JP5983556B2 - 漏洩磁束式検査装置および検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼板等の強磁性体金属からなる被検査体に強力な磁界をかけ、被検査体の内部または表面に存在する欠陥に起因する漏洩磁束の変化を検出することにより欠陥の検査を行う漏洩磁束式検査装置および検査方法に関する。
ブリキ鋼板、自動車用鋼板、珪素鋼板等の薄鋼板を製造するラインにおいては、強磁性体金属からなる被検査体である鋼板の内部または表面に存在する欠陥を検査するための検査装置として、漏洩磁束式検査装置が用いられている(例えば、特許文献1〜6)。
漏洩磁束式検査装置は、図12に示すように、搬送されている強磁性体である被検査体としての鋼板1に、磁化器101により強力な磁界をかけ、鋼板1の内部または表面に存在する欠陥102の部分で漏洩する漏洩磁束Mの変化を被検査体表面近くに設置した磁束検出器(磁気センサ)103を用いて検出する装置である。このときの磁界は、欠陥による漏洩磁束が多くなるように、飽和と思われる状態まで磁束を鋼板内に通すことができる程度の値とする。
漏洩磁束を検出する磁束検出器(磁気センサ)103としては、磁気抵抗素子、検出コイル、マグネットダイオード、ホール素子が用いられ、その検出信号を、図13に示す欠陥検出ユニット110により処理して欠陥検出を行う。従来の欠陥検出ユニット110は、検出された信号を増幅するアンプ111と、増幅された信号からノイズ信号を分離する単独のバンドパスフィルター(BPF)112と、信号を増幅するとともに全波整流するためのアンプ/全波整流器113と、感度調整器114と、信号の閾値処理を行って欠陥の有無を判定する閾値処理部115とを有する。
アンプ111で増幅された信号はi)に示すようなものであり、この信号がバンドパスフィルター112に供給される。従来のバンドパスフィルター112は、ハイパスフィルター112aとローパスフィルター112bとを直列に組み合わせたものであり、検出したい欠陥の大きさに合わせてハイパス側の下限カットオフ周波数を変更して感度を調整する。すなわち、検出目標の欠陥が小さい場合は下限カットオフ周波数を高周波領域側に変更して最適化の工夫を行っている。また、検査対象物の移動により欠陥の周波数が高くなることに対しては、検査対象物の速度に合わせてカットオフ周波数を変更して補正を行う処理を行っている(速度追従式バンドパスフィルターを採用)。ただし、バンドパスフィルターのローパスフィルター側周波数を高くすることは周辺の電気機器の誘導信号の影響を受けて電気ノイズが混入することから、むやみに高い周波数を選択することはできない。なお、特許文献7には、浮遊磁界を相殺する目的で、鋼板の速度変化により発生する磁界の緩やかな変化などの、欠陥がもつ周波数より低い周波数を、ローパスフィルターを利用して取り出すことが記載されているが、これは本発明で対象とするバンドパスフィルターの周波数範囲より低い周波数帯であり、本発明とは無関係である。
また、漏洩磁束の大きさは欠陥の大きさに概ね比例することから、欠陥の大きさの判別は、バンドパスフィルター112を通過した信号をアンプ/全波整流器113で、ii)のように増幅するとともに全波整流してその絶対値を求めて検査信号とし、感度調整器114により検出感度調整(検量線を引く作業)を行い、欠陥信号を適正な信号レベルにする。この信号に対して閾値処理部115により、iii)に示すように閾値判別を行い、有害として定めた閾値を超えた信号が得られたときのみ「欠陥有り」とする。閾値を数段階に設定して有害の重度を判定することも可能である。
特開昭56−61645号公報 特開平11−83808号公報 特開2002−195984号公報 特開2002−257790号公報 特開2004−354240号公報 特開2007−64907号公報 特開平8−5610号公報
