JP5982693B2 - 研削液供給装置 - Google Patents

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本発明は、研削液供給装置に関し、詳しくは、例えば研削加工において加工部に研削液を供給する研削液供給装置に関する。
従来、多くの研削加工においては水溶性もしくは不水溶性研削液を加工部に供給しながら行っている。研削液を用いる目的は、1)研削切りくずの排出による砥石の目詰まり抑制、2)研削点の摩擦抵抗低減、3)研削点の温度上昇抑制があげられる。これらの効果によって、砥石の研削特性および加工面性状を向上させる。
しかし、高能率研削、クリープフィード研削、微粒砥石による研削、および切りくずが切刃に溶着しやすい材料の研削などの場合、特に砥石の目詰まりが大きな問題となる。例えば、アルミニウムの研削加工においては、目詰まりによって研削抵抗が3〜4倍程度に増大することが知られている。
砥石の目詰まりを抑制する方法として、放電や電解などで砥石をドレッシングする技術があるが、導電性を有する結合剤の砥石にしか適用できないなど制約が多い。
ところで最近では、研削液に超音波振動を重畳する方法が知られている。特許文献1では、研削液を加工部に供給するノズル内に円筒状の空室を形成し、この空室の底部に設けた振動子を振動させることによって空室内の研削液に超音波振動を重畳し、この超音波振動を重畳した研削液をノズルの先端の吐出口から加工部に向けて吐出する構成を開示している。超音波振動を重畳した研削液によれば、砥石の目詰まり抑制効果および表面粗さの改善効果が期待される。
特開2005−254424号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、ノズル内に超音波振動を発生する振動子を有する構造であり、汎用性に欠けるという問題があった。
また、ノズルの空室内の研削液に予め超音波振動を重畳してそれを加工部に吐出する構造であり、研削液が加工部に達するときにはすでに超音波振動を重畳した効果が継続していない虞があるという問題があった。
特に、不水溶性研削液などの油系の研削液の場合、超音波振動によるキャビテーションが発生しにくく、また発生しても極短時間で消滅する虞がある。このため、ノズルの空室内の研削液に予め超音波振動を重畳してそれを加工部に吐出する構造の場合、超音波振動を重畳した効果が得られない虞があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、汎用性に富み、且つ好適な超音波振動重畳効果を得ることができる研削液供給装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、研削加工の加工部に研削液を供給する研削液供給装置において、前記研削液を噴出するノズルと、超音波振動する振動エフェクタと、前記ノズルと前記加工部との間の前記研削液の流路に前記振動エフェクタを配置する位置調節手段と、を設け、前記振動エフェクタは、複数のくし歯を有し、前記研削液が通る複数のスリットを有する形状である、ことを特徴とする。
本発明によれば、汎用性に富み、且つ好適な超音波振動重畳効果を得ることができる研削液供給装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る研削液供給装置を示す概略図である。 図1に示した振動エフェクタ20の斜視図である。 図2とは向きを変えた振動エフェクタ20の斜視図であり、振動モードを示す図である。 超音波振動子50の駆動を行う構成を示すブロック図である。 位置調節手段の一例を示す斜視図である。 振動エフェクタ20の最も外側のくし歯23について、くし歯23の面の法線方向への振動振幅の分布をレーザードップラ振動計で測定した結果を示す図である。 研削加工実験としての平面プランジ研削の概略を示す図である。 (a)は慣用研削の場合の接線方向分力を示す図であり、(b)は超音波重畳研削の場合の接線方向分力を示す図である。 体積除去量80mm3までの比研削抵抗の推移を示す図である。 砥石表面の顕微鏡写真を示す図である。 