JP5977716B2 - 閾値データ設定装置、方法及びプログラム、並びに画像形成システム - Google Patents

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Description

この発明は、画像を構成する各網点の形状・配置を表す2値画像信号を、連続調画像信号に基づき作成するための閾値データを設定する閾値データ設定装置、方法及びプログラム、並びに画像形成システムに関する。
印刷分野において、中間成果物を生成せずに電子データにより直接刷版を形成するCTP(Computer to Plate)が普及している。通常、刷版を形成する過程にて、連続調である画像信号に対して、組織的ディザ法を含むスクリーニング処理が実行される。従来から、高画質の印刷物を得るために、印刷システムの全体又は一部の特性を考慮した閾値データを決定する手法が種々提案されている。
特許文献1では、(1)ドットの擬似発生、及び(2)該ドットを含む濃度パターンの特定周波数成分の評価、を順次行うことで、モアレ等の発生が起こり難い閾値配列を決定する方法が提案されている。
特開2002−368995号公報
近時、使用可能な印刷装置又は印刷材(色材、印刷媒体、刷版等)の種類が多種多様になっている。例えば、印刷装置の種類として、オフセット印刷機のみならず、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、デジタル印刷機(オンデマンド印刷機)等が存在する。また、印刷媒体の種類として、合成紙・厚紙・アルミ蒸着紙等の紙類のみならず、塩化ビニル・PET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂、ターポリン、金属シート等が存在する。
ところで、一般的には、使用される印刷装置・印刷材の組み合わせに応じて、印刷特性が変化することが知られている。例えば、オフセット印刷・フレキソ印刷では、版材の種類(特に、弾性特性)が異なるため、ドットゲインが変化する程度が異なる傾向がみられる。また、刷版が不要なデジタル印刷機の場合、当該刷版の形成に起因する画質変化を何ら考慮する必要はない。
しかし、特許文献1に記載の方法によれば、印刷装置・印刷材の組み合わせ毎に適した閾値データを作成することを前提としているため、その準備及び作成処理に多くの作業工数を必要とし、改良の余地が十分にあった。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、印刷装置及び印刷材の種類数が膨大な場合であっても、これらの組み合わせに適した閾値データを簡便且つ容易に決定可能な閾値データ設定装置、方法及びプログラム、並びに画像形成システムを提供することを目的とする。
本発明に係る閾値データ設定装置は、画像を構成する各網点の形状及び配置を表す2値画像信号を、連続調画像信号に基づき作成するための閾値データを設定する装置であって、上記連続調画像信号に紐付けられた上記各網点の形状及び配置に関する網点情報を取得し、該網点情報に合致する複数の閾値データを各閾値候補として取得する閾値候補取得部と、上記2値画像信号の作成後から上記画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得する応答特性取得部と、上記応答特性取得部により取得された上記応答特性を作用することで、上記網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成する模擬画像作成部と、上記模擬画像作成部により作成された上記模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出する定量値算出部と、上記閾値候補取得部により取得された上記各閾値候補を適用し、上記定量値算出部によりそれぞれ算出された上記定量値に基づく比較及び/又は評価によって、上記各閾値候補の中から設定対象である閾値データを決定する閾値データ決定部とを備える。
このように、2値画像信号の作成後から画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得し、当該応答特性を作用することで、網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成するので、網点形状を模擬画像上に簡便に且つ精度よく再現可能である。そして、各閾値候補として取得された複数の閾値データを、画質の程度を示す定量値に基づき比較及び/又は評価するので、印刷装置及び印刷材の種類数が膨大な場合であっても、これらの組み合わせに適した閾値データを簡便且つ容易に決定できる。
また、上記模擬画像作成部は、平網領域を少なくとも1つ含む上記模擬画像信号を作成し、上記定量値算出部は、上記模擬画像信号の上記平網領域でのパワースペクトルに関し、上記各網点に対応する成分を除いた主成分に基づいて上記定量値を算出することが好ましい。
また、上記模擬画像作成部は、階調レベルが異なる平網領域を2つ以上含む上記模擬画像信号を作成し、上記定量値算出部は、各上記平網領域における上記主成分についての統計値に基づいて上記定量値を算出することが好ましい。
また、上記画像形成過程にて上記網点形状に変化を及ぼす事象に応じた上記応答特性を推定する応答特性推定部を更に備え、上記応答特性取得部は、上記応答特性推定部により推定された上記応答特性を取得することが好ましい。
また、上記応答特性推定部は、刷版を介して被印刷材に色材を転移させる際の上記応答特性を推定することが好ましい。
また、上記応答特性推定部は、版材の主面を彫刻することで上記刷版を形成する際の上記応答特性を推定することが好ましい。
また、上記閾値データ決定部により決定された上記閾値データを設定することで、上記連続調画像信号を上記2値画像信号に変換する2値化処理部を更に備えることが好ましい。
本発明に係る画像形成システムは、上記の閾値データ設定装置と、上記閾値データ設定装置により変換された上記2値画像信号に基づいて上記画像を形成する画像形成装置とを備える。
