JP6025409B2 - 放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法 - Google Patents

放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法に関する。
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、さまざまな場所で放射性セシウムが検出されており、大量の汚染土壌を処理する必要に迫られている。
以下の非特許文献1に記載されるように、高濃度の酸を用いて土壌から放射性セシウムを抽出できることは知られているが、取扱いが難しいことや、酸の再利用が困難でコストが高い等の問題があると記載されている。また、非特許文献1には、セシウム汚染土壌を0.5mol/Lの希硝酸と95℃で混合した場合、固液比200で抽出率が約88%となり、固液比を増加させると、セシウムイオンの抽出率が劇的に向上すること、また抽出温度を200℃に上げた場合、ほぼ完全にセシウムイオンを抽出できたことが記載されている。
しかしながら、非特許文献1では、セシウム汚染土壌は細粒土と粗粒土に分離されておらず、そのままで酸によるセシウム抽出がなされている。
以下の非特許文献2には、汚染土壌からの放射性セシウム134Cs、137Cs抽出に適した薬剤について記載されており、水、食用酢、KI、NHCOOH、NHCl、NHF、NaHCO、CsI水溶液の内、常温及び90℃で100時間放置した場合の抽出率は、KI水溶液が、134Csと137Csについて、それぞれ34%と37%と最も高かったことが記載されている。
以下の非特許文献3には、放射性セシウム吸着土壌からの半導体洗浄剤等によるセシウム解離が試みられたが、塩基性薬剤、有機酸及び弱酸性薬剤のほか、殆どの薬剤では粘度成分から放射性セシウムを溶出させることはできず、効果的な溶出がみられるのは、塩酸、フッ化水素、硫酸等、無機酸が一定濃度以上存在する場合だけであったことが記載されている。
以下の非特許文献4には、放射性セシウムの土壌中の挙動について説明されており、除染方法として、深さ5mmの層を取った土に、水を加えてかき回し、粘土が沈殿する前に、そして粗い粒子が先に沈殿した後(約30秒後)に上澄み液を取り去った土は、放射能が、元の土の4分の1になり、さらに、2回洗浄したところ、25分の1になったことが報告されている。また、粘土が沈殿して分離した上澄み液には、放射能は含まれていなかったこと、放射能が低い汚染土壌の場合には、かかる処理の後、そのまま元の場所に戻すことができ、放射能が非常に高い場合には、土中の砂の粒子の表面に放射性セシウムがまだ付いているので、砂粒子同士をすり合せて表面を削り取ることにより放射性セシウムを落とし、それでも落ちない場合には、希硝酸で表面を処理し、懸濁液を回収し、それを濾過して洗浄土を得ることができると記載されている。
また、非特許文献4には、粒径が30μm以下の粘土にセシウムは多く付いており、放射性セシウムは粘土の表面に付着しているので、粘土の細分化による、非放射性粘土と放射性粘土の分離による放射性セシウムの高濃度化が提案されている。
非特許文献4には、径が30μm以下の粘土をデカンテーションにより取り除くことを繰り返せば、放射性セシウム汚染土壌を洗浄することができることが教示されているが、希硝酸を使用する場合の温度や固液比については、何も示唆されていない。
このように、放射性セシウム汚染土壌を効率的に洗浄する方法は今日まで確立されておらず、さらに効率的に洗浄土を回収する方法を提供する必要性が未だ在る。
産総研プレスリリース「土壌中のセシウムを低濃度の酸で抽出することに成功」2011年8月31日発表。 福田美陽ら、日本放射線安全管理学会第10回学術大会(東京工業大学、2011.11.30−2011.12.2)講演予稿集P11「福島第一原子力発電所事故による汚染土壌からのセシウム抽出」 宮倉悟ら、日本放射線安全管理学会第10回学術大会(東京工業大学、2011.11.30−2011.12.2)講演予稿集P18「放射性セシウム吸着土壌からの半導体洗浄剤等によるセシウム解離の試み」 東北大学大学院工学研究科、石井慶造、第34回原子力委員会資料第1号「水洗浄による放射性セシウム汚染土壌の除染方法について」、原子力委員会定例会議平成23年9月6日10:00〜
本発明が解決しようとする課題は、放射性セシウム汚染土壌から放射性セシウムを効率的に除去することができる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し実験を重ねた結果、放射性セシウム汚染土壌を細粒土と粗粒土とにまず分離し、その後、粗粒土を酸性薬液で抽出することにより、放射性セシウムが除去された洗浄土を効率的に回収することがきることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]以下の工程:
放射性セシウム汚染土壌を水と混合し、一定時間静置し、濁水中に含まれる粒径45μm以下の細粒土と、沈殿物としての粒径45μm超えの粗粒土とに分離する分離工程;及び
