容器本体163と、容器本体163の上部を塞ぐカバー部材164とを含んで構成されている。また、ハウジング162は、+Z方向に見て、左側に配置され現像ロール166が収容される現像ロール室172と、現像ロール室172の右側に設けられ第1オーガ109が収容される第1攪拌室173と、第1攪拌室173の下側で且つ現像ロール室172の右下側に設けられ第2オーガ111が収容される第2攪拌室174とを有している。第1攪拌室173と第2攪拌室174は、仕切壁163Aにより仕切られている。なお、容器本体163は、+Z方向及び−Z方向の端部に側壁が設けられているが、図示を省略している。また、仕切壁163Aの+Z方向端部、−Z方向端部には、第1攪拌室173と第2攪拌室174とを上下に接続する流入口(図示省略)が形成されている。
カバー部材164は、容器本体163に固定される右側壁164Aと、右側壁164Aの上端から左斜め上方へ延びる傾斜壁164Bと、傾斜壁164Bの上端に連続して水平に近づくように延びる上壁164Cとを有している。そして、上壁164Cの下面に遮断ブロック170の上面が固定されて一体化されている。また、カバー部材164の左端部には、トリマー108の上端部がネジ128で取り付けられている。
現像ロール166は、円柱状に形成され容器本体163にシャフト166Cを介して固定支持された磁力発生部の一例としてのマグネットロール166Aと、円筒状に形成されマグネットロール166Aの外側で回転可能に支持された現像剤保持体の一例としての現像スリーブ166Bとを有している。即ち、マグネットロール166Aは、現像スリーブ166Bの内側に配置されている。
マグネットロール166Aは、外周面(周方向)に沿って複数の磁極が設けられており、詳細には、シャフト166Cの軸方向(Z方向)に見て、第1オーガ109に近い右側から反時計回り方向に引付極の一例としてのピックアップ極NB、層形成極SB、搬送極NC、現像極SA、及びピックオフ極NAが設けられている。なお、ピックオフ極NAから現像極SAへ向けて、搬送極NCから現像極SA及び層形成極SBへ向けて、及びピックアップ極NBから層形成極SBへ向けて磁力線が生じているが、図示を省略している。
ここで、以後の説明では、マグネットロール166Aを軸方向に見たとき、上側の位置を12時、下側の位置を6時として、各磁極の位置を説明する。一例として、ピックアップ極NBは、ほぼ3時方向に配置されており、現像剤Gを引き付けて現像スリーブ166Bの外周面に保持させる。層形成極SBは、トリマー108の下端面108Cと対向してほぼ12時方向に配置されており、複数の磁性キャリアCA(図3参照)を穂立ちさせた状態で現像スリーブ166Bの外周面に保持させる。なお、本実施形態における層形成極SBの磁力は、通常設定される磁力(一例として80mT)よりも下げられている(低く設定されている)。これは、現像装置160の現像ロール166の駆動トルクを下げるためであり、また、層形成極SBの磁力を低磁力にして磁気吸引力を減らし、層形成中(層規制中)の現像剤Gへの負荷を低下させる狙いもある。
搬送極NCは、10時方向に配置されており、トリマー108通過後の現像剤Gを引き付けて現像スリーブ166Bの外周面に保持させる。現像極SAは、感光体42の外周面と対向して8時方向に配置されている。ピックオフ極NAは、5時方向に配置されており、ピックオフ極NAとピックアップ極NBとの間で現像剤Gを現像スリーブ166B上から剥離させる。
第1オーガ109は、−R方向に回転するようになっており、第2オーガ111は、+R方向に回転するようになっている。そして、仕切壁163Aの流入口(図示省略)を通って、現像剤Gが攪拌、搬送されるようになっている。
ここで、第1攪拌室173内の現像剤Gは、ピックアップ極NBによって現像スリーブ166B上に保持された状態で、現像スリーブ166Bの−R方向の回転により搬送される。そして、現像スリーブ166B上に保持された現像剤Gは、現像スリーブ166Bの外周面とトリマー108の下端面108Cとの間へ進入することで層の厚みが規制され、感光体42と対向する現像領域に搬送される。
