ここで、好適には、ロックアップクラッチのロックアップオンとは、ロックアップクラッチが完全係合される状態に対応し、ロックアップオフとは、ロックアップクラッチが完全解放すなわちトルク容量がゼロである状態に対応している。また、ロックアップクラッチのスリップ状態とは、入力側回転部材と出力側回転部材とが所定の回転速度差を伴ってトルク伝達可能な状態に対応している。
また、好適には、燃費とは単位燃料消費量あたりの走行距離等であり、燃費の向上とはその単位燃料消費量あたりの走行距離が長くなることであり、或いは、車両全体としての燃料消費量(=燃料消費量/駆動輪出力)が小さくなることである。
また、好適には、エンジンの動作点とは、そのエンジンの回転速度およびトルクなどで示されるエンジンの作動状態を示す動作点である。言い換えれば、そのエンジンの回転速度を示す軸とそのエンジンのトルクを示す軸との2次元座標における一点で示されるエンジンの作動状態である。
また、好適には、車両用駆動装置は、前記第1電動機および前記第2電動機の各々と電力授受可能に接続された蓄電装置を備えており、その第1電動機が発電した電力からその蓄電装置に充電される電力を差し引いた残部を第2電動機に供給してその第2電動機を駆動する。
また、好適には、電気パス量が第1電動機によって回生(発電)され、回生された電力を利用して第2電動機によって駆動輪に伝達されるパワーに対応し、機械パス量がトルクコンバータを介して駆動輪に伝達されるパワーに対応している。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の車両8を構成する車両用駆動装置10の構成を説明する骨子図である。図1において、車両用駆動装置10は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式の車両に好適に採用されるものであり、内燃機関であるエンジン12と、そのエンジン12のクランク軸14に連結されたトルクコンバータ(流体伝動装置)16と、そのトルクコンバータ16と駆動輪26(図5参照)との間に配設されてトルクコンバータ16の出力側に連結された自動変速機18と、エンジン12とトルクコンバータ16との間に配設されてクランク軸14に連結された第1電動機MG1と、トルクコンバータ16と自動変速機18との間に配設されて自動変速機18の入力軸20に連結された第2電動機MG2とを備えている。
トルクコンバータ16は、エンジン12からの動力が入力される入力側回転部材であるポンプ翼車16pと、駆動輪26へ動力を出力する出力側回転部材であるタービン翼車16tと、ステータ翼車16sと、一方向クラッチF1とを備えた流体伝動装置である。そのポンプ翼車16pすなわちポンプインペラは、エンジン12のクランク軸14と第1電動機MG1とに連結されており、そのエンジン12により回転駆動されることによってトルクコンバータ16内の作動油の流動による流体流を発生させる。タービン翼車16tすなわちタービンランナは、自動変速機18の入力軸20に連結されており、上記ポンプ翼車16pからの流体流を受けて回転させられる。ステータ翼車16sは、上記ポンプ翼車16pからタービン翼車16tへの流体流中に配設され、一方向クラッチF1によってクランク軸14の正回転方向(エンジン12作動時のクランク軸14の回転方向)に回転可能且つ負回転方向に回転不能に支持されている。上記自動変速機18の入力軸20は、トルクコンバータ16の出力軸すなわちタービン軸としても機能するものである。図1から判るように本実施例では、エンジン12と第1電動機MG1とポンプ翼車16pとは直列に連結されているので、ポンプ翼車16pの回転速度Np(以下、ポンプ回転速度Npという)は第1電動機MG1の回転速度Nmg1(以下、第1電動機回転速度Nmg1という)およびエンジン12の回転速度Ne(以下、エンジン回転速度Neという)と同じである。また、タービン翼車16tと第2電動機MG2と自動変速機18の入力軸20とは直列に連結されているので、タービン翼車16tの回転速度Nt(以下、タービン回転速度Ntという)は第2電動機MG2の回転速度Nmg2(以下、第2電動機回転速度Nmg2という)および入力軸20の回転速度Natin(以下、変速機入力回転速度Natinという)と同じである。
また、トルクコンバータ16は、上記ポンプ翼車16pとタービン翼車16tとの間を選択的に連結するロックアップクラッチLCを備えている。このロックアップクラッチLCは、油圧制御回路90(図5参照)からの作動油で作動し、完全係合状態(ロックアップオン状態)、スリップ状態、および解放状態(ロックアップオフ状態)の何れか1の状態に制御される。ロックアップクラッチLCがロックアップオフとされた場合には、上記のようにクランク軸14と入力軸20との間のトルク伝達がトルクコンバータ16内の作動油を介して行われる。そして、ロックアップクラッチLCがロックアップオンとされた場合には、ロックアップクラッチLCがポンプ翼車16pとタービン翼車16tとを機械的に直結するので、エンジン12のクランク軸14と自動変速機18の入力軸20とが相互に一体的に連結されて、それらクランク軸14と入力軸20との間のトルク伝達がトルクコンバータ16内の作動油を介さずに直接的に行われる。
