JP5984695B2 - 回転角度検出器及び車両用回転電機 - Google Patents
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Description
ここで、回転角度検出器として磁気の変化を利用したもの、例えば、レゾルバやホール素子を用いた場合、回転電機のロータコアに巻回された界磁巻線への通電により発生した磁束の一部が回転軸を介して回転角度検出器に漏洩し、角度検出精度が低下してしまう恐れがある。
特に、回転角度検出器としてレゾルバを用いた場合、レゾルバはレゾルバステータとレゾルバロータとの間の磁気パーミアンス変化を利用してレゾルバロータ角度を検出するものであるため、漏洩磁束がレゾルバに流れると出力波形にノイズ成分が重畳してしまい回転角度の検出精度が低下するという問題がある。
この特許文献1に記載されている構成にすれば、磁気センサを経由する漏洩磁束が低減されるため、回転角度検出精度の改善を図ることができる。
以上のように、従来技術では、回転角度検出器の近傍に設けたいずれの磁気バイパス部材によっても、漏洩磁束を十分にバイパスさせることはできず、回転角度検出精度を高めるのには限界があった。
また、この発明に係る車両用回転電機は、上記の回転角度検出器が装着されているものである。
以下、図面に基づいて説明する。
最初に、実施の形態1の本願発明を説明する前に、従来構造の課題について、もう少し詳しく説明しておく。
図8は、比較例として示す車両用回転電機の正面断面図である。特許文献1と同様に回転角度検出器を回転軸の軸端部取り付け、回転角度検出器としてはレゾルバを組み込んだものである。本願発明と対比できるように、回転電機本体部は本願発明と同様な構成として説明する。図9は、図8の回転電機のレゾルバの軸方向に見た平面図である。
ハウジング2は、図方向に見て左右一対のブラケット5,6からなり、ブラケット5,6はねじ7で固定されて一体に構成されている。
ステータ3は、ブラケット5,6間に挟まれて固定されたステータコア8と、ステータコア8に巻回されたステータコイル9を有している。ステータコイル9は図示しない3相インバータ回路に接続されている。
また、ロータコア13の軸方向端面には、それぞれ冷却ファン15,16が取り付けられている。
回転軸10のレゾルバ30側とは反対側の軸端部には、ベルト(図示せず)が懸架されるプーリ19が、ナット20によって固定されている。
また、ハウジング2のブラシ18が配置される側には、ステータコイル9に電力を供給するパワー回路部21や制御回路が搭載された制御装置部22を備えているが、それらの詳細な説明は省略する。
レゾルバ30は、打ち抜き加工された複数の珪素鋼板が積層されて構成されたレゾルバロータ31と、その外周側に微少ギャップを空けて配置されたレゾルバステータ32を有している。レゾルバロータ31は、凹凸状の外周面を有し、その中心側に取付孔31aが形成されており、取付孔31aに回転軸10の軸端部が挿入固定されている。
一方のレゾルバステータ32は、ブラケット5側に固定されている。
レゾルバコイル34は、1つの励磁コイルと2つの出力コイルの独立した3つのコイルで構成されている。レゾルバコイル34の引出線34aは、絶縁部材35にインサート成形されたターミナル36のターミナルピン36aに接続されている。ターミナル36から先は、励磁コイルを励磁する回路や角度検出回路を備えた制御装置部22に接続されている。
界磁コイル14に界磁電流を通電することによって生じる磁束のうち、そのほとんどは図8の経路aに示すような経路を辿るが、一部は強磁性体である回転軸10を通る経路bのような経路でレゾルバ30に漏洩する。レゾルバ30では、図9のように、経路bの漏洩磁束は、回転軸10から半径方向の等方的に流れ、ギャップを介して、レゾルバのステータコア33へと流れる。
本願発明は、このノイズ成分を効果的に低減させるようにしたものであり、以下、図1、図2に基づいて本願発明の実施の形態1を説明する。
このとき、スリップリング17は、ロータコア13内に配置された界磁コイル14に電力を供給するための部品であるため、スリップリング17と界磁コイル14のコイル端末との間には通電するための導体37が配設される。図1では1本のみが見えているが、少なくとも2本の導体が配置される。これにより、ブラシ18,スリップリング17,導体37,界磁コイル14と流れる電流経路が形成されている。
図1に示すように、レゾルバ30をスリップリング17とロータコア13との間の回転軸10に配置した本願発明の場合、導体37は、レゾルバロータ31の内周側に、回転軸10の軸方向に沿って配置されることになる。
