JP6103882B2 - ハット形鋼 - Google Patents
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Description
図1では、構造材66である柱(角形鋼管)の両側面に、一対の断面L字状の固定金具(アングル材)67を、該柱の一側面部と面一となるように接合した鋼製胴縁が開示されている。また、図2では、角形鋼管からなる鋼製胴縁が開示されている。
図1では、角形鋼管からなる鋼製胴縁が開示され、図9では、パネル長さ方向に長い矩形角形鋼管からなる鋼製胴縁が開示されている。
前記特許文献2にかかる建物の避雷構造は、図1では、角形鋼管の一側面と外壁パネルとの当接面に、ドリリングタッピンねじ等の定着具57を左右に2本貫通させることにより鋼製胴縁に外壁パネルが取り付けられている。図9では、矩形角形鋼管の一側面と外壁パネルとの当接面に、ドリリングタッピンねじ等の定着具を左右に2本貫通させることにより鋼製胴縁に外壁パネルが取り付けられている。
その他の外壁パネルとして、例えば特許文献3には、対向する金属製表面材1と裏面材(非金属製でも可)2との間に合成樹脂発泡体よりなるパネル芯材3が充填された建築用パネルAが開示されている。この建築用パネル(外壁パネル)Aもまた、上記特許文献1、2に係る外壁パネルと同様に、その上端部のみを、水平方向へ配設した固定具(定着具)βで取り付ける構成で実施している(同文献3の図3、図7〜図11を参照)。
しかし、前記外壁パネルは、定着具の取付部位が上端部のみと制限されているので(前記段落[0008]参照)、外壁パネルの鋼製胴縁への取付強度を効率よく向上させることができれば、風圧力が強い地域、又は高層建物で実施する場合などを考慮すると、有益であることは明らかである。もとより、定着具を上端部のみならず下端部でも取付可能な構成の外壁パネルにおいても、有益であることは明らかである。
しかし、一対のアングル材を角形鋼管の軸方向の所要部位に複数接合する必要があるので、部材点数、及び接合作業(溶接作業)を行う加工コストが嵩み、部材単価が高騰する。よって、鋼製胴縁は建物の外周に沿って多数用いられることを勘案すると、効率がよいとは云えず、改善の余地が認められる。
しかし、パネル長さ方向に長い矩形角形鋼管は、角形鋼管と比し、断面積が大きくなり、部材単価も嵩む。よって、鋼製胴縁は建物の外周に沿って多数用いられることを勘案すると、やはり効率がよいとは云えず、改善の余地が認められる。
具体的に、本発明の目的は、断面形状において、ウエブの傾斜部の下フランジ面に対する傾斜角度に工夫を施すことにより、角形鋼管で形成した場合と比し、部材単価を抑えつつ前記各種面材の取付強度を効率よく向上させることができる、経済的かつ合理的なハット形鋼を提供することにある。
建物の内部構造材の屋外側に当接する上フランジと、該上フランジの両端部から屋外側へほぼ直角に屈曲連設され所定の部位から幅広に傾斜する一対のウエブと、該一対のウエブの先端から外方へ屈曲連設され前記面材の内側面に当接する一対の下フランジとで断面ハット状に形成されていることを特徴とする。
1)左右一対のウエブの下端部(脚部)を傾斜させた断面ハット状に形成して実施するので、傾斜面を形成することによって面材(例えば、外壁パネル)取付部に作用する曲げモーメントの流れを分散させることができ、該取付部に生じる応力を低減させ得る。そのため、ハット形のごとく開口断面に形成したことによる前記取付部の強度低下が抑制され、安定した取付強度を発揮することができる。
よって、従来の角形鋼管からなる鋼製胴縁、或いは角形鋼管と一対のアングル材とを組み合わせてなる鋼製胴縁と比し、部材単価を抑えつつ前記外壁パネル等の面材のハット形鋼への取付強度を効率よく向上させることができる。
2)これに伴い、前記ハット形鋼を用いて構築した面材(例えば、外壁パネル)の取付構造は、従来の鋼製胴縁を用いた外壁パネル(面材)の取付構造と比し、経済的かつ合理的に強度および剛性を高めることができる。かくして、従来実施化が懸念されていた、風圧力が強い地域、又は高層建物でも実施することが可能となった。
3)付随的効果として、前記面材(例えば、外壁パネル)の下地材(例えば、胴縁)への取付強度を補強するべく、ワンサイドリベット(図示略)を用いることがあるが、このワンサイドリベットの取付位置には通常、アングル材が介在物として用いられ、該アングル材は下地材(例えば、胴縁)に添設する必要があった。本発明にかかるハット形鋼は、前記アングル材に相当する下フランジが予め備わっているので、下準備なしで経済的かつ合理的にワンサイドリベットの打ち込み作業を行うことができる。
外壁パネル、屋根パネル(デッキプレート含む。)などの各種面材(図示例では、外壁パネル1)を取り付けるための下地材(図示例では鋼製胴縁)として用いられ、建物の内部構造材(図示例では梁材)3の屋外側に当接する上フランジ21と、該上フランジ21の両端部から屋外側へほぼ直角に屈曲連設され所定の部位から幅広に傾斜する一対のウエブ22、22と、該一対のウエブ22、22の先端から外方へ屈曲連設され前記外壁パネル1等の面材の内側面に当接する一対の下フランジ23、23とで断面ハット状に形成されている。
ちなみに、前記定着具4は、ドリリングタッピンねじ(軸径4.8〜8.0mm程度)の他、ワンサイドリベット(軸径3.0〜7.7mm程度)で実施することもできる(両者の併用も可)。このワンサイドリベットは、屋内側から屋外側へ通して定着させる場合に好適に用いられる。
