JP5983943B2 - ジアリルフタレート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本願発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、以下にジアリルフタレート樹脂組成物を提供する。
酸化防止剤(d)がリン系酸化防止剤であり、かつ組成物中の含有量がジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴するジアリルフタレート樹脂組成物。
項2.リン系酸化防止剤が、亜リン酸系酸化防止剤、次亜リン酸系酸化防止剤、及びリン酸系酸化防止剤からなる群より選ばれる1種以上であること特徴とする項1に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
項3.酸化チタン(c)が、ルチル型であり、表面処理を施されていることを特徴とする項1又は2に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
項4.項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
項5.項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を成形してなることを特徴とするLED用リフレクター。
項6.項5に記載のLEDリフレクターを装着してなるLED照明器具。
例えば、本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、成形が容易であり、成形品表面の白色度が高く、LEDチップからの発光の照射効率と反射効率を向上させることが可能なため、LEDチップ等の発光素子を収納するための樹脂製パッケージを提供することができる。
ジアリルフタレート樹脂組成物
本願発明は、ジアリルフタレート樹脂(a)、重合開始剤(b)、酸化チタン(c)、及び酸化防止剤(d)を含有し、酸化防止剤(d)がリン系酸化防止剤であり、かつ樹脂組成物中の酸化防止剤(d)の含有量がジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10であることを特徴するジアリルフタレート樹脂組成物である。
本願発明で用いられるジアリルフタレート樹脂(a)とは、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー等のジアリルフタレート樹脂に代表され、これらの単独、あるいは2種以上の混合物であってよい。成形品に高い耐熱性が要求される場合にはイソタイプまたは、パラタイプのものを使用することが好ましい。また、当該樹脂はジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートモノマー等の2種以上のいわゆるジアリルフタレートモノマーの共重合体からなるプレポリマーであってもよい。この場合、ベンゼン環上の水素原子が塩素、臭素等のハロゲン原子で置換されていてもよく、また分子内に存在する不飽和結合が全部または一部において、水添されたプレポリマーもここに含まれるものとする。
ジアリルフタレートモノマーの含有量は、樹脂組成物全体に対して、0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましく、0.2〜1.9重量%がさらに好ましい。
本願発明で用いられる重合開始剤(b)としては、上記ジアリルフタレート樹脂を熱硬化させるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バリレート、tert−ブチルパーオキシカーボネート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート等を例示することができる。中でも、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。
本願発明で用いられる酸化チタン(c)としては、ルチル型、アナターゼ型及びブルッカイト型の3つの結晶型があり、何れであってもよいが、好ましくは、ルチル型である。酸化チタン(c)の平均粒子径は、0.01〜1μmの範囲のものであればよく、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲のものである。なお、平均粒子径はレーザー回析散乱方等によって測定することができる。
酸化チタン(c)の平均粒子径を上記の範囲内とすることにより、白色度が高く、表面反射率の高い成形品を与えるジアリルフタレート樹脂組成物を得ることができる。
また、酸化チタン(c)として、表面処理を施したものが好ましく、表面処理剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物;シランカップリング剤、 チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の有機物等が挙げられる。好ましくはシリカ、アルミナ、ジルコニア及び有機物から選ばれた少なくとも一種で表面処理された酸化チタンである。中でも耐熱性の点で、シリカ及びアルミナで表面処理された酸化チタンが好ましい。
ルチル型酸化チタンである堺化学工業(株)製のR−11P、TCR−52、D−918、FTR−700(いずれも商品名)、石原産業(株)製のタイペークCR−50、
CR−50−2、CR−60、CR−60−2、CR−63、CR−80、CR−90、CR−90−2、CR−93、CR−95、CR−97、R−820、R−830、R−930、R−980、R−680、R−550、PF−739、PC−3、UT−771(いずれも商品名)、テイカ(株)製のJR−403、JR−405、JR−805、JR−806、JR−701、JR−800等(いずれも商品名)、冨士チタン工業(株)製のTR−600、TR−700、TR−750、TR−840、TR−900(いずれも商品名)等を例示することができる。