第1電動機MG1は、エンジン12のクランク軸14に例えば脈動を吸収するダンパ等を介して直列に連結されており、トルクコンバータ16のポンプ翼車16pに直接連結されている。要するに、第1電動機MG1はエンジン12とトルクコンバータ16との間の動力伝達経路に連結されている。また、第2電動機MG2は、トルクコンバータ16と駆動輪26との間の動力伝達経路に連結されており、詳細には、自動変速機18等を介して間接的に駆動輪26に連結されている。第1電動機MG1および第2電動機MG2は、駆動トルクを発生させる電動モータとしての機能と回生トルクを発生させる発電機としての機能とが選択的に得られるように構成された回転機であって、例えば交流同期型のモータジェネレータにより構成される。また、バッテリである蓄電装置36と電動機MG1、MG2を制御する為のインバータ38とが車両用駆動装置10に設けられており(図5参照)、その蓄電装置36と第1電動機MG1と第2電動機MG2とは相互に電力授受可能に接続されている。上記第1電動機MG1および第2電動機MG2はそれぞれ、その駆動によってクランク軸14および入力軸20に正回転方向の駆動トルクを付与することができる。また、第1電動機MG1および第2電動機MG2はそれぞれ、その発電(回生)によってクランク軸14および入力軸20に負回転方向の負荷トルクすなわち制動トルク(回生トルク)を付与すると共に、車両に設けられた蓄電装置36をインバータ38を介して充電することができる。なお、上記クランク軸14および入力軸20の正回転方向とは、エンジン12の駆動時におけるクランク軸14の回転方向であり、上記負回転方向とはその正回転方向とは逆向きの回転方向である。
自動変速機18は、トルクコンバータ16と駆動輪26との間に介装されており、第2電動機MG2と駆動輪26との間の動力伝達経路の一部を構成する機械式変速機である。具体的に、自動変速機18は、非回転部材であるトランスミッションケース24内に、第1遊星歯車装置30、第2遊星歯車装置32および複数の油圧式摩擦係合装置C1、C2、C3、B1、B2を備えた公知の遊星歯車式多段変速機である。自動変速機18は、入力回転部材である入力軸20に入力されたエンジン12の動力を出力軸22から駆動輪26に向けて出力する。そして、この自動変速機18においては、公知の各油圧式摩擦係合装置(クラッチC1、C2、C3、ブレーキB1、B2)が図2に示す所定の作動表に従って油圧制御回路90(図5参照)からの作動油でそれぞれ係合又は解放されることにより、自動変速機18の変速比γat(=変速機入力回転速度Natin/出力軸22の回転速度Nout)がそれぞれ異なる複数の変速段が択一的に成立させられる。図2において、「○」は係合状態を、空欄は解放状態をそれぞれ示している。また、この自動変速機18の自動変速制御は、例えば図3に示すような例えば車速Vとアクセル開度Accから構成される、予め記憶されたアップシフト線およびダウンシフト線を有する公知の関係(変速線図、変速マップ)に従って実行される。
以上のように構成された車両用駆動装置10においては、車両の走行状態に応じて、エンジン12の動力により車両を走行させるエンジン走行と第2電動機MG2の動力により車両を走行させるモータ走行とが切り換えられて作動させられるようになっている。上記エンジン走行とモータ走行との切り換えは、例えば図3に示すような前記変速線図と同様の二次元座標内において予め定められて記憶されたエンジン走行領域およびモータ走行領域を有する公知の関係(駆動力源切換線図、駆動力源切換マップ)に従って実行される。このように、本実施例の車両はエンジン走行とモータ走行とが切り換えられるハイブリッド車両である。
なお、車両用駆動装置10では、例えば、車両の走行状態がモータ走行領域に属していても蓄電装置36の充電状態(充電容量、充電残量)SOC(state of charge)が所定値以下である場合にはエンジン走行が行われる。また、車両の急発進時や急加速時などにはエンジン12および第2電動機MG2の両方の出力が用いられて車両が走行させられる等の制御が適宜行われる。また、一般的に、エンジン12は比較的低回転高負荷領域で運転させた方が効率が良く、第2電動機MG2は比較的高回転低負荷領域で運転させた方が効率が良い。その為、図3に示されるように、モータ走行領域においてモータ走行する際にはエンジン走行するときと比較して同じ走行状態でもより低車速側のギヤ段が用いられるように、モータ走行時とエンジン走行時とでは異なる変速線が設定されている。