本発明に係る閾値データ設定方法は、画像を構成する各網点の形状及び配置を表す2値画像信号を、連続調画像信号に基づき作成するための閾値データを設定する方法であって、上記連続調画像信号に紐付けられた上記各網点の形状及び配置に関する網点情報を取得し、該網点情報に合致する複数の閾値データを各閾値候補として取得するステップと、上記2値画像信号の作成後から上記画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得するステップと、取得された上記応答特性を作用することで、上記網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成するステップと、作成された上記模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出するステップと、取得された上記各閾値候補を適用し、それぞれ算出された上記定量値に基づく比較及び/又は評価によって、上記各閾値候補の中から設定対象である閾値データを決定するステップとをコンピュータに実行させる。
本発明に係る閾値データ設定プログラムは、画像を構成する各網点の形状及び配置を表す2値画像信号を、連続調画像信号に基づき作成するための閾値データを設定するためのプログラムであって、上記連続調画像信号に紐付けられた上記各網点の形状及び配置に関する網点情報を取得し、該網点情報に合致する複数の閾値データを各閾値候補として取得するステップと、上記2値画像信号の作成後から上記画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得するステップと、取得された上記応答特性を作用することで、上記網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成するステップと、作成された上記模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出するステップと、取得された上記各閾値候補を適用し、それぞれ算出された上記定量値に基づく比較及び/又は評価によって、上記各閾値候補の中から設定対象である閾値データを決定するステップとをコンピュータに実行させる。
本発明に係る閾値データ設定装置、方法及びプログラム、並びに画像形成システムによれば、2値画像信号の作成後から画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得し、当該応答特性を作用することで、網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成するので、網点形状を模擬画像上に簡便に且つ精度よく再現可能である。そして、各閾値候補として取得された複数の閾値データを、画質の程度を示す定量値に基づき比較・評価するので、印刷装置及び印刷材の種類数が膨大な場合であっても、これらの組み合わせに適した閾値データを簡便且つ容易に決定できる。
この実施形態に係る画像形成システムの全体構成図である。 図1に示す2値化処理部の動作に関する概略説明図である。 網点情報に関する各パラメータの説明図である。 図1に示す凸版形成装置を構成するレーザ彫刻機の概略構成図である。 図1に示すフレキソ印刷機の概略構成図である。 図1に示す画像処理装置の電気的なブロック図である。 図1及び図6に示す画像処理装置の動作説明に供されるフローチャートである。 図8A及び図8Bは、彫刻応答特性の一例を示すグラフである。 各テスト画像信号に対して2値化処理を施した結果を示す説明図である。 図6に示す模擬画像作成部の動作に関する概略説明図である。 観察距離が300mmであるドゥーリー・ショー関数のグラフである。 図12Aは、模擬画像信号におけるパワースペクトルの一例を示すグラフである。図12Bは、各閾値候補におけるパワースペクトルのピーク特性を示すグラフである。 各閾値候補に対する定量結果を示すテーブルである。 応答特性推定システムの全体構成図である。 図15Aは、標本画像網点を可視化した概略正面図である。図15Bは、図15Aの標本画像網点に基づき形成された標本凸版の正面図である。図15Cは、図15Bの標本凸版に基づき形成された標本印刷物の正面図である。 図16Aは、網点突起部の高さ形状の推定モデルに関する第1の説明図である。図16Bは、図16Aに示す高さ形状のフーリエ変換特性を示すグラフである。 図17Aは、網点突起部の高さ形状の推定モデルに関する第2の説明図である。図17Bは、図17Aに示す高さ形状のフーリエ変換特性を示すグラフである。
以下、本発明に係る閾値データ設定方法について、それを実施する閾値データ設定装置、プログラム及び画像形成システムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書において、画像を形成することを「印刷」又は「印字」という場合がある。
[画像形成システム10の全体構成]
図1は、この実施形態に係る画像形成システム10の全体構成図である。この画像形成システム10は、平板状の版材12を彫刻することで凸版14(刷版)を形成し、該凸版14を介して被印刷体16にインキ(色材)を転移させることで印刷物18を生産するシステムである。この印刷物18は、被印刷体16上に少なくとも1色の網点が形成されてなる。
画像形成システム10は、閾値データ設定装置としての画像処理装置20と、凸版形成装置22と、フレキソ印刷機24と、閾値データベース(以下、閾値DB26)と、応答特性データベース(以下、応答特性DB28)を基本的に備えている。この実施形態にて、凸版形成装置22及びフレキソ印刷機24は、被印刷体16上に画像を形成する画像形成装置を構成する。
画像処理装置20は、入力された印刷用データ30に基づいて、凸版14の主面上の三次元形状を表す深さデータを作成し、当該データを凸版形成装置22側に送出する。画像処理装置20は、より詳細には、RIP(Raster Image Processor)処理部32、2値化処理部34、閾値データ設定部36及び深さデータ作成部38を備えている。
