JP5977567B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に関する。
従来、吸収性物品として、ショーツ等の着衣に吸収性物品を固定するためのウイングを備えたものが知られている。図5には、ウイングを備えた従来の生理用ナプキンの一例が示されている。図5に示す生理用ナプキン90は、肌対向面を形成する表面シート91、非肌対向面を形成する裏面シート(図示せず)、及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体93を備えた縦長の吸収性本体94と、該吸収性本体94の長手方向Xに沿う両側部それぞれから幅方向Yの外方に延出する一対のウイング95,95とを有している。ウイング95の非肌対向面には、該ウイング95を着衣に固定するウイング粘着部96が設けられている。ウイング95は、平面視して略等脚台形状であり、その周縁は、直線を含んで構成されており、角95aを有している。ナプキン90をショーツに装着するには、先ず、吸収性本体94を、その非肌対向面に設けられた本体粘着部(図示せず)を介して、ショーツの股下部(クロッチ部)の肌対向面上に固定し、次いで、一対のウイング95,95それぞれを、折り返し線97に沿って吸収性本体94の非肌対向面側に折り返し、ウイング粘着部96を介して該股下部の非肌対向面上に固定する。
このようなウイングを備えた吸収性物品においては、装着作業時にウイングを折り返す際に、不用意に折り返すと一部だけが折り返され、ウイング粘着部同士が接着してしまいウイングにシワや隆起部ができたり、ウイングが折り返し線より幅方向の外方位置で折り返され、本体粘着部に接着してしまう誤接着を起こすおそれがある。斯かる課題の解決を図った技術として、特許文献1には、外形状が、前側外形線と、後側外形線と、両外形線を繋ぐ先端側外形線とから構成されるウイングにおいて、吸収性物品の幅方向線と該前側外形線との成す角度よりも該幅方向線と該後側外形線との成す角度の方を大きく設定し、更に、ウイングの重心を、該ウイングの付け根と本体部分との接合線の中央よりも前側に偏倚させる技術が記載されている。また、特許文献1には、ウイングのショーツへの固定性を向上させることを目的として、ウイングの突出長さをショーツのクロッチ幅よりも長くすることも記載されている。
また、特許文献2には、ウイングをショーツの股下部の縁部に沿って折り返して該股下部に固定したときに該ウイングに生じる応力を除去し、該応力に起因するウイングのショーツからの外れを防止する目的で、ウイングの一部に、放射状パターンをなして配置された多数の折り目線からなる波形区分を設ける技術が記載されている。
特開2009−125430号公報 特表平9−511929公報
ウイングを備えた従来の吸収性物品には、装着作業時(ウイングを折り返す時)や装着中(使用中)において、ウイングが、適切な折り返し部位(例えば図5中の折り返し線97)とは異なる部位で、意図せずに一面側や他面側に折れ曲がり、それによってウイングにヨレやめくれが発生するという問題があった。ウイングのヨレやめくれは、吸収性物品のショーツ等の着衣に対する安定した固定を妨げ、装着感を低下させる要因ともなり得る。装着作業時や装着中にウイングが意図しない部位で折れ難く、ウイングのヨレやめくれが発生し難い吸収性物品は未だ提供されていない。
従って本発明の課題は、装着作業時や装着中においてウイングの意図しない部位での折れが発生し難い吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、図5に示す如きウイングを備えた生理用ナプキンにおいて、その装着作業時や装着中における意図しない部位でのウイングの折れ(ヨレ・めくれ)について種々検討した結果、1)このようなウイングの折れは、ウイングの角(例えば図5中符号95aで示す部位)を起点として生じ易いこと、及び2)装着者の多くが装着作業時にウイングを折り返す際に指を当てる部位である、ウイングの最大幅部分(ウイングの幅方向の長さが最大の部分)から遠い部位ほど、ウイングを折り返す力が伝わり難いため、ウイングの折れが生じ易いことを知見し、更に検討した結果、ウイングの外形(輪郭)を形成するウイング周縁を、比較的緩やかな曲線のみから構成し且つ吸収性物品の長手方向の前側と後側とで非対称とすることにより、ウイングの折れ(ヨレ・めくれ)が効果的に防止されることを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、液保持性の吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部それぞれから幅方向の外方に延出する一対のウイングとを有する吸収性物品であって、前