図4は、車両用駆動装置10を制御するための制御装置である電子制御装置40の概略構成と、その電子制御装置40に対する入出力信号とを説明するための図である。図4において、電子制御装置40は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御、自動変速機18の変速制御、および電動機MG1、MG2の出力制御、およびロックアップクラッチLCのトルク容量制御などを実行する。具体的に、電子制御装置40は、相互に連携した複数のECU、すなわち、車両用駆動装置10の走行全体を制御するHVECUと、第1電動機MG1および第2電動機MG2の駆動制御を行うMGECUと、エンジン12の駆動制御を行うエンジンECUと、自動変速機18の変速制御を行う変速機ECUとを含んで構成されている。なお、これらは必ずしも別個に構成される必要はなく、1つのECUで構成されていても構わない。
また、図4に示すように、電子制御装置40には、エンジン回転速度センサ42からエンジン回転速度Neを表す信号、第1電動機回転速度センサ44から第1電動機回転速度Nmg1を表す信号、タービン回転速度センサ46からタービン回転速度Ntを表す信号、第2電動機回転速度センサ48から第2電動機回転速度Nmg2を表す信号、車速センサ50から車速Vに対応する出力軸22の回転速度である変速機出力回転速度Noutを表す信号、ステータ回転速度センサ51からステータ回転速度Nsを表す信号、アクセル開度センサ52からアクセル開度Accを表す信号、油温センサ56からトルクコンバータ16および自動変速機18などを作動させる為の作動油の温度である作動油温THoilを表す信号、バッテリセンサ58から蓄電装置36のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbatを表す信号、登坂検出センサ59から登坂信号Lなどがそれぞれ供給される。また、電子制御装置40からは、第1電動機MG1の駆動電流、第2電動機MG2の駆動電流、エンジン12の電子スロットル弁の開度θth(以下、スロットル弁開度θthという)、自動変速機18が有するクラッチC1、C2、C3を係合させる各クラッチ油圧、自動変速機18が有するブレーキB1、B2を係合させる各ブレーキ油圧、ロックアップクラッチLCを係合させるロックアップクラッチ油圧PLUなどを表す各種出力信号(例えばエンジン出力制御信号、電動機出力制御信号、油圧制御信号など)が各装置(例えばエンジン12、インバータ38、油圧制御回路90など)にそれぞれ供給される。なお、電子制御装置40は、例えば上記バッテリ温度THbat、バッテリ充放電電流Ibat、およびバッテリ電圧Vbatなどに基づいて蓄電装置36の充電容量SOCを逐次算出する。
ところで、本実施例の車両用駆動装置10では、図示しない予め設定されて記憶されているロックアップクラッチの作動状態を規定する作動マップに基づいてロックアップクラッチLCの作動状態(係合状態)が切り換えられる。ここで、ロックアップクラッチLCがロックアップオン状態で走行中に、例えば自動変速機18の変速指令が出力されると、一端、ロックアップクラッチLCが解放された後に変速が実行される。また、例えばこもり音が発生するエンジン12の作動領域となるとこもり音を防止するためにロックアップクラッチLCを一時的に解放する制御が実行されることがある。或いは、作動油の温度である作動油温THoilが低温となると、トルクコンバータ16の作動油を攪拌して作動油温THoilを上昇させるためにロックアップクラッチLCが解放されることがある。このようなロックアップクラッチLCの解放時には、ロックアップクラッチLCのトルク容量が低下することとなるが、ロックアップクラッチLCのトルク容量が低下するに従ってエンジン12が吹き上がってエンジン回転速度Neが上昇(変化)する。このエンジン回転速度Neの変化量が大きくなると、運転者に違和感を与える可能性があった。
そこで、本実施例の電子制御装置40は、ロックアップクラッチLCの係合状態をロックアップオンからロックアップオフ乃至スリップ状態へ切り換える際には、その切換中に生じるエンジン回転速度Neの変化を抑制するように、第1電動機MG1および第2電動機MG2(主に第1電動機MG1)を用いて制御する。
図5は、電子制御装置40の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図5において、変速制御部70は、例えば図3に示すような予め記憶されたアップシフト線およびダウンシフト線を有する公知の関係(変速線図、変速マップ)から、実際のアクセル開度Accおよび車速Vに基づいて自動変速機18の変速判断を行い変速制御を実行する。
ロックアップ制御部72は、例えば予め設定されているロックアップクラッチLCの作動状態を規定する作動マップに基づいてロックアップクラッチLCの作動状態を制御する。また、ロックアップ制御部72は、ロックアップクラッチLCの係合領域であっても、例えば自動変速機18の変速指令が出力された際には、ロックアップクラッチLCを一時的に解放(ロックアップオフ)する制御を実行する。また、ロックアップ制御部72は、こもり音が発生しやすい走行状態となった場合や作動油の作動油温THoilが低温となり、トルクコンバータ16の作動油を攪拌して作動油温THoilを上昇させる必要が生じた場合などにおいてもロックアップクラッチLCを解放する制御を実行する。ロックアップ制御部72は、ロックアップクラッチLCの解放乃至スリップ制御を実行する指令を受けると、ロックアップクラッチLCのロックアップクラッチ油圧PLUを低下させる指令を油圧制御回路90に出力する。
