JP5981831B2 - 外壁パネルの取付構造 - Google Patents
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ちなみに、壁下地として用いられる胴縁として、図1では、構造材66である柱(角形鋼管)の両側面に、一対の断面L字状の固定金具(アングル材)67を、該柱の一側面部と面一となるように接合した鋼製胴縁が開示されている。また、図2では、角形鋼管からなる鋼製胴縁が開示されている。
ちなみに、金属製の壁下地(鋼製胴縁)3として、図1では、角形鋼管が開示され、図9では、パネル長さ方向に長い矩形角形鋼管が開示されている。
前記特許文献2にかかる建物の避雷構造は、図1では、角形鋼管の一側面と外壁パネルとの当接面に、ドリリングタッピンねじ等の定着具57を左右に2本貫通させることにより鋼製胴縁に外壁パネルが取り付けられている。図9では、矩形角形鋼管の一側面と外壁パネルとの当接面に、ドリリングタッピンねじ等の定着具を左右に2本貫通させることにより鋼製胴縁に外壁パネルが取り付けられている。
その他の外壁パネルとして、例えば特許文献3には、対向する金属製表面材1と裏面材(非金属製でも可)2との間に合成樹脂発泡体よりなるパネル芯材3が充填された建築用パネルAが開示されている。この建築用パネル(外壁パネル)Aもまた、上記特許文献1、2に係る外壁パネルと同様に、その上端部のみを、水平方向へ配設した固定具(定着具)βで取り付ける構成で実施している(同文献3の図3、図7〜図11を参照)。
しかし、前記外壁パネルは、定着具の取付部位が上端部のみと制限されているので(前記段落[0008]参照)、外壁パネルの鋼製胴縁への取付強度を効率よく向上させることができれば、風圧力が強い地域、又は高層建物で実施する場合などを考慮すると、有益であることは明らかである。もとより、定着具を上端部のみならず下端部でも取付可能な構成の外壁パネルにおいても、有益であることは明らかである。
しかし、一対のアングル材を角形鋼管の軸方向の所要部位に複数接合する必要があるので、部材点数、及び接合作業(溶接作業)を行う加工コストが嵩み、部材単価が高騰する。よって、鋼製胴縁は建物の外周に沿って多数用いられることを勘案すると、効率がよいとは云えず、改善の余地が認められる。
しかし、パネル長さ方向に長い矩形角形鋼管は、角形鋼管と比し、断面積が大きくなり、部材単価も嵩む。よって、鋼製胴縁は建物の外周に沿って多数用いられることを勘案すると、やはり効率がよいとは云えず、改善の余地が認められる。
具体的に、本発明の目的は、外壁パネルを取り付ける鋼製胴縁の断面形状において、ウエブの傾斜部の下フランジ面に対する傾斜角度に工夫を施すことにより、特に外壁パネル取り付け高さが31mを超える部分において、建物の内部構造材の屋外側に固定された鋼製胴縁の断面形状に工夫を施すことにより、角形鋼管で形成した場合と比し、部材単価を抑えつつ外壁パネルの鋼製胴縁への取付強度を効率よく向上させることができる、経済的かつ合理的な外壁パネルの取付構造を提供することにある。
前記鋼製胴縁は、建物の内部構造材の屋外側に当接する上フランジと、該上フランジの両端部から屋外側へほぼ直角に屈曲連設され所定の部位から幅広に傾斜する一対のウエブと、該一対のウエブの先端から外方へ屈曲連設され前記外壁パネルの内側面に当接する一対の下フランジとで断面ハット状に形成されており、該当接された一対の下フランジ及び外壁パネルの内側面に定着具が貫通されて、建物の内部構造材の屋外側に固定された鋼製胴縁に外壁パネルが取り付けられてなることを特徴とする。
1)左右一対のウエブの下端部(脚部)を傾斜させた断面ハット状の鋼製胴縁を用いるので、傾斜面を形成することによって外壁パネル取付部に作用する曲げモーメントの流れを分散させることができ、該取付部に生じる応力を低減させ得る。そのため、鋼製胴縁を開口断面に形成したことによる前記取付部の強度低下が抑制され、安定した取付強度を発揮することができる。
よって、従来の角形鋼管からなる鋼製胴縁、或いは角形鋼管と一対のアングル材とを組み合わせてなる鋼製胴縁と比し、部材単価を抑えつつ前記外壁パネルの鋼製胴縁への取付強度を効率よく向上させることができる。
2)これに伴い、前記鋼製胴縁を用いて構築した外壁パネルの取付構造は、従来の鋼製胴縁を用いた外壁パネルの取付構造と比し、経済的かつ合理的に強度および剛性を高めることができる。かくして、従来実施化が懸念されていた、風圧力が強い地域、又は高層建物(建物高さ31m以上)でも実施することが可能となった。
3)また、角形鋼管の代わりにハット形状の鋼製胴縁を使用したので、外壁パネル間の縦目地部のシーリングが経年劣化し、該縦目地部から流水した場合、前記鋼製胴縁が内樋の役割を果たすので、建物内部への流水を防ぐことができる(図3参照)。