図2において、レゾルバロータ31の内周側には、回転軸10と導体37が配置されている。導体37は、レゾルバロータ31の取付孔31aと回転軸10の外周部との間に形成された隙間を貫通させることになるので、図のように回転軸10に形成した溝10aに収容して軸方向に平行に2本を個別に配置している。溝10aは周方向に均等に形成されている。図2の右側の導体37は、紙面の奥に向かって、左側は紙面の手前に向かって電流が流れる状態を示している。このような配置とした場合、回転電機の界磁コイル14に通電すると導体37にも電流が流れ、その際にアンペールの法則に基づいて導体37を周回する磁場が発生する。そのため、経路cのようにレゾルバロータ31から漏洩してステータコア33に抜ける1次の磁束や、経路dようにレゾルバロータ31内に流れる2次の磁束が生じる。
なお、導体本数は、一つの溝の中で同一方向に電流が流れる導体を1本と数える。
また、図4は、図2のレゾルバにおいて、磁束の経路とレゾルバステータとレゾルバロータの磁束密度分布を説明する説明図である。網掛けの濃い部分ほど磁束密度が高い状態を示す。
したがって、漏洩磁束によってギャップで生じる磁束密度の半径成分の次数を避ける基本次数を有する出力コイルを設ければ、漏洩磁束が出力コイルに電圧を誘起することを防止できる。
そこで、本実施の形態では、レゾルバ30の配置を軸端ではなくスリップリング17より内側において回転軸10に配置することで小型化を図りながら、出力コイルの基本次数を1次あるいは2次を避ける次数でティースに巻回することで、特許文献1のような磁気バイパスを備えることなく、出力コイルの調整だけでノイズ成分を低減することができるようにしたものである。
望ましくは、1次と2次の次数をともに避ける次数とすれば、より効果的であることは言うまでもない。
特に、車両用回転電機では、車両の燃費向上のためアイドリングストップでのエンジン再始動などにレゾルバを搭載した回転電機を使用するので、回転電機の軽量化、小型化は車両の燃費向上に大きく貢献する。また、車両では乗り心地も重視されるので、車両用回転電機の角度検出精度の低下を防ぐことで、乗り心地を悪化させる回転電機の回転ムラやトルク変動の影響を低減できる。更に、ターミナル36から先に接続されている励磁コイルを励磁する回路や角度検出回路を備えた制御装置に、漏洩磁束によるノイズ電圧を除去するためのハイパスフィルタ性能を緩和でき、もしくはフィルタなしとすることがきるので、コスト低減が可能となる。
図5及び図6は、実施の形態2による回転角度検出器のレゾルバロータの正面断面図である。レゾルバの全体構成は、実施の形態1の図2と同等なので、図示及び説明は省略し、相違点を中心に説明する。
実施の形態1では、スリップリング17と界磁コイル14のコイル端末とを繋ぐ導体37は2本の場合であったが、本実施の形態では、4本の導体37を備える回転軸の場合である。
図5では、周方向に電流の向きが1個おきに異なるように配置した場合であり、矢印で示した経路で磁束が流れ、ギャップの空隙磁束密度分布の半径方向成分は2次あるいは、4箇所の導体37まわりでレゾルバロータ31が磁気飽和することで生じる4次の成分が大きくなる。2次あるいは4次の少なくともいずれか一方の次数を含まない出力コイルの次数を選択することで、角度検出精度の低下を防ぐことができる。
これらから、導体本数が4本の場合は、4の約数である4,2,1以外とすれば、漏洩磁束の影響を低減できることが分かる。
また、導体37が完全にレゾルバロータ31の内部に収まる場合でも、回転軸10とレゾルバロータ37が磁性体であるならば、上記と同様の効果が得られる。
特に車両用回転電機では、車両の燃費向上のためアイドリングストップでのエンジン再始動などにレゾルバを搭載した回転電機を使用するので、回転電機の軽量化、小型化は車両の燃費向上に大きく貢献する。
また、車両では乗り心地も重視されるので、車両用回転電機の角度検出精度の低下を防ぐことで、乗り心地を悪化させる回転電機の回転ムラやトルク変動の影響を低減できる。
Claims (4)
- 出力コイルと励磁コイルからなるレゾルバコイルを有するレゾルバステータと、前記レゾルバステータの内周面とギャップを介して対向する凹凸状の外周面を有し中心部に形成された取付孔に回転電機の回転軸が挿入固着されて前記回転軸と一体に回転可能なレゾルバロータとを備え、
前記レゾルバロータの前記取付孔と前記回転軸の外周部との間に形成された隙間を貫通して、前記回転軸の軸端部側に設けられたスリップリングから前記回転電機のロータの界磁コイルに往復の電流を供給するための少なくとも一対の導体が配置されており、
前記出力コイルの巻線次数の基本次数は、前記導体の本数の約数以外の次数になるように構成されていることを特徴とする回転角度検出器。 - 請求項1記載の回転角度検出器において、
前記導体の本数は2本であり、前記基本次数は1次,2次のいずれとも異なることを特徴とする回転角度検出器。 - 請求項1記載の回転角度検出器において、
前記導体の本数は4本であり、前記基本次数は1次,2次,4次のいずれとも異なることを特徴とする回転角度検出器。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転角度検出器が装着されていることを特徴とする車両用回転電機。
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