ところで、高血圧症患者の食事療法として、減塩やカリウム摂取が一般的に指導されている。信頼できる文献(ウォルター・ウィレット(Walter Willett)著、田中平三訳、「食事調査の全て 栄養疫学」、第2版、第一出版、2003年5月)によると、ヒトが食事により摂取したナトリウムとカリウムが尿中に排泄される量の割合は、それぞれ86%、77%とされている。したがって、毎日の尿中のナトリウム排泄量(Na排泄量)とカリウム排泄量(K排泄量)、特にナトリウム排泄量とカリウム排泄量との間の比(Na/K比)を調べることで、高血圧症患者のための食事療法に反映できる。
しかしながら、特許文献1(特許第3823039号公報)の方法では、1日または複数日にわたって測定を行う場合、被測定者が排尿のたびに尿の一部を採取する必要があり、被測定者にとって煩わしいという問題がある。例えば、被測定者が外出先に容器を持参して採尿するのは、非常に煩わしく、日常的に実践するのに困難が伴う。
また、特許文献2(特許第4329123号公報)の方法では、起床後1番尿のみとはいえ、その尿を全て収集して尿量を計測する必要があるため、被測定者にとって煩わしいという問題がある。つまり、被測定者の1回分の尿量が比較的多い場合を考慮すると、被測定者は1リットル程度の比較的大容量の容器を準備する必要がある。さらに被測定者がその容器を繰り返し使用する場合、比較的大容量の容器を洗浄するための手間がかかる。なお、便器に1回分の尿量を計測する機能を追加する場合は、非常に大掛かりな装置の設置が必要となる。
ここで、被測定者が排泄した1日のナトリウム排泄量とカリウム排泄量との間の比(Na/K比)を知るためには、必ずしも尿量を計測する必要はないと思われる。その理由は、ヒトが排泄した1回の尿中における特定成分の濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度との間には、相関関係があるからである。
そこで、この発明の課題は、被測定者が排泄した1日の全尿中における2つの特定成分の間の濃度比を簡便に求めることができる尿成分分析装置および尿成分分析方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の尿成分分析装置は、
ヒトが排泄した1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比との間の相関関係を表すデータを記憶している相関関係記憶部を備え、上記第1特定成分はナトリウムであり、上記第2特定成分はカリウムであり、
被測定者が排泄した1回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を表すデータを入力するデータ入力部と、
上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を換算して求める演算部と
を備えたことを特徴とする。
本明細書で、「ヒト」は、「被測定者」と同一人であっても良い。「ヒト」は、複数人であっても良く、その場合は「被測定者」を含んでいても良い。
なお、上記データ入力部は被測定者が排泄した1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分のそれぞれの濃度を表すデータを一旦入力し、上記換算実行前に、上記演算部がそれらの第1特定成分、第2特定成分間の濃度比をとっても良い。
この発明の尿成分分析装置では、相関関係記憶部は、ヒトが排泄した1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比との間の相関関係を表すデータを記憶している。データ入力部は、被測定者が排泄した1回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を表すデータを入力する。演算部は、上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を換算して求める。
ここで、この尿成分分析装置では、被測定者が排泄した1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比に基づいて、1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を換算して求めているので、被測定者が排泄した尿の量を実際に計測する必要がない。また、被測定者が排泄した少なくとも1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比が入力データとして得られれば、換算結果が得られる。したがって、この尿成分分析装置によれば、被測定者が排泄した1日の全尿中における2つの特定成分の間の濃度比を簡便に求めることができる。また、上記第1特定成分がナトリウムであり、上記第2特定成分がカリウムであり、したがって、上記演算部によって得られた、上記被測定者の1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比がNa/K比であれば、このNa/K比は、上記被測定者の高血圧に関する情報として用いることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部は、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して得られた平均濃度比と、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比との間の相関関係を表すデータを記憶しており、
上記演算部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して平均濃度比を得、この平均濃度比を上記換算の対象にすることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部は、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して得られた平均濃度比と、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比との間の相関関係を表すデータを記憶している。上記演算部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して平均濃度比を得、この平均濃度比を上記換算の対象にする。すなわち、上記演算部は、得られた上記第1特定成分、第2特定成分間の平均濃度比に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を換算して求める。このようにした場合、算出された上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の精度が高まる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部は、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して得られた平均濃度比と、基準となる第1特定成分、第2特定成分間の濃度比との間の相関関係を表すデータを記憶しており、
上記基準となる第1特定成分、第2特定成分間の濃度比は、上記ヒトが排泄した尿について第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の1日当たりの平均値を求め、さらに上記1日当たりの平均値を複数日にわたって平均して得られており、
上記演算部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して平均濃度比を得、この平均濃度比を上記換算の対象にすることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部は、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して得られた平均濃度比と、基準となる第1特定成分、第2特定成分間の濃度比との間の相関関係を表すデータを記憶している。上記演算部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を平均して平均濃度比を得、この平均濃度比を上記換算の対象にする。すなわち、上記演算部は、得られた上記第1特定成分、第2特定成分間の平均濃度比に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を換算して求める。このようにした場合、算出された上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の精度が高まる。しかも、上記相関関係の基準となる第1特定成分、第2特定成分間の濃度比は、上記ヒトが排泄した尿について第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の1日当たりの平均値を求め、さらに上記1日当たりの平均値を複数日にわたって平均して得られたものである。つまり、複数日にわたる尿を対象として上記相関関係を求める場合、ヒトが上記複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集する必要がなく、1日毎に尿を収集して、第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の1日当たりの平均値を求めてゆけば良い。したがって、上記相関関係を容易に取得できる。
別の局面では、この発明の尿成分分析装置は、
ヒトが排泄した尿中における第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記ヒトが排泄した1回の尿中における濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している相関関係記憶部を備え、上記第1特定成分はナトリウムであり、上記第2特定成分はカリウムであり、
被測定者が排泄した1回の尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ入力するデータ入力部と、
上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度をそれぞれ換算して求め、さらにそれらの換算結果に基づいて、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を算出する演算部と
を備えたことを特徴とする。
この発明の尿成分分析装置では、相関関係記憶部は、ヒトが排泄した尿中における第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記ヒトが排泄した1回の尿中における濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している。データ入力部は、被測定者が排泄した1回の尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ入力する。演算部は、まず、上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度をそれぞれ換算して求める。上記演算部は、さらにそれらの換算結果に基づいて、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を算出する。
ここで、この尿成分分析装置では、被測定者が排泄した1回の尿中における第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度に基づいて、1日の全尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度をそれぞれ換算して求めているので、被測定者が排泄した尿の量を実際に計測する必要がない。また、被測定者が排泄した少なくとも1回の尿中における第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度が入力データとして得られれば、換算結果が得られる。したがって、この尿成分分析装置によれば、被測定者が排泄した1日の全尿中における2つの特定成分の間の濃度比を簡便に求めることができる。また、上記第1特定成分がナトリウムであり、上記第2特定成分がカリウムであり、したがって、上記演算部によって得られた、上記被測定者の1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比がNa/K比であれば、このNa/K比は、上記被測定者の高血圧に関する情報として用いることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における濃度を平均して得られた平均濃度と、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中における濃度との間の相関関係を表すデータを記憶しており、
上記データ入力部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ入力し、
上記演算部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における濃度を平均して平均濃度を得、この平均濃度を上記換算の対象にすることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における濃度を平均して得られた平均濃度と、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中における濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している。上記データ入力部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ入力する。上記演算部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における濃度を平均して平均濃度を得、この平均濃度を上記換算の対象にする。すなわち、上記演算部は、まず、得られた上記第1特定成分の平均濃度、上記第2特定成分の平均濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度をそれぞれ換算して求める。上記演算部は、さらにそれらの換算結果に基づいて、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を算出する。このようにした場合、算出された上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の精度が高まる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における濃度を平均して得られた平均濃度と、基準となる濃度との間の相関関係を表すデータを記憶しており、
上記基準となる濃度は、上記ヒトが排泄した尿について1日当たりの濃度の平均値を求め、さらに上記1日当たりの濃度の平均値を複数日にわたって平均して得られており、
上記データ入力部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ入力し、
上記演算部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における濃度を平均して平均濃度を得、この平均濃度を上記換算の対象にすることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における濃度を平均して得られた平均濃度と、基準となる濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している。上記データ入力部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ入力する。上記演算部は、上記第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における濃度を平均して平均濃度を得、この平均濃度を上記換算の対象にする。すなわち、上記演算部は、まず、得られた上記第1特定成分の平均濃度、上記第2特定成分の平均濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度をそれぞれ換算して求める。上記演算部は、さらにそれらの換算結果に基づいて、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を算出する。このようにした場合、算出された上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の精度が高まる。しかも、上記相関関係の基準となる濃度は、上記ヒトが排泄した尿について1日当たりの濃度の平均値を求め、さらに上記1日当たりの濃度の平均値を複数日にわたって平均して得られたものである。つまり、複数日にわたる尿を対象として上記相関関係を求める場合、ヒトが上記複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集する必要がなく、1日毎に尿を収集して、上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の1日当たりの濃度の平均値を求めてゆけば良い。したがって、上記相関関係を容易に取得できる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記1回の尿または上記複数回の尿は、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれかであり、