なお、前記ハット形鋼2の形態はこれに限定されるものではなく、板厚が2.3〜4.5mm、上フランジ21の幅が75〜200mmで、ウエブ22の長さが傾斜部を含めて50〜150mm、該ウエブ22の傾斜部の下フランジ23面に対する傾斜角度が5〜81度、下フランジ23の幅が30〜100mm、の範囲内であればよい。
また、前記ハット形鋼2の上フランジ21の端部から所定の部位までのウエブ22の直線長さは、本実施例では80mm程度で実施している。この数値は、該ウエブ22の外面に当接する前記ピースアングル等の固定部材5の水平方向への突き出し長さより長く設定することを条件に適宜設計変更される。
ちなみに、本実施例にかかるピースアングル(固定部材)5は、前記梁材(H形鋼)3の下フランジの下面と前記ハット形鋼2の一側のウエブ22の外面に均等に跨るように当てがわれ、溶接等の接合手段により接合して固定される。
上記構成のハット形鋼2は、左右一対のウエブ22、22の傾斜部の下フランジ23面に対する傾斜角度(θ)の関係に比例して(該傾斜角度が大きくなるほど)、下フランジ23の変形が小さくなる特徴がある。
ちなみに、前記柱材3’にハット形鋼2を固定する場合は、該柱材(H形鋼)3’のフランジ面の外面中央部にハット形鋼2の上フランジ21を当接させ、該柱材3’のフランジ面とハット形鋼2の一側のウエブ22とが形成するコーナー部に沿って鉛直方向にピースアングル等の固定部材5’を当てがい、溶接等の接合手段により接合して固定する。
隣接する前記外壁パネル1、1の接合部は、図3に示すように、各外壁パネル1、1の端部から突き出た支持片1a、1a同士を突き合わせ、該突き合わせ部に屋外側からパッキン材7及びシーリング材8を充填する等して縦目地部6が形成される。
以下、これらの特徴点の意義について説明する。
本出願人が行った実験結果を図6に示す。図6(A)は、固定点Xにおける傾斜角度(θ)を変数とし、ハット形鋼2に作用する曲げモーメントを表したモデル図である。図6(B)は、前記モデル図をもとに傾斜角度(θ)と取付部に作用する曲げモーメントとの関係を表したグラフである。該グラフの縦軸は、傾斜角度(θ)の傾斜付きハット形鋼を使用した場合のドリリングタッピンねじ取付部に作用する曲げモーメントの値(以下、単に傾斜値という。)を、傾斜角度0度の通常のハット形鋼を使用した場合のドリリングタッピンねじ取付部に作用する曲げモーメントの値(以下、単に通常値という。)で除した数値を示している。
図6(B)から明らかなように、傾斜角度(θ)を徐々に大きくすると、前記傾斜値は、前記通常値に対して徐々に低下していくことが分かる。これは、傾斜面を形成することによって前記取付部に作用する曲げモーメントの流れを分散させることができ、該取付部に生じる応力を低減させ得ることによる。そのため、前記取付部の強度低下(変形)が抑制され、安定した取付強度を発揮することができるのである。
ちなみに、前記ウエブ22の下端部のみを傾斜させ、上端部を直線状とした(傾斜させない)のは、ピースアングル等の固定部材5を用いて建物の内部構造材へ安定した状態で固定できるようにした構造設計上の配慮による。
よって、前記ハット形鋼2を用いて構築した外壁パネル1等(面材)の取付構造は、従来の鋼製胴縁を用いた外壁パネル1等(面材)の取付構造と比し、経済的かつ合理的に強度および剛性を高めることができる。かくして、従来実施化が懸念されていた、風圧力が強い地域、又は高層建物(建物高さ31m以上)でも実施することが可能となった。
また、付随的効果として、前記外壁パネル1の鋼製胴縁への取付強度(嵌合強度)を補強するべく、ワンサイドリベット(図示略)を用いることがあるが、このワンサイドリベットの取付位置には通常、アングル材が介在物として用いられ、該アングル材は胴縁に添設する必要があった。この点、前記ハット形鋼2は、前記アングル材に相当する下フランジが予め備わっているので、下準備なしで経済的かつ合理的にワンサイドリベットの打ち込み作業を行うことができる。
例えば、本発明にかかるハット形鋼2は、外壁パネル1を取り付けるための鋼製胴縁(下地材)に適用した場合について説明したが、これに限定されず、屋根パネル(デッキプレート含む。)などの各種面材を取り付けるための下地材として適用することもできる。
1a 支持片
2 ハット形鋼
3 内部構造材(梁材)
3’ 内部構造材(柱材)
4 ドリリングタッピンねじ(定着具)
5 ピースアングル(固定部材)
5’ ピースアングル(固定部材)
6 縦目地部
7 パッキン材
8 シーリング材
21 上フランジ
22 ウエブ
23 下フランジ
Claims (2)
- 面材を取り付けるために用いられるハット形鋼であって、
建物の内部構造材の屋外側に当接する上フランジと、該上フランジの両端部から屋外側へほぼ直角に屈曲連設され所定の部位から幅広に傾斜する一対のウエブと、該一対のウエブの先端から外方へ屈曲連設され前記面材の内側面に当接する一対の下フランジとで断面ハット状に形成されていることを特徴とする、ハット形鋼。 - 板厚が2.3〜4.5mm、上フランジ幅が75〜200mm、ウエブ長が全体で、50〜150mm、該ウエブの傾斜部の下フランジ面に対する傾斜角度が5〜81度、下フランジ幅が30〜100mmであることを特徴とする、請求項1に記載したハット形鋼。
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