JP5983992B2 - セシウム汚染土壌の洗浄処理方法 - Google Patents
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すなわち、上述した浄化工程のうち分級処理によって得られた砂分には、その土壌粒子の表層にセシウムが入り込んだ状態でセシウムが取り込まれている。そのため、セシウム汚染土壌の洗浄効果を高めるためには、スクラビング処理において、スクラバーの回転数や駆動力を上げて攪拌力を大きくすることで、土壌粒子の表層を厚く剥ぎ取り、セシウムを取り込んでいる土壌粒子の表層剥離を十分に行うことが必要とされている。しかし、スクラビング処理を過剰に行うと、土壌粒子同士の衝突が大きくなり、スクラビングによって剥ぎ取られる部分が土壌粒子の表層だけなく、セシウムが取り込まれていない内部部分まで厚く剥ぎ取ってしまい、その剥ぎ取る量が増加することから、セシウムを含む残渣量が増え、処分コストも増大するという問題があった。
また、従来と比べて弱い攪拌力で土壌粒子表層のみを剥ぎ落とすことが可能であるので、攪拌時における土壌粒子の厚さ制御がし易くなるという利点もある。
先ず、分級工程1において、湿式ふるい装置11を用いて、土壌への吸着性の強いセシウム汚染土壌(汚染土壌G0)から粗粒子分G2を分離し、スラリー状の土砂G1とする湿式ふるい分級処理が行われる。ここで、湿式ふるい装置11は、振動ふるいや超音波ふるい、比重選別等により、異物を選別して、礫・粗砂とそれ以下のスラリー状の土砂G1とに分級するものであり、網面を内部に備えている。この湿式ふるい装置11には、市販の公知の装置を使用することができる。なお、湿式ふるい装置11によって粗粒子分G2を分離しておくことにより、洗浄工程4における洗浄効率を向上させることができる。
ハイドロサイクロン12は、例えば円筒底部が円錐型をした構造の容器からなり、土砂と水を混ぜたスラリーを導入する上部流入口と、アンダーフローを取り出す下部流出口と、オーバーフローを取り出す上部流出口とを備えている。上部流入口から入ったスラリー状の土砂G1は、円筒容器の円周方向に高速で供給されることにより、回転運動を起こし、回転流となって、円錐頂部に向かって進む。この時、スラリー中の比重の重い粒子は遠心力により周壁に集まり、次第にアンダーフロー出口(下部流出口)に向かい、濃縮して排出される。一方、液体と比重の軽い粒子は、円筒容器の中央部を渦流となって上昇し、オーバーフロー出口(上部流出口)から排出される。なお、ハイドロサイクロン12としては、公知の装置を使用することができる。そして、セシウムは細粒子分S2に付着・吸着しているため、ハイドロサイクロン12で分級することにより、ほとんどのセシウムを洗浄処理土から除去することができる。この分級の処理回数は、適宜設定されるが、1回以上行うのが好ましい。
次に、表面処理工程2において、分級工程1で分級処理した砂分S1を加熱装置13Aに投入し、所定の加熱温度になるまで加熱する。その後、加熱装置13Aで加熱した砂分S1を水槽13Bに投入して急冷することで、大きな温度差を発生させ、この温度差により土壌粒子の表面(表層部分)を脆弱化させる表面処理が行われる。加熱装置13Aと水槽13Bは、適宜な装置、構造のものを採用することができ、それぞれが分離型でも一体型でもよい。なお、表面処理工程2で処理された砂分を符号S3で示している。ここで、加熱装置13Aによって加熱される砂分S1の加熱温度は、例えば200℃以上とされ、20℃以下の水が配された水槽13B内において急冷される。一例として、上記加熱温度が290℃で、水槽13Bの水温が16℃とされる。
また、加熱装置13Aの熱源として、例えば本実施の形態の洗浄処理設備が焼却設備に隣接して設けられている場合に、その焼却設備の排熱を利用することも可能である。
続いて、スクラビング工程3において、スクラバー14を用いて、表面処理工程2で脆弱化された砂分S3の表層部分を攪拌することによるもみ洗いにより剥ぎ落として離脱処理することで、セシウムを取り込んでいる砂分S3の表層部分を離脱させる。
スクラバー14は、攪拌槽と攪拌羽根とが設けられており、攪拌羽根等を用いて機械的に混合・攪拌して土壌粒子を相互に衝突させて擦り合わせることにより、土壌表面(表層)を破壊し、剥ぎ落とすことで表層に取り込まれているセシウムとともに剥離させるためのものである。なお、スクラバー14としては、公知の装置を使用することができ、磨耗効果の高いアトリッションスクラバーを用いても良いし、通常のスクラバーを採用することも可能である。
次に、洗浄工程4において、フローテーション装置15を用いて、スクラバー14からフローテーション装置15に投入された砂分S3のうちスクラビング工程3による離脱物(セシウムを含む土壌粒子の表層部分)をフローテーション処理によって発生させたフロスFにより回収するとともに、前記離脱物が除去された洗浄砂S4を取り出す。