ロックアップ切換判定部74は、ロックアップクラッチLCの作動マップに基づいてロックアップクラッチLCの作動状態を切り換える必要が生じたか否か、図3の変速マップに基づいて自動変速機18の変速指令が出力されたか否か、こもり音が発生しやすい運転状態になったか否か、作動油温THoilが予め設定されている閾値以下となった否か等に基づいてロックアップクラッチLCの作動状態を切り換えるか否かの判定を行う。
エンジン動作点制御部76は、ロックアップクラッチLCをロックアップオフに切り換える過渡期において、第1電動機MG1のトルクTmg1(回生トルクTmg1)を制御することで、エンジン回転速度Neの変化を抑制する。以下、ロックアップクラッチLCがロックアップオン状態での走行中に、例えば自動変速機18のアップシフト指令が出力されることで、ロックアップクラッチLCをロックアップオフ状態へ切り換える場合を一例に、上記エンジン動作点制御部76の作動制御について説明する。
ロックアップクラッチLCがロックアップオンされた状態での走行中、変速制御部70に基づいて自動変速部18のアップシフトが判断されると、それに基づいてロックアップ切換判定部74がロックアップクラッチLCを解放する判定を行い、自動変速部18の変速に先だってロックアップ制御部72にロックアップクラッチLCを解放する指令を出力する。この指令を受けて、ロックアップ制御部72は、ロックアップクラッチLCのトルク容量を低下させる、すなわちロックアップクラッチLCのロックアップクラッチ油圧PLUを低下させる指令を油圧制御回路90に出力する。このとき、従来であればロックアップクラッチLCのトルク容量が低下するに従って、エンジン12が吹き上がってエンジン回転速度Neが上昇するため、運転者に違和感を与えることがあった。
これに対して、エンジン動作点制御部76は、ロックアップクラッチLCのトルク容量に応じて第1電動機MG1のトルクTmg1を変更してエンジン回転速度Ne(エンジン動作点)の変動を抑制する。さらに具体的には、ロックアップクラッチLCのトルク容量が低下する程、第1電動機MG1の回生トルクTmg1を増加させることで、エンジン12の吹き上がりを抑制する。図6は、ロックアップクラッチLCのトルク容量に対する電気パス量および機械パス量の割合を示している。図6において、横軸がロックアップクラッチLCのトルク容量を示し、縦軸がエンジン出力に対する機械パス量と電気パス量の割合を示している。なお、電気パス量が第1電動機MG1によって回生(発電)され、第2電動機MG2によって駆動輪26に伝達されるパワーに対応し、機械パス量がトルクコンバータ16を介して駆動輪26に伝達されるパワーに相当している。すなわち、車両用駆動装置10は、エンジン12のパワーを駆動輪26に伝達する経路として、トルクコンバータ16を介して伝達する機械パスと、第1電動機MG1によって回生された電力を用いて第2電動機MG2によって伝達するとが設けられており、運転者の要求駆動力をこれら機械パスと電気パスとによって伝達する。図6に示すように、ロックアップクラッチLCのトルク容量が低下するに従って、エンジン出力に対する電気パス量すなわち第1電動機MG1の回生トルクTmg1の割合が増加している。このようにロックアップクラッチLCのトルク容量が低下するに従って、第1電動機MG1の回生トルクTmg1が増加するため、エンジン12の吹き上がりに寄与するトルクがロックアップクラッチLCのトルク容量の低下に従って増加しても、第1電動機MG1のトルクTmg1が増加して相殺されるので、エンジン回転速度Neの変化が抑制される。
そして、ロックアップクラッチLCが完全に解放(ロックアップオフ)されると、エンジン動作点制御部76は、エンジン12の動作点がそのエンジン12の予め設定されている燃費最適点となるように制御する。図7は、第1電動機MG1を制御することによりエンジン動作点が任意に変化させられることを説明する為の図である。図7に示すように、トルクコンバータ16の速度比e(=Nt/Np)に応じてポンプ翼車16pに生じる入力側負荷トルクであるポンプトルクTpは、ある一定のタービン回転速度Ntの下では、例えば破線L01で示すようなエンジン回転速度Neとの関係になる。その破線L01で示すポンプトルクTpとエンジン回転速度Ne(=Np)との関係は、上記速度比eの関数であるトルクコンバータ16の容量係数τを用いて表せば、「Tp=τ×Ne2」という式が成立する関係である。従って、図7に示すように、ポンプトルクTpはエンジン回転速度Neが高いほど大きくなる。図7の実線L03は、必要エンジンパワーPe*すなわちエンジン出力Pe(単位は例えばkW)の目標値である目標エンジン出力Pe*をある一定値としエンジン出力Peがその目標エンジン出力Pe*に収束するように制御されたときのエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとの関係を示す等パワー曲線である。図7にはエンジン動作点がその等パワー曲線(実線L03)上で任意に設定される例が示されている。図7において、ポンプトルクTpとエンジン回転速度Neとの関係が破線L01で示され且つエンジン出力Peが実線L03で示す目標エンジン出力Pe*にされる場合には、第1電動機MG1の出力トルクTmg1(以下、第1電動機トルクTmg1という)が発生させられないとすればエンジン動作点は点P02になり、第1電動機MG1を発電(回生)動作させ第1電動機トルクTmg1を負回転方向にTG03だけ発生させればエンジン動作点は点P03になり、第1電動機トルクTmg1の絶対値をさらに引き上げて第1電動機トルクTmg1を負回転方向にTG04だけ発生させればエンジン動作点は点P04になる。