該沈殿物から該放射性セシウムを酸性薬液で抽出して、洗浄粗粒土を得る抽出工程;
を含む放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法。
[2]前記酸性薬液は3%硝酸水溶液である前記[1]に記載の方法。
[3]前記抽出工程における粗粒土(乾燥質量):3%硝酸水溶液の固液比は1:5.3〜1:21の範囲内にある前記[2]に記載の方法。
[4]前記抽出工程における抽出時間は10〜45分間である前記[2]又は[3]に記載の方法。
[5]前記抽出工程は20〜90℃の温度範囲で行う、前記[2]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記酸性薬液は、0.5mol/LのH2SO4、HNO3又はHClであり、前記抽出工程における抽出温度は90℃であり、前記抽出工程における粗粒土(乾燥質量):前記酸性薬液の固液比は1:21であり、そして前記放射性セシウム汚染土壌と最終的に得られる洗浄粗粒土との関係において定義するCs除去率が95%以上である、前記[1]に記載の方法。
放射性セシウム汚染土壌から、約20%の質量比で存在する細粒土を取り除けば、放射性セシウムの80%を除去でき、さらに、約80%の質量比で存在する粗粒土中の残存放射性セシウム20%を酸性薬液で一定条件下で抽出することにより、全体として、放射性セシウムが約90%以上除去された約80質量%の洗浄土を回収することができる。
実施例1における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例2における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例3における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例4における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例5における洗浄手順を示すフローチャートである。 参考例における洗浄手順を示すフローチャートである。 固液比とCs抽出率との関係を示すグラフである。 抽出時間とCs抽出率との関係を示すグラフである。 実施例6における洗浄手順を示すフローチャートである。 抽出温度とCs抽出率との関係を示すグラフである。 実施例7における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例8における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例9における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例10における洗浄手順を示すフローチャートである。 酸性薬液種とCs抽出率との関係を示すグラフである。 H2SO4濃度とCs抽出率との関係を示すグラフである。 実施例11における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例12における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例13における洗浄手順を示すフローチャートである。 実施例14における洗浄手順を示すフローチャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下の工程:
放射性セシウム汚染土壌を水と混合し、一定時間静置し、濁水中に含まれる粒径45μm以下の細粒土と、沈殿物としての粒径45μm超えの粗粒土とに分離する分離工程;及び
該沈殿物から該放射性セシウムを酸性薬液で抽出して、洗浄粗粒土を得る抽出工程;
を含む放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法である。
本明細書中、用語「土壌」とは、例えば、粒子径が略1〜20,000ミクロンである岩石破片粒子の集合体であり、通常、粘土、含有水を含んで塊状になって存在しているものといい、汚染土壌、畑砂、建築廃材のような固形で塊状の物質等を広く包含する。
本明細書中、用語「放射性セシウム」とは、半減期30年の137Csと半減期2年の134Csであり、放射能の存在比は、1.0:0.82である。これらの放射性セシウムからはベータ線とガンマ線が放出される。非特許文献2には、137Csと134CsのKI水溶液等による抽出率はほぼ同等であったと記載されている。Csは、2:1型層状ケイ酸塩と呼ばれ、薄いシート状の層が積み重なり、層と層の間に負電荷をもつ粘土鉱物にきわめて強く固定され、他の陽イオンによって簡単に置き換えることができなくなると記載されている。その固定(結合)力はK<NH <Csの順に大きくなるとも記載されている。
本明細書中、「放射性セシウム汚染土壌を水と混合し、一定時間静置する」際の「混合」手段は特に限定されない。例えば、トロンメルや、コンクリートミキサーで土壌と水を混合する手段も包含される。「静置」は、例えば、バケツ等の容器に上記コンクリートミキサーからの混合物を入れ、一定時間経過後、放置すればよい。但し、混合手段によっては、かかる静置のための「一定時間」は限りなくゼロに近いものであることができる。
