JP5983455B2 - 車両の下部車体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の下部車体構造に関し、詳しくは、車両の左右後輪の差動を行なう差動装置と、車両前後方向に延びて差動装置に動力を伝達するプロペラシャフトと、差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するリヤサスクロスと、を備えたような車両の下部車体構造に関する。
従来、車体後方の下部に差動装置を備えた車両において、フロアパネルの地上高を下げ、車高を低くすると共に、車両の前後方向の長さを短くする等のデザイン上の理由から、リヤサスクロスが差動装置の下方を横切る構造が採用されている。
しかしながら、この構造を採用した場合には、差動装置に導風される走行風がリヤサスクロスで遮られる関係上、差動装置の冷却性が低下する問題点が発生する。
ところで、特許文献1には、走行風を差動装置の冷却フィンに向けて導く導風ガイド部材を設けることが開示されているが、この特許文献1に開示された従来構造においては、リヤサスクロスが差動装置の上方を横切る構造であって、リヤサスクロスが差動装置の下方を横切る構造ではないため、本願発明の課題が発生しないものである。
また、特許文献2には、リヤサスクロスが差動装置の下方を横切る構造の開示はあるものの、このリヤサスクロスのレイアウトにより差動装置の冷却性が低下するという課題については、全く開示されておらず、その示唆もない。
特開2009−127735号公報 特開平11−78958号公報
そこで、この発明は、車体デザイン自由度の向上と、差動装置の冷却性確保と、を両立することができる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
この発明による車両の下部車体構造は、車両の左右後輪の差動を行なう差動装置と、車両前後方向に延びて差動装置に動力を伝達するプロペラシャフトと、差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するリヤサスクロスと、を備えた車両の下部車体構造であって、少なくとも車幅方向で上記差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状が、下面が略水平で、上面が車両前側ほど下方に傾斜するよう形成されてサスクロス傾斜部を構成し、上記サスクロス傾斜部と、その両側の隣接する非傾斜部との断面積が略同一となるよう形成されたものである。
上記構成によれば、差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状を、上面が車両前側ほど下方に傾斜するように形成して、サスクロス傾斜部を構成したので、車両の走行時に上記サスクロス傾斜部にて走行風を差動装置側へ導風することができ、これにより、差動装置を冷却して、その冷却性を確保することができる。
また、差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状を、下面が略水平によるように形成したので、この略水平の下面をジャッキポイントとして利用することができる。
さらに、リヤサスクロスは、差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するので、フロアパネルの地上高を下げ、車高を低くする等、車体デザイン自由度の向上を図ることができる。
要するに、車体デザイン自由度の向上と、差動装置の冷却性確保との両立を図ることができる。
しかも、上記サスクロス傾斜部と、その両側の隣接する非傾斜部との断面積が略同一となるよう形成されたものであるから、リヤサスクロスの剛性を維持しつつ、車体デザイン自由度の向上と、差動装置の冷却性確保との両立を図ることができる。
因にサスクロス傾斜部を形成する場合、サスクロス傾斜部の断面積が、その両側の隣接する非傾斜部の断面積よりも小さくなるように構成すると、リヤサスクロスの傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が大きくなるが、サスクロス傾斜部と、その両側の隣接する非傾斜部との断面積を略同一と成したので、リヤサスクロスの傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が小さくなり、リヤサスクロスの性能を維持することができるものである。
この発明の一実施態様においては、上記プロペラシャフトに沿って前後方向に延在するパワープラントフレームを備え、該パワープラントフレームの下端が、車両上下方向で上記サスクロス傾斜部の前端部と同じか上方に位置するものである。
上記構成によれば、パワープラントフレームも有効活用して走行風を確実にサスクロス傾斜部に誘導し、差動装置方向に導風案内することができる。