要するに、本実施例の車両用駆動装置10では、エンジントルクTeと第1電動機トルクTmg1との和がポンプトルクTpと釣り合うように、すなわち「Tp=Te+Tmg1(図5のTmg1は負の値)」という関係が成立するように、第1電動機トルクTmg1が調節されることで、エンジン動作点をタービン回転速度Ntに拘束されることなく任意に変化させることが可能である。このように第1電動機MG1を発電動作させる場合には、その第1電動機MG1によって発電された電力は蓄電装置36に充電されてもよいが、基本的には第2電動機MG2に供給されて第2電動機MG2が駆動される。すなわち、車両用駆動装置10は、エンジン12と駆動輪26との間において、第1電動機MG1と第2電動機MG2との間での電力授受により電気的に動力(単位は例えばkW)が伝達される電気経路(電気パス)と、トルクコンバータ16を介して機械的に動力が伝達される機械経路(機械パス)という互いに並列である2つの動力伝達経路を備えている。そして、上述したように第1電動機トルクTmg1の調節によりエンジン動作点をタービン回転速度Ntに拘束されることなく連続的に変更できるので、第1電動機MG1と第2電動機MG2とトルクコンバータ16とは全体として、実質的に変速比(=Ne/Nt)を無段階に変化させる無段変速動作を行うことができ、無段変速機60を構成していると言える。
図8は、自動変速機18のアップシフト時のエンジン12の動作点の変化を示す図である。図8の実線L03は、図7と同様に等パワー曲線を示している。二点鎖線で示すエンジン最少燃料消費率線LFLは、エンジン12の燃料消費率が最小となるように予め実験的に定められたエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとの関係を表すエンジン12の動作曲線であり、言い換えれば、エンジン12の燃費向上に最適な動作点である燃費最適点の連なりである。従って、エンジン12をこのエンジン最少燃料消費率線LFL上の動作点Po5で作動させることで、燃費が向上する。破線L04および一点鎖線L05は何れもポンプトルクTpとエンジン回転速度Neとの関係を表す曲線であるが、破線L04は、一点鎖線L05よりも自動変速機18のギヤ段が高車速側のギヤ段である場合を表している。また、自動変速機18のギヤ段が高車速側であるほどタービン回転速度Ntが低くなってトルクコンバータ16の速度比eが小さくなるので、目標エンジン動作点を動作点P05とする場合、破線L04に対応する速度比e1の方が一点鎖線L05に対応する速度比e2よりも小さくなる。
ここで、動作点aは、ロックアップクラッチLCがロックアップオンされた状態で低車速側ギヤ段(例えば2nd)走行中に高車速側ギヤ段(例えば3rd)に変速する指令が出力された直後のエンジン12の動作点を示している。また、動作点bは、高速側ギヤ段の変速後(ロックアップオン)のエンジン12の動作点を示している。エンジン動作点制御部76は、動作点aの状態からロックアップクラッチLCのトルク容量を低下する制御が開始されると、前述したようにそのトルク容量の低下に応じて第1電動機MG1の回生トルクTmg1を増加させる。すなわち、すなわち、ロックアップオフ時にロックアップオン時よりも電気パスにより伝達されるパワーを増加させて機械パスにより伝達されるパワーを低減する。これより、エンジン12の動作点が動作点aのままで保持される。
そして、ロックアップクラッチLCが解放(ロックアップオフ)されると、エンジン動作点制御部76は、第1電動機MG1の回生トルクTmg1を更に増加させて運転者の要求駆動力を満たしつつエンジン12の動作点をエンジン12の燃費最適点となる動作点P05に変更する。このとき、変速開始直後においては、自動変速機18が低速側ギヤ段のままであるので、動作点P05に基づく速度比eはe2となり、図8に示す速度比e2に基づく第1電動機MG1の回生トルクTmg1(図8において第1電動機トルク)が出力される。一方、自動変速機18の変速が進行して高車速側ギヤ段(3rd)となると、動作点P05に基づく速度比eはe1となり、図8に示す速度比e1に基づく第1電動機MG1の回生トルクTmg1が出力される。従って、高速側ギヤ段への変速が進行するに従って、第1電動機MG1の回生トルクTmg1が減少することとなる。自動変速機18の変速が完了すると、ロックアップクラッチLCをロックアップオンに切り換えるため、ロックアップクラッチLCのロックアップクラッチ油圧PLUが上昇させられ、ロックアップクラッチLCが完全係合されると動作点bとなる。このとき、エンジン動作点制御部76は、ロックアップクラッチLCのトルク容量の増加に従って、第1電動機MG1の回生トルクTmg1を減少させ、動作点bでは回生トルクTmg1がゼロとなる。