RIP処理部32は、ページ記述言語(PDL)で表現された連続調画像信号40に対してラスタライズ処理を施すことで、ラスタ形式の画像信号(以下、ラスタ画像信号42ともいう)に変換する。
2値化処理部34は、ラスタ画像信号42に対してスクリーニング処理を施すことで、2値の画像信号(以下、2値画像信号46ともいう)に変換する。この2値画像信号46は、画像を構成する各網点の形状及び配置を表している。この実施形態では、スクリーニング処理手法として、閾値データ44による組織的ディザ法を採用する。
図2は、図1に示す2値化処理部34の動作に関する概略説明図である。本図は、閾値データ44(閾値マトリクス)を用いた2値化の概念を示す。先ず、ラスタ画像信号42の各アドレスに閾値データ44の各行列要素を対応付ける。そして、2値化処理部34は、着目する画素での画素値Gと、対応する行列要素での閾値Tの大小関係をそれぞれ比較する。G>Tを満たす場合には「1(オン)」を割り当て、それ以外(G≦T)の場合には「0(オフ)」を割り当てる。このようにして、階調レベルの数が「26」であるラスタ画像信号42は、階調レベルの数が「2」である2値画像信号46に変換される。本図例では、25個の画素を単位とする正方領域毎に、ハッチングが付された13個の「オン」画素のクラスタ(AM網点)が形成されている。
図1に戻って、閾値データ設定部36は、上記したスクリーニング処理に先立ち、閾値DB26から印刷用データ30に適した閾値データ44を取得し、2値化処理部34側に供給する。この印刷用データ30には、上記した連続調画像信号40の他、印刷物18の形成に関する各種条件(以下、印刷条件48)が含まれている。そして、印刷条件48は、網点の形状・配置に関する情報(以下、網点情報50)と、画像形成システム10に関する装置又は印刷材に関する情報(以下、装置・印刷材情報52)で構成される。
図3は、網点情報50に関する各パラメータの説明図である。「スクリーン線数」は単位長さ当たりの網点の密度であり、単位としてLPI(Line Per Inch)が一般に用いられる。「スクリーン角度」は網点の配列方向と垂直軸(又は水平軸)とのなす角であり、単位として度(degree)が一般に用いられる。
図1に戻って、深さデータ作成部38は、2値化処理部34から取得した2値画像信号46に基づいて、版材12の彫刻量の2次元分布に相当する深さデータを作成する。深さデータの値又は範囲は、凸版形成装置22に応じて任意に定義することができる。また、彫刻量に代わって、版材12の基準面からの高さとして定義してもよい。
[凸版形成装置22の概略構成]
凸版形成装置22は、画像処理装置20から供給された深さデータに基づき、版材12の主面を彫刻することで、複数の網点突起部(図示しない)を備える凸版14を形成可能なCTP(Computer To Plate)描画装置である。フレキソ印刷の場合は、版材12として、ゴムシート、光硬化性樹脂シート等を含む高弾性材料が用いられる。
図4は、図1の凸版形成装置22を構成するレーザ彫刻機60の概略構成図である。レーザ彫刻機60は、露光ヘッド62と、ピント位置変更機構64と、矢印Y方向(副走査方向)への間欠送り機構66とを備える。
ピント位置変更機構64は、版材12が取り付けられたドラム68に対して、露光ヘッド62を前後移動させるモータ70及びボールネジ72を有する。ピント位置変更機構64は、モータ70の制御によりピント位置を移動させる。
間欠送り機構66は、ボールネジ76及び該ボールネジ76を回転させる副走査モータ78を有する。間欠送り機構66は、副走査モータ78の制御により、露光ヘッド62が搭載されたステージ74を矢印Y方向に移動させる。これにより、露光ヘッド62は、ドラム68の軸線80の方向に間欠送りされる。
版材12は、ドラム68上でチャック部材82によりチャックされる。チャック部材82の位置は、露光ヘッド62による露光が行われない領域に設定されている。この場合、軸線80を中心としてドラム68を回転させながら、該ドラム68上の版材12に対して、露光ヘッド62からレーザビーム84を照射することにより、版材12の主面がレーザ彫刻される。そして、ドラム68の回転により、露光ヘッド62の前方をチャック部材82が通過するときに、矢印Y方向に間欠送りを行うことで、次のライン分のレーザ彫刻が行われる。
ドラム68の回転による版材12の矢印X方向(主走査方向)への送りと、露光ヘッド62の矢印Y方向(副走査方向)の間欠送りを逐次繰り返すことにより、露光走査の位置が制御される。この制御と同期して、画像処理装置20(図1)から供給された位置毎の深さデータ(すなわち、彫刻量)に基づいて、レーザビーム84のオン・オフ又は発光強度が制御される。この結果、版材12の主面(版面)に所望の形状を有するレリーフ(網点突起部を含む)が形成される。
このようにして、凸版形成装置22は、印刷に供される凸版14を色版毎に形成する。この凸版14は、フレキソ印刷機24に装着される。
[フレキソ印刷機24の概略構成]
フレキソ印刷機24は、凸版形成装置22により形成された凸版14を介し、被印刷体16の版面にインキを転移することで、印刷物18を形成可能な印刷装置である。フレキソ印刷の場合は、被印刷体16として、印刷用途の枚葉紙、ロール紙のみならず、表面の凹凸形状が大きい印刷媒体、例えば、段ボール紙、フイルム、布等を用いることができる。
図5は、図1に示すフレキソ印刷機24の概略構成図である。フレキソ印刷機24は、上記した凸版14と、クッションテープ86を介して凸版14が取り付けられる版胴88と、ドクターチャンバ90によりインキが供給されるアニロックスローラ92と、被印刷体16を加圧するための圧胴94とから構成される。
ドクターチャンバ90から供給されたインキは、アニロックスローラ92、凸版14(網点突起部の頂面)の順に転移される。これに併せて、被印刷体16は、版胴88と圧胴94との間に挟持された状態下に搬送される。すなわち、凸版14に転移されたインキは被印刷体16に更に転移されることで、多数の網点からなる画像が被印刷体16上に形成される。