上記演算部は、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた上記相関関係を用いることを特徴とする。
本明細書で、「就寝直前の尿」とは、上記被測定者が排泄した就寝前の最後の1回の尿を指す。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記1回の尿または上記複数回の尿は、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれかである。上記演算部は、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた上記相関関係を用いる。このようにした場合、算出された上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の精度がさらに高まる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを表す情報を入力する尿指定部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、ユーザ(被測定者自身であっても良いし、被測定者のために本装置を操作する者であっても良い。以下同様。)が、尿指定部を介して、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを表す情報を入力することができる。この入力により、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかが指定される。この結果、上記演算部は、上記相関関係記憶部に記憶された相関関係のうち、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた相関関係を選択して用いることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記データ入力部は、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータをリアルタイムで入力し、
上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータが入力された時刻に応じて、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断する尿判断部を備えたことを特徴とする。
本明細書で、「上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータ」とは、上記第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度、または上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を表すデータ含み、さらに、それらの濃度または濃度比を補正するためのデータを含んでいても良い。
また、「リアルタイムで入力」するとは、上記被測定者による排尿日時と実質的に同時に入力することを意味する。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記データ入力部は、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータをリアルタイムで入力する。尿判断部は、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータが入力された時刻に応じて、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断する。この判断結果により、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかが指定される。この結果、上記演算部は、上記相関関係記憶部に記憶された相関関係のうち、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた相関関係を選択して用いることができる。これにより、ユーザが尿指定情報を入力する手間を省くことができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記被測定者が睡眠をとる睡眠時間帯を設定するための睡眠時間帯設定部を備え、
上記尿判断部は、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータが入力された時刻を上記睡眠時間帯と比較して、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断することを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、ユーザが、睡眠時間帯設定部を介して、上記被測定者が睡眠をとる睡眠時間帯を設定することができる。そのように睡眠時間帯が設定された場合、上記尿判断部は、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータが入力された時刻を上記睡眠時間帯と比較して、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断する。したがって、上記尿判断部の判断の精度が高まる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記データ入力部を介して得られた上記1日または複数日にわたる、各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、それぞれその濃度比が測定された測定日時と対応付けて、上記被測定者に関する測定データとして記憶する測定データ記憶部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、測定データ記憶部は、上記データ入力部を介して得られた上記1日または複数日にわたる、各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、それぞれその濃度比が測定された測定日時と対応付けて、上記被測定者に関する測定データとして記憶する。したがって、上記演算部は、この測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データを用いて、上記換算結果を得ることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記演算部は、上記換算の対象として、上記測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データのうち、互いに異なる日の互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択することを特徴とする。
本明細書で、「時間帯」とは、1日を複数に区分したときの時間帯を指し、例えば1時間毎、2時間毎または3時間毎の時間帯を指す。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記演算部は、上記換算の対象として、上記測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データのうち、互いに異なる日の互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択する。この結果、換算の精度が高まる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記複数回は少なくとも5回であることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記複数回は少なくとも5回である。すなわち、上記演算部は、上記換算の対象として、上記測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データのうち、互いに異なる日の互いに異なる時間帯の少なくとも5回分の測定データを選択する。この結果、換算の精度が高まる。また、少なくとも5回分の測定データを用いれば、換算の精度がほぼ飽和する。したがって、例えば予め5回分の測定データを用いることを定めておけば、排尿および測定のために上記被測定者に過度の手間をかけさせることがない。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記互いに異なる日は少なくとも7日間を含むことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記互いに異なる日は少なくとも7日間を含む。すなわち、上記演算部は、上記換算の対象として、上記測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データのうち、互いに異なる少なくとも7日間の互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択する。この結果、換算の精度が高まる。なお、少なくとも7日間の測定データを選択する理由は、1週間(7日間)が多くのヒトの生活(食生活を含む。)のサイクルになっているからである。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記互いに異なる日は互いに異なる曜日を含むことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記互いに異なる日は互いに異なる曜日を含む。すなわち、上記演算部は、上記換算の対象として、上記測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データのうち、互いに異なる曜日の互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択する。この結果、換算の精度が高まる。なお、互いに異なる曜日の測定データを選択する理由は、1週間(7日間)が多くのヒトの生活(食生活を含む。)のサイクルになっているからである。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記演算部は、上記選択される複数回分の測定データとして、上記測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データのうち、最後に測定された1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を含めることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記演算部は、上記選択される複数回分の測定データとして、上記測定データ記憶部に記憶された上記被測定者に関する測定データのうち、最後に測定された1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を含める。この結果、上記演算部によって得られた上記換算結果は、上記被測定者の直近の健康状態を反映したものとなる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記測定データ記憶部は、上記データ入力部を介して得られた上記1日または複数日にわたる、各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、それぞれその濃度比が測定された測定日時に加えて、上記被測定者による排尿日時と対応付けて、上記被測定者に関する測定データとして記憶することを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記測定データ記憶部は、上記データ入力部を介して得られた上記1日または複数日にわたる、各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、それぞれその濃度比が測定された測定日時に加えて、上記被測定者による排尿日時と対応付けて、上記被測定者に関する測定データとして記憶する。したがって、例えば、上記被測定者が排泄した尿を一時的に保管しておき、その後、上記被測定者が上記尿の第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を測定し、その測定の前後に、上記尿の排尿日時を入力するという使用態様が可能となる。なお、上記被測定者が排尿と測定とを同時に行い、上記データ入力部を介して得られた尿の第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、上記測定データ記憶部が同時に記憶するという使用態様も可能である。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記測定データ記憶部に記憶された排尿日時に基づいて、上記1日または複数日にわたる期間内の上記被測定者による排尿日時の履歴を報知する排尿履歴報知部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、排尿履歴報知部は、上記測定データ記憶部に記憶された排尿日時に基づいて、上記1日または複数日にわたる期間内の上記被測定者による排尿日時の履歴を報知する。これにより、ユーザ(既述のように被測定者であっても良い。)は、上記被測定者が過去に排尿や測定を行わなかった曜日や時間帯を認識できる。したがって、上記被測定者は、過去に排尿や測定を行わなかった曜日や時間帯に、今後は排尿や測定を行うように心掛けることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿履歴報知部は、上記測定データ記憶部に記憶された排尿日時に基づいて、上記被測定者による排尿回数を曜日毎または時間帯毎に表すヒストグラムを作成するヒストグラム作成部を含むことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿履歴報知部に含まれたヒストグラム作成部は、上記測定データ記憶部に記憶された排尿日時に基づいて、上記被測定者による排尿回数を曜日毎または時間帯毎に表すヒストグラムを作成する。このヒストグラムを見ることにより、ユーザは上記被測定者が過去に排尿や測定を行わなかった曜日や時間帯を、視覚を通して直感的に認識できる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿日時を入力するための排尿日時入力部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿日時を入力するための排尿日時入力部を備える。したがって、ユーザは、上記排尿日時入力部によって排尿日時を容易に入力することができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記データ入力部は、上記各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比をリアルタイムで入力し、
上記測定データ記憶部は、上記データ入力部によって上記各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比が入力された日時に応じて、上記排尿日時を記憶することを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記データ入力部は、上記各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比をリアルタイムで、すなわち、上記被測定者による排尿日時と実質的に同時に入力する。上記測定データ記憶部は、上記各1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比が入力された日時に応じて、上記排尿日時を記憶する。これにより、ユーザが上記排尿日時を入力する手間を省くことができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記測定データ記憶部に記憶された排尿日時に基づいて、上記被測定者に関する測定データが上記1日のうち互いに異なる時間帯または上記複数日のうち互いに異なる日の互いに異なる時間帯に得られるように、上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を決定する第1の排尿推奨日時決定部と、
