JP5984680B2 - 繊毛虫宿主細胞におけるモノクローナル抗体の発現 - Google Patents

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Description

本発明は、繊毛虫宿主細胞におけるモノクローナル抗体(mAb)の異種発現系に関する。
今日、ヒト治療用モノクローナル抗体の適応症の主なものは、癌、自己免疫疾患、及び感染症である。
作用機構の1つは、腫瘍関連血管新生を促進する成長因子の情報伝達経路の遮断であり、このような遮断は、例えば、アバスチン(Avastin、ベバシズマブ(Bevacizumab))によってなされるが、アバスチンは血管内皮成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor; VEGF)を標的とし、これにより腫瘍を餓死させるものである。その他の標的としては、例えば、胎盤成長因子(Placental growth factor;PLGF)が挙げられる。こうした目的のためには、抗体の軽鎖及び重鎖(VL及びVH)の可変領域に位置する相補性決定領域(CDR)によって生じる高い標的親和性が要求されるが、Fc領域により発揮される抗体エフェクター機能は重要ではない。これら目的には、Fc領域を欠いた抗体断片(scFvやFabsなど)を用いることができる。
その他の作用機構としては、TNFα等のサイトカインへの結合(ヒュミラ;Humira)、erbB−2等の成長因子受容体の遮断(アービタックス;Erbitux)、RSV Fタンパク質等の細胞侵入に必要なウイルス表面抗原の遮断(シナジス;Synagis)、及びRBCのIIb/IIIa受容体等の血液凝固の原因受容体の遮断(レオプロ;ReoPro)がある。
しかしながら、モノクローナル抗体は、また、殺標的細胞用途、例えば癌細胞又は病原体の排除にも用いることができる。結合型抗体、即ち、特定の細胞毒を保有する人工抗体がこの目的で開発されてきたが、特定の細胞毒を欠いた未結合型抗体でもそれぞれの免疫応答を誘発することでこの目的に合致することができる。しかしながら、このような目的の場合には、機能性Fc領域が必要であり、機能性Fc領域はIgG、特にIgG1に備わっているのである。これに関して、基本的には、以下の4つの異なる機構が知られている。
・標的細胞結合抗体のFc領域は、免疫エフェクター細胞表面のFcγ受容体(FcγR、特にFcγRI、FcγRIIa及び/又はFcγRIII)に結合することができ、免疫エフェクターによる、標的細胞のFcγR媒介型標的細胞死滅を引き起こす(「抗体依存性細胞障害」すなわちADCC(Antibody-Dependent Cellular Cytotoxicity))。
・標的細胞結合抗体のFc領域は、血中に見られる補体系の可溶性タンパク質(例えば、C1q)に結合することができ、補体媒介型標的細胞溶解を引き起こす(「補体依存性細胞障害」、CDC(Complement-Dependent Cytotoxicity))。
・標的分子への抗体の直接結合は、アポトーシス(抗体依存性アポトーシス)等の細胞死誘導機構を引き起したり、又は成長因子等の細胞生存因子の活動を遮断することが出来る。
・マクロファージ又は好中球の抗体媒介型結合による標的細胞のオプソニン化、及びそれに続く貪食。
ADCCは、細胞性免疫の機構であり、これにより、免疫系のエフェクター細胞が、特定の抗体が結合している標的細胞を活発に溶解する。ADCCは、抗体が、体液性免疫応答の一部として、感染を制限し封じ込めるように作用し得る機構の1つである。古典的なADCC媒介性エフェクター細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞であるが、単球及び好酸球もADCCを媒介し得る。ADCCは、従前の抗体反応に依存するため、適応免疫応答の一部である。
標的細胞においてADCCを誘発するのに用いられる治療用抗体には、上記エフェクター細胞のFcγ受容体によって認識されるために、Fc領域が必要である。そのような抗体の例として、erbB−2を認識し、かつ好ましくはerbB−2を過剰発現する腫瘍細胞に結合するハーセプチン(Herceptin)、或いは悪性B細胞におけるCD20受容体に結合するリッキサン(Rituxan)が挙げられる。
その他可能性のある機構の1つは、即ち二重特異性又はそれ以上の多重特異性抗体構築物を用いることにより、2種以上の異なる要素を近接させることによるものである。これは、例えば腫瘍細胞が、例えばそれらのMHCクラスI要素の変異又は喪失によって、或いはT細胞の活性化を抑制するメッセンジャー物質を分泌することにより、T細胞の攻撃を免れ得る場合に、腫瘍細胞に対してT細胞を再び向わせるのに有用である。1つの手法は、2つのscFv抗体を組合せることであり、これら2つのうちの一方は、T細胞受容体(例えば、CD3)に対するものであり、もう一方は腫瘍細胞抗原(例えばEGFR)に対するものである。
別の手法は、腫瘍細胞(例えば、EGFR又はEpCAMに結合するFvを用いて)、T細胞(例えば、CD3等のT細胞受容体に結合する別のFvを用いて)、並びに単球、マクロファージ、又はナチュラルキラー細胞等のエフェクター細胞(このようなエフェクター細胞上にあるFcγ受容体により検出されるFc領域を用いて)を、(両方のFv鎖における2種の異なる相補性決定領域と、Fc領域とを含む融合分子を用いて)連結することである。この手法は、腫瘍細胞溶解及びアポトーシスを誘導するキラーT細胞の抗腫瘍効果と、T細胞活性をさらに刺激するサイトカインを放出する一方で、貪食又はアポトーシスにより腫瘍細胞を排除するエフェクター細胞の抗腫瘍効果と共にもたらす。
さらに別の手法は、2種の異なる抗原が1つの抗原結合部位により両方共に高い親和性で認識され得る抗体を設計することである。このような抗体は、将来的には、2種の異なる抗体を用いる併用療法に取って代わるかもしれない。さらに、このような抗体は、また、同一抗原、特に可溶性抗原の異なるエピトープに結合させ、結合親和性及びインビボ力価を上げるのにも用いられ得る。
現在、治療用途のための抗体又はその断片若しくは誘導体は、エシェリキア・コリ(E. coli)、又はCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞のような哺乳細胞株の何れかで発現されている。これらの発現系では、ADCCを増強したり、或いは多重特異性を有する抗体を提供することもできず、さらに幾つかのその他欠点もある。
エシェリキア・コリ(E. coli)で産生された抗体は、グリコシル化やその他翻訳後修飾を受けておらず、従ってADCCに関連する能力が限られている。さらに、エシェリキア・コリ株はタンパク質を培地に分泌しないので、細胞を溶解させなければならず、抗体は徹底した精製が必要である。別の周知の問題として、タンパク質の誤った折り畳みがあるが、これは不溶性封入体の形成に繋がり得る。結果として、エシェリキア・コリは、血清半減期が短いFab断片及びscFv断片の産生にのみ適している。
真核生物発現系も、多くの欠点を抱えている。酵母菌発現系は、マンノースに富む過剰グリコシル化タンパク質を産生する傾向があり、この治療抗体を患者に投与した場合、望ましくない免疫反応を引き起こすことが多い。バキュロウイルス形質移入昆虫細胞の系は、低グリコシル化による問題を引き起こし、治療抗体のエフェクター機能に悪影響を及ぼすのである。さらに、大きな欠点として、感染性バキュロウイルスの触媒活性があり、これは完全なIgG産生の間口を狭める。
CHO細胞及びPer.C6細胞等の哺乳類細胞株及びヒト細胞株は、培養及び増殖が難しく、しかもスケールアップするに費用がかかる。さらに、こうした細胞は、培養液に関する要求性が高い。そのうえ、哺乳細胞株及びヒト細胞株は、ヒト又は動物起原の細菌及びウイルス感染の危険性をはらんでいる。
本発明の目的の一つは、上記の欠点を有さない、抗体又はその断片若しくは誘導体の発現系を提供することである。
本発明の他の目的は、ADCC、CDC、抗体依存性アポトーシス、又は抗体依存性オプソニン化が増強される、抗体又はその断片若しくは誘導体の製造を可能にする系を提供することである。
本発明の他の目的は、多重特異性を有する、抗体又はその断片若しくは誘導体の製造を可能にする系を提供することである。
本発明の他の目的は、血清半減期が延長された、抗体又はその断片若しくは誘導体の製造を可能にする系を提供することである。
これらの目的は、独立請求項に記載の系と合致する。幾つかの従属請求項には好ましい実施形態を記載される一方、その他独立請求項には変形実施形態及び/又は代替実施形態が記載される。
本発明によれば、モノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体の異種発現系であって、以下を含む、上記異種発現系が提供される:
a)少なくとも1種の繊毛虫宿主細胞、及び
b)上記繊毛虫宿主細胞に組み込まれる少なくとも1種の異種核酸分子であって、上記モノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体をコードする上記異種核酸分子。
本明細書において、「異種発現」という用語は、発現が生じる生物に対して外来のものである、遺伝子、核酸又はcDNAのタンパク質発現を指す。
本明細書において、「核酸分子」という用語は、DNA(cDNA及び/又はゲノムDNA)、RNA(好ましくはmRNA)、PNA、LNA及び/又はモルホリノを含む、任意の一本鎖核酸分子又は二本鎖核酸分子を指すものと意図される。好ましくは、上記核酸分子は、モノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体をコードするcDNAを含む。
本明細書において、「cDNA」という用語は、発現されるべきタンパク質をコードし、かつイントロン等の如何なる非コード部分も欠くDNA分子を指す。多くの場合、cDNAは、逆転写酵素及びオリゴdTプライマーを用いてRNA鋳型から直接合成されている。しかしながら、この用語は、合成の遺伝子及びそれ以外の方法で得られるコードDNAを同じく含むものとする。
所定の標的に対する所定のモノクローナル抗体をコードする核酸配列は、文献から見つけることもできる。例えば、欧州特許第EP0590058B1号には、ヒト化モノクローナル抗Her−2/neu抗体ハーセプチン(Herceptin)(トラスツズマブ;Trastuzumab)のVLドメイン及びVHドメインのアミノ酸配列が開示されている。他の参照文献には、完全IgGのアミノ酸配列さえも記載されている。この情報を用いて、当業者は、そうした抗体をコードするcDNAを設計し、それを本発明の目的のために用いることができる。
その他の情報源としては、例えば、大部分のモノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体について配列情報を提供する、公的なドラッグバンク(DrugBank)データベース(http://www.drugbank.ca)がある。
本明細書において、「モノクローナル抗体(mAb)」という用語は、均一な抗体集団を有する抗体組成物、すなわち全免疫グロブリン又はその断片若しくは誘導体からなる均一集団を指す。特に好ましくは、そのような抗体は、IgG、IgD、IgE、IgA及び/若しくはIgM、又はそれら断片若しくは誘導体からなる群より選択される。
本明細書において、「断片」という用語は、場合によって、標的結合能力を保持した、上記のような抗体の断片を指し、例えば、以下のものである。
・CDR(相補性決定領域)
・超可変領域
・可変領域(Fv)
・IgG重鎖(VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域からなる)
・IgG軽鎖(VL領域及びCL領域からなる)、並びに/又は
・Fab及び/又はF(ab)2。
本願明細書において、「誘導体」という用語は、構造的には異なる形状をしているが、依然として何らかの構造的関連性を有する、すなわち共通する抗体概念を有するタンパク質構築物を指し、例えばscFv、並びに二重特異性、三重特異性、又はそれより高次の多重特異性の抗体構築物が挙げられる。これらのものは全て以下に説明されている。
本明細書において、「宿主細胞」という用語は、2通りの異なる意味があり、それら2通りの意味は、それぞれの文脈に応じて理解され得る。異種タンパク質発現の文脈において、「宿主細胞」という用語は、発現宿主として用いられる遺伝子導入細胞を示す。したがって、当該細胞又はその前駆細胞は、発現されるべきタンパク質のcDNAを含む適切なベクターで形質移入されている。
本明細書において、「繊毛虫宿主細胞」という用語は、繊毛虫(Ciliophora)門(以前の繊毛虫類(Ciliata))由来の細胞、例えば、繊毛と呼ばれる毛様細胞小器官の存在及び核二形性を特徴とする原生動物由来の細胞を指す。
本明細書において、「組み込まれた」という用語は、上記核酸がすぐにタンパク質発現できるような様式で宿主細胞に入っているという事実を指す。そのような組み込みは、繊毛虫においては様々な様式を用いることができ、例えば「エピソーム組み込み」(例えばプラスミドなどの核酸分子が、細胞核に進入してはいないが、細胞質で複製され翻訳される。)、及び「統合型組み込み」(例えば核酸分子が細胞ゲノムに組み込まれている)がある。
繊毛虫は、それらを、モノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体の発現宿主として用いるのに適したものとする驚くべき幾つかの性質を有している。エシェリキア・コリ(大腸菌)とは対照的に、繊毛虫は、scFv及びFabを産生できるだけでなく、完全な免疫グロブリン(IgG)も産生できる。さらに、産生される抗体は、培地に分泌されるので、細胞溶解及び細胞ペレットから抽出の必要がない。
哺乳細胞株と比較すると、繊毛虫は培養培地に関係する要求性がほとんど無く、しかも液体培養が可能であるので、抗体発現が非常に安価である。
さらに、本発明者らが知る限り、繊毛虫類については、細菌や高等真核生物と違って、これまで特定のウイルスが見つかっていない。特定のウイルスがいないのは、繊毛虫類に共通する核二形性が原因かもしれない。また、その別の理由としては、繊毛虫類における一般的では無いコドンの使い方及びATリッチなゲノムが考えられる。このため、高等生物の病原性ウイルスは、ほとんどの繊毛虫で増幅することが出来ないと、本発明者らは考えている。今まで知られている限り繊毛虫類がウイルスに感染しないという事実は、驚くべき利点となる。この事実は、繊毛虫類を利用した製造方法において、外来ウイルスの増幅又は増殖が起こらないことを意味する。さらに、この事は、治療用途でタンパク質を産生させる場合に、ヒト及び動物細胞培養物を用いる工業プロセスで必要となるような費用のかかるウイルス除去手順を省略できることを意味する。
それだけではなく、繊毛虫の系には、モノクローナル抗体の発現に関して他にも幾つかの利点がある。これらの利点は以下に議論される。
上記のような利点にも関わらず、繊毛虫発現系はまだそれほど知られてはいないため、当業者は、可能性のある異種タンパク質発現系について尋ねられると、むしろエシェリキア・コリ(大腸菌)、酵母菌、昆虫細胞系(バキュロウイルス)、及び哺乳細胞株を考えるであろう。
本発明の背景において用いることができる、繊毛虫の形質転換法として、とりわけ、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、及び微粒子銃(パーティクル・ボンバードメント)が挙げられ、こうした方法は、例えば、トンドラビ及びヤオ(Tondravi & Yao)(1986)、ガトリグ及びゴロフスキー(Gaertig & Gorovsky)(1992)、並びにキャシディ‐ハンリーら(Cassidy-Hanley et al)(1997)に記載されている。
形質転換及び異種タンパク質発現の方法は、幾つかの原生生物については記載されている(WO00/58483及びWO00/46381)。繊毛虫テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophila)の有糸分裂的に安定な形質転換体の作製は、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、又は微粒子銃(パーティクル・ボンバードメント)によって、体細胞巨核又は生殖微小核の何れかを形質移入して達成され得る。
形質転換体の選別は、ネオマイシン耐性(ウェイデ(Weide)ら、2006、BMC)や、安定なチミジン栄養要求性テトラヒメナ細胞が生じる、相同DNA組換えによる異種遺伝子の組込み(ウェイデ(Weide)ら、2006、BMC)等、様々な選択マーカーを利用して実施することが出来る。加えて、ブラストサイジンS耐性(ウェイデ(Weide)ら、2007、BMC)やパクリタキセル耐性(WO00/46381)の利用も考慮されている。
好ましくは、コード核酸は、繊毛虫発現宿主に最適化されたコドンである。本明細書で用いられる「最適化されたコドン」という用語は、発現されるべき異種タンパク質をコードするcDNAが、普遍的な遺伝コードスキームから派生する宿主特異的なコドン使用頻度に適合させられるプロセスを指す。繊毛虫は、ATリッチなゲノムを有し、テトラヒメナのDNAの場合はその約75%がATからなる(図9を参照)。コドン使用頻度は、異なる生物間で、特に所定のアミノ酸をコードするのにあるコドンがどのくらいの頻度で用いられるか(「コドン・バイアス」)において、異なるものである。異種タンパク質をコードする、最適化されていないcDNAが繊毛虫ではほとんど用いられないコドンを使用していると、タンパク質発現効率に強く影響が出る可能性がある。このことは、裏を返せば、研究中の遺伝子のコドン頻度が繊毛虫発現系のコドン頻度と一致する場合、異種タンパク質発現が劇的に向上され得ることを意味する。そのうえ、多くの繊毛虫、中でもテトラヒメナ属では、非標準のヌクレオチドコードが利用されており、UAA及びUAGのトリプレットでグルタミンをコードしているが、一方、大多数のその他生物では、これらのコドンは翻訳を終了する終止コドンとして用いられている。