[画像処理装置20の電気的なブロック図]
図6は、図1に示す画像処理装置20の電気的なブロック図である。画像処理装置20は、制御部100と、通信I/F102と、入力部104と、表示部106と、出力I/F108と、メモリ110(記憶媒体)とを備えるコンピュータである。
通信I/F102は、外部装置からの電気信号を送受信するインターフェース(I/F)である。これにより、画像処理装置20は、印刷用データ30を含む各種データを外部装置から取得可能である。
入力部104は、マウス、トラックボール、キーボード、タッチパネル等の種々の入力デバイスで構成される。表示部106は、図示しない制御回路を介して、表示制御信号に応じた画像を表示する。入力部104による入力機能及び表示部106による表示機能を組み合わせることで、ユーザ・インターフェースを実現する。
出力I/F108は、電気信号としての深さデータを凸版形成装置22に向けて送信するインターフェース(I/F)である。
メモリ110は、制御部100が各構成要素を制御するのに必要なプログラム及びデータ等を記憶している。本図例では、印刷用データ30、複数種類の閾値データ44及び後述する応答特性データ112がそれぞれ格納されている。
メモリ110は、非一過性であり、且つ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で構成されてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、フラッシュメモリ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、この記憶媒体は、短時間に且つ動的にプログラムを保持するものであっても、一定時間プログラムを保持するものであってもよい。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって構成されている。制御部100は、メモリ110に格納されたプログラムを読み出し実行することで、RIP処理部32、2値化処理部34、閾値データ設定部36、深さデータ作成部38(図1)及び応答特性推定部114(図14)の各機能を実現可能である。
閾値データ設定部36は、設定対象の候補である閾値データ44(以下、閾値候補)を取得する閾値候補取得部116、網点の形状変化を表現する空間周波数応答特性(以下、単に「応答特性」ともいう)を取得する応答特性取得部118、及び、各閾値候補における網点形状の再現性を定量評価する閾値候補評価部120を備える。
閾値候補評価部120は、2値網点作成部122、模擬画像作成部124、定量値算出部126及び閾値データ決定部128を備える。なお、各部の機能については後述する。
[画像処理装置20の動作]
この実施形態に係る網点データ設定装置としての画像処理装置20は、以上のように構成される。続いて、図1及び図6に示す画像処理装置20(主に、閾値データ設定部36)の動作について、図7のフローチャートを主に参照しながら詳細に説明する。
ステップS1において、閾値データ設定部36は、連続調画像信号40に紐付けられた印刷条件48を取得する。図1に示すように、印刷条件48には、網点情報50と、装置・印刷材情報52が含まれる。
網点情報50として、例えば、スクリーン線数、スクリーン角度、網点の目標形状(円形、楕円形、矩形、これらの組合せ)、スクリーン特性(AM又はFM)が挙げられる。装置・印刷材情報52として、例えば、画像形成システム10の装置構成、被印刷体16、版材12、色材、又は装置の構成部品(例えば、図4の露光ヘッド62)の種類が挙げられる。
ステップS2において、閾値候補取得部116は、ステップS1にて得た印刷条件48と部分的に一致する閾値データ44(以下、閾値候補ともいう)を取得する。この取得に先立ち、閾値DB26は、画像処理装置20からの要求に応じてデータベースの検索処理を実行し、網点情報50に合致する閾値データ44を画像処理装置20側に供給する。その後、閾値候補取得部116は、メモリ110に一時的に記憶された閾値候補をすべて読み出し取得する。ここでは、3つの閾値候補A、B、Cをそれぞれ取得したとする。
ステップS3において、応答特性取得部118は、ステップS1にて得た印刷条件48と部分的に一致する応答特性データ112を取得する。この取得に先立ち、応答特性DB28は、画像処理装置20からの要求に応じてデータベースの検索処理を実行し、装置・印刷材情報52に合致する応答特性データ112を画像処理装置20側に供給する。その後、応答特性取得部118は、メモリ110に一時的に記憶された応答特性データ112を読み出し取得する。
なお、応答特性データ112は、2値画像信号46(図2)の作成後から画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を示すデータであり、画像形成システム10の構成に依存する点に留意する。図1例では、応答特性取得部118は、応答特性データ112として、レーザ彫刻機60(図4)の光学的特性に相当する「彫刻応答特性」、及びフレキソ印刷機24(図5)の転移特性に相当する「転移応答特性」をそれぞれ取得する。
図8A及び図8Bは、彫刻応答特性の一例を示すグラフである。具体的には、図8Aは点像分布関数{以下、PSF(Point Spread Function)}であり、図8Bは図8Aに示すPSFのフーリエ変換関数の断面図に相当する。また、本グラフにおけるX軸、Y軸は、図4に示す矢印X方向、矢印Y方向にそれぞれ対応する。
図8Aに示すように、PSFは、原点Oをピークとする概略円錐形状の関数である。PSFは、理想系ではデルタ関数であるが、実際系では種々の光学的因子により点像が拡がる。X軸方向の拡がり程度は、レーザビーム84(図4)の矢印X方向の有効ビーム径、ドラム68(同図)の回転速度、レーザ光源(不図示)の立ち上がり/立ち下がり特性等に依存する。また、Y軸方向の拡がり程度は、レーザビーム84の矢印Y方向の有効ビーム径、レーザビーム84の露光多重度等に依存する。
