JP5983455B2 - 車両の下部車体構造 - Google Patents
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Description
しかしながら、この構造を採用した場合には、差動装置に導風される走行風がリヤサスクロスで遮られる関係上、差動装置の冷却性が低下する問題点が発生する。
また、特許文献2には、リヤサスクロスが差動装置の下方を横切る構造の開示はあるものの、このリヤサスクロスのレイアウトにより差動装置の冷却性が低下するという課題については、全く開示されておらず、その示唆もない。
また、差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状を、下面が略水平によるように形成したので、この略水平の下面をジャッキポイントとして利用することができる。
さらに、リヤサスクロスは、差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するので、フロアパネルの地上高を下げ、車高を低くする等、車体デザイン自由度の向上を図ることができる。
要するに、車体デザイン自由度の向上と、差動装置の冷却性確保との両立を図ることができる。
因にサスクロス傾斜部を形成する場合、サスクロス傾斜部の断面積が、その両側の隣接する非傾斜部の断面積よりも小さくなるように構成すると、リヤサスクロスの傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が大きくなるが、サスクロス傾斜部と、その両側の隣接する非傾斜部との断面積を略同一と成したので、リヤサスクロスの傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が小さくなり、リヤサスクロスの性能を維持することができるものである。
すなわち、排気管側を流れる走行風は、その反対側を流れる走行風に対して排気温により温度が高いので、可及的差動装置側へ導風しないようにでき、パワープラントフレームの縦面部の下端が、車両後方側ほど差動装置の車幅方向中心部寄りとなるように傾斜しているので、パワープラントフレーム縦面部の反排気管側の排気温の影響を受けない走行風を、パワープラントフレームを有効利用して差動装置側へ案内することができ、この結果、差動装置の冷却性向上を図ることができる。
図1は車両の下部車体構造を示す底面図、図2は図1の要部拡大図である。但し、図1においては導風部材の図示を省略しており、図2においては燃料タンクの図示を省略している。なお、図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LOは車両の下方を示す。
このプロペラシャフト6は車両前後方向に延びて差動装置1に動力を伝達する推進軸である。
このサブフレーム8は、図1,図2に示すように、差動装置1を隔てて左右両側に位置すると共に、略車両の前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ9,9と、これら左右のサイドメンバ9,9間に張架されて車幅方向に延びる前側のリヤサスクロス10(いわゆるフロントクロスメンバ)と、左右のサイドメンバ9,9間に張架されて車幅方向に延びる後側のリヤサスクロス11(いわゆるリヤクロスメンバ)と、を平面視で略井桁形状に組合せたものである。なお、この実施例では、左右一体のサイドメンバ9,9はその前部間の間隔が広く、後部間の間隔が狭くなるように、平面視で略ハの字形状に配設されている。
換言すれば、前側のリヤサスクロス10の中央部10Aが差動装置1の下方を車幅方向に横切る谷部に形成されたものである。
また、パワープラントフレーム7の後側には上面部7Aから車両後方に延びる上側締結部7Fと、下面部7Bから車両後方に延びる下側締結部7Gとが一体形成されており、上側締結部7Fは複数の締結ボルト20,20を用いて、デフケース1aの上側取付け部1Fに締結されており、下側締結部7Gは複数の締結ボルト21,21を用いて、デフケース1aの下側取付け部1Gに締結されている。
換言すれば、図2に底面図で示すように、パワープラントフレーム7の上側締結部7Fと下側締結部7Gとの関係において、下側締結部7Gが差動装置1の車幅方向略中央に位置し、上側締結部7Fが下側締結部7Gよりも車幅方向外側に位置しており、これら各締結部7F,7Gを上下方向につなぐ縦面部7Cの下端は、車両後方側ほど差動装置1の車幅方向中心寄りとなるように傾斜させたものである。
この構成により、パワープラントフレーム7の縦面部7Cの反排気管側において排気温の影響を受けない走行風を、図2に矢印bで示すように、パワープラントフレーム7を有効利用して、差動装置1側へ案内すべく構成したものである。
つまり、上述のサスクロス傾斜部10Sは、走行風を差動装置1側へ導くように、その上面10bを前低後高のスラント形状に成して構成したものである。
上述のサスクロス傾斜部10Sを形成する場合、該サスクロス傾斜部10Sを含むリヤサスクロス10の中央部10Aの閉断面の断面積と、中央部10Aの両側から車幅方向外方かつ上方に立上がる立上り部10Bつまり非傾斜部10N(傾斜部を形成するための加工を施していない部分)の閉断面の断面積と、が略同一となるように形成している。
本実施例の中央部10Aにサスクロス傾斜部10Sを形成した場合を実線で示し、このサスクロス傾斜部10Sと補強リブ1Bとの間の必要隙間をL1とすると、同図に仮想線で示すサスクロス傾斜部10Sを形成しない比較例の中央部αと、仮想線で示す補強リブβとの間の必要隙間L2(但し、L2=L1)を確保する場合、仮想線で示す補強リブβの位置が高くなり、この分、フロアパネルの位置が高くなり、これにより車高も高くなる。