このことは、UAA及びUAGのトリプレットを終止コドンとして保有する外来(非繊毛虫)遺伝子が正確に発現されないという事に繋がり得る。このために、繊毛虫宿主細胞を形質転換する前に、異種タンパク質をコードするcDNAは、UAA及びUAGのトリプレットがUAAに修正されるようにコード最適化が行わなければならない。コード最適化は、例えば、部位特異的突然変異誘発により、又はデノボcDNA合成により達成することができる。
本発明の好ましい実施形態において、上記モノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体は、本質的にフコースを含まないN−グリカン構造を有する。
真核生物発現系で発現したタンパク質は、グリコシル化を伴う翻訳後修飾プロセスを受ける。IgG、及びFc領域を含むその他モノクローナル抗体の産生のために今日確立されている真核生物発現系は、N−グリカンをポリペプチド鎖に付加する。IgGでは、最も重要なN−グリカンは、Asn297で両方のCH2鎖に結合しており(図1を参照)、このN−グリカンは、とりわけ、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース、マンノース、及びフコースなどの残基を含む。
このことは、基本的に、形質転換植物発現系、並びに哺乳細胞株(図2を参照)、昆虫細胞株などにも当てはまる。これら全ての場合において、N−グリカンは、少なくとも1つのフコース残基を含み、このフコース残基は、ポリペプチド鎖のAsn残基に結合したN−アセチルグルコサミン残基に、α−3−グリコシド結合又はα−6−グリコシド結合の何れかで結合する。
これと対照的に、繊毛虫は、上記の発現系で産生されるグリコシル化パターンとは明らかに相違するN−グリカン構造を産生し、このN−グリカン構造体はフコースを含有しない。
本明細書において、「本質的にフコースを含まない」という用語は、1個以上のN−グリカン、好ましくはAsn297 N−グリカン中に1個以上のフコース残基を保有するモノクローナル抗体、又はその断片若しくは誘導体の占有率が、本発明による発現系で製造されたモノクローナル抗体、又はその断片若しくは誘導体の総量の10%、好ましくは5%、より好ましくは1%、最も好ましくは0.1%を超えないことを意味する。
さらに、ヒト細胞株(PerC6)、並びに一般的な哺乳細胞株における組換え抗体の産生は、培養条件によって、及び培養期間の経過に渡り変化する、グリコシル化プロファイルをもたらす。抗体グリコシル化パターンにおけるこのような精度の低下は、治療効果の低下をもたらし、副作用の危険性を高める(ジェフェリス(Jefferis)、2005)。対照的に、繊毛虫は、再現性の高い二分岐オリゴマンノースN−グリコシル化構造を有するタンパク質を分泌することが出来る(バンノ(Banno)ら、1993)。同様に共通するグリコシル化パターンは、均一な血清半減期をもたらし、副作用の危険性を低下させ、均一かつ十分に操作し易い治療効果を実現にする。
別の好ましい実施形態においては、上記モノクローナル抗体(mAb)、又はその断片若しくは誘導体は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの効果を有する:
・抗体依存性細胞障害性(ADCC)の増強
・補体依存性細胞障害性(CDC)の増強
・抗体依存性アポトーシスの増強、及び/又は
・抗体依存性オプソニン作用の増強。
最近の研究により、グリコシル化パターン中のフコースの量が減じられたモノクローナル抗体は、フコシル化抗体と比較して非常に高い抗体依存性細胞障害(ADCC)活性を示すことが示されている。繰り返しになるが、フコース残基の欠如がADCCの増強をもたらすのは、基本的にAsn297の位置である。フコースが低いか、或いは皆無である抗体のADCCが増強される背後にある機構は、そのように修飾されたFc領域のFcγR〔例えば、ヒト免疫エフェクター細胞におけるADCCに関する主要なFc受容体であるFcγIIIa(CD16)〕に対する親和性の増加によって媒介されているようである(シールズ(Shields)ら、2002)。
ADCCを誘発する、本発明による治療抗体の標的として可能性があるものを、以下の表に示すが、この表は、本出願の範囲を制限するものと解釈されるべきではない(標的の略称は一般的な文献から採用したものである。)。
当業者は、上記抗体の製造手順及びアミノ酸配列を全て入手でき、従って本発明の教示を、例えば上記抗体により惹起されるADCCを増強する目的で、上記抗体全てに適用できることを理解することが重要である。
米国企業のゼンコー(Xencor)社は、アミノ酸の選択的な改変のために抗体Fc領域を操作して、抗体要素のモジュラーセットを開発した。場合により、これらのFcは、100倍を超えるADCCの増強を示し、その結果のなかでも特に、低レベルでしか抗原を発現しない細胞株に対してさえもADCCによる死滅がもたらされ、同じ細胞障害性効果を維持しながらmAbの用量を減らすことができたと報告されている。しかしながら、この著者らは、ランダム変異/選択プロセスに基づくものと考えられる、それらの改変と、それにより得られる効果、すなわちADCCの増強との間の因果関係を何も導きだしていない。この理由から、この概念は完全には再現できると言う訳ではなく、他の抗体に一般化できるのか否か不明である。
日系企業のバイオワ(BIOWA)社は、ADCCが増強するmAbを発現させるためのCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株を開発した。この細胞株では、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ(「FUT8」)酵素をコードする遺伝子がノックアウトされている。したがって、翻訳後のグリコシル化の最中に、抗体のN−グリコシル化部位にフコース残基が付加され得ない。このようにして産生されたmAbは増強されたADCC活性を示すとされている。この方法は、欧州特許第EP1176195号に記載されている。この手法の大きな欠点は、それが、100%フコースを含まない産物を保証してはいないことである。非フコシル化は、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼの潜在的に残存する酵素活性に大きく依存することから、特にバッチ間比較においては、大きなバラツキが生じる。さらに、この系は、CHO細胞(いわゆるFUT8ノックアウトCHO)でのみ利用可能であるが、このCHO細胞は、特定のmAb発現用途によっては不十分な発現宿主である。
米国企業のグリカート(Glycart)社は、mAbを産生するための細胞株であって、オリゴ糖修飾酵素であるβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)をコードする異種遺伝子を保有する該細胞株を開発した。これらの細胞は、mAbをコードするDNAで形質移入された後、mAbを産生するようになるが、産生されるmAbは最初にフコース残基の組込みを含む通常のグリコシル化プロセスを受ける。第二の工程で、フコース残基はGnTIII酵素により開裂する。したがって得られるタンパク質は、おおよそ非フコシル化されており、ADCCの増強を示す。この手法もまた、100%フコースを含まない産物を保証しない。脱フコシル化は、上記GnTIII酵素の活性に大きく依存するために、特にバッチ間の比較で大きなバラツキが生じる。
米国企業のユーリカ・セラペウティクス(Eureka Therapeutics)社は、治療用抗体でADCCを増強する方法を開発し、この方法をMAGE(グリコシル化操作によるADCC増幅;“Magnified ADCC through Glycosylation Engineering")と名付けたと宣伝している。しかしながら、この方法の技術的な詳細は明らかにされていない。
驚くべきことに、本発明者らは、自らの実験において、ADCCを誘導し得る抗体を、そのN−グリカン構造は哺乳細胞で発現される典型的な抗体とは異なるものの、繊毛虫が産生することを発見した。続いて、本発明者らは、自らの実験において、繊毛虫が、Fc領域に、フコースは含有しないN−グリカン構造を有する抗体を産生することを発見した。このことは、哺乳細胞において発現される抗体と比較してADCCエフェクター機能が増強されることの説明となり得る。