記ウイングの周縁は、該ウイングの外方に向けて凸の曲線のみから構成され、前記ウイングの最大幅部分を通って前記幅方向に延びる1本の仮想直線を境界として、該ウイングの前記長手方向の一方側をウイング一方側、他方側をウイング他方側とし、更に、該ウイング一方側及び該ウイング他方側それぞれを該長手方向に3等分し、該ウイング一方側における、該仮想直線寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング一方側特定領域、該ウイング他方側における、該仮想直線寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング他方側特定領域とした場合に、両特定領域におけるウイングの周縁の曲率半径が互いに異なっており、前記ウイングの前記長手方向に沿う長さは、該ウイングと前記吸収性本体との境界線近傍において最も長い吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、装着作業時や装着中にウイングが意図しない部位で折れ難く、ウイングのヨレやめくれが発生し難い吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンの肌対向面側を模式的に示す平面図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、図1に示す生理用ナプキンにおけるウイングを拡大して模式的に示す拡大平面図である。 図4は、本発明に係るウイングの他の実施形態を模式的に示す平面図(図3相当図)である。 図5は、従来の吸収性物品(生理用ナプキン)の肌対向面側を模式的に示す平面図(図1相当図)である。 図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、本発明の範囲外の吸収性物品(生理用ナプキン)におけるウイングを拡大して模式的に示す拡大平面図(図3相当図)である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキンに基づき図面を参照して説明する。本実施形態のナプキン1は、図1及び図2に示すように、液保持性の吸収体4を備えた縦長の吸収性本体10と、該吸収性本体10の長手方向Xに沿う両側部それぞれから幅方向Yの外方に延出する一対のウイング6A,6Aとを有している。
更に説明すると、吸収性本体10は、ナプキン1の肌対向面を形成する表面シート2、ナプキン1の非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在配置された吸収体4を具備している。吸収性本体10(ナプキン1)は、図1に示すように、長手方向Xに、装着時に装着者の腹寄りに配される前方部Aと、膣口等の装着者の排泄部に対向する部位を含む排泄部対向部Bと、装着時に排泄部対向部Bより装着者の背中側に配される後方部Cとに区分される。本実施形態のナプキン1における排泄部対向部Bは、左右に一対のウイング6A,6Aを有する部位である。
本明細書において、長手方向(図中のX方向)は、吸収性物品(生理用ナプキン)又はその構成部材(吸収性本体等)の長辺に沿う方向であり、幅方向(図中のY方向)は、該長手方向と直交する方向である。また、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の装着時に装着者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の装着時に肌側とは反対側(下着等の着衣側)に向けられる面である。
図1及び図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁から幅方向Yの外方に延出している。
裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁から幅方向Yの外方に延出しており、その延出部と前述した表面シート2の延出部とが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。
また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の長手方向Xの一端及び他端から長手方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、公知の接合手段によって互いに接合されている。
吸収体4は、図1に示すように、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状をしている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていても良い。
吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)における長手方向Xに沿う左右両側部には、図1に示すように、平面視において吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート5,5が吸収性本体10の長手方向Xの略全長に亘って配されている。一対のサイドシート5,5は、それぞれ、その幅方向Yの内方側の側部が、公知の接合手段によって形成された平面視線状の接合部8にて表面シート2の肌当接面に接合されており、外方側の側部が、吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁から幅方向Yの外方に延出し、その延出部が、公知の接合手段によって、前述した裏面シート3の延出部に接合されている。
裏面シート3及びサイドシート5は、吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁から幅方向Yの外方に延出してサイドフラップを形成し、該サイドフラップは、図1に示すように、排泄部対向部Bにおいて幅方向Yの外方に向かって大きく張り出し、このサイドフラップの幅方向Yへの張り出しにより、吸収性本体10の左右両側に一対のウイング6A,6Aが延設されている。
図1に示すように、吸収性本体10には、幅方向Yに延びる第1折曲線11及び第2折曲線12が形成されており、両折曲線11,12に沿って吸収性本体10を折り畳み可能になされている。両折曲線11,12の間には排泄部対向部Bが存している。両折曲線11,12は、それぞれ、それらの延長線(図1中の折曲線11,12を示す一点破線における、ナプキン1からはみ出した部分)がウイング6Aを通らないように形成されている。本実施形態においては、図1に示すように、両折曲線11,12の延長線は、それぞれ、ウイング6Aの両付け根71,72に挟まれた領域より長手方向Xの外方を通過することによって、ウイング6Aを通らないように形成されている。
尚、ウイング部6Aの両付け根71,72は、それぞれ、吸収性本体10の長手方向Xに沿う直線状の側縁とウイング6Aの周縁60との連接部及びその近傍であり、ナプキン1の周縁における吸収性本体10からウイング6Aに続く部位である。また、長手方向Xの一方側(前側)の付け根71と他方側(後側)の付け根72とを結んで長手方向Xに延びる仮想直線14(図1及び図3参照)は、ウイング6Aと吸収性本体10との境界線であり、ナプキン1の装着時にウイング6Aを折り返す際には、折り返し線として機能し得る。
ナプキン1を個装形態に折り畳むには、第1折曲線11より長手方向Xの一方側に位置する部位(前方部A)を、表面シート2を内側にして該第1折曲線11に沿って長手方向Xに折り曲げると共に、第2折曲線12より長手方向Xの他方側に位置する部位(後方部C)を、表面シート2を内側にして該第2折曲線12に沿って長手方向Xに折り曲げ、折り曲げた前方部A及び後方部Cを、両折曲線11,12に挟まれた部位(排泄部対向部B)に重ねることによりナプキン1を三つ折りにする。
本発明の吸収性物品の主たる特長の1つは、ウイングの平面視形状にあり、そのポイントは、A)ウイングに角が無いこと、B)ウイングは吸収性本体の長手方向の前後で非対称であること、及びC)ウイングの長手方向に沿う長さは、該ウイングと吸収性本体との境界線近傍において最も長いこと、の3点である。これら3点を満たすことが、装着作業時や装着中にウイングが意図しない部位で折れる不都合を効果的に防止し得ることに繋がる。
本実施形態においては、前記A)に対応して、図1に示すように、ウイング6Aの周縁60を、ウイング6Aの外方に向けて凸の曲線61のみから構成している。ウイング周縁をこのような凸曲線のみから構成し、直線を含まないようにすることにより、ウイングの外形(輪郭)に角が含まれないようになる。前述したように、装着作業時や装着中におけるウイングの意図しない部位での折れ(ヨレ・めくれ)は、ウイングの角を起点として生じ易いところ、このようにウイングから角を排除することにより、斯かる不都合の発生が効果的に防止される。
このように、本発明に係るウイングは、その周縁が該ウイングの外方に向けて凸の曲線のみから構成されているものに限定されるから、図5に示すウイング95(平面視して略等脚台形状のウイング)の如き、周縁に直線を含むウイングや、周縁にウイングの内方に向けて凸の曲線を含むウイングは、本発明の範囲外である。例えば、図6(a)に示すウイング6Pは、その周縁60が、ウイング6Pの外方に向けて凸の曲線61に加えて、内方に向けて凸の曲線62を含んでいるので、本発明の範囲外である。
