JP5903689B2 - 高周波数振動内面研削盤 - Google Patents

高周波数振動内面研削盤 Download PDF

Info

Publication number
JP5903689B2
JP5903689B2 JP2011281793A JP2011281793A JP5903689B2 JP 5903689 B2 JP5903689 B2 JP 5903689B2 JP 2011281793 A JP2011281793 A JP 2011281793A JP 2011281793 A JP2011281793 A JP 2011281793A JP 5903689 B2 JP5903689 B2 JP 5903689B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency vibration
grinding
high frequency
grinding wheel
generating element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011281793A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013129045A (ja
Inventor
常元 厨川
常元 厨川
亨 立花
亨 立花
敏 小林
敏 小林
高橋 征幸
征幸 高橋
親 村越
親 村越
浜田 晴司
晴司 浜田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Micron Machinery Co Ltd
Original Assignee
Micron Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Micron Machinery Co Ltd filed Critical Micron Machinery Co Ltd
Priority to JP2011281793A priority Critical patent/JP5903689B2/ja
Publication of JP2013129045A publication Critical patent/JP2013129045A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5903689B2 publication Critical patent/JP5903689B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Grinding Of Cylindrical And Plane Surfaces (AREA)
  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Description

本発明は、工作物の内面を研削砥石を用いて研削する内面研削盤に係り、特に内径に比較して奥行きのある加工孔、すなわちアスペクト比の高い加工孔を有する工作物や、小径な工作物の加工孔の内面を高精度・高能率で研削加工することができ、かつ生産コストの低減にも寄与することができる高周波数振動内面研削盤に関する。
従来、工作物に設けられた加工孔の内面を砥石を用いて研削する内面研削盤としては、工作物を片持ち状に支持しつつ、工作物の加工孔の内面を研削砥石により研削する内面研削盤が存在している(特許文献1参照)。
特開2007−190638号公報
このような従来の内面研削盤においては、アスペクト比が高い工作物Wの加工孔Waの内面を研削加工するために、図9に示すごとく、加工孔Waの奥行き以上の長さと、その内径未満の直径からなるアスペクト比が高い細長い円柱状の研削砥石101を、工作物Wの加工孔Waに挿入し、その内面に研削砥石101を当接させ、一定の力で付勢して研削することによりその内径を広げる加工をしている。図9中の矢印は、研削砥石101に対して工作物Wが移動する切り込む方向を示している。その結果、このような研削加工に際し、研削砥石101を支持する細長い砥石軸のクイル102が剛性低下の結果、たわんでしまい、これにより研削の加工精度が低下することとなっていた。
また、研削砥石が工作物を研削したことにより発生する切屑が、研削液と混合し、集積、堆積してスラッジとなり、これが砥石を目詰まりさせることにより加工精度・研削効率を低下させていた。
また、小径な工作物の加工孔を研削加工するためには、研削工具も小径化することから、研削砥石の外周の周速が低下し、その結果研削抵抗が増大することとなっていた。
これらの課題を解決するために、これまで研削砥石の周速を上げることにより研削抵抗を下げて研削加工することが行われてきた。しかしながら、研削工具をこれまで以上に高速回転させることは、研削砥石の振れ回りが大きくなって、加工精度が低下することに加え、砥石軸のベアリングの寿命が短くなってしまい、その結果、生産コストが上昇することにも繋がっていた。
また、例えばディーゼルエンジンの燃料噴射装置であるインジェクタにおいては、その先端部の燃料を噴射するバルブにおける、油密、すなわち燃料漏れを極力低減する必要があった。その油密とバルブの微小隙間の関係式は、下記に示す通りである。
ΔQ:漏洩量
h:ボディとニードルの間隙
ΔB:シート円周方向長さ
ΔP:出入口圧力差
L:シート幅
η:流体粘性係数
すなわち、上記式から明らかなように、ボディとニードルの微小間隙hを極力ゼロに近づけることが漏洩量ΔQを極少にすることになることから、バルブを構成するボディとニードルとが当接するシート部の真円度及び表面粗さを高精度に仕上げることにより上記微小間隙hをゼロに近づけることが課題となっている。