この発明の一実施態様においては、上記パワープラントフレームが、上面部と、下面部と、これら上下両面部を上下方向につなぐ縦面部とからなる断面コ字状に形成されており、該コ字状の開口側に排気管が配設されており、平面視において上記パワープラントフレームの縦面部の下端が、車両後方側ほど差動装置の車幅方向中心部寄りとなるよう傾斜して形成されたものである。
上記構成によれば、次のような効果がある。
すなわち、排気管側を流れる走行風は、その反対側を流れる走行風に対して排気温により温度が高いので、可及的差動装置側へ導風しないようにでき、パワープラントフレームの縦面部の下端が、車両後方側ほど差動装置の車幅方向中心部寄りとなるように傾斜しているので、パワープラントフレーム縦面部の反排気管側の排気温の影響を受けない走行風を、パワープラントフレームを有効利用して差動装置側へ案内することができ、この結果、差動装置の冷却性向上を図ることができる。
この発明によれば、少なくとも車幅方向で上記差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状が、下面が略水平で、上面が車両前側ほど下方に傾斜するよう形成されてサスクロス傾斜部を構成したので、車両の走行時に、上記サスクロス傾斜部にて走行風を差動装置側へ導風案内することができ、差動装置の冷却性を確保することができると共に、略水平の下面をジャッキポイントとして利用することができる効果がある。
本発明の車両の下部車体構造を示す底面図 図1の要部拡大図 差動装置近傍の側面図 差動装置の外観斜視図 差動装置近傍の正面図 リヤサスクロスの斜視図 パワープラントフレームの斜視図 導風部材の斜視図 (a)はサスクロス傾斜部と非傾斜部の断面形状を模式的に示す概略断面図、(b)はリヤサスクロスの要部を傾斜させた場合と傾斜させない場合との関係を対比して示す概略図
車体デザイン自由度の向上と、差動装置の冷却性確保との両立を図るという目的を、車両の左右後輪の差動を行なう差動装置と、車両前後方向に延びて差動装置に動力を伝達するプロペラシャフトと、差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するリヤサスクロスと、を備えた車両の下部車体構造であって、少なくとも車幅方向で上記差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状が、下面が略水平で、上面が車両前側ほど下方に傾斜するよう形成されてサスクロス傾斜部を構成し、上記サスクロス傾斜部と、その両側の隣接する非傾斜部との断面積が略同一となるよう形成されるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図1は車両の下部車体構造を示す底面図、図2は図1の要部拡大図である。但し、図1においては導風部材の図示を省略しており、図2においては燃料タンクの図示を省略している。なお、図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LOは車両の下方を示す。
図1,図2において、車両後部の車幅方向略中央には、その内部にドライブピニオン軸、ドライブピニオンギヤ、デフリングギヤ、ピニオン軸、ピニオンギヤ、サイドギヤ等の差動歯車機構を収納した差動装置(いわゆるリヤディファレンシャル)1を配置している。この差動装置1は左右のリヤアクスルシャフト(後車軸)2,2を介して左右後輪3,3の差動を行なうものである。
車両前部には、エンジンおよびトランスミッションから成るパワートレイン(図示せず)が配置されており、このパワートレインの出力軸と、差動装置1のドライブピニオン軸前端部に連結されたフランジ4との間には、ユニバーサルジョイント(自在継手)5を介してプロペラシャフト6が連結されている。
このプロペラシャフト6は車両前後方向に延びて差動装置1に動力を伝達する推進軸である。
上述のトランスミッションにおけるミッションケースと、差動装置1のデフケース1aとの間にはパワープラントフレーム7(いわゆるPPF)が張架されている。このパワープラントフレーム7はミッションケースとデフケース1aとをリジットにつないで、差動装置1のワインドアップ振動を抑制し、パワートレイン駆動系からのロール方向の動きを許容するもので、このパワープラントフレーム7は上述のプロペラシャフト6に沿って車両の前後方向に延在している。
上述の左右の後輪3,3を左右独立懸架するアッパアーム、ロアアームなどから成るリヤサスペンション(図示せず)を設けると共に、このリヤサスペンションを後部車体に支持するサスペンションクロスメンバとしてのサブフレーム8を設けている。
このサブフレーム8は、図1,図2に示すように、差動装置1を隔てて左右両側に位置すると共に、略車両の前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ9,9と、これら左右のサイドメンバ9,9間に張架されて車幅方向に延びる前側のリヤサスクロス10(いわゆるフロントクロスメンバ)と、左右のサイドメンバ9,9間に張架されて車幅方向に延びる後側のリヤサスクロス11(いわゆるリヤクロスメンバ)と、を平面視で略井桁形状に組合せたものである。なお、この実施例では、左右一体のサイドメンバ9,9はその前部間の間隔が広く、後部間の間隔が狭くなるように、平面視で略ハの字形状に配設されている。