図8Bに示すMTF(Modulation Transfer Function)は、空間周波数毎の正弦波応答特性に相当する。本図から理解されるように、空間周波数が高くなるにつれてMTFが次第に小さくなっている。そして、実線で示す「副走査」のMTFは、破線で示す「主走査」よりも高くなる傾向を有する。
ステップS4において、閾値候補評価部120は、各閾値候補の定量評価に供されるテスト画像信号を作成する。テスト画像信号として任意のラスタ画像信号42を用いてもよいが、ここでは、少なくとも1つの平網領域(ハーフトーンべた領域)を含む画像信号を作成しておく。
ステップS5において、閾値候補評価部120は、ステップS2により取得された複数の閾値候補(3つの閾値候補A〜C)のうち、未だ評価されていない1つの閾値候補を指定する。以下、指定された閾値候補のことを「指定閾値候補」と称する。
ステップS6において、2値網点作成部122は、ステップS4で生成された各テスト画像信号に対して、指定閾値候補を用いたスクリーニング処理を施すことで、階調レベル毎の2値網点信号を作成する。
図9は、テスト画像信号に対して2値化処理を施した結果を示す説明図である。本図例では、階調レベルが10%、30%、50%、70%、90%である5種類の平網領域を含むテスト画像信号から、濃淡が異なる5種類の平網画像を表す2値網点信号を作成する。
ステップS7において、模擬画像作成部124は、ステップS6で作成された2値網点信号から、印刷物18上での網点形状が模擬的に再現された模擬画像信号を作成する。
図10は、図6に示す模擬画像作成部124の動作に関する概略説明図である。この図は、2値網点信号から模擬画像信号を作成するまでの処理過程を模式的に示している。
先ず、模擬画像作成部124は、各画素のオン・オフ状態を示す2値網点信号を、凸版14の高さ分布に相当する多値網点信号に変換する。その後、模擬画像作成部124は、得られた多値網点信号に対して空間周波数領域での応答特性を作用する処理を実行する。この作用処理には、マスク処理、フィルタ処理、又はこれらの組合せを適用できる。なぜならば、フーリエ変換の写像の性質上、ユークリッド空間上又はフーリエ空間上での演算結果は実質的に等価だからである。
ここで、「マスク処理」は、ユークリッド空間上においてマスク演算(畳み込み)を実行することで、画像の空間周波数成分(スペクトル強度)を変調する画像処理を意味する。また、「フィルタ処理」は、フーリエ空間上においてフィルタ演算(乗算)を実行することで、画像信号の空間周波数成分(スペクトル強度)を変調する画像処理を意味する。
本図上段に示す処理流れによれば、模擬画像作成部124は、彫刻応答特性を示すマスクを用いた第1マスク処理、転移応答特性を示すマスクを用いた第2マスク処理を順次施すことで模擬画像信号を作成する。また、本図下段の処理流れによれば、模擬画像作成部124は、彫刻応答特性を示すフィルタを用いた第1フィルタ処理、転移応答特性を示すフィルタを用いた第2フィルタ処理を順次施すことで模擬画像信号を作成する。ここで、フィルタ処理の実行前にFFT(Fast Fourier Transform)を、フィルタ処理の実行後にIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)をそれぞれ施す点に留意する。
ステップS8において、定量値算出部126は、ステップS7で作成された模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出する。この実施形態では、定量値を算出するために、模擬画像信号のパワースペクトルを利用する。例えば、視認性との相関度を高めるため、このパワースペクトルに対して人間の標準視覚応答特性を乗算する前処理を行ってもよい。
図11は、観察距離が300mmであるドゥーリー・ショー(Dooley-Shaw)関数のグラフである。この関数は、VTF(Visual Transfer Function)の一種であり、人間の標準視覚応答特性を模した代表的な関数である。具体的には、輝度のコントラスト比特性の2乗値に相当する。グラフの横軸は空間周波数(単位:Cycle/mm)であり、縦軸はVTFの値(単位は無次元)である。
なお、VTFの関数形状はこれに限られず、数理モデルや実験データ等から導出された種々の特性を適用してもよい。また、観察距離は300mm相当のみならず、画像の観察態様又は評価基準等に応じて種々変更してもよい。
また、上記の前処理による視覚的な補正効果を適切に反映させるため、模擬画像信号の画素値を、画像を反射又は透過する光量に対して相関性が高い(好ましくは線形的な)量に変換しておいてもよい。その一例として、RGB値、三刺激値(XYZ)、反射原稿の場合は光反射率、透過原稿の場合は光透過率等を用いてもよい。
図12Aは、模擬画像信号におけるパワースペクトルの一例を示すグラフである。グラフの横軸は空間周波数(単位:Cycle/mm)であり、グラフの縦軸はスペクトル強度(単位は任意;以下、単に「成分」ともいう)である。本図に示すパワースペクトルは、空間周波数が約1.9、約2.4、約3.6、約7.4Cycle/mmの位置に4つのピークを有する。定量値算出部126は、各網点に対応する成分(ここでは、約7.4Cycle/mm周辺の成分)を除いた上で、スペクトル強度の最大値(主成分に相当;以下、最大強度という)を抽出する。この場合、定量値算出部126は、約2.4Cycle/mmにおけるピーク最大値である「60」を、最大強度として抽出しておく。この最大強度の値が大きいほど画質の程度が低く、値が小さいほど画質の程度が高いと評価する。この定量値は、印刷物18の画質に対して定量的又は定性的に相関する値である。なぜならば、各網点に対応する成分以外の成分は、色ムラ、モアレ、粒状感等を含む画像ノイズとして寄与するからである。
