JP5983943B2 - ジアリルフタレート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性に優れ、高い白色度及びその白色度を長期間維持できる成形物を与えるジアリルフタレート樹脂組成物に関するものである。
近年、発光ダイオードを用いた照明器具において、耐熱性に優れ、高い白色度を長時間維持できる材質を用いた収納パッケージが求められている。例えば、収納パッケージの材質として、セラミック材料が用いられている。セラミック材料は、可視光の表面反射が高く、放熱性、電気絶縁性に優れるため、照明器具において広く用いられている。しかしながら、セラミック材料は成形加工において型への充填性・離型性等の面で劣るため、これに代わる材料の検討が行われている。
ジアリルフタレート樹脂は、優れた寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性を有し、また、成形加工において型への充填性・離型性等に優れており、電気電子部品用成形材料や注型用樹脂として広く用いられている。
発光ダイオードの収納パッケージに、ジアリルフタレート樹脂を用いた例として、特許文献1には、ジアリルフタレート樹脂、重合開始剤、酸化チタン及び光安定剤を含有し、酸化チタンが、二酸化チタン量として80〜97重量%に調整され、かつ、その含有量が組成物の全重量にして5〜120重量部であることを特徴とするジアリルフタレート樹脂組成物が記載されている。しかしながら、ジアリルフタレート樹脂組成物中に含まれる成分が時間の経過とともに黄変の原因となるため、長期の白色度の維持の面で不十分なものであった。
上記課題を解決1つの手法として、ジアリルフタレート樹脂組成物中に酸化防止剤を添加する方法が挙げられる。ジアリルフタレート樹脂のような熱硬化性樹脂組成物に用いる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が一般的に用いられる。しかしながら、フェノール系酸化防止剤は、自動酸化の過程で生成するペルオキシラジカルを捕捉してフェノキシラジカルを経て、キノン系化合物へと酸化される。このキノン系化合物は、着色物質であることが知られており、白色度が要求される樹脂組成物においては、有色化合物の生成の点からフェノール系酸化防止剤を用いることができなかった。そこで、パッケージ材料として、成型性に優れるジアリルフタレート樹脂を用い、耐熱性に優れ、高い白色度を長期間維持することのできる樹脂組成物の開発が求められている。
特開2008−255338
本願発明の目的は、成形加工において型への充填性・離型性等が良好で、成形が容易であり、また成形加工品が耐熱性に優れ、白色度が高く、高い白色度を長期間維持可能なジアリルフタレート樹脂組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決する為、鋭意検討した結果、特定の酸化防止剤を含有するジアリルフタレート樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出した。即ち、本願発明は、ジアリルフタレート樹脂(a)、重合開始剤(b)、酸化チタン(c)、及び酸化防止剤(d)を含有し、酸化防止剤(d)がリン系酸化防止剤であり、かつ樹脂組成物中における酸化防止剤(d)の含有量がジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴するジアリルフタレート樹脂組成物が、耐熱性に優れ、高い白色度を長時間維持可能なことを見出し、本願発明を完成した。
本願発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、以下にジアリルフタレート樹脂組成物を提供する。
項1.ジアリルフタレート樹脂(a)、重合開始剤(b)、酸化チタン(c)、及び酸化防止剤(d)を含有し、
酸化防止剤(d)がリン系酸化防止剤であり、かつ組成物中の含有量がジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴するジアリルフタレート樹脂組成物。
項2.リン系酸化防止剤が、亜リン酸系酸化防止剤、次亜リン酸系酸化防止剤、及びリン酸系酸化防止剤からなる群より選ばれる1種以上であること特徴とする項1に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
項3.酸化チタン(c)が、ルチル型であり、表面処理を施されていることを特徴とする項1又は2に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
項4.項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
項5.項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を成形してなることを特徴とするLED用リフレクター。
項6.項5に記載のLEDリフレクターを装着してなるLED照明器具。
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、耐熱性に優れ、熱硬化によって得られる硬化物の白色度が高く、高い白色度を長期間維持することが可能であるため、電気的特性にも優れるため、高い耐熱性と白色度を要求される電気・電子分野の成形用の材料として好適に用いることができる。
例えば、本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、成形が容易であり、成形品表面の白色度が高く、LEDチップからの発光の照射効率と反射効率を向上させることが可能なため、LEDチップ等の発光素子を収納するための樹脂製パッケージを提供することができる。