そして、この導風空間19dは車両前後方向の前側から後側にかけて順次車幅方向に浅くなるように形成されており、これにより走行風を図2,図8に矢印cで示すように、差動装置1側へ誘導案内すべく構成しており、この走行風により差動装置1の冷却性を確保するものである。
換言すれば、導風空間19dを形成する縦壁部19bの後半部を、差動装置1下部の車幅方向中央側に向けて湾曲形状に傾斜させており、これにより図2に矢印cで示すように走行風を差動装置1側へ案内すべく構成したものである。
また、差動装置1の車幅方向中心部と重なる部分(中央部10A)のリヤサスクロス10の断面形状を、下面10aが略水平によるように形成したので、この略水平の下面10aをジャッキポイントとして利用することができる。
さらに、リヤサスクロス10は、差動装置1の下方側を車幅方向に延びる部位(中央部10A)を有するので、フロアパネルの地上高を下げ、車高を低くする等、車体デザイン自由度の向上を図ることができる。
要するに、車体デザイン自由度の向上と、差動装置1の冷却性確保との両立を図ることができる。
また、上記サスクロス傾斜部10Sと、その両側の隣接する非傾斜部10Nとの断面積が略同一となるよう形成されたものである(図9のα参照)。
因にサスクロス傾斜部を形成する場合、サスクロス傾斜部の断面積が、その両側の隣接する非傾斜部の断面積よりも小さくなるように構成すると、リヤサスクロスの傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が大きくなるが、サスクロス傾斜部10Sと、その両側の隣接する非傾斜部10Nとの断面積を略同一と成したので、リヤサスクロス10の傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が小さくなり、リヤサスクロス10の性能を維持することができるものである。
さらに、上記プロペラシャフト6に沿って前後方向に延在するパワープラントフレーム7を備え、該パワープラントフレーム7の下端が、車両上下方向で上記サスクロス傾斜部10Sの前端部と同じか上方に位置するものである(図2,図3参照)。
さらにまた、上記パワープラントフレーム7が、上面部7Aと、下面部7Bと、これら上下両面部7A,7Bを上下方向につなぐ縦面部7Cとからなる断面コ字状に形成されており、該コ字状の開口側に排気管(排気経路12参照)が配設されており、平面視において上記パワープラントフレーム7の縦面部7Cの下端が、車両後方側ほど差動装置1の車幅方向中心部寄りとなるよう傾斜して形成されたものである(図2,図5,図7参照)。
すなわち、排気管(排気経路12参照)側を流れる走行風は、その反対側を流れる走行風に対して排気温により温度が高いので、可及的差動装置1側へ導風しないようにでき、パワープラントフレーム7の縦面部7Cの下端が、車両後方側ほど差動装置1の車幅方向中心部寄りとなるように傾斜しているので、パワープラントフレーム7の縦面部7Cの反排気管側の排気温の影響を受けない走行風を、パワープラントフレーム7を有効利用して差動装置1側へ案内することができ、この結果、差動装置1の冷却性向上を図ることができる。
この発明のリヤサスクロスの差動装置の車幅方向中心部と重なる部分は、リヤサスクロス10の中央部10Aに対応し、
以下同様に、
排気管は、排気経路12に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記リヤサスクロス10は、前側部材と後側部材との2ピースを組合せて構成してもよい。
3…後輪
6…プロペラシャフト
7…パワープラントフレーム
7A…上面部
7B…下面部
7C…縦面部
10…リヤサスクロス
10A…中央部(差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位)
10a…下面
10b…上面
10S…サスクロス傾斜部
10N…非傾斜部
12…排気経路(排気管)
Claims (3)
- 車両の左右後輪の差動を行なう差動装置と、
車両前後方向に延びて差動装置に動力を伝達するプロペラシャフトと、
差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するリヤサスクロスと、を備えた
車両の下部車体構造であって、
少なくとも車幅方向で上記差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状が、
下面が略水平で、上面が車両前側ほど下方に傾斜するよう形成されてサスクロス傾斜部を構成し、
上記サスクロス傾斜部と、その両側の隣接する非傾斜部との断面積が略同一となるよう形成された
車両の下部車体構造。 - 上記プロペラシャフトに沿って前後方向に延在するパワープラントフレームを備え、
該パワープラントフレームの下端が、車両上下方向で上記サスクロス傾斜部の前端部と同じか上方に位置する
請求項1に記載の車両の下部車体構造。 - 上記パワープラントフレームが、上面部と、下面部と、これら上下両面部を上下方向につなぐ縦面部とからなる断面コ字状に形成されており、
該コ字状の開口側に排気管が配設されており、
平面視において上記パワープラントフレームの縦面部の下端が、車両後方側ほど差動装置の車幅方向中心部寄りとなるよう傾斜して形成された
請求項2に記載の車両の下部車体構造。
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JP2013026346A JP5983455B2 (ja) | 2013-02-14 | 2013-02-14 | 車両の下部車体構造 |
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