欠陥から発生する漏洩磁束からバンドパスフィルター等を用いて信号処理して欠陥を検出、判定する処理において、出力は欠陥の大きさに概ね比例して得られるが、欠陥の形状が大きく異なるなど、漏洩磁束の漏れ状況が異なると、同じ出力が得られない場合がある。例えば、長い欠陥と幅の広い欠陥では、欠陥体積が同じでも、鋼板内の磁束を阻害する大きさが違うと出力が異なる。すなわち、欠陥の断面積などの磁束の流れ方向に直角方向の大きさの要因差が漏洩磁束の通過に対して妨害になり影響する。
このため、検出すべき欠陥の種類や形状は、装置導入前に整理しておき、検出が必要な欠陥に対して検出素子の選定、構成、ノイズの除去を行うバンドパスフィルターの定数も検出が必要な欠陥に対して最適な値にしておく必要がある。すなわち、検出したい欠陥の形状の出力が小さくなってしまうことがないようにし、さらに、必要な閾値を設定できるように閾値を予め定めておく必要がある。
このように、漏洩磁束式検査装置は、できるだけ多くの欠陥形状に適合させることが望まれているが、被検査体である鋼板に磁界をかける磁極を欠陥の流れ方向(鋼板の搬送方向)に配置した構成では、例えば、被検査体である鋼板が移動する方向に長く伸びた欠陥は、その信号が、同じ欠陥体積の他の形状の欠陥を同一処理した信号より小さくなる傾向がある。また、前述したようにハイパス側の下限カットオフ周波数を高くすることで小さい欠陥の検出には有利になるが、移動方向に長い欠陥などの変化の緩い欠陥には有利に働かない。したがって、全ての形状の欠陥を高精度で検出することは極めて困難である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、欠陥の検出範囲を広げて高精度で欠陥を検出することができる漏洩磁束式検査装置および検査方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、強磁性体金属からなる被検査体を磁化する磁化器と、前記磁化器により磁化された被検査体の表面または内部に存在する欠陥に起因する漏洩磁束を検出する検出器と、前記検出器からの検出信号を処理して被検査体の表面または内部に存在する欠陥を検出する欠陥検出ユニットとを具備し、前記欠陥検出ユニットは、並列して設けられた、通過周波数の範囲が異なる複数のバンドパスフィルター、各バンドパスフィルターを通過した信号を別々に増幅するアンプと、出力後の信号の比率を調整する比率調整器と、前記信号の全体の感度調整を行う感度調整器と、前記全体の信号の閾値処理を行って欠陥を検出する閾値処理部とを有し、前記複数のバンドパスフィルターのそれぞれの周波数範囲に対応した特徴の欠陥を検出することを特徴とする漏洩磁束式検査装置を提供する。
本発明における複数のバンドパスフィルターは、ハイパスフィルターとローパスフィルターとを組み合わせたものであり、従来のバンドパスフィルターを分割して通過周波数の範囲を異ならせたものである。
また、本発明は、強磁性体金属からなる被検査体を磁化器により磁化し、被検査体の表面または内部に存在する欠陥に起因する漏洩磁束を検出器により検出し、前記検出器からの検出信号を処理して被検査体の表面または内部に存在する欠陥を検出する漏洩磁束式検査方法であって、検出信号を、通過周波数の範囲が異なる複数の並列したバンドパスフィルターに供給し、各バンドパスフィルターを通過した信号を別々に増幅し、かつ、出力後の信号の比率を調整し、次いで前記信号の全体の感度調整を行った後、前記全体の信号の閾値処理を行って欠陥を検出し、前記複数のバンドパスフィルターのそれぞれの周波数範囲に対応した特徴の欠陥を検出することを特徴とする漏洩磁束式検査方法を提供する。
本発明において、前記複数のバンドパスフィルターのうち、周波数の高いものの増幅値を高くすることが好ましい。
本発明によれば、通過周波数の範囲が異なる複数のバンドパスフィルターを並列して用い、それぞれ別々に信号を増幅するようにしたので、各周波数範囲に対応した特徴の欠陥に対して最適な信号レベルにすることができ、広い範囲の周波数成分から、大きさの異なる複数の欠陥を高精度で検出することができる。
