JP5977010B2 - プラスチックレンズ用膜形成装置 - Google Patents
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Description
一般的なインクジェット法によれば、塗布液の粒子(以下、単に塗布液粒という)は、所定の間隔をおいて連続的にインクジェットヘッドから噴出される。塗布液粒がインクジェットヘッドから噴出されるときには、インクジェットヘッドとレンズとが相対的に移動する。
ところで、近年の前記レンズには、意匠性を高くすることを目的としてインクジェットヘッドで着色塗料を塗布し、模様を施すことも行われている(たとえば特許文献2参照)。
また、改質処理と塗布とが同一装置内で行われるから、改質処理後のプラスチックレンズが塗布液噴出装置に直接搬送され、このプラスチックレンズに塗布液が塗布されるため、膜形成面への汚れや埃の付着を防ぎ、生産性が向上する。
この実施の形態においては、本発明に係るプラスチックレンズ用膜形成装置11をハードコート膜形成装置12(図1参照)またはマスキング層形成装置13(図2参照)として構成する例について説明する。
前記レンズ14は、図3(B)に示すように、レンズ基材17の一主面上に、ハードコート膜15、反射防止膜18、および撥水膜19をこの順に積層させたものである。また、特に、この実施の形態によるレンズ14は、レンズ基材17上におけるハードコート膜15と反射防止膜18との間に、島状の透明パターン20aを備えているところが特徴的である。この透明パターン20aは、詳細は後述するが、図2に示すマスキング層形成装置13によって形成されたマスキング層16を用いて形成される。
以下、レンズ14を構成する各部材の詳細な構成を、レンズ基材17側から順に説明する。
レンズ基材17は、眼鏡用レンズに用いられる一般的なプラスチック材料からなり、所定のレンズ形状に成形されている。前記プラスチック材料は、例えば屈折率(nD)1.50〜1.74程度のものが用いられる。このようなプラスチック材料としては、例えばアリルジグリコールカーボネート、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート、チオウレタン系樹脂及びエピスルフィド樹脂が例示される。このようなレンズ基材17の一主面上に上述したハードコート膜15〜撥水膜19、および透明パターン20aの各層が積層されている。ここでいう前記一主面とは、このレンズ14を用いて構成される眼鏡の外側となる面である。
ハードコート膜15は、反射防止膜18の下地として用いられる膜であり、例えば有機珪素化合物を含む材料を用いて構成されている。このハードコート膜15は、上述したプラスチック材料の屈折率に近い屈折率を有するものである。具体的には、ハードコート膜15の屈折率(nD)は1.49〜1.70程度であり、レンズ基材17の素材に応じて膜構成が選択される。
反射防止膜18は、屈折率の異なる材料膜を積層させた多層構造を有し、干渉作用によって光の反射を防止する膜である。このような反射防止膜18は、一例として低屈折率膜18aと高屈折率膜18bとを交互に積層してなる多層構造が挙げられる。低屈折率膜18aは、例えば屈折率1.43〜1.47程度の二酸化珪素(SiO2) からなる。また高屈折率膜18bは、低屈折率膜18aよりも高い屈折率を有する材料からなり、例えば酸化ニオブ(Nb205)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化チタン(TiO2) 、酸化ジルコニウム(ZrO2) 、酸化イットリウム(Y2O3)、さらには酸化アルミニウム(Al2O3)等の金属酸化物を、適宜の割合で用いて構成される。
撥水膜19は、例えばフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化合物からなる。この撥水膜19は、反射防止膜18と合わせて反射防止機能を奏するように設定された膜厚を有している。