そのため、インジェクタの摺動内面やシート部の加工には、従来高速スピンドルを使用した小径内面研削が用いられているが、この高速スピンドルによる研削加工では、上述したごとく、研削砥石の振れ回りが大きくなることによる加工精度の低下や、砥石軸のベアリングの寿命が短くなるという問題があった。そのため、研削工具をこれまで以上に高速回転させることなく好適に研削加工することが求められている。
また、工作物の加工孔の内面を高精度の表面粗さに仕上げつつも、その表面にマイクロメートルオーダの微細なテクスチャ(木目=きめ)を創成することにより、潤滑油を保持する潤滑性、耐摩耗性、摺動性、滑り性、耐食性、表面硬度などに関して優れた機能を有する機能性表面とすることがあり、そのためには、従来は工作物を内面研削盤で研削した後に、ホーニング加工によりクロスハッチをつけることが行われていた。しかしながらこのホーニング仕上げを省略して、内面研削盤だけでマイクロテクスチャ面を創成することができれば、内面研削の作業効率が大きく向上するものである。
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的は、研削工具をこれまで以上に高速回転させることなく研削加工を高精度・高能率化することができ、かつホーニング仕上げを省略して内面研削盤だけでマイクロテクスチャ面を創成する等の生産コストの低減にも寄与することができる研削盤を提供することである。
本発明の高周波数振動内面研削盤は、研削砥石を接続して回転駆動するモータと、前記研削砥石をその砥石軸方向に高周波数振動させる第1の高周波数振動発生素子と、前記研削砥石をその研削軸と直交する方向に高周波数振動させる第2の高周波数振動発生素子と、前記第1の高周波数振動発生素子及び第2の高周波数振動発生素子の両振動方向と直交する方向に前記研削砥石を高周波数振動させる第3の高周波数振動発生素子と、前記第1の高周波数振動発生素子と第2の高周波数振動発生素子と第3の高周波数振動発生素子のそれぞれの振動周波数及び振幅を制御する制御部とを備えた複数軸高周波数振動ユニットを用いて前記研削砥石を同時に複数方向に高周波数振動させながら工作物の加工孔の内面を研削することを特徴とする。
このような構成とすることにより、以下の作用効果が得られる。
研削砥石を高周波数振動させることにより、研削砥石が工作物の加工孔の内面を研削して発生する切屑がより細かく寸断され、研削砥石表面に付着しづらく容易に排出されることから、研削抵抗が低下する→
小径内面研削砥石軸の研削時のたわみが小さくなる→
工作物の加工孔の内面の真直度・表面粗さが向上し、ディーゼルエンジンのインジェクタにおける燃料噴射バルブの油密を向上させることができる。
これに加えて、高周波数振動により洗浄効果が発揮され、研削砥石表面に切屑が付着することによる砥石の目詰まりを防ぐことができ、かつ研削砥石と工作物との間における研削液の供給及び排出を促すことができ、これにより一層研削抵抗が低下し、研削砥石軸のたわみが小さくなることにより、アスペクト比が高い加工孔の内面を高精度・高能率で加工することが可能となる。
さらに、研削砥石の高周波数振動を、研削軸方向とこれと直交するたわみ方向に同時に作用させることにより、加工内面には研削条痕が相互に交差して、交差角、交差ピッチの条件により規則性のある特定のパターンが得られると同時に、切り込み方向の微小深さが砥石の高周波数振動振幅に応じて均一に形成され、通常研削では成し得ない、微小凹凸が整然と配列されたマイクロテクスチャ面を創成できる。また、加工内面を研削しつつ研削砥石のたわみ振動で叩くことにより圧縮応力を生じ、これにより加工内面の耐摩耗性が向上することとなる。
そして、上述した機能を発揮させることが好適な対象としては、クリーンディーゼルエンジン部品、切削工具、成型金型、電極、医療用品等の工業製品に適用することができる。特に、インジェクタノズルのボア壁面とニードルの摺動において、ボア壁面の微細な凹部からなるテクスチャに燃料を保持させて、潤滑に必要な燃料を凹部から補充することにより摩擦を減らすことを可能とし、インジェクタにおいてノズル内部をニードルが高速で摺動したり、シート面における高精度の油密を長期に維持することを可能とするものである。
また、第1の高周波数振動発生素子と第2の高周波数振動発生素子と第3の高周波数振動発生素子の各振動周波数は可聴周波数帯域以上とすることを特徴とする。
これにより、研削砥石は加工孔の内面に対し、砥石軸方向と、これに直交するたわみ方向に高周波振動を援用して研削することで、加工内面には研削条痕が相互に交差して、交差角、交差ピッチの条件により規則性のある特定のパターンが得られ油密性能にとって重要な表面粗さと耐摩耗性を付与することができ、また加工孔の内面に形成されるテクスチャを通常研削より一層高精度なものとすることができる。
また、第1の高周波数振動発生素子と第2の高周波数振動発生素子と第3の高周波数振動発生素子の各振幅は0.01〜100μmとすることを特徴とする。
これにより、加工孔の内面に形成されるマイクロテクスチャの溝の深さを各種機能を発揮するために最適なものとして耐摩耗性を高め、高精度の油密を維持することができる。
また、本発明の高周波数振動内面研削盤は、研削砥石を接続して回転駆動するモータと、前記研削砥石をその砥石軸方向に高周波数振動させる第1の高周波数振動発生素子と、前記研削砥石をその研削軸と直交する方向に高周波数振動させる第2の高周波数振動発生素子と、前記第1の高周波数振動発生素子と第2の高周波数振動発生素子のそれぞれの振動周波数及び振幅を制御する制御部とを備えた複数軸高周波数振動ユニットを用いて前記研削砥石を同時に複数方向に高周波数振動させながら工作物の加工孔の内面を研削することを特徴とする。
