JP5986002B2 - 空気マグネシウム電池 - Google Patents

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Description

本発明は、空気や水等の燃料を使用して発電する燃料電池、特に、水を使用する空気マグネシウム電池に関する。
従来、水を使用して発電する空気マグネシウム電池は公知である。例えば、特許文献1には、筒状の本体と、本体内に充填される正極活物質と、正極活物質内に挿入される一対の電極板(正極板と負極板)とを有する空気マグネシウム電池が開示されている。
実用新案登録第3109505号公報
特許文献1に開示された空気マグネシウム電池では、本体内に充填された正極活物質に水を供給することによって、電極板間に電位差が生じて起電力が発生する。また、ねじ山が設けられた本体の開口端にキャップを着脱可能に螺合することによって、本体内への水の注入や正極物質の交換を容易に行うことができる。一方、かかる空気マグネシウム電池においては、電源のオン・オフの切り替えとなるスイッチを設けることができず、一旦導電状態になった場合には、完全に放電が完了するまで電気を発生し続けることになる。
本発明の目的は、従来の空気マグネシウム電池の改良にあって、蓋体の締結によって導通状態となる一方、蓋体の締結を解除することによって非導通状態となり、電源のオン・オフを蓋体の締結によって切替することのできる空気マグネシウム電池の提供に関する。
前記課題を解決するために、本発明は、縦断方向を有し、本体と、前記本体に固定されたカソード体と、前記本体に着脱可能に取り付けられる蓋体とを含む空気マグネシウム電池に関する。
本発明に係る空気マグネシウム電池は、前記蓋体は、締結時において前記本体と接する下端部と、前記本体の内部に挿入されるアノード体と、前記アノード体の端部に連結された金属製の電極板とを有し、前記電極板は、少なくとも前記下端部に位置する第1端子を有し、前記本体は、前記蓋体の締結時において前記蓋体の前記下端部と当接する面に位置する第2端子を有し、前記第1端子と前記第2端子とが接することによって電気的に導通され、前記電極板は、固定部材を介して前記蓋体の外面に固定された固定部と、前記固定部から前記外面の外方へ向かって延び、かつ、前記蓋体の外周面に沿って前記下端部へ向かって延びる垂下部と、前記垂下部から内方へ折曲して前記蓋体の前記下端部の一部を覆う前記第1端子とを有する
本発明に係る他の好ましい実施態様の一つとして、前記蓋体はその内周面に螺旋部を有し、前記本体は前記蓋体が嵌着される円筒部を有し、前記第2端子は、少なくとも前記円筒部の基端縁の一部の外方に位置する。
本発明に係るさらに他の好ましい実施態様の一つとして、前記第2端子は、前記本体の内部に延びる内周壁に設けられた螺旋部の上端に位置する舌片状を有し、前記蓋体と前記本体との締結状態において前記第1端子が前記第2端子に接する前記電極板は、前記縦断方向において弾性を有する。
本発明に係るさらに他の好ましい実施態様の一つとして、前記電極板は、前記縦断方向において弾性を有する。
本発明に係る空気マグネシウム電池によれば、蓋体を本体に完全に締結したときに、蓋体に取り付けられた電極板の下端部に位置する第1端子と本体に配置された第2端子とが接触して電気的に導通された状態となるので、蓋体の締結を該電池の電源スイッチとして利用することができる。したがって、該電池を電気供給装置として利用した場合等において、蓋体の締結を調整することによって速やかに電源のオン、オフを繰り返し、かつ、速やかに切り替えすることができる。
本発明の第1実施形態における空気マグネシウム電池の斜視図。 空気マグネシウム電池の一部破断分解斜視図。 図1のIII−III線に沿う模式的断面図。 (a)非導通状態における電池の一部拡大図、(b)導通状態における電池の一部拡大図。 第2実施形態における空気マグネシウム電池の斜視図。 空気マグネシウム電池の分解斜視図。 図5のVII−VII線に沿う模式的断面図。
<第1実施形態>