慣用加工による表面のSEM写真を示す図である。 超音波重畳加工による表面のSEM写真を示す図である。 高速度鋼への研削加工時の研削抵抗の変化を示す図である。 制御因子の1つとしたエフェクタ幅の説明をする図である。 L9直交表にしたがって行なった実験をタグチメソッドの望小特性について計算し、各要因ごとの3水準が研削抵抗に与える影響を示す図である。 キャビテーション エロージョンテストの試験片を示す図である。 ホーンと試験片との距離を示す図である。 くし歯の長さ42mmのものの実験結果を示す図である。 くし歯の長さ45mmのものの実験結果を示す図である。 くし歯の長さ45mmの振動エフェクタ20の斜視図であり、振動モードを示す図である。 縦振動する振動エフェクタの振動方向が、砥石作用面(平面研削盤ならば、外周面)の法線方向と直交する場合を示す図である。 縦振動する振動エフェクタの振動方向が、砥石作用面の法線方向と一致する(もしくは、それに近い)場合を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明においては、研削液供給ノズルから噴流状態で大気中に吐出される研削液に超音波振動を重畳する方法およびその研削液供給装置を提供する。
また、以下においては、本発明の効果の検証を行った。
まず、目詰まりを起こしやすいアルミニウムの研削加工を実施し、その有用性を比研削抵抗,表面粗さによって評価した。また、アルミニウムと比べ溶着が起こりにくいSKS材の研削加工において、超音波エネルギを付加した研削液が加工におよぼす効果を検証した。その結果、本発明によれば、目詰まり抑制効果があり、研削抵抗が維持されることがわかった。また、目詰まりが生じにくい被削材においては、表面粗さ改善効果が確認された。さらに実験計画法を用いて各種因子が研削抵抗の増加におよぼす影響を調べた結果、アクチュエータへの投入電力が大きいほど、研削抵抗の増加が抑制されることが分かった。
超音波洗浄は、洗浄液に超音波エネルギを付与することによりキャビテーション現象を引き起こし、その際に発生する衝撃力により、部品等に付着した汚れを取り除く。本発明では、これを応用し、例えば、研削加工の加工部に向けた研削液に超音波を重畳して噴出し、例えば加工部の砥石表面上で超音波洗浄に似た現象を生じさせる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る研削液供給装置を示す概略図である。
研削対象のワークピース40を研削加工する研削砥石30に対して適用する場合について説明すると、本発明の研削液供給装置100は、噴出口11から研削液12を噴出するノズル10と、超音波振動する振動エフェクタ20とを有し、振動エフェクタ20を、ノズル10と研削砥石30との間に配置する。
この振動エフェクタ20にノズル10から噴出される研削液12を通す。この結果、研削加工において、加工部31に連続供給される研削液に超音波エネルギが付与される。そして、キャビテーションによる衝撃力を受けて、チップポケットや砥粒に凝着した目詰まりが取り除かれその結果、ドレッシング間隔を長くし、生産量の向上,砥石寿命の向上が期待できる。
本発明の特徴は,ノズルから噴流として吐出している研削液に、超音波エフェクタを作用させるので、既存の工作機械への設置において、ほとんど制限がなく、簡便に設置できることである。
図2に、図1に示した振動エフェクタ20の斜視図を示す。
また図3に、図2とは向きを変えた振動エフェクタ20の斜視図を示す。図3ではその概略寸法も示す。また、図3では、振動エフェクタ20の振動モードも示している。この図3の振動エフェクタ20では、曲げ振動が主になる。
振動エフェクタ20は、ほぼ角柱部材から成り、後端のボディ部21と先端のくし歯部22とを有し、くし歯部22は、複数のくし歯23と、隣接するくし歯23同士の間の、複数のスリット24とを有する。複数のくし歯23のそれぞれは、広い面を有する薄板形状をしている。