決定された上記排尿推奨日時を報知する排尿推奨日時報知部とを備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、第1の排尿推奨日時決定部は、上記測定データ記憶部に記憶された排尿日時に基づいて、上記被測定者に関する測定データが上記1日のうち互いに異なる時間帯または上記複数日のうち互いに異なる日の互いに異なる時間帯に得られるように、上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を決定する。排尿推奨日時報知部は、決定された上記排尿推奨日時を報知する。これにより、上記被測定者は、過去に排尿や測定を行わなかった曜日や時間帯に、今後は排尿や測定を行うように促される。
一実施形態の尿成分分析装置では、
将来の1日または複数日の間に上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を決定する第2の排尿推奨日時決定部と、
決定された上記排尿推奨日時を報知する排尿推奨日時報知部を備えたことを特徴とする。
ここで、「将来の1日または複数日」は、現在の時刻が起床時刻前であれば、その現在の時刻が属する日を含んでも良い意味である。
この一実施形態の尿成分分析装置では、第2の排尿推奨日時決定部は、将来の1日または複数日の間に上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を決定する。排尿推奨日時報知部は、決定された上記排尿推奨日時を報知する。これにより、上記被測定者は、将来の1日または複数日の間に排尿すべき排尿推奨日時を知ることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿推奨日時報知部は、上記排尿推奨日時に警報音を鳴らす動作を実行することを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿推奨日時報知部は、上記排尿推奨日時に警報音を鳴らす動作を実行する。したがって、上記被測定者は、上記警報音が鳴った日時に排尿や測定を行うように促される。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿推奨日時報知部は、上記排尿推奨日時に、上記被測定者に対して排尿を促すメールを送信する動作を実行することを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記排尿推奨日時報知部は、上記排尿推奨日時に、上記被測定者に対して排尿を促すメールを送信する動作を実行する。したがって、上記被測定者は、例えば自身の携帯電話やスマートフォンなどで上記メールを受信した日時に排尿や測定を行うように促される。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記排尿推奨日時報知部の動作を禁止すべき報知禁止時間帯を設定するための報知禁止時間帯設定部を備え、
上記排尿推奨日時が上記報知禁止時間帯に属するとき、上記排尿推奨日時報知部は上記動作を禁止することを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、ユーザは、上記報知禁止時間帯設定部によって上記排尿推奨日時報知部の動作を禁止すべき報知禁止時間帯を設定することができる。例えば、上記報知禁止時間帯として上記被測定者が就寝している時間帯を設定しておくものとする。これにより、上記被測定者が就寝している時間帯に、上記排尿推奨日時報知部によって排尿を強制されるような事態を避けることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記被測定者が排泄した尿に接触して、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータを取得するセンサ部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、センサ部が、上記被測定者が排泄した尿に接触して、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータを取得する。このセンサ部が取得した上記第1特定成分、第2特定成分の濃度は、上記データ入力部によって入力されて、上記演算部による換算の対象になる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を記憶する演算結果記憶部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比が、演算結果記憶部に記憶される。したがって、ユーザは、この演算結果記憶部の内容を読み出すことによって、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、容易に知ることができる。特に、上記被測定者の1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、日ごとに演算結果記憶部に記憶させておけば、ユーザは、上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比の、日ごとの変化の傾向を、容易に知ることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を報知する演算結果報知部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、演算結果報知部は、上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を報知する。したがって、ユーザは、この演算結果報知部による報知を受けて、上記被測定者の1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、容易に知ることができる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部、データ入力部および演算部を、少なくとも搭載した筐体を備え、
上記センサ部は、上記筐体から外部へ突出した態様で上記筐体に取り付けられていることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部、データ入力部および演算部を、少なくとも搭載した筐体を備えている。また、上記センサ部は、上記筐体から外部へ突出した態様で上記筐体に取り付けられている。したがって、ユーザが上記筐体を手に持って使用する手持ちタイプの尿成分分析装置が構成され得る。
例えば、この手持ちタイプの尿成分分析装置を使用する場合、ユーザとしての被測定者が排尿する時、上記筐体を手に持って上記センサ部に尿が降りかかる状態にする。これにより、上記センサ部が、上記被測定者が排泄した尿に接触して、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータを取得する。
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、1回の尿の一部を使い捨ての紙コップに採取し、上記筐体を手に持って上記センサ部を上記紙コップ内の尿に浸漬しても良い。
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、1回の尿の一部をトイレットペーパにしみ込ませ、上記筐体を手に持って上記センサ部をそのトイレットペーパにしみ込んだ尿に接触させても良い。
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、便器に尿を溜め、上記筐体を手に持って上記センサ部を便器に溜まった尿に浸漬しても良い。たとえ予め便器に水が存在していて尿が薄まったとしても、尿が薄められること自体は、得られた演算結果(濃度比)には影響しない。
いずれにしても、この手持ちタイプの尿成分分析装置によれば、簡単な操作で演算結果が得られる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部、データ入力部および演算部を、少なくとも搭載した筐体を備え、 上記筐体は、便器の周りまたは便器が設けられた室内に配置され、
上記センサ部は、上記便器内の空間に配置されていることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部、データ入力部および演算部を、少なくとも搭載した筐体を備える。そして、上記筐体は、便器の周りまたは便器が設けられた室内に配置されている。また、上記センサ部は、上記便器内の空間に配置されている。したがって、便器据え付けタイプの尿成分分析装置が構成され得る。
例えば、この便器据え付けタイプの尿成分分析装置を使用する場合、ユーザとしての被測定者が排尿する時、上記便器内の空間で上記センサ部に尿が降りかかる状態にする。これにより、上記センサ部が、上記被測定者が排泄した尿に接触して、上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータを取得する。この便器据え付けタイプの尿成分分析装置によれば、ユーザとしての被測定者は、紙コップなどの尿を溜める容器を用意する必要がない。
本明細書で、筐体が「便器の周り」に配置されているとは、筐体が便器またはその付属設備(水タンクなど)に取り付けられている場合や、筐体が便器またはその付属設備に一体に組み込まれている場合を含む。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部、データ入力部および演算部を、少なくとも搭載した筐体を備え、
上記データ入力部は、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部から上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータを入力し、
上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部へ出力する演算結果送信部が、上記筐体にさらに搭載されていることを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部、データ入力部および演算部を、少なくとも搭載した筐体を備えている。上記データ入力部は、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部から上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータを入力する。上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部へ出力する演算結果送信部が、上記筐体にさらに搭載されている。したがって、データの入力、演算結果の出力を無線または有線の通信回線を介して行うサーバタイプの尿成分分析装置が構成され得る。
例えば、このサーバタイプの尿成分分析装置を使用する場合、上記筐体から離れた遠隔地に居るユーザとしての被測定者が市販のセンサ等によって上記第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータを取得する。このデータが、被測定者が操作する携帯電話またはパーソナルコンピュータから無線または有線の通信回線を介して、上記データ入力部によって入力される。この結果、上記演算部によって、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比が算出される。上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比は、上記演算結果送信部によって無線または有線の通信回線を介して、上記筐体から離れた遠隔地に居る被測定者の携帯電話またはパーソナルコンピュータへ向けて出力される。この結果、上記被測定者は、自身が居る場所で、上記携帯電話またはパーソナルコンピュータの表示画面を通して、上記演算部が算出した上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を知ることができる。
このように、このサーバタイプの尿成分分析装置によれば、上記筐体から離れた遠隔地に居るユーザによる利用が容易になる。
一実施形態の尿成分分析装置では、上記被測定者を識別するための個人認証部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記被測定者を識別するための個人認証部を備える。したがって、上記被測定者に関する測定データを個人単位で区別することによって、この尿成分分析装置を複数の被測定者が共用することが可能になる。
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記第1特定成分としてのナトリウムと上記第2特定成分としてのカリウムとの間の濃度比と、上記濃度比に応じた上記被測定者に対するアドバイスとを対応づけて記憶するアドバイステーブルと、
上記アドバイステーブルを参照して、上記演算部が算出した上記第1特定成分としてのナトリウムと上記第2特定成分としてのカリウムとの間の濃度比に応じたアドバイスを選択するアドバイス部を備えたことを特徴とする。
ここで、上記「アドバイス」は、例えば上記被測定者の高血圧に関するアドバイスとすることができる。
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記第1特定成分としてのナトリウムと上記第2特定成分としてのカリウムとの間の濃度比と、上記濃度比に応じた上記被測定者に対するアドバイスとを対応づけて記憶するアドバイステーブルを備える。アドバイス部は、上記アドバイステーブルを参照して、上記演算部が算出した上記第1特定成分としてのナトリウムと上記第2特定成分としてのカリウムとの間の濃度比に応じたアドバイスを選択する。したがって、上記演算部によって得られた、上記第1特定成分としてのナトリウムと上記第2特定成分としてのカリウムとの間の濃度比(Na/K比)に応じて、例えば上記被測定者の高血圧に関するアドバイスが提供され得る。
この発明の尿成分分析方法は、
ヒトが排泄した1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比との間の相関関係を表すデータを、所定の記憶部に記憶させておき、上記第1特定成分はナトリウムであり、上記第2特定成分はカリウムであり、
被測定者が排泄した1回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を表すデータをそれぞれ入力し、
入力された上記被測定者の上記1回の尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比に基づいて、上記記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を換算して求めることを特徴とする。
この発明の尿成分分析方法では、被測定者が排泄した1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比に基づいて、1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を換算して求めているので、被測定者が排泄した尿の量を実際に計測する必要がない。また、被測定者が排泄した少なくとも1回の尿中における第1特定成分、第2特定成分間の濃度比が入力データとして得られれば、換算結果が得られる。したがって、この尿成分分析装置によれば、被測定者が排泄した1日の全尿中における2つの特定成分の間の濃度比を簡便に求めることができる。また、上記第1特定成分がナトリウムであり、上記第2特定成分がカリウムであり、したがって、上記演算部によって得られた、上記被測定者の1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比がNa/K比であれば、このNa/K比は、上記被測定者の高血圧に関する情報として用いることができる。
できる。
別の局面では、この発明の尿成分分析方法は、
ヒトが排泄した尿中における第1特定成分、第2特定成分のそれぞれについて、上記ヒトが排泄した1回の尿中における濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における濃度との間の相関関係を表すデータを、所定の記憶部に記憶させておき、上記第1特定成分はナトリウムであり、上記第2特定成分はカリウムであり、
被測定者が排泄した1回の尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ入力し、
入力された上記被測定者の上記1回の尿中における上記第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度に基づいて、上記記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度をそれぞれ換算して求め、さらにそれらの換算結果に基づいて、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比を算出することを特徴とする。