透明パターン20aは、例えば装飾用の模様、ロゴマーク、または文字等として設けられたものであって、光透過性を有する材料で構成された島状パターンとして構成されている。この実施の形態で用いられる透明パターン20aは、例えば可視光に対して光透過性を有していれば良いが、特には透明パターン20aを挟んで配置される各層の屈折率よりも高い屈折率を有することが好ましい。また、この透明パターン20aの膜厚は、透明パターン20aを構成する材料の屈折率と、撥水膜19側から見た場合の透明パターン20aに対して求められる視認性とによって、適宜に調整される。なお、透明パターン20aは、異なる材料層を積層させたものであっても良い。
ハードコート膜形成装置12は、改質処理工程Aとハードコート液塗布工程Bとを経てレンズ14にハードコート液からなる膜を形成するものである。このハードコート膜形成装置12によって形成されたハードコート液からなる膜は、ハードコート膜形成装置12から加熱炉21に移され、加熱されて硬化させられる(加熱工程C)。前記加熱炉21は、詳細には図示してはいないが、多数のレンズを一度に所定の温度に加熱することができるものや、多数のレンズを連続的に加熱するものなどが用いられている。
コロナ放電処理は、一対の電極(図示せず)に高周波高電圧を印加して電極間にコロナ放電を生じさせ、このコロナ放電によるエネルギー場に前記膜形成面22を晒すことによって行う。
ハードコート液は、従来からよく知られている浸漬法で使用するものと同じものを用いることができる。
この実施の形態によるハードコート膜形成装置12は、後述する各処理装置が水平方向に並ぶ構成のものである。また、このハードコート膜形成装置12は、レンズ14を各処理装置の下方を通して搬送する搬送装置23を備えている。この搬送装置23は、レンズ14を第1、第2の搬送テーブル24,25に装填した状態で搬送するものである。
前記ばね片36bは、円筒36aを周方向に3等分する位置に設けられている。これらのばね片36bは、円筒36aから周方向の一方に延びるとともに、先端側に向かうにしたがって漸次円筒36aの軸心に接近するように湾曲している。
前記昇降装置41は、第1、第2の搬送テーブル24,25が取付けられた昇降用スライダ34をボールねじ機構によって昇降させる構成が採られている。
昇降ベースプレート43には、上下方向に延びるボールねじ軸45が回転自在に支持されている。また、昇降ベースプレート43には、前記ボールねじ軸45を回転させる第1、第2の昇降サーボモータ46,47が取付けられている。
このようにコロナ放電61aのエネルギーをレンズ14に作用させると、膜形成面22が活性化された状態になるとともに、膜形成面22にカルボニル基等の極性基が生成され、膜形成面22の濡れ性が向上する。
プラズマ処理装置を用いる場合は、前記放電ヘッド61が設けられている位置に放電ヘッド61の代わりにプラズマ照射ヘッドが配置される。このプラズマ照射ヘッドは、下方に向けてプラズマが照射されるように位置付けられる。紫外線を用いる表面改質装置を用いる場合は、前記放電ヘッド61が設けられている位置に放電ヘッド61の代わりに紫外線発生器が配置される。この紫外線発生器は、紫外線を下方に向けて照射するように位置付けられる。
なお、図1に示すハードコート膜形成装置12において、ハードコート液として紫外線硬化型のものを使用する場合は、熱硬化装置67の代わりにUV硬化装置を使用することができる。この場合のUV硬化装置は、紫外線をレンズ14に向けて照射するように構成される。
前記ハードコート液噴出装置制御部74は、前記制御データ作成部71によって作成された制御データに基づいて第1〜第4のインクジェットヘッド62〜65の動作を制御する。また、ハードコート液噴出装置制御部74は、インクジェット装置32によるハードコート液の塗布が終了した後に熱硬化装置67を予め定めた時間だけ動作させる。
前記ログデータ保存部75は、ハードコート液を硬化させる工程が終了した後にレンズ14毎の処理条件データをログファイルとして保存する。