本発明に係る方法は、「濁水中に含まれる粒径45μm以下の細粒土と、沈殿物としての粒径45μm超えの粗粒土とに分離する分離する工程」を含む。以下、実施例中の「試験手順」で述べるように、「(1)ビーカーに試料土壌と純水を入れ、ゆっくり手で振り30秒間、穏やかに攪拌する。1分間静置し、濁水を除去し、その後、(2)上記(1)を10回繰り返し(細粒土を除去し)、得られた試料土壌を粗粒土とする。」。この濁水には、粒径45μm以下の細粒土が主に含まれ、濁水を除去した後の沈殿物には粒径45μm超えの粗粒土が主に含まれていることが経験的に分かっている。したがって、本明細書中、用語「細粒土」とは、放射性セシウム汚染土壌を水と混合し、一定時間静置した後の濁水中に含まれる粒径45μm以下の細粒土を意味し、「粗粒土」とは、沈殿物としての粒径45μm超えの粗粒土を意味する。
尚、「放射性セシウム汚染土壌」は、現場から直接採取した土壌であるか、何らかの前処理を施した土壌のいずれをも包含する。
本発明に係る方法は、「沈降物から放射性セシウムを酸性薬液で抽出して、洗浄粗粒土を得る抽出工程」を含む。かかる抽出工程における「抽出」手段は特に限定されない。
本明細書中、用語「酸性薬液」は酸性を呈する薬液であれば特に限定されないが、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、これらの塩、具体的には、3%硝酸水溶液であることができる。Cs除去率を全体として高めるためには、Cs抽出率が70%付近であり、pHが0.4付近である硫酸、硝酸、塩酸を酸性薬液として使用することが好ましい。
前記抽出工程においては、粗粒土(乾燥質量):3%硝酸水溶液の固液比は、1:5.3〜1:21の範囲内にあることができ、抽出時間は、10〜45分間であることができ、そして20〜90℃の温度範囲での抽出であることができる。尚、「粗粒土(乾燥質量)」とは、以下の[試験手順]において、粗粒土の含水率を測定した後に、含有される水分を差し引いた質量をいう。例えば、図1を参酌すれば、粗粒土の土量は0.19kg−dryであり、3%硝酸は4000gであるので、固液比は1:21である。
以下の実施例により詳細に説明するが、本発明に係る方法においては、放射性セシウム汚染土壌から、約20%の質量比である細粒土を取り除けば、放射性セシウムの80%を除去することができ、さらに、約80%の質量比である粗粒土中の残存放射性セシウム20%を酸性薬液で一定条件下で抽出することにより、全体として、放射性セシウムが約90%以上除去された約80質量%の洗浄土を回収することができる。ここで、取り除かれた約20%の質量比である細粒土は、回収され、さらに処理されるか、又は最終処分されることができる。また、混合工程、抽出工程、及びその後の任意的水洗工程で使用した廃液は、さらに処理され、該処理後の廃液は放流され、凝集した汚染物質(脱水ケーキ)は最終処分されることができる。
以下、参考例に示すように、粗粒土と細粒土の分離工程を経ずに、放射性セシウム汚染土壌を酸性薬液で同条件下で抽出した場合、全体として、放射性セシウム汚染土壌中のCsの除去率は、固液比21の場合、42%、固液比5.3の場合、24%となったため、本発明に係る方法に従って、抽出工程に先立って、粗粒土と細粒土の分離工程を経ることにより、Cs除去率が著しく向上することが分かる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
以下の実施例、参考例において使用した試験手順、試験機材は、次のようなものであった。
[Cs抽出試験]
[機材]
以下の機材を使用した:
・ゲルマニウム半導体検出器
・恒温器
・反応装置(冷却管、攪拌機、反応容器、温調器付きマントルヒーターを組合わせたもの)
・遠心分離機
・濾過器
・溶出振とう試験装置(環境省告示型)
[試験手順]
1.土壌前処理、試料土壌の放射線量測定
(1)中小礫、木片等を取り除く。
(2)土塊、団粒を粗砕する。
(3)低濃度Cs汚染土壌(以下、単に「汚染土壌」ともいう。)を2mmの篩にかける。
(4)篩通過後の土壌を十分に混合し、試料土壌とする。
(5)試料土壌を採取し、含水率を分析する。
(6)試料土壌を測定容器(100ml)に移し、ゲルマニウム半導体検出器を用いて放射線量測定を行う。
尚、放射線量測定は以下のようにして行った。
サーベイメータの検出器部をスタンドに固定し、バックグラウンドの放射線量を測定(3回測定の平均値)し、Cs測定後の試料を検出器上に置いて、放射線量を測定(5回測定の平均値)した。試料の放射線量はバックグラウンドを差し引いた値とした。サーベイメータの仕様を以下に示す:
メーカー:日立アロカメディカル
機器名:エネルギー補償型γ線用シンチレーションサイベーメーターTCS−172B
検出器:NaI(TI)シンチレーション
測定レンジ:バックグラウンド〜30μSv/h
エネルギー範囲:50kev〜3MeV
2.粗粒土前処理及び粗粒土の放射線量測定