この発明の尿成分分析方法では、被測定者が排泄した1回の尿中における第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度に基づいて、1日の全尿中における上記第1特定成分の濃度、上記第2特定成分の濃度をそれぞれ換算して求めているので、被測定者が排泄した尿の量を実際に計測する必要がない。また、被測定者が排泄した少なくとも1回の尿中における第1特定成分の濃度、第2特定成分の濃度が入力データとして得られれば、換算結果が得られる。したがって、この尿成分分析装置によれば、被測定者が排泄した1日の全尿中における2つの特定成分の間の濃度比を簡便に求めることができる。また、上記第1特定成分がナトリウムであり、上記第2特定成分がカリウムであり、したがって、上記演算部によって得られた、上記被測定者の1日の全尿中における上記第1特定成分、第2特定成分間の濃度比がNa/K比であれば、このNa/K比は、上記被測定者の高血圧に関する情報として用いることができる。
以上より明らかなように、この発明の尿成分分析装置および尿成分分析方法によれば、被測定者が排泄した1日の全尿中における2つの特定成分の間の濃度比を簡便に求めることができる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、この発明の一実施形態の尿成分分析装置(全体を符号90で示す。)のブロック構成を示している。
この尿成分分析装置90は、筐体10と、この筐体10に搭載されて収容された制御部11、データ入力部12、操作部13、記憶部14、および、表示部18を備えている。また、この尿成分分析装置90は、筐体10から外部へ突出した態様で筐体10に取り付けられたセンサ部30を備えている。
筐体10は、この例では図2(A)中に示すように、ユーザの手で把持されるべき細長い角柱状の外形を有している。センサ部30は、筐体10の一端に取り付けられた細長い棒状の外形を有している。この結果、この尿成分分析装置90は、ユーザが筐体10を手に持って使用する手持ちタイプの尿成分分析装置として構成されている。
センサ部30は、公知のものであり、被測定者が排泄した尿99に接触して、尿中の2つの特定成分(第1特定成分、第2特定成分)の濃度に関するデータを取得する。この例では、第1特定成分、第2特定成分は、それぞれナトリウム(Na)、カリウム(K)であるものとする。この例では、センサ部30は、1回の尿99中のNa濃度、K濃度を表すデータをそれぞれ取得することもできるし、NaとKとの間の濃度比(これを「Na/K比」と呼ぶ。)を取得することもできる。
例えば、この手持ちタイプの尿成分分析装置90を使用する場合、ユーザとしての被測定者が排尿する時、筐体10を手に持って、図2(A)に示すように、センサ部30に尿が降りかかる状態にする。これにより、センサ部30が、被測定者が排泄した尿に接触して、Na濃度、K濃度に関するデータを取得することができる。
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、図2(B)に示すように、1回の尿99の一部を使い捨ての紙コップ97に採取し、筐体10を手に持ってセンサ部30を紙コップ97内の尿99に浸漬しても良い。
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、1回の尿の一部をトイレットペーパ(図示せず)にしみ込ませ、筐体10を手に持ってセンサ部30をそのトイレットペーパにしみ込んだ尿に接触させても良い。
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、図2(C)に示すように、便器98に尿99を溜め、筐体10を手に持ってセンサ部30を便器に溜まった尿に浸漬しても良い。たとえ予め便器98に水が存在していて尿99が薄まったとしても、尿99が薄められること自体は、得られた演算結果(濃度比)には影響しない。
いずれにしても、この手持ちタイプの尿成分分析装置によれば、簡単な操作で後述の演算結果が得られる。
なお、図2(D)に示すように、センサ部30は、筐体10との間に、ユーザとしての被測定者によって力を加えられると塑性変形して曲がった状態になるフレキシブルな延長部31を有するのが望ましい。この延長部30を曲げておくことにより、ユーザとしての被測定者は、排尿時に楽な姿勢でセンサ部30に尿を降りかけることができる。
図1中に示した制御部11は、ソフトウェアによって動作するCPU(中央演算処理ユニット)を含み、演算部等として働いて後述の各種処理を実行する。
データ入力部12は、センサ部30が取得した尿中の2つの特定成分(第1特定成分、第2特定成分)の濃度に関するデータを、この例ではリアルタイムで入力する。
操作部13は、図2(A)中に示すスクロールボタン13Aを含み、ユーザからの各種情報を入力するために働く。入力される情報としては、測定される尿が、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿などのうちのいずれの尿であるかを表す尿指定情報や、被測定者の血圧・BMI(ボディマス指数)を表す情報などが含まれる。尿指定情報を入力するとき、操作部13は尿指定部として働く。
記憶部14は、この例ではEEPROM(電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ)からなり、相関関係記憶部15、演算結果記憶部16、およびアドバイステーブル17を含んでいる。
相関関係記憶部15は、例えば図5(A),(B)に示すように、実測された1回の尿中のNa濃度と、実測された1日の全尿中のNa濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している(図中の点がそれぞれ実測データを示す。)。具体的には、図5(A)は、実測された起床後1回目の尿中のNa濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNa濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係を直線(図5(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.77であり、高い相関関係があることを示している。図5(B)は、実測された起床後2回目の尿中のNa濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNa濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係も同様に直線(図5(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.80であることを示している。
また、相関関係記憶部15は、図6(A),(B)に示すように、実測された1回の尿中のK濃度と、実測された1日の全尿中のK濃度との間の相関関係を記憶している(図中の点がそれぞれ実測データを示す。)。具体的には、図6(A)は、実測された起床後1回目の尿中のK濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のK濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係を直線(図6(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.55であることを示している。図6(B)は、実測された起床後2回目の尿中のK濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のK濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係も同様に直線(図6(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.73であることを示している。
なお、相関関係を表すデータとして直線近似の式を記憶する場合を一例として説明したが、これに限られるものではない。相関関係記憶部15は、その他の関数や、換算データベースなどを記憶しておいても良い。
また、実測された被測定者の全尿中のNa濃度、K濃度および後述のNa/K比は、その被測定者が排泄した全ての尿を1つに収集して測定されている(蓄尿法。以下同様。)。
アドバイステーブル17は、例えば図21に示すように、Na/K比と、Na/K比に応じた被測定者に対するアドバイスとを対応づけて記憶している。例えばNa/K比が0.0−1.0の範囲内であれば、「理想的な値です」というアドバイスが対応している。Na/K比が1.0−2.0の範囲内であれば、「目標が達成できています」というアドバイスが対応している。Na/K比が2.0−2.5の範囲内であれば、「あと少しで目標達成です」というアドバイスが対応している。Na/K比が2.5−3.0の範囲内であれば、「数値が高いので食生活に気をつけましょう。」というアドバイスが対応している。Na/K比が3.0以上であれば、「数値が高過ぎです。食生活に十分注意しましょう。」というアドバイスが対応している。なお、アドバイステーブル17内のNa/K比の数値範囲の区分は一例であり、数値範囲の区分を変更した設定も可能である。
図1中に示す演算結果記憶部16は、制御部11による演算結果(後述の被測定者の1日の全尿中におけるNa/K比)を、それぞれ測定日時と対応づけて、順次記憶する。例えば、ユーザは、この演算結果記憶部の内容を読み出すことによって、ユーザは、被測定者の1日の全尿中におけるNa/K比の、日ごとの変化の傾向を、容易に知ることができる。
表示部18は、この例ではLCD(液晶表示素子)(図2(A)参照)からなり、制御部11による演算結果などの各種情報を表示する。
この尿成分分析装置90は、制御部11による制御によって、全体として例えば図3に示すフローに従って動作する。
i) まず、図3中のステップS101に示すように、例えばユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、まず尿指定モードに入る。
この例では、尿指定モードでは、制御部11が尿指定部として働いて、表示部18に「起床後1回目の尿」、「起床後2回目の尿」、「就寝直前の尿」などの選択肢を表示させる。これらの選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「起床後1回目の尿」、「起床後2回目の尿」、「就寝直前の尿」などの選択肢が順次選択候補として強調表示される。例えば「起床後1回目の尿」が強調表示されている状態で、ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、測定される尿が「起床後1回目の尿」であることが入力される。このようにして、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿などのうちのいずれの尿であるかを表す尿指定情報を入力する。尿指定情報の入力が完了すると、尿測定モードに入る。
なお、測定される尿が例えば常に「起床後1回目の尿」に限られている場合は、この尿指定モード(ステップS101)をスキップすることが可能である。
ii) 次に、尿測定モードでは、例えば図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、図3中のステップS102に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa濃度、K濃度を表すデータをそれぞれ取得し、データ入力部12がそれらのNa濃度、K濃度を表すデータをそれぞれリアルタイムで入力する。
このデータ入力が完了すると、演算モードに入る。
iii) 次に、演算モードでは、図3中のステップS103に示すように、制御部11が演算部として働いて、データ入力部12を介して得られた被測定者の1回の尿99中におけるNa濃度、K濃度に基づいて、相関関係記憶部15に記憶された相関関係(この例では、図5(A)、図6(A)に示したもの)を用いて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNa濃度、K濃度をそれぞれ換算して求める。
なお、換算の対象が「起床後2回目の尿」のものであれば、それに応じて、図5(B)、図6(B)に示した相関関係を用いることになる。
iv) さらに、図3中のステップS104に示すように、制御部11が演算部として働いて、それらの換算結果に基づいて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNa/K比を算出する。
v) そして、ステップS105に示すように、この換算により得られたNa/K比を、測定日時と対応づけて、演算結果記憶部16に記憶させる。これとともに、制御部11が演算結果報知部として働いて、この換算により得られたNa/K比を、表示部18に表示させる。
vi) また、ステップS106に示すように、制御部11がアドバイス部として働いてアドバイステーブル17(図21)を参照して、上記換算により得られたNa/K比とともに、この換算により得られたNa/K比に応じたアドバイスを選択して、表示部18に表示させる。
例えばNa/K比が0.5であれば、その数値と「理想的な値です」というアドバイスとを表示させる。
このようにした場合、被測定者が排泄した1回の尿中におけるNa濃度、K濃度に基づいて、1日の全尿中におけるNa濃度、K濃度をそれぞれ換算して求めているので、被測定者が排泄した尿の量を実際に計測する必要がない。また、被測定者が排泄した少なくとも1回の尿中におけるNa濃度、K濃度が入力データとして得られれば、換算結果が得られる。したがって、この尿成分分析装置90によれば、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を簡便に求めることができる。
図7(A),(B)は、それぞれ、上述のように1回の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比を用いて検証した結果を示している(複数の被測定者の結果を含む。)。具体的には、図7(A)は、起床後1回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比(横軸)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸)とを対応させて、相関係数を求めたときの結果を示している。このとき相関係数はr=0.65であった。図7(B)は、起床後2回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比(横軸)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸)とを対応させて、相関係数を求めたときの結果を示している。このとき相関係数はr=0.84であった。
また、図8(A)は、被測定者No.2について、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNa/K比(図中の破線で結んだデータ)を、実測された日ごとの全尿中のNa/K比(図中の実線で結んだデータ)を用いて検証した結果を示している。図8(B)は、被測定者No.6について、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNa/K比(図中の破線で結んだデータ)を、実測された日ごとの全尿中のNa/K比(図中の実線で結んだデータ)を用いて検証した結果を示している。
これらの図7(A),(B)、図8(A),(B)の検証結果で、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られている。これにより、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を精度良く求めることができることが分かった。
なお、上記電源スイッチのオンに続いて、例えばユーザがスクロールボタン13Aを3秒間以上押し続けると、制御部11が表示部18に「尿指定」、「血圧」、「BMI」などの、いずれの情報を入力するかの選択肢を表示させるようにしても良い。これらの選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「尿指定」、「血圧」、「BMI」などの選択肢が順次選択候補として強調表示されるものとする。例えば「血圧」が強調表示されている状態で、ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、「血圧」を入力するモードに入る。「血圧」を入力するモードでは、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、血圧(最高血圧または最低血圧)の入力候補を示す値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている値が被測定者の血圧(最高血圧または最低血圧)として入力される。BMIも、血圧と同様の仕方で、入力することが可能である。