制御装置33は、ステップS4において、バーコードリーダ77を使って読み込んだ仕様通りにハードコート液を塗布するために必要なデータをサーバー76から取得する。このデータは、レンズ14の外径やハードコート膜の膜厚などである。そして、制御装置33は、ステップS5において、コロナ放電処理装置31とインクジェット装置32とを制御するための制御データを作成する。
このように高さ検出が行われた後、搬送装置23が第1の搬送テーブル24または第2の搬送テーブル25を図1中に矢印(B)で示すようにコロナ放電処理装置31に搬送する。
搬送テーブル24,25がコロナ放電処理装置31の処理位置に搬送された後、図8に示すように、コロナ放電処理装置31がレンズ14の改質処理を行う(ステップS9)。
この実施の形態によるインクジェット装置32は、膜形成面22に付着するハードコート液粒66の大きさ、数、塗布パターンなどを変えてハードコート液を塗布することができる。また、インクジェットによるダイレクト塗布方式によれば、従来の浸漬法とは異なり、ハードコート液が完全密閉された状態から必要量だけ塗布される。このため、ハードコート液自体の劣化や添加剤含有率の変化が無くなり、ハードコート液の凝集や変質も抑えることが出来るといった効果もある。
第1または第2の処理ユニット26,27に第1、第2の搬送テーブル24,25が戻された後、レンズ14の下側の面にもハードコート液を塗布する場合には、作業者がレンズホルダー36を裏返して第1、第2の搬送テーブル24,25に装填する。そして、ハードコート膜形成装置12は、上述したステップS3から上記と同じ動作を繰り返す。
レンズ14は、レンズホルダー36から取り外されることなく、加熱炉21に送られる(ステップS15)。レンズ14が加熱炉21内で加熱されることによって、ハードコート液が完全に硬化させられてハードコート膜15が形成される。レンズ14は、加熱炉21による加熱が終了した後、洗浄され(ステップS16)、次の工程に送られる。
また、改質処理と塗布とが同一装置内で行われるから、改質処理後のレンズ14がハードコート膜形成装置12に直接搬送され、このレンズ14にハードコート液が塗布されるため、膜形成面への汚れや埃の付着を防ぎ、生産性が向上する。
次に上述したハードコート膜形成装置12とマスキング層形成装置13とを使用して図3に示すレンズを製造する手順を図16〜図19によって詳細に説明する。
図16は、レンズの製造手順を示すフローチャートである。図17〜図19は、眼鏡用レンズの製造手順を示す製造工程図である。
[図17(A)]
先ず、図17(A)に示すように、レンズ基材17を用意する。レンズ基材17の一例として、眼鏡用単焦点レンズを挙げて説明する。
次に、図17(B)に示すように、オーダーに応じて作成されたレンズに関する三次元の外形形状Fのデータと、レンズ基材17において点マークM1〜M3で示される光学座標とから、レンズ基材17において外形形状Fの中心(フレーム中心)F.Cとなる位置を検出する。
その後、図17(C)に示すように、光学中心O.Cとフレーム中心F.Cとの関係から、レンズ基材17に対して、レンズ領域の外形形状Fを確定する。そして、光学座標を示す点マークM1〜M3に基づいて、レンズ基材17上に外形形状Fの基準となる基準マークm1〜m4を形成する。これらの基準マークm1〜m4は、上下左右を識別可能である。また、眼鏡の右眼用レンズであるか左眼用レンズであるかを識別可能なデザインであると好ましい。例えば、左右を示す基準マークm2、m4を、眼鏡の中央に向く矢印として形成する。
基準マークm1〜m4を形成した後には、点マークMl〜M3をふき取り除去する。
以上のようにして基準マークm1〜m4を形成した後、図18(A)の平面図、および図18(B)の断面図{図18(A)のa−a'断面に相当}に示すように、レンズ基材17上にハードコート膜15を成膜する(S22)。ハードコ―ト膜13の成膜は、上述したハードコート膜形成装置12を使用して行う。レンズ基材17は、ハードコート膜15が形成された後に上述したマスキング層形成装置13に装填される。