ここで、燃費最適点である動作点P05が、変速終了後(ロックアップクラッチオン時)の動作点bに対して乖離が大きい場合には、ロックアップクラッチLCの係合時にショックが発生する可能性が生じる。そこで、前記乖離が大きい場合には、エンジン12の動作点を動作点P05に変更することなく、直接動作点aから動作点bに移動するように、第1電動機MG1を制御しても構わない。具体的には、動作点P05から動作点bに移動させる際のエンジン回転速度Neの変化量ΔNe、或いはエンジントルクTeの変化量ΔTeが予め設定される閾値αを超える場合には、エンジン動作点を動作点P05を介すことなく直接動作点bに変更する。これより燃費は低下するものの、ロックアップクラッチ係合時のショックが抑制される。なお、閾値αは、予め実験等によって求められ、ロックアップクラッチ係合時に発生するショックが運転者に伝達されない程度の大きさとなる値に設定されている。
また、このエンジン動作点を動作点P05に移動するか否かを判断する上記閾値αは、例えばアクセル開度Accに応じて変更しても構わない。アクセル開度Accが大きい場合には、変速時に発生するエンジン回転速度変化が大きくなるので、運転者のショックに対する感度も低下し、エンジン回転変動に対する許容度が大きくなる。従って、アクセル開度Accが大きくなるに従って、乖離量の許容が大きくなる、すなわち前記閾値αが大きくなるように設定しても構わない。同様に、エンジン動作点を動作点P05に移動するか否かを判断する上記閾値αを、車速Vに応じて変更しても構わない。車速Vが大きい場合にも同様に、変速時に発生するエンジン回転速度変化が大きくなるので、運転者のショックに対する感度も低下し、エンジン回転変動に対する許容度が大きくなる。従って、車速Vが大きくなるに従って、乖離量の許容が大きくなる、すなわち前記閾値αが大きくなるように設定しても構わない。
また、このエンジン動作点を動作点P05に変更するか否かを、エンジン12の効率を優先させるか、或いは、ドライバビリティ(運転性)を優先させるかに基づいて決定することもできる。例えばエンジン12の効率を優先させる場合には、第1電動機MG1および第2電動機MG2を制御して運転者の要求駆動力をみたしつつ、エンジン12の動作点を予め設定されている燃費最適点に変更する。一方、ドライバビリティを優先する場合には、燃費最適点に変更することなく第1電動機MG1によってエンジン回転速度Neの変化量を抑制する。これより、エンジン回転速度Neの変化が抑制されてドライバビリティの低下が抑制される。ここで、エンジン効率を優先させる場合およびドライバビリティを優先させる場合の判断を、例えば燃費を優先するモードであるエコモードが選択されているか否か、および走行性を優先するスポーツモードが選択されているか否かに基づいて判断することができる。例えば運転者がエコモードを選択している場合にはエンジン効率が優先され、エンジン動作点制御部76は、エンジン12の動作点を燃費最適点に変更する。一方、スポーツモードを選択している場合にはドライバビリティが優先され、エンジン動作点制御部76は、第1電動機MG1によってエンジン回転速度Neの変化量を抑制する。なお、エコモードやスポーツモードの具体的な内容については公知であるためその説明を省略する。このように、エンジン動作点制御部76は、選択されている走行モードに基づいて、エンジン効率を優先させる場合およびドライバビリティを優先させる場合の何れであるかを判断し、それに応じてエンジン12の動作点を適宜変更する。なお、ドライバビリティ(運転性)とは、運転者の意図にかなった応答性や円滑性が得られるかどうかのフィーリングに相当する。
図9は、ロックアップクラッチLCがロックアップオン状態で第2速ギヤ段(2nd)で走行中に、第3速ギヤ段(3rd)の変速(等パワー変速)が実行されたときの電子制御装置40の制御作動を説明するタイムチャートである。
先ず、t1時点において、第2速ギヤ段2ndから第3速ギヤ段3rdへの変速指令が出力されると、電子制御装置40(ロックアップ制御部72、ロックアップ切換判断部74)は、所定の遅れ時間が経過した後、t2時点においてロックアップクラッチLCのトルク容量を低下する制御を開始する。これと同時に、電子制御装置40(エンジン動作点制御部76)は、エンジン12の動作点を変化させないように、ロックアップクラッチLCのトルク容量の低下に従って、第1電動機MG1の回生トルクTmg1を増加する。すなわち、ロックアップオフ時にロックアップオン時よりも電気パスにより伝達されるパワーを増加させて機械パスにより伝達されるパワーを低減する。また、第1電動機MG1によって発電(回生)された電力は、第2電動機MG2に供給されて第2電動機MG2から駆動トルクTmg2が出力される。これより、t2時点〜t3時点において、ロックアップクラッチLCのトルク容量の低下に従って、第1電動機MG1の回生トルクTmg1が増加することで、エンジン回転速度Neが一定に維持されている。なお、このt1時点〜t3時点が図8の動作点aの状態に対応している(図9に示すフェーズ1)。