その場合、図22に示すように、アドバイステーブル17に、Na/K比だけでなく、血圧、BMIにも応じたアドバイスを記憶させておけば、被測定者に対してより適切なアドバイスを提供できる。図22の例では、Na/K比の範囲「0.0−1.0」、「1.0−2.0」、「2.0−2.5」、「2.5−3.0」、「3.0以上」のそれぞれに対して、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg未満」かつBMIが「25未満」の場合と、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25以上」の場合と、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25未満」の場合とに分けて、アドバイスが記憶されている。
例えば、Na/K比の範囲が「1.0−2.0」で、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25以上」の場合については、「Na/K比は目標達成です。減量/運動・服薬も行って下さい。」というアドバイスが記憶されている。
また、Na/K比の範囲が「3.0以上」で、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25以上」の場合については、「Na/K比が高過ぎです。食生活に十分注意しましょう。減量/運動・服薬も行って下さい。」というアドバイスが記憶されている。
このようなアドバイステーブルを備えた場合、被測定者に対してきめ細かい、より適切なアドバイスを提供することが可能となる。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、被測定者が排泄した1回の尿中におけるNa濃度、K濃度に基づいて、1日の全尿中におけるNa濃度、K濃度をそれぞれ換算して求めたが、それに限られるものではない。被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回(この例では、2回)の尿中におけるNa濃度、K濃度に基づいて、1日の全尿中におけるNa濃度、K濃度をそれぞれ換算して求めても良い。
この場合、相関関係記憶部15に、例えば図9(A)に示すように、2回(起床後1回目、2回目)の尿を用いて得られた平均Na濃度と、実測された1日の全尿中のNa濃度との間の相関関係を表すデータを記憶させておく。これとともに、図9(B)に示すように、2回(起床後1回目、2回目)の尿を用いて得られた平均K濃度と、実測された1日の全尿中のK濃度との間の相関関係を記憶させておく。
具体的には、図9(A)は、実測された起床後1回目の尿中のNa濃度と実測された起床後2回目の尿中のNa濃度とを平均して得られた平均Na濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNa濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係を直線(図9(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.82であり、高い相関関係があることを示している。図9(B)は、実測された起床後1回目の尿中のK濃度と実測された起床後2回目の尿中のK濃度とを平均して得られた平均K濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のK濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係も同様に直線(図9(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.78であることを示している。
または、図9(A),(B)の相関関係に代えて、もしくは図9(A),(B)の相関関係に加えて、例えば図10(A)に示すように、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて得られた平均Na濃度と、実測された1日の全尿中のNa濃度との間の相関関係を記憶させておく。これとともに、図10(B)に示すように、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて得られた平均K濃度と、実測された1日の全尿中のK濃度との間の相関関係を記憶させておく。
具体的には、図10(A)は、実測された就寝直前の尿中のNa濃度と実測された起床後1回目の尿中のNa濃度とを平均して得られた平均Na濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNa濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係を直線(図10(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.83であることを示している。図10(B)は、実測された就寝直前の尿中のK濃度と実測された起床後1回目の尿中のK濃度とを平均して得られた平均K濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のK濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係も同様に直線(図10(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.75であることを示している。
この場合、この尿成分分析装置90は、制御部11による制御によって、全体として図4に示すフローに従って動作する。
i) まず、図4中のステップS201に示すように、例えばユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、まず1回目の尿指定モードに入る。
この例では、1回目の尿指定モードでは、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、就寝直前の尿であることを表す尿指定情報を入力するものとする。尿指定情報の入力が完了すると、1回目の尿測定モードに入る。
ii) 1回目の尿測定モードでは、例えば図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、図4中のステップS202に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa濃度、K濃度を表すデータをそれぞれ取得し、データ入力部12がそれらのNa濃度、K濃度を表すデータをそれぞれリアルタイムで入力する。
この例では、ここで演算モードには入らず、ユーザが図示しない電源スイッチをオフするものとする。なお、既に入力されたNa/K比は、記憶部14に記憶しておくものとする。
iii) 次に、図4中のステップS203に示すように、ユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、2回目の尿指定モードに入る。
この例では、2回目の尿指定モードでは、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、起床後1回目の尿であることを表す尿指定情報を入力するものとする。尿指定情報の入力が完了すると、2回目の尿測定モードに入る。
iv) 2回目の尿測定モードでは、再び図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、図4中のステップS204に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa濃度、K濃度を表すデータをそれぞれ取得し、データ入力部12がそれらのNa濃度、K濃度を表すデータをそれぞれリアルタイムで入力する。
この2回目のデータ入力が完了すると、演算モードに入る。
v) 演算モードでは、図4中のステップS205に示すように、制御部11が演算部として働いて、Na、Kのそれぞれについて、被測定者が排泄した2回(この例では、就寝直前と起床後1回目)の尿中における濃度を平均して平均濃度を求める。つまり、実測された就寝直前の尿中のNa濃度と実測された起床後1回目の尿中のNa濃度とを平均して、平均Na濃度を得る。これとともに、実測された就寝直前の尿中のK濃度と実測された起床後1回目の尿中のK濃度とを平均して、平均K濃度を得る。これらの平均Na濃度、平均K濃度が換算の対象となる。
vi) 次に、図4中のステップS206に示すように、制御部11が演算部として働いて、得られた平均Na濃度、平均K濃度に基づいて、相関関係記憶部15に記憶された相関関係(この例では、図10(A),(B)に示したもの)を用いて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNa濃度、K濃度をそれぞれ換算して求める。
なお、換算の対象が「起床後1回目の尿」と「起床後2回目の尿」のものであれば、それに応じて、図9(A),(B)に示した相関関係を用いることになる。
vii) さらに、図4中のステップS207に示すように、制御部11が演算部として働いて、それらの換算結果に基づいて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNa/K比を算出する。
viii) そして、ステップS208に示すように、この換算により得られたNa/K比を、測定日時と対応づけて、演算結果記憶部16に記憶させる。これとともに、制御部11が演算結果報知部として働いて、この換算により得られたNa/K比を、表示部18に表示させる。
ix) また、ステップS209に示すように、制御部11がアドバイス部として働いてアドバイステーブル17(図21または図22)を参照して、上記換算により得られたNa/K比とともに、この換算により得られたNa/K比に応じたアドバイスを選択して、表示部18に表示させる。
図11(A),(B)は、それぞれ、上述のように2回の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日当たり全尿中のNa/K比を用いて検証した結果を示している(複数の被測定者の結果を含む。)。具体的には、図11(A)は、起床後1回目、2回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比(横軸)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸)とを対応させて、相関係数を求めたときの結果を示している。このとき相関係数はr=0.77であった。図11(B)は、就寝直前、起床後1回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比(横軸)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸)とを対応させて、相関係数を求めたときの結果を示している。このとき相関係数はr=0.74であった。
これらの図11(A),(B)の検証結果で、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られている。これにより、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を精度良く求めることができることが分かった。
なお、1回または2回の尿中におけるNa濃度、K濃度または平均Na濃度、平均K濃度を換算の対象とする場合、いずれを用いるかについては、換算の精度と、被測定者による尿計測実施の容易さとを考慮して決定するのが望ましい。換算の精度の順は、概ね、第1位が「起床後1回目の尿」と「起床後2回目の尿」との組み合わせ、第2位が「就寝直前の尿」と「起床後1回目の尿」との組み合わせ、第3位が「起床後2回目の尿」、第4位が「起床後1回の尿」という順になる(第1位と第2位とは、ほぼ同じ精度である。)。被測定者が起床後1回目の尿のNa濃度、K濃度を自宅で計測した後、直ちに出勤する場合、出勤先で「起床後2回目の尿」のNa濃度、K濃度を計測するのは、実際問題として難しい。したがって、その場合は、第2位の「就寝直前の尿」と「起床後1回目の尿」との組み合わせを用いるのが望ましい。
また、相関関係記憶部15に記憶された相関関係の基準となる「実測された1日の全尿中のNa濃度」、「実測された1日の全尿中のK濃度」は、それぞれ、ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中における濃度として求めることができる。その場合、求められた濃度は、各日の尿量や排尿回数に影響されることがない。また、上記相関関係の基準となる「実測された1日の全尿中のNa濃度」、「実測された1日の全尿中のK濃度」は、それぞれ、ヒトが排泄した尿について1日当たりの濃度の平均値を求め、さらに上記1日当たりの濃度の平均値を複数日にわたって平均して求めても良い。この場合、ヒトが上記複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集する必要がなく、1日毎に尿を収集して、1日当たりの濃度の平均値を求めてゆけば良い。したがって、上記相関関係を容易に取得できる。
(第3実施形態)
上述の第1、第2実施形態では、被測定者が排泄した尿中におけるNa濃度、K濃度に基づいて、1日の全尿中におけるNa濃度、K濃度をそれぞれ換算して求め、それからNa/K比を求めたが、それに限られるものではない。演算部としての制御部11は、被測定者が排泄した尿中におけるNa/K比を換算の対象としても良い。
この場合、相関関係記憶部15に、例えば図14(A),(B)に示すように、ヒトが排泄した1回の尿中におけるNa/K比と、ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの1日の全尿中におけるNa/K比との間の相関関係を表すデータを記憶させておく。
具体的には、図14(A)は、実測された起床後1回目の尿中のNa/K比(横軸xとする。)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係を指数関数(図14(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその指数関数の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.60であることを示している。図14(B)は、実測された起床後2回目の尿中のNa/K比(横軸xとする。)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係も同様に指数関数(図14(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその指数関数の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.88であることを示している。
また、センサ部30は被測定者が排泄した1回または複数回の尿中におけるNa/K比を直接取得し、データ入力部12はそのNa/K比を表すデータをリアルタイムで入力するものとする。
この尿成分分析装置90は、制御部11による制御によって、全体として例えば図12に示すフローに従って動作する。
i) まず、図12中のステップS301に示すように、例えばユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、まず尿指定モードに入る。
この例では、尿指定モードでは、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、起床後1回目の尿であることを表す尿指定情報を入力するものとする。尿指定情報の入力が完了すると、尿測定モードに入る。
なお、測定される尿が例えば常に「起床後1回目の尿」に限られている場合は、この尿指定モード(ステップS301)をスキップすることが可能である。
ii) 次に、尿測定モードでは、例えば図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、図12中のステップS302に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa/K比を表すデータを取得し、データ入力部12がそのNa/K比を表すデータをリアルタイムで入力する。
このデータ入力が完了すると、演算モードに入る。
iii) 次に、演算モードでは、図12中のステップS303に示すように、制御部11が演算部として働いて、データ入力部12を介して得られた被測定者の1回の尿99中におけるNa/K比に基づいて、相関関係記憶部15に記憶された相関関係(この例では、図14(A)に示したもの)を用いて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求める。
なお、換算の対象が「起床後2回目の尿」のものであれば、それに応じて、図14(B)に示した相関関係を用いることになる。