つまり、フローテーション装置15では、気泡を発生させ、スクラバー14で分離した離脱物(セシウムを含む土壌粒子の表層部分)を気泡と共に液面へと上昇させ、液面から泡と共にフロスFとして回収され、吸着工程6で用いられる凝集沈殿装置18に送られる。
次に、セシウム抽出工程5において、洗浄工程4で取り出された洗浄砂S4に残った残留セシウムを、抽出槽16において、セシウム抽出薬剤8の溶液により抽出し、脱水処理装置17を用いてさらに濃度の低い2次洗浄砂(低濃度洗浄砂S5)を脱水処理する。ここで、セシウム抽出薬剤8として、例えば、カリウム化合物などのアルカリ金属類や、アンモニア、又は硝酸などの酸性物質を用いることができる。
脱水処理装置17は、公知の加圧式濾過装置(ベルトフィルタープレス)等であり、濾布等からなるフィルターとプレス機を備えている。なお、このときの処理溶液Eは、吸着工程6で用いられる凝集沈殿装置18に送られる。
次に、吸着工程6において、洗浄工程4によるフロスF、及びセシウム抽出工程5による処理溶液Eが凝集沈殿装置18に送られるとともに、分級工程1によるハイドロサイクロン12で分離した細粒子分S2も凝集沈殿装置18に送られる。凝集沈殿装置18は、細粒子を含んだ懸濁水に凝集剤を添加・撹拌し、水中の微細な浮遊物を大きな沈殿汚泥として沈殿させ、清澄な処理水Wを分離するものである。なお、凝集沈殿装置18には、プレス脱水装置19を備えている。このプレス脱水装置19は、公知の加圧式濾過装置(ベルトフィルタープレス)等であり、濾布等からなるフィルターとプレス機を備えている。
そして、前記細粒子分S2を吸着材とし、この細粒子分S2にセシウム(フロスF、処理溶液E)を吸着させて除去し、凝集沈殿させて沈殿汚泥と水とに分離し、プレス脱水装置19により沈殿汚泥を脱水処理し、濃縮残渣Tと処理水Wとに分離する。
図1に示すように、本実施の形態では、分級工程1において分級処理した砂分S1の表層部分にはセシウムが入り込んだ状態で取り込まれているが、表面処理工程2において、この砂分S1を加熱し、さらにその直後に水中において急冷して温度差を生じさせることにより、砂分S1の土壌粒子の表面(表層部分)を脆く破壊し易い状態にする表面処理を施すことができる。
さらに、スクラビング工程3において表面処理された砂分S3をスクラバー14によるスクラビング処理によって攪拌することで、土壌粒子同士が衝突するため、熱処理工程によって脆くなった土壌粒子の表層が剥ぎ落とされ、離脱させることができる。
また、従来と比べて弱い攪拌力で土壌粒子表層のみを剥ぎ落とすことが可能であるので、攪拌時における土壌粒子の厚さ制御がし易くなるという利点もある。
また、本実施の形態では、吸着工程6において、細粒子分S2を吸着材として利用する方法としているが、このような回収方法を採用することにも限定されることはない。
ここで、界面活性剤としては、例えば脂肪酸塩、ドデシル硫酸塩、オレイン酸塩、ザンセート、アルキルスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、他一般的な界面活性剤が挙げられる。
2 表面処理工程(第2工程)
3 スクラビング工程(第3工程)
4 洗浄工程
5 セシウム抽出工程
6 吸着工程
8 セシウム抽出薬剤
11 湿式ふるい装置
12 ハイドロサイクロン
13A 加熱装置
13B 水槽
14 スクラバー
15 フローテーション装置
16 抽出槽
17 脱水処理装置
18 凝集沈殿装置
E 処理溶液
F フロス
G0 汚染土壌(セシウム汚染土壌)
G1 土砂
G2 粗粒子分
S1、S3 砂分
S2 細粒子分
S4 洗浄砂
S5 低濃度洗浄砂
T 濃縮残渣
W 処理水
Claims (2)
- セシウムにより汚染された汚染土壌を洗浄するとともに、該汚染土壌からセシウムを分離、除去するセシウム汚染土壌の洗浄処理方法であって、
前記汚染土壌に水を添加し、湿式ふるい分級処理して粗粒子分を分離したスラリー状の土砂を、砂分と細粒子分とにさらに分級処理する第1工程と、
該第1工程で分級処理した砂分を加熱し、その直後に水中に投入して急冷を行うことによる温度差によって、該砂分の土壌粒子表面を脆くする表面処理を行う第2工程と、
該第2工程で表面処理された砂分の表層部分を攪拌により剥ぎ落として離脱させる第3工程と、
を有することを特徴とするセシウム汚染土壌の洗浄処理方法。 - 前記第3工程の攪拌とともに界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1に記載のセシウム汚染土壌の洗浄処理方法。
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