検査信号のうち欠陥の長さに見合った周波数成分を示す模式図である。 検査信号のうち欠陥のエッジ部(欠陥と鋼板の境界)から発生する周波数成分と小さい欠陥の中央から発生する周波数成分を示す模式図である。 図1の周波数成分の周波数帯域と図2の周波数成分の周波数帯域とを周波数軸に並べて記載した例を示す図である。 種々の周波数範囲のバンドパスフィルター通過後の波形の例を示す図である。 一つのバンドパスフィルターのハイパスフィルターの周波数(低周波数側)を変更した(下限を設けた)場合における検査信号の出力が変化する状況を示す図であり、(a)にハイパスフィルターの周波数を変更した状況を示し、(b)に検査信号のS/N比および検査信号の出力を示す。 本発明の実施形態に係る漏洩磁束式検査装置を示す概略構成図である。 図6の漏洩磁束式検査装置における欠陥検出ユニットの構成を示すブロック図である。 バンドパスフィルターの8kHzを中心にした周波数範囲で局部的にゲインを変更した場合の検査信号の出力の変化を示す図であり、(a)にハイパスフィルターの周波数を変更した状況を示し、(b)に検査信号のS/N比および検査信号の出力を示す。 バンドパスフィルターの2kHzを中心にした周波数範囲で局部的にゲインを変更した場合の検査信号の出力の変化を示す図であり、(a)にハイパスフィルターの周波数を変更した状況を示し、(b)に検査信号のS/N比および検査信号の出力を示す。 自然欠陥について、ハイパスフィルターの下限のカットオフ周波数を変更した場合における検査信号の出力が変化する状況を示す図である。 バンドパスフィルターの周波数範囲とゲインの例を示す図である。 従来の漏洩磁束式検査装置における測定原理を説明するための図である。 従来の漏洩磁束式検査装置における欠陥検出ユニットを示すブロック図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
欠陥信号中の周波数成分は欠陥の特徴により、その成分内容が異なる場合があるので、信号成分を欠陥の特徴に合わせて分離処理すると特徴毎の処理が可能になる。
周波数成分としては、欠陥の長さに対応した低い周波数(図1)と、欠陥のエッジ部の変化である高い周波数および小さい欠陥の中央部分にある高い周波数(図2)とがある。
このように特徴のある周波数を個別に柔軟に処理してそれぞれの出力値を求め、欠陥の体積などの有害度と信号との検量線を求めることで、種々の形状の欠陥検出が可能となる。
本実施形態は、以上の点を前提としているが、本実施形態の内容をより理解しやすいように、最初に従来の欠陥検出手法について説明する。
(1)従来の欠陥検出手法
欠陥からの検査信号には、図1に示した欠陥の長さや、欠陥の幅および厚みのような、欠陥の大きさに見合った周波数成分と、図2に示したような、欠陥のエッジ部(欠陥と鋼板の境界)から発生する周波数成分や小さい欠陥の中央部分にある高い周波数成分があり、それぞれが含んでいる周波数に違いがあることが容易に理解することができる。つまり、エッジ部から発生する周波数成分の方が時間の周期が短くて周波数の高い成分を多く含んでいる。
図3は、図1の周波数成分の周波数帯域と図2の周波数成分の周波数帯域とを周波数軸に並べて記載した例を示す図である。図3に示すように、図1および図2のそれぞれに対応した信号を得るには、図1および図2に対応して、ハイパスフィルター(HPF)とローパスフィルター(LPH)とを組み合わせたバンドパスフィルターを2種類(複数)用いるとよい。
しかし、従来は単独でバンドパスフィルターが用いられており、エッジで発生する高い周波数と、欠陥全体で発生する周波数を同時に増減して調整する。具体的な方法としては、上述の図13に示すように、ノイズを分離するために、バンドパスフィルターにおけるハイパスフィルターにより、振動、電源周波数、駆動モータからの誘導などのノイズを含む不要な低い周波数をカットする。これらの振動、電源周波数、駆動モータからの誘導などのノイズをカットした後でも、鋼板の磁気的に不均一な部分から発生する地合いノイズがあり、より小さな欠陥を見つけるには地合いノイズが大きな障害となる。そこで、鋼板の地合いノイズをカットするために、カットする周波数の値をさらに上げて行き、S/Nが最大になるように調整を行う。