マスキング層16が形成された後、レンズ基材17をマスキング層形成装置13から取り出し、図示していない蒸着装置に装填する。そして、図19(A)に示すように、マスキング層16の上方から透明材料膜20の成膜を行う(S25)。ここでは、蒸着法によって、例えば酸化タンタル(Ta205)からなる屈折率2.05〜2.15の透明材料膜20を、予め設定された膜厚(例えば10nm)で成膜する。この成膜においては、イオンアシスト蒸着を行うことにより、膜質および密着性良好に透明材料膜20を成膜することが好ましい。
透明材料膜20が形成された後、レンズ基材17を蒸着装置から取り出し、図19(B)に示すように、ハードコート膜15上からマスキング層16を除去する処理を行う。この工程においては、マスキング層16と、マスキング層16上の透明材料膜20とが選択的に除去される(S26)。ここでは、例えばマスキング層16を溶解する溶剤(エタノールやアセトン)を用いたウェット処理により、マスキング層16の除去を行う。これにより、マスキング層16の開口パターン16a内に成膜された透明材料膜20部分のみを、ハードコ―ト膜13を介してレンズ基材17上に残し、残された透明材料膜20部分を透明パターン20aとしてレンズ基材17上に形成する。このようにして形成された透明パターン20aは、マスキング層16に形成した開ロパターン16aと同一の位置に形成された同一形状のものとなる。
マスキング層16が除去されたレンズ基材17は、図示していない蒸着装置に装填され、蒸着法によって反射防止膜18が形成される。すなわち、図19(C)に示すように、透明パターン20aが形成されたハードコート膜15上に、低屈折率膜18aと高屈折率膜18bとを交互に積層成膜した多層構造の反射防止膜18を成膜する。そして、さらに反射防止膜18上に撥水膜19を成膜する(S27)。反射防止膜18の成膜は、イオンアシスト蒸着を適用して行うことにより、下層側の低屈折率膜18a−1から順に、低屈折率膜18a−7までの各層を、各組成および各膜厚で成膜する。
以上の後には、先の図3(A)および図3(B)に示したように、撥水膜19までが成膜されたレンズ基材17を、レンズ基材17に対して確定された外形形状Fにシェイプカットする(S28)。シェイプカットは、レンズ基材17を加工用治具に固定して行われる。この際、図18(A)を参照し、レンズ基材17における外形形状Fの外側に形成した基準マークm1〜m4に基づいて位置合わせされた所定位置に加工用治具を吸着させる。この状態で、シェイプカット加工機を用い、基準マークm1〜m4に基づいて位置合わせされた外形形状Fに、レンズ基材17をシェイプカットし、その後、加工用治具を取り外してレンズ14を完成させる。その後は、外観検査を経てレンズ14を出荷する。
本発明に係るプラスチックレンズ用膜形成装置1は、図20に示すレンズを製造する場合にも用いることができる。
図20は、レンズの他の例を説明するための図で、図20(A)は平面図、図20(B)は図20(A)におけるa−a'断面図である。これらの図に示すレンズ81が、図3に示すレンズ14と異なるところは、例えば装飾用の模様、ロゴマーク、または文字等を構成する透明パターン20aが、開口部hを有する抜きパターンとして構成されているところにある。このレンズ81の他の構成は、図3に示したレンズ14と同様である。
以上のように構成されたレンズ81の製造方法は、図3に示したレンズ14の製造方法と同様である。ただし、図18を用いて説明したマスキング層16の形成においては、パターンを反転させたマスキング層16を、前記マスキング形成装置によって形成すれば良い。
本発明に係るプラスチックレンズ用膜形成装置1は、図21に示すレンズを製造する場合にも用いることができる。
