JP5981296B2 - 内燃機関の制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御システム、特に内燃機関の排気通路内に配置された酸素センサのS被毒を検知するための制御システムに関する。
従来から、大気中の特定のガスを検知するためセンサ素子を用いたガスセンサが使用されている(例えば特許文献1)。この種のガスセンサは、例えば自動車の排ガス中に含まれる炭化水素(HC)や酸素(O)等の特定ガス成分の濃度を検知できるため、自動車エンジン等の内燃機関の排気通路に設けられ、内燃機関や排ガス浄化装置の制御に用いられている。
排ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサの一例としては、いわゆる限界電流式酸素センサが知られている。限界電流式酸素センサ90は、図11に示すように、有底円筒体であって、内側電極94a、固体電解質層92、外側電極94bおよび拡散抵抗層96を順に積層したものである。内側電極94aの内側には、ヒータ97が挿入されている。排ガスは、拡散抵抗層96を介して外側電極94bに達し、外側電極94bと内側電極94aとの間でセンサ出力を得る。より詳しくは、固体電解質層92を挟んで配置された外側電極94bと内側電極94aとの間に電圧を印加すると、外側電極94b側に存在する酸素分子がイオン化して固体電解質層92内を内側電極94aに向けて移動し、内側電極94aに到達した後、再び酸素分子となることにより、両電極間94a、94bに電流が流れる。そして、単位時間あたりに移動した酸素量が出力電流値として検出される。
ここで、外側電極94bに供給される酸素(排ガス)は、拡散抵抗層96を通過して供給されることになるが、かかる拡散抵抗層96には、微小孔を利用して外側電極94bに供給される酸素の流量を制限する機能を持たせてある。このように拡散抵抗層96で酸素の流量を制限すると、図12に示すように、印加電圧が低いときには出力電流値はその電圧に比例するが、電圧をさらに上昇させてゆくと、出力電流値がある一定値で飽和する。この出力電流値は限界電流と呼ばれ、図13に示すように、雰囲気中の酸素濃度に比例する。したがって、両電極間94a、94bに流れる出力電流値(限界電流)を測定することにより、雰囲気中の酸素濃度を求めることができる。
特開2010−107409号公報
ところで、内燃機関から排出される排ガス中には、硫黄(S)成分が含まれている場合がある。本発明者は、上述した拡散抵抗層を備えた酸素センサに関する種々の検討を行った結果、排ガス中に含まれるS成分が酸素センサに吸着すると、安定したセンサ特性が得られず、センサ応答性が低下するという問題を見出した。詳しくは、本発明者は、所定濃度(例えば0ppm,100ppm,200ppm,500ppm)のSOガス雰囲気に酸素センサを曝し、モデルガス装置を用いてガス応答性を評価した。その結果、高濃度(100ppm,200ppm,500ppm)のSOガス雰囲気に曝した酸素センサは、SOガス雰囲気に曝していない酸素センサ(0ppm)に比べてセンサ応答性が低下することが分かった(図8参照)。さらに、そのときのセンサ素子の電極表面をX線光電子分光(XPS:X-ray photoelectron spectroscopy)で分析したところ、電極表面にSがSOとして吸着していることが分かった(図9参照)。このようなSOの吸着(すなわちS被毒)は、酸素センサの応答性を低下させる要因となり得る。かかるS被毒をいち早く検知して短時間で特性回復させることが好ましい。本発明は、かかる課題を解決するものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、センサ素子がS被毒を受けると、センサ素子に電圧を印加したときのV−I波形(印加電圧と出力電流との関係を示すグラフ)が変化すること、具体的には、本来であれば印加電圧が増大しても出力電流が一定値になる限界電流領域において、印加電圧の高いところでは出力電流が上昇傾向になることを発見し、かかる出力電流の上昇を検出することで、センサ素子のS被毒をいち早く検知できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明によって提供される内燃機関の制御システムは、排気通路内に限界電流式酸素センサが配置された内燃機関の制御装置である。この制御装置は、前記限界電流式酸素センサのセンサ素子に相対的に低い電圧と相対的に高い電圧とを印加してそれぞれ出力電流を測定し、それらの出力電流差の有無または大小に基づいて、前記センサ素子が硫黄(S)被毒されたか否かを判断するS被毒判断処理を所定のタイミングで行うように構成されている。
ここで開示される制御システムは、センサ素子に相対的に低い電圧と相対的に高い電圧とを印加してそれぞれ出力電流を測定し、それらの出力電流差に基づいて、センサ素子がS被毒されたか否かを判断するS被毒判断処理を所定のタイミングで行うように構成されているので、酸素センサのS被毒をいち早く検知することができる。すなわち、かかる構成を有する制御システムでは、センサ素子がS被毒を受けると、本来であれば印加電圧の大小にかかわらず出力電流が一定値になる限界電流領域において、相対的に高い電圧(例えば0.6V)を印加して得られた出力電流が、相対的に低い電圧(例えば0.3V)を印加して得られた出力電流よりも大きくなる。そのため、それらの出力電流差を検出することにより、センサ素子のS被毒を適切に検知することができる。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流が、前記相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流よりも大きく、かつそれらの出力電流差が所定の基準値T1を上回った場合に、前記センサ素子がS被毒されたと判断する。かかる構成によると、S被毒を受けたセンサ素子をより正確に検知することができる。このとき、上記所定の基準値T1(劣化の判断基準)を複数用意することにより、センサ素子のS被毒の程度を段階的に判断してもよい。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記排気通路内の排ガスが還元雰囲気(典型的には排ガスの空燃比がストイキよりもリッチ側)であることが判定された場合に、前記S被毒判断処理を行うように構成されている。