また、本実施形態においては、前記B)に対応して、図3に示すように、ウイング6Aの最大幅部分(幅方向Yの外方に最も突出している部分。最大幅L1を有する部分。)を通って幅方向Yに延びる1本の仮想直線13を境界として、ウイング6Aの長手方向Xの前側(一方側)をウイング前側(ウイング一方側)65、後側(他方側)をウイング後側(ウイング他方側)66とし、更に、ウイング前側65及びウイング後側66それぞれを長手方向Xに3等分し、ウイング前側65における、仮想直線13寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング一方側特定領域65C、ウイング後側66における、仮想直線13寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング他方側特定領域66Cとした場合に、両特定領域65C,66Cにおけるウイング周縁60の曲率半径R65C,R66Cを互いに異ならせている。即ち、本実施形態においては、ウイング6Aの周縁60の曲率半径(曲率)を長手方向Xの一方側と他方側とで異ならせることで、ウイング6Aの平面視形状を前後非対称な形状としている。
より具体的には、本実施形態においては、図3に示すように、ウイング6Aの最大幅部分(仮想直線13と重なる部分)は、ウイング6Aの長手方向Xの中央〔図3中符号15で示す直線(ウイング6Aを長手方向Xに二分する直線)と重なる部分〕より前側(一方側)に偏倚しており、ウイング前側(ウイング一方側)特定領域65Cは、ウイング後側(ウイング他方側)特定領域66Cに比して、ウイング周縁60の曲率半径が小さくなっている。即ち、本実施形態においては、ウイング6Aの最大幅部分が前側に偏倚しており、且つウイング前側特定領域65Cのウイング周縁60の曲率半径R65Cとウイング後側特定領域66Cのウイング周縁60の曲率半径R66Cとの間に、R65C<R66Cなる大小関係が成立しており、前側の特定領域65Cの方が後側の特定領域66Cに比して曲率が大きく、ウイング周縁60の曲がり具合がきつくなっている。
ウイング6Aを長手方向Xの前側65と後側66とに分ける、ウイング6Aの最大幅部分、中でも該最大幅部分の幅方向Yの中央部は、装着者の多くが装着作業時にウイング6Aを折り返す際に指を当てる部分であり、ウイング6Aを折り返す力が直接伝わる部分であるところ、前述したように、装着作業時や装着中におけるウイング6Aの意図しない部位での折れ(ヨレ・めくれ)は、ウイング6Aの最大幅部分から距離が離れるほど生じ易い。従って、図3に示すように、ウイング6Aの最大幅部分(仮想直線13と重なる部分)が長手方向Xの前側に偏倚している場合、ウイング前側65のウイング周縁60は、相対的に前記最大幅部分に近く、ウイング6Aを折り返す力が伝わり易いため、ウイングの折れが比較的生じ難いのに対し、ウイング後側66のウイング周縁60は、相対的に前記最大幅部分から遠く、ウイング6Aを折り返す力が伝わり難いため、ウイングの折れが比較的生じ易い。そこで、本実施形態においては、前記B)に対応して、ウイング6Aの平面視形状を長手方向Xにおいて前後非対称とするために、相対的にウイングの折れが生じ易いウイング後側66(特定領域66C)の曲率半径を、相対的にウイングの折れが生じ難いウイング前側65(特定領域65C)の曲率半径に比して大きく設定しており(曲率としては両者の大小関係は逆転)、それによって本来的に折れが生じ易いウイング後側66を、折れが生じ難いものとしている。
ウイング前側特定領域65Cのウイング周縁60の曲率半径R65C、ウイング後側特定領域66のウイング周縁60の曲率半径R66Cは、それぞれ、次式により算出する。
曲率半径=(W2/4+h2)/2h
前記式について、ウイング前側特定領域65Cのウイング周縁60の曲率半径R65Cを算出する場合を例にとって図3に基づき説明すると、前記式中、Wは、ウイング前側特定領域65Cのウイング周縁60の末端Q,Rを結ぶ線分の長さであり、hは、末端Q,Rの中点Sを通る垂線を引き、その垂線とウイング周縁60との交点をPとした場合に、中点Sと交点Pとを結ぶ線分の長さである。このように、曲率半径R65Cは、ウイング周縁60上の3点P、Q、Rを通る円の半径として算出される。ウイング後側特定領域66Cのウイング周縁60の曲率半径R66Cも、これと同様に算出できる。
前述した作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、ウイング6Aにおける各部の寸法等は次のように設定することが好ましい。
ウイング前側特定領域65Cのウイング周縁60の曲率半径R65Cは、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上、そして、好ましくは60mm以下、更に好ましくは50mm以下、より具体的には、好ましくは10〜60mm、更に好ましくは15〜50mmである。