振動エフェクタ20の後端のボディ部21には、超音波振動子50(図4に示す)が接続される。超音波振動子50としては,例えば既知のボルト締めランジュバン振動子を用いることができ、超音波振動子50は、例えば駆動周波数28kHz、振動エフェクタ20との接触面直径25mmである。供給する研削液12を、砥石30の幅(例えば32mm)の全面に作用させるために、砥石30の幅よりも振動エフェクタ20の幅を広くする。また超音波振動子50と振動エフェクタ20との間の機械的な整合を考慮して、振動エフェクタ20の幅は超音波振動子50と同じ25mmとする。くし歯23の長さは42mmとした。
超音波振動子50の振動は、振動エフェクタ20を、例えば、図中の左右方向に振動させる。研削液12は、スリット24を通過する間に、超音波振動しているくし歯22からエネルギが重畳される。
超音波振動子50の駆動を行う構成について図4を参照して説明する。
超音波振動子50の駆動を行う構成は、例えば、駆動電源を供給する電源51と、駆動周波数を発生する信号発生器52と、信号発生器52からの信号を増幅するアンプ53とを有し、超音波振動子50は、アンプ53から供給された信号に基づいて振動する。
また、超音波振動子50には、上述のように振動エフェクタ20が接続され、超音波振動子50の振動は振動エフェクタ20を振動させる。
位置調節手段54は、超音波振動子50および振動エフェクタ20を、ノズル10と研削砥石30(加工部31)との間に配置する。位置調節手段54は、超音波振動子50および振動エフェクタ20を、ノズル10と研削砥石30との間の研削液12の流路に振動エフェクタ20が来るようにボルト締めなどで固定して配置するものでもよいし、アクチュエータを備えて配置位置や配置向きを移動可能なものでもよいし、ロボットハンドなどによって配置位置や配置向きを移動可能なものでもよい。
図5は、位置調節手段の一例を示す斜視図である。
この例では、振動エフェクタ20を接続した超音波振動子50は保持手段54bに保持され、固定手段54aによって固定されることによって、ノズル10と研削砥石30との間の研削液12の流路に振動エフェクタ20が来るように配置する。すなわち、保持手段54bおよび固定手段54aが位置調整手段54に相当する。固定手段54aは、例えばマグネットによって、装置の壁面等に吸着して位置固定を行う。
ところで、振動エフェクタ20を配置する位置は、例えば「キャビテーション効果のある近傍」とすることができる。ここで、「キャビテーション効果のある近傍」とは、例えば、「好ましくは、振動エフェクタの先端部が回転する研削砥石の外周面と接触しない程度に近接した状態、又は研削液が研削砥石の外周面との狭い間隙を満たす程度の間隙」とすることができる。これによる効果としては、振動エフェクタ先端のくし歯間を通過した研削液は研削砥石の外周面との狭い間隙を満たすようにして供給されるから、該研削液が砥石外周面から外れて拡散することがなく効果的に削り屑の目詰まりを防止し、かつ研削液の飛散による消耗も少ない。
振動エフェクタ20を配置する位置は、ノズル10と研削砥石30との間の研削液12の流路において、ノズル10の直近でもよいし、研削砥石30の直近であってもよい。
次に、振動エフェクタ20の最も外側のくし歯23について、くし歯23の面の法線方向への振動振幅の分布をレーザードップラ振動計で測定した結果を図6に示す。
超音波振動子であるランジュバン振動子への印加電圧は、480VP-Pである。最大振幅は2.0μmであった。これより、長手方向に3本、幅方向に2本の節線を持つ曲げ振動が確認される。本発明においては、振動エフェクタ20(のスリット24)に流入する研削液12に対して、より効率的に超音波振動エネルギを重畳するために、くし歯形状としさらに作用面となるくし歯23の面積を大きくするために、曲げ振動を支配的な振動モードとした。
研削加工実験においては、図7に示す平面プランジ研削を行った。
砥石30を回転軸方向に動かさないで、砥石30の特定の領域を用いて連続的に加工し続けることで。目詰まりが生じやすい加工状態とした。加工条件および砥石30の組成は表1および表2に示す。A5052に対しては予備加工試験によって、目詰まりが顕著に発生する送り速度の遅い条件に設定し、一方、SKS3については一般的な加工条件に設定した。