還元雰囲気下においては、高電圧を印加したときの限界電流値の上昇が特に大きい。そのため、還元雰囲気下で前記S被毒判断処理を行うことで、S被毒を受けたセンサ素子をより簡便かつ高精度に検知することができる。なお、ここでいう「還元雰囲気の排ガス」とは、還元雰囲気を形成可能な排ガスをいう。典型的には、空燃比がストイキよりもリッチ(A/F値<14.7)の混合気を燃焼する際に排出される排ガスをいう。他方、「酸化雰囲気の排ガス」とは、酸化雰囲気を形成可能な排ガスをいう。典型的には、空燃比がリーンの混合気を燃焼する際に排出される排ガスをいう。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記排気通路内の排ガスが還元雰囲気であることが判定され、かつ前記排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動していないと判定された場合に、前記S被毒判断処理を行うように構成されている。かかる構成によると、排気通路内の排ガスのガス雰囲気の変動による影響(すなわち排ガス空燃比の変動による出力電流の変動)を排除して、S被毒判断処理を行うことができる。そのため、誤検知を防止して、S被毒の検知精度をより向上させることができる。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記S被毒判断処理において前記センサ素子がS被毒されたと判断された場合に、該センサ素子から硫黄酸化物(SOx)を脱離させるためのS被毒回復処理を行うように構成されている。かかる構成によると、S被毒を受けたセンサ素子を迅速に回復させることができる。したがって、S被毒に起因するセンサ応答遅れをいち早く解消することができる。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記S被毒回復処理として、前記センサ素子に対して、前記S被毒判断処理における前記相対的に高い電圧と同じレベルまたはそれ以上のレベル(例えば0.6V以上)の電圧を印加する。このような高印加電圧状態でセンサ素子を保持することにより、S被毒を受けたセンサ素子を迅速に回復させることができる。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記S被毒回復処理として、前記センサ素子を通常の制御温度よりも高い温度に加熱する。例えば、通常の制御温度よりも50℃以上(好ましくは50℃〜100℃)高い温度に加熱することが望ましい。このような高温状態でセンサ素子を保持することにより、S被毒を受けたセンサ素子を迅速に回復させることができる。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記S被毒回復処理として、前記排気通路内の排ガスが還元雰囲気で維持されるように制御する。還元雰囲気下でセンサ素子を保持することにより、センサ素子に付着したSOxがSに還元除去される。そのため、S被毒を受けたセンサ素子を迅速に回復させることができる。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記S被毒回復処理の継続時間が所定の基準タイムを上回ったときに該S被毒回復処理を終了するように構成されている。上記S被毒回復処理の継続時間に対する基準タイムは、概ね5秒〜10秒の範囲内に設定するとよい。これにより、S被毒を受けたセンサ素子を効率よく回復させることができる。
ここに開示される制御システムの好ましい一態様では、前記S被毒回復処理の終了後、前記排気通路内の排ガスを還元雰囲気で維持しつつ、前記S被毒判断処理を再度実行し、前記再度のS被毒判断処理において、前記センサ素子がS被毒されていると判断されたときに再度のS被毒回復処理を行うように構成されている。かかる構成によると、再度のS被毒判断処理においてS被毒なしと判断されるまで、S被毒回復処理が繰り返される。そのため、S被毒をより完全に解消することができる。また、S被毒が完全に解消した直後に上記繰り返しが完了するため、S被毒回復処理が必要以上に長くなることを防止して、より最適にS被毒回復処理を行うことができる。
本発明の一実施形態に係る酸素センサを模式的に示した断面図である。 印加電圧と出力電流との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る制御システムを示したブロック図である。 本発明の一実施形態に係る制御システムの制御フローを説明するためのフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る制御システムの制御フローを説明するためのフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る制御システムの制御フローを説明するためのフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る制御システムの制御フローを説明するためのフローチャートである。 時間と出力電流との関係を示すグラフである。 S耐久試験後の電極表面をXPSで分析した結果を示すグラフである。 初期、S被毒後およびS被毒回復処理後の63%応答時間を示すグラフである。 従来の酸素センサを模式的に示す図である。 印加電圧と出力電流との関係を示すグラフである。 酸素濃度と出力電流との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
(第1実施形態)
本発明に係る制御システムは、排気通路内に限界電流式酸素センサ50(以下、適宜「酸素センサ」という。)が配置された内燃機関の制御システム置である。この制御システムは、排気通路内に配置された酸素センサ50が硫黄(S)被毒されているか否かを検知するように構成されている。
<酸素センサ>