したがって、本発明による系によれば、劇的にADCCが増強され、したがって治療効果も大きく向上したモノクローナル抗体、又はその断片若しくは誘導体を産生するための、経済的、簡便、かつ信頼できる方法が提供される。
酵母菌を利用した発現系(例えば、サッカロミセス種(Saccharomyces sp.)又はピチア種(Pichia sp.))もマンノースが豊富な非フコシル化N−グリカンを産生する(図2を参照)ことに触れておくのは重要である。こうした発現系は、特に抗体又はその断片若しくは誘導体の産生に関して、精力的に研究される対象ではあるものの(ウェイ(Wei)ら、2008)、研究の主な焦点は、酵母菌を利用した発現系のグリコシル化パターンをヒトグリコシル化パターンと同様になるように改良することに向けられているようである(ジャーングロス(Gerngross)、2004)。これは、裏を返すと、抗体又はその断片若しくは誘導体に有用であるだけでなく、他のバイオ医薬品の発現にも有用となるだろう。
現在、酵母菌株で産生される抗体、又はその断片若しくは誘導体が、ADCC、又はCDC、又は抗体依存性アポトーシスの増強を有することを示す報告も、フコシル化の欠如が特定のその他効果をもたらすことを示す報告も無い。この事もまた、フコシル化の欠如のみが、当業者に周知の事実、ADCCの増強を自動的に意味しないことを示す。
さらに、本発明による系で製造される治療用抗体、又はその誘導体若しくは断片は、CDCも増強するようである。
そのうえに、本発明による系で製造される治療用抗体、又はその誘導体若しくは断片は、抗体依存性アポトーシス効果も増強するようである。
さらに、本発明による系で製造される治療用抗体、又はその誘導体若しくは断片は、抗体依存性オプソニン作用効果も増強するようである。
特に好ましい実施形態においては、追加のN−グリコシル化部位が、発現されるべき抗体又はその断片若しくは誘導体に導入されることが提供される。これは、例えば、部位特異的突然変異誘発により、又はアミノ酸残基の意図的な置換により、追加のN−グリコシル化モチーフ、すなわち、トリペプチド配列Asn−X−Ser又はAsn−X−Thr(Xは任意のアミノ酸であり得るが、Pro及びAspであることは稀である)を導入することでなされ得る。仮に、例えば、抗体又はその断片若しくは誘導体が、その鎖中のどこかに、「Gly−X−Ser」モチーフを有する場合、「Gly」を「Asn」で置換することにより追加のN−グリコシル化部位を作製することができる。上記置換がタンパク質の重要な性質(標的親和性、Fcガンマ受容体(FcγR)結合など)に影響を及ぼさないことに留意が必要であることはもちろんである。
しかしながら、例外的なN−グリコシル化パターンは、一見すると、治療用抗体の発現系としてのテトラヒメナ・サーモフィラの使用を排除する。というのも、そのような異常なグリコシル化パターンは、そうして産生された抗体の免疫適合性に悪影響を及ぼすと当業者には思われるからである。しかしながら、本発明者らは、こうした推定が正しくないことを明らかにした。
さらに、繊毛虫発現系には、哺乳類細胞株のようなその他のタンパク質発現系と比較して他にも利点がある。それらについて以下で議論する。
さらに別の好ましい実施形態においては、上記モノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体は、血清半減期が長い。
治療目的で用いられるモノクローナル抗体においては、血清半減期が長くなると投薬量及び/又は投与頻度を減らすのを助長し得るので、血清半減期は重要事項である。モノクローナル抗体は経口投与することはできないため、この事は、低用量のためコストを削減し、かつ投与方法に関連する危険性を最小限にしつつ、患者の服薬遵守の改善を助けるだろう。
血清から溶解したタンパク質を除去する主要な経路は、肝臓にけるアシアロ糖タンパク質受容体媒介クリアランスである。通常、哺乳類タンパク質は、2個以上の末端シアル酸残基(N−アセチルノイラミン酸)を有する二分岐N−グリカンでN−グリコシル化され、それら末端シアル酸残基はβ−ガラクトース残基で支持されている(図2を参照)。この事は、対象に固有のタンパク質にも、例えば、哺乳細胞株において異種発現され、かつ上記対象に投与されるタンパク質にも当てはまる。
タンパク質の存続期間の中で、末端シアル酸残基は、ガラクトース残基が露出するまで、偏在するノイラミニダーゼにより徐々にグリカン鎖から除去される。これらは、アシアロ糖タンパク質受容体により認識されるが、アシアロ糖タンパク質受容体は、肝臓に豊富に存在するレクチンであって、多くの脱シアル化血漿タンパク質のガラクトース残基と結合する当該レクチンである。当該タンパク質は、認識されると、エンドサイトーシスの対象となり、次いで肝臓で分解されることになる。
上記に示す通り、繊毛虫において異種発現されるタンパク質は、自由に浮遊するノイラミニダーゼにより除去され得る末端シアル酸残基も、アシアロ糖タンパク質受容体の標的となり得るガラクトース残基も有していない。このため、繊毛虫において異種発現されたモノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体は、アシアロ糖タンパク質受容体媒介クリアランスの対象ではなく、したがって、血清半減期が長い。繊毛虫の発現アプローチには、抗体血清半減期を延長するためのその他手法に勝る顕著な利点が複数あるが、その他手法は全て多かれ少なかれ基本の抗体概念の劇的な改変を伴っており、免疫原性等に関する結果を予測するのが難しい。これらの手法について以下に議論する。
米国企業のドマンティス(Domantis)社は、抗体に結合する抗アルブミン・ドメインを用いることにより、血清半減期を延ばそうと試み、一方、ジェネンテック社(Genentech Inc.)はCH2−N−グリカンのガラクトース含量を増加させるという手法を開発している。ピーディーエル・バイオファーマ社(PDL BioPharma Inc.)は、Fc領域における幾つかのアミノ酸残基を他のものに置換することにより、血清半減期を延ばすという手法を開発した。また、PEG化の概念は、タンパク質の血清半減期を延ばす目的で当業者に周知である。
本発明のさらなる別の好ましい実施形態においては、上記系はさらに、以下を含む。
c)上記核酸分子に作動可能に連結したプロモーター、及び/又は
d)上記核酸分子に作動可能に連結したシグナル配列であって、該シグナル配列は、上記核酸分子によってコードされるモノクローナル抗体又はその断片を細胞外培地に分泌させる原因となる。
本明細書において「作動可能に連結した」という用語は、遺伝子産物をコードし得るヌクレオチド配列が、適切な条件下においてプロモーターが該遺伝子産物の発現を調節するような様式で、該プロモーター及び/又はシグナル配列に連結されていることを意味する。
本明細書において、「プロモーター」という用語は、通常は遺伝子又はcDNAの上流(センス鎖の5'領域に向かって)に位置する調節領域を指し、当該調節領域は上記遺伝子又はcDNAの転写を可能とし、或いは増強さえする必須遺伝因子を含有する。
本明細書において、「シグナル配列」という用語は、特定の細胞小器官(核、ミトコンドリア基質、小胞体、葉緑体、アポプラスト、及びペルオキシソームなど)へのタンパク質の輸送を担うオリゴペプチド(「シグナルペプチド」又は「輸送ペプチド」)をコードする核酸配列を指す。小胞体に輸送されるタンパク質はほとんど全てが、N末端に5から10個の疎水性アミノ酸からなる配列を有する。こうしたシグナルペプチドは、タンパク質が転写と同時に小胞体内腔に挿入された後、シグナルペプチダーゼによりタンパク質から切断される。その後、ほとんどのタンパク質は、ゴルジ体を介して分泌経路の下流へ輸送される。
繊毛虫において抗体を発現させるのに適したプロモーターは、例えば、WO2007/006812A1に開示されているが、この出願も本発明の出願人に対して登録されており、その内容は本願において援用される。その出願には、熱誘導性プロモーター及びメタロチオネイン・プロモーターが開示されているが、それらは本発明の目的にも使用することができる。
適切なシグナル配列は、例えば、WO03/078566A1に開示されているが、この出願も本発明の出願人に対して登録されており、その内容は本願において援用される。その出願には、本発明に関連して特に好ましい2つのシグナルペプチド、いわゆる抗体の重鎖及び軽鎖の内因性シグナルペプチド、並びに繊毛虫リパーゼシグナルペプチドが開示されている。
さらに、繊毛虫宿主細胞の形質移入のためのベクターであって、該ベクターは、モノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む、上記ベクターが提供される。
本明細書において、「ベクター」という用語は、外来の遺伝子材料を別の細胞に移すのに用いられる分子ビヒクル(molecular vehicle)を示す。ベクター自身は、一般に、挿入物(目的の配列)と、ベクターの「骨格」となるより大きな配列とからなるDNA配列である。遺伝情報を別の細胞に移すというベクターの目的は、典型的には、標的細胞において挿入物を単離、増幅、又は発現させることにある。