4)付随的効果として、前記外壁パネルの鋼製胴縁への取付強度(嵌合強度)を補強するべく、ワンサイドリベット(図示略)を用いることがあるが、このワンサイドリベットの取付位置には通常、アングル材が介在物として用いられ、該アングル材は胴縁に添設する必要があった。ハット形状の鋼製胴縁は、前記アングル材に相当する下フランジが予め備わっているので、下準備なしで経済的かつ合理的にワンサイドリベットの打ち込み作業を行うことができる。
この外壁パネルの取付構造は、少なくとも片側面が金属板でパネル芯材(例えば、断熱材)が充填された外壁パネル1を鋼製胴縁2に取り付けてなり、前記鋼製胴縁2は、建物の内部構造材(図示例では梁材)3の屋外側に当接する上フランジ21と、該上フランジ21の両端部から屋外側へほぼ直角に屈曲連設され所定の部位から幅広に傾斜する一対のウエブ22、22と、該一対のウエブ22、22の先端から外方へ屈曲連設され前記外壁パネル1の内側面に当接する一対の下フランジ23、23とで断面ハット状に形成されており、該当接された一対の下フランジ23、23及び外壁パネル1の内側面に屋外側から屋内側へドリリングタッピンねじ等の定着具4が貫通されて、建物の内部構造材3の屋外側にピースアングル等の固定部材5で固定された鋼製胴縁2に外壁パネル1が取り付けられてなる。ちなみに、図1中の符号6は、縦目地部を示している。
前記定着具4は、ドリリングタッピンねじ(軸径4.8〜8.0mm程度)の他、ワンサイドリベット(軸径3.0〜7.7mm程度)で実施することもできる(両者の併用も可)。このワンサイドリベットは、屋内側から屋外側へ通して定着させる場合に好適に用いられる。
ただし、前記外壁パネル1は前記構成に限定されるものではなく、金属板と非金属板とを対向させ、その間にパネル芯材を充填させた構成でも同様に実施できる。また、定着具4を上端部のみならず下端部でも取付可能な構成の外壁パネルでも同様に実施できる。
なお、前記鋼製胴縁2の形態はこれに限定されるものではなく、板厚が2.3〜4.5mm、上フランジ21の幅が75〜200mmで、ウエブ22の長さが傾斜部を含めて50〜150mm、該ウエブ22の傾斜部の下フランジ23面に対する傾斜角度が5〜81度、下フランジ23の幅が30〜100mm、の範囲内であればよい。
また、前記鋼製胴縁2の上フランジ21の端部から所定の部位までのウエブ22の直線長さは、本実施例では80mm程度で実施している。この数値は、該ウエブ22の外面に当接する前記ピースアングル等の固定部材5の水平方向への突き出し長さより長く設定することを条件に適宜設計変更される。
ちなみに、本実施例にかかるピースアングル(固定部材)5は、前記梁材(H形鋼)3の下フランジの下面と前記鋼製胴縁2の一側のウエブ22の外面に均等に跨るように当てがわれ、溶接等の接合手段により接合して固定される。
上記構成の鋼製胴縁2は、左右一対のウエブ22、22の傾斜部の下フランジ23面に対する傾斜角度(θ)の関係に比例して(該傾斜角度が大きくなるほど)、下フランジ23の変形が小さくなる特徴がある。
ちなみに、前記柱材3’に鋼製胴縁2を固定する場合は、該柱材(H形鋼)3’のフランジ面の外面中央部に鋼製胴縁2の上フランジ21を当接させ、該柱材3’のフランジ面と鋼製胴縁2の一側のウエブ22とが形成するコーナー部に沿って鉛直方向にピースアングル等の固定部材5’を当てがい、溶接等の接合手段により接合して固定する。
左右に隣接する前記外壁パネル1、1の接合手段は種々あるが、例えば本実施例では、図3Aに示すように、各外壁パネル1、1の段付き端部から突き出た支持片1a、1a同士を突き合わせ、該突き合わせ部を塞ぐように屋外側からパッキン材7及びシーリング材8を充填する等して縦目地部6が形成される。その他、図3Bに示すように、鋼製胴縁2は、その開口側にねじ受けピース9をワンサイドリベット10等で定着し、外壁パネル1は、端部を段なしに形成した外壁パネル11を用い、該端部から突き出た箱折り部11a、11aを重ね合わせた重合部と前記ねじ受けピース9とをドリリングタッピンねじ等の定着具4’で留めつけ、前記重合部を塞ぐように屋外側からシーリング材8を充填する等して縦目地部6を形成することもできる。
以下、これらの特徴点の意義について説明する。
本出願人らが行った実験結果を図6に示す。図6(A)は、固定点Xにおける傾斜角度(θ)を変数とし、鋼製胴縁2に作用する曲げモーメントを表したモデル図である。図6(B)は、前記モデル図をもとに傾斜角度(θ)と取付部に作用する曲げモーメントとの関係を表したグラフである。該グラフの縦軸は、傾斜角度(θ)の傾斜付きハット形鋼を使用した場合のドリリングタッピンねじ取付部に作用する曲げモーメントの値(以下、単に傾斜値という。)を、傾斜角度0度の通常のハット形鋼を使用した場合のドリリングタッピンねじ取付部に作用する曲げモーメントの値(以下、単に通常値という。)で除した数値を示している。