本発明の一実施形態に係る酸素センサ50の概略構成を図1に示す。酸素センサ50は、図1に示すように、センサ素子60とヒータ部70と多孔質保護層52とを備えている。センサ素子60は、固体電解質体62と測定電極64aと基準電極64bと拡散抵抗層66とから構成されている。センサ素子60は、固体電解質体62を備えている。固体電解質体62は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質から構成されている。かかる固体電解質としては、例えば、ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ))などが挙げられる。また、固体電解質体62の外側には測定電極64aが形成されており、測定電極64aの外側には多孔質の拡散抵抗層66が形成されている。多孔質の拡散抵抗層66は、測定電極64aに対する排ガスの導入量を規制する層であり、排ガスは拡散抵抗層66の小孔を通じて測定電極64aに到達する。拡散抵抗層66の材料としては、アルミナ、ジルコニア、セリア等の多孔材を構成し得る材料を用いればよい。一方、固体電解質体62の内側には、基準電極64bが形成されており、基準電極64bの内側には保護層68が形成されている。保護層68は、ここではアルミナから構成されている。基準電極64bおよび測定電極64aは共に、白金等の触媒活性の高い貴金属を含む電極により構成されている。
ヒータ部70は、アルミナを主体とする絶縁基体72と、絶縁基体72上に積層された発熱抵抗体74とから構成されている。ジルコニア等からなる固体電解質体62は、常温では絶縁性を示すが、高温環境下になると活性化され、高い酸素イオン伝導性を示すようになる。ヒータ部70は、上記固体電解質体62の加熱領域を形成してその活性化温度となるように加熱制御される。この実施形態では、ヒータ部70は、固体電解質体62の基準電極64b側において保護層68の外側に配設されている。発熱抵抗体74は、例えば、白金等の抵抗体から構成されている。
多孔質保護層52は、多数のセラミックス粒子を結合させた多孔質体により構成されており、水分がセンサ素子60に到達してセンサ素子60が被水割れするのを抑制するために設けられている。多孔質保護層52は、センサ素子60およびヒータ70の全周を覆うように設けられている。多孔質保護層52は、例えば、アルミナ、スピネル、ムライト等を主体とする金属酸化物や炭化珪素等の金属炭化物などのセラミックス粒子から構成されている。
なお、図中のEは、測定電極64aと基準電極64b間に電圧を印加する電圧源、VおよびAは両電極64a,64b間に印加される電圧を測定する電圧計およびそれらの間を流れる電流を測定する電流計である。
このように構成された酸素センサ50において、測定電極64aと基準電極64bとの間に電圧を印加すると、測定電極64a側に存在する排ガス中の酸素分子がイオン化して固体電解質体62内を基準電極64bに向けて移動し、固体電解質体62と基準電極64bとの界面に到達した後、再び酸素分子となることにより、両電極間64a、64bに電流が流れる。その際、測定電極64aに供給される排ガスの流量が拡散抵抗層66によって制限されることから電圧の所定領域で出力電流がほぼ一定(限界電流)になる。そして、この限界電流は排ガス中の酸素濃度に比例して変化するため、両電極間64a、64b間に電圧を印加して出力電流を測定することにより、排ガス中の酸素濃度(ひいては空燃比)を検知することができる。両電極間64a、64b間に印加する電圧としては、測定すべきガス濃度範囲の各限界電流領域に共通する一定の電圧(定電圧)を選択し、これを監視電圧として印加するとよい。
ここで、上述した酸素センサ50は、例えば自動車の排ガス中に含まれる酸素(O)成分の濃度を検知できるため、自動車エンジンの内燃機関の排気通路に設けられ、内燃機関や排ガス浄化装置の制御などに用いられる。かかる酸素センサ50においては、例えば、硫黄(S)成分を多く含む燃料が使用されると、センサ素子(特に測定電極64a)の表面にS成分(典型的にはSOx)が付着してしまうことがある。センサ素子表面にS成分が付着すると、測定電極64aの触媒活性が低下するため、センサ応答性が低下するなどの不都合が生ずる場合がある。
本発明者は、センサ素子のS被毒の検出する手法について種々実験を行った結果、還元雰囲気(すなわちストイキよりもリッチ側)下において酸素センサのV−I波形測定を行うと、本来であれば印加電圧の大小にかかわらず出力電流が一定値になる限界電流領域において、印加電圧の高いところでは限界電流値が上昇傾向になることを見出した。具体的には、種々異なる濃度のSOガス雰囲気に酸素センサを一定期間曝した後、排ガスの空燃比(A/F値)が13,14.5,18のガス雰囲気下において、各々の酸素センサをV−I波形測定に供した。このうち、SOガス濃度が0ppm,100ppm,200ppm,500ppmのSOガス雰囲気に曝した酸素センサについて、V−I波形測定を行った結果を、図2に示す。
図2に示すように、SOガス雰囲気に曝していない酸素センサ(0ppm)では、排ガスのガス雰囲気(空燃比)に関係なく、0.1V〜0.7Vの範囲において出力電流が一定になる限界電流領域が発現した。これに対し、SOガス濃度が100ppm,200ppm,500ppmのSOガス雰囲気に曝した酸素センサでは、排ガスの空燃比が13(すなわちストイキよりもリッチ側)の場合に、出力電流に顕著な差異が生じた。具体的には、本来であれば印加電圧の大小にかかわらず出力電流が一定値になる限界電流領域(ここでは0.1V〜0.7V)において、印加電圧の高いところ(ここでは0.5V〜0.7V)では限界電流値の上昇が認められた。かかる特性を有する酸素センサでは、本来であれば印加電圧の大小にかかわらず出力電流が一定値になる限界電流領域(ここでは0.1V〜0.7V)において、相対的に高い電圧(例えば0.6V)を印加して得られた出力電流が、相対的に低い電圧(例えば0.3V)を印加して得られた出力電流よりも大きくなる。そのため、それらの出力電流差を検出することにより、センサ素子のS被毒をいち早く検知することが可能になる。
<S被毒判断処理>
以上のような知見から、本実施形態における酸素センサのS被毒検出方法(S被毒判断処理)は、ガス雰囲気測定工程と電圧印加工程とS被毒判断工程とを含んでいる。
ガス雰囲気測定工程は、検査対象である酸素センサ50が配置された排気通路内の排ガスのガス雰囲気を測定する工程である。