これにより、研削砥石が工作物の加工孔の内面を研削して発生する切屑がより細かく寸断され、研削砥石表面に付着しづらく容易に排出されることから、研削抵抗が低下するとともに、砥石軸の研削時のたわみが小さくなり、加工孔の内面の真直度・表面粗さが向上する。また、研削砥石の高周波数振動を、研削軸方向とこれと直交するたわみ方向に同時に作用させることにより、微小凹凸が整然と配列されたマイクロテクスチャ面を創成できる。さらに、加工内面を研削しつつ研削砥石のたわみ振動で叩くことにより圧縮応力を生じ、これにより加工内面の耐摩耗性が向上する
また、研削砥石を接続して回転駆動するモータと、前記研削砥石をその砥石軸と直交する方向に高周波数振動させる第1の高周波数振動発生素子と、前記砥石軸方向及び前記第1の高周波数振動発生素子の振動方向の両方と直交する方向に高周波数振動させる第2の高周波数振動発生素子と、前記第1の高周波数振動発生素子と第2の高周波数振動発生素子のそれぞれの振動周波数及び振幅を制御する制御部とを備えた複数軸高周波数振動ユニットを用いて前記研削砥石を同時に複数方向に高周波数振動させながら工作物の加工孔の内面を研削することを特徴とする。
これにより、研削砥石が工作物の加工孔の内面を研削して発生する切屑がより細かく寸断され、研削砥石表面に付着しづらく容易に排出されることから、研削抵抗が低下するとともに、砥石軸の研削時のたわみが小さくなり、加工孔の内面の真直度・表面粗さが向上する。また、研削砥石の高周波数振動を、研削軸と直交する2つのたわみ方向に作用させることにより、微小凹凸が整然と配列されたマイクロテクスチャ面を創成できる。さらに、加工内面を研削しつつ研削砥石のたわみ振動で叩くことにより圧縮応力を生じ、これにより加工内面の耐摩耗性が向上する
本発明の高周波数振動内面研削盤を上方から見た状態を示す概略説明図である。 本発明の高周波数振動内面研削盤における研削状態を示す説明図である。 本発明の高周波数振動内面研削盤における研削加工した表面の拡大写真である。 本発明の高周波数振動内面研削盤における研削加工した表面の拡大写真である。 本発明の高周波数振動内面研削盤における研削加工による切屑を、研削時に高周波数振動ありと高周波数振動なしの場合で比較する拡大写真である。 高周波振動させて研削した表面粗さの測定データである。 高周波振動させずに研削した表面粗さの測定データである。 表面粗さの測定データにおける油溜まり面積を示す図である。 従来の内面研削盤においてクイルがたわむ状態を示す説明図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る高周波数振動内面研削盤を実施するための形態を詳細に説明する。図1、図2は、本発明の一実施形態を示す図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
<構成>
まず図1に示すように、X−Y−Zの3軸を想定した上で、X軸は図1の左右方向となる砥石軸方向、Y軸は図1の上下方向となる主軸のスライド方向、Z軸は図1の前後の奥行き方向とする。
本発明の高周波数振動内面研削盤1は、工作物Wを着脱自在に保持し回転するチャックを備えた主軸2と、この主軸2を載置して、研削切り込みのためにY軸方向に移動させる主軸スライド21と、先端に備えた研削砥石3(砥石母材)を可聴周波数帯域以上、すなわち20kHz以上の高周波数でX,Y,Z軸方向に微小振動(振幅0.01〜100μm)させるスピンドルと、研削砥石3を回転駆動するモータ(例えばACサーボモータ)とを組み合わせてなる高周波数振動ユニット4と、この高周波数振動ユニット4を載置してX軸方向に往復動(揺動)する砥石軸スライド5と、を備えている。
また、前記高周波数振動ユニット4は、研削砥石3を回転して工作物を研削する際に、高周波数振動発生器を用いて、X,Y,Z軸方向の微振動となる高周波数振動をそれぞれオンしたり、またオフしたりすることができる構成としている。
図2は、高周波数振動内面研削盤1の研削砥石3が、工作物Wの加工孔Waの内面を研削する状態を示している。
工作物Wは、ワークストッパ23にその端面を押し当てることにより、主軸2の回転軸方向の位置決めをされるとともに、主軸2のチャック22により着脱自在に外周を保持されている。
そして、工作物Wの加工孔Waに対し、砥石軸スライド5上の高周波数振動ユニット4の高周波数振動発生器に接続されたクイル41を介して支持する研削砥石3を挿入し、この研削砥石3をモータにより回転させつつその外周面を加工孔Waの内周面及びシート面に押し当て揺動させながら研削加工する。この際に、高周波数振動発生器により研削砥石3を、X,Y,Z軸方向に高周波数振動(周波数が20kHz以上であって、本実施例にあっては例えば40kHz程度)させながら研削(高周波数振動援用研削加工と称する)することができる。
図3は、高周波数振動内面研削盤1の高周波数振動援用研削加工により加工された工作物Wの加工孔Waの表面を表し、そこにはマイクロメータオーダの微細なテクスチャが創成された機能性表面が表れている。
図4は、図3の工作物Wの加工孔Waとは異なる条件の高周波数振動援用研削加工により工作物の加工孔の表面を加工し、そこには図3と異なるテクスチャが創成された機能性表面が表れている。
このように、高周波数振動内面研削盤1の3軸における振動周波数と振幅、そして砥石軸スライドの往復動等を適宜設定することにより、所望するマイクロテクスチャ面を創成することが可能となる。