本明細書において、「プラスミド」という用語は、複製起点(「ORI」)により適切な宿主中で自己複製が可能な、プラスミドベクター、すなわち環状DNA配列を指す。さらに、プラスミドは、形質転換の成功、又は外来のDNAを細胞及び複数クローニング部位(マルチプル・クローニング・サイト)(挿入物の挿入を可能にする複数の制限酵素コンセンサス部位を含む)に導入することを意図したその他手順の成功を示す選択マーカーを含み得る。クローニングベクター又はドナーベクターと称されるプラスミドベクターは、目的の配列のクローニングするのを容易にし、かつ増幅させるために用いられる。発現ベクター又はアクセプターベクターと称されるプラスミドベクターは、特に、指定された標的細胞で目的の遺伝子を発現させるのに特異的なものである。これらのプラスミドベクターは、一般に、プロモーター、導入遺伝子、及びターミネーター配列からなる発現カセットを示す。発現プラスミドは、異なる宿主細胞において繁殖及びセレクション(選択)を可能にする要素を含有するシャトルプラスミドであり得る。
本発明のさらなる別の実施形態においては、モノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体の異種発現系であって、当該異種発現系は、本発明による少なくとも2種の繊毛虫宿主細胞の接合により得られた繊毛虫宿主細胞を含む、上記異種発現系が提供される。
繊毛虫は全て、構造的にも機能的にも異なる2種類の核を伴う核の二形性を示す。大きい方の体細胞大核(MAC)は、栄養増殖中に活発に発現する。MACは、45本の染色体コピーを含有し、無糸分裂する。小さい方の二倍体小核(MIC)は、生殖系列にあり、5対の染色体を含有する。MICは有性子孫のための遺伝情報を保有している。栄養期の間は、MICは有糸分裂する。繊毛虫の生活環は、生殖系列に関して交互に現れる単相と複相とからなる。細胞の増殖は、全く無性的であり、複相でのみ起こる。
上記の手法は、繊毛虫宿主細胞に特有な特徴、すなわち接合により遺伝物質を交換できるという特徴を利用する。特定の条件下では、繊毛虫は、生活環の有性段階である接合のサイクルに入る。テトラヒメナ属(Tetrahymena)では、例えば、7種の異なる接合型のうちの少なくとも2種にそれぞれ属する細胞を混合し、適度に飢餓状態にすると、細胞の接合を誘導することができる。この有性段階では、2種の細胞は対になって一倍体の配偶子核を交換する。接合で核に起こる事象は、通常、減数分裂、配偶子核形成、受精、及び核の分化を含む。接合は、繊毛虫生活環の唯一の、それもごく短い、単相段階を含み、これに続いて減数分裂が起こり、すぐに受精して終わる。このプロセスは、繊毛虫の大部分で保存されている。
特許請求される手法は、繊毛虫宿主細胞に特有の特徴、即ち接合中の遺伝物質交換という特徴を利用する。接合プロセスの主な段階を図6に示す。
接合開始時には、対になった細胞の小核は、減数分裂して4つの一倍体前核を生成する。これらの一倍体前核のうち3つは破壊され、残った1つが分裂して2つの配偶子核、つまり移動前核(migratory pronucleus)と静止前核(stationary pronucleus)とを形成する。移動前核は、2つの細胞の一時的接合を通じて交換され、その後静止前核と融合して各細胞において接合体核を形成する。
接合体核は2回分裂して4つの遺伝的に同一な核を形成するが、古い大核は退化する。4つの接合体クローン(最初の産物(anterior products))のうち2つは新たな大核になり、これら新たな大核は、染色体切断、プログラムされたDNA除去、及びテロメア付加を含む、多様なゲノム再編成を受ける。テトラヒメナ属では、これらのプロセスにより、約300本の個々の大核染色体が生じる。次いで、各染色体は、45個のコピーに増幅され、大核ゲノムの生成が完了する。
残る2つの接合体クローンのうち1つは退化すし、もう1つの新たな小核は、最初の無性生殖環の間に有糸分裂する。この分裂で、娘細胞はそれぞれ、1個の小核と1個の大核とを受け取り、栄養成長する繊毛虫細胞で見られる核の正常な相補体を産出する。
接合の原理は、原核生物発現系にも、酵母、昆虫細胞系(バキュロウイルス)、哺CHO細胞等の哺乳類発現系、又は形質転換植物若しくは哺乳動物などの大部分のその他真核生物発現系にも存在しない。上記の系によって2種の異なる抗体を発現する細胞の接合を利用して二重特異性又はそれより高次の多重特異性抗体を組換え発現するのに用いられる繊毛虫宿主細胞は、以下、幾つかの必要条件を満たす必要がある。
a)少なくとも2種の繊毛虫細胞は、異なる接合型にに由来する必要があること。
b)少なくとも2種の繊毛虫細胞は、モノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸分子が自身の小核に組み込まれている必要があること。
上記細胞を接合させることによって、両方の核酸分子の組合せを保有する細胞を産生することができ、したがって、例えば両方の抗原特異性を生じる、2種の親抗体の組合せからなる新規モノクローナル抗体、即ち抗体構築物、又はその断片若しくは誘導体を産生することが出来る。
以下の表は、本発明の範囲内となる、幾つかの想定される組合せについての概要を示す。モノクローナル抗体をコードする核酸をそれぞれ保有する2種の宿主細胞の接合により得られる、可能な組合せに係る抗体又はその断片若しくは誘導体を示す。このリストは、本発明の範囲を制限するものとして解釈してはならない。
本発明の別の実施形態においては、本発明による少なくとも1種のベクターにより形質移入されたものであるか、又は本発明の少なくとも2種の繊毛虫宿主細胞の接合により得られたものである、繊毛虫宿主細胞が提供される。
さらに、本発明の別の実施形態によれば、本発明による少なくとも2種の繊毛虫宿主細胞又は本発明による少なくとも2種の発現系を含むライブラリであって、各宿主細胞には、抗体又はその断片若しくは誘導体をコードする少なくとも1種の異種核酸分子が、好ましくはベクターの形態で組み込まれており、かつ少なくとも2種の繊毛虫が、それらが互いに接合できるように選択される、上記ライブラリが提供される。
そのようなライブラリは、例えば、所定の標的(例えば表1〜3を参照)に対して特異的な抗体又はその断片若しくは誘導体(以下を参照)をコードする核酸分子をそれぞれ保有する安定に形質移入された繊毛虫宿主細胞を含む。所定の抗体又はその断片若しくは誘導体をコードすべきそれぞれの核酸について、少なくとも2種、好ましくはそれより多くの異なる種類の接合型の宿主細胞が利用可能とするべきである。二重特異性抗体構築物を構築しようとする場合、該構築物に必要な2種の抗体又はその断片若しくは誘導体をコードする核酸分子を保有する2種の宿主細胞がライブラリから選択され得る。上記宿主細胞は、接合させることを目的として、異なる接合型に由来するものであるべきである。
本発明による発現系、又は本発明による繊毛虫宿主細胞の好ましい実施形態においては、上記繊毛虫はテトラヒメナ科(Tetrahymenidae)に属するものである。
特に好ましい実施形態においては、上記遺伝子組換え繊毛虫はテトラヒメナ種(Tetrahymena sp.)(特にテトラヒメナ・サーモフィラ:Tetrahymena thermophila)である。テトラヒメナ属は、幾つかの研究室で発現宿主として確立されている、非病原性単細胞真核微生物である。テトラヒメナ属は、異種タンパク質発現に適したものとする、多数の利点を特徴としている。テトラヒメナ属は、幅広く調査されているモデル生物であり、50年にわたる基礎研究において、ウイルス又は内部寄生体は全く観察されていない。指標細胞株を用いた調査から、ウイルスやマイコプラズマのような高等動物に感染可能な内在性感染因子は示されていない。
まず、繊毛虫におけるコドン使用頻度に関連する上記の考察は、テトラヒメナ属にも同様に当てはまる。さらに、テトラヒメナ属では、ミニ染色体rDNA由来の複製起点(ori)を含有するハイコピープラスミドが利用可能である。このミニ染色体rDNAは、細胞1個あたり最大で9、000個のコピーで存在する。その上、大核DNAへの安定な組込みが生じ得、その場合、全ての遺伝子が45倍のコピー数で存在する。高い遺伝子量は、効率的なタンパク質生合成、つまり高い生産性に理想的な前提条件である。細菌とは対照的に、テトラヒメナ属の繊毛虫は、生物学的にタンパク質を上清に非常に効率的に分泌する。
テトラヒメナ属は、ジスルフィド架橋、GPIアンカー、リン酸化、アセチル化、及びグリコシル化等の翻訳後修飾をタンパク質に加えることが出来、このような翻訳語修飾は、酵母又はその他真核生物発現系で検出されるものよりも哺乳類細胞で検出されるものに類似する。