欠陥が持っている周波数範囲に比べて高くかつ不要な周波数をカットオフするローパスフィルター(ローパス周波数)は広域のノイズの誘導防止を考慮して選定する。
図4に、種々の周波数範囲のバンドパスフィルター通過後の波形の例を示す。これらはあくまでも例示に過ぎず、使用する素子や構成により波形は異なってくる。周辺のノイズの混入量も一例である。
図5は一つのバンドパスフィルターのハイパスフィルターの周波数を変更した(低周波数側に下限カットオフを設けた)場合における検査信号の出力が変化する状況を示す図であり、(a)にハイパスフィルターの周波数を変更した状況を示し、(b)に検査信号のS/N比および検査信号の出力を示す。図5の信号は、0.1mmφ程度のドリル穴の信号変化状況である。図5(b)に示すように、下限周波数1kHzでのカットオフでは検査信号の出力が高いがS/Nが良くないことがわかる。下限周波数3kHzでのカットオフではS/Nは良くなるが、検査信号の出力は小さくなることがわかる。
図4と図5から、0.1mmφのドリル穴程度の小さい欠陥を見つけたいときには、ハイパス側の下限カットオフ周波数を例えば2kHz以上と高くして、小さな欠陥でのS/Nが高くなる周波数帯を選択する。このとき、ハイパスフィルターの下限カットオフ周波数を高くしていくと信号の値が小さくなるので必要なゲイン調整も合わせて行う。この場合、大きな欠陥のエッジ信号が極端に小さくならないように確認しながら、検査対象鋼板のノイズと見つけたい欠陥の信号比、フィルターの最適値を求める。
しかし、このような従来の手法では、ハイパス側の下限カットオフ周波数を高くすることで小さい欠陥の検出には有利になるが、移動方向に長い欠陥などの変化の緩い欠陥には有利に働かない。すなわち、ハイパス側の下限カットオフ周波数を高くすることで、移動方向に長いなどの特徴の欠陥に対応する周波数成分をカットすることとなり、高精度の欠陥検出を行うことが困難であった。
(2)本実施形態に係る漏洩磁束式検査装置
上記従来の手法の問題点を解決するため、本実施形態では、バンドパスフィルター(ハイパスフィルターとローパスフィルターとを組み合わせたもの)を複数用意し、それぞれに別々の増幅機能を持たせて、特徴のある周波数成分(ある特徴の欠陥に対応する周波数成分)をカット(除去)することなく、検出したい欠陥の特徴に対して、複数種類の周波数範囲を用いる。つまり、小さな欠陥から大きな欠陥(長さ、幅、厚み)まで、検出する欠陥の対象を広くすることを可能とする。
図6(a),(b)は本発明の実施形態に係る漏洩磁束式検査装置を示す概略構成図、図7は図6の漏洩磁束式検査装置における欠陥検出ユニットの構成を示すブロック図である。本実施形態の漏洩磁束式検査装置(図6)は、搬送される鋼板1の幅方向に沿って複数設けられた磁化器10と、磁化器10に対応する鋼板1の表面近傍に設けられた漏洩磁束を検出する検出器(磁気センサ)13と、検出器13で検出された漏洩磁束信号から欠陥2を検出する欠陥検出ユニット20とを有している。なお、図6(a)で磁化器10と検出器13とが鋼板1を挟んで反対側に配置されている例を示し、図6(b)ではこれらが鋼板1の同じ側に配置されている例を示す。これらのうち図6(a)の装置は検出器13側に磁化器10が存在しないため、検出器13を緻密に配置することができるという利点を有する。
磁化器10は、ヨーク11と、ヨーク11に巻回された励磁コイル12とを有しており、励磁コイル12に電流を流すことにより、鋼板1を励磁し、漏洩磁束Mを発生させる。また、検出器(磁気センサ)13としては、磁気抵抗素子、検出コイル、マグネットダイオード、ホール素子が用いられる。なお、磁化器10と検出器13は一体化され、検出ヘッドが構成される。なお、図6(a)に示す符号14は中空ロールである。