図5は、高周波数振動内面研削盤1による研削加工において発生する切屑を、研削時に高周波数振動あり(左)と、高周波数振動なし(右)の場合で比較する拡大写真であり、右側の高周波数振動なしの場合と比較して、高周波数振動ありの場合の切屑の形状が、より細かくなっていることがわかる。
すなわち、従来の高周波数振動のない研削加工では、ひも状の長い切屑が多く発生していて、これが研削点から排出されづらいため研削砥石の表面に付着しやすかったのに対し、高周波数振動を伴う研削加工にあっては、切屑は小さなフレーク状となり研削点から排出されやすいため研削砥石の表面に付着しづらくなり、好適な研削加工を維持できるものである。さらに、高周波数振動による洗浄効果も発揮され、切屑が砥石表面に付着することを防ぐことができる。
<研削方法>
このような構成からなる本発明の高周波数振動内面研削盤1による研削方法について、以下に詳述する。
まず、図2に示すごとく、回転する研削砥石3を高周波数振動発生器により図2の左右の矢印方向に高周波数振動させながら、工作物Wの加工孔Waの内面に挿入し当接させて研削する。
この高周波数振動援用研削加工を行うことで、研削砥石による研削抵抗が低下し高精度・高能率で研削加工を行うことができ、これによりこれまで以上にアスペクト比が高い加工孔の内面の加工が可能となり、加工能率を向上させることができる。また、これまで以上に微細な砥粒の研削砥石を用いても加工能率を低下させることなく、工作物を高精度な表面粗さに仕上げることができる。
そして、高周波数振動内面研削盤1の3軸における振動周波数と振幅、そして砥石軸スライドの往復動等を適宜設定することにより、工作物Wの加工孔Waの内面に所望するマイクロテクスチャ面を創成することできる。
図6は、研削砥石をX,Y,Z軸方向、すなわち軸方向と、たわみ方向に高周波数振動させてアルミニウム材を研削した場合の表面粗さの測定データである。
図6(a)は、粗さ曲線を表し、図6(b)は負荷曲線、図6(c)は粗さ曲線における算術平均粗さRaと、十点平均粗さRz、そして負荷曲線におけるカットレベルの10%ごとの負荷長さ率tpを表している。
表面粗さについては、評価方法としては各種存在するが、インジェクタの内面加工における耐摩耗性や摺動性の評価としては、一般にアボットの負荷曲線による負荷長さ率tpが広く用いられている。
同様に、図7は、高周波振動援用研削の効果を調べるために、研削砥石を高周波数振動させずにアルミニウム材を研削した場合の表面粗さの測定データである。
同様に、図7(a)は、粗さ曲線を表し、図7(b)は負荷曲線、図7(c)は粗さ曲線における算術平均粗さRaと、十点平均粗さRz、そして負荷曲線におけるカットレベル10%(最大高さRyに対する比)ごとの負荷長さ率tpを表している。
この二つの測定データを比較すると、軸方向とたわみ方向に高周波振動を加えて研削した方が、P−P(最大高さRy)と算術平均粗さRaと十点平均粗さRzの値が、振動なしの場合よりも大きくて、これらの値だけ比較すると高周波振動援用研削の方が表面粗さが劣ると判断されかねないが、図6(c)と図7(c)における、例えばカットレベル50%の負荷長さ率tpを比較すると、
高周波振動あり:82.81%
高周波振動なし:75.95%
と、明らかに高周波振動ありの方が、負荷長さ率が高い値を示している。
これは、研削表面が長時間の摺動によって摩耗して、カットレベル50%まで削れたときに、高周波振動を援用して研削した表面の有効面積の方が広く、この状態からは表面の摩耗が進行しづらくなって長寿命となることを示している。上述したカットレベル50%以外のカットレベルにおいても、同様に高周波振動ありの方が負荷長さ率が高い傾向を示している。
ただし、負荷長さ率は、100%に近ければ近いほどよいというのではなく、図8のAで示す部分は、油溜まり面積と称して、金属同士が摺動する際の潤滑油が一定量保持される領域を表している。つまり、負荷長さ率が100%ということは、油溜まり面積が0であって、潤滑油が保持される領域なしで平滑な金属面同士が摺動することとなり、その結果金属同士が焼き付くおそれがある。そこで、これまではホーニングなどを用いてマイクロテクスチャ面を形成するものであり、良好な潤滑性を発揮するためには、経験的に負荷長さ率が78%〜90%、さらに限定するならば80〜86%程度が好ましいとされている。本発明の高周波振動援用研削加工によれば、ホーニング加工を行うことなく、研削加工のみで好適な負荷長さ率を備えたマイクロテクスチャ面を創成することが可能となり、良好な潤滑性を発揮するものである。
本発明の高周波数振動内面研削盤の他の実施形態としては、特に図示しないが、上述した高周波数振動内面研削盤1における、先端に備えた研削砥石を可聴周波数帯域以上の高周波数でX,Y軸方向、X,Z軸方向、若しくはY,Z軸方向に微小振動(振幅0.01〜100μm)させるスピンドルと、研削砥石を回転駆動するモータを組み合わせてなる高周波数振動ユニットを備える構成である。
すなわち、上述した図1、図2に示す実施形態の高周波数振動内面研削盤のスピンドルの3方向の振動を2方向の振動にした構成であって、スピンドルの高周波数振動の方向性以外の構成については同様である。
そして、このような構成とした場合でも、砥石軸方向とたわみ振動又はたわみ振動により、研削抵抗の低下、加工面の真直度・表面粗さの向上による油密の向上、研削砥石軸のたわみ減少、加工内面の耐摩耗性の向上などが一定程度見込まれるものである。
本発明の高周波数振動内面研削盤は、金属、セラミックス等の各種素材を精密に研削加工する加工産業において利用することができるものである。
1…高周波数振動内面研削盤
2…主軸
21…主軸スライド
22…チャック
23…ワークストッパ
3…研削砥石
4…高周波数振動ユニット
41…クイル
5…砥石軸スライド
W…工作物
Wa…加工孔
A…油溜まり面積