哺乳細胞とは異なり、テトラヒメナ属は、世代交代時間が短く(1.5〜3時間)増殖しやすいことと、既知組成培地が使用可能であり成長因子等のペプチド又は血清成分が不要であることからコストが削減されることとを兼ね備えている。
細胞密度が最大で2×107個/mL及び乾燥重量が最大で80g/Lまで、テトラヒメナをバッチ発酵、流加発酵(fed-batch)、及び連続発酵する方法はいずれも確立されており、製造規模拡大(スールアップ)は最大で1000Lまで問題なく可能であることが実証されている。レポータータンパク質を用いた実施可能性試験では、1日あたり50〜90pg/細胞の空時収量が既に達成されている。同種発現での最初の実験では、1日あたり200mg/Lを超える収量で分泌タンパク質が得られた。テトラヒメナ属は、微生物発現系(細菌又は酵母)用の従来の生産設備で発酵させることが出来る。この事は、既存の製造プラントに費用のかかる改良を施すことも生産設備の新規建設も必要ないことを意味する。
本発明の別の好ましい実施形態においては、本発明による発現系で、本発明による繊毛虫宿主細胞で、及び/又は本発明による方法で製造されたモノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体が提供される。
好ましくは、本発明によるモノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体は、表1(ADCC)又は表3(非ADCC)に記載の標的の少なくとも1つに結合する。
ADCCに関与しない標的が以下の表に記載されているが、この表は例示にすぎず、本発明の範囲を制限するものとして理解してはならない。
繰り返しになるが、当業者は、上記抗体の製造プロトコル及びアミノ酸配列を全て入手できること、及び従って本発明の教示を、例えば上記抗体の血清半減期を向上させる目的で、上記抗体全てに適用できることを理解することが重要である。
さらに、本発明によるモノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体は、以下からなる群から選択される:
・マウスmAb、キメラmAb、ヒト化mAb及び/又はヒトmAb、
・IgG、scFv、Fab及び/又はF(ab)2、
・修飾抗体形式。
キメラmAb、ヒト化mAb及び/又はヒトmAbの製造及び/又は選択のための方法は、当該分野で既知である。例えば、ジェネンテック(Genentech)社の米国特許第6331415号は、キメラ抗体の産生について記載しており、メディカル・リサーチ・カウンシル(Medical Research Council)の米国特許第6548640号は、CDRグラフト移植法(CDR grafting techniques)を記載しており、セルテック(Celltech)社の米国特許第5859205号は、ヒト化抗体の産生について記載している。インビトロ抗体ライブラリについては、特に、モーフォシス(MorphoSys)の米国特許第6300064号、及びエムアールシー(MRC)/スクリップス(Scripps)/ストラタジーン(Stratagene)の米国特許第6248516号に開示されている。ファージディスプレイ法は、例えば、ディアックス(Dyax)社の米国特許第5223409号に開示されている。遺伝子組換え哺乳動物のプラットフォームは、例えば、タコニック・アルテミス(Taconic Artemis)社の米国特許公開公報第200302048621号に開示されている。
IgG、scFv、Fab及び/又はF(ab)2は、当業者に周知の抗体形式である。実施可能とする関連技術は、各教科書から利用可能である。
本明細書において、「Fab」という用語は、抗原結合領域を含むIgG断片であって、抗体の各重鎖及び各軽鎖に由来する一の定常領域並びに位置の可変領域から成る当該断片に関連するものである。
本明細書において、「F(ab)2」という用語は、ジスルフィド結合により互いに連結した2つのFab断片からなるIgG断片に関連するものである。
本明細書において、「scFv」という用語は、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖それぞれの可変領域が短いリンカー(通常はセリン(S)又はグリシン(G))で互いに連結された融合物である、一本鎖可変断片に関連するものである。このキメラ分子は、定常領域が除去され、かつリンカーペプチドが導入されているにもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持している。
修飾された抗体形式とは、例えば、(例えば、表2に示されるような)二重又は三重特異性抗体構築物、抗体に基づく融合タンパク質、抗体薬物複合体、免疫毒素等である。こうした抗体形式についていくつか以下の表に示すが、この表は本発明の範囲を制限するものとして理解してはならない。
他の好ましい実施形態においては、本発明によるモノクローナル抗体又は断片若しくは誘導体は、以下かなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する:
・ADCC、CDC、及び/又は抗体依存性アポトーシスの増強、
・血清半減期の延長、及び/又は
・二重特異性、三重特異性、又は多重特異性。
本明細書において、「ADCCの増強」、「CDCの増強」、「抗体依存性アポトーシスの増強」、「抗体依存性オプソニン化の増強」、及び「血清半減期の延長」という用語は、従来の抗体発現系、例えば、哺乳細胞又はエシェリキア・コリ(大腸菌)で産生された抗体との比較に関連するものである。ADCC、CDC、抗体依存性アポトーシス、及び血清半減期は、市販の試験法で測定することが出来る。
「二重特異性」、「三重特異性」、又は「多重特異性」という用語は、好ましくは少なくとも2種の異なる標的の、少なくとも2種の異なるエピトープに対して親和性を示す少なくとも2種の領域を有する抗体又はその断片若しくは誘導体を示す。そのような抗体又はその断片若しくは誘導体について例をいくつか表2及び図4に示す。
そのような抗体又はその断片若しくは誘導体の目的は、2種以上の異なる要素を、いわゆる二重又はそれより高次の多重特異性抗体構築物を用いて、近接させることである。この事は、例えば腫瘍細胞のMHCクラスI要素が変異又は喪失することによって、或いは腫瘍細胞がT細胞活性化を抑制するメッセンジャー物質を分泌することによって、T細胞の攻撃を逃れ得る場合に、腫瘍細胞にT細胞を再び向けさせるのに有用である。1つの手法として、T細胞受容体(例えばCD3)に対するscFv抗体、及び腫瘍細胞抗原(例えばEGFR)に対するscFv抗体の2つを組合せる手法がある。
別の手法は、両方のFv鎖それぞれにある2つの異なる相補性決定領域を用いてFc領域により、腫瘍細胞(例えば、EGFRに結合するFvを用いて)、T細胞(例えば、CD3などのT細胞受容体に結合する別のFvを用いて)、及びエフェクター細胞、例えば、単球、マクロファージ、又はナチュラルキラー細胞(そのようなエフェクター細胞上にあるFcγ受容体により検出されるFc領域を用いて)を連結させることである。この手法は、Tキラー細胞の抗腫瘍効果(腫瘍細胞の溶解及びアポトーシスを誘導する)と、エフェクター細胞の抗腫瘍効果(貪食又はアポトーシスにより腫瘍細胞を除去しながら、サイトカインを放出してT細胞の活性をさらに刺激する)を共にもたらす。
以下の表に、二重特異性抗体(1列目及び2列目)及び三重特異性抗体(3列全て)における標的について幾つかの例の概要を示すが、この表は本発明の範囲を制限するものとして理解してはならない。その他の適切な標的エピトープは表1にまとめる。
二重特異性抗体の幾つかの特徴について、可能性のある形式並びに標的も含めて、クーファー(Kufer)ら(2004)で検討されており、三重特異性抗体の特徴については、可能性のある形式並びに標的も含めて、例えば、ラフ及びリンドホーファー(Ruf and Lindhofer)(2001)で検討されている。
さらに、繊毛虫宿主細胞において、少なくとも1種のモノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体を製造するための方法であって、以下の工程を含む、当該方法が提供される:
a)上記モノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体をコードする少なくとも1種の核酸分子を用いて、又は好ましくは本発明による少なくとも1種のベクターを用いて、少なくとも1種の繊毛虫宿主細胞を形質移入する工程、及び
b)タンパク質の発現を可能にする条件下で上記宿主細胞を培養する工程。
本発明の別の好ましい実施形態においては、繊毛虫宿主細胞において、少なくとも1種のモノクローナル抗体(mAb)又はその断片若しくは誘導体を製造するための方法であって、以下の工程を含む当該方法が提供される:
c)抗体又はその断片若しくは誘導体をコードする少なくとも1種の核酸分子を用いて、又は好ましくは本発明による少なくとも1種のベクターを用いて、少なくとも2種の異なる繊毛虫宿主細胞を形質移入する工程、
d)上記2種の繊毛虫宿主細胞又はその子孫を接合させ、少なくとも2種の異なる抗体又はその断片若しくは誘導体をコードする、少なくとも2種の異なる核酸分子を保有する少なくとも1種の繊毛虫細胞を取得する工程、並びに
e)上記の如く製造された繊毛虫細胞をタンパク質の発現を可能にする条件下で培養する工程。
さらに、医薬組成物を製造するための方法であって、以下の工程を含む当該方法が提供される:
a)本発明による繊毛虫発現系において、本発明の抗体又はその断片若しくは誘導体タンパク質を発現させる工程、並びに
b)上記の如く得られたタンパク質を単離及び/又は精製する工程。
さらに、本発明による、及び/又は本発明による方法で製造された、抗体又はその断片若しくは誘導体を含む、医薬組成物が提供される。
注意事項
過度に明細書を長文化することなく包括的な開示を提供するため、本出願人は、上記に参照される特許及び特許出願のそれぞれを本明細書において援用する。
上記の詳細な実施形態における構成要素及び特徴の具体的な組み合わせは例示にすぎない。即ち、本明細書における教示における相互の置換、並びに本明細書における教示と援用される特許/出願におけるその他教示との置換も、明確に意図されている。当業者が認識する通り、当業者は、特許請求される発明の要旨及び範囲から逸脱すること無く、本明細書に記載されるものの変形、修正、及びその他実施形態を想起し得る。従って、上記の説明は例示にすぎず、限定することを意図したものではない。本発明の範囲は、以下の請求項及びその均等範囲において定義される。さらに、説明及び請求項で使用される参照記号は、特許請求される発明の範囲を限定するものではない。
実施例及び図面の簡単な説明
本発明の対象のさらなる詳細、特徴、特性、及び利点は、従属請求項、並びに以下に記載する図及び実施例のそれぞれに開示される。図及び実施例は、例示として、本発明の好適な実施形態を示す。しかしながら、これらの図面は、本発明の範囲を制限するものとしては決して理解されてはならない。
図1は、免疫グロブリンG(IgG)の模式図を示す。 図2は、様々な分類群のN−グリカン構造の概要を示す。 図3は、IgG並びにその断片及び誘導体の模式図を示す。 図4は、二重特異性及び三重特異性を作り出すことができる、抗体及び抗体断片の想定される組合せ模式図を示す。 図5Aは、1つのプラスミド手法を表すものとして、繊毛虫テトラヒメナ・サーモフィラにおいて用いるための、抗体の重鎖と軽鎖とをコードする発現プラスミドを示す。図5B及び図5Cには、2つのプラスミド手法を表すものとして、繊毛虫テトラヒメナ・サーモフィラにおいて用いるための各発現プラスミドが示されている。 図6は、テトラヒメナ接合の各段階の概要を模式的に示す。 図7は、1つのエピソームプラスミドと、1つの組込み型発現プラスミドを用いたテトラヒメナ細胞の形質転換の模式図を示す。 図8は、テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophile)細胞において発現される抗CD4抗体Gk1.5及びその断片の代表的な免疫ブロットを示す。 図9は、テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophile)とホモ・サピエンス(Homo sapiens)との間においけるコドン使用頻度の比較を示す。 図10は、繊毛虫、特にテトラヒメナ属において用いられる遺伝コードを示す。
1.発現ベクターの構築
抗体Gk1.5の重鎖及び軽鎖それぞれの合成遺伝子(配列番号1及び配列番号2を参照)をドナーベクターにクローニングした。Cre(クレ)依存性リコンビナーゼ・システムを用いて、全てのドナーベクターからの発現カセットをアクセプターベクターに移した(図5を参照)。
2.野生型テトラヒメナの培養及び発現プラスミドによる形質転換
野生型テトラヒメナ・サーモフィラ株(例えば、B1868/4、B1868/7、及びB2068/1)を、脱脂乳培地、SPP、又は既知組成培地で培養した。テトラヒメナ・サーモフィラ細胞の形質転換は、キャシディー・ハンリー(Cassidy-Hanley)ら、1997に既に記載される通り実施した。
3.抗体Gk1.5の検出
形質転換したテトラヒメナ細胞は、震盪機において80rpmで、30℃の選択圧下で、SPP培地で培養した。標的遺伝子発現は、対数増殖中の培養物に、41℃で熱ショックを与える(HSP−P)ことにより、又は20nMのCd2+を添加する(MTT1−P)ことにより誘導した。
標的遺伝子発現を誘導してから24時間後に、培養物のアリコートを採取した。その後、細胞及び細胞を含まない上清をそれぞれ得た。細胞を、氷冷したRIPAバッファーに溶解(150mMのNaCl、10mMのTrisHCl、5mMのEDTA、0.1%のSDS、0.1%のDOC、1%のトリトンX100、及び2.5μg/mlのE64、pH7.4に、5000個細胞/μL)して、超音波処理機中で15分間インキュベートした。常法に従ってSDS−PAGE及びウエスタンブロット解析を行った。簡単に説明すると、破壊した細胞(すなわち10000個)又は細胞を含まない上清の何れかのアリコートを、ラエムリ(Laemmli)試料バッファー(125mMのTrisHCl(pH6.8)、10%グリセロール、4%SDS)に添加し、8〜16%のSDS−PAGEにより分離した。分離したタンパク質をニトロセルロース膜に移し、0.05%のツイーン(Tween)20及び5%のウシ血清アルブミン(PBS/TBSA)を含有するPBSでブロッキングした。形質転換した繊毛虫での抗体の組換え重鎖及び軽鎖の発現は、Hrp結合抗ラット全IgG抗体で検出した。洗浄後、スーパー・シグナル・ウェストピコ・ケモルミネセント・サブストレート(Super Signal West Pico Chemoluminescent Substrate)(ペルビオ(Perbio)、フィッシャー・サイエンティフィック(Fischer Scientific))を用いた化学発光に従来のX線フィルム現像を組み合わせてブロットを現像した。図8に、標的遺伝子発現を誘導した後各時間における形質転換細胞について細胞溶解物及び上清のウエスタンブロットを示す。
4.抗体Gk1.5の製造
発酵には、標準的なマリーンインペラー(marine impellers)を備えたシックス・フォース・マルチ発酵槽(Sixforce multifermenter)(0.5リットル)を用いた。撹拌速度は900rpmに制限した。pO2を25%に設定し、かつpHは7.0に設定した。発酵は標準的な培地で実施した。

図1は、免疫グロブリンG(IgG)の模式図を示す。IgGは、2本の同一の軽鎖(それぞれが、2つの領域、VLとVHとからなる)と、2本の同一の重鎖(それぞれが、4つの領域、VH、CH1、CH2、及びCH3からなる)とからなる。抗原結合表面は、重鎖及び軽鎖の可変領域により形成され、エフェクター機能(補体活性化及び細胞障害性細胞の結合など)は、抗体のVc領域が媒介する。
図2は、様々な分類群のN−グリカン構造の概要を示す。一般に、「N−グリコシル化」という用語は、アミノ酸残基アスパラギン(N)のグリコシル化を示す。ここでは、オリゴ糖鎖が、オリゴサッカリルトランスフェラーゼにより、トリペプチド配列Asn−X−Ser又はAsn−X−Thr(式中、XはPro以外の任意のアミノ酸であり得る)に現れるアスパラギン残基に結合される。原核生物は全くN−グリコシル化を有しないのに対し、繊毛虫類は、フコース側鎖を欠き、かつ、β−ガラクトース残基で支持される末端シアル酸残基(n−アセチルノイラミン酸)も欠く、N−グリカン構造を特徴とすることは明らかである。図2bは、幾つかの繊毛虫種で上記パターンにおいて見込まれるバリエーションを示す。
図3は、IgG並びにその断片及び誘導体の模式図を示す。図3Aは、全長IgG抗体を示す。図3BにはF(ab)2断片が、図3CにはFab断片が示されている(Fc断片の除去)。遺伝子操作されたロイシン・ジッパーを含んでいることにより、会合して二量体になることができる。組換え技術を用いることにより、より小さな抗体断片を生成することができる。一本鎖可変断片(scFv、図3E)は、VL領域とVH領域とをフレキシブルな合成リンカー配列により繋いで組合せている。リンカー配列を短くすれば、二重特異性抗体(ダイアボディ;diabodies)(図3F)、及び三重特異性抗体(トライアボディ;triabodies)(図3G)、或いは四重特異性抗体(テトラボディ;tetrabodies)(不図示)さえも形成される。scFv断片をさらに改変して、抗体の定常領域(CH3領域など)を含むようにすると、ミニボディ(minibodies)が作製される(図3D)。