電圧印加工程は、上記ガス雰囲気測定工程で測定した排気通路内の排ガスが還元雰囲気であることが判定された場合に、酸素センサ50のセンサ素子(測定電極64aと基準電極64b間)に相対的に低い電圧と相対的に高い電圧とを印加してそれぞれ出力電流を測定する工程である。上記電圧印加工程における相対的に低い電圧は、センサ素子にS被毒が生じたときに限界電流値が上昇しないような電圧に設定することが好ましい。例えば、図2のグラフに基づくと、上記相対的に低い電圧は、0.1V〜0.5Vの範囲内(好ましくは0.2V〜0.4V、例えば0.3V)に設定することが望ましい。上記相対的に低い電圧は、通常制御時に印加する監視電圧(定電圧)であってもよい。また、上記電圧印加工程における相対的に高い電圧は、センサ素子にS被毒が生じたときに限界電流値が適度に上昇するような電圧に設定することが好ましい。例えば、図2のグラフに基づくと、上記相対的に低い電圧は、0.5V〜0.8Vの範囲内(好ましくは0.55V〜0.7V、例えば0.6V)に設定することが望ましい。例えば、上記相対的に高い電圧は、上記相対的に低い電圧よりも、0.1V以上(好ましくは0.2V以上、特に好ましくは0.3V以上)高い電圧に設定されていることが好ましい。このような高低差を有する電圧を印加することで、S被毒を精度よく検知することができる。上述した印加電圧値は、後述する電子制御装置20(図3)に予め設定しておくとよい。
S被毒判断工程は、上記電圧印加工程において、相対的に高い電圧(例えば0.6V)を印加して得られた出力電流と、相対的に低い電圧(例えば0.3V)を印加して得られた出力電流とに基づいて、センサ素子がS被毒されたか否かを判断する工程である。この実施形態では、相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流と、相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流と、予め定められた基準値(劣化の判定基準)とを比較することにより、センサ素子にS被毒が生じているか否かを判定する。例えば、相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流が、相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流よりも大きく、かつそれらの出力電流差が上記基準値を超えた場合に、センサ素子にS被毒が生じていると判断すればよい。好ましい一態様では、上記出力電流差に対する基準値(劣化の判定基準)は、例えば、0.02mA以上(好ましくは0.04mA以上、特に好ましくは0.06mA以上)に設定されていることが望ましい。上記出力電流差に対する基準値を0.02mA以上とすることで、誤検知を防止して、S被毒の検出精度を向上させることができる。また、上記劣化の判定基準(基準値)を複数用意することにより、センサ素子に生じたS被毒の程度を段階的に判定してもよい。例えば、相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流と、相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流との電流差が、0.02mA以下の場合にS被毒「なし」と判断し、0.02mAを超えて且つ0.04mA以下の場合にS被毒「小」と判断し、0.04mAを超えて且つ0.06mA以下の場合にS被毒「中」と判断し、0.06mAを超えた場合にS被毒「大」と判断してもよい。上述した劣化の判定基準(基準値)は、後述する電子制御装置20(図3)に予め設定しておくとよい。
なお、ここでは、便宜上、図2のグラフに基づいて、S被毒判断処理における印加電圧や基準値(劣化の判定基準)を説明したが、かかる図2のグラフによって得られる印加電圧や基準値は本発明を限定するものではない。例えば、限界電流値の大小やその電圧範囲は、センサ素子の材料、構成等によって変化し得る。このため、S被毒判断処理における印加電圧や基準値(劣化の判定基準)は、予備試験を実施してその結果に基づいて定めるとよい。
図3は、上述したS被毒検出方法(S被毒検出処理)を具現化した検出装置を含む本実施形態に係る内燃機関(エンジン)の制御システム100の一例を示すブロック図である。この制御システム100は、エンジン10と、このエンジン10の排気通路に配置された酸素センサ50と、エンジン10および酸素センサ50の運転をコントロールする電子制御装置20と、排気通路内のガス雰囲気を測定するガス雰囲気測定部30と、酸素センサ50の電極間に電圧を印加する電圧印加部40とを備えている。酸素センサ50については、先に説明したものと同様であるため、その詳細な説明を省略する。
エンジン10は、混合気を燃焼させ、燃焼エネルギーを力学的エネルギーに変換する。このときに燃焼された混合気は排ガスとなって図示しない排気通路に排出される。エンジン10は、自動車のガソリンエンジンを主体として構成されてもよく、ガソリンエンジン以外のエンジン(例えばディーゼルエンジン等)を用いることもできる。また、混合気ではなく、シリンダ内に直接燃料(ディーゼル燃料等)を噴射するようにしてもよい。
電子制御装置(ECU:Engine Control Unit)20は、主としてデジタルコンピュータから構成されており、エンジン10の稼働における制御装置として機能する。電子制御装置20は、例えば、読み込み専用の記憶装置であるROM、読み書き可能な記憶装置であるRAM、任意の演算や判別を行うCPU、入力ポートおよび出力ポートを有している。電子制御装置20は、エンジン10および酸素センサ50の間の制御を行うユニットであり、エンジン10および酸素センサ50とは電気的に接続している。酸素センサ50からの出力信号は、対応するAD変換器(図示せず)を介して電子制御装置20の入力ポートに入力される。一方、電子制御装置20の出力ポートは、対応する駆動回路を介してインジェクタ、スロットル弁などの駆動用ステップモータおよび点火プラグ等に接続されている。電子制御装置20では、酸素センサ50からの出力に基づき、エンジン10の空燃比フィードバック制御が行われる。例えば、電子制御装置20は、検出した吸入空気量、スロットル開度(またはアクセル開度)、エンジン回転数等のエンジン運転状態に基づいて、インジェクタの燃料噴射タイミングや点火プラグの点火時期等を制御することが可能である。この実施形態では、電子制御装置20には、ガス雰囲気測定部30および電圧印加部40からの信号(出力)が入力ポートを介して入力される。また、電子制御装置20からは、電圧印加部40への駆動信号などが出力ポートを介して出力される。