ウイング後側特定領域66Cのウイング周縁60の曲率半径R66Cは、好ましくは15mm以上、更に好ましくは30mm以上、そして、好ましくは100mm以下、更に好ましくは80mm以下、より具体的には、好ましくは15〜100mm、更に好ましくは30〜80mmである。
曲率半径R65Cと曲率半径R66Cとの比(前者/後者)は、好ましくは0.1〜0.9、更に好ましくは0.2〜0.8である。
ウイング6Aの最大幅L1(図1及び図3参照)は、好ましくは20mm以上、更に好ましくは25mm以上、そして、好ましくは40mm以下、更に好ましくは35mm以下、より具体的には、好ましくは20〜40mm、更に好ましくは25〜35mmである。
ウイング6Aと吸収性本体10との境界線14の長さL2(図3参照。ウイング6Aの両付け根71,72の離間距離。)は、好ましくは55mm以上、更に好ましくは70mm以上、そして、好ましくは125mm以下、更に好ましくは110mm以下、より具体的には、好ましくは55〜125mm、更に好ましくは70〜110mmである。
ウイング6Aの最大幅部分を通る仮想直線13とウイング6Aを長手方向Xに二分する直線15との離間距離L3(図3参照)は、好ましくは2mm以上、更に好ましくは5mm以上、そして、好ましくは30mm以下、更に好ましくは20mm以下、より具体的には、好ましくは2〜30mm、更に好ましくは5〜20mmである。離間距離L3は、ウイング6Aの最大幅部分の長手方向Xにおける偏倚度合い(ウイングの長手方向中央からの離間度合い)の指標となる。
また、本実施形態においては、前記C)に対応して、ウイング6Aの長手方向Xに沿う長さは、ウイング6Aと吸収性本体10との境界線14の近傍(境界線14から3mm以内の領域)において最も長くなっている。即ち、図1及び図3に示すように、ナプキン1における境界線14から幅方向Yの外方に位置する部位の長手方向Xに沿う長さは、境界線14から幅方向Yの外方に向かって漸次減少しており、従って、ウイング6Aの長手方向Xに沿う長さは、境界線14の近傍において最も長く、その最大長さは、ウイング6Aと吸収性本体10との境界線14の長さL2に略等しい。
このように、本発明に係るウイングは、前記C)を満たすものに限定されるから、前記C)を満たさないウイング、例えば図6(b)に示すウイング6Qは、本発明の範囲外である。ウイング6Qにおいては、図6(b)に示すように、その長手方向Xに沿う長さは、境界線14から幅方向Yの略中央に向かって漸次増加していて、境界線14の近傍において最長となっておらず、境界線14の近傍よりも幅方向Yの外方に位置する幅方向中央部(境界線14と平行な仮想直線16と重なる部分)で最長となっている。前記C)を満たさないウイング6Qは、その長手方向Xに沿う長さが最長となっている幅方向中央部の前後端部(図6(b)中、点線で囲んだ部分)が、その近傍のウイング6Qの付け根71,72を起点として意図しない形状に折れ曲がり、ヨレやめくれが発生するおそれがある。これに対し、本発明に係るウイングは、前記C)を満たしているため、このような不本意な折れは発生し難い。
本実施形態においては、一対のウイング6A,6Aそれぞれの幅方向Yに沿う長さ(前記最大幅L1)は、吸収性本体10における一対のウイング6A,6Aに挟まれた領域(排泄部対向部B)の幅方向Yの長さL4(図1参照)の半分以下である。斯かる構成の採用により、ナプキン1の装着作業時において、一対のウイング6A,6Aを吸収性本体10の非肌対向面側に折り返したときに、折り返された両ウイング6A,6Aの幅方向Yの先端部どうしが重なり難いため、ナプキン1の装着中にウイング6Aにシワが形成され難く、ウイングのヨレやめくれがより一層発生し難くなる。
また、ナプキン1の装着状態において、排泄部対向部Bの幅方向Yの中央部は、該ナプキン1が装着者の両大腿部間に挟まれて幅方向Yの両側から圧縮されることに起因して、その肌対向面側が装着者の肌側に向けて突出し、それとは反対側の該中央部の非肌対向面側には該肌側に向けて凹の窪みが生じるところ、仮に、一対のウイング6A,6Aそれぞれの幅方向Yに沿う長さ(前記最大幅L1)が、吸収性本体10における両ウイング6A,6Aに挟まれた領域(排泄部対向部B)の幅方向Yの長さL4の半分を超えていると、排泄部対向部Bの非肌対向面側に折り返された一対のウイング6A,6Aは、それぞれ、排泄部対向部Bの幅方向Yの中央部を跨ぐように配されるため、前記窪みの形状に合わせて折れ曲がり、ウイング6Aのヨレやめくれを誘発する可能性がある。これに対し、本実施形態のように、ウイング6Aの幅方向Yに沿う長さ(前記最大幅L1)が吸収性本体10の幅方向Yの長さL4の半分以下であると、ナプキン1の装着状態において、排泄部対向部Bにおける前記窪みが生じている部分にウイング6Aがかからないため、斯かる窪みに起因するウイング6Aの折れ曲がりやそれによるヨレやめくれが一層効果的に防止される。