図4は、二重特異性及び三重特異性を作り出すことができる、抗体及び抗体断片の想定される組合せ模式図を示す。安定に形質移入されたテトラヒメナ細胞を接合させることにより、2種の異なる抗体(例えば、抗体AとB)を組合せると、図4Aに示すとおり、複数種の想定される二重特異性抗体となる。図4Bには、様々な二重特異性F(ab)2及び三重特異性F(ab)2並びに二重特異性抗体及びミニボディとなる、抗体断片の想定される組合せが示されている。図4Cには、様々な三重以上の多重特異性抗体及び抗体断片となる、抗体(例えば抗体C)又は抗体断片と二重特異性抗体又は抗体断片との想定される組合せであって、安定に形質移入されたテトラヒメナ細胞を接合させることにより得られる組合せが示されている。
図5Aは、1つのプラスミド手法を表すものとして、繊毛虫テトラヒメナ・サーモフィラにおいて用いるための、抗体の重鎖と軽鎖とをコードする発現プラスミドを示す。このプラスミドは、大腸菌で選抜するためのアンピシリン耐性遺伝子(AmpR)及びクロラムフェニコール耐性遺伝子(CmR)と、テトラヒメナ・サーモフィラにおいてプラスミドを安定させるためのテトラヒメナ・サーモフィラ特異的複製起点(rDNA ori)と、形質転換された繊毛虫を同定するためのネオマイシンに基づく選抜カセット(NeoR)と、誘導性プロモーターの制御下にあり、かつ後ろにテトラヒメナ・サーモフィラのβ‐チューブリン‐2‐ターミネーター配列(BTU2)が続く、標的遺伝子の2つのオープン・リーディング・フレーム(重鎖及び軽鎖)とを含有する。
図5B及び図5Cには、2つのプラスミド手法を表すものとして、繊毛虫テトラヒメナ・サーモフィラにおいて用いるための各発現プラスミドが示されている。図5Bでは、プラスミドは、異種遺伝子の定方向組込みのためのテトラヒメナ遺伝子DHFRの5'隣接領域と3'隣接領域と、大腸菌における選抜のためのアンピシリン耐性遺伝子(AmpR)及びクロラムフェニコール耐性遺伝子(CmR)と、形質転換された繊毛虫を同定するためのブラストサイジンS選抜カセット(BsdR)と、誘導性プロモーターの制御下にあり、かつ後ろにテトラヒメナ・サーモフィラのβ‐チューブリン‐2‐ターミネーター配列(BTU2)が続く、所望の抗体の重鎖又は軽鎖の何れかのオープン・リーディング・フレームとを含有する。図5Cでは、抗体の対応する重鎖又は軽鎖をコードし、かつ図5Aに記載されるものと同様の特徴を含む発現プラスミドが示されている。
図6は、テトラヒメナ接合の各段階の概要を模式的に示す。接合プロセスは、一の遺伝子座において交互する対立遺伝子についてホモ接合性である細胞同士の対合により開始する。MIC(小さい円)は、MAC(大きな円)内に収まっているが、MACと物理的に分離している。MICは、減数分裂して4つの1倍性核を生じるが、そのうちの1つだけが機能を維持し(最初の減数分裂産物)、その他の3つは分解する。この段階で、減数分裂乗換えが起こり、その後、移動前核の相互交換が続き、移動前核は、受取側の細胞の静止前核と融合して、接合体核を形成する。接合体核は2回有糸分裂して、4つの別々の遺伝的に同一な二倍体核をもたらす。この段階で、古いMACは退化する。次いで、前の産物は分化して新しいMACとなるが、後の産物は二倍体MICのままである。細胞は、分離し(今や接合完了体と呼ばれる)、最初の接合後細胞分裂を行い、4個のカリオナイド(karyonide)細胞を形成する。各カリオナイドは、独立して分化した新しいMAC及び機能性MICの有糸分裂コピーを受けとる。それからカリオナイドは二分裂による栄養増殖を開始する。
図7は、1つのエピソームプラスミドと、1つの組込み型発現プラスミドを用いたテトラヒメナ細胞の形質転換の模式図を示す。この2つのプラスミドを用いる手法は、全IgGを産生し、かつチミジン要求性を示す、安定形質移入テトラヒメナ細胞をもたらす。
図8は、テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophile)細胞において発現される抗CD4抗体Gk1.5及びその断片の代表的な免疫ブロットを示す。図8Aには、細胞ペレットにおける、並びに安定形質転換細胞の上清における、Gk1.5及びその断片の発現が、組換えタンパク質発現の誘導(p.i.)後、異なる時間について示されており、当該細胞は、マルチ発酵槽(0.5L、実験室規模)で培養した。イー・バイオサイエンス社(eBioscience)製の抗CD4抗体クローンGk1.5を陽性対照として用いた。染色は、Hrp結合抗ラットIgGを用いて行った。図8Bには、タンパク質Gカラムを用いて、生成した上清を精製した後のテトラヒメナで発現された抗体Gk1.5及びその断片の代表的な免疫ブロットを示す。
図9は、テトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophile)とホモ・サピエンス(Homo sapiens)との間においけるコドン使用頻度の比較を示す。ホモ・サピエンスのものは、哺乳類細胞株で発現されるモノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体に応用できる。さらなる説明については本文を参照のこと。
図10は、繊毛虫、特にテトラヒメナ属において用いられる遺伝コードを示す。グルタミンをコードする、非標準ヌクレオチドコードであるUAA及びUAGは太字で示してある。しかしながら、一般的な遺伝コードによれば、これらのトリプレットは終止コドンである(取消し線の引かれたトリプレットを参照)。「1LC」は「1文字コード」を表し、「3LC」は「3文字コード」を表す。
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Claims (8)

  1. (i)酵母菌のようなマンノースに富む過剰グリコシル構造及び(ii)フコースを有さないN−グリカン構造を有し、かつ増強された抗体依存性細胞障害性(ADCC)を有する、モノクローナル抗体(mAb)を製造するために用いる異種発現系であって、以下のa)及びb)を含む、上記異種発現系。
    a)少なくとも1種の繊毛虫宿主細胞、但し、前記繊毛虫が、テトラヒメナ科(Tetrahymenidae)に属するものである、及び
    b)上記繊毛虫宿主細胞に組み込まれる少なくとも1種の異種核酸分子であって、上記モノクローナル抗体をコードする上記異種核酸分子
  2. 前記異種発現系は、d)前記核酸分子に作動可能に連結したシグナル配列であって、該シグナル配列は、前記核酸分子によってコードされるモノクローナル抗体を細胞外培地に分泌させる原因となるシグナル配列をさらに含む、請求項1に記載の異種発現系。
  3. 上記モノクローナル抗体(mAb)の血清半減期が延長されている、請求項1からの何れか1項に記載の異種発現系。
  4. 上記異種発現系が、以下をさらに含む、請求項1からの何れか1項に記載の異種発現系:
    c)上記核酸分子に作動可能に連結したプロモーター。
  5. 繊毛虫宿主細胞の形質移入に用いるためのベクターであって、前記繊毛虫宿主細胞は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発現系に含まれる繊毛虫宿主細胞であり、該ベクターは、請求項1〜のいずれか1項に記載の発現系に含まれるモノクローナル抗体(mAb)をコードする少なくとも1つの核酸分子を含む、上記ベクター。
  6. 請求項に記載のベクターの少なくとも1種により形質移入されたものであり、前記繊毛虫が、テトラヒメナ科(Tetrahymenidae)に属するものであり、
    前記繊毛虫宿主細胞は、モノクローナル抗体(mAb)の異種発現系(但し、前記モノクローナル抗体(mAb)は、(i)酵母菌のようなマンノースに富む過剰グリコシル構造及び(ii)フコースを有さないN−グリカン構造を有する)に用いられ、かつ
    上記モノクローナル抗体(mAb)が、増強された抗体依存性細胞障害性(ADCC)を有する、繊毛虫宿主細胞。
  7. 繊毛虫宿主細胞において、少なくとも1種のモノクローナル抗体(mAb)(但し、前記モノクローナル抗体(mAb)は、(i)酵母菌のようなマンノースに富む過剰グリコシル構造及び(ii)フコースを有さないN−グリカン構造を有し、かつ増強された抗体依存性細胞障害性(ADCC)を有する)を製造するための方法、但し、前記繊毛虫が、テトラヒメナ科(Tetrahymenidae)に属するものである、であって、以下の工程を含む、上記方法:
    a)上記モノクローナル抗体をコードする少なくとも1種の核酸分子を用いて、少なくとも1種の繊毛虫宿主細胞を形質移入する工程、及び
    b)タンパク質の発現を可能にする条件下で上記宿主細胞を培養する工程。
  8. 前記形質移入工程は、請求項6に記載のベクターの少なくとも1種を用いて行う、請求項に記載の方法。
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