ガス雰囲気測定部30は、エンジン10の排気通路内の排ガスのガス雰囲気を検出するものとして構成されている。かかるガス雰囲気測定部30としては、一般的なガス雰囲気測定装置において常套的に使用されているものから任意に選択することができる。例えば、ガス雰囲気測定部30は、排ガスの空燃比を検出するためのガスセンサであり得る。かかるガスセンサは、少なくとも空燃比がリッチ側またはリーン側にあることを検出できるガスセンサであればよい。例えば、ガスセンサは、排ガス中の酸素濃度に応じてリニアに空燃比を検出するガスセンサ(例えば、限界電流式酸素センサ)であってもよい。あるいは、ガスセンサとして、センサ素子の起電力を出力するガスセンサを用いてもよい。このガスセンサは、検査対象である酸素センサ50自体であってもよい。この場合、他のガスセンサを排気通路内に配置する必要がないため、装置構成を簡略化できる。あるいは、酸素センサ50以外の他のガスセンサを排気通路内に配置してもよい。かかるガス雰囲気測定部30によって検出されたガス雰囲気(排ガス空燃比)の検出結果は、ガス雰囲気測定部30の出力として電子制御装置20に送られる。電子制御装置20は、ガス雰囲気測定部30によって検出されたガス雰囲気をモニタリングし、その検出されたガス雰囲気が還元雰囲気(典型的にはストイキよりもリッチ側)になったときに所定の電圧印加処理を開始するように電圧印加部40に指令を発する。
電圧印加部40は、例えば、図1に示した電圧源E、電圧計Vおよび電流計Aであり得る。電圧印加部40は、通常制御時には酸素センサ50のセンサ素子に一定の電圧(監視電圧)を印加するように構成されている。そして、上記電子制御装置20からの上記所定の電圧印加処理の指令に基づき、センサ素子に相対的に低い電圧(例えば0.3V)と相対的に高い電圧(例えば0.6V)とを印加してそれぞれ出力電流を測定するように構成されている。電圧印加部40によって測定された出力電流の測定結果は、電圧印加部40の出力として電子制御装置20に送られる。
電子制御装置20は、電圧印加部40によって測定された出力電流の測定値に基づき、センサ素子がS被毒されているか否かを判断するS被毒判断部(図示せず)を備えている。S被毒判断部には、電圧印加部40で測定された出力電流の測定結果が、電圧印加部40から送られる。S被毒判断部は、電圧印加部40から送られてきた出力電流の測定結果に基づき、センサ素子のS被毒の有無を判断する。この実施形態では、S被毒判断部は、相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流と、相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流と、予め定められた基準値(劣化の判定基準)とを比較することにより、センサ素子にS被毒が生じているか否かを判定する。例えば、S被毒判断部は、相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流が、相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流よりも大きく、かつそれらの出力電流差が上記基準値を超えた場合に、センサ素子にS被毒が生じていると判断するように構成されている。
このように構成された制御システム100の動作について説明する。図4は、本実施形態に係る制御システム100により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
図4に示すように、先ず、ステップS10では、排気通路内の雰囲気が還元雰囲気であるかまたは酸化雰囲気であるかを判定するために、制御システム100はガス雰囲気測定部30により排気通路内の排ガスの酸素濃度を測定し、排気通路内の酸素濃度を決定する。例えば、ガス雰囲気測定部30として、ジルコニア酸素センサを用いるときは、上記酸素濃度は出力電流値で表される。
ステップS11では、上記ステップS10により得られた酸素濃度に基づいて、排気通路内の雰囲気が酸化雰囲気であるか、または、還元雰囲気であるかを判定する。具体的には、排気通路内の雰囲気に対する所定値があらかじめ設定されており、上記酸素濃度(出力電流値)が上記所定値を上回ったか否かを判定する。例えば、上記ガス雰囲気測定部30のガスセンサとして、ジルコニア酸素センサを用いるとき、還元雰囲気である場合は、該ガスセンサの測定値(出力電流値)は低くなる。一方、酸化雰囲気である場合は、該ガスセンサの測定値(出力電流値)は高くなる。この場合、上記ガスセンサの測定値が上記所定値を下回った場合には(YES)、排気通路内の雰囲気は還元雰囲気であると判定し、次にステップS12を実行する。一方、上記ガスセンサの測定値が上記所定値を上回った場合には(NO)、排気通路内の雰囲気は酸化雰囲気であると判定し、上記処理フローを終了する。
上記排気通路内の雰囲気判定の判定結果がYESになると、ステップS12において、制御システム100は、検査対象である酸素センサ50のセンサ素子に相対的に低い電圧(例えば0.3V)と相対的に高い電圧(例えば0.6V)とを印加してそれぞれ出力電流を測定する。次いで、ステップS13において、制御システム100は、相対的に高い電圧(例えば0.6V)を印加して得られた出力電流と、相対的に低い電圧(例えば0.3V)を印加して得られた出力電流と、予め定められた基準値とを比較することにより、センサ素子にS被毒が生じているか否かを判定する。具体的には、相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流が、相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流よりも大きく、かつそれらの出力電流差Txが基準値T1を超えた場合には(Tx>T1)、ステップS14に進み、センサ素子にS被毒が生じていると判断する。一方、出力電流差Txが基準値T1以下の場合には(Tx≦T1)、ステップS15に進み、センサ素子にS被毒が生じていないと判断する。
このようにして、酸素センサのセンサ素子に相対的に低い電圧と相対的に高い電圧とを印加してそれぞれ出力電流を測定し、それらの出力電流差に基づいて、センサ素子がS被毒されたか否かを判断することができる。制御システム100は、判定した判定結果を図示しない表示部に出力してもよい。表示部では、かかる判定結果に応答して、例えば酸素センサの交換を促す表示を表示することができる。あるいは、制御システム100は、判定した判定結果に基づいて、S被毒を受けたセンサ素子を回復させる処理を行うことができる。これについては後述する。