また、樹脂組成物中の酸化チタン(c)の含有量は、ジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、5〜300重量部であり、好ましくは100〜230重量部である。
5重量部未満では白色度、耐熱性及び耐光性の点で不十分であり、300重量部を超えると成形性面で劣る。
中でも、耐熱性、耐光性の点で、亜リン酸系の酸化防止剤が好ましい。
調製された樹脂組成物の硬化、成形法も特に限定されず。通常の射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、積層成形、押出成形等の各種成形法により所望の成形物を得ることができる。
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、特に白色度及びその白色度を長期間維持することが要求される成形物、例えば、LEDチップの収納パッケージのような成形物の素材として適用できる。
すなわち、ジアリルフタレート樹脂組成物が硬化する温度・時間で成形して得られる成形品、具体的には、例えば、樹脂組成物の軟化点より高い160℃で、3分間、圧縮成形することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形品を得、この成形品を用い、測色色差計ZE6000(日本電色工業(株)製)を用いて、JIS Z8730に規定されるハンターの色差式による明度(L値)、赤色度(a値)及び黄色度(b値)を求め、これらの値から下記(1)式により白色度を求めた。
白色度=100−〔(100−L)2+a2+b2〕1/2 (1)
〔式中、Lは明度、aとbは色度(aは赤方向、−aは緑方向、bは黄方向、−bは青方向)を示す。〕
本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、上記の成形条件で得られる硬化物の上記(1)式で求めた初期白色度が、94以上である。94以上であれば、LEDチップからの発光の取り出し効率が十分に得られる。
LEDチップの収納パッケージとしては、例えば、特開2003−163378号公報の図1又は2に示されているような、上方が開口したパッケージの底面に凹部を形成し、その凹部にLEDチップを収納できる形状としてなるものである。近年、様々な材料及び形状の収納パッケージが考案されている。本願発明のジアリルフタレート樹脂組成物は、これらの収納パッケージの成形に適用でき、それらの収納パッケージによりLEDチップを収納する様々な発光装置を作成することができる。
中空パッケージの成型は、成型金型の内面に、好ましくは離型剤を塗り、この金型内に本発明の組成物を流し込み、加熱硬化させて成型物を得ることができる。本願発明の組成物は流動性に優れているために、金型の細部まで組成物を流し込むことができるので、小型で、入り組んだ構造の金型であっても、仕上がりの優れた成型物を得ることができる。
成形品を室温まで冷却し、測色色差計ZE6000(日本電色工業(株)製)を用いて、JIS Z8730に規定されるハンター色差式による明度(L値)、赤色度(a値)及び黄色度(b値)を求め、これらの数値から次式により求めた白色度である。
白色度=100−〔(100−L)2+a2+b2〕1/2
成形品を180℃に保たれた熱風循環式乾燥機で、6時間及び12時間処理した後、上記と同様に白色度(W1)及び(W2)を求めた。上記の白色度初期値W0に対する白色度保持率(%)を次式で算出した。
H1(%)=(W1/W0)×100
H2(%)=(W2/W0)×100
W1:180℃、6時間処理した成形板の白色度
W2:180℃、12時間処理した成形板の白色度
H1:180℃、6時間処理した成形板の白色度保持率(%)
H2:180℃、12時間処理した成形板の白色度保持率(%)
上記成形品を成形する際、成形品本体及びバリの離型状態を観察し、離型性を目視により評価した。評価基準を下記に示す。
○:離型性良好。
×:成形品本体又はバリ部の離型性が不良、もしくは硬化不良。
ジアリルイソフタレート樹脂〔商品名:ダイソーイソダップ、重量平均分子量3〜5万、ダイソー(株)製〕100重量部、酸化チタン〔商品名:R−820:シリコン、アルミナ及び酸化亜鉛で表面処理されたもの、二酸化チタン含有量、93%;石原産業(株)製〕150重量部、重合開始剤〔商品名:パーブチルE、純度97%以上、日油(株)製〕3.75重量部、及びリン系酸化防止剤〔商品名:PEP36、ADEKA(株)製〕1.25重量部、並びに離型剤〔化合物名:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製〕1.25重量部を混合し、ジアリルフタレート樹脂組成物1を得た。なお、各組成をまとめたものを表1に示す。得られた樹脂組成物1を融点より高い160℃で、3分間、圧縮成型することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形板1を得た。得られた成形板1を用い、上記の測定法にて評価した。評価結果を表2に示す。
リン系酸化防止剤〔商品名:PEP36、ADEKA(株)製〕の含有量を2.50重量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件でジアリルフタレート樹脂組成物2を得た。なお、各組成をまとめたものを表1に示す。得られたジアリルフタレート樹脂組成物2を実施例1と同様の条件で成形し、成型板2を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