次に、遮断ブロック170について説明する。
図11に示すように、現像ロール166と第1オーガ109との間には、現像ロール166に向かって移動する現像剤Gの移動を遮る遮断ブロック170が配置されている。
遮断ブロック170は、一例として、X−Y断面の形状が台形状でZ方向に同じ断面形状で延びるブロック体で構成されており、上壁164Cの下面に上面が固定されてハウジング162と一体化されている。
図12に示すように、遮断ブロック170は、+Z方向に見て(X−Y断面で見て)点F、G、H、Iで囲まれた台形状となっている。台形FGHIにおいて、線分FIは、遮断ブロック170の上面に相当し、線分FG、線分IHは、線分FIに対してほぼ直角となる方向に延びる遮断ブロック170の左側面、右側面に相当する。そして、線分GHは遮断ブロック170の下面に相当する。線分FGの長さは、線分IHの長さよりも短くなっており、線分GHは点Hから点Gへ向けて斜め上方に傾斜している。
遮断ブロック170の左側面(線分FG)は、トリマー108のX方向右側面に隣接して配置されているが、トリマー108には固定されていない。また、遮断ブロック170の右側面(線分IH)は、第1オーガ109の順搬送羽根109Bの外周面と間隔をあけて配置されている。さらに、X−Y面において、点Gは、線分FGの延長方向におけるトリマー108の下端面108Cから距離hだけ上側に配置されており、即ち、遮断ブロック170は、トリマー108に近い側である線分FGが、トリマー108から遠い側である線分IHに比べて、現像スリーブ166Bから離れて配置されている。そして、現像装置160には、遮断ブロック170とトリマー108とで、トリマー108の先端部(点Aを含む先端部)よりも現像スリーブ166Bから離れて現像スリーブ166B側へ開口する空間の一例としての現像剤循環室175が形成されている。詳細には、現像剤循環室175は、遮断ブロック170の下面と、トリマー108の右側面とで形成されており、さらに、現像スリーブ166Bの外周面で囲まれている。
一方、現像装置160を+Z方向に見て、トリマー108の現像スリーブ166Bと対向する先端部中央(下端面108Cを二等分する点)を点A、層形成極SBの現像スリーブ166B側の先端部中央を点B、第1オーガ109の回転軸中心を点Cとする。
また、点Aから順搬送羽根109Bの回転軌跡の外周に引いた接線のうち上側の接線をL4(以後、仮想平面L4という)、点Bから第1オーガ109の外周面(順搬送羽根109Bの回転軌跡の外周)に引いた接線のうち上側の接線をL5(以後、仮想平面L5という)、点Aと点Cとを結ぶ線分をL6(以後、仮想平面L6という)とする。なお、仮想平面L4と順搬送羽根109Bとの接点を点D、仮想平面L5と順搬送羽根109Bとの接点を点Eとする。ここで、遮断ブロック170は、ハウジング162内(図11参照)において、仮想平面L4、L5、L6を横切って配置されている。
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図11に示すように、現像装置160では、第1オーガ109及び第2オーガ111が回転することにより、ハウジング162に収容された現像剤Gが攪拌されながら搬送される。第1攪拌室173に搬送された現像剤Gは、現像スリーブ166Bに供給され、現像スリーブ166Bの外周面に保持される。そして、現像スリーブ166Bの外周面の現像剤Gは、トリマー108によって層の厚みが規制される。
ここで、図12に示すように、現像装置160では、現像スリーブ166Bと第1オーガ109との間に遮断ブロック170が配置されている。このため、第1オーガ109によって搬送されている現像剤Gは、順搬送羽根109Bから径方向に押されて現像スリーブ166B方向に移動しようとしても、遮断ブロック170によって移動を遮断される。即ち、現像剤Gに対して、第1オーガ109から現像スリーブ166Bに向かう方向に働く力は、遮断ブロック170に妨げられるので、現像スリーブ166B付近の現像剤Gは、第1オーガ109から現像スリーブ166Bへ向かう力を直接的には受けにくくなる。