図1及び2を参照すると、本実施形態に係る空気マグネシウム電池10は、縦断方向Y及び横断方向Xと、それらに直交する厚さ方向Zとを有し、縦断方向Yにおいて互いに対向する第1及び第2面11,12と、厚さ方向Zにおいて互いに対向する第3及び第4面13,14と、横断方向Xにおいて互いに対向する第5面及び第6面15,16とを有する角状の本体17と、本体17に着脱可能に取り付けられる蓋体18とを含む。第1面11には、空気マグネシウム電池10が電気化学反応を生じたときに発生する水素ガスを外部に排出するための透孔19が形成される。
本体17は、硬質のプラスチック材料から形成されており、第3面13には矩形薄板状のカソード体(空気極)20が位置しており、本体17内には、棒状のアノード体21が挿抜可能に挿入される。本体17内には、所要量の反応液23が注入可能であって、その内部には、本体17内全体の許容容積の約60〜80%の容量の液体が注入されてなる注液域24と、注液域24の上方に位置するスペースSとが形成される。本体17の第1面11の中央には円筒部17aが配置されており、円筒部17aの外周面全体には螺旋部28が設けられる。
蓋体18は、上面18aと、上面18の外周縁から本体17側へ延び、かつ、その内周面に螺旋部29が設けられた中空の円筒部18bと、本体17の第1面11と対向する下端部18cとを有する。蓋体18の上面18aの中央には開口が形成されており、該開口には、端部がアノード体21に取り付けられた固定部材(螺子)30が嵌着されてその頭部が露出している。固定部材30と蓋体18の上面18aとの間には、蓋体18の上面18aから円筒部18bに沿って垂下する金属薄板状の電極板31の一方端がワッシャー33を介して固定される。操作者が蓋体18を摘持してアノード体21を本体17の円筒部17aに挿通させるようにして被着させて、一方方向に回転させることによって蓋体18の螺旋部29と本体17の螺旋部28とが係合されて、蓋体18を本体17に締め付けることができる。
電極板31は、蓋体18の外形に沿うように折曲された形態を呈しており、蓋体18の上面18aの外周縁に沿って折曲された第1折曲部位31aと、蓋体18の下端部に沿って折曲された第2折曲部位31bとを有する。また、電極板31は、先端が固定部材30によって蓋体18の上面18aに固定された固定部35と、第1折曲部位31aと第2折曲部位31bとの間において蓋体18の外側面に沿って位置する垂下部36と、蓋体18の下端部18bの一部を被覆するように内方へ折曲された第2折曲部位31bを含み、かつ、内方へ延びる第1端子37とを有する。本体17の第1面11の円筒部17aの基端の外周には、中央に穿設された開口を有する金属製かつ角薄板状の第2端子38が配置される。カソード体20の角部には、半田付け等によってリード線40の一端が取り付けられ、第2端子38の角部には半田付け等によってリード線41の一端が取り付けられる。本体17と蓋体18との間には、反応液の漏れを防ぐためのO−リング34が配置される。
かかる構成を有する空気マグネシウム電池10において、使用開始時において、まず、蓋体18を本体17から取り外してその内部に反応液を注入した後、再び蓋体18を本体17の円筒部17aに螺着する。蓋体18が円筒部17aに完全に締結された状態において、蓋体18の下端部18cに位置する第1端子37は本体17の第1面11に位置する第2端子38と電気的に接触して、空気マグネシウム電池10は電気的に導通状態となる。かかる導通状態において、反応液23が酸化触媒として作用してカソード体20とアノード体21との間にイオン化反応が生じ、イオン化したアノード体21から発生した電子がカソード体20で酸素と反応液23中の水と反応して放電反応が生じ、カソード体20とアノード体21との間に電位差が生じて所定の起電力を発生する。かかる電気化学反応が発生することによって、本体17内には水酸化マグネシウムと反応ガス(水素ガス)が生成される。反応液は、水の他に塩水等の電解液を用いることができる。蓋体18を取り外すことによって、アノード体21が本体17内から抜き出されて電気化学反応が終わり起電力を生じなくなる。また、蓋体18を取り外すことによって、発電効率が低下したときに新たな反応液23を注入するために内部の液体を排出したりすることができる。