(1)ビーカーに試料土壌と純水を入れ、ゆっくり手で振り30秒間、穏やかに攪拌する。1分間静置し、濁水を除去する。
(2)上記(1)を10回繰り返し(細粒土を除去し)、得られた試料土壌を粗粒土とする。
(3)粗粒土を採取し、含水率を分析する。
(4)粗粒土を測定容器に移し、試料土壌の場合と同様に、ゲルマニウム半導体検出器を用いて放射線量測定を行う。
3.抽出操作
(1)粗粒土を耐熱PPバッグに入れて、90℃の恒温器内で温める。
(2)濃硝酸から3%W/V硝酸水溶液を調製する。
(3)反応容器に上記硝酸水溶液を所定量入れ、攪拌機で攪拌しながら、90℃に加熱する。
(4)反応容器に、温めた粗粒土を所定量入れ、45分間、攪拌する。
(5)反応容器を水冷する。
(6)反応容器内の液を遠心管に移し、遠心分離機を用いて、遠心分離(3000rpm、10分間)する。
(7)遠心後の上澄み液と沈殿土壌を各々全量回収する。
4.遠心後上澄み液、濾過液の放射線量測定
(1)遠心後上澄み液を測定容器に移し、放射線量を測定する。
(2)遠心後上澄み液を、濾過器を用いて、濾過する。
(3)濾過後の回収液を濾過液とする。
(4)濾過液の放射線量を測定する。
5.水洗液、洗浄粗粒土のCs測定
(1)遠心後の沈殿土壌に所定量の水を加える。
(2)溶出振とう試験装置を用いて、10分間振とうする。
(3)振とう後、遠心管に移し、遠心分離(3000rpm、10分間)する。
(4)遠心後の上澄み液を全量回収し、水洗液とする。
(5)遠心後の土壌を全量回収し、洗浄粗粒土とする。
(6)水洗液の放射線量を測定する。
(7)洗浄粗粒土を採取し、含水率を測定する。
(8)洗浄粗粒土の放射線量を測定する。
尚、上記試験手順1〜5において、低濃度Cs汚染土壌中に、中小礫、木片等があった場合には、これらを取り除いた。加熱攪拌中に発生する蒸気は、冷却管を用いて還流して液量の変化を抑え、放射線量の測定はできるだけ速やかに行った。濾過には、0.45μmのメンブランフィルターを用い、試験中に回収した土壌や水は、充分に混合して均一化した。
[実施例1]
図1に示す手順に従い、放射性セシウム汚染土壌を、粗粒土と細粒土に分離した。図1に示すように、放射性セシウム汚染土壌の放射線量はCs:38930Bq/kg−dryであり、粗粒土の放射線量はCs:6856Bq/kg−dryであったため、細粒土の放射線量はCs:32073Bq/kg−dryと計算さるので、粗粒土:細粒土のCs存在比は、17.6%:82.4%であった。他方、粗粒土:細粒土の質量比は、80.7%:19.3%であった。したがって、細粒土を除去し、これを処分すれば、粗粒土を細粒土との分離工程において、82.4%のCs放射線量が除去することができる。
粗粒土に残存する6856Bq/kg−dryのCsは、3%硝酸による固液比21、抽出温度90℃、抽出時間45分、その後の水洗により、最終的に、洗浄粗粒土中に1267Bq/kg−dryのCsが残存することになるので、粗粒土の抽出工程における抽出効率は81.5%となる。したがって、放射性セシウム汚染土壌と最終的に得られる洗浄粗粒土との関係において、Cs除去率を定義すれば(以下の表1参照)、粗粒土と細粒土の分離工程、その後の、粗粒土の抽出工程により、全体として、放射性セシウム汚染土壌中のCsの96.7%が除去されることとなる。この関係を、以下の表1に示す。
Figure 0006025409
[実施例2]
実施例1と同様に、放射性セシウム汚染土壌1を洗浄した。但し、抽出工程における固液比を5.3とした。
表1に示すように、Cs除去率は、全体として、88.8%となった。
[実施例3]
実施例1と同様に、放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。但し、実施例1とは異なる汚染土壌2を用い、抽出後の水洗を実施しなかった。
表1と以下の表2に示すように、Cs除去率は、全体として、95.1%となった。
Figure 0006025409
[実施例4]
実施例1と同様に、放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。但し、実施例1とは異なる汚染土壌2を用い、抽出後の水洗を実施せず、さらに抽出時間として、45分間に加え、10分間のものも実施した。
表2に示すように、Cs除去率は、全体として、抽出時間10分間の場合、93.3%、抽出時間45分間の場合、95.6%となった。
[実施例5]
実施例1と同様に、放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。但し、実施例1とは異なる汚染土壌2を用い、抽出後の水洗を実施せず、さらに抽出時間として、45分間に加え、25分間のものも実施した。
表2に示すように、Cs除去率は、全体として、抽出時間25分間の場合、95.0%、抽出時間45分間の場合、96.1%となった。
表1と表2中のデータを用いて、固液比:Cs除去率の関係、及び抽出時間:Cs除去率の関係を、それぞれ、図7と図8に示す。
図7から、抽出工程における固液比が高い程Cs抽出率が高いことが分かる。
また、図8から、抽出時間が長い程、Cs抽出率が高いことが分かる。但し、Cs抽出率の向上は緩やかである。