図1,図2に示すように、前側のリヤサスクロス10は差動装置1とオーバラップする位置において、該差動装置1の下方を横切って車幅方向に延びており、後側のリヤサスクロス11は差動装置1から後方にオフセットした位置を車幅方向に延びるように形成されている。
図5に差動装置1近傍の正面図を示すように、前側のリヤサスクロス10は、差動装置1の下方側を車幅方向に延びる部位つまり中央部10Aを有し、この中央部10Aの左右両端部から車幅方向外方かつ上方に立上がる左右の立上り部10B,10Bを有し、これら左右の立上り部10B,10Bの左右両端部を図2で示したサイドメンバ9,9の車幅方向内側部に接合固定したものである。
換言すれば、前側のリヤサスクロス10の中央部10Aが差動装置1の下方を車幅方向に横切る谷部に形成されたものである。
ところで、図1、図2に示すように、パワートレインにおけるエンジンの排気マニホルドには、キャタリスト(図示せず)を介設した排気経路12が接続されている。この排気経路は、上流側排気管13の後端にプリサイレンサ14を接続し、このプリサイレンサ14の後端に下流側排気管15を介してメインサイレンサ16を接続すると共に、該メインサイレンサ16の下流側にはテールパイプ17,17を接続したものであり、上流側排気管13およびプリサイレンサ14は断面コ字状のパワープラントフレーム7の開口側に配設されており、下流側排気管15は前後の各リヤサスクロス10,11の下方側に配設されている。
図1において、18は燃料タンクであり、この燃料タンク18は差動装置1、サブフレーム8、排気経路12、プロペラシャフト6およびパワープラントフレーム7の上方側に配設されている。
図2において、19は導風部材であり、この導風部材19はパワープラントフレーム7の反排気経路側(つまり、断面コ字状のパワープラントフレーム7の反開口側)において該パワープラントフレーム7に近接するように配設されている。
図5,図7において、上述のパワープラントフレーム7は、プロペラシャフト6側に折曲形成された上面部7Aと下面部7Bと、これら上下両面部7A,7Bを上下方向につなぐ縦面部7Cとからなる断面コ字状に形成されており、該パワープラントフレーム7の前側には上面部7Aから車両前方に延びる上側締結部7Dと、下面部7Bから車両前方に延びる下側締結部7Eとが一体形成されており、これら上下の各締結部7D,7Eが、図示しない締結ボルトを用いて、ミッションケースに結合されるように構成している。
また、パワープラントフレーム7の後側には上面部7Aから車両後方に延びる上側締結部7Fと、下面部7Bから車両後方に延びる下側締結部7Gとが一体形成されており、上側締結部7Fは複数の締結ボルト20,20を用いて、デフケース1aの上側取付け部1Fに締結されており、下側締結部7Gは複数の締結ボルト21,21を用いて、デフケース1aの下側取付け部1Gに締結されている。
図2,図5,図7に示すように、平面視において上記パワープラントフレーム7の縦面部7Cのリヤ側の下端が、車両後方側ほど差動装置1の車幅方向中心部寄りとなるよう傾斜して形成されている。
換言すれば、図2に底面図で示すように、パワープラントフレーム7の上側締結部7Fと下側締結部7Gとの関係において、下側締結部7Gが差動装置1の車幅方向略中央に位置し、上側締結部7Fが下側締結部7Gよりも車幅方向外側に位置しており、これら各締結部7F,7Gを上下方向につなぐ縦面部7Cの下端は、車両後方側ほど差動装置1の車幅方向中心寄りとなるように傾斜させたものである。
この構成により、パワープラントフレーム7の縦面部7Cの反排気管側において排気温の影響を受けない走行風を、図2に矢印bで示すように、パワープラントフレーム7を有効利用して、差動装置1側へ案内すべく構成したものである。
図3,図5,図6に示すように、前側のリヤサスクロス10において、車幅方向で差動装置1の車幅方向中心部と重なる部分、すなわち、リヤサスクロス10の中央部10Aの断面形状は、その下面10aがジャッキアップポイントを兼ねるように略水平で、その上面10bが車両前側ほど下方に傾斜するように形成されてサスクロス傾斜部10Sを構成している。
つまり、上述のサスクロス傾斜部10Sは、走行風を差動装置1側へ導くように、その上面10bを前低後高のスラント形状に成して構成したものである。
そして、上述のサスクロス傾斜部10Sにより、車両の走行時に、当該サスクロス傾斜部10Sにて図3に矢印aで示すように、走行風を差動装置1側へ導風案内し、これにより差動装置1を冷却して、その冷却性を確保すべく構成している。
上述のサスクロス傾斜部10Sを形成する場合、該サスクロス傾斜部10Sを含むリヤサスクロス10の中央部10Aの閉断面の断面積と、中央部10Aの両側から車幅方向外方かつ上方に立上がる立上り部10Bつまり非傾斜部10N(傾斜部を形成するための加工を施していない部分)の閉断面の断面積と、が略同一となるように形成している。