本実施形態では、欠陥の特徴に対応して分離した周波数帯域を個別に柔軟に処理するために、欠陥検出ユニット20は、図7に示すように、検出器13で検出された信号を増幅するためのアンプ21と、並列して設けられ、増幅された信号のうち互いに範囲が異なる周波数の信号を通過させる第1のバンドパスフィルター22および第2のバンドパスフィルター23と、これらを通過した信号を別々に増幅するとともに全波整流する第1のアンプ/全波整流器24および第2のアンプ/全波整流器25と、これらの信号の比率を調整する比率調整器26と、これら信号の全体の感度を調整する感度調整器27と、信号の閾値処理を行って欠陥を検出する閾値処理部28とを有する。第1のバンドパスフィルター22および第2のバンドパスフィルター23は、いずれもハイパスフィルター(HPF)とローパスフィルター(LPF)とを組み合わせたものである。本例では、第1のバンドパスフィルター22は、図3の第1のバンドパスフィルターに対応する相対的に低周波数の信号を得るものであり、第2のバンドパスフィルター23は、図3の第2のバンドパスフィルターに対応する相対的に高周波数の信号を得るものである。
バンドパスフィルターの出力後の信号レベルは、図4に示すように、周波数の低い方が一般的に高くなるので、第1のバンドパスフィルター22と第2のバンドパスフィルター23の出力後の信号を別々に増幅し、これらの感度を目標欠陥に合わせて別々に、最適な値に選定する。それぞれの検査結果がそれぞれ異なる欠陥の特徴となり得る。
本実施形態では、各信号の感度調整(感度校正)は、比率調整器26により第1のバンドパスフィルター22と第2のバンドパスフィルター23からの信号の比率を調整し、感度調整器27により全体の感度調整を行うことにより実現する。第1のバンドパスフィルター22と第2のバンドパスフィルター23からの信号の感度調整は個別に行うこともできる。しかしその場合はそれぞれの感度校正作業を二度行う必要があり時間がかかる。本実施形態では、感度校正が一回で済み、簡単な運用となるため便利である。なお、感度校正とは、幅の広い鋼板(被検査体)の検査において、その幅方向に漏洩磁束式検査装置を複数個並べて検査する際に、複数の装置で同じ検査出力が得られるように標準サンプルを用いて個々の感度を調整する作業である。
感度調整器27により各バンドパスフィルターに対応する欠陥信号を適正な信号レベルにした後、閾値処理部28において、各バンドパスフィルターに対応する信号に対して閾値判別を行い、有害として定めた閾値を超えた信号が得られたときのみ「欠陥有り」とする。
次に、本実施形態に至った前提となる実験について説明する。図8、図9は、広い周波数範囲のバンドパスフィルターを用い、局部的な周波数部分のゲインを増減して出力の変化を確認した図である。図8は8kHzを中心にした周波数範囲で局部的にゲインを変更(増加)した場合、図9は2kHzを中心にした周波数範囲で局部的にゲインを変更(増加)した場合の検査信号の出力変化を示すものであり、両図とも(a)にハイパスフィルターの周波数を変更した状況を示し、(b)に検査信号のS/N比および検査信号の出力を示す。これらの図に示すように、結果としては検査信号のS/N比は同等であるが、検査信号の出力は2kHzのゲインを上げた方が若干大きくなって有利なことがわかる。
図10は、長さが0.5mm以上の楕円体状の欠陥であり、図5と同様にハイパスフィルターの下限カットオフ周波数を変更した場合における検査信号の出力が変化する状況を示す図である。個々のハイパスフィルターのゲイン(増幅値)を0.1mmφのドリル穴欠陥(貫通孔)で校正した。自然欠陥では、2kHzより1kHzで判定したほうが信号としては大きくなるので、信号の大きさで判定するなら2kHzより1kHzで判定した方が有利であることがわかる。また逆に、この欠陥を除きたい場合はゲインを下げるとよい。
すなわち、各々の欠陥に対応した必要な周波数範囲を有する複数のバンドパスフィルターを用いて、各バンドパスフィルターに最適なゲインを用いることで、目的の形状の欠陥を検出することが容易となる。図11にバンドパスフィルターの周波数範囲とゲインの例を示す。この図に示すように、周波数範囲の高いものほど、ゲイン(増幅値)を大きくしている。