超音波振動を重畳した研削液が研削抵抗に与える効果について以下に述べる。
A5052に対する慣用研削加工(従来の超音波振動を重畳しない加工)および超音波振動を重畳した研削液を供給しながらの研削加工(本発明を適用した加工)の接線方向分力を図8に示す。図8(a)は慣用研削の場合であり、図8(b)は超音波重畳研削の場合である。
砥石半径方向に5μmのインフィード切り込みを行っており、長さ80mmの被研削材に対して総切り込み量200パス×5μm×2、総除去体積80mm×1mm=80mm3を行った。ここでは、ドレッシング後における加工初期の20パス目(体積除去量8mm3)および目詰まりが生じていると思われる200パス目(体積除去量80mm3)における1パス中の研削抵抗の時間変化を示している。
加工初期の20パス目においては、慣用加工と超音波振動重畳加工での差異は見られず、ドレッシングによって切れ刃が良好に作用していることがわかる。しかし、200パス後において慣用研削加工においては、目詰まりによって平均的な研削抵抗が1.5倍ほど大きくなっていることがわかる。一方、超音波重畳加工においては、200パス後においても、有意な研削抵抗の変化は見られなかった。
図9に体積除去量80mm3までの比研削抵抗の推移を示す。
最小二乗近似直線より、慣用研削加工では、加工進展にともなって比研削抵抗が増加していく。一方、超音波振動重畳加工では、比研削抵抗の上昇は見られず、目詰まりを抑制できていると考えられる。
図10は,砥石表面の顕微鏡写真である。
図中矢印で示されているのが凝着物である。20パス目においては,研削液の違いによる明確な差異は確認できないが、100パス目になると、慣用研削加工においてはわずかな凝着が発生し始めており、200パス目には500μmを超える大きな凝着が確認できた。
一方、超音波振動を重畳した研削液では、目詰まりは確認できず、A5052のような目詰まりのしやすい被削材に対しても、目詰まり抑制効果があることが確認できた。
次に、超音波振動を重畳した研削液が表面粗さに与える効果について説明する。
200パスの研削加工後における表面粗さについて比較する。総切り込み深さが1mmであるので、前加工が表面粗さに与える影響はないと考えられる。
図11は慣用加工による表面のSEM写真である。
慣用加工においては、肉眼でも目立つ1本のすじ状のスクラッチ傷がある。このスクラッチは、目詰まりによって切れ刃としての作用を失った砥粒によるもので、研削抵抗を増加させるものと考えられる。粗さ曲線においては,深さ3〜5μmほどの深いスクラッチが多数存在しており、表面粗さは砥石送り方向に0.80μmRa、直交方向に1.15μmRaであった。
図12は超音波重畳加工による表面のSEM写真である。
一方,超音波振動重畳加工の結果においては、目視観察ではスクラッチは検出できず、図12のSEM写真においても明確なスクラッチは見られなかった。粗さ曲線においては、1〜2μmほどの浅いスクラッチが見られるが、表面粗さは砥石送り方向に0.72μmRa、直交方向に0.93μmRaであった。この結果、砥石運動方向に発生する目詰まりに起因するスクラッチを抑制し、表面粗さの改善効果が高いことがわかった。
次に、鉄系材料の研削における効果について説明する。
前項までに、目詰まりしやすいアルミニウム合金に対する研削加工における超音波振動重畳研削液の効果を検証してきた。次に、研削加工が容易な鉄系材料である高速度鋼に対して適用した場合の効果について実験的に確認する。
図13は,高速度鋼への研削加工時の研削抵抗の変化を示す。
最小二乗近似直線の傾きに差異はないため、研削液による目詰まり抑制効果は見られないことがわかった。これは、研削砥石表面の顕微鏡撮影結果から確認された。しかし、研削抵抗の平均値は、慣用研削において0.45×105N/mm2であったが、超音波振動を重畳することによって0.28×105N/mm2まで低下した。
また、研削抵抗の標準偏差を算出するとばらつきが超音波振動重畳により大きく改善しており、安定した研削となることがわかった。表面粗さは、慣用研削においては、砥石送り方向に0.13μmRa、直交方向に0.29μmRaであったが、超音波振動を重畳することで、それぞれ0.12μmRaと0.17μmRaに改善された。