図6(B)から明らかなように、傾斜角度(θ)を徐々に大きくすると、前記傾斜値は、前記通常値に対して徐々に低下していくことが分かる。これは、傾斜面を形成することによって前記取付部に作用する曲げモーメントの流れを分散させることができ、該取付部に生じる応力を低減させ得ることによる。そのため、前記取付部の強度低下(変形)が抑制され、安定した取付強度を発揮することができるのである。
ちなみに、前記ウエブ22の下端部のみを傾斜させ、上端部を直線状とした(傾斜させない)のは、ピースアングル等の固定部材5を用いて建物の内部構造材へ安定した状態で固定できるようにした構造設計上の配慮による。
よって、前記鋼製胴縁2を用いて構築した外壁パネルの取付構造は、従来の鋼製胴縁を用いた外壁パネルの取付構造と比し、経済的かつ合理的に強度および剛性を高めることができる。かくして、従来実施化が懸念されていた、風圧力が強い地域、又は高層建物(建物高さ31m以上)でも実施することが可能となった。
また、角形鋼管の代わりにハット形状の鋼製胴縁2を使用したので、外壁パネル1、1間の縦目地部6のシーリングが経年劣化し、該縦目地部6から流水した場合、前記鋼製胴縁2が内樋の役割を果たすので、建物内部への流水を防ぐことができる(図3参照)。
さらに、付随的効果として、前記外壁パネル1の鋼製胴縁2への取付強度(嵌合強度)を補強するべく、ワンサイドリベット(図示略)を用いることがあるが、このワンサイドリベットの取付位置には通常、アングル材が介在物として用いられ、該アングル材は胴縁に添設する必要があった。この点、前記ハット形状の鋼製胴縁2は、前記アングル材に相当する下フランジが予め備わっているので、下準備なしで経済的かつ合理的にワンサイドリベットの打ち込み作業を行うことができる。
例えば、図1にかかる外壁パネルの取付構造は、すべての胴縁について前記鋼製胴縁2を用いて構築しているがこれに限定されず、角形鋼管等の従来の胴縁と併用して構築することも勿論できる。
1a 支持片
2 鋼製胴縁
3 内部構造材(梁材)
3’ 内部構造材(柱材)
4 ドリリングタッピンねじ(定着具)
4’ ドリリングタッピンねじ(定着具)
5 ピースアングル(固定部材)
5’ ピースアングル(固定部材)
6 縦目地部
7 パッキン材
8 シーリング材
9 ねじ受けピース
10 ワンサイドリベット
11 外壁パネル
11a 箱折り部
21 上フランジ
22 ウエブ
23 下フランジ
Claims (5)
- 少なくとも片側面が金属板でパネル芯材が充填された外壁パネルを鋼製胴縁に取り付けてなる外壁パネルの取付構造であって、
前記鋼製胴縁は、建物の内部構造材の屋外側に当接する上フランジと、該上フランジの両端部から屋外側へほぼ直角に屈曲連設され所定の部位から幅広に傾斜する一対のウエブと、該一対のウエブの先端から外方へ屈曲連設され前記外壁パネルの内側面に当接する一対の下フランジとで断面ハット状に形成されており、該当接された一対の下フランジ及び外壁パネルの内側面に定着具が貫通されて、建物の内部構造材の屋外側に固定された鋼製胴縁に外壁パネルが取り付けられてなることを特徴とする、外壁パネルの取付構造。 - 前記鋼製胴縁は、上フランジの端部から所定の部位までのウエブの直線長さが、鋼製胴縁を固定するために建物の内部構造材に設けたピースアングル等の固定部材の突き出し長さより長いことを特徴とする、請求項1に記載した外壁パネルの取付構造。
- 前記外壁パネルは、対向する金属板の間にパネル芯材が充填されてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載した外壁パネルの取付構造。
- 前記外壁パネルの取り付け高さが地上から31mを超える部分における建物の内部構造材の屋外側に固定された鋼製胴縁に外壁パネルが取り付けられてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した外壁パネルの取付構造。
- 前記鋼製胴縁は、板厚が2.3〜4.5mm、上フランジ幅が75〜200mm、ウエブ長が全体で、50〜150mm、該ウエブの傾斜部の下フランジ面に対する傾斜角度が5〜81度、下フランジ幅が30〜100mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した外壁パネルの取付構造。
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