t3時点においてロックアップクラッチLCの油圧PLUがゼロとなり、ロックアップクラッチLCが完全解放(ロックアップオフ)されると、電子制御装置40(エンジン動作点制御部76)は、第1電動機MG1の回生トルクTmg1を更に増加して、エンジン12の動作点をエンジン12の燃費が向上する燃費最適点に移動させる(フェーズ2)。これより、エンジン回転速度Neが低下している。また、これに従って、第2電動機MG2による放電量も増加することとなる。このt3時点〜t4時点が図8の動作点aから動作点P05へ移動する作動制御に対応している。t4時点においてエンジン12の動作点が燃費最適点(図8の動作点P05)となると、電子制御装置40(エンジン動作点制御部76)は、変速が終了するまでの間、エンジン12をその燃費最適点P05で維持させる。t5時点において、電子制御装置40(変速制御部70)は、自動変速機18の油圧制御を開始する。変速が進行し、t6時点においてイナーシャ相が開始されると、等パワー変速であるため第2電動機回転速度Nmg2が低下する。t6時点〜t7時点がイナーシャ相に対応している。このt6時点〜t7時点においては第2電動機回転速度Nmg2が減少するに従って、電子制御装置40(エンジン動作点制御部76)は、その第2電動機回転速度Nmg2の減少すなわち速度比eの変化(e2〜e1への変化)に応じて第1電動機MG1の回生トルクTmg1を減少させており、エンジン12が動作点P05のままで維持されている(フェーズ3)。
t7時点において、自動変速機18の変速終期すなわちイナーシャ相の終了が判断されると、電子制御装置40(変速制御部70)は、自動変速機18の係合される側の係合装置であるクラッチC2の係合油圧Pc2を引き上げて完全係合させる。t8時点において、クラッチC2の係合油圧Pc2の引き上げが完了すると、電子制御装置40(ロックアップ制御部74)は、ロックアップクラッチLCを係合させる。これと同時に、電子制御装置40(エンジン動作点制御部76)は、ロックアップクラッチLCのトルク容量の増加に従って、第1電動機MG1の回生トルクTmg1を減少させる(フェーズ4)。すなわち電気パス量を減少させる。ここで、一点鎖線が第1電動機MG1による制御が実施されない従来の変速制御に対応している。従来では、一点鎖線で示すように、ロックアップクラッチLCが解放されるに従ってエンジン12が吹き上がり、エンジン12に連結された第1電動機MG1の回転速度Nmg1についても上昇していた。
図10は、電子制御装置40の制御作動の要部すなわちロックアップオン状態での走行時において、自動変速機18の変速指令が出力された際のエンジン回転速度Neの変化を抑制する制御作動を説明するためのフローチャートであって、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。
先ず、変速制御部70に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する)において、例えば予め設定されている変速マップ等に基づいて自動変速機18の変速指令が出力されたか否かが判断される。なお、SA1が、図8の動作点aおよび図9のt1時点(フェーズ1)に対応している。SA1が否定される場合、本ルーチンは終了させられる。SA1が肯定される場合、ロックアップ制御部72、ロックアップ切換判定部74に対応するSA2において、自動変速機18の変速に先だって、ロックアップクラッチLCの解放制御が開始される。なお、SA2が、図8の動作点aおよび図9のt1時点〜t3時点(フェーズ1)に対応している。
次いで、変速制御部70、ロックアップ制御部72、エンジン動作点制御部76に対応するSA3において、ロックアップクラッチLCのトルク容量の低下に従って、電気パスへの切換が開始され、具体的には、第1電動機MG1の回生トルクTmg1を増加させることで、ロックアップクラッチLCの解放時のエンジン回転速度Neが一定に維持される。そして、ロックアップクラッチLCが解放されると、エンジン12の動作点を燃費最適点に変更するための電気パス切換が開始され、具体的には、第1電動機MG1の回生トルクTmg1をさらに増加させてエンジン12の動作点が燃費最適点(図8の動作点P05)に変更される。ロックアップクラッチLCが解放されると、自動変速機18の変速が開始され、変速に伴う電気パス切換が実行される。具体的には、自動変速機18のイナーシャ相が開始されるまでは、エンジン12が燃費最適点で運転されるように、第1電動機MG1のトルクTmg1が一定に維持され、イナーシャ相が開始されると、第1電動機MG1の回生トルクTmg1が漸減することで、エンジン12が燃費最適点P05で維持される。なお、SA3が、図8の動作点a〜動作点P05への変更過渡期から動作点P05で維持される状態、および図9のt3時点〜t7時点(フェーズ2、3)に対応している。