次に、要因効果検証実験について説明する。
本実験ではA5052の加工に超音波エネルギを付加した研削液を用いる時の研削加工パラメータの要因効果を明らかにする。表3に示すようにタグチメソッドのL9直交表において三水準の制御因子を、
A:超音波振動子への投入電力
B:振動エフェクタの幅
C:砥石(加工物)送り速度
D:研削液流量
の4つとして、誤差因子を砥粒の目詰まり状態として水準をドレッシング直後と200往復研削後として実験を行った。
制御因子の1つとしたエフェクタ幅の説明を図14に示す。
励起される振動モードは、縦振動と曲げ振動であるので、エフェクタ20の幅は振動モードには影響は与えないと考えられる。しかし,エフェクタ20は超音波振動ホーンであるので、幅を狭くすることで振幅は大きくなるが、研削液がエフェクタ20と接触する面積は減少する。これら複合的な要因が、研削抵抗の変化へ与える影響を検証する。加工物送り速度は研削抵抗に影響することはよく知られている。研削抵抗は数1、数2で求められる。
ただし,
Ft : 研削抵抗の接線方向分力
Fn : 研削抵抗の法線方向分力
v : 砥石(加工物)送り速度
V : 砥石周速度
b : 研削幅
Cp : 比研削エネルギ
α : 砥粒の半頂角
μ : 砥石と加工物の摩擦係数
である。
すなわち、研削抵抗は加工物送り速度に比例すると考えられる。ここで送り速度がS/N比に与える効果と投入電力やエフェクタ幅、研削液流量がS/N比に与える効果を比較することで、各制御因子の効果の程度を明らかにする。
L9直交表にしたがって行なった実験をタグチメソッドの望小特性について計算し、各要因ごとの3水準が研削抵抗に与える影響を図15に示す。
送り速度の水準として、25.0、33.3および50.0mm/secとしている。研削抵抗が送り速度に比例すると仮定すれば,送り速度25.0mm/secに比べて、33.3mm/secにおけるS/N比は1.25だけ、50.0mm/secにおけるS/N比は3.01だけ減少すると考えられる。本実験の範囲においては、減少値はそれぞれ1.83、3.48であり、送り速度が研削抵抗に与える効果はほぼ理論通りであった。
次に、超音波振動子への投入電力の効果については、投入電力が大きいほどSN比が増加して、研削抵抗が減少する。送り速度のSN比と比較して考察すると、25Wの電力を投入することで、送り速度を半分にするのと同程度の研削抵抗減少効果があるほどの高感度な因子である。そのため、研削液に超音波振動を重畳し、送り速度を倍にできれば単位時間当たりの研削体積を倍にできる。超音波エフェクタ形状に関してはエフェクタ幅18.3mmのものが他の2種と比べ良い結果が得られているが効果は高くない。研削液流量は増えることで研削抵抗は減るが十分な研削液量が供給されている条件下での増量には効果はない。
本実験の結果より超音波振動重畳加工を行うなかで重要なパラメータは投入電力であるということが分かった.ホーン形状(いわばエフェクタ形状)に関しては研削液とホーンとの接触面積が大きく振幅が低いもの、振幅が高いが接触面積が小さいものどちらも与える要因効果は同じで両者の間のものが一番効果が高いという結果から考えるに、振幅と接触面積どちらか片方が高ければ良いのではなく両者の兼ね合いの最適条件が存在すると予想される。要因効果の図より投入電力は100%が、ホーン形状は1/4カット、送り速度は25mm/sec、研削液流量は4l(リットル)/minが最適条件だということが判明した。この条件はL9の実験のNo.8として含まれていた。
これらの結果より、以下の結論を得た。
1.超音波エネルギを研削液に付与することにより、アルミニウムの加工において目詰まりを抑制できる。また研削抵抗を低減しその結果、加工面の表面粗さを向上することができる。
2.SKS3に対し超音波振動付与加工を行うことにより表面粗さを8〜40%改善させることができる。
3.超音波振動重畳加工を行う時のパラメータとして、研削抵抗の低減には投入電力が重要な因子であり、超音波エフェクタの形状と比べ与える影響が大きいことが分かった。