カソード体20は、カーボン材等の導電性材料から形成された第1層(電極層)と、活性炭等の正極活物質から形成された第2層(活性層)とが積層された多層構造を有するものであることが望ましく、全体として通気不透液性であることが好ましい。また、カソード体20は、より集電効率を向上させるために、第1及び第2層のほかに、導電性金属から形成された板状の第3層(集電層)が積層された3層構造を有するものであってもよい。アノード体21は、イオン化傾向の比較的に大きな電極活物質、例えば、金属マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等を用いることができる。
図4(a)を参照すると、蓋体18を完全に締結していない状態において、電極板31の第1端子37は本体17の円筒部17aの基端の外周に位置する第2端子38と離間しており、互いに接触していない。このように、蓋体18の締結を不完全な状態(断線状態)とすることによって、空気マグネシウム電池10を導通状態から非導通状態に切り替えることができ、いわば、蓋体18の締結の有無を電源スイッチとして利用することができる。すなわち、本発明と同様の空気マグネシウム電池10においては、本体17の内部に反応液を注入することによって直ちに放電反応が開始され、放電が終了するまで時間の経過とともに微弱になりながらも一定の起電力を発生し続ける。したがって、一旦放電反応が開始してしまえば、完全に蓋体18を本体17から取り外してアノード体21を本体17内から取り出さない限りは放電し続けるので、例えば、断続的に起電力を発生させなければならない場合には、電源をオフにする度ごとに蓋体18を本体から取り外さなければならず、手間である。
本実施形態における空気マグネシウム電池10においては、蓋体18を完全に本体17から分離してアノード体20をその内部から完全に取り出さなくても、蓋体18の締結を緩めることによって第1端子37が第2端子38から離間して非導通状態となるので、電源のオン・オフの切り替えを容易に行うことができる。したがって、例えば、リード線40,41を電球(光源)に接続して空気マグネシウム電池10を携帯用ライトとして使用する場合等において、蓋体18と円筒部17aとの締結を解除することによって第1端子37と第2端子38とが離間して非導通状態となり電源がオフとなり、再び、蓋体18を締結して第1端子37と第2端子38とが接触することによって電源がオンとなる。
また、電極板31は折曲された状態で固定部材30を介して蓋体18に取り付けられており、第1折曲部位31aは蓋体18の上面の外周縁から離間して位置している。第1折曲部位31aが外周縁と当接せずにそれと離間することによって、電極板31の垂下部36は縦断方向Yにおいて弾性を有する。すなわち、第1端子37が第2端子38と摺接したときに垂下部36は弾性変形して上方へ僅かに移動して衝撃が吸収されるので、第1及び第2端子37,38が複数摺接してもそれらが摩耗したり変形したりするおそれはない。なお、第2端子38は、蓋体18が本体17に完全に締結された状態において第1端子37と接するように配置されていればよく、少なくとも円筒部17aの基端縁の一部の外方に位置していればよい。
<第2実施形態>
図5を参照すると、本実施態様においては、蓋体18は、円形の基端部50と、基端部50から延出する外周面に螺合部51を有する円筒状の挿入部52とを有する。蓋体18の基端部50には、その外面から突出する蓋体18を回転させて本体17に嵌着させるための摘持部54が配置されており、摘持部54の中央部に形成された開口には金属製の固定部材(螺子)55が挿通されている。固定部材55の一方端は挿入部52内に挿入されたアノード体21の端部に取り付けられている。第1電極板60は、摘持部54の中央部位に固定部材55を介して固定された固定部61と、固定部61から摘持部54の外周に沿って垂下し、かつ、基端部50の外面に沿ってその外周縁まで延びる垂下部62と、基端部50の外周縁に沿って内方へ折曲された第1端子63とを有する。
本体17の第1面11は他の各面に比して肉厚であって、かつ、その中央部に開口64が設けられており、開口端から内方へ延出する内周壁には蓋体18の挿入部52の螺旋部51と係合される螺旋部65が形成される。第1面11の開口64の外周には金属製かつ薄板状の第2電極板67が配置される。第2電極板67の中央にはリード線41が取り付けられており、一方側部の内周面には開口64へ向かって延出し、かつ、螺旋部65の上部(上段)に位置する舌片状の第2端子68が設けられる。かかる態様を有する空気マグネシウム電池10において、蓋体18が本体17から取り外された状態において、操作者は、摘持部54を摘持して蓋体18の挿入部52を本体17の開口64に挿入し、摘持部54を一方方向に回転させることによって挿入部52の螺旋部51と本体17の内周壁に位置する螺旋部65とが係合されて蓋体18を本体17に螺着させることができる。蓋体18の挿入部52の上端には外周に延びる凹部が形成されており、凹部にはO−リング34が配置される。
