JP5979179B2 - 偏光光照射装置 - Google Patents
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Description
紫外線領域の波長を有する光を照射する照射装置としては、例えば特許文献1,2に記載のように、インクの硬化乾燥処置を行う紫外線照射装置がある。これらの技術は、ワーク側に光を照射する必要のないとき(ワークを処理していないとき)、光照射部の光出射口から光が出射するのを阻止するシャッタ機構を備えるものである。ここでは、シャッタ機構を構成するシャッタ部材(シャッタ板)を、ランプや反射ミラーからなる光源部と光照射部の光出射口との間に配置し、当該シャッタ板を、光出射口を開閉するように退避位置と遮光位置との間で移動させている。
光配向に用いる照射装置は、液晶パネルの大型化に伴い大型化しており、光配向用の照射装置の光照射部に上記のようなシャッタ機構を設ける場合、比較的大きなシャッタ板が必要となる。そのため、シャッタ機構を軽量化するためには、シャッタ板をできるだけ薄くする必要がある。ところが、シャッタ板を薄くすると熱による変形が生じ易くなるため、これを防ぐために、シャッタ板には、場合によっては水冷などの冷却機構が必要となる。すると、シャッタ機構の構造が複雑化大型化してしまう。
光配向に用いる照射装置は、光源とグリッド偏光素子とを備え、光源の光をグリッド偏光素子に通して得られる偏光光を照射する。グリッド偏光素子は、光照射部の光出射口に設置されるため、光配向用の照射装置の光照射部内に上記のシャッタ機構を設けた場合、シャッタ移動機構から生じた微小なゴミがグリッド偏光素子の上に付着し、偏光性能が低下してしまう。
そこで、本発明は、シャッタ機構を有する偏光光照射装置において、シャッタ部材の温度上昇の抑制と偏光性能の低下防止とを実現することができる偏光光照射装置を提供することを課題としている。
このように、退避位置ではシャッタ部材に光照射部からの光が照射されない構造であるため、シャッタ部材の温度上昇を防止し、シャッタ部材の熱による変形を防止することができる。そのため、シャッタ部材の冷却機構等を別途設ける必要がなく、シャッタ機構の小型化を実現できる。
さらに、退避位置では、光照射部の外壁がシャッタ部材への偏光光の照射を遮断する構造であるため、偏光光の照射を遮断するために別途遮光部材等を設置する必要がなく、その分の部品点数を削減することができる。
これにより、シャッタ部材が遮断位置にあるとき、光照射部から照射される光を反射させることができ、シャッタ部材の温度上昇を抑制することができる。
さらに、上記の偏光光照射装置において、前記シャッタ部材の前記光入射面と前記反射部材との間に空気層が形成されていてもよい。
これにより、シャッタ部材が遮断位置にあるとき、光照射部から照射される光によって反射部材の温度が上昇したとしても、その熱をシャッタ部材に伝わりにくくすることができる。
これにより、シャッタ部材の遮断位置と退避位置との移動距離を極力短くしつつ、退避位置ではシャッタ部材に光照射部からの光が照射されない構造とすることができる。
さらにまた、上記の偏光光照射装置において、前記光源は線状光源であって、前記シャッタ部材は、前記線状光源の長手方向に直交する方向に移動してもよい。
これにより、シャッタ部材の遮断位置と退避位置との移動距離を短くすることができ、シャッタ機構の小型化を実現できる。
これにより、シャッタ部材の剛性を上げることができるので、シャッタ部材を薄板で形成しても自重による撓みを防止することができる。
図1は、本実施形態の偏光光照射装置を示す概略構成図である。
偏光光照射装置100は、光照射部10と、ワークWを搬送する搬送部20とを備える。ここで、ワークWは、光配向膜が形成された、例えば液晶パネルの大きさに整形された矩形状の基板である。光配向膜は、液晶パネルの大型化と共に大面積化しており、例えば一辺が2000mm〜3000mm以上の四角形である。
光照射部10は、線状の光源であるランプ11と、ランプ11の光を反射するミラー12と、ランプ11及びミラー12からなる光源部の光出射側に配置された偏光子ユニット13とを備える。さらに、光照射部10は、ランプハウス(外壁)14を備える。ランプ11、ミラー12及び偏光子ユニット13は、ランプハウス14に収容されている。
ランプ11は、図2に光照射部10の長手方向の断面図を示すように、長尺状のランプであり、その発光部が、ワークWの搬送方向に直交する方向の幅に対応する長さを有する。当該ランプ11は、例えば、高圧水銀ランプや水銀に他の金属を加えたメタルハライドランプ等であり、波長200nm〜400nmの紫外光を照射する。
なお、光源としては、紫外光を放射するLEDやLDを直線状に並べて配置した線状光源を用いることもできる。その場合、LEDやLDを並べる方向がランプの長手方向に相当する。
ランプハウス14は、その底面に、光源部からの光が通過する光出射口14aを有する。光出射口14aには、ここを通過する光を偏光するための偏光子を有する偏光子ユニット13が取り付けられている。
偏光子ユニット13は、特に図示しないが、複数の偏光子をフレーム内に並べて配置して構成されている。当該偏光子は、ワイヤーグリッド型偏光素子であり、当該偏光子の個数は、偏光光を照射する領域の大きさに合わせて適宜選択する。また、各偏光子は、それぞれ透過軸が同一方向を向くように配置されている。