以下、本願発明を詳しく説明する。
ジアリルフタレート樹脂組成物
本願発明は、ジアリルフタレート樹脂(a)、重合開始剤(b)、酸化チタン(c)、及び酸化防止剤(d)を含有し、酸化防止剤(d)がリン系酸化防止剤であり、かつ樹脂組成物中の酸化防止剤(d)の含有量がジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10であることを特徴するジアリルフタレート樹脂組成物である。
ジアリルフタレート樹脂(a)
本願発明で用いられるジアリルフタレート樹脂(a)とは、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー等のジアリルフタレート樹脂に代表され、これらの単独、あるいは2種以上の混合物であってよい。成形品に高い耐熱性が要求される場合にはイソタイプまたは、パラタイプのものを使用することが好ましい。また、当該樹脂はジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートモノマー等の2種以上のいわゆるジアリルフタレートモノマーの共重合体からなるプレポリマーであってもよい。この場合、ベンゼン環上の水素原子が塩素、臭素等のハロゲン原子で置換されていてもよく、また分子内に存在する不飽和結合が全部または一部において、水添されたプレポリマーもここに含まれるものとする。
また、ジアリルフタレート樹脂(a)には、ジアリルフタレートモノマーを配合してもよい。ジアリルフタレートモノマーとして、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートモノマー等を例示することができる。
ジアリルフタレートモノマーの含有量は、樹脂組成物全体に対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましく、0.2〜1.9重量%がさらに好ましい。
ジアリルフタレート樹脂(a)としては、樹脂の粘度等を考慮すると、重量平均分子量(GPCにより測定され、標準ポリスチレン換算)は20,000〜60,000であることが好ましく、ヨウ素価は50〜90であることが好ましく、軟化点65〜110℃であることが好ましい。
ジアリルフタレート樹脂(a)の含有量は、樹脂組成物全体に対して10〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜50重量%である。
重合開始剤(b)
本願発明で用いられる重合開始剤(b)としては、上記ジアリルフタレート樹脂を熱硬化させるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バリレート、tert−ブチルパーオキシカーボネート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート等を例示することができる。中でも、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。
樹脂組成物中の重合開始剤(b)の含有量は、成形性の観点から、ジアリルフタレート樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部であり、好ましくは1〜4重量部である。
酸化チタン(c)
本願発明で用いられる酸化チタン(c)としては、ルチル型、アナターゼ型及びブルッカイト型の3つの結晶型があり、何れであってもよいが、好ましくは、ルチル型である。酸化チタン(c)の平均粒子径は、0.01〜1μmの範囲のものであればよく、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲のものである。なお、平均粒子径はレーザー回析散乱方等によって測定することができる。
酸化チタン(c)の平均粒子径を上記の範囲内とすることにより、白色度が高く、表面反射率の高い成形品を与えるジアリルフタレート樹脂組成物を得ることができる。
また、酸化チタン(c)として、表面処理を施したものが好ましく、表面処理剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物;シランカップリング剤、 チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の有機物等が挙げられる。好ましくはシリカ、アルミナ、ジルコニア及び有機物から選ばれた少なくとも一種で表面処理された酸化チタンである。中でも耐熱性の点で、シリカ及びアルミナで表面処理された酸化チタンが好ましい。
このような酸化チタン(c)として、次のような市販品が知られ、これらは何れも本願発明において使用できる。
ルチル型酸化チタンである堺化学工業(株)製のR−11P、TCR−52、D−918、FTR−700(いずれも商品名)、石原産業(株)製のタイペークCR−50、
CR−50−2、CR−60、CR−60−2、CR−63、CR−80、CR−90、CR−90−2、CR−93、CR−95、CR−97、R−820、R−830、R−930、R−980、R−680、R−550、PF−739、PC−3、UT−771(いずれも商品名)、テイカ(株)製のJR−403、JR−405、JR−805、JR−806、JR−701、JR−800等(いずれも商品名)、冨士チタン工業(株)製のTR−600、TR−700、TR−750、TR−840、TR−900(いずれも商品名)等を例示することができる。
また、樹脂組成物中の酸化チタン(c)の含有量は、ジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、5〜300重量部であり、好ましくは100〜230重量部である。