なお、本図例のグラフは、閾値候補Bを用いて、階調レベルが70%であるテスト画像信号から作成された模擬画像信号のパワースペクトルに相当する。定量値算出部126は、70%の場合も含め、階調レベル毎の模擬画像信号に対して最大強度をそれぞれ抽出する。
その後、定量値算出部126は、上記のように得られた階調レベル毎の最大強度に基づいて、指定閾値候補の定量値を算出する。ここでは、定量値算出部126は、全階調レベルにわたる平均値及び/又は最大値を「定量値」として算出する。なお、定量値の算出式はこれに限られず、各平網領域における最大強度についての統計値、又はこれらの組み合わせ(例えば、平均値と最大値の重み付け加算値)に基づいて種々算出してもよい。また、模擬画像信号に対する評価処理は上記した手法に限られず、粒状性{RMS(Root Mean Square)等}、鮮鋭性(MTF等)、階調性(階調滑らかさ等)を含む公知の画像評価手法を種々適用できることは言うまでもない。
ステップS9において、閾値候補評価部120は、すべての閾値候補に対する指定が完了したか否かを判定する。まだ完了していないと判定された場合(ステップS9:NO)、ステップS5に戻って、以下ステップS5〜S8を順次繰り返す。一方、すべて完了したと判定された場合(ステップS9:YES)、次のステップ(S10)に進む。
ステップS10において、閾値データ決定部128は、閾値候補の比較・評価を行うことで、1つの閾値データ44を決定する。
図12Bは、各閾値候補A〜Cにおける階調レベル毎の最大強度を示すグラフである。図13は、各閾値候補A〜Cに対する定量値の算出結果を示すテーブルである。閾値候補評価部120は、図13に示す評価結果を踏まえ、「平均値」或いは「最大値」が最も小さい閾値候補Aを、閾値データ44として決定する。
ステップS11において、閾値データ設定部36は、ステップS10で決定された閾値データ44を印刷用データ30に対応付ける設定を行う。これにより、印刷用データ30から深さデータを作成する際に、画像形成システム10に適した閾値データ44を自動的に設定することができる。このようにして、画像処理装置20(主に閾値データ設定部36)の動作は完了する。
[応答特性推定システム150の構成及び動作]
続いて、応答特性推定部114(図6)を組み込んだ応答特性推定システム150の構成及び動作について、図14〜図17Bを参照しながら説明する。
図14は、応答特性推定システム150の全体構成図である。この応答特性推定システム150は、標本網点信号152に基づき標本凸版154及び標本印刷物156を順次形成し、第1測定器158、第2測定器160による測定結果を用いて、画像形成システム10の全体又は一部における応答特性を推定するシステムである。
標本網点信号152は、任意の画像を構成する各網点の形状・配置を表す2値の画像信号である。ここでは、後述する推定処理を容易にするため、標本網点信号152は、2値網点信号(図9)と同一の信号であってもよい。
深さデータ作成部38は、入力された標本網点信号152に基づいて、版材12の彫刻量の2次元分布に相当する深さデータを作成する。そして、凸版形成装置22は、深さデータ作成部38から供給された深さデータに基づき、版材12の主面を彫刻することで、複数の網点突起部(図示しない)を備える標本凸版154を形成する。そして、フレキソ印刷機24は、凸版形成装置22により形成された標本凸版154を介し、被印刷体16の版面にインキを転移することで、標本印刷物156を形成する。
第1測定器158は、標本凸版154の凹凸形状を光学的に読み取る装置であり、標本凸版154上での網点面積率を測定可能である。また、第2測定器160は、標本印刷物156の色特性を光学的に読み取る装置であり、標本印刷物156上での網点面積率を測定可能である。
応答特性推定部114は、画像形成過程にて網点形状に変化を及ぼす事象に応じた応答特性を推定する。網点形状に変化を及ぼす事象として、画像形成装置の記録方式に応じた1つ又は2つ以上の事象を考慮してもよい。ここでは、応答特性推定部114は、版材12の主面を彫刻することで凸版14を形成する際の「彫刻応答特性」、凸版14を介して被印刷体16にインキを転移させる際の「転移応答特性」をそれぞれ推定する。
応答特性推定部114は、第1測定器158により測定された標本凸版154上での網点面積率に基づき彫刻応答特性を推定する彫刻特性推定部162と、第2測定器160により測定された標本印刷物156上での網点面積率に基づき転移応答特性を推定する転移特性推定部164とを備える。
以下、彫刻特性推定部162による推定方法について、図15A〜図16Bを参照しながら詳細に説明する。
図15Aは、図14に示す標本網点信号152を可視化した概略正面図である。ここで、図15A及び後述する図15B、図15Cにおける塗り潰し領域は、各網点形状の決定に寄与する部位を示す。本図例では、各網点が円形状であり、直径がD(既知の値)である場合を想定する。
図15Bは、図15Aの標本網点信号152に基づき形成された標本凸版154の概略正面図である。図8A及び図8Bに示す応答特性の作用下、標本凸版154上での網点面積率は、網点面積率の設計値よりも小さくなる。その結果、測定された網点面積率に相当する平均直径が(D−d1)であったとする。
図15Cは、図15Bの標本凸版154に基づき形成された標本印刷物156の概略正面図である。版材12として高弾性材料が用いられる場合、インキを転移する際にドットゲインが増加する傾向がある。このとき、標本印刷物156上での網点面積率は、標本凸版154上での網点面積率よりも大きくなる。その結果、測定された網点面積率に相当する平均直径が(D−d2)(ただし、d2<d1)であったとする。
ここで、測定された網点面積率から網点突起部の高さ形状を推定し、該高さ形状の変化に基づいて彫刻応答特性を推定する手法を適用できる。以下、具体的な方法について、図16A〜図17Bを参照しながら説明する。