以上、本発明の一実施形態にかかる内燃機関の制御システム100において実行される制御について説明した。次に、本発明の他の一実施形態にかかる内燃機関の制御システムによって実行可能な制御について説明する。
(第2実施形態)
この実施形態では、排気通路内の排ガスが還元雰囲気であることが判定され、かつ排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動していないと判定された場合に、S被毒判断処理を行うように構成されている。この実施形態では、制御システムの電子制御装置(ECU)の入力ポートは、エアフローセンサーやスロットル開度センサ等に接続されている。電子制御装置は、エアフローセンサーやスロットル開度(またはアクセル開度)等に基づいて、エンジンへの燃料噴射量や吸入空気量をモニターし、燃料噴射量や吸気空気量が変動しているときには、排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動していると判定し、一方、燃料噴射量や吸気空気量が変動していないときには、排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動していないと判定する。そして、排気通路内の排ガスが還元雰囲気であることが判定され、かつ排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動していないと判定された場合に、S被毒判断処理を行うように構成されている。
このように構成された制御システムの動作について説明する。図5は、この実施形態に係る制御システムにより実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、先ず、ステップS20では、排気通路内の排ガスのガス雰囲気を測定し、ステップS21において、排気通路内の雰囲気が還元雰囲気であるかまたは酸化雰囲気であるかを判定する。排気通路内の雰囲気は還元雰囲気であると判定された場合(YES)、次にステップS22を実行する。一方、排気通路内の雰囲気は酸化雰囲気であると判定された場合(NO)、上記処理フローを終了する。
上記排気通路内の雰囲気判定の判定結果がYESになると、ステップS22において、排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動しているか否かを判定する。かかる判定は、例えば、エンジンへの燃料噴射量や吸入空気量の変動の有無に基づいて行うとよい。排気通路内のガス雰囲気が変動していないと判定された場合(NO)、次にステップS23を実行する。一方、排気通路内のガス雰囲気が変動していると判定された場合(YES)、上記処理フローを終了する。
ステップS23では、制御システムは、センサ素子に相対的に低い電圧(例えば0.3V)と相対的に高い電圧(例えば0.6V)とを印加してそれぞれ出力電流を測定する。そして、ステップS24において、制御システムは、相対的に高い電圧(例えば0.6V)を印加して得られた出力電流と、相対的に低い電圧(例えば0.3V)を印加して得られた出力電流と、予め定められた基準値とを比較することにより、センサ素子にS被毒が生じているか否かを判定する。相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流が、相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流よりも大きく、かつそれらの出力電流差Txが基準値T1を超えた場合には(Tx>T1)、ステップS25に進み、S被毒ありと判断する。一方、出力電流差Txが基準値T1以下の場合には(Tx≦T1)、ステップS26に進み、S被毒なしと判断する。このようにして、センサ素子がS被毒されたか否かを判断することができる。
この実施形態では、排気通路内の排ガスが還元雰囲気であることが判定され、かつ排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動していないと判定された場合に、S被毒判断処理を行うように構成されている。かかる構成によると、排気通路内の排ガスのガス雰囲気の変動による影響(すなわち排ガス空燃比の変動による出力電流の変動)を排除して、S被毒判断処理を行うことができる。そのため、誤検知を防止して、S被毒の検知精度をより向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の他の一実施形態にかかる内燃機関の制御システムによって実行可能な制御について説明する。この実施形態では、制御システムは、S被毒判断処理においてセンサ素子がS被毒されたと判断された場合に、該センサ素子からSOxを脱離させるためのS被毒回復処理を行うように構成されている。
センサ素子に対するS被毒回復処理としては、例えば、排気通路内の排ガスが還元雰囲気(すなわちストイキよりもリッチ側)で維持されるように制御するとよい。これにより、センサ素子に吸着したSOxが還元除去され、S被毒を受けたセンサ素子を迅速に回復させることができる。
また、上記還元雰囲気において、センサ素子を高温域に加熱してもよい。上記S被毒回復処理における加熱温度は、通常の制御温度よりも高い温度に設定することが好ましい。例えば、上記加熱温度は、通常の制御温度よりも50℃以上(例えば50℃〜200℃又はそれ以上)高い温度に設定されていることが好ましい。このように、還元雰囲気下においてセンサ素子を通常の制御温度よりも高い温度(例えば750℃またはそれ以上)に加熱することで、センサ素子に付着したSOxを効率よく除去することができる。
あるいは、上記S被毒回復処理として、センサ素子に対して、上記S被毒判断処理における相対的に高い電圧と同じレベルまたはそれ以上の電圧(例えば0.6V以上)を印加してもよい。上記S被毒回復処理における印加電圧は、上記S被毒判断処理における相対的に高い電圧と同じレベルの電圧か、それよりも高いレベルの電圧に設定することが好ましい。このようにセンサ素子を高印加電圧状態で保持することにより、S被毒を受けたセンサ素子を迅速に回復させることができる。上述したS被毒回復処理は、それぞれ単独であるいは適宜組み合わせて使用することができる。より早く且つ完全にSOxを除去する観点からは、還元雰囲気下においてセンサ素子に高電圧を付与しつつ高温域で保持することが好ましい。