5重量部未満では白色度、耐熱性及び耐光性の点で不十分であり、300重量部を超えると成形性面で劣る。
本願発明で用いられる酸化防止剤(d)としては、亜リン酸系、次亜リン酸系、リン酸系等の酸化防止剤を例示することができる。
亜リン酸系酸化防止剤としては、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルモノオクチルホスファイト、トリ(p−クレジル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、フェニルジデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス[2,4−ジ(1−フェニルイソプロピル)フェニル]ペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、テトラ(C12−C15混合アルキル)−4,4′−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン−トリホスファイト、水添ビスフェノール A ホスファイトポリマー、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエテル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどを例示することができる。
次亜リン酸系酸化防止剤としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシ)4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスフィン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニルオキシ)4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスフィン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニルオキシ)4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスフィン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−ブチルフェニルオキシ)4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスフィン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−ヘキシルフェニルオキシ)4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスフィンなどを例示することができる。
リン酸系酸化防止剤としては、リン酸2,2´-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)、2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン-6-オンを例示することができる。
中でも、耐熱性、耐光性の点で、亜リン酸系の酸化防止剤が好ましい。
樹脂組成物中の酸化防止剤(d)の含有量は、ジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物には、上記の成分の他、本発明の樹脂組成物による成形物の白色度を低下させず、その他の物性(耐熱性、耐光性等)に影響を与えない限り、紫外線吸収剤、光安定剤、内部離型剤、硫黄系酸化防止剤、充填剤、可塑剤、結晶核剤等の添加剤を含有させることができる。
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物の製造法は、特に限定されず、上記の各成分の所定量を均一に混合して調製できればよい。
調製された樹脂組成物の硬化、成形法も特に限定されず。通常の射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、積層成形、押出成形等の各種成形法により所望の成形物を得ることができる。
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、特に白色度及びその白色度を長期間維持することが要求される成形物、例えば、LEDチップの収納パッケージのような成形物の素材として適用できる。
本願発明において白色度とは、本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物を次の条件で成形・硬化させた硬化物の表面の白色度を言う。
すなわち、ジアリルフタレート樹脂組成物が硬化する温度・時間で成形して得られる成形品、具体的には、例えば、樹脂組成物の軟化点より高い160℃で、3分間、圧縮成形することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形品を得、この成形品を用い、測色色差計ZE6000(日本電色工業(株)製)を用いて、JIS Z8730に規定されるハンターの色差式による明度(L値)、赤色度(a値)及び黄色度(b値)を求め、これらの値から下記(1)式により白色度を求めた。
白色度=100−〔(100−L)+a+b1/2 (1)
〔式中、Lは明度、aとbは色度(aは赤方向、−aは緑方向、bは黄方向、−bは青方向)を示す。〕
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、上記の成形条件で得られる硬化物の上記(1)式で求めた初期白色度が、94以上である。94以上であれば、LEDチップからの発光の取り出し効率が十分に得られる。