ここでは、上記移動機構として、例えば、リニアモータステージを採用する。リニアモータステージは、碁盤目状に強磁性体の凸極が設けられた平面状のプラテンの上に移動体(ワークステージ)をエアーにより浮上させ、移動体に磁力を印加して、移動体とプラテンの凸極との間の磁力を変化させることにより移動体(ワークステージ)を移動する機構である。
本明細書において、ワークステージ21の移動方向がX方向であり、X方向に垂直な水平方向がY方向、鉛直方向がZ方向である。また、ワークWは矩形状であり、一辺の方向がX方向に向き、他方の辺がY方向を向いた姿勢でワークステージ21上に保持されているものとする。
ワークステージ21の移動経路は、光照射部10の真下を通るように設計されている。そして、搬送部20は、ワークWを光照射部10による偏光光の照射位置に搬送し、且つその照射位置を通過させるように構成されている。この通過の過程で、ワークWの光配向膜が光配向処理される。
シャッタ機構30は、シャッタ部材31と、当該シャッタ部材31を移動するシャッタ移動機構としてのエアシリンダ32とを備える。
シャッタ部材31は、エアシリンダ32によって、光照射部10から照射される光を遮断してワークWに照射するのを阻止する位置(遮断位置)と、遮断位置から退避して光照射部10から照射される光をワークWに照射するのを許容する位置(退避位置)との間を移動可能となっている。
図3は、シャッタ部材31が遮断位置にある状態を示す図であり、図4は、シャッタ部材31が退避位置にある状態を示す図である。また、図5は、シャッタ機構30の主要部の斜視図である。なお、図5では、シャッタ部材31の長手方向における一方の端部のみを示しているが、他方の端部も同様の構成を有するものとする。
シャッタ部材31は、板厚が5mm以下(例えば1.5mm程度)のアルミニウム板等の薄い板で形成する。シャッタ部材31の長手方向の長さはランプ11の長さに相当し、水平な上面部で光照射部10から照射される光を遮るようになっている。すなわち、当該上面部は、光照射部10の光照射領域Aよりも大きく形成されている。
エアシリンダ32は、X方向に延在するピストンロッド32aと、ピストンロッド32aの先端に固定された固定部材32bとを備える。固定部材32bは、シャッタ部材31の裏面にねじ止めされる。具体的には、図5に示すように、シャッタ部材31の長手方向両端部における光照射領域A外に、孔31aが形成されており、固定部材32bは、この孔31aにねじ32cにより固定される。
ここで、孔31aは長穴であり、シャッタ部材31と固定部材32bとはX方向に自由度を持って係合されている。これにより、一対のエアシリンダ32が完全に同期して作動しない場合にも、シャッタ部材31は適切にスライド移動する。
図4に示すように、シャッタ部材31は、退避位置においてランプハウス14の底壁の直下に位置する。シャッタ部材31がこの退避位置にあるときには、光照射部10からの光はランプハウス14の底壁により遮られ、シャッタ部材31には照射されない。
光照射部10は、樋状のミラー12によってランプ11の光を反射し、ミラー12の下端開口の直下の領域が偏光光照射領域となるようにしている。しかしながら、光照射部10内で反射する迷光は、図4の二点鎖線Lに示すように、ミラー12の端部で反射され光出射口14aからX方向外側に向かって出射する場合がある。本実施形態では、シャッタ部材31に傾斜部31bを設けることで、図4に示すように、退避位置では上記のような光Lがシャッタ部材31に照射されないようにすることができる。
反射部材33は、シャッタ部材31に対してねじ止めにより固定する。このとき、図6に示すように、反射部材33とシャッタ部材31との間に平ワッシャ34を挿入し、反射部材33とシャッタ部材31との間に隙間(空気層)を形成した状態で、ボルト33aとナット33bとで固定する。
ここで、シャッタ機構30を構成するエアシリンダ32は、シャッタ部材31をランプ長手方向に直交する方向(ランプ11を横切る方向)へスライド移動させるように構成されている。そのため、比較的短い移動距離で、光の出射と遮光の制御が可能である。したがって、シャッタ機構30の小型化を実現することができる。
このように、シャッタ部材31は比較的大きな形状を有するため、シャッタ部材31は、ランプ長手方向に沿って延びる長尺状の平板部材とし、シャッタ機構30を軽量化する。また、シャッタ部材31のランプ長手方向に直交する方向の両端を、光照射領域A外の部分で折り曲げた構造とする。これにより、シャッタ部材31の剛性を上げ、ランプ11の長さに相当する長尺のシャッタ部材31が、自重による撓むのを防ぐあるいは抑制することができる。
また、反射部材33とシャッタ部材31との間に隙間(空気層)を形成するため、仮に反射部材33の温度が光源部からの光の照射によって上がったとしても、その熱がシャッタ部材31に伝わりにくい。そのため、シャッタ部材31の温度が上がるのを効果的に抑制することができる。
本実施形態では、シャッタ部材31の退避位置を光照射部10からの光が照射されない位置として、シャッタ部材31の放熱効果を高めると共に、シャッタ部材31に反射部材33を設置して、遮断位置におけるシャッタ部材31の温度上昇を抑制する。そのため、シャッタ部材31を薄い板で形成したとしても、シャッタ部材31の熱による変形を防ぐことができる。また、水冷などの複雑な冷却機構も不要となるため、シャッタ機構30を小型化することができる。