リン系酸化防止剤〔商品名:PEP36、ADEKA(株)製〕の含有量を3.75重量部に変更した以は、実施例1と同様の条件でジアリルフタレート樹脂組成物3を得た。なお、各組成をまとめたものを表1に示す。得られたジアリルフタレート樹脂組成物3を実施例1と同様の条件で成形し、成型板3を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
ジアリルイソフタレート樹脂〔商品名:ダイソーイソダップ、重量平均分子量3〜5万、ダイソー(株)製〕100重量部、酸化チタン〔商品名:R−820:シリコン、アルミナ及び酸化亜鉛で表面処理されたもの、二酸化チタン含有量、93%;石原産業(株)製〕150重量部、重合開始剤〔商品名:パーブチルE、純度97%以上、日油(株)製〕3.75重量部、及び離型剤〔化合物名:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製〕1.25重量部を混合し、ジアリルフタレート樹脂組成物4を得た。得られたジアリルフタレート樹脂組成物4を融点より高い160℃で、3分間、圧縮成型することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形板4を得た。得られた成形板4を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
ジアリルイソフタレート樹脂〔商品名:ダイソーイソダップ、重量平均分子量3〜5万、ダイソー(株)製〕100重量部、酸化チタン〔商品名:R−820:シリコン、アルミナ及び酸化亜鉛で表面処理されたもの、二酸化チタン含有量、93%;石原産業(株)製〕150重量部、重合開始剤〔商品名:パーブチルE、純度97%以上、日油(株)製〕3.75重量部、フェノール系酸化防止剤〔商品名:Irganox1076、BASF製〕2.5重量部、及び離型剤〔化合物名:ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製〕1.25重量部を混合し、ジアリルフタレート樹脂組成物5を得た。得られたジアリルフタレート樹脂組成物5を融点より高い160℃で、3分間、圧縮成型することにより、厚さ3mm、直径100mmの成形板5を得た。得られた成形板5を用い、実施例1と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
酸化防止剤をフェノール系酸化防止剤〔商品名:Songnox1010、Songwon Industrial製〕2.5重量部に変更した以外は、比較例2と同様の条件で樹脂組成物6を得た。得られた樹脂組成物6を比較例2と同様の条件で成形し、成型板6を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
酸化防止剤をフェノール系酸化防止剤〔商品名:AO−80、ADEKA(株)製〕2.5重量部に変更した以外は、比較例2と同様の条件で樹脂組成物7を得た。得られた樹脂組成物7を比較例2と同様の条件で成形し、成型板7を得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
1.ジアリルフタレート樹脂*1):ダイソーイソダップ(商品名):重量平均分子量(ポリスチレン換算)3〜5×104、ダイソー(株)製
2.酸化チタン粉末*2):R−820(商品名):ルチル型酸化チタン、二酸化チタン93.0%以上、表面処理剤;アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、一次粒子径0.26μm、石原産業(株)製
3.重合開始剤*3):パーブチルE(商品名)t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、日油(株)製
4.酸化防止剤*4):
PEP-36(商品名)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト:リン系酸化防止剤、ADEKA(株)製
Irganox1076(商品名):フェノール系酸化防止剤、BASF製
Songnox1010(商品名):フェノール系酸化防止剤、Songwon Industrial製
AO−80(商品名):フェノール系酸化防止剤、ADEKA(株)製
5.離型剤*5):ステアリン酸亜鉛、堺化学工業(株)製
Claims (6)
- ジアリルフタレート樹脂(a)、重合開始剤(b)、酸化チタン(c)、及び酸化防止剤(d)を含有し、
酸化防止剤(d)がリン系酸化防止剤であり、かつ組成物中の含有量がジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とするジアリルフタレート樹脂組成物。 - リン系酸化防止剤が亜リン酸系酸化防止剤、次亜リン酸系酸化防止剤、及びリン酸系酸化防止剤からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
- 酸化チタン(c)が、ルチル型であり、表面処理を施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のジアリルフタレート樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のジアリルフタレート樹脂組成物を成形してなることを特徴とするLED用リフレクター。
- 請求項5に記載のLEDリフレクターを装着してなるLED照明器具。
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