図21は、レンズの他の例を説明するための図で、図21(A)は平面図、図21(B)は図21(A)におけるa−a'断面図である。これらの図に示すレンズ82が、上述した他のレンズ14,81と異なるところは、例えば装飾用の模様、ロゴマーク、または文字等を構成する島状の透明パターン20aが、反射防止膜18の上部に積層して設けられているところにある。レンズ82の他の構成は、図3に示すレンズ14と同様である。
図22は、上述したレンズ82の製造手順を示すフローチャートである。図23および図24は、上述したレンズ82の製造手順を示す製造工程図である。以下にこれらの図面に基づいて、レンズ82の製造手順の特徴部を説明する。
先ず、予め、図17(A)〜図17(C)を用いて説明した手順と同様にして、レンズ基材17の一主面側に、ここでの図示を省略した基準マーク(m1〜m4)を形成しておく(S31)。その後、先ず、このレンズ基材17の一主面上に前記ハードコート膜形成装置12によってハードコート膜15を成膜する(S32)。次に、例えばハードコート膜形成装置12によって、前記ハードコート膜15表面の濡れ性を確保するための改質処理を行い(S33)、その後、多層構造の反射防止膜18を成膜する(S34)。
次に、図23(B)に示すように、反射防止膜18における低屈折率膜18a−7の上部に、前記マスキング層形成装置13によってマスキング層16をパターン形成する(S35)。ここで形成するマスキング層16は、図3に示すレンズ14を製造するときのものと同様である。すなわち、このマスキング層16は、レンズ基材17の一主面側に確定したレンズの外形形状を全体的に覆うように形成されている。また、このマスキング層16には、透明パターンに対応する形状の開口パターン16aが形成されている。さらに、マスキング層16を形成するために用いるインクは、図3に示すレンズ14を製造するときに用いたものと同様であって、例えば硬化後にエタノールやアセトンに溶解して除去することが可能なUVキュアインクを用いる。
次いで、図24(A)に示すように、マスキング層16の上方から透明材料膜20の成膜を行う(S36)。ここでは、蒸着法によって、二酸化珪素(SiO2) からなる屈折率1.43〜1.47の透明材料膜20を、予め設定された膜厚(例えば10nm)で成膜する。この成膜においては、必要に応じてイオンアシスト蒸着を行うことにより、膜質および密着性良好に透明材料膜20の成膜を行う。
その後、図24(B)に示すように、反射防止膜18上からマスキング層16を除去する処理を行い、マスキング層16と共にこの上部の透明材料膜20を選択的に除去する(S37)。ここでは、例えばマスキング層16を構成するインクを溶解する溶剤(エタノールやアセトン)を用いたウェット処理により、マスキング層16を除去し、マスキング層16と、マスキング層16上の透明材料膜20の選択的な除去を行う。これにより、マスキング層16の開口パターン16a内に成膜された透明材料膜20部分のみが、ハードコ―ト膜13および反射防止膜18を介してレンズ基材17上に残る。すなわち、透明材料膜20部分が透明パターン20aとしてレンズ基材17上に形成される。このようにして形成された透明パターン20aは、マスキング層16に形成した開口パターン16aと同一の位置に同一形状で形成されたものとなる。
以上の後には、先の図21に示したように、透明パターン20aを覆う状態で、反射防止膜18上に撥水膜19を成膜する(S38)。次いで、撥水膜19までが成膜されたレンズ基材17を、レンズ基材17に対して確定された外形形状Fにシェイプカットする(S39)。この際、図3に示すレンズ14を製造するときの手順と同様に、レンズ基材17における外形形状Fの外側に形成した基準マークm1〜m4に基づいて位置合わせされた外形形状Fに、レンズ基材17をシェイプカットする。
図25は、第4例のレンズの構成を説明するための図で、図25(A)は平面図、図25(B)は図25(A)におけるa−a'断面図(図25B)である。これらの図に示す第4例のレンズ83が、先の第1〜3例のレンズ14,81,82と異なるところは、処理パターンとして島状の染色パターン84が設けられているところにある。他の構成は、第1例のレンズ14と同様である。