この実施形態では、制御システムは、上記S被毒回復処理の継続時間が所定の基準タイムを上回ったときに該S被毒回復処理を終了するように構成されている。上記S被毒回復処理の継続時間に対する基準タイムは、センサ素子に付着したSOxが十分に取り除かれたときに、S被毒回復処理を終了するように設定することが好ましい。例えば、上記S被毒回復処理の継続時間に対する基準タイムは、概ね5秒以上、好ましくは5秒〜10秒に設定することが望ましい。
このように構成された制御システムの動作について説明する。図6は、この実施形態に係る制御システムにより実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、制御システムは、先ず、ステップS30では、S被毒判断処理を実施し、センサ素子がS被毒されている否かを判断する。ここでS被毒なしと判断された場合は(NO)、この処理ルーチンを終了する。一方、S被毒ありと判断された場合は(YES)、ステップS31に進み、S被毒回復処理を開始する。この実施形態では、排気通路内の排ガスを還元雰囲気に維持しつつ、センサ素子を高印加電圧状態かつ高温域で保持する。これにより、センサ素子に付着したSOxが還元除去される。また、制御システムは、内部タイマーをスタートさせて、S被毒回復処理の継続時間(A)の測定を開始する。次いで、ステップS32において、制御システムは、S被毒回復処理の継続時間(A)が所定の基準タイムa1に達したか否かを判定する。ここでの判定結果がNOの場合、ステップS31に戻ってS被毒回復処理を継続する。一方、判定結果がYESの場合、S被毒回復処理を終了させるタイミングであると判断し、ステップS33に進み、S被毒回復処理を終了する。このようにして、S被毒判断処理においてセンサ素子がS被毒されたと判断された後、S被毒回復処理を行うことができる。
この実施形態では、S被毒判断処理においてセンサ素子がS被毒されたと判断された場合に、該センサ素子からSOxを脱離させるためのS被毒回復処理を行うように構成されている。かかる構成によると、S被毒を受けたセンサ素子を迅速に回復させることができる。したがって、S被毒に起因するセンサ応答遅れをいち早く解消することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の他の一実施形態にかかる内燃機関の制御システムによって実行可能な制御について説明する。この実施形態では、制御システムは、S被毒回復処理の終了後、排気通路内の排ガスを還元雰囲気で維持しつつ、S被毒判断処理を再度実行し、再度のS被毒判断処理において、センサ素子がS被毒されていると判断されたときに再度のS被毒回復処理を行うように構成されている。すなわち、制御システムは、再度のS被毒判断処理において、センサ素子がS被毒されていないと判断されるまで、S被毒回復処理を繰り返すように構成されている。
このように構成された制御システムの動作について説明する。図7は、この実施形態に係る制御システムにより実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、制御システムは、先ず、ステップS40では、S被毒判断処理を実施し、センサ素子がS被毒されている否かを判断する。ここでS被毒なしと判断された場合は(NO)、この処理ルーチンを終了する。一方、S被毒ありと判断された場合は(YES)、ステップS41に進み、S被毒回復処理を開始する。この実施形態では、排気通路内の排ガスを還元雰囲気に維持しつつ、センサ素子を高印加電圧状態かつ高温域で保持する。これにより、センサ素子に付着したSOxが還元除去される。また、制御システムは、内部タイマーをスタートさせて、S被毒回復処理の継続時間(A)の測定を開始する。次いで、ステップS42において、制御システムは、S被毒回復処理の継続時間(A)が所定の基準タイムa1に達したか否かを判定する。ここでの判定結果がNOの場合、ステップS41に戻ってS被毒回復処理を継続する。一方、判定結果がYESの場合、S被毒回復処理を終了させるタイミングであると判断し、ステップS43に進み、S被毒回復処理を終了する。
次いで、ステップS44に進み、排気通路内の排ガスを還元雰囲気に維持しつつ、再度のS被毒判断処理を実行する。そして、再度のS被毒判断処理においてS被毒ありと判断された場合(YES)、ステップS41に戻ってS被毒回復処理を再度実行する。一方、S被毒なしと判断された場合(NO)、処理ルーチンを終了する。このようにして、S被毒判断処理においてS被毒なしと判断されるまで、S被毒回復処理を繰り返すことができる。
この実施形態では、S被毒回復処理の終了後、排気通路内の排ガスを還元雰囲気で維持しつつ、S被毒判断処理を再度実行し、再度のS被毒判断処理において、センサ素子がS被毒されていると判断されたときに再度のS被毒回復処理を行うように構成されている。かかる構成によると、再度のS被毒判断処理においてS被毒なしと判断されるまで、S被毒回復処理が繰り返される。そのため、S被毒をより完全に解消することができる。また、S被毒が完全に解消された直後に上記繰り返しが完了するため、S被毒回復処理が必要以上に長くなることを防止して、より最適にS被毒回復処理を行うことができる。
以上より、本発明によって提供される内燃機関の制御システムは、センサ素子に相対的に低い電圧(例えば0.3V)と相対的に高い電圧(例えば0.6V)とを印加してそれぞれ出力電流を測定し、それらの出力電流差に基づいて、センサ素子がS被毒されたか否かを判断するS被毒判断処理を所定のタイミングで行うように構成されているので、酸素センサのS被毒の有無をいち早く検知することができる。すなわち、かかる構成を有する制御システムでは、センサ素子がS被毒を受けると、本来であれば印加電圧の大小にかかわらず電流が一定値になる限界電流領域において、相対的に高い電圧(例えば0.6V)を印加して得られた出力電流が、相対的に低い電圧(例えば0.3V)を印加して得られた出力電流よりも大きくなる。そのため、それらの出力電流差を検出することで、センサ素子のS被毒をいち早く検知することができる。また、センサ素子のS被毒に迅速に対処することができる。さらに、上記構成によれば、従来の酸素センサの構造は一切変えることなく(ハード面で新たな部材を追加することなく)、内燃機関の制御系(ECU)の変更のみでS被毒を検知することができる。この点においても技術的価値が高い。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明を以下の試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