グリッド偏光素子は、グリッドの形成に微細な加工技術が必要であり、半導体製造に使われるリソグラフィ技術やエッチング技術が利用されるため、非常に高価なものである。このようなグリッド偏光子にゴミが付着すると、その偏光性能が低下する原因となり、場合によっては交換の必要が生じる。
また、シャッタ部材31の退避位置をランプハウス14の底壁の真下に設定するため、退避位置において当該底壁がシャッタ部材31のカバーの役割を担うことができる。そのため、装置内を浮遊する微小なゴミがシャッタ部材31の上に堆積するのを防ぐことができる。その結果、シャッタ部材31が移動した際にシャッタ部材31上のゴミがワークW上に落ちることを防止することができ、ワークWの品質を確保することができる。
なお、上記実施形態においては、エアシリンダ32のピストンロッド32aを伸ばしたときにシャッタ部材31を開状態とし、ピストンロッド32aを縮めたときにシャッタ部材31を閉状態とする場合について説明したが、エアシリンダ32のピストンロッド32aを伸ばしたときにシャッタ部材31を閉状態とし、ピストンロッド32aを縮めたときにシャッタ部材31を開状態とするようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、ワークWとして光配向膜が形成された液晶パネルを用いる場合について説明したが、例えば、視野角補償フィルムのような、ロールに巻かれた長尺帯状のワークであってもよい。
Claims (8)
- 配向膜に偏光光を照射して光配向を行う偏光光照射装置であって、
光源からの光を偏光子によって偏光し、光出射口から偏光光を照射する光照射部と、
前記光照射部の光出射口の光出射側に配置され、前記光出射口から出射する偏光光を遮断して当該偏光光の前記配向膜への照射を阻止する遮断位置と、当該遮断位置から退避して前記偏光光の前記配向膜への照射を許容する退避位置との間を移動可能なシャッタ部材と、を備え、
前記光照射部は、前記光源を覆い、前記光出射口を形成した外壁を備え、
前記退避位置は、前記外壁が前記シャッタ部材への前記偏光光の照射を遮断し、前記シャッタ部材に前記偏光光が照射されない位置であることを特徴とする偏光光照射装置。 - 前記シャッタ部材は、前記遮断位置において前記偏光光が入射される光入射面側に、当該偏光光を反射する反射部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の偏光光照射装置。
- 前記シャッタ部材の前記光入射面と前記反射部材との間に空気層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の偏光光照射装置。
- 前記シャッタ部材は、前記退避位置での前記偏光光の出射方向に直交する方向における前記光源側端部に、前記偏光光の出射方向に向かうにつれて当該シャッタ部材の内側に傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光光照射装置。
- 前記光源は線状光源であって、
前記シャッタ部材は、前記線状光源の長手方向に直交する方向に移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光光照射装置。 - 前記光源は線状光源であって、
前記シャッタ部材は、前記線状光源の長手方向に沿って延びる長尺状の平板部材により構成されており、長手方向に直交する方向の端部に屈曲部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光光照射装置。 - 配向膜に偏光光を照射して光配向を行う偏光光照射装置であって、
光源からの光を偏光子によって偏光し、光出射口から偏光光を照射する光照射部と、
前記光照射部の光出射口の光出射側に配置され、前記光出射口から出射する偏光光を遮断して当該偏光光の前記配向膜への照射を阻止する遮断位置と、当該遮断位置から退避して前記偏光光の前記配向膜への照射を許容する退避位置との間を移動可能なシャッタ部材と、を備え、
前記退避位置は、前記シャッタ部材に前記偏光光が照射されない位置であり、
前記シャッタ部材は、前記退避位置での前記偏光光の出射方向に直交する方向における前記光源側端部に、前記偏光光の出射方向に向かうにつれて当該シャッタ部材の内側に傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする偏光光照射装置。 - 配向膜に偏光光を照射して光配向を行う偏光光照射装置であって、
線状光源からの光を偏光子によって偏光し、光出射口から偏光光を照射する光照射部と、
前記光照射部の光出射口の光出射側に配置され、前記光出射口から出射する偏光光を遮断して当該偏光光の前記配向膜への照射を阻止する遮断位置と、当該遮断位置から退避して前記偏光光の前記配向膜への照射を許容する退避位置との間を移動可能なシャッタ部材と、を備え、
前記退避位置は、前記シャッタ部材に前記偏光光が照射されない位置であり、
前記シャッタ部材は、前記線状光源の長手方向に沿って延びる長尺状の平板部材により構成されており、長手方向に直交する方向の端部に屈曲部を備えることを特徴とする偏光光照射装置。
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