図26は、上述した構成を有する第4例のレンズの製造手順を示すフローチャートである。図27〜図28は、上述した構成を有する第4例のレンズの製造手順を示す製造工程図である。以下にこれらの図面に基づいて、第4例のレンズを眼鏡用に適用する場合の製造手順の特徴部を説明する。
先ず図27(A)の平面図、および図27(B)の断面図[図27(A)のa−a'断面に相当]に示すように、予め、レンズ基材17におけるレンズの外形形状Fを確定し、レンズ基材17の一主面側に外形形状Fの基準となる基準マークm1〜m4を形成する(S41)。この工程は、第1例において図17(A)〜図17(C)を用いて説明した手順と同様に行う。
ここでは、例えばレンズ基材17の表面にダメージを与えることのない処理方法として、例えば酸素プラズマを用いたプラズマ処理を行う。なお、濡れ性を確保するための改質処理としては、コロナ放電処理の他にもレンズ基材17に対してダメージを与えることのない方法であれば、コロナ放電処理に限定されることはなく、例えばイオン照射処理や酸素プラズマを用いたプラズマ処理を行っても良い。
次に図28(A)に示すように、マスキング層16の上方からレンズ基材17の染色処理を行う(S44)。ここでは、例えば昇華染色を行う。この場合、例えば昇華性染料を水系溶媒に分散させたインクを基板上に塗布してなる印刷シートを用意する。この印刷シートのインク塗布面と、レンズ基材17におけるマスキング層16の形成面とを対向させて配置し、所定の減圧雰囲気下において印刷シートを加熱する。これにより、印刷シートの昇華性染料を昇華させ、マスキング層16の開口パターン16aの底部に露出するレンズ基材17を染色する。この際、マスキング層16も染色されるが、マスキング層16で覆われているレンズ基材17部分は染色されることはない。このため、開口パターン16aの底部のみに、レンズ基材17の表面層を染色処理してなる染色パターン84が形成される。このようにして形成された染色パターン84は、マスキング層16に形成した開口パターン16aと同一の位置に形成された同一形状のものとなる。
なお、浸漬法の場合、液体染料に浸漬させる時間や染料温度等で、濃度の制御をすることが可能である。また、浸漬法の場合、凹凸両面染色も可能であり、片面染色と両面染色でマスキングイメージの濃淡制御をすることも可能である。
次いで図28(B)に示すように、レンズ基材17上からマスキング層16を除去する処理を行う(S45)。ここでは、例えばマスキング層16を溶解する溶剤(エタノールやアセトン)を用いたウェット処理により、染色されたマスキング層16の除去を行う。
その後図28(C)に示すように、染色パターン84が形成されたレンズ基材17上に、ハードコート膜形成装置12を用いてハードコ―ト膜13を形成する。次いで、低屈折率膜18aと高屈折率膜18bとを交互に積層成膜した多層構造の反射防止膜18とをこの順に成膜し、さらに反射防止膜18上に撥水膜19を成膜する(S46)。反射防止膜18の成膜は、イオンアシスト蒸着を適用して行うことにより、下層側の低屈折率膜18a−1から順に、低屈折率膜18a−7までの各層を、各組成および各膜厚で成膜する。
以上の後には、先の図25(A)および図25(B)に示したように、撥水膜19までが成膜されたレンズ基材17を、レンズ基材17に対して確定された外形形状Fにシェイプカットする(S47)。この際、図27を参照し、第1例で説明した手順と同様にレンズ基材17に形成した基準マークm1〜m4に基づいて位置合わせされた外形形状Fに、レンズ基材17をシェイプカットし、第4例のレンズ83を得る。
図29は第5例のレンズの構成を説明するための図で、図29(A)は平面図、図29(B)は図29(A)におけるa−a'断面図である。これらの図に示す第5例のレンズ85が、第4例のレンズ(1d)と異なるところは、染色パターン84が、開口部hを有する抜きパターンとして構成されているところにある。他の構成は、第4例と同様である。