斯かる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、ウイング6Aの最大幅L1(図3参照)と吸収性本体10における一対のウイング6A,6Aに挟まれた領域の幅方向Yの長さL4(図1参照)との比(前者/後者)は、好ましくは0.20〜0.48、更に好ましくは0.25〜0.40である。また、吸収性本体10の長さL4は、好ましくは60mm以上、更に好ましくは70mm以上、そして、好ましくは130mm以下、更に好ましくは120mm以下、より具体的には、好ましくは60〜130mm、更に好ましくは70〜120mmである。
図1に示すように、一対のウイング6A,6Aの非肌対向面には、それぞれ、ウイング6Aを下着等の着衣に固定するウイング粘着部7が設けられている。ウイング粘着部7は、平面視して矩形形状を有している。ウイング粘着部7は、ホットメルト粘着剤を所定箇所に塗布することにより設けられており、ナプキン1の使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる図示しない剥離シートによって被覆されている。
本実施形態においては、図1に示すように、ウイング6Aの最大幅部分(最大幅L1を有する部分)の幅方向Yの中央〔図1中符号16で示す直線(ウイング6Aを幅方向Yに二分する幅方向中央直線)と重なる部分〕よりも幅方向Yの外方側に、ウイング粘着部7の一部が存している。一般に、ウイングのヨレやめくれは、ウイングと吸収性本体との境界線に近い部位ほど発生し難く、該境界線から離れるほど(ウイングの周縁に近づくほど)発生し易いところ、本実施形態のように、ウイング6Aの最大幅部分の幅方向Yの中央よりも幅方向Yの外方側にウイング粘着部7の一部が存するようにすることで、ウイング6Aのヨレやめくれを一層効果的に防止できる。その主たる理由は、ウイング粘着部7の設置に起因する、ウイング6Aの周縁60及びその近傍(以下、ウイング周縁部ともいう)の剛性の向上及びショーツ等の着衣への接着性の発現と密接に関係する。即ち、ヨレやめくれが発生し易いウイング周縁部又はその近傍にウイング粘着部7が存在することにより、該ウイング周縁部自体の剛性が高くなるため、ナプキン1を下着に装着する際、該ウイング周縁部にヨレやめくれが発生し難くなり、また、ナプキン1の装着中に関しても、該ウイング周縁部又はその近傍がウイング粘着部7を介して下着に接着していることにより、該ウイング周縁部にヨレやめくれが発生し難くなる。また、図5に示す如き従来形状のウイングにおいて、ヨレやめくれが発生し易いウイング周縁部に粘着部が配されていると、ヨレやめくれが発生した時に該粘着部の一部と他の部分とが互いに接着する自己接着の不都合が生じるおそれがあるが、本実施形態に係るウイング6Aは、前述したように、該ウイング6A自体がヨレやめくれの発生し難い設計となっているため、このような従来ウイングに見られる粘着部の自己接着を気にすることなく、ウイング周縁部の剛性の向上と接着性の発現の観点から、前述したウイング粘着部7の適切な配置を採用することができる。
ナプキン1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、裏面シート3としては、液不透過性でも液透過性でも良く、例えば透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。
吸収体4を構成する材料としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ、合繊繊維等の親水性繊維からなる繊維集合体、又は該繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたもの等を用いることができる。また、吸収体4は、前記繊維集合体等からなる液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアを被覆する液透過性のコアラップシートとを含んで構成されていても良く、その場合、吸収性コアとコアラップシートとの間は、所定の部位においてホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されていても良い。吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、例えば、ティッシュペーパー等の紙、各種不織布、開孔フィルム等の透水性シートを用いることができる。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、例えば、撥水性の不織布、樹脂フィルム製のシート、不織布と樹脂フィルムとのラミネート体等を用いることができる。特に撥水性のエアスルー不織布を用いることが、肌触りの良さと横モレ防止の点から好ましい。