図9の(a)はサスクロス傾斜部10Sの断面積と、このサスクロス傾斜部10Sに隣接する非傾斜部10Nの断面積とを対比して示す説明図であって、同図に実線で示すサスクロス傾斜部10Sの断面積と、同図に仮想線で示す非傾斜部10Nの断面積とが略等しくなるように構成することで、リヤサスクロス10全体の剛性を維持すべく構成したものである。
また、図3に側面図で示すように、パワープラントフレーム7の下端が、車両上下方向でサスクロス傾斜部10Sの前端部よりも上方に位置するように構成しており、これにより、上記パワープラントフレーム7も有効活用して、走行風を確実にサスクロス傾斜部10Sに誘導し、差動装置1方向に走行風を導風案内するように構成している。なお、パワープラントフレーム7の縦面部7Cには軽量化用の略三角形状の開口部が複数形成されるが、この開口部は便宜上、その図示を省略している。
ところで、図2,図3,図4に示すように、差動装置1のデフケース1aにおける下部には、底面視略Y字形状の補強リブ1Bが設けられている。この補強リブ1Bは差動装置1の車幅方向の下部中心部とパワープラントフレーム7を取付ける下側取付け部1Gとを前低後高状の傾斜状につなぐリブであって、該補強リブ1Bの傾斜角度と、サスクロス傾斜部10Sの傾斜角度とを略同等、換言すれば、これら両者1B,10Sを略平行と成すことにより、車両上下寸法を無駄なく有効に活用でき、フロア高さを低くすべく構成している。
図9の(b)はリヤサスクロス10の要部を傾斜させた場合(実線参照)と、傾斜させない場合(仮想線参照)との関係を対比して示す概略図である。
本実施例の中央部10Aにサスクロス傾斜部10Sを形成した場合を実線で示し、このサスクロス傾斜部10Sと補強リブ1Bとの間の必要隙間をL1とすると、同図に仮想線で示すサスクロス傾斜部10Sを形成しない比較例の中央部αと、仮想線で示す補強リブβとの間の必要隙間L2(但し、L2=L1)を確保する場合、仮想線で示す補強リブβの位置が高くなり、この分、フロアパネルの位置が高くなり、これにより車高も高くなる。
これに対して、本実施例品のものではサスクロス傾斜部10Sを補強リブ1Bと略平行に成したので必要隙間L1(但し、L1=L2)を確保しつつ、補強リブ1Bの位置を低くすることができ、図9の(b)に示す比較例に対してフロアパネルの位置を低くして、車高を低くすることができる。
図2,図5,図8に示すように、パワープラントフレーム7の反排気管側には導風部材19を設けている。図8に斜視図で示すように、この導風部材19は上面部19aと、縦壁部19bと、下面部19cとを有する合成樹脂製の部材で、上面部19aと縦壁部19bとにより、車幅方向内側および車両下方に開放した導風空間19dが形成されている。
そして、この導風空間19dは車両前後方向の前側から後側にかけて順次車幅方向に浅くなるように形成されており、これにより走行風を図2,図8に矢印cで示すように、差動装置1側へ誘導案内すべく構成しており、この走行風により差動装置1の冷却性を確保するものである。
換言すれば、導風空間19dを形成する縦壁部19bの後半部を、差動装置1下部の車幅方向中央側に向けて湾曲形状に傾斜させており、これにより図2に矢印cで示すように走行風を差動装置1側へ案内すべく構成したものである。
このように、上記実施例の車両の下部車体構造は、車両の左右後輪3,3の差動を行なう差動装置1と、車両前後方向に延びて差動装置1に動力を伝達するプロペラシャフト6と、差動装置1の下方側を車幅方向に延びる部位(中央部10A参照)を有するリヤサスクロス10と、を備えた車両の下部車体構造であって、少なくとも車幅方向で上記差動装置1の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロス10の断面形状が、下面10aが略水平で、上面10bが車両前側ほど下方に傾斜するよう形成されてサスクロス傾斜部10Sを構成したものである(図1,図3参照)。
この構成によれば、差動装置1の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロス10の断面形状を、上面10bが車両前側ほど下方に傾斜するように形成して、サスクロス傾斜部10Sを構成したので、車両の走行時に上記サスクロス傾斜部10Sにて走行風を差動装置1側へ導風することができ、これにより、差動装置1を冷却して、その冷却性を確保することができる。
また、差動装置1の車幅方向中心部と重なる部分(中央部10A)のリヤサスクロス10の断面形状を、下面10aが略水平によるように形成したので、この略水平の下面10aをジャッキポイントとして利用することができる。
さらに、リヤサスクロス10は、差動装置1の下方側を車幅方向に延びる部位(中央部10A)を有するので、フロアパネルの地上高を下げ、車高を低くする等、車体デザイン自由度の向上を図ることができる。
要するに、車体デザイン自由度の向上と、差動装置1の冷却性確保との両立を図ることができる。
また、上記サスクロス傾斜部10Sと、その両側の隣接する非傾斜部10Nとの断面積が略同一となるよう形成されたものである(図9のα参照)。