変速制御部70に対応するSA4において、自動変速機18の変速が終了したか否かが、例えば第2電動機回転速度Nmg2に基づいて判定される。なお、SA4が図8の動作点P05および図9のt7時点(フェーズ3)に対応している。SA4が否定される場合、すなわち自動変速機18の変速中はSA3に戻って同様の制御が継続して実行される。SA4が肯定される場合、ロックアップ制御部74に対応するSA5において、ロックアップクラッチLCが係合される。このとき、第1電動機MG1の回生トルクTmg1がゼロとなるように制御される。なお、ロックアップクラッチLCを解放して走行させた方が燃費上有利である場合には、ロックアップクラッチLCの係合制御は実行されない。なお、SA5が、図8の動作点P05〜動作点bへの変更過渡期および図9のt7時点〜t9時点(フェーズ4)に対応している。
上述のように、本実施例によれば、ロックアップクラッチLCのロックアップオンからロックアップオフ乃至スリップ状態への切換時に第1電動機MG1および第2電動機MG2を用いて、エンジン回転速度Neの変化量を第1電動機MG1および第2電動機MG2を用いない場合に比べて抑制することで、運転者に違和感を与えることなくロックアップクラッチLCの切換が可能となる。
また、本実施例によれば、ロックアップクラッチLCの解放過渡期は、そのロックアップクラッチLCのトルク容量低下に従って、第1電動機MG1の出力を増加させる。このようにすれば、ロックアップクラッチLCのトルク容量が低下すると、エンジン回転速度Neの変化が大きくなるが、それに応じて第1電動機MG1の出力を増加させることで、エンジン回転速度Neの変化を抑制することができる。
また、本実施例によれば、エンジン12のパワーを駆動輪26に伝達する経路として、トルクコンバータ16を介して伝達する機械パスと、第1電動機MG1によって回生された電力を用いて第2電動機MG2によって伝達する電気パスとが設けられ、運転者の要求駆動力を機械パスと電気パスとによって伝達する。このようにすれば、運転者の要求駆動力をみたしつつ、エンジン12の動作点を適宜制御することができる。
また、本実施例によれば、ロックアップクラッチLCのロックアップオフ時にロックアップオン時よりも電気パスにより伝達されるパワーを増加させて機械パスにより伝達されるパワーを低減する。このようにすれば、エンジン12の回転速度Neの変化を抑制することができる。
また、本実施例によれば、エンジン12の効率を優先させる場合は、第1電動機MG1および第2電動機MG2を制御して運転者の要求駆動力をみたしつつエンジン12の動作点を予め設定されている燃費最適点に変更し、ドライバビリティを優先させる場合は、第1電動機MG1によってエンジン12の回転速度Neの変化量を抑制する制御を行う。このようにすれば、エンジン12の効率を優先させる場合は、エンジン12の動作点が燃費最適点に変更されるので燃費が向上する。一方、ドライバビリティを優先させる場合には、エンジン12の回転速度Neの変化量が抑制されるので、運転者に与える違和感が抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、ロックアップクラッチLCのトルク容量が低下する際に、エンジン回転速度Neの変化がゼロとなるように制御されているが、必ずしもゼロにする限定するものではなく、多少の変化(増加)が生じても構わない。
また、前述の実施例の自動変速機18の連結構成は、本実施例のものに限定されるものではなく、変速可能の構成であれば特に限定されない。また、自動変速機18は、必ずしもエンジン12やトルクコンバータ16と同軸に配置されることに限定されず、例えば図11に示すようにカウンタギヤ等を介して自動変速機102が別軸上に配置されている構造(車両用駆動装置100)であっても構わない。
また、前述の実施例では、主に走行中に変速指令が出力されることでロックアップクラッチLCが解放される態様を一例にして説明されているが、本発明はこれに限定されず、こもり音が発生しやすい走行状態となった場合や作動油の作動油温THoilが低温となり、トルクコンバータ16の作動油を攪拌して作動油温THoilを上昇させる必要が生じた場合など、ロックアップクラッチLCの切換が実行される態様であれば適宜適用することができる。
また、前述の実施例では、ポンプ翼車16pと第1電動機MG1とは直接連結されているが、歯車機構等を介して間接的に連結されていても構わない。また、タービン翼車16tと第2電動機MG2とは直接連結されているが、歯車機構等を介して間接的に連結されていても構わない。
また、前述の実施例では、エンジン効率を優先させるか否か、およびドライバビリティを優先するか否かを、選択されている走行モードに基づいて判断するとしたが、必ずしもこれに限定されない。例えばアクセル開度Acc等に基づいて判断しても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。