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、高い白色度及び耐熱性、耐光性に優れその白色度を長期に維持でき、且つ電気特性を有する成形物に成形できるので、LEDチップの収納パッケージ用として好ましく使用できる。
LEDチップの収納パッケージとしては、例えば、特開2003−163378号公報の図1又は2に示されているような、上方が開口したパッケージの底面に凹部を形成し、その凹部にLEDチップを収納できる形状としてなるものである。近年、様々な材料及び形状の収納パッケージが考案されている。本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、これらの収納パッケージの成形に適用でき、それらの収納パッケージによりLEDチップを収納する様々な発光装置を作成することができる。
中空パッケージの成型は、成型金型の内面に、好ましくは離型剤を塗り、この金型内に本発明の組成物を流し込み、加熱硬化させて成型物を得ることができる。本願発明の組成物は流動性に優れているために、金型の細部まで組成物を流し込むことができるので、小型で、入り組んだ構造の金型であっても、仕上がりの優れた成型物を得ることができる。
以下、本願発明を実施例及び比較例により詳しく説明する。本発明はこれらにより特に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られた成形板の物性は、次の試験法で試験し、評価した。
1)白色度初期値(W
成形品を室温まで冷却し、測色色差計ZE6000(日本電色工業(株)製)を用いて、JIS Z8730に規定されるハンター色差式による明度(L値)、赤色度(a値)及び黄色度(b値)を求め、これらの数値から次式により求めた白色度である。
白色度=100−〔(100−L)+a+b1/2
2)耐熱変色性(H 及びH
成形品を180℃に保たれた熱風循環式乾燥機で、6時間及び12時間処理した後、上記と同様に白色度(W)及び(W)を求めた。上記の白色度初期値Wに対する白色度保持率(%)を次式で算出した。
(%)=(W/W)×100
(%)=(W/W)×100
:180℃、6時間処理した成形板の白色度
:180℃、12時間処理した成形板の白色度
:180℃、6時間処理した成形板の白色度保持率(%)
:180℃、12時間処理した成形板の白色度保持率(%)
3)離型性
上記成形品を成形する際、成形品本体及びバリの離型状態を観察し、離型性を目視により評価した。評価基準を下記に示す。
○:離型性良好。
×:成形品本体又はバリ部の離型性が不良、もしくは硬化不良。
実施例1
ジアリルイソフタレート樹脂〔商品名:ダイソーイソダップ、重量平均分子量3〜5万、ダイソー(株)製〕100重量部、酸化チタン〔商品名:R−820:シリコン、アルミナ及び酸化亜鉛で表面処理されたもの、二酸化チタン含有量、93%;石原産業(株)製〕150重量部、重合開始剤〔商品名:パーブチルE、純度97%以上、日油(株)製〕3.75重量部、及びリン系酸化防止剤〔商品名:PEP36、ADEKA(株)製〕1.25重量部、並びに離型剤〔化合物名:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製〕1.25重量部を混合し、ジアリルフタレート樹脂組成物1を得た。なお、各組成をまとめたものを表1に示す。得られた樹脂組成物1を融点より高い160℃で、3分間、圧縮成型することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形板1を得た。得られた成形板1を用い、上記の測定法にて評価した。評価結果を表2に示す。
実施例2
リン系酸化防止剤〔商品名:PEP36、ADEKA(株)製〕の含有量を2.50重量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件でジアリルフタレート樹脂組成物2を得た。なお、各組成をまとめたものを表1に示す。得られたジアリルフタレート樹脂組成物2を実施例1と同様の条件で成形し、成型板2を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例3
リン系酸化防止剤〔商品名:PEP36、ADEKA(株)製〕の含有量を3.75重量部に変更した以は、実施例1と同様の条件でジアリルフタレート樹脂組成物3を得た。なお、各組成をまとめたものを表1に示す。得られたジアリルフタレート樹脂組成物3を実施例1と同様の条件で成形し、成型板3を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例1
ジアリルイソフタレート樹脂〔商品名:ダイソーイソダップ、重量平均分子量3〜5万、ダイソー(株)製〕100重量部、酸化チタン〔商品名:R−820:シリコン、アルミナ及び酸化亜鉛で表面処理されたもの、二酸化チタン含有量、93%;石原産業(株)製〕150重量部、重合開始剤〔商品名:パーブチルE、純度97%以上、日油(株)製〕3.75重量部、及び離型剤〔化合物名:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製〕1.25重量部を混合し、ジアリルフタレート樹脂組成物4を得た。得られたジアリルフタレート樹脂組成物4を融点より高い160℃で、3分間、圧縮成型することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形板4を得た。得られた成形板4を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