図4を参照すると、蓋体18が本体17に完全に締結された状態において、第1端子63は螺旋部65の上端に延出した第2端子68に接している。このように、蓋体18が本体17に完全に締結された状態において第1端子63が第2電極板67の第2端子68に接することによって空気マグネシウム電池10は電気的に導通状態となり所要の起電力を発生させることができる。かかる導通状態において蓋体18の基端部50と本体17の第1面11とはほぼ面一であるので、外見上すっきりとした印象を与えるとともに、第1実施形態のように蓋体18全体が本体17の外部に露出する場合に比して、空気マグネシウム電池10をよりコンパクトな大きさにすることができる。また、第1実施形態と同様に、第1電極板60は折り曲げられて蓋体18に取り付けられているので、基端部50の外周縁に沿って折曲された部位は弾性を有している。したがって、第1端子63が第2端子68に摺接するときに衝撃が吸収されるので、第1及び第2端子63,68が複数摺接しても摩耗したり変形したりするおそれはない。また、図示したように、蓋体18が完全に締結された状態において第1端子63と接するように第2端子68が配置されていればよく、第2電極板67は開口64の外周全体を囲む大きさを有するものである必要はなく、外周全体を囲む場合に比して材料コストを抑えることができる。
空気マグネシウム電池10を構成する各部材としては、前記の材料以外に、この種の物品に用いられる材料を制限なく用いることができる。また、各実施形態における各構成部材の各種寸法は、必要な起電力の大きさに合せて適宜変更することができる。また、空気マグネシウム電池10は、船舶や大型タンカー等の動力電源装置として利用したり、また、携帯情報端末等の電気機器の電源供給装置としても利用することができる。
10 空気マグネシウム電池
17 本体
18 蓋体
18a 上面
18b 外側面
18c 下端部
20 カソード体
21 アノード体
30 固定部材
31 電極板
35 固定部
36 垂下部
37 第1端子
38 第2端子
60 第1電極板
61 固定部
62 垂下部
63 第1端子
65 内周壁の螺旋部
68 第2端子
Y 縦断方向

Claims (4)

  1. 縦断方向を有し、本体と、前記本体に固定されたカソード体と、前記本体に着脱可能に取り付けられる蓋体とを含む空気マグネシウム電池において、
    前記蓋体は、締結時において前記本体と接する下端部と、前記本体の内部に挿入されるアノード体と、前記アノード体の端部に連結された金属製の電極板とを有し、前記電極板は、少なくとも前記下端部に位置する第1端子を有し、
    前記本体は、前記蓋体の締結時において前記蓋体の前記下端部と当接する面に位置する第2端子を有し、
    前記第1端子と前記第2端子とが接することによって電気的に導通され
    前記電極板は、固定部材を介して前記蓋体の外面に固定された固定部と、前記固定部から前記外面の外方へ向かって延び、かつ、前記蓋体の外周面に沿って前記下端部へ向かって延びる垂下部と、前記垂下部から内方へ折曲して前記蓋体の前記下端部の一部を覆う前記第1端子とを有することを特徴とする空気マグネシウム電池。
  2. 前記蓋体はその内周面に螺旋部を有し、前記本体は前記蓋体が嵌着される円筒部を有し、前記第2端子は、少なくとも前記円筒部の基端縁の一部の外方に位置する請求項に記載の空気マグネシウム電池。
  3. 前記第2端子は、前記本体の内部に延びる内周壁に設けられた螺旋部の上端に位置する舌片状を有し、前記蓋体と前記本体との締結状態において前記第1端子が前記第2端子に接する請求項に記載の空気マグネシウム電池。
  4. 前記電極板は、前記縦断方向において弾性を有する請求項1〜3のいずれかに記載の空気マグネシウム電池。
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