本実施形態のナプキン1は、公知のウイングを有する生理用ナプキンと同様に、下着等の着衣に装着して使用する。本実施形態のナプキン1を使用する際、一対のウイング6A,6Aは、それぞれ、吸収性本体10の非肌対向面側に折り返され、ウイング粘着部7を介して着衣の非肌対向面(外面)に固定される。本実施形態のナプキン1によれば、前記A)〜C)のポイントに基づいてウイング6Aの平面視形状が工夫されていることにより、装着作業時や装着中にウイング6Aが意図しない部位で折れ難く、ウイング6Aのヨレやめくれが発生し難いため、ウイング6Aに起因する装着感の低下等を招くことなく、ナプキン1が下着等の着衣に対して安定的に固定され、それによって設計通りの優れた防漏効果が奏される。また、本実施形態においては、一対のウイング6A,6Aそれぞれの幅方向Yに沿う長さが、吸収性本体10における一対のウイング6A,6Aに挟まれた領域(排泄部対向部B)の幅方向Yの長さの半分以下とされているため、ウイング6Aの平面視形状の工夫による作用と相俟って、前記効果(ウイング6Aのヨレ・めくれ防止効果)がより一層確実に奏される。
図4には、本発明に係るウイングの他の実施形態(ウイング6B)が示されている。後述する他の実施形態については、前記実施形態(ウイング6A)と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
ウイング6Bは、前記B)の具体的な形態の点で前述したウイング6Aと異なっており、ウイング6Bにおいては、図4に示すように、ウイング6Bの最大幅部分(仮想直線13と重なる部分)は、ウイング6Bの長手方向Xの中央〔図4中符号15で示す直線(ウイング6Bを長手方向Xに二分する直線)と重なる部分〕より後側(他方側)に偏倚しており、ウイング後側(ウイング他方側)特定領域66Cは、ウイング前側(ウイング一方側)特定領域65Cに比して、ウイング周縁60の曲率半径が小さくなっている。即ち、図4に示す実施形態においては、ウイング6Bの最大幅部分が後側に偏倚しており、且つウイング前側特定領域65Cのウイング周縁60の曲率半径R65Cとウイング後側特定領域66Cのウイング周縁60の曲率半径R66Cとの間に、R65C>R66Cなる大小関係が成立しており、後側の特定領域66Cの方が前側の特定領域65Cに比して曲率が大きく、ウイング周縁60の曲がり具合がきつくなっている。要するに、ウイング6Bは、ナプキン1においてウイング6Aの長手方向Xの前後を逆にしたものと同じである。ウイング6Bを備えた吸収性物品(生理用ナプキン)によっても、前述したウイング6Aを備えたナプキン1と同様の効果が奏される。但し、一般に、生理用ナプキンの装着時に装着者の動き等によりウイングに加わる外力は、長手方向の後側の方が前側よりも大きいところ、ウイング6Aは、前述したように、その最大幅部分が長手方向Xの前側(一方側)に偏倚していることにより、後側(他方側)の面積が相対的に小さくなっているため(図3参照)、これとは逆に後側(他方側)の面積が相対的に大きくなっているウイング6Bに比して、ヨレやめくれが一層発生し難い。
ウイング6Bにおける各部の寸法等は次のように設定することが好ましい。
ウイング前側特定領域65Cのウイング周縁60の曲率半径R65Cは、好ましくは15mm以上、更に好ましくは30mm以上、そして、好ましくは100mm以下、更に好ましくは80mm以下、より具体的には、好ましくは15〜100mm、更に好ましくは30〜80mmである。
ウイング後側特定領域66Cのウイング周縁60の曲率半径R66Cは、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上、そして、好ましくは60mm以下、更に好ましくは50mm以下、より具体的には、好ましくは10〜60mm、更に好ましくは15〜50mmである。
曲率R65Cと曲率R66Cとの比(前者/後者)は、好ましくは1.1〜10、更に好ましくは1.2〜5である。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、ウイングの位置は、吸収性本体の長手方向中央部に制限されず、それより長手方向前側(一方側)でも良く、後側(他方側)でも良い。また、前記実施形態はウイングを一対有していたが、ウイングを二対以上有していても良く、例えば前記実施形態のナプキン1において、排泄部対向部Bに位置する一対のウイング6A,6Aに加えて、後方部Cに位置する別の一対のウイング(後方フラップ)を設けても良い。その場合、別の一対のウイング(後方フラップ)は、前述したウイング6Aに特有の形状を有していなくても良い。