詳細には、遮断ブロック170が仮想平面L4と交差しているので、第1オーガ109が−R方向に回転した場合、現像剤Gが、点Dを通過する順搬送羽根109Bから接線方向の力F5を受けてトリマー108側に向かって移動しようとしても、遮断ブロック170に移動を遮断される。
また、遮断ブロック170が仮想平面L5と交差しているので、第1オーガ109が−R方向に回転した場合、現像剤Gが、点Eを通過する順搬送羽根109Bから接線方向の力F6を受けさらにピックアップ極NBの磁力(引付力)を受けて、現像スリーブ166B側に向かって移動しようとしても、遮断ブロック170に移動を遮断される。
このように、現像装置160では、現像剤Gがマグネットロール166Aの磁力のみで現像スリーブ166Bに保持され易くなる。そして、第1オーガ109からの力が加わって現像剤Gが現像スリーブ166B上に多く保持されることが抑制され、現像剤Gの密度が部分的に高くなることが抑制される。これにより、現像装置160では、第1オーガ109の回転により生じる現像スリーブ166B上の現像剤層のムラが抑制される。そして、現像スリーブ166B上の軸方向の現像剤層のムラが抑制されることから、画像形成装置150では、記録用紙Pの搬送方向と交差する幅方向における現像剤像(トナー画像)のムラが抑制される。
さらに、現像装置160では、遮断ブロック170が仮想平面L6と交差しているので、現像スリーブ166B付近の現像剤Gが仮想平面L6よりも上側における順搬送羽根109Bからの力を受けにくくなっているものの、仮想平面L6よりも下側における順搬送羽根109Bからの力F7は受ける。しかし、力F7の方向は、現像スリーブ166B及びトリマー108に向かう方向ではないので、現像スリーブ166B上の現像剤層のムラは抑制される。そして、仮想平面L6は第1オーガ109の回転軸109Aの中心を通って設定されているので、現像スリーブ166Bに向かう現像剤Gに影響しない領域まで遮断ブロック170が必要以上に遮断することが抑制される。
加えて、図11に示すように、現像装置160は、遮断ブロック170がハウジング162に一体化されているので、遮断ブロック170をハウジング162に固定しない構成に比べて、遮断ブロック170の剛性が上がる。また、遮断ブロック170の剛性が上がることから、遮断ブロック170とトリマー108とを接触させた場合は、トリマー108のゆがみが抑制され、現像ロール166の外周面とトリマー108の下端との間隔の変化が抑制される。
また、現像装置160は、現像剤循環室175が形成されているため、現像剤循環室175内で現像剤Gが還流する。これにより、現像剤Gの流動性が上がっているため、例えば数千枚分の現像後の使用時(経時)であっても、現像剤循環室125内に滞留する現像剤Gの量が少なくなる。このため、トリマー108の下端面108Cと現像スリーブ166Bとの間の層規制部に作用する圧力が高い状態で維持される。そして、現像スリーブ166B上の磁性キャリアCA(図3参照)の穂立ちの間隔が維持され、単位面積当たりの現像剤Gの密度が維持されることにより、層規制部通過後の現像スリーブ166B上の現像剤Gの量が多い状態で維持される。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
遮断ブロック110、170の傾斜面は、平面に限らず、現像剤Gを還流させる方向に沿って湾曲する湾曲面であってもよい。また、遮断ブロック110、170の側面についても、湾曲面で構成してもよい。さらに、遮断ブロック110、170の先端部は、鋭角なものに限らず、曲面で構成されていてもよい。加えて、遮断ブロック110、170を別体で製造してハウジング102、162に固定するものに限らず、遮断ブロック110、170を初めからハウジング102、162と一体で形成(成形)してもよい。
また、遮断ブロック110、170の現像スリーブ106Bと対向する対向部(対向面)を現像スリーブ106Bへ向けて開口する凹部として形成して、現像剤循環室を形成してもよい。即ち、遮断ブロック110、170単独で現像剤循環室を形成してもよい。