iv) そして、図12中のステップS304に示すように、この換算により得られたNa/K比を、測定日時と対応づけて、演算結果記憶部16に記憶させる。これとともに、制御部11が演算結果報知部として働いて、この換算により得られたNa/K比を、表示部18に表示させる。
v) また、ステップS305に示すように、制御部11がアドバイス部として働いてアドバイステーブル17(図21または図22)を参照して、上記換算により得られたNa/K比とともに、この換算により得られたNa/K比に応じたアドバイスを選択して、表示部18に表示させる。
このようにした場合、被測定者が排泄した1回の尿中におけるNa/K比に基づいて、1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求めているので、被測定者が排泄した尿の量を実際に計測する必要がない。また、被測定者が排泄した少なくとも1回の尿中におけるNa/K比が入力データとして得られれば、換算結果が得られる。したがって、この尿成分分析装置90によれば、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を簡便に求めることができる。
図15(A),(B)は、それぞれ、上述のように1回の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比を用いて検証した結果を示している(複数の被測定者の結果を含む。)。具体的には、図15(A)は、起床後1回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比(横軸)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸)とを対応させて、相関係数を求めたときの結果を示している。このとき相関係数はr=0.60であった。図15(B)は、起床後2回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比(横軸)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸)とを対応させて、相関係数を求めたときの結果を示している。このとき相関係数はr=0.88であった。
また、図16(A)は、被測定者No.2について、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNa/K比(図中の破線で結んだデータ)を、実測された日ごとの全尿中のNa/K比(図中の実線で結んだデータ)を用いて検証した結果を示している。図16(B)は、被測定者No.6について、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNa/K比(図中の破線で結んだデータ)を、実測された日ごとの全尿中のNa/K比(図中の実線で結んだデータ)を用いて検証した結果を示している。
これらの図15(A),(B)、図16(A),(B)の検証結果で、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られている。これにより、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を精度良く求めることができることが分かった。
なお、この実施形態では、相関関係記憶部15に記憶されている相関関係を指数関数で近似したが、これに限られるものではなく、直線で近似しても良い。直線で近似した場合も、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を簡便に求めることができる。
(第4実施形態)
上述の第3実施形態では、被測定者が排泄した1回の尿中におけるNa/K比に基づいて、1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求めたが、それに限られるものではない。被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回(この例では2回)の尿中におけるNa/K比に基づいて、1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求めても良い。
この場合、相関関係記憶部15に、例えば図17(A)に示すように、2回(起床後1回目、2回目)の尿を用いて得られた平均Na/K比と、実測された1日の全尿中のNa/K比との間の相関関係を表すデータを記憶させておく。具体的には、図17(A)は、実測された起床後1回目の尿中のNa/K比と実測された起床後2回目の尿中のNa/K比とを平均して得られた平均Na/K比(横軸xとする。)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係を直線(図17(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.76であり、高い相関関係があることを示している。
または、図17(A)の相関関係に代えて、もしくは図17(A)の相関関係に加えて、例えば図17(B)に示すように、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて得られた平均Na/K比と、実測された1日の全尿中のNa/K比との間の相関関係を記憶させておく。具体的には、図17(B)は、実測された就寝直前の尿中のNa/K比と実測された起床後1回目の尿中のNa/K比とを平均して得られた平均Na/K比(横軸xとする。)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係も同様に直線(図17(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.76であることを示している。
この場合、この尿成分分析装置90は、制御部11による制御によって、全体として図13に示すフローに従って動作する。
i) まず、図13中のステップS401に示すように、例えばユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、まず1回目の尿指定モードに入る。
この例では、1回目の尿指定モードでは、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、就寝直前の尿であることを表す尿指定情報を入力するものとする。尿指定情報の入力が完了すると、1回目の尿測定モードに入る。
ii) 1回目の尿測定モードでは、例えば図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、図13中のステップS402に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa/K比を表すデータを取得し、データ入力部12がそのNa/K比を表すデータをリアルタイムで入力する。
この例では、ここで演算モードには入らず、ユーザが図示しない電源スイッチをオフするものとする。なお、既に入力されたNa/K比は、記憶部14に記憶しておくものとする。
iii) 次に、図13中のステップS403に示すように、ユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、2回目の尿指定モードに入る。
この例では、2回目の尿指定モードでは、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、起床後1回目の尿であることを表す尿指定情報を入力するものとする。尿指定情報の入力が完了すると、2回目の尿測定モードに入る。
iv) 2回目の尿測定モードでは、再び図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、図13中のステップS404に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa/K比を表すデータを取得し、データ入力部12がそのNa/K比を表すデータをリアルタイムで入力する。
この2回目のデータ入力が完了すると、演算モードに入る。
v) 演算モードでは、図13中のステップS405に示すように、制御部11が演算部として働いて、被測定者が排泄した2回(この例では、就寝直前と起床後1回目)の尿中におけるNa/K比を平均して平均Na/K比を求める。つまり、実測された就寝直前の尿中のNa/K比と実測された起床後1回目の尿中のNa/K比とを平均して、平均Na/K比を得る。この平均Na/K比が換算の対象となる。
vi) 次に、図13中のステップS406に示すように、制御部11が演算部として働いて、得られた平均Na/K比に基づいて、相関関係記憶部15に記憶された相関関係(この例では、図17(B)に示したもの)を用いて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求める。
なお、換算の対象が「起床後1回目の尿」と「起床後2回目の尿」のものであれば、それに応じて、図17(A)に示した相関関係を用いることになる。
vii) さらに、図13中のステップS407に示すように、この換算により得られたNa/K比を、測定日時と対応づけて、演算結果記憶部16に記憶させる。これとともに、制御部11が演算結果報知部として働いて、この換算により得られたNa/K比を、表示部18に表示させる。
viii) そして、ステップS408に示すように、制御部11がアドバイス部として働いてアドバイステーブル17(図21または図22)を参照して、上記換算により得られたNa/K比とともに、この換算により得られたNa/K比に応じたアドバイスを選択して、表示部18に表示させる。
このように、2回の尿中におけるNa/K比に基づいて、1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求めた場合も、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られて、その結果、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を精度良く求めることができる。
なお、1回または2回の尿中におけるNa/K比または平均Na/K比を換算の対象とする場合、いずれを用いるかについては、換算の精度と、被測定者による尿計測実施の容易さとを考慮して決定するのが望ましい。換算の精度の順は、概ね、第1位が「起床後1回目の尿」と「起床後2回目の尿」との組み合わせ、第2位が「就寝直前の尿」と「起床後1回目の尿」との組み合わせ、第3位が「起床後2回目の尿」、第4位が「起床後1回の尿」という順になる(第1位と第2位とは、ほぼ同じ精度である。)。被測定者が起床後1回目の尿のNa/K比を自宅で計測した後、直ちに出勤する場合、出勤先で「起床後2回目の尿」のNa/K比を計測するのは、実際問題として難しい。したがって、その場合は、第2位の「就寝直前の尿」と「起床後1回目の尿」との組み合わせを用いるのが望ましい。
また、相関関係記憶部15に記憶された相関関係の基準となる「実測された1日の全尿中のNa/K比」は、ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中におけるNa/K比として求めることができる。その場合、求められた濃度は、各日の尿量や排尿回数に影響されることがない。また、上記相関関係の基準となる「実測された1日の全尿中のNa/K比」は、ヒトが排泄した尿について1日当たりの濃度の平均値を求め、さらに上記1日当たりの濃度の平均値を複数日にわたって平均して求めても良い。この場合、ヒトが上記複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集する必要がなく、1日毎に尿を収集して、1日当たりの濃度の平均値を求めてゆけば良い。したがって、上記相関関係を容易に取得できる。
(第5実施形態)
上述の第4実施形態では、被測定者が排泄した2回の尿中におけるNa/K比に基づいて、1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求めたが、それに限られるものではない。被測定者が1日または複数日にわたって排泄した3回以上の尿中におけるNa/K比に基づいて、1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求めても良い。
この場合、相関関係記憶部15に、例えば図18(A),(B)、図19(A),(B)、図20に示すように、1回、2回、3回、5回、7回の尿を用いて得られた平均Na/K比と、実測された1日の全尿中のNa/K比との間の相関関係を表すデータを記憶させておく。
具体的には、図18(A)は、実測された1日の起床後1回目の尿中のNa/K比(横軸xとする。)と、実測された1日の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係を直線(図18(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.50であることを示している。図18(B)は、実測された2日間にわたる起床後1回目の尿中のNa/K比を平均して得られた平均Na/K比(横軸xとする。)と、実測された2日間の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係を直線(図18(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.65であることを示している。図19(A)は、実測された3日間にわたる起床後1回目の尿中のNa/K比を平均して得られた平均Na/K比(横軸xとする。)と、実測された3日間の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係を直線(図19(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.72であることを示している。図19(B)は、実測された5日間にわたる起床後1回目の尿中のNa/K比を平均して得られた平均Na/K比(横軸xとする。)と、実測された5日間の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係を直線(図19(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.72であることを示している。図20は、実測された7日間にわたる起床後1回目の尿中のNa/K比を平均して得られた平均Na/K比(横軸xとする。)と、実測された7日間の全尿中のNa/K比(縦軸yとする。)との間の関係を直線(図20中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.68であることを示している。
ここで、被測定者が排泄した1回の尿中におけるNa/K比に基づいて1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求める場合は、この尿成分分析装置90の制御部11による制御のフローは、それぞれ図12に示したフローと同じになる。被測定者が排泄した2回以上の尿中におけるNa/K比に基づいて1日の全尿中におけるNa/K比を換算して求める場合は、この尿成分分析装置90の制御部11による制御のフローは、図13のフローのうち、ステップS401の尿指定モードとステップS402の尿測定モードとを、尿測定の回数だけ繰り返して実施するものとなる。ステップS405からステップS408までの処理は、第4実施形態におけるのと同様である。
このようにした場合も、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られて、被測定者が排泄した1日の全尿中におけるNa/K比を精度良く求めることができる。
総合すると、被測定者が排泄した尿中における特定成分の濃度に関するデータを計測する回数、期間(日数)については、1日1回または複数回の尿を1日または複数日にわたって計測しても良いと言える。計測回数、日数を増やすと、換算により得られたNa/K比の精度を高めることができる。なお、被測定者は計測期間中に毎日計測する必要はない。例えば、7日間の計測期間中に6回だけ計測するようにしても良い。
なお、上述の各実施形態では、ユーザが操作部13を介して、測定される尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿などのうちのいずれの尿であるかを表す尿指定情報を入力するものとしたが、これに限られるものではない。制御部11が尿判断部として働いて、Na濃度、K濃度に関するデータが入力された時刻に応じて、被測定者が排泄した1回の尿または複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断しても良い。これにより、ユーザが尿指定情報を入力する手間を省くことができる。