4.超音波振動付与加工をアルミニウムに対して行なった場合、表面粗さの変化には送り速度が支配的に働くが投入電力も大きな効果を持つ。
次に、キャビテーション エロージョンテストの結果について説明する。
エフェクタ20として、くし歯の長さ42mmのものと、45mmのものの二種を比較した。加振した時間は60秒で、アルミ箔のキャビテーション腐食(エロージョン)で、目詰まりを取り除く効果を比較する。
図16は、試験片を示す図である。
一方の試験片は、アルミ片に油性マジックで塗装したもの(マジックと呼ぶ)であり、もう一方の試験片はアルミ片にアルミホイルを貼ったもの(アルミ箔と呼ぶ)である。
図17は、ホーンと試験片との距離を示す図である。
距離3mm、28mm、53mmの三種の実験を行った。
図18は、くし歯の長さ42mmのものの実験結果を示す図である。
図19は、くし歯の長さ45mmのものの実験結果を示す図である。
図18および図19の実験結果を参照すると、油中のキャビテーションによる目詰まり除去の効果は、距離3mm程度ならば期待できる(水系の場合には、10〜20mm離れても可能)。
図20は、くし歯の長さ45mmの振動エフェクタ20の斜視図であり、振動モードを示す図である。
すなわち、本実験によれば、本発明の構成であれば、不水溶性研削液などの油系の液体であっても距離3mm程度まで近傍に設置すればキャビテーションの効果が得られることが分かった。
また、くし歯の長さ42mmの振動エフェクタの振動モードは、図3に示したように曲げ振動が主であり、これに対して、くし歯の長さを45mmにすると図20に示すように縦振動が主になる。この結果、図18と図19との違いのように,ホーン正面でのキャビテーション効果が改善される。すなわち、くし歯の長さ42mmとくし歯の長さ45mmとでは振動モードが異なっており、キャビテーションの発生状況が変化して、エロージョンの強度が変わる。また、超音波振動子への投入電力が大きいほど効果が大きく、振動エフェクタの寸法がキャビテーション強度に影響を与える。
次に、ホーンの向き、位置についての検討について説明する。
図21は、縦振動する振動エフェクタの振動方向が、砥石作用面(平面研削盤ならば、外周面)の法線方向と直交する場合を示す図である。
図22は、縦振動する振動エフェクタの振動方向が、砥石作用面の法線方向と一致する(もしくは、それに近い)場合を示す図である。
本発明は、図21の配置であってもよいし、図22の配置であってもよい。
ホーンの真正面で発生するキャビテーションを砥石に作用させた方が、目詰まり除去効果は高い。
振動エフェクタを砥石近傍に設置可能な構造であることが望ましい。
振動エフェクタの振動方向を適切な方向にできる構造であることが望ましい。例えば振動エフェクタの位置、向きを適宜調節可能なアクチュエータ等を設けてもよい。
振動エフェクタをくし歯構造にすることによって、スリットにより、研削液を作用部分(くし歯の面)に供給しやすいとともに,作用面積が大きくなり、複数のくし歯のそれぞれにおいて超音波振動の重畳効果が期待できる。
以上、本発明を説明したが、本発明は、この説明に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で数々の変形および組み合わせが出来ることは勿論である。
100 研削液供給装置
10 ノズル
11 噴出口
12 研削液
20 振動エフェクタ
30 砥石
31 加工部
40 ワークピース

Claims (1)

  1. 研削加工の加工部に研削液を供給する研削液供給装置において、
    前記研削液を噴出するノズルと、
    超音波振動する振動エフェクタと、
    前記ノズルと前記加工部との間の前記研削液の流路に前記振動エフェクタを配置する位置調節手段と、
    を設け
    前記振動エフェクタは、複数のくし歯を有し、前記研削液が通る複数のスリットを有する形状である、
    ことを特徴とする研削液供給装置。
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