図16Aは、網点突起部の高さ形状の推定モデルに関する第1の説明図である。グラフの横軸はX軸(又はY軸)方向の位置であり、グラフの縦軸はZ軸(高さ)方向の位置である。本図の実線は、標本網点信号152における各網点突起部の理想的な高さ形状(以下、理想網点形状170)を示している。本図の破線は、標本凸版154における各網点突起部の仮想的な高さ形状(以下、仮想網点形状172)を示している。この推定モデルは、網点突起部の高さが常に一定である前提の下に構築されており、主にドットゲインの現象を模擬している。
図16Bは、図16Aに示す高さ形状のフーリエ変換特性を示すグラフである。グラフの横軸は空間周波数であり、グラフの縦軸はフーリエ変換値である。本図の実線は、理想網点形状170に対するフーリエ変換値(以下、理想周波数成分170f)を示している。本図の破線は、仮想網点形状172に対するフーリエ変換値(以下、仮想周波数成分172f)を示している。
この場合、彫刻特性推定部162は、理想周波数成分170fに対する仮想周波数成分172fの比、すなわち、空間周波数毎の(仮想周波数成分172f/理想周波数成分170f)の値を、彫刻応答特性として推定する。
図17Aは、網点突起部の高さ形状の推定モデルに関する第2の説明図である。グラフの定義は図16Aと同様であるため、その説明を省略する。本図の実線は理想網点形状170を示すと共に、本図の破線は仮想網点形状174を示している。
この推定モデルは、頂部の直径にかかわらず、網点突起部の体積(面積)が常に保存される前提の下に構築されている。本図から理解されるように、頂部の直径が小さくなるにつれて側面の傾斜が小さくなっている。
図17Bは、図17Aに示す高さ形状のフーリエ変換特性を示すグラフである。グラフの定義は図16Bと同様であるため、その説明を省略する。本図の実線は理想周波数成分170fを示すと共に、本図の破線は仮想周波数成分174fを示している。
この場合、彫刻特性推定部162は、理想周波数成分170fに対する仮想周波数成分174fの比、すなわち、空間周波数毎の(仮想周波数成分174f/理想周波数成分170f)の値を、彫刻応答特性として推定する。
図14に戻って、転移特性推定部164は、応答特性の乗算則(カスケードモデル)に基づいて転移応答特性を推定する。先ず、転移特性推定部164は、図16A〜図17Bと同一の又は異なる推定モデルを用いて、画像形成システム10全体における応答特性(以下、全体応答特性)を推定する。そして、転移特性推定部164は、全体応答特性から彫刻応答特性を除算することで、転移応答特性を推定する。
最後に、応答特性推定部114は、それぞれ推定された彫刻応答特性及び転移応答特性を応答特性DB28側に供給する。そして、応答特性DB28は、取得した彫刻応答特性を、版材12及び凸版形成装置22の種類に対応付ける。応答特性DB28は、取得した転移応答特性を、版材12及びフレキソ印刷機24の種類に対応付ける。このようにして、応答特性データ112は、装置・印刷材情報52に紐付けられた状態下、応答特性DB28内にて保存・管理される。
[本発明の効果]
閾値データ設定装置としての画像処理装置20は、画像を構成する各網点の形状・配置を表す2値画像信号46を、連続調画像信号40に基づき作成するための閾値データ44を設定する装置である。
そして、連続調画像信号40に紐付けられた各網点の形状・配置に関する網点情報50を取得し、網点情報50に合致する複数の閾値データ44を各閾値候補として取得する閾値候補取得部116と、2値画像信号46の作成後から画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性データ112として取得する応答特性取得部118と、応答特性データ112を作用することで、網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成する模擬画像作成部124と、模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出する定量値算出部126と、各閾値候補を適用しそれぞれ算出された定量値に基づく比較・評価によって、各閾値候補の中から設定対象である閾値データ44を決定する閾値データ決定部128とを備える。
このように、2値画像信号46の作成後から画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性データ112として取得し、当該応答特性データ112を作用することで、網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成するので、網点形状を模擬画像上に簡便に且つ精度よく再現可能である。そして、各閾値候補として取得された複数の閾値データ44を、画質の程度を示す定量値に基づき比較・評価するので、印刷装置及び印刷材の種類数が膨大な場合であっても、これらの組み合わせに適した閾値データ44を簡便且つ容易に決定できる。
[補足]
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
この実施形態ではフレキソ印刷を例に説明したが、画像形成装置はこの印刷方式に限られず、オフセット印刷、グラビア印刷、デジタル印刷機(オンデマンド印刷機)等にも適用できることは言うまでもない。
10…画像形成システム 14…凸版
16…被印刷体 18…印刷物
20…画像処理装置 22…凸版形成装置
24…フレキソ印刷機 30…印刷用データ
34…2値化処理部 36…閾値データ設定部
40…連続調画像信号 44…閾値データ
50…網点情報 52…装置・印刷材情報
60…レーザ彫刻機 100…制御部
112…応答特性データ 114…応答特性推定部
116…閾値候補取得部 118…応答特性取得部
120…閾値候補評価部 122…2値網点作成部
124…模擬画像作成部 126…定量値算出部
128…閾値データ決定部 150…応答特性推定システム
152…標本網点信号 154…標本凸版
156…標本印刷物 158…第1測定器
160…第2測定器 170…理想網点形状