その場合、予めユーザが操作部13を睡眠時間帯設定部として用いて、被測定者が睡眠をとる睡眠時間帯を設定しておくのが望ましい。そのように睡眠時間帯が設定された場合、制御部11は尿判断部として、Na濃度、K濃度に関するデータが入力された時刻を上記睡眠時間帯と比較して、被測定者が排泄した1回の尿または複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断することができる。したがって、制御部11による尿判断部としての判断の精度が高まる。
なお、睡眠時間帯の設定入力は、既述の「尿指定」、「血圧」、「BMI」、「排尿日時」などの入力と同様に行うことができる。すなわち、上記電源スイッチのオンに続いて、例えばユーザがスクロールボタン13Aを3秒間以上押し続けると、制御部11が表示部18に「尿指定」、「血圧」、「BMI」などに続いて、「睡眠時間帯」の情報を入力するかの選択肢を表示させる。この選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「睡眠禁止時間帯」の始期の値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている時刻が「睡眠時間帯」の始期として入力される。続いて、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「睡眠時間帯」の終期の値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている時刻が「睡眠時間帯」の終期として入力される。このようにして、「睡眠時間帯」が設定される。なお、睡眠時間帯は、記憶部14に記憶される。
また、上述の各実施形態では、各種情報の報知のために表示部18を備えたが、これに限られるものではない。例えば、表示部18に加えて、または表示部18に代えて、スピーカを備えても良い。この場合、制御部11が算出したNa/K比およびこのNa/K比に応じたアドバイスを、上記スピーカによって音声でユーザに報知することができる。
(第6実施形態)
本発明者らは、計測回数、日数を増やして実験を重ねた。その結果、複数日にわたる複数回の尿の測定データ(Na/K比)を用いるとき、換算の対象として、できるだけ互いに異なる日のできるだけ互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択すると、換算により得られたNa/K比の精度を高めることができることが分かった。
例えば図23は、1日当たり1回の尿中のNa/K比を最長7日間にわたって測定したときの、測定回数と相関係数との間の関係を示している。同図の横軸は、被測定者が排泄した1回の尿中のNa/K比の測定回数(実測回数)を表している。同図の縦軸は、実測された1回ごとの尿中のNa/K比を測定回数(横軸が表す)分だけ平均して得られた平均Na/K比と、実測された7日間の全尿中のNa/K比との間の相関係数rを表している。ここで、測定回数が7回未満の場合、初日から測定回数分の日までの平均Na/K比が換算に用いられている。例えば測定回数が4回の場合は、初日から4日目までの4回分の平均Na/K比が換算に用いられている。なお、医療の分野の現状では、ヒトが7日間に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記7日間の全尿中におけるNa/K比が、上記ヒトの健康状態を評価するための基準になっている。
同図中の○印は、各日における測定対象を「起床後1回目の尿」に限定したときの結果を表している。□印は、各日における測定対象を「起床後2回目の尿」に限定したときの結果を表している。△印は、各日における測定対象を「就寝直前の尿」に限定したときの結果を表している。◇印は、各日における測定対象をランダム、つまり随時尿にしたときの結果を表している。
この図23から分かるように、1回の尿中のNa/K比の測定回数が増えてゆくと、相関係数rが上昇して、換算の精度が高まっている。ただし、測定回数が5回以上になると、相関係数rがほぼ飽和している。また、測定対象を「起床後1回目の尿」、「起床後2回目の尿」、「就寝直前の尿」というように限定するよりも、むしろランダム、つまり随時尿にした方が、相関係数rが高くなっている(特に、測定回数が3回以上で)。
したがって、演算部として働く制御部11は、換算の対象として、記憶部14に記憶された被測定者に関する測定データのうち、互いに異なる日の互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択するのが望ましい。この結果、換算の精度が高まる。この「時間帯」とは、1日を複数に区分したときの時間帯を指し、例えば1時間毎、2時間毎または3時間毎の時間帯を指す。
また、制御部11は、換算の対象として、記憶部14、特に後述の測定データ記憶部14Aに記憶された被測定者に関する測定データのうち、互いに異なる日の互いに異なる時間帯の少なくとも5回分の測定データを選択するのが望ましい。この結果、換算の精度が高まる。また、少なくとも5回分の測定データを用いれば、上述のように換算の精度がほぼ飽和する。したがって、例えば予め5回分の測定データを用いることを定めておけば、排尿および測定のために被測定者に過度の手間をかけさせることがない。
また、上記互いに異なる日は少なくとも7日間を含むのが望ましい。この場合、制御部11は、換算の対象として、記憶部14、特に後述の測定データ記憶部14Aに記憶された被測定者に関する測定データのうち、複数日の測定データを選択するとき、互いに異なる少なくとも7日間の互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択する。この結果、換算の精度が高まる。なお、少なくとも7日間の測定データを選択する理由は、1週間(7日間)が多くのヒトの生活(食生活を含む。)のサイクルになっているからである。
また、上記互いに異なる日は互いに異なる曜日を含むのが望ましい。この場合、制御部11は、換算の対象として、記憶部14、特に後述の測定データ記憶部14Aに記憶された被測定者に関する測定データのうち、複数日の測定データを選択するとき、互いに異なる曜日の互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択する。この結果、換算の精度が高まる。なお、互いに異なる曜日の測定データを選択する理由は、上の場合と同様に、1週間(7日間)が多くのヒトの生活(食生活を含む。)のサイクルになっているからである。
図24から図26までは、それぞれ、1回分から5回分の随時尿を用いて制御部11の換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比(実際は7日間の全尿中のNa/K比を1日の全尿中のNa/K比と表記したもの。以下同様。)を用いて検証した結果を示している。
具体的には、図24(A)は、1回分の随時尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比との対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.53、標準偏差はSD=1.13になっている。図24(B)は、互いに異なる日時の2回分の随時尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比と対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.69、標準偏差はSD=1.04になっている。図25(A)は、互いに異なる日時の3回分の随時尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比と対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.76、標準偏差はSD=0.81になっている。図25(B)は、互いに異なる日時の4回分の随時尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比と対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.83、標準偏差はSD=0.67になっている。図26は、互いに異なる日時の5回分の随時尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比と対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.85、標準偏差はSD=0.63になっている。
このように、1回の尿中のNa/K比の測定回数が1回分から5回分まで増えてゆくと、相関係数rが上昇するとともに標準偏差SDが減少して、換算の精度が高まることを検証できた。
なお、制御部11が5回分の尿の測定データを換算の対象とする場合であっても、排尿時間帯が偏っていたり、排尿日が偏っていたりすると、換算の精度があまり高まらない。
例えば、図27(A)は、5回分の尿として5日間の起床後1回目の尿のみを用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比と対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.67、標準偏差はSD=1.00になっている。また、図27(B)は、5回分の尿として5日間の就寝直前の尿のみを用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比と対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.73、標準偏差はSD=0.86になっている。また、図28は、同じ日に排泄された毎回の尿のみを用いて換算により得られた1日の全尿中のNa/K比を、実測された1日の全尿中のNa/K比と対応させた結果を示している。このとき、相関係数はr=0.73、標準偏差はSD=0.85になっている。
これらの図27(A),(B)、図28の場合は、図26の場合に比して、相関係数rが低く、かつ標準偏差SDが大きくなっている。したがって、複数回の尿の測定データを換算の対象とする場合であっても、換算の精度があまり高まっていない。
これらの結果から、複数日にわたる尿の測定データを用いるとき、できるだけ互いに異なる日のできるだけ互いに異なる時間帯の複数回分の測定データを選択すると、換算により得られたNa/K比の精度をより高めることができることを検証できた。
なお、制御部11は、選択される複数回分の測定データとして、測定データ記憶部に記憶された被測定者に関する測定データのうち、最後に測定された1回の尿中におけるNa/K比を含めても良い。この結果、制御部11によって得られた換算結果は、被測定者の直近の健康状態を反映したものとなる。
(第7実施形態)
図29は、図1の尿成分分析装置90の変形例であって、複数日にわたる複数回の尿の測定データ(Na/K比)を用いてNa/K比の換算結果を得るのに適した尿成分分析装置90Bのブロック構成を示している。図29において、図1中の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付している。
この尿成分分析装置90Bは、図1の尿成分分析装置90の構成要素に加えて、時計41と、ネットワーク通信部42と、NFC通信部43と、警報部44とを備えている。さらに、この尿成分分析装置90Bは、図1の尿成分分析装置90に対して、記憶部14内に、測定データテーブルを記憶する測定データ記憶部14Aを備えている。
時計41は、現在の日時を計数する。
ネットワーク通信部42は、制御部11からの情報をこの例では3G(第3世代移動通信システム)やWi−Fi(登録商標)などの無線の通信回線を介してネットワーク上の他の装置(図示せず)へ送信するとともに、ネットワーク上の他の装置(図示せず)から送信されてきた情報を受信して制御部11に受け渡す。これにより、例えばインターネットを介して、他の装置と連携してユーザに健康関連情報を提供することが可能になる。なお、通信回線は、無線に限らず、有線であっても良い。
NFC(Near Field Communication;近距離無線通信)通信部43は、被測定者が携行するID(識別)カードが接近されたとき、制御部11とともに個人認証部として働いて、被測定者を識別する。これにより、被測定者に関する測定データを個人単位で区別することによって、この尿成分分析装置90Bを複数の被測定者が共用することが可能になる。なお、被測定者を識別するためには、NFC通信部43に代えて、操作部13を介して被測定者がID番号を入力するようにしても良いし、また、指紋などを読み取る読取部を設けて、生体認証を行っても良い。
警報部44は、この例ではブザーからなり、制御部11からの制御信号に応じて警報音を鳴らす。
測定データ記憶部14Aは、例えば次のような測定データテーブルを記憶する。
(測定データテーブル)
これから分かるように、測定データテーブルは、被測定者ごとに、データ入力部12を介して得られた1日または複数日にわたる、各1回の尿中におけるNa/K比を、それぞれの尿が排泄された排尿日時、およびその尿のNa/K比が測定された測定日時と対応付けて、被測定者に関する測定データとして記憶している。
ここで、被測定者「山田太郎」氏の測定データについては、それぞれ次のようにして記録されたものである。まず、山田太郎氏がIDカードをNFC通信部43に接近させて、被測定者が「山田太郎」氏であることを認証させた。この個人認証に続いて、山田太郎氏は測定のために尿をセンサ部30に降りかけ、センサ部30がその1回の尿中におけるNa/K比を直接取得し、データ入力部12がそのNa/K比を表すデータをリアルタイムで入力した。これと同時に、時計41が計数する現在の日時を、排尿日時および測定日時として取り込んだ。この結果、被測定者「山田太郎」氏の測定データについては、排尿日時と測定日時とが一致している。例えば、被測定者「山田太郎」氏の最初の測定データについては、排尿日時2011/10/21 07:00と測定日時2011/10/21 07:00とが一致している。その1回の尿のNa/K比は4.5であった。このようにした場合、ユーザである被測定者が排尿日時を入力する手間を省くことができる。
被測定者「鈴木花子」氏の測定データについては、それぞれ次のようにして記録されたものである。鈴木花子が測定のために排泄した尿を一時的に容器に入れて保管した。その後、鈴木花子氏がIDカードをNFC通信部43に接近させて、被測定者が「鈴木花子」氏であることを認証させた。この個人認証に続いて、鈴木花子氏は、操作部13を排尿日時入力部として用いて、上記尿ついての排尿日時を入力した。続いて、鈴木花子氏は、容器中の尿にセンサ部30を浸漬し、センサ部30がその1回の尿中におけるNa/K比を直接取得し、データ入力部12がそのNa/K比を表すデータをリアルタイムで入力した。この結果、被測定者「鈴木花子」氏の測定データについては、排尿日時よりも測定日時が後になっている。例えば、被測定者「鈴木花子」氏の最初の測定データについては、排尿日時2011/12/01 07:00よりも測定日時2011/12/01 18:00が後になっている。その1回の尿のNa/K比は3.5であった。なお、排尿日時の入力を、尿にセンサ部30を浸漬した後(測定日時の後)に行っても良い。
このように、測定データ記憶部14Aが測定データテーブルを記憶することにより、様々な使用態様が可能となる。
また、制御部11は、演算部として、この測定データテーブルを用いて、既述の換算結果を得ることができる。
なお、排尿日時の入力は、既述の「尿指定」、「血圧」、「BMI」などの入力と同様に行うことができる。すなわち、上記電源スイッチのオンに続いて、例えばユーザがスクロールボタン13Aを3秒間以上押し続けると、制御部11が表示部18に「尿指定」、「血圧」、「BMI」などに続いて、「排尿日時」の情報を入力するかの選択肢を表示させる。この選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「排尿日時」の入力候補の値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている値が排尿日時として入力される。
(第8実施形態)
図30は、図29に示した尿成分分析装置90Bによる排尿の履歴表示と推奨に関する動作のフローを示している。このフローは、制御部11が排尿履歴報知部および排尿推奨日時報知部として働いて実行する。
i) まず、図30中のステップS501に示すように、或る被測定者の1回の尿中におけるNa/K比を測定するとともに、ステップS502に示すように、その1回の尿について、排尿日時、測定日時およびNa/K比を測定データ記憶部14Aに記憶させる。 このステップS501〜S502を繰り返して、測定データ記憶部14Aに上述のような測定データテーブルを構築してゆく。
ii) 次に、制御部11がヒストグラム作成部として働いて、上記測定データテーブルに記憶された排尿日時に基づいて、1日または複数日にわたる期間内の上記被測定者による排尿日時の履歴を表すヒストグラムを作成する。
このヒストグラムは、例えば図32(A)に示すように、上記被測定者による排尿日時の履歴を「測定回数」として曜日毎に表すものであっても良いし、または、図32(B)に示すように、上記被測定者による排尿日時の履歴を「測定回数」として時間帯毎に表すものであっても良い。この例では、図32(A)のような曜日毎のヒストグラムと図32(B)のような時間帯毎のヒストグラムとの両方を作成するものとする。