[参考例]
図6に、粗粒土と細粒土の分離工程を経ずに、放射性セシウム汚染土壌を、3%硝酸による固液比5.3と21、抽出温度90℃、抽出時間45分、その後の水洗により、洗浄した例を示す。全体として、放射性セシウム汚染土壌中のCs除去率は、固液比21の場合、42%、固液比5.3の場合、24%となった。
したがって、抽出工程に先立って、粗粒土と細粒土の分離工程を経ることにより、Cs除去率が著しく向上することが確認できた。
[実施例6]
実施例5と同様に、放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。但し、抽出温度を20℃とした(図9参照)。
また、以下に示す実施例11と12において、それぞれ、抽出温度90℃と60℃で放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。
以下の表3及び図10に示すように、Cs抽出率は17.8〜61.8%であり、温度が高い程、Cs抽出率が高くなる比例関係にあり、Cs除去率は全体として87.2〜96.1%となった。
Figure 0006025409
[実施例7〜10]
実施例7〜10において、それぞれ、図11〜14に示すように、酸性薬液として0.5mol/LのH2SO4、HNO3、K2SO4、HClをそれぞれ用いて放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。
以下の表4及び図15に示すように、H2SO4、HNO3、K2SO4、HClのCs除去率は、それぞれ、71.6、66.8、23.5、68.2%であり、強酸である硫酸、硝酸、塩酸のCs抽出率はいずれも70%付近でありほぼ同じであった。
Figure 0006025409
[実施例11と12]
抽出温度とCs抽出率との関係を調べるために、図17と図18にそれぞれ示すように実施例11と12において放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。
結果は表3に前記した。
[実施例13と14]
酸性薬液(H2SO4)の濃度とCs抽出率との関係を調べるために、図19と図20にそれぞれ示すように実施例13と14において放射性セシウム汚染土壌を洗浄した。
以下の表5及び図16に示すように、酸性薬液の濃度が高い程、Cs抽出率は高くなることが分かった。0.05mol/L H2SO4を用いた場合、Cs抽出率は26.1%、Cs除去率は全体として84.4%であったのに対し、0.5mol/L H2SO4を用いた場合、Cs抽出率は71.6%、Cs除去率は全体として96.4%であった。
Figure 0006025409
以上の結果から、表4に示す結果を参酌すれば、Cs除去率を全体として高めるためには、Cs抽出率が70%付近であった硫酸、硝酸、塩酸といった酸性薬液を使用することが好ましいことが分かる。
本発明により、放射性セシウム汚染土壌から、約20%の質量比である細粒土を取り除けば、放射性セシウムの80%を除去することができ、さらに、約80%の質量比である粗粒土中の残存放射性セシウム20%を酸性薬液で一定条件下で抽出することにより、全体として、放射性セシウムが約90%以上除去された約80質量%の洗浄土を回収することができる。よって、本発明は、放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法として好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. 以下の工程:
    放射性セシウム汚染土壌を水と混合し、一定時間静置し、濁水中に含まれる粒径45μm以下の細粒土と、沈殿物としての粒径45μm超えの粗粒土とに分離する分離工程;及び
    該沈殿物から該放射性セシウムを酸性薬液で抽出して、洗浄粗粒土を得る抽出工程;
    を含む放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法。
  2. 前記酸性薬液は3%硝酸水溶液である請求項1に記載の方法。
  3. 前記抽出工程における粗粒土(乾燥質量):3%硝酸水溶液の固液比は1:5〜1:21の範囲内にある請求項2に記載の方法。
  4. 前記抽出工程における抽出時間は10〜45分間である請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記抽出工程は20〜90℃の温度範囲で行う請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記酸性薬液は、0.5mol/LのH2SO4、HNO3又はHClであり、前記抽出工程における抽出温度は90℃であり、前記抽出工程における粗粒土(乾燥質量):前記酸性薬液の固液比は1:21であり、そして前記放射性セシウム汚染土壌と最終的に得られる洗浄粗粒土との関係において定義するCs除去率が95%以上である、請求項1に記載の方法。
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