以上のような構成の第5例のレンズ85の製造方法は、第4例と同様である。ただし、図27を用いて説明したマスキング層16の形成においては、パターンを反転させたマスキング層16を、インクジェット法の適用によって形成すれば良い。
Claims (5)
- 眼鏡用のプラスチックレンズを膜形成面が上方を指向して露出する状態で水平方向に搬送する機能および上下方向に移動させる機能を有する搬送装置と、
前記膜形成面と対向する位置に配設され、前記膜形成面に濡れ性が向上する改質処理を施す改質装置と、
前記改質装置より前記搬送装置の搬送経路の下流側であって前記膜形成面と対向する位置に配設され、前記膜形成面に塗布液の粒子を飛ばして付着させる塗布液噴出装置と、
前記搬送装置、前記改質装置および前記塗布液噴出装置の動作を自動的に行うための制御装置とを備えてなり、
前記改質処理と前記塗布液の塗布とが同一装置内で行われ、前記改質処理後のプラスチックレンズが塗布液噴出装置に直接搬送され、このプラスチックレンズに塗布液が塗布されるプラスチックレンズ用膜形成装置であって、
さらに、水平方向の両端部であって前記搬送装置による搬送方向の両端部に、プラスチックレンズの搬入と搬出とを行う処理ユニットをそれぞれ備え、
前記搬送装置は、前記プラスチックレンズを前記膜形成面が上方を指向する状態で支持する搬送テーブルと、前記搬送テーブルを水平方向に移動させる水平移動装置とを備え、
前記搬送テーブルは、
一方の処理ユニットにおいてプラスチックレンズの着脱が行われる第1の搬送テーブルと、他方の処理ユニットにおいてプラスチックレンズの着脱が行われる第2の搬送テーブルとを有し、
前記第1の搬送テーブルでプラスチックレンズを前記改質装置および前記塗布液噴出装置に搬送する第1の搬送形態と、前記第2の搬送テーブルでプラスチックレンズを前記改質装置および前記塗布液噴出装置に搬送する第2の搬送形態とが交互に繰り返されることを特徴とするプラスチックレンズ用膜形成装置。 - 請求項1記載のプラスチックレンズ用膜形成装置において、
前記改質装置は、コロナ放電処理装置またはプラズマ処理装置であることを特徴とするプラスチックレンズ用膜形成装置。 - 請求項1または請求項2記載のプラスチックレンズ用膜形成装置において、
前記塗布液噴出装置は、インクジェット式のものであり、
前記塗布液はハードコート膜の材料とマスクキング用材料とのうち何れか一方であることを特徴とするプラスチックレンズ用膜形成装置。 - 請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載のプラスチックレンズ用膜形成装置において、
前記搬送装置は、前記膜形成面と前記改質装置および前記塗布液噴出装置との間隔を予め定めた間隔に調整する間隔調整装置を備え、
前記間隔調整装置は、
前記搬送装置に支持されて水平方向に移動する昇降ベースプレートと、
前記プラスチックレンズを支持しかつ前記昇降ベースプレートに上下方向に移動自在に支持された昇降用スライダと、
前記昇降用スライダを前記昇降ベースプレートに対して昇降させるボールねじ機構とを含む昇降装置を有し、前記プラスチックレンズを上下方向に移動させることを特徴とするプラスチックレンズ用膜形成装置。 - 請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載のプラスチックレンズ用膜形成装置において、
さらに、前記プラスチックレンズの高さを検出する高さ計測ゲージを備え、
前記制御装置は、前記高さ計測ゲージによって検出されたプラスチックレンズの高さが前記改質装置および前記塗布液噴出装置に適合するように前記搬送装置の動作を制御するものであることを特徴とするプラスチックレンズ用膜形成装置。
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