比較例2
ジアリルイソフタレート樹脂〔商品名:ダイソーイソダップ、重量平均分子量3〜5万、ダイソー(株)製〕100重量部、酸化チタン〔商品名:R−820:シリコン、アルミナ及び酸化亜鉛で表面処理されたもの、二酸化チタン含有量、93%;石原産業(株)製〕150重量部、重合開始剤〔商品名:パーブチルE、純度97%以上、日油(株)製〕3.75重量部、フェノール系酸化防止剤〔商品名:Irganox1076、BASF製〕2.5重量部、及び離型剤〔化合物名:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製〕1.25重量部を混合し、ジアリルフタレート樹脂組成物5を得た。得られたジアリルフタレート樹脂組成物5を融点より高い160℃で、3分間、圧縮成型することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形板5を得た。得られた成形板5を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
比較例3
酸化防止剤をフェノール系酸化防止剤〔商品名:Songnox1010、Songwon Industrial製〕2.5重量部に変更した以外は、比較例2と同様の条件で樹脂組成物6を得た。得られた樹脂組成物6を比較例2と同様の条件で成形し、成型板6を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例4
酸化防止剤をフェノール系酸化防止剤〔商品名:AO−80、ADEKA(株)製〕2.5重量部に変更した以外は、比較例2と同様の条件で樹脂組成物7を得た。得られた樹脂組成物7を比較例2と同様の条件で成形し、成型板7を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。

Figure 0005983943
表1において、
1.ジアリルフタレート樹脂*1):ダイソーイソダップ(商品名):重量平均分子量(ポリスチレン換算)3〜5×10、ダイソー(株)製
2.酸化チタン粉末*2):R−820(商品名):ルチル型酸化チタン、二酸化チタン93.0%以上、表面処理剤;アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、一次粒子径0.26μm、石原産業(株)製
3.重合開始剤*3):パーブチルE(商品名)t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、日油(株)製
4.酸化防止剤*4)
PEP-36(商品名)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト:リン系酸化防止剤、ADEKA(株)製
Irganox1076(商品名):フェノール系酸化防止剤、BASF製
Songnox1010(商品名):フェノール系酸化防止剤、Songwon Industrial製
AO−80(商品名):フェノール系酸化防止剤、ADEKA(株)製
5.離型剤*5):ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製
Figure 0005983943
リン系酸化防止剤を添加していない成型板4(比較例1)と比較すると、リン系酸化防止剤を添加した成型板である成型板1〜3(実施例1〜3)は初期白色度の値はほとんど変わらないものの、耐熱性試験(180℃)後の白色度は高いことがわかる。このことから、リン系酸化防止剤は成型板の熱による変色の度合いを低下させていることがわかる。一方、通常使用されるフェノール系酸化防止剤を添加した成型板である成型板5〜7(比較例2〜4)は、初期白色度、耐熱性試験後の白色度ともに、リン系酸化防止剤を添加した成型板である成型板1〜3と比べて低くなっている。これは、フェノール系酸化防止剤が成型時の熱および耐熱性試験の熱によって、酸化したことにより着色物資になったためと考えられる。以上のことから、リン系酸化防止剤を添加することにより、初期白色度は維持し、且つ耐熱性を向上させることができることがわかる。
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、耐熱性に優れ、白色度が高く、その白色度を長く維持できる成形物を与え、且つ固有の電気特性に優れているので、電気・電子機器用の成形物、特に発光ダイオードを収納するパッケージを成形できる等極めて有用である。

Claims (6)

  1. ジアリルフタレート樹脂(a)、重合開始剤(b)、酸化チタン(c)、及び酸化防止剤(d)を含有し、
    酸化防止剤(d)がリン系酸化防止剤であり、かつ組成物中の含有量がジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴するジアリルフタレート樹脂組成物。
  2. リン系酸化防止剤が亜リン酸系酸化防止剤、次亜リン酸系酸化防止剤、及びリン酸系酸化防止剤からなる群より選ばれる1種以上であること特徴とする請求項1に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
  3. 酸化チタン(c)が、ルチル型であり、表面処理を施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を成形してなることを特徴とするLED用リフレクター。
  6. 請求項5に記載のLEDリフレクターを装着してなるLED照明器具。
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