Claims (2)

  1. 研削砥石を接続して回転駆動するモータと、前記研削砥石をその砥石軸方向に高周波数振動させる第1の高周波数振動発生素子と、前記研削砥石をその研削軸と直交する方向に高周波数振動させる第2の高周波数振動発生素子と、前記第1の高周波数振動発生素子及び第2の高周波数振動発生素子の両振動方向と直交する方向に前記研削砥石を高周波数振動させる第3の高周波数振動発生素子と、前記第1の高周波数振動発生素子と第2の高周波数振動発生素子と第3の高周波数振動発生素子のそれぞれの振動周波数及び振幅を制御する制御部とを備えた複数軸高周波数振動ユニットを用いて前記研削砥石を同時に複数方向に高周波数振動させながら工作物の加工孔の内面をカットレベル48〜55%の負荷長さ率が78%以上90%以下となるように研削することを特徴とする高周波数振動内面研削盤。
  2. 研削砥石を接続して回転駆動するモータと、前記研削砥石をその砥石軸と直交する方向に高周波数振動させる第1の高周波数振動発生素子と、前記砥石軸方向及び前記第1の高周波数振動発生素子の振動方向の両方と直交する方向に高周波数振動させる第2の高周波数振動発生素子と、前記第1の高周波数振動発生素子と第2の高周波数振動発生素子のそれぞれの振動周波数及び振幅を制御する制御部とを備えた複数軸高周波数振動ユニットを用いて前記研削砥石を同時に複数方向に高周波数振動させながら工作物の加工孔の内面をカットレベル48〜55%の負荷長さ率が78%以上90%以下となるように研削することを特徴とする高周波数振動内面研削盤。
JP2011281793A 2011-12-22 2011-12-22 高周波数振動内面研削盤 Active JP5903689B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011281793A JP5903689B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 高周波数振動内面研削盤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011281793A JP5903689B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 高周波数振動内面研削盤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013129045A JP2013129045A (ja) 2013-07-04
JP5903689B2 true JP5903689B2 (ja) 2016-04-13