<S耐久試験>
基準電極および測定電極が共に白金を含む電極により構成された酸素センサを用意し、該酸素センサについてS耐久試験を行った。S耐久試験は、種々異なるSOガス濃度(0ppm,100ppm,200ppm,500ppm)のSOガス雰囲気にそれぞれ酸素センサを一定期間晒すことにより行った。S耐久試験後における測定電極の表面をXPSで分析した。電極表面の測定位置としては、中央部(測定位置1)および端部(測定位置2)の2箇所とした。結果を図9に示す。図9に示すように、SOガス濃度が高くなるほど、電極表面のS原子濃度が増大傾向となり、電極表面へのS成分の付着、すなわちS被毒が認められた。
<センサ応答試験>
上述のS耐久試験の前後におけるセンサ応答出力を測定した。具体的には、酸素センサをモデルガス装置に組み付け、還元雰囲気(A/F値13)で10秒間保持した後、酸化雰囲気(A/F値18)に切り替えた後のセンサ応答出力を測定した。センサ素子温度は700℃、監視電圧は0.4Vとした。上記センサ応答出力測定を上述のS耐久試験の前後に行った。図8に、500ppmのS耐久試験前後におけるセンサ応答出力を示す。図8に示すように、S耐久試験後のセンサ出力は耐久前に比べて遅延することが確かめられた。ここでは省略するが、100ppm,200ppmのS耐久試験前後についても同様の傾向が得られた。電極表面に付着したSに起因して上記遅延が生じたものと解される。
<V−I波形試験>
上述のS耐久試験後の酸素センサについて、種々異なるガス雰囲気下においてV−I波形を測定した。異なるガス雰囲気は、それぞれ空燃比(A/F値)を13,14.5,18とした。結果を図2に示す。図2に示すように、S被毒なし(0ppm)の酸素センサでは、ガス雰囲気に関係なく、0.1V〜0.7Vの範囲において出力電流が一定になる限界電流領域が発現した。これに対し、S被毒あり(100ppm,200ppm,500ppm)の酸素センサでは、A/F値が13の場合に、0.5V〜0.7Vの電圧範囲において限界電流値の上昇が認められた。
<S被毒回復処理>
上述の500ppmのS耐久試験後の酸素センサについて、S被毒回復処理を行った。S被毒回復処理は、上記500ppmのS耐久試験後の酸素センサを、還元ガス雰囲気下(A/F値13)において、センサ素子に0.6Vの電圧を印加しつつ、750℃の高温域で10秒間、保持することにより行った。そして、初期(S耐久試験前)、S耐久試験後(S被毒後)およびS被毒回復処理後の63%応答時間を評価した。具体的には、各状態の酸素センサをモデルガス装置に組み付け、還元雰囲気(A/F値13)で10秒間保持した後、酸化雰囲気(A/F値18)に切り替えた後のセンサ応答出力を測定した。そして、そのとき(A/F値18)の限界電流値を100%とし、出力電流が3%から63%まで上昇するのに要した時間を63%応答時間とした。センサ素子温度は700℃、監視電圧は0.4Vとした。63%応答時間が短いほど、センサ応答性が良好であることを示唆している。結果を図10に示す。図10に示すように、S被毒後(S耐久試験後)は初期(S耐久試験前)に比べて応答時間が増大傾向であったが、S被毒回復処理後は、初期の水準まで再び応答時間が減少した。この結果から、上述のS被毒回復処理によって、センサ素子のS被毒が解消され、該S被毒に起因するセンサ応答遅れを解消できることが確かめられた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 エンジン
20 電子制御装置
30 ガス雰囲気測定部
40 電圧印加部
50 酸素センサ
52 多孔質保護層
60 センサ素子
62 固体電解質体
64a 測定電極
64b 基準電極
66 拡散抵抗層
68 保護層
70 ヒータ部
72 絶縁基体
74 発熱抵抗体
100 制御システム


Claims (9)

  1. 排気通路内に限界電流式酸素センサが配置された内燃機関の制御システムであって、
    前記排気通路内の排ガスが還元雰囲気であることが判定された場合に、前記限界電流式酸素センサのセンサ素子に相対的に低い電圧と相対的に高い電圧とを印加してそれぞれ出力電流を測定し、それらの出力電流差の有無または大小に基づいて、前記センサ素子が硫黄(S)被毒されたか否かを判断するS被毒判断処理を行うように構成されている、内燃機関の制御システム。
  2. 前記相対的に高い電圧を印加して得られた出力電流が、前記相対的に低い電圧を印加して得られた出力電流よりも大きく、かつそれらの出力電流差が所定の基準値T1を上回った場合に、前記センサ素子がS被毒されたと判断する、請求項1に記載の制御システム。
  3. 前記排気通路内の排ガスが還元雰囲気であることが判定され、かつ前記排気通路内の排ガスのガス雰囲気が変動していないと判定された場合に、前記S被毒判断処理を行うように構成されている、請求項1または2に記載の制御システム。
  4. 前記S被毒判断処理において前記センサ素子がS被毒されたと判断された場合に、該センサ素子からSOxを脱離させるためのS被毒回復処理を行うように構成されている、請求項1〜の何れか一つに記載の制御システム。
  5. 前記S被毒回復処理として、前記センサ素子に対して、前記S被毒判断処理における前記相対的に高い電圧と同じレベルまたはそれ以上のレベルの電圧を印加する、請求項に記載の制御システム。
  6. 前記S被毒回復処理として、前記センサ素子を通常の制御温度よりも高い温度に加熱する、請求項またはに記載の制御システム。
  7. 前記S被毒回復処理として、前記排気通路内の排ガスが還元雰囲気で維持されるように制御する、請求項の何れか一つに記載の制御システム。
  8. 前記S被毒回復処理の継続時間が所定の基準タイムを上回ったときに該S被毒回復処理を終了するように構成されている、請求項の何れか一つに記載の制御システム。
  9. 前記S被毒回復処理の終了後、前記排気通路内の排ガスを還元雰囲気で維持しつつ、前記S被毒判断処理を再度実行し、
    前記再度のS被毒判断処理において、前記センサ素子がS被毒されていると判断されたときに再度のS被毒回復処理を行うように構成されている、請求項に記載の制御システム。
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