以上のように、従来では、単独のバンドパスフィルターを用いて下限カットオフ周波数を高くして、高い周波数の信号のみを通過させて欠陥を検出していたが、本実施形態では、通過周波数の範囲が異なる複数のバンドパスフィルターを用い、それぞれ別々に信号を増幅するようにしたので、各周波数範囲に対応した特徴の欠陥に対して最適な信号レベルにすることができ、広い範囲の周波数成分から、大きさの異なる複数の欠陥を高精度で検出することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、2つのバンドパスフィルターを用いて、検出信号を相対的に高周波数側の周波数範囲と、相対的に低周波数側の周波数範囲とに分け、これらを別個に処理する例を示したが、周波数範囲が異なる3つ以上のバンドパスフィルターを用いて、それらを別々に増幅するようにしてもよい。また、バンドパスフィルターの減衰傾きは、図5では便宜上−24dB/oct(デシベル/オクターブ:周波数比が2倍になるごとに当該dBずつレベルが低下)、−48dB/octとしたが、バンドパスフィルターのカットオフ定数、減衰定数は目的により種々の選択が可能である。また、図3、図4、図7において、複数のバンドパスフィルターの周波数範囲のスロープをクロスオーバー(分割)させているが、重なっても問題ない。また、漏洩磁束式検査装置は、図6(a),(b)に限らず、種々の方式に本発明を適用可能である。
1 鋼板
2 欠陥
10 磁化器
11 ヨーク
12 励磁コイル
13 検出器(磁気センサ)
14 中空ロール
20 欠陥検出ユニット
21 アンプ
22 第1のバンドパスフィルター
23 第2のバンドパスフィルター
24 第1のアンプ/全波整流器
25 第2のアンプ/全波整流器
26 比率調整器
27 感度調整器
28 閾値処理部
M 漏洩磁束

Claims (4)

  1. 強磁性体金属からなる被検査体を磁化する磁化器と、
    前記磁化器により磁化された被検査体の表面または内部に存在する欠陥に起因する漏洩磁束を検出する検出器と、
    前記検出器からの検出信号を処理して被検査体の表面または内部に存在する欠陥を検出する欠陥検出ユニットと
    を具備し、
    前記欠陥検出ユニットは、並列して設けられた、通過周波数の範囲が異なる複数のバンドパスフィルター、各バンドパスフィルターを通過した信号を別々に増幅するアンプと、出力後の信号の比率を調整する比率調整器と、前記信号の全体の感度調整を行う感度調整器と、前記全体の信号の閾値処理を行って欠陥を検出する閾値処理部とを有し、前記複数のバンドパスフィルターのそれぞれの周波数範囲に対応した特徴の欠陥を検出することを特徴とする漏洩磁束式検査装置。
  2. 前記複数のバンドパスフィルターのうち、周波数の高いものの増幅値を高くすることを特徴とする請求項1に記載の漏洩磁束式検査装置。
  3. 強磁性体金属からなる被検査体を磁化器により磁化し、被検査体の表面または内部に存在する欠陥に起因する漏洩磁束を検出器により検出し、前記検出器からの検出信号を処理して被検査体の表面または内部に存在する欠陥を検出する漏洩磁束式検査方法であって、
    検出信号を、通過周波数の範囲が異なる複数の並列したバンドパスフィルターに供給し、各バンドパスフィルターを通過した信号を別々に増幅し、かつ、出力後の信号の比率を調整し、次いで前記信号の全体の感度調整を行った後、前記全体の信号の閾値処理を行って欠陥を検出し、前記複数のバンドパスフィルターのそれぞれの周波数範囲に対応した特徴の欠陥を検出することを特徴とする漏洩磁束式検査方法。
  4. 前記複数のバンドパスフィルターのうち、周波数の高いものの増幅値を高くすることを特徴とする請求項3に記載の漏洩磁束式検査方法。
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