また、吸収性本体10の非肌対向面には、吸収性本体10を下着等の着衣に固定する本体粘着部が設けられていても良い。また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等にも適用できる。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 サイドシート
6A,6B,6P,6Q ウイング
60 ウイングの周縁
61 ウイングの外方に向けて凸の曲線
65 ウイング前側(ウイング一方側)
65C ウイング前側特定領域
66 ウイング後側(ウイング他方側)
66C ウイング後側特定領域
7 ウイング粘着部
71,72 ウイングの付け根
10 吸収性本体
11 第1折曲線
12 第2折曲線
13 ウイングの最大幅部分を通って幅方向に延びる仮想直線
14 ウイングと吸収性本体との境界線
A 前方部
B 排泄部対向部
C 後方部

Claims (4)

  1. 液保持性の吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部それぞれから幅方向の外方に延出する一対のウイングとを有する吸収性物品であって、
    前記ウイングの周縁は、該ウイングの外方に向けて凸の曲線のみから構成され、
    前記ウイングの最大幅部分を通って前記幅方向に延びる1本の仮想直線を境界として、該ウイングの前記長手方向の側をウイング側、側をウイング側とし、更に、該ウイング側及び該ウイング側それぞれを該長手方向に3等分し、該ウイング側における、該仮想直線寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング側特定領域、該ウイング側における、該仮想直線寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング側特定領域とした場合に、
    前記ウイングの最大幅部分は、該ウイングの前記長手方向の中央より前記前側に偏倚しており、前記ウイング前側特定領域は、前記ウイング後側特定領域に比してウイングの周縁の曲率半径が小さく、
    前記ウイングの前記長手方向に沿う長さは、該ウイングと前記吸収性本体との境界線近傍において最も長く、
    一対の前記ウイングそれぞれの前記幅方向に沿う長さは、前記吸収性本体における一対の該ウイングに挟まれた領域の幅方向の長さの半分以下である吸収性物品。
  2. 液保持性の吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部それぞれから幅方向の外方に延出する一対のウイングとを有する吸収性物品であって、
    前記ウイングの周縁は、該ウイングの外方に向けて凸の曲線のみから構成され、
    前記ウイングの最大幅部分を通って前記幅方向に延びる1本の仮想直線を境界として、該ウイングの前記長手方向の前側をウイング前側、後側をウイング後側とし、更に、該ウイング前側及び該ウイング後側それぞれを該長手方向に3等分し、該ウイング前側における、該仮想直線寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング前側特定領域、該ウイング後側における、該仮想直線寄りの長手方向3分の2に相当する領域をウイング後側特定領域とした場合に、
    前記ウイングの最大幅部分は、該ウイングの前記長手方向の中央より前記後側に偏倚しており、前記ウイング後側特定領域は、前記ウイング前側特定領域に比してウイングの周縁の曲率半径が小さく、
    前記ウイングの前記長手方向に沿う長さは、該ウイングと前記吸収性本体との境界線近傍において最も長く、
    一対の前記ウイングそれぞれの前記幅方向に沿う長さは、前記吸収性本体における一対の該ウイングに挟まれた領域の幅方向の長さの半分以下である吸収性物品。
  3. 前記吸収性本体に、前記幅方向に延びる折曲線が、該折曲線の延長線が前記ウイングを通らないように形成されており、該折曲線に沿って該吸収性本体を折り畳み可能になされている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記ウイングの一面に、該ウイングを着衣に固定する粘着部が設けられており、
    前記ウイングの最大幅部分の前記幅方向の中央よりも該幅方向の外方側に、前記粘着部の一部が存している請求項1〜の何れか一項に記載の吸収性物品。
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