172、174…仮想網点形状

Claims (10)

  1. 画像を構成する各網点の形状及び配置を表す2値画像信号を、連続調画像信号に基づき作成するための閾値データを設定する装置であって、
    前記連続調画像信号に紐付けられた前記各網点の形状及び配置に関する網点情報を取得し、該網点情報に合致する複数の閾値データを各閾値候補として取得する閾値候補取得部と、
    前記2値画像信号の作成後から前記画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得する応答特性取得部と、
    前記応答特性取得部により取得された前記応答特性を作用することで、前記網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成する模擬画像作成部と、
    前記模擬画像作成部により作成された前記模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出する定量値算出部と、
    前記閾値候補取得部により取得された前記各閾値候補を適用し、前記定量値算出部にてそれぞれ算出された前記定量値に基づく比較及び/又は評価によって、前記各閾値候補の中から設定対象である閾値データを決定する閾値データ決定部と
    を備えることを特徴とする閾値データ設定装置。
  2. 請求項1記載の閾値データ設定装置において、
    前記模擬画像作成部は、平網領域を少なくとも1つ含む前記模擬画像信号を作成し、
    前記定量値算出部は、前記模擬画像信号の前記平網領域でのパワースペクトルに関し、前記各網点に対応する成分を除いた主成分に基づいて前記定量値を算出する
    ことを特徴とする閾値データ設定装置。
  3. 請求項2記載の閾値データ設定装置において、
    前記模擬画像作成部は、階調レベルが異なる平網領域を2つ以上含む前記模擬画像信号を作成し、
    前記定量値算出部は、各前記平網領域における前記主成分についての統計値に基づいて前記定量値を算出する
    ことを特徴とする閾値データ設定装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の閾値データ設定装置において、
    前記画像形成過程にて前記網点形状に変化を及ぼす事象に応じた前記応答特性を推定する応答特性推定部を更に備え、
    前記応答特性取得部は、前記応答特性推定部により推定された前記応答特性を取得する
    ことを特徴とする閾値データ設定装置。
  5. 請求項4記載の閾値データ設定装置において、
    前記応答特性推定部は、刷版を介して被印刷材に色材を転移させる際の前記応答特性を推定することを特徴とする閾値データ設定装置。
  6. 請求項5記載の閾値データ設定装置において、
    前記応答特性推定部は、版材の主面を彫刻することで前記刷版を形成する際の前記応答特性を推定することを特徴とする閾値データ設定装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の閾値データ設定装置において、
    前記閾値データ決定部により決定された前記閾値データを設定することで、前記連続調画像信号を前記2値画像信号に変換する2値化処理部を更に備えることを特徴とする閾値データ設定装置。
  8. 請求項7記載の閾値データ設定装置と、
    前記閾値データ設定装置により変換された前記2値画像信号に基づいて前記画像を形成する画像形成装置と
    を備えることを特徴とする画像形成システム。
  9. 画像を構成する各網点の形状及び配置を表す2値画像信号を、連続調画像信号に基づき作成するための閾値データを設定する方法であって、
    前記連続調画像信号に紐付けられた前記各網点の形状及び配置に関する網点情報を取得し、該網点情報に合致する複数の閾値データを各閾値候補として取得するステップと、
    前記2値画像信号の作成後から前記画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得するステップと、
    取得された前記応答特性を作用することで、前記網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成するステップと、
    作成された前記模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出するステップと、
    取得された前記各閾値候補を適用し、それぞれ算出された前記定量値に基づく比較及び/又は評価によって、前記各閾値候補の中から設定対象である閾値データを決定するステップと
    をコンピュータに実行させることを特徴とする閾値データ設定方法。
  10. 画像を構成する各網点の形状及び配置を表す2値画像信号を、連続調画像信号に基づき作成するための閾値データを設定するためのプログラムであって、
    前記連続調画像信号に紐付けられた前記各網点の形状及び配置に関する網点情報を取得し、該網点情報に合致する複数の閾値データを各閾値候補として取得するステップと、
    前記2値画像信号の作成後から前記画像を形成するまでの画像形成過程にて生じる網点形状の変化を、空間周波数領域での応答特性として取得するステップと、
    取得された前記応答特性を作用することで、前記網点形状の変化が模擬的に再現された模擬画像信号を作成するステップと、
    作成された前記模擬画像信号に対して所定の評価処理を実行して得られる評価値を、画質の程度を示す定量値として算出するステップと、
    取得された前記各閾値候補を適用し、それぞれ算出された前記定量値に基づく比較及び/又は評価によって、前記各閾値候補の中から設定対象である閾値データを決定するステップと
    をコンピュータに実行させることを特徴とする閾値データ設定プログラム。
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