この構成によれば、リヤサスクロス10の剛性を維持しつつ、車体デザイン自由度の向上と、差動装置1の冷却性確保との両立を図ることができる。
因にサスクロス傾斜部を形成する場合、サスクロス傾斜部の断面積が、その両側の隣接する非傾斜部の断面積よりも小さくなるように構成すると、リヤサスクロスの傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が大きくなるが、サスクロス傾斜部10Sと、その両側の隣接する非傾斜部10Nとの断面積を略同一と成したので、リヤサスクロス10の傾斜部と非傾斜部との間における剛性と強度の変化量が小さくなり、リヤサスクロス10の性能を維持することができるものである。
さらに、上記プロペラシャフト6に沿って前後方向に延在するパワープラントフレーム7を備え、該パワープラントフレーム7の下端が、車両上下方向で上記サスクロス傾斜部10Sの前端部と同じか上方に位置するものである(図2,図3参照)。
この構成によれば、パワープラントフレーム7も有効活用して走行風を確実にサスクロス傾斜部10Sに誘導し、差動装置1方向に導風案内することができる。
さらにまた、上記パワープラントフレーム7が、上面部7Aと、下面部7Bと、これら上下両面部7A,7Bを上下方向につなぐ縦面部7Cとからなる断面コ字状に形成されており、該コ字状の開口側に排気管(排気経路12参照)が配設されており、平面視において上記パワープラントフレーム7の縦面部7Cの下端が、車両後方側ほど差動装置1の車幅方向中心部寄りとなるよう傾斜して形成されたものである(図2,図5,図7参照)。
この構成によれば、次のような効果がある。
すなわち、排気管(排気経路12参照)側を流れる走行風は、その反対側を流れる走行風に対して排気温により温度が高いので、可及的差動装置1側へ導風しないようにでき、パワープラントフレーム7の縦面部7Cの下端が、車両後方側ほど差動装置1の車幅方向中心部寄りとなるように傾斜しているので、パワープラントフレーム7の縦面部7Cの反排気管側の排気温の影響を受けない走行風を、パワープラントフレーム7を有効利用して差動装置1側へ案内することができ、この結果、差動装置1の冷却性向上を図ることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のリヤサスクロスの差動装置の車幅方向中心部と重なる部分は、リヤサスクロス10の中央部10Aに対応し、
以下同様に、
排気管は、排気経路12に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記リヤサスクロス10は、前側部材と後側部材との2ピースを組合せて構成してもよい。
以上説明したように、本発明は、車両の左右後輪の差動を行なう差動装置と、車両前後方向に延びて差動装置に動力を伝達するプロペラシャフトと、差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するリヤサスクロスと、を備えたような車両の下部車体構造について有用である。
1…差動装置
3…後輪
6…プロペラシャフト
7…パワープラントフレーム
7A…上面部
7B…下面部
7C…縦面部
10…リヤサスクロス
10A…中央部(差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位)
10a…下面
10b…上面
10S…サスクロス傾斜部
10N…非傾斜部
12…排気経路(排気管)

Claims (3)

  1. 車両の左右後輪の差動を行なう差動装置と、
    車両前後方向に延びて差動装置に動力を伝達するプロペラシャフトと、
    差動装置の下方側を車幅方向に延びる部位を有するリヤサスクロスと、を備えた
    車両の下部車体構造であって、
    少なくとも車幅方向で上記差動装置の車幅方向中心部と重なる部分のリヤサスクロスの断面形状が、
    下面が略水平で、上面が車両前側ほど下方に傾斜するよう形成されてサスクロス傾斜部を構成し
    上記サスクロス傾斜部と、その両側の隣接する非傾斜部との断面積が略同一となるよう形成された
    車両の下部車体構造。
  2. 上記プロペラシャフトに沿って前後方向に延在するパワープラントフレームを備え、
    該パワープラントフレームの下端が、車両上下方向で上記サスクロス傾斜部の前端部と同じか上方に位置する
    請求項1記載の車両の下部車体構造。
  3. 上記パワープラントフレームが、上面部と、下面部と、これら上下両面部を上下方向につなぐ縦面部とからなる断面コ字状に形成されており、
    該コ字状の開口側に排気管が配設されており、
    平面視において上記パワープラントフレームの縦面部の下端が、車両後方側ほど差動装置の車幅方向中心部寄りとなるよう傾斜して形成された
    請求項2に記載の車両の下部車体構造。
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