Family

ID=48907059

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011281793A Active JP5903689B2 (ja) 2011-12-22 2011-12-22 高周波数振動内面研削盤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5903689B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104907898B (zh) * 2015-06-04 2017-05-24 诸暨市佳尔达机械有限公司 一种内磨装置
CN106239273B (zh) * 2016-08-23 2018-01-23 山东大学 一种切向自激振动辅助干磨削系统及方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62140702A (ja) * 1985-12-16 1987-06-24 Junichiro Kumabe 精密重畳振動穴加工方法
JPH0626789B2 (ja) * 1986-09-04 1994-04-13 淳一郎 隈部 砥石車に超音波振動と低周波振動を重畳させた精密複合研削方法
JPS63114855A (ja) * 1986-10-31 1988-05-19 Hitachi Ltd 垂直及び水平振動の加工軸を有する超音波加工機
JPS63260752A (ja) * 1987-04-16 1988-10-27 Makino Milling Mach Co Ltd 自動研摩機械

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013129045A (ja) 2013-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bhaduri et al. A study on ultrasonic assisted creep feed grinding of nickel based superalloys
Bhaduri et al. Ultrasonic assisted creep feed grinding of Inconel 718
Tamizharasan et al. Analysis of tool wear and surface finish in hard turning
EP1303380A1 (en) Micro-burnishing apparatus using ultrasonic vibration
Kitzig-Frank et al. Material removal mechanism in ultrasonic-assisted grinding of Al 2 O 3 by single-grain scratch test
Heinzel et al. The use of the size effect in grinding for work-hardening
Das et al. Effect of manual grinding operations on surface integrity
BŠhre et al. Analysis of the differences between force control and feed control strategies during the honing of bores
JP5903689B2 (ja) 高周波数振動内面研削盤
EP1700670A2 (en) Super-abrasive machining tool and method of use
JP5646251B2 (ja) 内径面加工用ツールおよび内径面加工装置
JP5300939B2 (ja) 仕上加工用工具を用いた加工方法
Tawakoli et al. Dressing of grinding wheels
Suya Prem Anand et al. Performance of diamond and silicon carbide wheels on grinding of bioceramic material under minimum quantity lubrication condition
JP5827031B2 (ja) 高周波数振動・電解ハイブリッド内面研削盤及びその研削方法
JP2006026778A (ja) 摺動面形成方法および摺動部材における摺動面形状
JP7113456B2 (ja) 研削装置及び研削方法
JP5352892B2 (ja) 研削方法及び研削加工装置
Kim et al. Investigation of surface uniformity machined by ceramic brush
Li et al. Theoretical investigation of vertical elliptic vibration-assisted grinding (EVAG) technology
Aguirre et al. Assessment of advanced process configurations for improving workpiece surface finish in point grinding
JP2020171972A (ja) バニシング加工装置およびバニシング加工方法
JP2016130581A (ja) 摺動部品及びその製造方法
Feng et al. Polishing investigation on zirconia ceramics using magnetic compound fluid slurry
Spur et al. Ultrasonic machining of ceramics

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150612

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150617

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160205

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Ref document number: 5903689

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150