この例では、図32(A)の曜日毎のヒストグラムは、上記被測定者は、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、日曜日にそれぞれ1回以上排尿して測定を行った実績があるが、火曜日、木曜日には、排尿して測定を行った実績が無い(0回である)ことを示している。また、図32(B)の時間帯毎のヒストグラムは、上記被測定者は、0時台、6時台、7時台、20時台、21時台、22時台、23時台の時間帯(1時間毎)にそれぞれ1回以上排尿して測定を行った実績があるが、1時台から5時台までの時間帯、8時台から9時台までの時間帯、11時台から19時台までの時間帯には、排尿して測定を行った実績が無い(0回である)ことを示している。
iii) 次に、図30のステップS504に示すように、制御部11が第1の排尿推奨日時決定部として働いて、測定データテーブルに記憶された排尿日時に基づいて、上記被測定者に関する測定データが1日のうち互いに異なる時間帯または複数日のうち互いに異なる日の互いに異なる時間帯に得られるように、被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を決定する。
具体的には、上記測定データテーブルにおいて、上記排尿して測定を行った実績が無い曜日、また、排尿して測定を行った実績が無い時間帯を、上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時として決定する。
例えば、図32(A),(B)の例では、火曜日、木曜日に排尿して測定を行った実績が無かった。また、1時台から5時台までの時間帯、8時台から9時台までの時間帯、11時台から19時台までの時間帯には、排尿して測定を行った実績が無かった。したがって、火曜日、木曜日、1時台から5時台までの時間帯、8時台から9時台までの時間帯、11時台から19時台までの時間帯を、上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時として決定する。
iv) 次に、図30のステップS505に示すように、制御部11が排尿推奨日時報知部として働いて、上記被測定者による排尿日時の履歴を表すヒストグラムおよび上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を、表示部18に表示させて報知する。
例えば図32(A),(B)のようなヒストグラムを見ることにより、ユーザとしての被測定者は上記被測定者が過去に排尿や測定を行わなかった曜日や時間帯を、視覚を通して直感的に認識できる。また、被測定者は、過去に排尿や測定を行わなかった曜日や時間帯に、今後は排尿や測定を行うように促される。したがって、そのような曜日や時間帯に、今後は排尿や測定を行うように心掛けることができる。
上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時の表示は、上の例では「火曜日、木曜日、1時台から5時台までの時間帯、8時台から9時台までの時間帯、11時台から19時台までの時間帯に、排尿して測定を行ってください。」というメッセージとしても良い。または、具体的に日時を指定して、例えば「2012年5月1日(火曜日) 11:00頃に、排尿して測定を行ってください。」というメッセージとしても良い。
また、上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時は、表示部18に表示させるのに代えて、またはそれに加えて、警報部44によって排尿推奨日時に警報音を鳴らす動作を実行しても良い。この場合、上記被測定者は、警報音が鳴った日時に排尿や測定を行うように促される。または、排尿推奨日時に、ネットワーク通信部42によって上記被測定者に対して排尿を促すメールを送信する動作を実行しても良い。この場合、上記被測定者は、例えば自身の携帯電話やスマートフォンなどでメールを受信した日時に排尿や測定を行うように促される。なお、排尿推奨日時に先立って予め、上記被測定者に対して排尿推奨日時を記載したメールを送信して、その排尿推奨日時に排尿や測定を行うように促しても良い。また、被測定者がスマートフォンを携帯している場合は、上記被測定者に対して、ソフトウェア(Facebook(登録商標)などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を含む。)を介して、排尿推奨日時を報知しても良い。いずれの場合も、被測定者が排尿や測定を行うべき排尿推奨日時を、被測定者に対して排尿推奨日時に知らせて良いし、排尿推奨日時に先立って予め知らせても良い。
なお、警報音を鳴らしたり、メールを送信したりする動作は、例えば被測定者が就寝している時間帯などに実行するのは、被測定者に迷惑であり、避けるべきであると考えられる。その場合、被測定者が操作部13を報知禁止時間帯設定部として用いて、制御部11による警報音鳴動、メール送信の動作を禁止すべき報知禁止時間帯(例えば23:00〜07:00)を設定するのが望ましい。なお、報知禁止時間帯は、記憶部14に記憶されるものとする。
また、報知禁止時間帯の設定入力は、既述の「尿指定」、「血圧」、「BMI」、「排尿日時」などの入力と同様に行うことができる。すなわち、上記電源スイッチのオンに続いて、例えばユーザがスクロールボタン13Aを3秒間以上押し続けると、制御部11が表示部18に「尿指定」、「血圧」、「BMI」などに続いて、「報知禁止時間帯」の情報を入力するかの選択肢を表示させる。この選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「報知禁止時間帯」の始期の値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている時刻が「報知禁止時間帯」の始期として入力される。続いて、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「報知禁止時間帯」の終期の値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている時刻が「報知禁止時間帯」の終期として入力される。このようにして、「報知禁止時間帯」が設定される。
図31は、そのような報知禁止時間帯が設定されている場合の制御部11による動作のフローを示している。
制御部11は、まずステップS601で排尿推奨日時があるか(決定されているか)否かを判断する。排尿推奨日時がある場合(ステップS601でYES)、制御部11は、時計41を参照して、現在の時刻が報知禁止時間帯に属するか否かを判断する(ステップS602)。現在の時刻が報知禁止時間帯に属さない場合(ステップS602でNO)は、排尿推奨日時を報知する(ステップS603)。この報知により、被測定者は排尿や測定を促される。
一方、現在の時刻が報知禁止時間帯に属する場合(ステップS602でYES)は、時間が経過するのを待ち、現在の時刻が報知禁止時間帯から外れた時点で(ステップS602でNO)、排尿推奨日時を報知する(ステップS603)。これにより、例えば被測定者が就寝している時間帯に、上記警報音やメールによって排尿を強制されるような事態を避けることができる。
(第9実施形態)
図29の尿成分分析装置において、測定データ記憶部14Aに過去の測定データが記憶されていない場合(例えば、この装置がユーザに最初に使用される場合)など、過去の測定データに依らず、将来の排尿推奨日時を決定すべき場合がある。
そのような場合に、制御部11が第2の排尿推奨日時決定部として働いて、被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を決定する仕方を、図33に示す採尿計画テーブル180を用いて説明する。この採尿計画テーブル180では、表頭180aに、複数日、この例では月曜日から日曜日までの少なくとも1週間(7日間)が示されている。表側180bに、被測定者の起床時刻から就寝時刻までの朝、昼、夜の時間帯が示されている。表体180cには、尿が入った採尿容器を表す採尿容器マーク181が、表頭180aの曜日毎、表側180bの時間帯毎に並べて示されている(なお、適宜、省略記号…でマーク181が省略されている。)。また、現在の日時(この例では、月曜日の起床時刻前)が、☆印182で示されている。
この図33の例では、現在の日時である月曜日の起床時刻直前に、制御部11が第2の排尿推奨日時決定部として働いて、将来の1週間の間に上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を抽選でランダムに決定する(なお、「将来」とは、現在の時刻が起床時刻前であれば、その現在の時刻が属する日を含んでも良い意味である。)。表体180cには、そのようにして決定された排尿推奨日時が太枠マーク183a,183b,183c,183d,183e,183fで示されている。具体的には、その排尿推奨日時を含む時間帯に対応する採尿容器マーク181(または省略記号…)が太枠マーク183a,183b,183c,183d,183e,183fで囲まれている。例えば、火曜日は、太枠マーク183bによって、排尿推奨日時が就寝直前の時間帯に属することが示されている。水曜日は、太枠マーク183cによって、排尿推奨日時が正午を含む時間帯に属することが示されている。木曜日は、排尿推奨日時が起床直後の時間帯に属することが示されている。
なお、図34の採尿計画テーブル180′に示すように、制御部11は、現在の日時である1日の起床時刻直前に、その1日について上記被測定者が排尿すべき排尿推奨日時を抽選でランダムに決定しても良い。この図34の例では、太枠マーク183によって、決定された排尿推奨日時が就寝直前の時間帯に属することが示されている。
決定された排尿推奨日時は、制御部11が排尿推奨日時報知部として働いて、上記被測定者に報知する。報知の仕方は、図30のステップS505に関して説明したのと同様に、表示部18に表示させる、警報音によるなど、様々な態様が可能である。
上の例では、制御部11が排尿推奨日時を決定するタイミングは、採尿計画テーブル180,180′で示された期間(対象期間)の初日(または1日)の起床時刻直前であるものとしたが、これに限られるものではない。制御部11が排尿推奨日時を決定するタイミングは、対象期間の初日(または1日)の起床時刻前であれば、いつでも良い。例えば、対象期間の初日(または1日)の前日の夜であっても良い。
(第10実施形態)
図35(A)は、この発明の別の実施形態の尿成分分析装置(全体を符号90Cで示す。)の態様を示している。
この尿成分分析装置90Cは、便器据え付けタイプの尿成分分析装置であり、便器198の周り(この例では水タンク196の側面)に取り付けられた筐体10Cと、便器198内の空間に配置されたセンサ部30Cとを備えている。
筐体10C内には、図29の尿成分分析装置90Bの筐体10におけるのと同様の構成要素が搭載されている。センサ部30Cは、アーム32によって支持されている。アーム32は、便座の蓋197の根元付近から便器198内の略中央まで延在している。これにより、センサ部30Cは、水溜まり199の上方の位置に保持されている。
センサ部30Cは、図29中のセンサ部30と同じ構成要素であり、この例では図示しない配線によって筐体10C内のデータ入力部12に接続されている。これにより、この尿成分分析装置90Cは、図29の尿成分分析装置90Bと同様に動作することができる。
例えば、この便器据え付けタイプの尿成分分析装置90Cを使用する場合、ユーザとしての被測定者が排尿する時、便器198内の空間でセンサ部30Cに尿が降りかかる状態にする。これにより、センサ部30Cが、被測定者が排泄した尿に接触して、第1特定成分、第2特定成分の濃度に関するデータ、この例ではNa/K比を取得する。この便器据え付けタイプの尿成分分析装置90Cによれば、ユーザとしての被測定者は、紙コップなどの尿を溜める容器を用意する必要がない。
なお、筐体10は、水タンク196の側面に限られず、便器198の周りまたは便器198が設けられた室内のいずれの箇所に設けられていても良い。また、筐体10は、水タンク196または便器198に一体に組み込まれていても良い。
また、センサ部30Cは、図35(B)に示すような態様で便器198内の空間に配置されていても良い。この図35(B)の例では、細長いバー33の中央にセンサ部30Cが取り付けられている。バー33の両端にはそれぞれ円弧状のフック34A,34Bが一体に形成されている。フック34A,34Bは、それぞれ便器198の上縁に引っ掛けられている。これにより、バー33は、便器198の上縁の互いに対向する部分の間に架け渡されている。このような態様で、センサ部30Cは、水溜まり199の上方の位置に保持されている。
また、図35(B)中のバー33は、ストレートではなく、下方へ向かって凸に撓んでいても良い。
(第11実施形態)
図36は、この発明の別の実施形態の尿成分分析装置(全体を符号90Aで示す。)のブロック構成を示している。なお、理解の容易のために、図1中の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
この尿成分分析装置90Aは、筐体10Aと、この筐体10Aに搭載されて収容された制御部11、記憶部14および通信部20を備えている。
この例では、筐体10Aは、机上または床上に置かれるべきタワー型の筐体として構成されている。
通信部20は、データ入力部12と、演算結果送信部19とを含んでいる。この通信部20は、無線または有線の通信回線300を介して、筐体10Aの外部に存在する携帯電話またはパーソナルコンピュータ(PC)200と接続されている。この例では、携帯電話またはPC200は、ユーザとしての被測定者が操作部(キーボード、テンキー、マウスなど)201を操作して使用するものとする。
データ入力部12は、携帯電話またはPC200から通信回線300を介して、被測定者が排泄した尿中の2つの特定成分の濃度(この例では、Na濃度、K濃度)に関するデータを受信して入力する。なお、記憶部14内に既述の測定データテーブルを構築するように、被測定者を識別するID番号と、各1回の尿中におけるNa/K比と、その尿についての排尿日時および測定日時とを、対応付けて入力しても良い。
演算結果送信部19は、制御部11が算出した演算結果(この例では、Na/K比)を、通信回線300を介して、携帯電話またはPC200へ出力する。
この結果、この尿成分分析装置90Aは、データの入力、演算結果の出力を無線または有線の通信回線300を介して行うサーバタイプの尿成分分析装置として構成されている。
例えば、このサーバタイプの尿成分分析装置90Aを使用する場合、筐体10Aから離れた遠隔地に居るユーザとしての被測定者が市販のセンサ等によってNa濃度、K濃度に関するデータを取得する。このデータが、被測定者が操作する携帯電話またはPC200から無線または有線の通信回線300を介して、データ入力部12によって入力される。これとともに、被測定者は、携帯電話またはPC200の操作部201を介して、測定の対象となる尿が、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを表す尿指定情報を入力する。この尿指定情報は、携帯電話またはPC200から無線または有線の通信回線300を介して、さらに通信部20を介して、制御部11に入力される。この結果、制御部11によって、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中におけるNa/K比が算出される。制御部11が算出したNa/K比は、このNa/K比に応じたアドバイスとともに、演算結果送信部19によって無線または有線の通信回線300を介して、筐体10Aから離れた遠隔地に居る被測定者の携帯電話またはPC200へ向けて出力される。この結果、被測定者は、自身が居る場所で、携帯電話またはPC200の表示部(LCDなど)202を通して、制御部11が算出したNa/K比およびこのNa/K比に応じたアドバイスを知ることができる。
このように、このサーバタイプの尿成分分析装置90Aによれば、筐体10Aから離れた遠隔地に居るユーザによる利用が容易になる。
なお、上述の各実施形態では、換算により求めるべき尿中の第1特定成分、第2特定成分は、それぞれナトリウム(Na)、カリウム(K)であるものとしたが、これに限られるものではない。第1特定成分、第2特定成分は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、グルコースのうちの互いに異なるいずれか一つの成分であっても良い。これらの成分が得られれば、例えば被測定者の食生活などの生活習慣の改善に有益なアドバイスが提供され得る。特に、上記第1特定成分、第2特定成分がそれぞれナトリウム(Na)、カリウム(K)であれば、換算により得られたNa/K比は、被測定者の高血圧を改善するための情報として用いることができる。
なお、上述の各実施形態は例示に過ぎず、この発明の範囲から逸脱することなく種々の変形が可能である。